説明

平版印刷版の梱包構造

【課題】 当て板を使用することなく、積層束の角部を変形させない状態で載置台に固定可能な平版印刷版の梱包構造を得る。
【解決手段】 載置台50に載置された状態の積層束58の積層面に緩衝部材84を当てがい、載置台50、積層束58及び緩衝部材84を一体にした状態でストレッチフィルム38を巻回し、積層束58及び緩衝部材84を載置台50に固定する。これにより、平版印刷版10に作用する収縮力は緩衝部材84で緩和されることとなり、平版印刷版10に大きな収縮力が作用することはなく、平版印刷版10に歪みや変形が生じることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷版の梱包構造に関し、例えば大量の平版印刷版を一括して荷扱いするための平版印刷版の梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の製版法(電子写真製版法を含む)において、製版工程の自動化を容易にすべく広く用いられている平版印刷版(感光性印刷版や感熱性印刷板等)は、一枚の薄い支持体(アルミニウム板等)上に感光層又は感熱層を塗布して構成されている。
【0003】
この平版印刷版を荷扱いする場合、荷扱いの回数を減らして運搬や保管を低コストで行うために、大量の平版印刷版を厚み方向に積層して平版印刷版の束を構成し、この束をパレット等の積載部材に積載、包装することがある。
【0004】
図5には、このような梱包構造の一例が示されている(特許文献1)。この梱包構造110では、底板112に対して傾斜して立設された端板114に、所要枚の印刷版116の束118をもたせかけた後、別の端板120(以下、「当て板120」という)を束118の表面側に当てがい、次いで端板114と端板120とをボルト122により締結して、束118を固定するようになっている。
【0005】
一方、感光性印刷板及び感熱性印刷板は、いずれも一枚の薄い板状とされているため、角や辺等に傷や変形があると、感光や感熱によって現像した際に像がぼけたり、印刷した際にインクが不均一になる等の問題が生じやすい。
【0006】
このため、当て板120は印刷版116よりも大きなサイズとされており、印刷版116を保護して、印刷版116の角や辺に傷や変形を生じさせないようにしている。
【0007】
しかしながら、当て板120は、束118の正面の全面にわたって接触するようになっているため、重量が大きくなり、束118を固定あるいは固定解除するときや、運搬するとき、あるいは当て板120を回収するとき等の取り扱いが不便であった。
【特許文献1】特開平3−73946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、当て板を使用することなく、積層束の角部を変形させない状態で載置台に固定可能な平版印刷版の梱包構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、平版印刷版の梱包構造において、平版印刷版を積層した積層束の積層面を支持する載置台と、前記載置台から立ち上がり前記積層束の印刷面を支持する背もたれと、前記載置台に載置された前記積層束の3方の積層面に設けられ、弾性変形可能な緩衝部材と、収縮力によって前記緩衝部材と前記積層束と前記載置台とを一体的に包装する伸縮性フィルムと、前記載置台の下部が固定可能で、運搬装置の荷受部材が挿入可能な脚体と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明では、載置台から立ち上がる背もたれを設け、積層束の積層面を載置台で支持させ、積層束の印刷面を背もたれで支持させる。つまり、積層束をいわゆる縦置き配置することで、平版印刷版の枚数の多少に関わらず、梱包構造全体としては略一定の高さとなるため、保管場所で平版印刷版の上方に無駄なスペースを生じさせることなく、効率的に保管することができる。
【0011】
また、平版印刷版は自重によって載置台側の積層面を揃えた状態で載置されることになるので、例えば平版印刷版を製版機に装填する作業が容易になる。さらに、積層束を背もたれに立て掛けるようにして、積層束の荷重を載置台及び背もたれの2面に分散させることで、梱包を解いた状態で、積層束が不用意に倒れたり、ずり落ちたりしないようにしている。
【0012】
ここで、平版印刷版が積層して構成された積層束が載置台に載置された状態で積層束の3方の積層面には緩衝部材を設けている。この状態で、緩衝部材、積層束及び載置台を伸縮性フィルムで巻回し、該伸縮性フィルムの収縮力によって緩衝部材と積層束と載置台とを一体的に包装する。
【0013】
このように、積層束を載置台に載置し積層束の3方の積層面に緩衝部材を設けた状態で、緩衝部材、積層束及び載置台を伸縮性フィルムで巻回すため、積層束を構成する平版印刷版に作用する収縮力は緩衝部材で緩和されることとなり、平版印刷版に大きな収縮力が作用することはなく、平版印刷版に歪みや変形が生じることを防止することができる。
【0014】
従って、感光や感熱によって現像した際に像がぼけたり、印刷した際にインクが不均一になる等の問題は生じない。つまり、本発明によれば、当て板を使用することなく、積層束を傷つけない状態で載置台に固定することができる。
【0015】
また、載置台に積層束が載置された状態で伸縮性フィルムが巻回され、伸縮性フィルムの収縮力によって、積層束と載置台とが一体的に固定されるため、不用意に積層束が載置台に対してズレたり、載置台から分離、脱落してしまうことがない。
【0016】
さらに、伸縮性フィルムを緩衝部材、積層束及び載置台に巻回すだけなので容易に梱包できる。また、当て板を必要としないため、積層束が大サイズの平版印刷版により構成されている場合でも、積層束の梱包及び開梱作業時の負荷が軽減されると共に、積層体を梱包するために必要となるリユース部材の量を減少させることができる。
【0017】
さらに、開梱時には、伸縮性フィルムをカッターなどで切断して除去するだけで良いので、作業性も良い。また、伸縮性フィルムを巻回して複数の積層束を載置台に固定することができるので、大量の平版印刷版を少ない荷扱い回数で荷扱いできるようになる。
【0018】
ところで、一般的に平版印刷版はサイズが多岐に渡るため、サイズを幾つかのゾーンに分け、数種類の載置台で幾つかの製品サイズを兼用している。そのため、載置台と積層束の間には段差が生じ、伸縮性フィルムによる側面巻の締結方式においては、締結力低下をもたらす結果となってしまうが、該段差を埋めるように緩衝部材を配置することで、締結力の低下を防止することができ、強固な締結を確保することができる。
【0019】
一方、載置台の下部には、運搬装置の荷受部材が挿入可能な脚体を固定可能としており、伸縮性フィルムで包装された積層束を運搬可能としている。
【0020】
載置台の下部に脚体が予め一体となった状態では、伸縮性フィルムで載置台と共に積層束を巻回すとき該脚体が邪魔になったり、或いは、フォークリフトなどの運搬装置の荷受部材が挿入可能な脚体の挿入部が伸縮性フィルムによってふさがれてしまったり、いずれにしても作業性が悪い。
【0021】
このため、伸縮性フィルムで積層束及び載置台を一体的に包装した後で、載置台の下部に脚体を固定することで、上記のような問題点を解決することができ、作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記構成としたので、積層束が載置台に載置された状態で積層束の3方の積層面に緩衝部材を設けた状態で、緩衝部材、積層束及び載置台を伸縮性フィルムで巻回すため、積層束を構成する平版印刷版に作用する収縮力は緩衝部材で緩和されることとなり、平版印刷版に大きな収縮力が作用することはなく、平版印刷版に歪みや変形が生じることを防止することができる。このため、本発明によれば、当て板を使用することなく、積層束を傷つけない状態で載置台に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る平版印刷版10(感光性印刷版又は感熱性印刷版)の積層束12を梱包した梱包構造(以下、単に「梱包構造」という)30が示されている。
【0024】
平版印刷版10は、長方形の板状に形成された薄いアルミニウム製の支持体上に、電子写真感光層(感熱性印刷版の場合には感熱層)を塗布して形成されている。平版印刷版10の形状等は特に限定されないが、本実施形態では一例として、0.3mm×1310mm×1050mmのアルミニウム板上に、感光層又は感熱層が塗布されたものを使用している。
【0025】
そして、図4からも分かるように、電子写真感光層を保護する合紙14と、平版印刷版10と、を交互に厚み方向に重ね合わせ、さらに重ね合わせ方向の両端面に保護用厚紙22を配置して、平版印刷版10の積層束12が構成されている。
【0026】
本実施形態では、合紙14として、漂白クラフトパルプから抄造した坪量20〜45g/m2、密度0.7〜0.85g/cm3、水分4〜6%、ベック平滑度10〜800秒、PH4〜6の合紙14を使用し、この合紙14を平版印刷版10の電子写真感光層に密着させている。また、保護用厚紙22としては、故紙から抄造した坪量200〜1500g/m2、密度0.7〜0.85g/cm3、水分4〜8%、ベック平滑度3〜20秒、PH4〜6の保護用厚紙22を使用している。
【0027】
1つの積層束12を構成する平版印刷版10の数は特に限定されないが、運搬や保管の効率化の観点等から、例えば10枚〜100枚とすることができる。また、このように10枚〜100枚の平版印刷版10によって積層束12を構成した場合には、平版印刷版10と保護用厚紙22とがずれないように、図示はしないが粘着テープ等の固定手段でこれらを固定することが好ましい。
【0028】
また、さらに多くの平版印刷版10によって積層束12を構成し、より効率的に(少ない荷扱いの回数で)運搬や保管をできるようにすることも可能である。この場合、例えば、平版印刷版10の枚数を200〜2000枚程度とし、積層された平版印刷版10の上下だけでなく、平版印刷版10の20〜100枚ごとに保護用厚紙22を入れるようにしてもよい。さらに、平版印刷版10の種類によっては、合紙14、保護用厚紙22及び粘着テープを省略してもよい。
【0029】
一方、図1及び図2に示すように、積層束12を運搬する運搬部材68は、載置部70と脚体72とを備えており、載置部70と脚体72とはボルト74による締結によって一体となる。
【0030】
載置部70は載置台50と支持板(背もたれ)54とを備えており、載置面50Aと支持面54Aとで構成される角度が直角を成している。載置台50は支持板54の裏面側へも延出しており、延出した部分(延出部76)にはボルト74がねじ込み可能なねじ孔78が形成されている。また、載置台50の延出部76の反対側には、ねじ孔78に対応してボルト74がねじ込み可能なねじ孔78が形成されている。
【0031】
一方、脚体72は略長方形状の上板40及び下板42と上板40と下板42を連結する脚部44を備えており、上板40の上面には、側端面が略楔状の締結台80が設けられている。脚部44は上板40及び下板42の周縁部の角部及び中央部に配置され、隣り合う脚部44と脚部44の間には、隙間が設けられ挿入部48とされている。この挿入部48にフォークリフトやハンドリフトのフォークが挿入可能となっており、該フォークによって運搬部材68が持ち上げられるようになっている。
【0032】
また、締結台80の斜面に沿った両端部には、ボルト74がねじ込み可能なねじ孔82が形成されており、載置台50のねじ孔78に対応して設けられている。載置台50を締結台80に締結させた状態で、載置台50の載置面50Aは締結台80の上面の斜面に沿って傾斜することとなる。具体的には、支持板54は締結台80の頂部側に位置しており、支持板54の支持面54Aが斜め上方へ向かうように傾斜する。
【0033】
ところで、積層束12は内装紙16によって一体的に内装されている。以下、内装済みの積層束12を積層束58とする。なお、ここでは、1束の積層束12を図示したが、複数(例えば3束〜100束)の積層束12を一体的に内装しても良い。
【0034】
内装紙16は、所定の大きさとされた1枚の長方形状のクラフト紙に、所定の厚さの金属薄膜を貼着し、場合によってはさらにこの金属薄膜上に所定の厚さの樹脂層を貼り合わせて構成されている。
【0035】
一般に、感光性印刷版は感光性が高く、僅かな可視光波長帯域の光によって露光されても感光層に変化が生じるため、遮光する必要がある。また、感熱性印刷板も、当たる光の熱エネルギーによって感熱層が変質したり、反応進行によって感度変化が起こったりする場合があるため、適度な遮光を行うことが好ましい。
【0036】
さらに、急激な湿度変化や温度変化を受けると、いずれの印刷板も、感光層又は感熱層に結露が発生して変質したり、合紙14と接着されてしまったりする等の不都合があるため、防湿する必要が生じる。内装紙16は上記したように構成されることで一定の遮光性及び防湿性を有するため、平版印刷版10の感光層又は感熱層の変質が防止され、平版印刷版10は一定の品質に維持される。
【0037】
本実施形態では内装紙16の一例として、載置面50Aに載置された複数の積層束12を一体的に包装するのに十分な大きさとされたクラフト紙に、6〜7μmのアルミニウム箔が貼着されたものを使用している。
【0038】
なお、このアルミニウム箔に、10〜70μmの低密度ポリエチレン層を貼着したり、さらにこの低密度ポリエチレン層に、70μm程度の黒ポリエチレンフィルムを貼り合わせて、遮光性及び防湿性を高めた物を使用してもよい。また、内装紙16が一定の遮光性及び防湿性を発揮できれば、必ずしも低密度ポリエチレン層及び黒ポリエチレンフィルムが貼着されている必要はない。
【0039】
このような内装紙16によって積層束12が一体的に内装され、載置台50に載置された状態で、内装紙16の端部が図示しない粘着テープ等の固着手段によって、載置台50及び支持板54に固着される。
【0040】
そして、載置台50に載置された状態の積層束58の積層面(載置面50A側を除く3方向)に平板状の緩衝部材84を当てがい、リング状のストレッチフィルム38で載置台50、積層束58及び緩衝部材84を一体にした状態で、積層束58の側面を巻回して(いわゆる側面巻)、積層束58及び緩衝部材84を載置台50に固定する。
【0041】
緩衝部材84としては、ゴム板、発泡材、段ボール、厚紙、ハミカム構造紙等を使用することができる。また、ストレッチフィルム38として、材質LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)で自己粘着性のある、厚さ35μm、幅750mmのフィルムを伸び率200%で使用した。
【0042】
このように自己粘着性のある材料を使用すると、ストレッチフィルム38同士を重ね合わせた部分同士を、接着剤や留め具等を使用することなく互いに貼り着けた状態に維持できる。また、ストレッチフィルム38は、伸縮性のある材料で薄膜状に構成されており、降伏点を超えない範囲で引っ張られると、伸びきってしまうことなく一定値以上の収縮力で収縮する。
【0043】
このストレッチフィルム38を、積層束58が載置される載置台50の載置面50Aの全面にわたって巻回すようにする。これにより、ストレッチフィルム38の収縮力を、積層束58を載置面50Aの全面に渡って押圧する力として作用させることができ、積層束58を載置台50に強固に固定することができる。
【0044】
なお、ストレッチフィルム38は、伸長した状態で載置台50と積層束58とに巻回し可能であればその形状は限定されず、例えば、ロール状のストレッチフィルム38を複数回連続して載置台50と積層束58とに巻回してもよいし、1又は複数枚のシート状のストレッチフィルム38をそれぞれ載置台50と積層束58とに巻回してもよい。
【0045】
また、本発明の伸縮性フィルムとしても、上記したストレッチフィルム38に限定されない。すなわち、伸縮性を有することによって引き伸ばされた状態で収縮力を発揮し、積層束58を載置台50に固定することが可能であれば、材質、伸び率、大きさ等は限定されない。
【0046】
材質としては、例えば、主原料がポリ塩化ビニルでこれに可塑剤を添加したもの、ポリエチレンとポリ酢酸ビニルとで多層構成されたもの、主原料がポリエチレンのもの、上記したLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等を挙げることができる。
【0047】
次に、本実施形態の梱包構造30の作用を説明する。
【0048】
図1及び図2に示すように、載置台50に載置された状態の積層束58の積層面に緩衝部材84を当てがい、載置台50、積層束58及び緩衝部材84を一体にした状態でストレッチフィルム38で側面巻を行い、積層束58及び緩衝部材84を載置台50に固定している。
【0049】
これにより、図3に示すように、平版印刷版10に作用する収縮力(仮想線で示す)は緩衝部材84で緩和されることとなり、平版印刷版10に大きな収縮力が直接作用することはなく、平版印刷版10に歪みや変形が生じることを防止することができる。
【0050】
従って、感光や感熱によって現像した際に像がぼけたり、印刷した際にインクが不均一になる等の問題は生じない。つまり、本発明によれば、当て板120(図5参照)を使用することなく、積層束58を傷つけない状態で載置台50に固定することができる。
【0051】
また、図1及び図2に示すように、載置台50に積層束58が載置された状態でストレッチフィルム38が巻回され、ストレッチフィルム38の収縮力によって、積層束58と載置台50とが一体的に固定されるため、積層束58が載置台50に対して不用意にズレたり、載置台50から分離、脱落してしまうことがない。
【0052】
しかも、ストレッチフィルム38を載置台50、積層束58及び緩衝部材84に巻回すだけなので、容易に梱包できる。また、当て板120を必要としないため、積層束58が大サイズの平版印刷版10により構成されている場合でも、積層束58の梱包及び開梱作業時の負荷が軽減されると共に、積層束58を梱包するために必要となるリユース部材の量を減少させることができる。
【0053】
さらに、開梱時には、ストレッチフィルム38をカッターなどで切断して除去するだけで良いので、作業性も良い。また、ストレッチフィルム38を巻回して複数の積層束58を載置台50に固定することができるので、大量の平版印刷版10を少ない荷扱い回数で荷扱いできるようになる。
【0054】
ところで、一般的に平版印刷版10はサイズが多岐に渡るため、サイズを幾つかのゾーンに分け、数種類の載置台50で幾つかの製品サイズを兼用している。そのため、載置台50と積層束58の間には段差が生じ、ストレッチフィルム38による側面巻の締結方式においては、締結力低下をもたらす結果となってしまうが、該段差を埋めるように緩衝部材84を配置することで、締結力の低下を防止することができ、強固な締結を確保することができる。
【0055】
一方、載置台50の下部に脚体72が予め一体となった状態では、ストレッチフィルム38で載置台50と共に積層束58を巻回すとき脚体72が邪魔になったり、或いは、フォークリフト(運搬装置)などのフォーク(荷受部材)が挿入可能な脚体72の挿入部48がストレッチフィルム38によってふさがれてしまったり、いずれにしても作業性が悪い。
【0056】
このため、ストレッチフィルム38で積層束58、緩衝部材84及び載置台50を一体的に包装した後で、載置台50の下部に脚体72を固定することで、このような問題点を解決することができ、作業効率が向上する。
【0057】
また、締結台80を略楔状とし、載置台50を締結台80に締結させた状態で、載置台50及び支持板54を傾斜させ、積層束58を支持板54に立て掛け、積層束58の荷重を載置台50(積層束58の積層面を支持)及び支持板54(積層束58の印刷面を支持)の2面に分散させるようにすることで、梱包を解いた状態で、積層束58が不用意に倒れたり、ずり落ちたりしないようにすることができる。
【0058】
また、積層束58を構成する平版印刷版10の積層面を載置台50で支持させ、平版印刷版10の印刷面を支持板54に立て掛け、積層束58をいわゆる縦置き配置することで、平版印刷版10の枚数の多少に関わらず、梱包構造30全体としての高さを略一定にすることができる。このため、保管場所で平版印刷版10の上方に無駄なスペースを生じさせることなく、平版印刷版10を効率的に保管することができる。
【0059】
また、平版印刷版10は自重によって載置台50側の積層面を揃えた状態で載置されることになるので、例えば平版印刷版10を製版機に装填する作業が容易になる。
【0060】
なお、上記した梱包構造30はあくまで一例であり、本発明がこれらに限定されないことはもちろんである
例えば、上記した梱包構造30においても、積層束58はストレッチフィルム38によって完全に覆われることなく一部分が露出したものを示したが、積層束58がストレッチフィルム38によって完全に覆われるようにしてもよい。また、積層束58が運搬部材68に対して確実に固定されて不用意に位置ズレしたり脱落したりしないようになっていれば、部分的にのみストレッチフィルム38を巻回しても良い。
【0061】
さらに、ストレッチ包装以外にもシュリンク包装で積層束58を載置台50に固定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係る平版印刷版の梱包構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る平版印刷版の梱包構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る平版印刷版の梱包構造の作用を示す説明図である。
【図4】本発明の平版印刷版の内装済み積層束を示す断面図である。
【図5】従来の平版印刷版の梱包構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
10 平版印刷版
12 積層束
30 梱包構造
38 ストレッチフィルム(伸縮性フィルム)
50 載置台
54 支持板(背もたれ)
58 積層束
70 載置部
72 脚体
84 緩衝部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷版を積層した積層束の積層面を支持する載置台と、
前記載置台から立ち上がり前記積層束の印刷面を支持する背もたれと、
前記載置台に載置された前記積層束の3方の積層面に設けられ、弾性変形可能な緩衝部材と、
収縮力によって前記緩衝部材と前記積層束と前記載置台とを一体的に包装する伸縮性フィルムと、
前記載置台の下部が固定可能で、運搬装置の荷受部材が挿入可能な脚体と、
を有することを特徴とする平版印刷版の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−256639(P2006−256639A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74062(P2005−74062)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】