平面トラス構造
【課題】 高度な溶接技術を必要とせず、簡単な組み立て方法により、ほとんど偏芯しない平面トラス構造の提供。
【解決手段】 平行に配置された二以上の管状の弦材を有し、前記弦材の間に斜めに架設されている管状の斜材が複数設けられている平面トラス構造において、前記弦材が、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔とを有しており、前記斜材が、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔とを有しており、前記弦材と斜材が前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で高力ボルト接合ないしボルト接合されていることを特徴とする、平面トラス構造。
【解決手段】 平行に配置された二以上の管状の弦材を有し、前記弦材の間に斜めに架設されている管状の斜材が複数設けられている平面トラス構造において、前記弦材が、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔とを有しており、前記斜材が、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔とを有しており、前記弦材と斜材が前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で高力ボルト接合ないしボルト接合されていることを特徴とする、平面トラス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面トラス構造に関し、特に管状部材を用いた平面トラス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なトラスは、トラスを構成する部材およびトラスの各部材の接合方式により、次のように分類される。
【0003】
図5に示すようにトラスの上、下弦材を通しの鋼管41,42と斜材(ラチス材、43,44)を任意の角度で直接溶接した平面トラスが知られている。
【0004】
図7にその一部を示すように、トラスの上、下弦材(ここでは下弦材52のみを図示)を通しの鋼管としラチス材53,54の接合部は上、下弦材にガゼットプレート(ここでは下弦材のガゼットプレート55のみを図示)を溶接したもので、ガゼットプレートとラチス材とはボルト接合した平面トラスが知られている。
【0005】
図8に示す鋼管トラスの上、下弦材(ここでは下弦材62のみを図示)を通しの鋼管としラチス材63,64の接合部は上、下弦材に鞘管の接合金物(ここでは下弦材の接合金物65のみを図示)を用い金物と斜材(ラチス材)とはボルト接合した平面トラスが知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
図9に示す平面鋼管トラスの上、下弦材(ここでは上弦材71のみを図示)を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)73,74の接合部は扁平加工して斜材(ラチス材)の接続は接合補助部材75を介してボルト接合した平面トラスが知られている(例えば、特許文献2)。
【0007】
図14(b)に示す立体鋼管トラスの上、下弦材(ここでは上弦材81のみを図示)を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)83,84の接合部は扁平加工、ラチス材はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平である。各部材の軸芯を一致させるためライナー85で調整した立体トラスが知られている(例えば、特許文献4)。立体トラスにおいて削り出し等の複雑な加工等を使用せずに、鋼管をプレス、切断、穴明等容易な加工で可能な扁平加工方式が発案され、実用化されている(参考、図14(a)及び特許文献3)。
【0008】
立体トラス工法においては、立体を構成する多くの接合部材が各方向から一点の接合部に集中する(最大4方向からの弦材と同じく4方向からの斜材の部材交点)ため、非常に複雑な仕口になり、溶接による接合は実用的に困難であり、一般的ではない。そのために、部材交点に、通常、球形状のであるノードを設けるノード方式が一般的である。ここにおいて、ノード及びトラスを構成する直線部材である鋼管の両端がねじ込み方式の雄雌(ノード側がメスねじ部、鋼管端部側がオスねじ部)加工を要する(参考、図13)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004‐293266号公報
【特許文献2】特開平9‐279680号公報
【特許文献3】特開平3‐228935号公報
【特許文献4】特開昭51‐15516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5に示すようにトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)と溶接で接合する場合、次のような問題がある。
【0011】
円形鋼管の弦材41,42に円形鋼管の斜材(ラチス材)43,44を任意の角度で溶接するためにはラチス材の接合部が弦材の外形曲線に密着する必要がある。そのために接合する管の端面は3次元曲線となるよう精度の高い切断が必要である。
【0012】
トラスの節点は、集まる部材の軸芯が一点に介することが強度上必要である。しかしこのためにはラチス材相互が干渉して溶接が出来なくなるため、図6(a)に示すように間隔をあけると軸芯が一点に介せず偏芯するとその接続部にモーメント(図6(b))が発生し、捻じれ、歪曲がり等により破損しやすく強度的に充分な構造とはいえなかった。
【0013】
鋼管の溶接は管の外周全方位姿勢での溶接となり高度な溶接技術を要する。また軽鋼構造物(板厚が6mm以下)においては、板厚が薄いため特に高い溶接技術が必要である。
【0014】
斜材(ラチス材)の3次元曲線切断の精度が悪いと溶接によるひずみ発生に大きく影響し製品の精度管理が難しい。
【0015】
図7に示すようにトラスの上、下弦材にガゼットプレート55を溶接する場合、次のような問題がある。
【0016】
ガゼットプレートを弦材の鋼管に取付溶接するため位置調整が難しい。
【0017】
ガゼットプレートを弦材の鋼管に溶接すると溶接によるひずみ発生で角度調整が難しい。
【0018】
ガゼットプレートの穴位置と弦材までの寸法に誤差があると斜めに接合される斜材(ラチス材)との取り合いの穴位置があわずボルト接合出来ない問題がある。
【0019】
図8に示すようにトラスの上、下弦材と斜材(ラチス材)の接合を鞘管の接合金物65を用い金物と斜材(ラチス材)とはボルト接合する場合、次のような問題がある。
【0020】
接合金物が弦材の円形鋼管の外形に密着させる精度保持が難しく、弦材と金物に隙間が生じると応力が伝達されない。
【0021】
弦材とラチス材の接合部全個所に接合金物がつくので相当重たくなる。
【0022】
接合金物の費用が高くつく。
【0023】
図9に示すようにトラスの上、下弦材とラチスの接合部は扁平加工して斜材(ラチス材)の接続は接合補助部材75を介してボルト接合する場合、次のような問題がある。
【0024】
接合補助部材は、組立溶接され溶接によるひずみ発生で、弦材の接合部との密着性が保てない。
【0025】
弦材と斜材(ラチス材)の接合部、全個所に接合金物がつくので相当重たくなる。
【0026】
接合金物の費用が高くつく。
【0027】
図14(b)に示すようにトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし、斜材(ラチス材)との接合部は扁平加工、斜材(ラチス材)はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平。各部材の軸芯を一致させるためライナープレート材85で調整した場合、次のような問題がある。
【0028】
弦材と斜材(ラチス材)の接合部は、斜材(ラチス材)はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平して上、下弦材と接合するが、弦材とラチス材の軸芯を1点の介するため厚めの数枚のライナープレート材を入れて調整する。ライナープレート材をシャー切断するときねじれが発生して、部材相互が密着せず応力が十分伝達しない問題がある。
【0029】
図13のノード方式によれば、弦材と斜材(ラチス材)の接合部、全個所に接合金物がつくので相当重たくなる上に、ノード金物の費用が高くなるので問題がある。
【0030】
扁平加工方式による工法は偏芯問題、及び扁平部が水平であるために構造物としての外部荷重、特に水平荷重に対して変形量が通常工法より2〜3倍前後大きいという構造力学上の大きな問題点を内包している。また、乾式の平面トラス工法として、上記の立体トラス用扁平式接合方法を平面トラスに応用する方法も考えられる(参考、図12)。しかし、立体トラスの場合と同様の芯問題が存在する。
【0031】
本発明は、高度な溶接技術を必要とせず、簡単な組み立て方法により、ほとんど偏芯しない平面トラス構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明(1)は、平行に配置された二以上の管状の弦材を有し、
前記弦材の間に斜めに架設されている管状の斜材が複数設けられている平面トラス構造において、
前記弦材が、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔とを有しており、
前記斜材が、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔とを有しており、
前記弦材と斜材が前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で高力ボルト接合ないしはボルト接合されていることを特徴とする、平面トラス構造である。
【0033】
本発明(2)は、前記平面トラス構造の形成する平面と、全ての前記弦材扁平部及び斜材扁平部とが、互いに平行な平面を有することを特徴とする、前記発明(1)の平面トラス構造。
【0034】
本明細書において使用する各種用語の意味を説明する。「乾式接合」とは、溶接接合を使用しないで、切断、プレス、穴あけ等の乾式加工で行う工法を意味する。「扁平部」とは、管を押しつぶして平面状に形成した部分を意味する。
【発明の効果】
【0035】
本発明は以上のような構成からなるので次のような効果を奏することができる。
【0036】
本発明は、溶接接合トラスやボルト接合式立体トラスにおける、弦材および斜材(ラチス材)に作用する引張力または圧縮力が接合部の軸芯から偏芯する問題がなく、強度的に極めて優れた構造といえる。すなわち、従来の鋼管トラス(図7、図8、図9、図14(b))は、弦材、斜材(ラチス材)の軸芯を一致させるために、弦材、斜材の節点部を扁平して補助鋼板部材(ガセットプレート、52、62、75)や、特殊鋼製金物(図14(b)における85)等で調整されている。しかし、本発明に係る構造によれば、これらの部材を不要として、弦材、斜材に作用する引張力または圧縮力が弦材の軸芯と一致して偏芯を起こさない構造を特長とする。
【0037】
従来の軽鋼構造物(板厚が6mm以下)の溶接接合方式トラス工法は、溶接技能者の技量に品質が左右され所定の強度が担保できるか難しい問題があるが、各トラス節点による摩擦接合を行えば、ボルト径とボルト孔のクリアランスで組み立て寸法上の微調整が可能であり、トラス全体の寸法確保が容易となる。
【0038】
従来のような溶接作業、及びこれに伴うどぶ漬けめっき作業、金物類が不要になり低コスト化が図れる。
【0039】
弦材、斜材(ラチス材)の管サイズごとのに扁平金型治具を準備することで様々なトラス形式の標準化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明に係る平面トラスの平面図である。部材記号11はトラスの上弦材、12はトラスの下弦材、13、14は斜材(ラチス材)を示す。
【図2】図2は、本発明における、弦材とラチスの節点における扁平詳細を示す図である。斜材(ラチス材)13と斜材(ラチス材)14は上、下弦材11、12を挟みボルト締め付けで固定する。
【図3】図3は本発明における扁平された鋼管相互の接合を管軸に位置する接合孔を貫通する高力ボルト接合ないしは、ボルト接合される平面トラス構造(鋼管接合部扁平面水平式の構造)に係わる図である。
【図4】図4は本発明における扁平された鋼管相互の接合を管軸に位置する接合孔を貫通する高力ボルト接合ないしは、ボルト接合される平面トラス構造(鋼管接合部扁平面水平式)の接合部を示す図である。
【図5】図5は、従来技術における溶接接合方式トラスの平面図である。部材記号41はトラスの上弦材、42はトラスの下弦材、43,44は斜材(ラチス材)を示す。
【図6】図6は、従来技術における溶接接合方式トラスの偏芯状況を示す図である。図6(a)において“e”は軸芯ずれによる偏芯量を示す。図6(b)は偏芯により発生するモーメントを示す。
【図7】図7は、従来技術における弦材にガゼットプレート55を溶接したもので、ガゼットプレートと斜材(ラチス材)とはボルト接合されている様子を示す図である。
【図8】図8は、従来技術におけるトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)の接続は上、下弦材に鞘管接合金物65を用い金物とラチス材とはボルト接合されている様子を示す図である。
【図9】図9は、従来技術におけるトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)の接合部は扁平加工して斜材(ラチス材)の接続は接合補助部材75を介してボルト接合されている様子を示す図である。接合補助部材75は上、下弦材71とボルト接合する。
【図10】図10は、図5に示す従来技術における平面トラスの溶接接合部分詳細を示す図である。
【図11】図11は、従来技術におけるトラスの斜材(ラチス材)となる鋼管端部に鋼製の半球を溶接しスリットを入れ、それを弦材に溶接で取り付けたガセットプレートに溶接する方式を示す図である。
【図12】図12(a)は、従来技術における鋼管接合部扁平面水平式平面トラスの構造を示す図である。図12(b)は接合部の詳細を示す図であり、”e”は軸芯ずれによる偏芯量を表す。
【図13】図13は、従来技術におけるノード方式の立体トラスの構造を示す図である。
【図14】図14(a)は、従来技術における鋼管をプレス、切断、穴あけ等容易な加工で可能な扁平加工方式の立体トラスの構造を示す図である。図14(b)は、従来技術におけるトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)の接合部は扁平加工されている様子を示す図である。斜材(ラチス材)はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平されている。各部材の軸芯を一致させるためライナー材85で調整された立体トラスである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を図示する実態の形態に基づいて説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る平面トラス構造の第一態様を示す図である。本発明に係る平面トラス構造は、管状の上弦材11及び管状の下弦材12を有している。これらの上弦材11と下弦材12は平行に配置されている。また、上弦材11と下弦材12との間には、管状の斜材がこれらの間で斜めに複数架設されている(例えば、13,14)。これらの斜材は、上弦材及び下弦材の間に架設されており、これらの斜材と上弦材又は下弦材とこれらの接点を頂点とする三角形が形成されるように配設される。
【0043】
本発明に係る構造に用いられる上弦及び下弦は、以下の弦材から選択される。弦材は、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部17と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔171とを有している。このように管軸芯を含む平面を有する弦材扁平部を設けて、管軸芯上に位置する弦材接合孔を形成することにより、接合した際に少なくとも弦材の管軸芯上で接合点を形成することができる。また、これらの弦材に形成されている弦材扁平部17は、弦材を構成する管の中程に形成されていることが好適である。また当該扁平部は、等間隔に複数設けられていることが好適であり、これらの扁平部は同一平面上に形成されることが好適である。
【0044】
本発明に係る構造に用いられる斜材は、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部18と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔181とを有する。このように管軸芯を含む平面を有する斜材扁平部を設けて、管軸芯上に位置する斜材接合孔を形成することにより、接合した際に少なくとも弦材の管軸芯上で接合点を形成することができる。複数の前記斜材扁平部は、同一平面状に形成されていることが好適である。
【0045】
本発明に係る平面トラス構造では、前記弦材と斜材が、前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で、高力ボルト接合ないしはボルト接合されている。このように高力ボルト接合ないしはボルト接合することにより、当該平面トラス構造における接続部分では、弦材と斜材がその管軸芯で接合されることとなるので、偏芯しない平面トラス構造を得ることができる。より具体的には、前記接合孔を貫通するボルト15とナット16により接合されていることが好適である。このように、接合孔をより扁平部を互いに密着させてボルト・ナットで摩擦接合してもよい。図2に示す乾式接合トラスの接点の詳細は、相互の扁平部との肌合わせ部分(当接平面)が通し管方向に鉛直方向で密着する方式をとる。
【0046】
本発明に係る平面トラス構造は、平面トラス構造の形成する平面と、全ての前記弦材扁平部及び斜材扁平部とが、互いに平行な平面を有することで一特徴を有する。扁平された管材は、扁平部平面に垂直な方向に加わる力に対しては弱いが、扁平部平面に平行な方向に加わる力に対しては高い耐久性を発揮する。すなわち、このように各材料の扁平部の平面が平面トラス構造の形成する平面と平行な平面を有することにより、平面に対して平行な方向から力が加わった場合、極めて高い耐久性を発揮する。
【0047】
図3は、本発明に係る平面トラス構造の第二態様を示す図である。当該態様において平面トラス構造は、基本的に第一態様と同様の構成を有するが、上下左右方向に格子状に配された複数の管状の弦材21、22と、当該弦材の間を管状の斜材23、24により斜めに複数架設された構成を有する。図3に示すように、本発明に係る平面トラス構造は、弦材及び斜材によって三角形が形成されるように配設される。当該平面トラス構造では、弦材は、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部25と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔251とを有している。また、斜材は、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部26と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔261とを有している。また、斜材は、中間にも管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部27と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔271とを有していることが好適である。
【0048】
これらの弦材や斜材は、例えば図3の下部に示すように接合孔を貫通して、高力ボルト接合又はボルト接合される。このように鋼管接合部が扁平面水平式の構造で形成されることによって、平面方向の強度が増す。例えば、斜材と斜材が交差する点では、斜材の中間に形成された扁平部の接合孔により、接合されている。また、弦材と弦材の交差する点において、四方又は二方に延在する斜材を、弦材及び斜材の扁平部の接合孔によりボルト接合するボルト接合部28が形成されている。
【0049】
図4(a)及び図4(b)は、本発明に係る弦材及び斜材の別の接合方式を示した図である。図4(a)に示すように、弦材又は斜材を十字に重ねて、扁平部の接合孔でボルト接合してもよい。また、図4(b)に示すように、横方向に延在する弦材に対して、斜材を複数固定してもよい。このように如何なる方式で接合したとしても、本発明に係る接合孔を貫通するようにボルト接合されていれば、管材接合部の偏芯を起すことなく簡単に乾式接合することができる。
【0050】
本発明に係る弦材及び斜材の材質は特に限定されないが、例えば、黒皮鋼管、表面処理鋼管、塗装鋼管、ステンレス鋼管、アルミ管等各種の金属パイプが挙げられる。表面処理鋼管としては、どぶ漬けめっきや、注ぎがけめっき及びどぶ漬けめっきによる連続鋼管めっき、電気めっきなどにより、亜鉛めっきされた鋼管が好適である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る平面トラス構造は、土木・建築構造の一部として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
11:上弦材
12:下弦材
13,14:斜材
15:ボルト
16:ナット
17:弦材扁平部
171:弦材接合孔
18:斜材扁平部
181:斜材接合孔
【技術分野】
【0001】
本発明は平面トラス構造に関し、特に管状部材を用いた平面トラス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なトラスは、トラスを構成する部材およびトラスの各部材の接合方式により、次のように分類される。
【0003】
図5に示すようにトラスの上、下弦材を通しの鋼管41,42と斜材(ラチス材、43,44)を任意の角度で直接溶接した平面トラスが知られている。
【0004】
図7にその一部を示すように、トラスの上、下弦材(ここでは下弦材52のみを図示)を通しの鋼管としラチス材53,54の接合部は上、下弦材にガゼットプレート(ここでは下弦材のガゼットプレート55のみを図示)を溶接したもので、ガゼットプレートとラチス材とはボルト接合した平面トラスが知られている。
【0005】
図8に示す鋼管トラスの上、下弦材(ここでは下弦材62のみを図示)を通しの鋼管としラチス材63,64の接合部は上、下弦材に鞘管の接合金物(ここでは下弦材の接合金物65のみを図示)を用い金物と斜材(ラチス材)とはボルト接合した平面トラスが知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
図9に示す平面鋼管トラスの上、下弦材(ここでは上弦材71のみを図示)を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)73,74の接合部は扁平加工して斜材(ラチス材)の接続は接合補助部材75を介してボルト接合した平面トラスが知られている(例えば、特許文献2)。
【0007】
図14(b)に示す立体鋼管トラスの上、下弦材(ここでは上弦材81のみを図示)を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)83,84の接合部は扁平加工、ラチス材はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平である。各部材の軸芯を一致させるためライナー85で調整した立体トラスが知られている(例えば、特許文献4)。立体トラスにおいて削り出し等の複雑な加工等を使用せずに、鋼管をプレス、切断、穴明等容易な加工で可能な扁平加工方式が発案され、実用化されている(参考、図14(a)及び特許文献3)。
【0008】
立体トラス工法においては、立体を構成する多くの接合部材が各方向から一点の接合部に集中する(最大4方向からの弦材と同じく4方向からの斜材の部材交点)ため、非常に複雑な仕口になり、溶接による接合は実用的に困難であり、一般的ではない。そのために、部材交点に、通常、球形状のであるノードを設けるノード方式が一般的である。ここにおいて、ノード及びトラスを構成する直線部材である鋼管の両端がねじ込み方式の雄雌(ノード側がメスねじ部、鋼管端部側がオスねじ部)加工を要する(参考、図13)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004‐293266号公報
【特許文献2】特開平9‐279680号公報
【特許文献3】特開平3‐228935号公報
【特許文献4】特開昭51‐15516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5に示すようにトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)と溶接で接合する場合、次のような問題がある。
【0011】
円形鋼管の弦材41,42に円形鋼管の斜材(ラチス材)43,44を任意の角度で溶接するためにはラチス材の接合部が弦材の外形曲線に密着する必要がある。そのために接合する管の端面は3次元曲線となるよう精度の高い切断が必要である。
【0012】
トラスの節点は、集まる部材の軸芯が一点に介することが強度上必要である。しかしこのためにはラチス材相互が干渉して溶接が出来なくなるため、図6(a)に示すように間隔をあけると軸芯が一点に介せず偏芯するとその接続部にモーメント(図6(b))が発生し、捻じれ、歪曲がり等により破損しやすく強度的に充分な構造とはいえなかった。
【0013】
鋼管の溶接は管の外周全方位姿勢での溶接となり高度な溶接技術を要する。また軽鋼構造物(板厚が6mm以下)においては、板厚が薄いため特に高い溶接技術が必要である。
【0014】
斜材(ラチス材)の3次元曲線切断の精度が悪いと溶接によるひずみ発生に大きく影響し製品の精度管理が難しい。
【0015】
図7に示すようにトラスの上、下弦材にガゼットプレート55を溶接する場合、次のような問題がある。
【0016】
ガゼットプレートを弦材の鋼管に取付溶接するため位置調整が難しい。
【0017】
ガゼットプレートを弦材の鋼管に溶接すると溶接によるひずみ発生で角度調整が難しい。
【0018】
ガゼットプレートの穴位置と弦材までの寸法に誤差があると斜めに接合される斜材(ラチス材)との取り合いの穴位置があわずボルト接合出来ない問題がある。
【0019】
図8に示すようにトラスの上、下弦材と斜材(ラチス材)の接合を鞘管の接合金物65を用い金物と斜材(ラチス材)とはボルト接合する場合、次のような問題がある。
【0020】
接合金物が弦材の円形鋼管の外形に密着させる精度保持が難しく、弦材と金物に隙間が生じると応力が伝達されない。
【0021】
弦材とラチス材の接合部全個所に接合金物がつくので相当重たくなる。
【0022】
接合金物の費用が高くつく。
【0023】
図9に示すようにトラスの上、下弦材とラチスの接合部は扁平加工して斜材(ラチス材)の接続は接合補助部材75を介してボルト接合する場合、次のような問題がある。
【0024】
接合補助部材は、組立溶接され溶接によるひずみ発生で、弦材の接合部との密着性が保てない。
【0025】
弦材と斜材(ラチス材)の接合部、全個所に接合金物がつくので相当重たくなる。
【0026】
接合金物の費用が高くつく。
【0027】
図14(b)に示すようにトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし、斜材(ラチス材)との接合部は扁平加工、斜材(ラチス材)はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平。各部材の軸芯を一致させるためライナープレート材85で調整した場合、次のような問題がある。
【0028】
弦材と斜材(ラチス材)の接合部は、斜材(ラチス材)はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平して上、下弦材と接合するが、弦材とラチス材の軸芯を1点の介するため厚めの数枚のライナープレート材を入れて調整する。ライナープレート材をシャー切断するときねじれが発生して、部材相互が密着せず応力が十分伝達しない問題がある。
【0029】
図13のノード方式によれば、弦材と斜材(ラチス材)の接合部、全個所に接合金物がつくので相当重たくなる上に、ノード金物の費用が高くなるので問題がある。
【0030】
扁平加工方式による工法は偏芯問題、及び扁平部が水平であるために構造物としての外部荷重、特に水平荷重に対して変形量が通常工法より2〜3倍前後大きいという構造力学上の大きな問題点を内包している。また、乾式の平面トラス工法として、上記の立体トラス用扁平式接合方法を平面トラスに応用する方法も考えられる(参考、図12)。しかし、立体トラスの場合と同様の芯問題が存在する。
【0031】
本発明は、高度な溶接技術を必要とせず、簡単な組み立て方法により、ほとんど偏芯しない平面トラス構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明(1)は、平行に配置された二以上の管状の弦材を有し、
前記弦材の間に斜めに架設されている管状の斜材が複数設けられている平面トラス構造において、
前記弦材が、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔とを有しており、
前記斜材が、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔とを有しており、
前記弦材と斜材が前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で高力ボルト接合ないしはボルト接合されていることを特徴とする、平面トラス構造である。
【0033】
本発明(2)は、前記平面トラス構造の形成する平面と、全ての前記弦材扁平部及び斜材扁平部とが、互いに平行な平面を有することを特徴とする、前記発明(1)の平面トラス構造。
【0034】
本明細書において使用する各種用語の意味を説明する。「乾式接合」とは、溶接接合を使用しないで、切断、プレス、穴あけ等の乾式加工で行う工法を意味する。「扁平部」とは、管を押しつぶして平面状に形成した部分を意味する。
【発明の効果】
【0035】
本発明は以上のような構成からなるので次のような効果を奏することができる。
【0036】
本発明は、溶接接合トラスやボルト接合式立体トラスにおける、弦材および斜材(ラチス材)に作用する引張力または圧縮力が接合部の軸芯から偏芯する問題がなく、強度的に極めて優れた構造といえる。すなわち、従来の鋼管トラス(図7、図8、図9、図14(b))は、弦材、斜材(ラチス材)の軸芯を一致させるために、弦材、斜材の節点部を扁平して補助鋼板部材(ガセットプレート、52、62、75)や、特殊鋼製金物(図14(b)における85)等で調整されている。しかし、本発明に係る構造によれば、これらの部材を不要として、弦材、斜材に作用する引張力または圧縮力が弦材の軸芯と一致して偏芯を起こさない構造を特長とする。
【0037】
従来の軽鋼構造物(板厚が6mm以下)の溶接接合方式トラス工法は、溶接技能者の技量に品質が左右され所定の強度が担保できるか難しい問題があるが、各トラス節点による摩擦接合を行えば、ボルト径とボルト孔のクリアランスで組み立て寸法上の微調整が可能であり、トラス全体の寸法確保が容易となる。
【0038】
従来のような溶接作業、及びこれに伴うどぶ漬けめっき作業、金物類が不要になり低コスト化が図れる。
【0039】
弦材、斜材(ラチス材)の管サイズごとのに扁平金型治具を準備することで様々なトラス形式の標準化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明に係る平面トラスの平面図である。部材記号11はトラスの上弦材、12はトラスの下弦材、13、14は斜材(ラチス材)を示す。
【図2】図2は、本発明における、弦材とラチスの節点における扁平詳細を示す図である。斜材(ラチス材)13と斜材(ラチス材)14は上、下弦材11、12を挟みボルト締め付けで固定する。
【図3】図3は本発明における扁平された鋼管相互の接合を管軸に位置する接合孔を貫通する高力ボルト接合ないしは、ボルト接合される平面トラス構造(鋼管接合部扁平面水平式の構造)に係わる図である。
【図4】図4は本発明における扁平された鋼管相互の接合を管軸に位置する接合孔を貫通する高力ボルト接合ないしは、ボルト接合される平面トラス構造(鋼管接合部扁平面水平式)の接合部を示す図である。
【図5】図5は、従来技術における溶接接合方式トラスの平面図である。部材記号41はトラスの上弦材、42はトラスの下弦材、43,44は斜材(ラチス材)を示す。
【図6】図6は、従来技術における溶接接合方式トラスの偏芯状況を示す図である。図6(a)において“e”は軸芯ずれによる偏芯量を示す。図6(b)は偏芯により発生するモーメントを示す。
【図7】図7は、従来技術における弦材にガゼットプレート55を溶接したもので、ガゼットプレートと斜材(ラチス材)とはボルト接合されている様子を示す図である。
【図8】図8は、従来技術におけるトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)の接続は上、下弦材に鞘管接合金物65を用い金物とラチス材とはボルト接合されている様子を示す図である。
【図9】図9は、従来技術におけるトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)の接合部は扁平加工して斜材(ラチス材)の接続は接合補助部材75を介してボルト接合されている様子を示す図である。接合補助部材75は上、下弦材71とボルト接合する。
【図10】図10は、図5に示す従来技術における平面トラスの溶接接合部分詳細を示す図である。
【図11】図11は、従来技術におけるトラスの斜材(ラチス材)となる鋼管端部に鋼製の半球を溶接しスリットを入れ、それを弦材に溶接で取り付けたガセットプレートに溶接する方式を示す図である。
【図12】図12(a)は、従来技術における鋼管接合部扁平面水平式平面トラスの構造を示す図である。図12(b)は接合部の詳細を示す図であり、”e”は軸芯ずれによる偏芯量を表す。
【図13】図13は、従来技術におけるノード方式の立体トラスの構造を示す図である。
【図14】図14(a)は、従来技術における鋼管をプレス、切断、穴あけ等容易な加工で可能な扁平加工方式の立体トラスの構造を示す図である。図14(b)は、従来技術におけるトラスの上、下弦材を通しの鋼管とし斜材(ラチス材)の接合部は扁平加工されている様子を示す図である。斜材(ラチス材)はW型の連続折り曲げ形状でかつ、折り曲げ部は扁平されている。各部材の軸芯を一致させるためライナー材85で調整された立体トラスである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を図示する実態の形態に基づいて説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る平面トラス構造の第一態様を示す図である。本発明に係る平面トラス構造は、管状の上弦材11及び管状の下弦材12を有している。これらの上弦材11と下弦材12は平行に配置されている。また、上弦材11と下弦材12との間には、管状の斜材がこれらの間で斜めに複数架設されている(例えば、13,14)。これらの斜材は、上弦材及び下弦材の間に架設されており、これらの斜材と上弦材又は下弦材とこれらの接点を頂点とする三角形が形成されるように配設される。
【0043】
本発明に係る構造に用いられる上弦及び下弦は、以下の弦材から選択される。弦材は、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部17と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔171とを有している。このように管軸芯を含む平面を有する弦材扁平部を設けて、管軸芯上に位置する弦材接合孔を形成することにより、接合した際に少なくとも弦材の管軸芯上で接合点を形成することができる。また、これらの弦材に形成されている弦材扁平部17は、弦材を構成する管の中程に形成されていることが好適である。また当該扁平部は、等間隔に複数設けられていることが好適であり、これらの扁平部は同一平面上に形成されることが好適である。
【0044】
本発明に係る構造に用いられる斜材は、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部18と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔181とを有する。このように管軸芯を含む平面を有する斜材扁平部を設けて、管軸芯上に位置する斜材接合孔を形成することにより、接合した際に少なくとも弦材の管軸芯上で接合点を形成することができる。複数の前記斜材扁平部は、同一平面状に形成されていることが好適である。
【0045】
本発明に係る平面トラス構造では、前記弦材と斜材が、前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で、高力ボルト接合ないしはボルト接合されている。このように高力ボルト接合ないしはボルト接合することにより、当該平面トラス構造における接続部分では、弦材と斜材がその管軸芯で接合されることとなるので、偏芯しない平面トラス構造を得ることができる。より具体的には、前記接合孔を貫通するボルト15とナット16により接合されていることが好適である。このように、接合孔をより扁平部を互いに密着させてボルト・ナットで摩擦接合してもよい。図2に示す乾式接合トラスの接点の詳細は、相互の扁平部との肌合わせ部分(当接平面)が通し管方向に鉛直方向で密着する方式をとる。
【0046】
本発明に係る平面トラス構造は、平面トラス構造の形成する平面と、全ての前記弦材扁平部及び斜材扁平部とが、互いに平行な平面を有することで一特徴を有する。扁平された管材は、扁平部平面に垂直な方向に加わる力に対しては弱いが、扁平部平面に平行な方向に加わる力に対しては高い耐久性を発揮する。すなわち、このように各材料の扁平部の平面が平面トラス構造の形成する平面と平行な平面を有することにより、平面に対して平行な方向から力が加わった場合、極めて高い耐久性を発揮する。
【0047】
図3は、本発明に係る平面トラス構造の第二態様を示す図である。当該態様において平面トラス構造は、基本的に第一態様と同様の構成を有するが、上下左右方向に格子状に配された複数の管状の弦材21、22と、当該弦材の間を管状の斜材23、24により斜めに複数架設された構成を有する。図3に示すように、本発明に係る平面トラス構造は、弦材及び斜材によって三角形が形成されるように配設される。当該平面トラス構造では、弦材は、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部25と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔251とを有している。また、斜材は、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部26と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔261とを有している。また、斜材は、中間にも管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部27と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔271とを有していることが好適である。
【0048】
これらの弦材や斜材は、例えば図3の下部に示すように接合孔を貫通して、高力ボルト接合又はボルト接合される。このように鋼管接合部が扁平面水平式の構造で形成されることによって、平面方向の強度が増す。例えば、斜材と斜材が交差する点では、斜材の中間に形成された扁平部の接合孔により、接合されている。また、弦材と弦材の交差する点において、四方又は二方に延在する斜材を、弦材及び斜材の扁平部の接合孔によりボルト接合するボルト接合部28が形成されている。
【0049】
図4(a)及び図4(b)は、本発明に係る弦材及び斜材の別の接合方式を示した図である。図4(a)に示すように、弦材又は斜材を十字に重ねて、扁平部の接合孔でボルト接合してもよい。また、図4(b)に示すように、横方向に延在する弦材に対して、斜材を複数固定してもよい。このように如何なる方式で接合したとしても、本発明に係る接合孔を貫通するようにボルト接合されていれば、管材接合部の偏芯を起すことなく簡単に乾式接合することができる。
【0050】
本発明に係る弦材及び斜材の材質は特に限定されないが、例えば、黒皮鋼管、表面処理鋼管、塗装鋼管、ステンレス鋼管、アルミ管等各種の金属パイプが挙げられる。表面処理鋼管としては、どぶ漬けめっきや、注ぎがけめっき及びどぶ漬けめっきによる連続鋼管めっき、電気めっきなどにより、亜鉛めっきされた鋼管が好適である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る平面トラス構造は、土木・建築構造の一部として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
11:上弦材
12:下弦材
13,14:斜材
15:ボルト
16:ナット
17:弦材扁平部
171:弦材接合孔
18:斜材扁平部
181:斜材接合孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された二以上の管状の弦材を有し、
前記弦材の間に斜めに架設されている管状の斜材が複数設けられている平面トラス構造において、
前記弦材が、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔とを有しており、
前記斜材が、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔とを有しており、
前記弦材と斜材が前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で高力ボルト接合ないしはボルト接合されていることを特徴とする、平面トラス構造。
【請求項2】
前記平面トラス構造の形成する平面と、全ての前記弦材扁平部及び斜材扁平部とが、互いに平行な平面を有することを特徴とする、請求項1記載の平面トラス構造。
【請求項1】
平行に配置された二以上の管状の弦材を有し、
前記弦材の間に斜めに架設されている管状の斜材が複数設けられている平面トラス構造において、
前記弦材が、前記弦材の管軸芯上に位置する平面を有する弦材扁平部と、前記弦材扁平部に設けられている前記弦材の管軸芯上に位置する弦材接合孔とを有しており、
前記斜材が、少なくとも両端に前記斜材の管軸芯上に位置する平面を有する斜材扁平部と、前記斜材扁平部に設けられている前記斜材の管軸芯上に位置する斜材接合孔とを有しており、
前記弦材と斜材が前記弦材接合孔及び前記斜材接合孔で高力ボルト接合ないしはボルト接合されていることを特徴とする、平面トラス構造。
【請求項2】
前記平面トラス構造の形成する平面と、全ての前記弦材扁平部及び斜材扁平部とが、互いに平行な平面を有することを特徴とする、請求項1記載の平面トラス構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−26114(P2012−26114A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163859(P2010−163859)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(591285527)大和鋼管工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(591285527)大和鋼管工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]