平角導線の絶縁膜の剥離方法
【課題】作業負担を軽減しつつ絶縁膜を剥離することができる平角導線の絶縁膜の剥離方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、平角導線10の絶縁膜14にレーザ光16を照射して絶縁膜14を剥離する平角導線10の絶縁膜14の剥離方法において、平角導線10の断面における角部は曲線形状または直線形状に形成され、レーザ光16を照射する前に、平角導線10の角部にレーザ光16を吸収する塗料28を付与すること、を特徴とする。
【解決手段】本発明の一態様は、平角導線10の絶縁膜14にレーザ光16を照射して絶縁膜14を剥離する平角導線10の絶縁膜14の剥離方法において、平角導線10の断面における角部は曲線形状または直線形状に形成され、レーザ光16を照射する前に、平角導線10の角部にレーザ光16を吸収する塗料28を付与すること、を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を照射して行う平角導線の絶縁膜の剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステータコアなどに巻かれる導線は、芯線の外周面にエナメル等の絶縁膜が形成されているが、各導線を電気的に接続する必要がある部分では絶縁膜を剥離して芯線を露出させる必要がある。このため、導線の絶縁膜は、導線をステータコアに装着する前にあらかじめ所定の箇所で剥離されている。
【0003】
そして、レーザ光を導線に照射して絶縁膜を剥離することが従来から行われている。例えば、図13に示すように、断面が四角形に形成された平角導線10において、芯線12の外周面を被覆している絶縁膜14を剥離する。このとき、図13(a)〜(e)に示すように、レーザ光16を平角導線10の第1面18、第2面20、第3面22、第4面24の各々の面に照射する。このとき、レーザ光16を各面に平行に移動させながら照射するが、平角導線10の断面における角部のR部分26ではレーザ光16の焦点が合わない。そのため、平角導線10のR部分26では絶縁膜14を剥離するために必要な熱量を絶縁膜14に加えることができず、図13(e)に示すように、4つのR部分26に絶縁膜14が残ってしまう。
【0004】
そのため、平角導線10のR部分26では、個別にレーザ光16の焦点の位置を調整しながら絶縁膜14を剥離することが別途必要になる。図13に示す例では、例えば、平角導線10の第4面24にレーザ光16を照射した後、第4面24の両端のR部分26の絶縁膜14を個別に剥離する工程(図13(f))と、さらに第2面20の両端のR部分26の絶縁膜14を個別に剥離する工程(図13(g))とを行うことが必要になる。したがって、平角導線10の絶縁膜14を剥離する工程としては、レーザ光16を平角導線10の第1面18、第2面20、第3面22、第4面24の各面に照射する前記の4つの工程と合わせて、最低でも合計6つの工程を行う必要がある。ゆえに、作業工程が多くなり、作業負担が増大してしまう。
【0005】
ここで、特許文献1には、エナメル電線の絶縁膜を剥離するために、レーザ光をエナメル電線に照射する前に、前処理を行う技術が開示されている。そして、前処理としては、エナメル電線の剥離部分を加熱する処理や、エナメル電線の剥離部分を水に浸漬する処理や、エナメル電線の剥離部分に絶縁膜に傷をつける処理などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−212109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、前処理によりエナメル電線の剥離部分においてレーザ光の吸熱性が高まるが、前記のようにエナメル電線の断面が四角形の場合にはR部分ではレーザ光の焦点が合わないため、レーザ光を十分に吸熱できないおそれがある。そのため、エナメル電線のR部分においてレーザ光を十分に吸熱させるために個別にレーザ光の焦点の位置を調整しながらレーザ光を照射したり、レーザ光の出力が高くなるように調整しながらレーザ光を照射する工程を行うことが必要になる。したがって、作業工程が多くなり、作業負担が増大してしまう。
【0008】
そこで、作業負担を軽減しつつ絶縁膜を剥離することができる平角導線の絶縁膜の剥離方法を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を剥離する平角導線の絶縁膜の剥離方法において、前記平角導線の断面における角部は曲線形状または直線形状に形成され、前記レーザ光を照射する前に、前記平角導線の前記角部に前記レーザ光を吸収する塗料を付与すること、を特徴とする。
【0010】
この態様によれば、レーザ光を照射する前に、平角導線の角部にレーザ光を吸収する塗料を付与するので、平角導線の角部にてレーザ光の吸収率が向上して入熱量を上げることができる。そのため、平角導線の各面に平行にレーザ光を移動させながらレーザ光を各面に照射するだけで角部の絶縁膜を剥離することができる。したがって、作業負担を軽減しつつ平角導線の角部にて絶縁膜を剥離することができる。
【0011】
上記態様においては、前記角部に付与された後の前記塗料の色は、三刺激値で表すと、X=7.16〜10.71、Y=7.33〜10.18、Z=8.49〜10.63であること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、平角導線の角部におけるレーザ光の反射率を低くすることができる。そのため、より確実に平角導線の角部にてレーザ光の吸収率が向上して入熱量を上げることができる。したがって、より確実に平角導線の角部にて絶縁膜を剥離することができる。
【0013】
上記態様においては、複数の前記平角導線を互いに隙間を空けて整列させて前記隙間に前記塗料を流し込むことにより、前記平角導線の前記角部に前記塗料を付与すること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、短時間で効率よく複数の平角導線の角部に塗料を付与することができる。そのため、平角導線の絶縁膜を剥離する作業工程の時間を短縮でき、作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る平角導線の絶縁膜の剥離方法によれば、作業負担を軽減しつつ絶縁膜を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】R部分に塗料を付与した平角導線の断面図である。
【図2】R部分に塗料を付与した平角導線の外観図である。
【図3】ペンで塗料を塗布する方法を示す図である。
【図4】レーザマーカなどの印刷装置で塗料を印刷する方法を示す図である。
【図5】平角導線を固定した型に塗料を流し込んで塗料を付与する方法を示す図である。
【図6】複数の平角導線に塗料を付与する方法を示す図である。
【図7】本実施例における平角導線の絶縁膜の剥離方法を示す工程図である。
【図8】塗料の色を選定するための評価結果を示す図である。
【図9】平角導線の絶縁膜の剥離状態に関する評価結果を示す図である。
【図10】R部分に塗料を付与しなかった場合のレーザ光の照射後の平角導線の外観を示す写真図である。
【図11】R部分に塗料を付与した場合のレーザ光の照射後の平角導線の外観を示す写真図である。
【図12】参考例におけるレーザ光の照射後の平角導線の外観を示す写真図である。
【図13】従来技術における平角導線の絶縁膜の剥離方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔前処理の説明〕
本実施例では、平角導線10にレーザ光16を照射する前に、前処理を行う。本実施例では、前処理として、平角導線10の断面(平角導線10の長手方向に対し垂直に交わる方向の断面)における角部に設けられた曲線形状(R形状)のR部分26の絶縁膜14に塗料28を付与する。図1はR部分26に塗料28を付与した平角導線10の断面図であり、図2はR部分26に塗料28を付与した平角導線10の第1面18側から見た平角導線10の外観図である。なお、平角導線10は、芯線12の外周面に絶縁膜14を被覆したものである。また、以下の本実施例の説明においては平角導線10の断面の角部に曲線形状のR部分26が形成されている例を挙げて説明を行うが、これに限定されず断面の角部がテーパ形状(直線形状)に形成されている例にも本実施例は適用できるものとする。
【0018】
図1と図2に示すように、平角導線10の長手方向について絶縁膜14を剥離する必要がある範囲内において、平角導線10のR部分26に塗料28を付与する。塗料28は、レーザ光16を吸収して透過させない性質を有する。図2では、図面の左側に平角導線10の先端部を示している。このような塗料28としては、平角導線10のR部分26に付与した後の色が反射率の低い濃淡色(例えば、黒色、青色、焦げ茶色など)となるものを使用する。なお、絶縁膜14の色は、例えば光沢がある茶色などとしている。また、平角導線10の断面において、塗料28を付与する範囲はR部分26が形成される範囲よりもやや大きくし、一例として、塗料28を付与する範囲をR部分26よりも両側に0.1mm広げた範囲とする。また、使用するレーザ光16は、特に限定されないが、グリーンレーザやCO2レーザやYAGレーザなどが考えられる。
【0019】
そして、平角導線10のR部分26への塗料28の付与方法としては、図3のように、ペン30(油性ペンなど)で塗料28を塗布する方法が考えられる。また、図4のように、レーザマーカ32などの印刷装置で塗料28を印刷する方法も考えられる。
【0020】
また、図5のように、平角導線10を固定した型34に塗料28を流し込む方法も考えられる。図5に示す型34は、平角導線10の第1面18,第2面20,第3面22,第4面24を固定するための固定部36,38,40,42が設けられている。そして、固定部36,38,40,42の間には各々、隙間44,46,48,50が設けられ、平角導線10を型34に固定したときに、この隙間44,46,48,50の部分に平角導線10のR部分26が位置するようになっている。そして、このような型34に平角導線10を固定し、隙間44,46,48,50に塗料28を流し込んで、その後、塗料28を乾燥させることにより、平角導線10の4つのR部分26に塗料28を付与することができる。
【0021】
また、図6のように、複数の平角導線10を互いに隙間52を空けて整列させ、塗料28を各々の隙間52に流し込んで、その後、塗料28を乾燥させる方法も考えられる。この方法によれば、短時間で効率よく複数の平角導線10のR部分26に塗料28を付与することができる。そのため、平角導線10の絶縁膜14を剥離する作業工程の時間を短縮でき、作業負担を軽減することができる。
【0022】
このように平角導線10のR部分26に塗料28を付与することにより、平角導線10のR部分26においてレーザ光16が塗料28に吸収され、絶縁膜14におけるレーザ光16の吸収率が向上して入熱量が上がる。そのため、平角導線10のR部分26において絶縁膜14が剥離し易くなる。
【0023】
したがって、図7(a)に示す平角導線10に対し、図7(b)に示すようにレーザ光16を第1面18に平行に移動させながら第1面18に照射することにより、第1面18の両端のR部分26における絶縁膜14も剥離できる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第1面18に繰り返し照射してもよい。これにより、図7(c)のような状態にすることができる。同様に、図7(d)に示すようにレーザ光16を第2面20に平行に移動させながら第2面20に照射することにより、第2面20の両端のR部分26における絶縁膜14も剥離でき、図7(e)のような状態にすることができる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第2面20に繰り返し照射してもよい。その後、図7(f)に示すようにレーザ光16を第3面22に平行に移動させながら第3面22に照射することにより、図7(g)のような状態にすることができる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第3面22に繰り返し照射してもよい。また、図7(h)に示すようにレーザ光16を第4面24に平行に移動させながら第4面24に照射することにより、図7(i)に示すように絶縁膜14を剥離して芯線12を露出させた状態にすることができる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第4面24に繰り返し照射してもよい。
【0024】
ゆえに、図7に示すように、平角導線10の第1面18にレーザ光16を照射する工程(図7(b),図7(c))、第2面20にレーザ光16を照射する工程(図7(d),図7(e))、第3面22にレーザ光16を照射する工程(図7(f),図7(g))、第4面24にレーザ光16を照射する工程(図7(h),図7(i))を行うだけで、平角導線10の絶縁膜14の剥離が完了する。このように、平角導線10のR部分26に塗料28を付与することにより、合計4つの工程で平角導線10の絶縁膜14の剥離が完了することができる。そのため、本実施例では、従来技術のような平角導線10のR部分26について個別に絶縁膜14を剥離するための工程は不要となり、作業負担を軽減することができる。
【0025】
〔塗料の色に関する説明〕
ここで、付与する塗料28の色を選定するための評価を行った。図8は、その評価結果を示す図である。図8では、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色と、平角導線10のR部分26に付与した後の塗料28の色と、平角導線10のR部分26の剥離の効果とを示している。なお、塗料28の色は、平角導線10のR部分26に付与した後においては絶縁膜14の色の影響を受けるため、平角導線10のR部分26に付与する前後において異なる。
【0026】
本評価では、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色を、黒色、青色、濃い青色、灰色、茶色とした。すると、平角導線10のR部分26に付与した後の塗料28の色は、各々、図8に示すようなXYZ表色系の三刺激値(JIS Z 8701に規定された色光の色測表示)で表わされるものとなった。なお、平角導線10のR部分26に塗料28を付与せずR部分26を絶縁膜14の色のままとした場合(図8において「付与なし」と表示)のXYZ表色系の三刺激値も示しておく。また、絶縁膜14の色は、光沢のある茶色とした。ここで、XYZ表色系の三刺激値の測定方法は、測色計(スガ試験機株式会社製)を用いて、C光源にて測定した。
【0027】
すると、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色を灰色、茶色とした場合は、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合と比較して、三刺激値の差異が小さくなった。これに対し、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色を黒色、青色、濃い青色とした場合は、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合と比較して、三刺激値の差異が大きくなった。
【0028】
そして、このように平角導線10のR部分26に塗料28を付与した後、前記の図7(b)〜(i)に示した工程に従って、平角導線10にレーザ光16を照射した。
すると、図8に示すように、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色が灰色や茶色の場合には、平角導線10のR部分26の絶縁膜14を剥離することができなかった。これに対し、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色が黒色や青色や濃い青色の場合には、平角導線10のR部分26の絶縁膜14を剥離することができた。
【0029】
以上のような結果から、平角導線10のR部分26に付与する塗料28の色としては、平角導線10のR部分26に付与した後の塗料28の色の三刺激値が、以下の数式で表わされる範囲内となるものが望ましいことが分かった。
【数1】
【0030】
〔評価結果の説明〕
図9は、本実施例のように前処理として平角導線10のR部分26に塗料28を付与したことによる効果を確認するため、平角導線10の絶縁膜14の剥離状態に関する評価結果を示す図である。図9には、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合(「前処理有り」と表記)と、平角導線10のR部分26に塗料28を付与した場合(「前処理無し」と表記)との評価結果を示す。
【0031】
図9に示すように、評価条件は、レーザ光16の種類はグリーンレーザとし、レーザ光16の波長は0.532μmとし、レーザ光16の出力は12Wとし、レーザ光16を繰り返し照射した回数は6回とした。なお、平角導線10のR部分26に塗料28を付与した場合において、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色は黒色とした。
【0032】
また、参考例として、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合において、2種類のレーザ光16を用いた例の評価も行った。参考例の評価条件は、レーザ光16の種類をCO2レーザとグリーンレーザの2種類とし、CO2レーザの波長を10.6μmとし、グリーンレーザの波長を0.532μmとした。また、CO2レーザの出力を30Wとし、グリーンレーザの出力を12Wとし、CO2レーザを繰り返し照射した回数を6回とし、グリーンレーザを繰り返し照射した回数を1回とした。
【0033】
すると、図10に示すように、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合には、平角導線10のR部分26を除く部分では絶縁膜14を剥離することができたが、R部分26に絶縁膜14が残ってしまった。そして、電気的な導通を得ることができなかった。
【0034】
これに対し、図11に示すように、平角導線10のR部分26に塗料28を付与した場合には、平角導線10の全体にわたって絶縁膜14を剥離することができ、R部分26の絶縁膜14も剥離することができた。そして、電気的な導通を得ることができた。このように、平角導線10のR部分26に個別にレーザ光16を照射する工程を行わなくても、R部分26の絶縁膜14も剥離することができるので、作業負担を軽減することができる。
【0035】
また、図12に示すように、参考例においても、平角導線10の全体にわたって絶縁膜14を剥離することができ、R部分26の絶縁膜14も剥離することができた。そして、電気的な導通を得ることができた。
しかしながら、参考例は、2種類のレーザ光16を照射することが必要であり、また、平角導線10のR部分26に個別にレーザ光16を照射する工程が必要であるため、作業負担が増大してしまう。
【0036】
〔本実施例の効果〕
以上のような本実施例によれば、レーザ光16を照射する前に、平角導線10の断面における角部に設けられたR部分26にレーザ光16が透過しない塗料28を付与するので、R部分26におけるレーザ光16の吸熱性が向上する。そのため、レーザ光16を平角導線10の各面に平行にレーザ光16を移動させながら照射することにより、R部分26の絶縁膜14も剥離することができる。したがって、平角導線10のR部分26にて個別にレーザ光16の焦点の位置を調整しながら絶縁膜14を剥離する必要がない。ゆえに、作業工程を少なくでき、作業負担を軽減しつつ絶縁膜14を剥離することができる。
【0037】
また、角部に設けられたR部分26に付与した後の塗料28の色を、三刺激値で表したときに、X=7.16〜10.71、Y=7.33〜10.18、Z=8.49〜10.63とすることにより、平角導線10のR部分26におけるレーザ光16の反射率を低くすることができる。そのため、より確実に平角導線10のR部分26にてレーザ光16の吸収率が向上して入熱量を上げることができる。したがって、より確実に平角導線10のR部分26にて絶縁膜14を剥離することができる。
【0038】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0039】
10 平角導線
14 絶縁膜
16 レーザ光
18 第1面
20 第2面
22 第3面
24 第4面
26 R部分
28 塗料
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を照射して行う平角導線の絶縁膜の剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステータコアなどに巻かれる導線は、芯線の外周面にエナメル等の絶縁膜が形成されているが、各導線を電気的に接続する必要がある部分では絶縁膜を剥離して芯線を露出させる必要がある。このため、導線の絶縁膜は、導線をステータコアに装着する前にあらかじめ所定の箇所で剥離されている。
【0003】
そして、レーザ光を導線に照射して絶縁膜を剥離することが従来から行われている。例えば、図13に示すように、断面が四角形に形成された平角導線10において、芯線12の外周面を被覆している絶縁膜14を剥離する。このとき、図13(a)〜(e)に示すように、レーザ光16を平角導線10の第1面18、第2面20、第3面22、第4面24の各々の面に照射する。このとき、レーザ光16を各面に平行に移動させながら照射するが、平角導線10の断面における角部のR部分26ではレーザ光16の焦点が合わない。そのため、平角導線10のR部分26では絶縁膜14を剥離するために必要な熱量を絶縁膜14に加えることができず、図13(e)に示すように、4つのR部分26に絶縁膜14が残ってしまう。
【0004】
そのため、平角導線10のR部分26では、個別にレーザ光16の焦点の位置を調整しながら絶縁膜14を剥離することが別途必要になる。図13に示す例では、例えば、平角導線10の第4面24にレーザ光16を照射した後、第4面24の両端のR部分26の絶縁膜14を個別に剥離する工程(図13(f))と、さらに第2面20の両端のR部分26の絶縁膜14を個別に剥離する工程(図13(g))とを行うことが必要になる。したがって、平角導線10の絶縁膜14を剥離する工程としては、レーザ光16を平角導線10の第1面18、第2面20、第3面22、第4面24の各面に照射する前記の4つの工程と合わせて、最低でも合計6つの工程を行う必要がある。ゆえに、作業工程が多くなり、作業負担が増大してしまう。
【0005】
ここで、特許文献1には、エナメル電線の絶縁膜を剥離するために、レーザ光をエナメル電線に照射する前に、前処理を行う技術が開示されている。そして、前処理としては、エナメル電線の剥離部分を加熱する処理や、エナメル電線の剥離部分を水に浸漬する処理や、エナメル電線の剥離部分に絶縁膜に傷をつける処理などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−212109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、前処理によりエナメル電線の剥離部分においてレーザ光の吸熱性が高まるが、前記のようにエナメル電線の断面が四角形の場合にはR部分ではレーザ光の焦点が合わないため、レーザ光を十分に吸熱できないおそれがある。そのため、エナメル電線のR部分においてレーザ光を十分に吸熱させるために個別にレーザ光の焦点の位置を調整しながらレーザ光を照射したり、レーザ光の出力が高くなるように調整しながらレーザ光を照射する工程を行うことが必要になる。したがって、作業工程が多くなり、作業負担が増大してしまう。
【0008】
そこで、作業負担を軽減しつつ絶縁膜を剥離することができる平角導線の絶縁膜の剥離方法を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を剥離する平角導線の絶縁膜の剥離方法において、前記平角導線の断面における角部は曲線形状または直線形状に形成され、前記レーザ光を照射する前に、前記平角導線の前記角部に前記レーザ光を吸収する塗料を付与すること、を特徴とする。
【0010】
この態様によれば、レーザ光を照射する前に、平角導線の角部にレーザ光を吸収する塗料を付与するので、平角導線の角部にてレーザ光の吸収率が向上して入熱量を上げることができる。そのため、平角導線の各面に平行にレーザ光を移動させながらレーザ光を各面に照射するだけで角部の絶縁膜を剥離することができる。したがって、作業負担を軽減しつつ平角導線の角部にて絶縁膜を剥離することができる。
【0011】
上記態様においては、前記角部に付与された後の前記塗料の色は、三刺激値で表すと、X=7.16〜10.71、Y=7.33〜10.18、Z=8.49〜10.63であること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、平角導線の角部におけるレーザ光の反射率を低くすることができる。そのため、より確実に平角導線の角部にてレーザ光の吸収率が向上して入熱量を上げることができる。したがって、より確実に平角導線の角部にて絶縁膜を剥離することができる。
【0013】
上記態様においては、複数の前記平角導線を互いに隙間を空けて整列させて前記隙間に前記塗料を流し込むことにより、前記平角導線の前記角部に前記塗料を付与すること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、短時間で効率よく複数の平角導線の角部に塗料を付与することができる。そのため、平角導線の絶縁膜を剥離する作業工程の時間を短縮でき、作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る平角導線の絶縁膜の剥離方法によれば、作業負担を軽減しつつ絶縁膜を剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】R部分に塗料を付与した平角導線の断面図である。
【図2】R部分に塗料を付与した平角導線の外観図である。
【図3】ペンで塗料を塗布する方法を示す図である。
【図4】レーザマーカなどの印刷装置で塗料を印刷する方法を示す図である。
【図5】平角導線を固定した型に塗料を流し込んで塗料を付与する方法を示す図である。
【図6】複数の平角導線に塗料を付与する方法を示す図である。
【図7】本実施例における平角導線の絶縁膜の剥離方法を示す工程図である。
【図8】塗料の色を選定するための評価結果を示す図である。
【図9】平角導線の絶縁膜の剥離状態に関する評価結果を示す図である。
【図10】R部分に塗料を付与しなかった場合のレーザ光の照射後の平角導線の外観を示す写真図である。
【図11】R部分に塗料を付与した場合のレーザ光の照射後の平角導線の外観を示す写真図である。
【図12】参考例におけるレーザ光の照射後の平角導線の外観を示す写真図である。
【図13】従来技術における平角導線の絶縁膜の剥離方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔前処理の説明〕
本実施例では、平角導線10にレーザ光16を照射する前に、前処理を行う。本実施例では、前処理として、平角導線10の断面(平角導線10の長手方向に対し垂直に交わる方向の断面)における角部に設けられた曲線形状(R形状)のR部分26の絶縁膜14に塗料28を付与する。図1はR部分26に塗料28を付与した平角導線10の断面図であり、図2はR部分26に塗料28を付与した平角導線10の第1面18側から見た平角導線10の外観図である。なお、平角導線10は、芯線12の外周面に絶縁膜14を被覆したものである。また、以下の本実施例の説明においては平角導線10の断面の角部に曲線形状のR部分26が形成されている例を挙げて説明を行うが、これに限定されず断面の角部がテーパ形状(直線形状)に形成されている例にも本実施例は適用できるものとする。
【0018】
図1と図2に示すように、平角導線10の長手方向について絶縁膜14を剥離する必要がある範囲内において、平角導線10のR部分26に塗料28を付与する。塗料28は、レーザ光16を吸収して透過させない性質を有する。図2では、図面の左側に平角導線10の先端部を示している。このような塗料28としては、平角導線10のR部分26に付与した後の色が反射率の低い濃淡色(例えば、黒色、青色、焦げ茶色など)となるものを使用する。なお、絶縁膜14の色は、例えば光沢がある茶色などとしている。また、平角導線10の断面において、塗料28を付与する範囲はR部分26が形成される範囲よりもやや大きくし、一例として、塗料28を付与する範囲をR部分26よりも両側に0.1mm広げた範囲とする。また、使用するレーザ光16は、特に限定されないが、グリーンレーザやCO2レーザやYAGレーザなどが考えられる。
【0019】
そして、平角導線10のR部分26への塗料28の付与方法としては、図3のように、ペン30(油性ペンなど)で塗料28を塗布する方法が考えられる。また、図4のように、レーザマーカ32などの印刷装置で塗料28を印刷する方法も考えられる。
【0020】
また、図5のように、平角導線10を固定した型34に塗料28を流し込む方法も考えられる。図5に示す型34は、平角導線10の第1面18,第2面20,第3面22,第4面24を固定するための固定部36,38,40,42が設けられている。そして、固定部36,38,40,42の間には各々、隙間44,46,48,50が設けられ、平角導線10を型34に固定したときに、この隙間44,46,48,50の部分に平角導線10のR部分26が位置するようになっている。そして、このような型34に平角導線10を固定し、隙間44,46,48,50に塗料28を流し込んで、その後、塗料28を乾燥させることにより、平角導線10の4つのR部分26に塗料28を付与することができる。
【0021】
また、図6のように、複数の平角導線10を互いに隙間52を空けて整列させ、塗料28を各々の隙間52に流し込んで、その後、塗料28を乾燥させる方法も考えられる。この方法によれば、短時間で効率よく複数の平角導線10のR部分26に塗料28を付与することができる。そのため、平角導線10の絶縁膜14を剥離する作業工程の時間を短縮でき、作業負担を軽減することができる。
【0022】
このように平角導線10のR部分26に塗料28を付与することにより、平角導線10のR部分26においてレーザ光16が塗料28に吸収され、絶縁膜14におけるレーザ光16の吸収率が向上して入熱量が上がる。そのため、平角導線10のR部分26において絶縁膜14が剥離し易くなる。
【0023】
したがって、図7(a)に示す平角導線10に対し、図7(b)に示すようにレーザ光16を第1面18に平行に移動させながら第1面18に照射することにより、第1面18の両端のR部分26における絶縁膜14も剥離できる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第1面18に繰り返し照射してもよい。これにより、図7(c)のような状態にすることができる。同様に、図7(d)に示すようにレーザ光16を第2面20に平行に移動させながら第2面20に照射することにより、第2面20の両端のR部分26における絶縁膜14も剥離でき、図7(e)のような状態にすることができる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第2面20に繰り返し照射してもよい。その後、図7(f)に示すようにレーザ光16を第3面22に平行に移動させながら第3面22に照射することにより、図7(g)のような状態にすることができる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第3面22に繰り返し照射してもよい。また、図7(h)に示すようにレーザ光16を第4面24に平行に移動させながら第4面24に照射することにより、図7(i)に示すように絶縁膜14を剥離して芯線12を露出させた状態にすることができる。なお、レーザ光16を往復移動させて、レーザ光16を第4面24に繰り返し照射してもよい。
【0024】
ゆえに、図7に示すように、平角導線10の第1面18にレーザ光16を照射する工程(図7(b),図7(c))、第2面20にレーザ光16を照射する工程(図7(d),図7(e))、第3面22にレーザ光16を照射する工程(図7(f),図7(g))、第4面24にレーザ光16を照射する工程(図7(h),図7(i))を行うだけで、平角導線10の絶縁膜14の剥離が完了する。このように、平角導線10のR部分26に塗料28を付与することにより、合計4つの工程で平角導線10の絶縁膜14の剥離が完了することができる。そのため、本実施例では、従来技術のような平角導線10のR部分26について個別に絶縁膜14を剥離するための工程は不要となり、作業負担を軽減することができる。
【0025】
〔塗料の色に関する説明〕
ここで、付与する塗料28の色を選定するための評価を行った。図8は、その評価結果を示す図である。図8では、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色と、平角導線10のR部分26に付与した後の塗料28の色と、平角導線10のR部分26の剥離の効果とを示している。なお、塗料28の色は、平角導線10のR部分26に付与した後においては絶縁膜14の色の影響を受けるため、平角導線10のR部分26に付与する前後において異なる。
【0026】
本評価では、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色を、黒色、青色、濃い青色、灰色、茶色とした。すると、平角導線10のR部分26に付与した後の塗料28の色は、各々、図8に示すようなXYZ表色系の三刺激値(JIS Z 8701に規定された色光の色測表示)で表わされるものとなった。なお、平角導線10のR部分26に塗料28を付与せずR部分26を絶縁膜14の色のままとした場合(図8において「付与なし」と表示)のXYZ表色系の三刺激値も示しておく。また、絶縁膜14の色は、光沢のある茶色とした。ここで、XYZ表色系の三刺激値の測定方法は、測色計(スガ試験機株式会社製)を用いて、C光源にて測定した。
【0027】
すると、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色を灰色、茶色とした場合は、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合と比較して、三刺激値の差異が小さくなった。これに対し、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色を黒色、青色、濃い青色とした場合は、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合と比較して、三刺激値の差異が大きくなった。
【0028】
そして、このように平角導線10のR部分26に塗料28を付与した後、前記の図7(b)〜(i)に示した工程に従って、平角導線10にレーザ光16を照射した。
すると、図8に示すように、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色が灰色や茶色の場合には、平角導線10のR部分26の絶縁膜14を剥離することができなかった。これに対し、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色が黒色や青色や濃い青色の場合には、平角導線10のR部分26の絶縁膜14を剥離することができた。
【0029】
以上のような結果から、平角導線10のR部分26に付与する塗料28の色としては、平角導線10のR部分26に付与した後の塗料28の色の三刺激値が、以下の数式で表わされる範囲内となるものが望ましいことが分かった。
【数1】
【0030】
〔評価結果の説明〕
図9は、本実施例のように前処理として平角導線10のR部分26に塗料28を付与したことによる効果を確認するため、平角導線10の絶縁膜14の剥離状態に関する評価結果を示す図である。図9には、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合(「前処理有り」と表記)と、平角導線10のR部分26に塗料28を付与した場合(「前処理無し」と表記)との評価結果を示す。
【0031】
図9に示すように、評価条件は、レーザ光16の種類はグリーンレーザとし、レーザ光16の波長は0.532μmとし、レーザ光16の出力は12Wとし、レーザ光16を繰り返し照射した回数は6回とした。なお、平角導線10のR部分26に塗料28を付与した場合において、平角導線10のR部分26に付与する前の塗料28の色は黒色とした。
【0032】
また、参考例として、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合において、2種類のレーザ光16を用いた例の評価も行った。参考例の評価条件は、レーザ光16の種類をCO2レーザとグリーンレーザの2種類とし、CO2レーザの波長を10.6μmとし、グリーンレーザの波長を0.532μmとした。また、CO2レーザの出力を30Wとし、グリーンレーザの出力を12Wとし、CO2レーザを繰り返し照射した回数を6回とし、グリーンレーザを繰り返し照射した回数を1回とした。
【0033】
すると、図10に示すように、平角導線10のR部分26に塗料28を付与しなかった場合には、平角導線10のR部分26を除く部分では絶縁膜14を剥離することができたが、R部分26に絶縁膜14が残ってしまった。そして、電気的な導通を得ることができなかった。
【0034】
これに対し、図11に示すように、平角導線10のR部分26に塗料28を付与した場合には、平角導線10の全体にわたって絶縁膜14を剥離することができ、R部分26の絶縁膜14も剥離することができた。そして、電気的な導通を得ることができた。このように、平角導線10のR部分26に個別にレーザ光16を照射する工程を行わなくても、R部分26の絶縁膜14も剥離することができるので、作業負担を軽減することができる。
【0035】
また、図12に示すように、参考例においても、平角導線10の全体にわたって絶縁膜14を剥離することができ、R部分26の絶縁膜14も剥離することができた。そして、電気的な導通を得ることができた。
しかしながら、参考例は、2種類のレーザ光16を照射することが必要であり、また、平角導線10のR部分26に個別にレーザ光16を照射する工程が必要であるため、作業負担が増大してしまう。
【0036】
〔本実施例の効果〕
以上のような本実施例によれば、レーザ光16を照射する前に、平角導線10の断面における角部に設けられたR部分26にレーザ光16が透過しない塗料28を付与するので、R部分26におけるレーザ光16の吸熱性が向上する。そのため、レーザ光16を平角導線10の各面に平行にレーザ光16を移動させながら照射することにより、R部分26の絶縁膜14も剥離することができる。したがって、平角導線10のR部分26にて個別にレーザ光16の焦点の位置を調整しながら絶縁膜14を剥離する必要がない。ゆえに、作業工程を少なくでき、作業負担を軽減しつつ絶縁膜14を剥離することができる。
【0037】
また、角部に設けられたR部分26に付与した後の塗料28の色を、三刺激値で表したときに、X=7.16〜10.71、Y=7.33〜10.18、Z=8.49〜10.63とすることにより、平角導線10のR部分26におけるレーザ光16の反射率を低くすることができる。そのため、より確実に平角導線10のR部分26にてレーザ光16の吸収率が向上して入熱量を上げることができる。したがって、より確実に平角導線10のR部分26にて絶縁膜14を剥離することができる。
【0038】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0039】
10 平角導線
14 絶縁膜
16 レーザ光
18 第1面
20 第2面
22 第3面
24 第4面
26 R部分
28 塗料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を剥離する平角導線の絶縁膜の剥離方法において、
前記平角導線の断面における角部は曲線形状または直線形状に形成され、
前記レーザ光を照射する前に、前記平角導線の前記角部に前記レーザ光を吸収する塗料を付与すること、
を特徴とする平角導線の絶縁膜の剥離方法。
【請求項2】
請求項1の平角導線の絶縁膜の剥離方法において、
前記角部に付与した後の前記塗料の色は、三刺激値で表すと、X=7.16〜10.71、Y=7.33〜10.18、Z=8.49〜10.63であること、
を特徴とする平角導線の絶縁膜の剥離方法。
【請求項3】
請求項1または2の平角導線の絶縁膜の剥離方法において、
複数の前記平角導線を互いに隙間を空けて整列させて前記隙間に前記塗料を流し込むことにより、前記平角導線の前記角部に前記塗料を付与すること、
を特徴とする平角導線の絶縁膜の剥離方法。
【請求項1】
平角導線の絶縁膜にレーザ光を照射して前記絶縁膜を剥離する平角導線の絶縁膜の剥離方法において、
前記平角導線の断面における角部は曲線形状または直線形状に形成され、
前記レーザ光を照射する前に、前記平角導線の前記角部に前記レーザ光を吸収する塗料を付与すること、
を特徴とする平角導線の絶縁膜の剥離方法。
【請求項2】
請求項1の平角導線の絶縁膜の剥離方法において、
前記角部に付与した後の前記塗料の色は、三刺激値で表すと、X=7.16〜10.71、Y=7.33〜10.18、Z=8.49〜10.63であること、
を特徴とする平角導線の絶縁膜の剥離方法。
【請求項3】
請求項1または2の平角導線の絶縁膜の剥離方法において、
複数の前記平角導線を互いに隙間を空けて整列させて前記隙間に前記塗料を流し込むことにより、前記平角導線の前記角部に前記塗料を付与すること、
を特徴とする平角導線の絶縁膜の剥離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−70483(P2012−70483A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210991(P2010−210991)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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