説明

平面型表示装置の駆動方法

【課題】均一な発光状態を達成し得る平面型表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】第1電極(走査電極)及び第2電極(データ電極)を備えカソードパネルとアノードパネルから成り、第1電極と平行に延びるスペーサを備えた平面型表示装置の駆動方法にあっては、平面型表示装置の非表示動作時、スペーサ隣接電子放出領域を非表示駆動させて第1電流値Inearから正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、スペーサ非隣接電子放出領域を非表示駆動させて第2電流値Ifarから正規化第2電流値INor_farを求め、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサ隣接電子放出領域及びスペーサ非隣接電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)を例示することができる。また、電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置の開発も進められている。ここで、電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子とも呼ばれる)、表面伝導型電子放出素子が知られており、これらの冷陰極電子源から構成された電子放出素子を備えたカソードパネルを組み込んだ平面型表示装置は、高解像度、高輝度のカラー表示、及び、低消費電力の観点から注目を集めている。
【0003】
電子放出素子としての冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ平面型表示装置である冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)は、一般に、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)を備えたカソードパネルCPと、電界放出素子から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体領域を有するアノードパネルAPとが、高真空に維持された空間を介して対向配置され、カソードパネルCPとアノードパネルAPとが周縁部において接合部材を介して接合された構成を有する。ここで、カソードパネルCPは、2次元マトリクス状に配列された各サブピクセルに対応した電子放出領域を有し、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。電界放出素子として、スピント型、扁平型、エッジ型、平面型等を挙げることができる。
【0004】
一例として、スピント型電界放出素子を有する代表的な表示装置の模式的な一部端面図を図10に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図19に示す。この表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、支持体10に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。
【0005】
あるいは又、略平面状の電子放出部15Aを有する、所謂扁平型電界放出素子を有する表示装置の模式的な一部端面図を図18に示す。この電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された電子放出部15Aから構成されている。電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
【0006】
そして、絶縁層12及びゲート電極13の上には層間絶縁層16が設けられ、層間絶縁層16にはゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと連通する開口部(第3開口部14C)が設けられ、更には、層間絶縁層16上から第3開口部14Cの側壁に亙り、収束電極17が設けられている。尚、図18及び図19においては、層間絶縁層及び収束電極の図示を省略した。
【0007】
これらの表示装置において、カソード電極11はY方向に延びる帯状であり、ゲート電極13は、Y方向とは異なるX方向に延びる帯状である。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。帯状のカソード電極11と帯状のゲート電極13とが重複する重複領域が、電子放出領域EAであり、1サブピクセルに相当する。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域EF(平面型表示装置としての実用上の機能である表示機能を果たす中央の表示領域であり、無効領域NEが、この有効領域EFの外側に位置し、有効領域EFを額縁状に包囲している)内に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。
【0008】
一方、アノードパネルAPは、基板20上に所定のパターンを有する蛍光体領域22(具体的には、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、及び、青色発光蛍光体領域22B)が形成され、蛍光体領域22がアノード電極24で覆われた構造を有する。尚、これらの蛍光体領域22の間は、カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層(ブラックマトリックス)23で埋め込まれており、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止している。また、1サブピクセルを構成する蛍光体領域22のそれぞれは隔壁21によって囲まれており、隔壁21の平面形状は格子形状(井桁形状)である。尚、図中、参照番号40はスペーサを表し、参照番号26は接合部材を表す。図18及び図19においては、隔壁やスペーサの図示を省略した。
【0009】
1サブピクセルは、カソードパネル側の電子放出領域EAと、電子放出領域EAに対向(対面)したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域EFには、係る画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。カラー表示の表示装置においては、1画素(1ピクセル)は、赤色発光サブピクセル、緑色発光サブピクセル、及び、青色発光サブピクセルの組から構成されている。そして、アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体領域22とが対向するように配置し、周縁部において接合部材26を介して接合した後、排気し、封止することによって、表示装置を作製することができる。アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材26とによって囲まれた空間は高真空(例えば、1×10-3Pa以下)となっている。
【0010】
従って、アノードパネルAPとカソードパネルCPとの間にスペーサ40を配置しておかないと、大気圧によって表示装置が損傷を受けてしまう。尚、スペーサ40の側面には、通常、例えば、CrOxやCrAlxyから成る帯電防止膜(図面には図示せず)が形成されている。
【0011】
この表示装置の駆動にあっては、線順次駆動方式が屡々採用されている。ここで、線順次駆動方式とは、マトリクス状に交差する電極群の内の例えばゲート電極13を走査電極(本数:M)、カソード電極11をデータ電極(本数:N)とし、ゲート電極13を選択、走査し、カソード電極11への信号に基づき画像を表示させ、1画面を構成する方法である。そして、このような線順次駆動方式にあっては、各電子放出領域EAからの電子放出は、走査電極の選択時間、所謂走査電極のデューティ(Duty)期間だけ行われる。ここで、デューティ期間は、フレームのリフレッシュ時間(例えば60Hzの場合16.7ミリ秒)をMで除した秒数となる。
【0012】
より具体的には、カソード電極11には相対的に負電圧がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17には例えば0ボルトが収束電極制御回路33から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路34から印加される。そして、係る表示装置において表示を行う場合、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。カソード電極11及びゲート電極13に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15,15Aから電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体領域22に衝突する。その結果、蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この冷陰極電界電子放出表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及び、カソード電極11に印加される電圧によって制御される。
【0013】
ところで、スペーサ40の近傍に位置する電子放出領域EAから放出された電子がアノードパネルAPにおけるアノード電極24を通過し、蛍光体領域22に衝突すると、係る電子の一部は蛍光体領域22で後方散乱され、後方散乱電子の一部はスペーサ40に衝突する。その結果、スペーサ40に吸着していたガスが放出され、係るガスの分子等がスペーサ40の近傍に位置する電子放出領域EAを構成する電子放出部15,15Aの表面に付着し、あるいは、吸着し、電子放出部15,15Aにおける電子放出特性を劣化させるといった現象が生じる。そして、このような現象が生じると、スペーサ40の近傍に位置する電子放出領域EAからの電子放出量が低下し、その結果、スペーサ40の近傍に位置する蛍光体領域22における発光状態と、スペーサ40近傍には位置していない蛍光体領域22(スペーサ40から離れた位置に位置する蛍光体領域22)における発光状態とに間に差異が生じる。
【0014】
この状態を、模式的に図20の(A)に示す。尚、図20の(A)の縦軸[アノード電流相対値]は、各電子放出領域から放出された電子によって電子放出領域とアノード電極との間に流れるアノード電流の相対値であり、横軸は、Y方向に沿ったスペーサの近傍に位置する電子放出領域の位置を示す数字であり、数字が小さいほど、電子放出領域はスペーサの近くに位置する。図20の(A)から、スペーサの近傍に位置する電子放出領域から放出される電子の量は、スペーサから離れた所に位置する電子放出領域から放出される電子の量よりも少ないことが判る。
【0015】
また、電子放出領域からの電子の放出状態には経時変化が生じる。この状態を、模式的に図20の(B)に示す。尚、図20の(B)の縦軸[アノード電流相対値比]は、(スペーサの近傍に位置する電子放出領域から放出された電子によって電子放出領域とアノード電極との間に流れるアノード電流値)を(スペーサから十分に離れた電子放出領域から放出された電子によって電子放出領域とアノード電極との間に流れるアノード電流値)で除した値であり、横軸は、経過時間(単位:任意)である。図20の(B)から、時間の経過と共に、スペーサの近傍に位置する電子放出領域から放出された電子によって電子放出領域とアノード電極との間に流れるアノード電流の減少割合は、スペーサから十分に離れた電子放出領域から放出された電子によって電子放出領域とアノード電極との間に流れるアノード電流の減少割合よりも大きいことが判る。云い換えれば、時間が経過に従い、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出特性の変化割合と、スペーサから十分に離れた電子放出領域における電子放出特性における電子放出特性の変化割合とに差異が生じることが判る。
【0016】
【特許文献1】特表2004−534968
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、このような問題を解決するための手段が、例えば、特表2004−534968に開示されている。しかしながら、この特許公表公報には、スペーサの近傍に位置する蛍光体領域における発光状態と、スペーサの近傍には位置していない蛍光体領域における発光状態とにおける差異を、具体的にどのように小さくするかについて、何ら記載されていない。更には、電子放出領域からの電子の放出状態には経時変化が生じ得るが、係る経時変化を補正する具体的な手段についても、何ら記載されていない。
【0018】
従って、本発明の第1の目的は、スペーサの近傍に位置する蛍光体領域における発光状態と、スペーサの近傍には位置していない蛍光体領域における発光状態との間における差異を、出来る限り少なくし得る平面型表示装置の駆動方法を提供することにある。更には、本発明の第2の目的は、第1の目的に加え、電子放出領域からの電子の放出状態に経時変化が生じたとき、係る経時変化を補正し得る平面型表示装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の第1の目的を達成するための本発明の平面型表示装置の駆動方法は、
(A)第1の方向に延びるM本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成されたN×M個の電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)蛍光体領域及びアノード電極を備えたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合されており、
カソードパネルとアノードパネルとの間には、第1の方向に延びるスペーサが、P列、配置された平面型表示装置の駆動方法であって、
平面型表示装置の非表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inearを測定して正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、
スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifarを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定することを特徴とする。
【0020】
以下の説明において、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を、近接電子放出領域と呼ぶ場合があり、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を、非近接電子放出領域と呼ぶ場合がある。また、スペーサの近傍に位置する第1電極を、近接第1電極と呼ぶ場合があり、スペーサの近傍には位置していない第1電極を、非近接第1電極と呼ぶ場合がある。尚、スペーサとスペーサとによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極の本数をQ本とし、これらのQ本の第1電極の内、一方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR’本(R’≧1)とする。尚、Q,R,R’の値は、第1電極集合体において同じ値としてもよいし、第1電極集合体によって異なっていてもよい。
【0021】
ここで、平面型表示装置の非表示動作時とは、電子放出領域から実際に電子が放出されているが、平面型表示装置には、何ら、映像が表示されない状態、あるいは、実際の映像は表示されず、例えば、テストパターンや、「試験中」といった図形や文字が表示される状態を指す。尚、電子放出領域がこのような状態にあるとき、電子放出領域は非表示駆動させられている。また、平面型表示装置の実表示動作時とは、電子放出領域から実際に電子が放出されており、平面型表示装置に実際に映像が表示される状態、あるいは、表示されている状態を指す。近接電子放出領域(近接第1電極)とは、スペーサ1本当たり、且つ、スペーサによって区画される2つの領域の内の一方の領域に関して説明すると、スペーサに最も近接しているN個の電子放出領域(1本の第1電極)を意味する場合もあるし、スペーサに近接しているR×N個あるいはR’×N個の電子放出領域(R本あるいはR’本の第1電極)を意味する場合もある。尚、「N個の電子放出領域」という用語には、N個の電子放出領域を複数の電子放出領域に分割した状態も包含される。ここで、R,R’は、限定するものではないが、例えば、1乃至8のいずれかの正の整数(自然数)とすることができる。また、R=R’の場合もあるし、R≠R’の場合もあり得る。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をD0としたとき、スペーサから水平距離D0の2倍までの領域内に位置する第1電極の数をR0としたとき、R≦R0,R’≦R0とすることもできる。以下の説明においても同様である。あるいは又、R,R’の値は、平面型表示装置を試作し、スペーサの近傍に位置する蛍光体領域における発光状態と、スペーサの近傍には位置していない蛍光体領域における発光状態とにおける差異が、第2の方向に沿ってどの程度まで生じているかを調べて決定すればよい。また、非近接電子放出領域(非近接第1電極)とは、上述した近接電子放出領域(近接第1電極)以外の電子放出領域(あるいは第1電極)を指す。平面型表示装置の非表示動作時における電子放出領域の非表示駆動にあっては、平面型表示装置の実表示動作時における電子放出領域の表示駆動において最大の電流値が得られるような駆動条件と同じ駆動条件(例えば、第1電極に印加する電圧と第2電極に印加する電圧の差を最大とする)とすることが望ましいが、これに限定するものではない。
【0022】
平面型表示装置の非表示動作時、近接電子放出領域を非表示駆動させて、係る近接電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inearを測定して正規化第1電流値INor_nearを求めるが、具体的には、例えば、非表示駆動させられた近接電子放出領域の個数をα(最低、N個、あるいは又、R×N個、R’×N個)としたとき、
Nor_near=Inear/α
から求めることができるし、近接第1電極の本数をα’(最低1本、あるいは、R本、R’本)としたとき、
Nor_near=Inear/α’
から求めることができる。また、平面型表示装置の非表示動作時、非近接電子放出領域を非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifarを測定して正規化第2電流値INor_farを求めるが、具体的には、例えば、非表示駆動させられた非近接電子放出領域の個数をβ(最低、N個、あるいは又、(Q−R−R’)×N個)としたとき、
Nor_far=Ifar/β
から求めることができるし、非近接第1電極の本数をβ’(最低1本、あるいは又、(Q−R−R’)本)としたとき、
Nor_far=Ifar/β’
から求めることができる。但し、INor_near及びINor_farの求め方は、例示であり、適宜、変更することができ、例えば、
Nor_near=Inear
Nor_far =Ifar
とすることもできる。以下においても同様である。
【0023】
更には、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域における電子放出状態と、非近接電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように(具体的には、例えば、輝度が概ね同じとなるように)、電子放出領域の駆動条件を設定するが、具体的には、例えば、線順次駆動方式を採用し、第1電極を走査電極、第2電極をデータ電極とする場合であって、非近接電子放出領域を構成する第1電極に印加する電圧を一定値V1_farとし、電子放出領域を構成する第2電極に印加する電圧をビデオ信号に応じて可変の値V2とする場合、近接電子放出領域を構成する第1電極に印加する電圧(一定値)V1_nearは、以下の式(1)から求めることができる。ここで、式(1)中、γは3程度の値を有する定数であり、具体的には、種々の試験によって決定すればよい。
【0024】
γ・ln(V1_near/V1_far)=ln(INor_far/INor_near) (1)
【0025】
ここで、(INor_far/INor_near)の値、及び、係る値に対応するV1_nearの値を式(1)から求めて一種の参照テーブルとして平面型表示装置に備えられた記憶手段内に記憶させておけば、V1_nearの電圧値を電子放出領域に、周知の方法に基づき供給することができる。また、電子放出領域をパルス電圧によって駆動する場合、近接電子放出領域におけるパルス数を、非近接電子放出領域におけるパルス数の(INor_far/INor_near)×k倍(kは定数)とする方式を採用してもよいし、位相を制御する方式を採用してもよい。以上の説明は、以下において説明する種々の駆動方法の好ましい形態においても同様とすることができる。
【0026】
本発明の平面型表示装置の駆動方法にあっては、
スペーサとスペーサとによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極の本数をQ本とし、該Q本の第1電極の内、一方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR’本(R’≧1)としたとき、
一方のスペーサに最も近いところに位置する第1番目の第1電極から第R番目の第1電極まで、及び、第(Q−R’+1)番目の第1電極から第Q番目の第1電極まで、各第1電極毎に、該第1電極から構成された電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inear(r)(但し、r=1,2,・・・,R、及び、Q−R’+1,・・・,Q−1,Q)を測定して正規化第1電流値INor_near(r)を求め、且つ、
第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの第1電極によって構成された電子放出領域を、同時に、あるいは、順次、非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
スペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する各第1電極毎に、該第1電極から構成された電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する形態とすることができる。
【0027】
尚、このような本発明の平面型表示装置の駆動方法を、便宜上、本発明の平面型表示装置の駆動方法−Aと呼ぶ場合がある。ここで、電流値Inear(r)を個別に測定する。このような構成にすることで、例えば、より一層測定電流値が大きくなり、測定精度の一層の向上を図ることができる。
【0028】
本発明の平面型表示装置の駆動方法−Aにあっては、(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれにおいて第1電流値Inear(r)を測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear(r)の総計Inear_sum(r)から正規化第1電流値INor_near(r)を求め、且つ、各第1電極集合体からの(P−1)個の第2電流値Ifar_sumの総計Ifar_Gsumから正規化第2電流値INor_farを求める形態とすることができる。
【0029】
尚、このような本発明の平面型表示装置の駆動方法を、便宜上、本発明の平面型表示装置の駆動方法−A’と呼ぶ場合がある。ここで、電流値Inear(r)を個別に測定する。
【0030】
あるいは又、本発明の平面型表示装置の駆動方法にあっては、
スペーサとスペーサとによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極の本数をQ本とし、該Q本の第1電極の内、一方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR’本(R’≧1)としたとき、
一方のスペーサに最も近いところに位置する第1番目の第1電極から第R番目の第1電極まで、及び、第(Q−R’+1)番目の第1電極から第Q番目の第1電極までによって構成された電子放出領域を同時に非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inear_sumを測定して正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、
第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの第1電極によって構成された電子放出領域を同時に非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
スペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成するR本及びR’本の第1電極において、該第1電極から構成された電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する形態とすることができる。
【0031】
尚、このような本発明の平面型表示装置の駆動方法を、便宜上、本発明の平面型表示装置の駆動方法−Bと呼ぶ場合がある。ここで、電流値Inear(r)を同時に測定して第1電流値Inear_sumを得る。このような構成にすることで、より一層測定電流値が大きくなり、測定精度の一層の向上を図ることができる。
【0032】
本発明の平面型表示装置の駆動方法−Bにあっては、(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれにおいて第1電流値Inear_sumを測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear_sumの総計Inear_Gsumから正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、各第1電極集合体からの(P−1)個の第2電流値Ifar_sumの総計Ifar_Gsumから正規化第2電流値INor_farを求める形態とすることができる。
【0033】
尚、このような本発明の平面型表示装置の駆動方法を、便宜上、本発明の平面型表示装置の駆動方法−B’と呼ぶ場合がある。ここで、電流値Inear(r)を同時に測定して第1電流値Inear_sumを得る。
【0034】
以上に説明した好ましい形態を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法において、平面型表示装置の非表示動作時とは、平面型表示装置への電力供給開始(スイッチ・オン)から、所定の時間が経過するまでの期間(例えば、数秒程度)とすることができ、この場合、平面型表示装置の非表示動作が経過した後、平面型表示装置の実表示動作が開始する。そして、平面型表示装置の係る実表示動作において、平面型表示装置に備えられた記憶手段内に記憶された正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_far等に基づき、近接電子放出領域における電子放出状態と、非近接電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件が設定される。あるいは又、平面型表示装置の非表示動作時とは、平面型表示装置への電力供給終了(スイッチ・オフ)から、所定の時間が経過するまでの期間(例えば、数秒程度)とすることができ、この場合、平面型表示装置の非表示動作が経過した後、平面型表示装置の動作が完全に停止する。そして、平面型表示装置の次の実表示動作において、平面型表示装置に備えられた記憶手段内に記憶された正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_far等に基づき、近接電子放出領域における電子放出状態と、非近接電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件が設定される。
【0035】
電力供給開始(スイッチ・オン)時、あるいは、電力供給終了(スイッチ・オフ)時における正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_farの値を、電力供給開始(スイッチ・オン)毎、あるいは、電力供給終了(スイッチ・オフ)毎に平面型表示装置に備えられた記憶手段内に記憶し、これらのデータを累積して平均化することで、誤差を一層低いレベルまで低減させることも可能である。
【0036】
上記の好ましい形態を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法においては、
平面型表示装置の非表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、アノード電極に衝突する電子に基づく第1電流値Inearを測定し、且つ、
スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、アノード電極に衝突する電子に基づく第2電流値Ifarを測定する構成とすることができる。
【0037】
一般に、アノード電極を通過した電子によって蛍光体領域からの発光が生じる。しかしながら、所謂デッドボルテージ(発光閾値電圧)が存在し、アノード電極の厚さにも依存するが、通常、アノード電極に印加する電圧(アノード電圧)を2キロボルト〜5キロボルト以下に設定すれば、視認できる発光を抑制することができる。従って、平面型表示装置の非表示動作時のアノード電極への印加電圧をVA_testとしたとき、VA_testをデッドボルテージ以下に設定することで、即ち、アノード電極に印加するアノード電圧を2キロボルト〜5キロボルト以下に設定することで、あるいは又、平面型表示装置の実表示動作時のアノード電極への印加電圧をVAとするとき、0.05≦VA_test/VA≦0.5を満足することで、平面型表示装置には実質的に何ら画像が表示されない状態を得ることができる。アノード電極に衝突する電子に基づく第1電流値Inear、第2電流値Ifarを測定するが、具体的には、例えば、アノード電極を流れる電流(アノード電流)を測定すればよい。
【0038】
あるいは又、上記の好ましい形態を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法においては、
カソードパネルには、収束電極が更に備えられ、
平面型表示装置の非表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、収束電極に衝突する電子に基づく第1電流値Inearを測定し、且つ、
スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、収束電極に衝突する電子に基づく第2電流値Ifarを測定する構成とすることができ、これによって、平面型表示装置には実質的に何ら画像が表示されない。
【0039】
ここで、この場合、収束電極に印加する電圧VF_testとして、第1電極及び第2電極の内、収束電極に近い方の電極に印加される電圧の最大値に10ボルト乃至100ボルトを加えた電圧を例示することができる。収束電極に衝突する電子に基づく第1電流値Inear、第2電流値Ifarを測定するが、具体的には、例えば、収束電極を流れる電流を測定すればよい。また、この場合、アノード電極に印加するアノード電圧として、電子がアノード電極に到達できない電圧、例えば、0ボルトとすることが好ましい。
【0040】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法において、平面型表示装置の非表示動作時における電子放出領域の非表示駆動時間TOP_testは、平面型表示装置の実表示動作時における電子放出領域の表示駆動時間TOPよりも長い構成とすることができる。ここで、TOP_test/TOPの関係として、5≦TOP_test/TOP≦50を例示することができる。尚、表示駆動時間TOPは、デューティ期間に相当し、フレームのリフレッシュ時間(例えば60Hzの場合16.7ミリ秒)をMで除した秒数である。このように、非表示駆動時間TOP_testを表示駆動時間TOPよりも長くするといった低周波数での非表示駆動を行うことによって、測定電流値が大きくなり、測定精度の向上を図ることができるし、非表示駆動における駆動電流波形が鈍り、測定精度が低下するといった問題の発生を防止することができる。
【0041】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法において、
基準正規化第2電流値IInt_Nor_farを求めておき、
基準正規化第2電流値IInt_Nor_farと正規化第2電流値INor_far、及び、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する構成とすることができ、これによって上記の本発明の第2の目的を達成することができる。
【0042】
あるいは又、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法において、
基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearを求めておき、
基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearと正規化第1電流値INor_near、及び、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する構成とすることができ、これによって上記の本発明の第2の目的を達成することができる。
【0043】
基準正規化第2電流値IInt_Nor_far、基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearは、本発明の平面型表示装置の駆動方法−A、駆動方法−A’、駆動方法−B、駆動方法−B’を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法に基づき得ることができる。また、平面型表示装置の製造時における正規化第2電流値INor_farである基準正規化第2電流値IInt_Nor_farを予め求める構成と、平面型表示装置の製造時における正規化第1電流値INor_nearである基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearを予め求める構成を、組み合わせてもよい。
【0044】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の平面型表示装置の駆動方法(以下、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、カソードパネルを構成する支持体として、あるいは又、アノードパネルを構成する基板として、ガラス基板、表面に絶縁被膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁被膜が形成された石英基板、表面に絶縁被膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁被膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
【0045】
本発明におけるカソードパネルにおいては、第1電極の射影像と第2電極の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、平面型表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。
【0046】
本発明において、第2電極の本数(N)及び第1電極の本数(M)の値の組合せ(N,M)として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0047】
本発明において、電子放出領域を構成する電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子を挙げることができる。また、平面型表示装置として、冷陰極電界電子放出素子を備えた平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)、MIM素子が組み込まれた平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子が組み込まれた平面型表示装置を挙げることができる。
【0048】
ここで、平面型表示装置を、冷陰極電界電子放出素子(電界放出素子と略称する)を備えた冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電界放出素子は、
(a)支持体上に形成された帯状のカソード電極、
(b)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成された帯状のゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複部分に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられ、カソード電極及びゲート電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
から成り、
電子放出領域は、1又は複数の電界放出素子から構成されており、
ゲート電極が第1電極に相当し、カソード電極が第2電極に相当する形態、あるいは又、カソード電極が第1電極に相当し、ゲート電極が第2電極に相当する形態とすることができる。
【0049】
電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。カソードパネルにおいて、第1電極(ゲート電極あるいはカソード電極)と第2電極(カソード電極あるいはゲート電極)とが重複する重複部分(重複領域)が電子放出領域を構成し、電子放出領域が2次元マトリクス状に配列されており、各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
【0050】
そして、冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、実表示動作時、第1電極(ゲート電極あるいはカソード電極)及び第2電極(カソード電極あるいはゲート電極)に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体領域に衝突する。そして、蛍光体領域への電子の衝突の結果、蛍光体領域が発光し、画像として認識することができる。
【0051】
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。実表示動作時、アノード電極制御回路の出力電圧(アノード電圧VA)は、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をD0(但し、0.5mm≦D0≦10mm)としたとき、VA/D0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。冷陰極電界電子放出表示装置の実表示動作時、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式を採用することができる。
【0052】
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)全面(支持体及びカソード電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複部分(重複領域)におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
【0053】
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複部分(重複領域)におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
【0054】
本発明において、収束電極が備えられている場合、ゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている構造、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている構造とすることができる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルト以上のオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的に負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域に設けられた電子放出部あるいは電子放出領域のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部あるいは電子放出領域の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部あるいは電子放出領域の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部あるいは電子放出領域に共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極及び層間絶縁層には、開口部(第3開口部)が設けられている。
【0055】
ここで、有効領域とは、平面型表示装置としての実用上の機能である表示機能を果たす中央の表示領域であり、無効領域は、この有効領域の外側に位置し、有効領域を額縁状に包囲している。
【0056】
第1電極、第2電極、カソード電極、ゲート電極、収束電極の構成材料として、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属を含む各種の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法を含む物理的気相成長法(PVD法);各種の化学的気相成長法(CVD法);スクリーン印刷法;インクジェット印刷法;メタルマスク印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができるし、これらの方法とエッチング法との組合せを挙げることもできる。ここで、形成方法を適切に選択することで、直接、パターニングされた帯状の第1電極や第2電極、カソード電極、ゲート電極、収束電極を形成することが可能である。
【0057】
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、真空蒸着法の他、例えばスパッタリング法やCVD法によっても形成することができる。
【0058】
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。あるいは又、電子放出部を構成する材料として、係る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択してもよい。扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体(カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバー)、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y23ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In23ウィスカー、Al23ウィスカーを挙げることができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0059】
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。収束電極及び層間絶縁層に設けられた第3開口部の形成も同様の方法で行うことができる。
【0060】
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
【0061】
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体薄膜を形成してもよい。抵抗体薄膜を形成することによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体薄膜を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系抵抗体材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体抵抗体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物を例示することができる。抵抗体薄膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×106〜1×1011Ω、好ましくは数十ギガΩとすればよい。
【0062】
絶縁層、層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層、層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
【0063】
平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体領域の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体領域を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体領域を形成し、蛍光体領域上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体領域の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。尚、メタルバック膜をアノード電極と兼ねることもできる。
【0064】
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとはアノード電極抵抗体層によって電気的に接続されていることが好ましい。アノード電極抵抗体層を構成する材料として、カーボン、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。アノード電極抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数[UN]は2以上であればよく、例えば、直線状に配列された蛍光体領域の列の総数を[un]列としたとき、[UN]=[un]とし、あるいは、[un]=u・[UN](uは2以上の整数であり、好ましくは10≦u≦100、一層好ましくは20≦u≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配置されたスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上にアノード電極抵抗体層を形成してもよい。このように、アノード電極を有効領域のほぼ全面に亙って形成する代わりに、より小さい面積を有するアノード電極ユニットに分割した形で形成すれば、アノード電極ユニットと電子放出領域との間の静電容量を減少させることができる。その結果、放電の発生を低減することができ、放電に起因したアノード電極や電子放出領域の損傷の発生を効果的に減少させることができる。
【0065】
アノード電極をアノード電極ユニットから構成する場合であって隔壁(後述する)が形成されている場合、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面上に亙り形成されている形態とすることができる。尚、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面の途中まで形成されている形態であってもよい。
【0066】
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種のPVD法;各種のCVD法;スクリーン印刷法;メタルマスク印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料をPVD法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、アノード電極抵抗体層も、アノード電極と同様の、あるいは、類似した方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料からアノード電極抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこのアノード電極抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、アノード電極抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料のPVD法やスクリーン印刷法に基づく形成により、アノード電極抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至5×10-7m(0.5μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至3×10-7m(0.3μm)を例示することができる。
【0067】
アノード電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、アノード電極抵抗体層を形成する場合、アノード電極抵抗体層の抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、アノード電極抵抗体層をシリコンカーバイド(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)から構成することが好ましい。
【0068】
蛍光体領域のそれぞれは、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。蛍光体領域の配列様式は、例えば、ドット状である。具体的には、平面型表示装置がカラー表示の場合、蛍光体領域の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線状に配列された蛍光体領域の1列は、全てが赤色発光蛍光体領域で占められた列、緑色発光蛍光体領域で占められた列、及び、青色発光蛍光体領域で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体領域、緑色発光蛍光体領域、及び、青色発光蛍光体領域が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体領域とは、アノードパネル上において1つの輝点を生成する蛍光体の領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体領域、1つの緑色発光蛍光体領域、及び、1つの青色発光蛍光体領域の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体領域(1つの赤色発光蛍光体領域、あるいは、1つの緑色発光蛍光体領域、あるいは、1つの青色発光蛍光体領域)から構成される。尚、隣り合う蛍光体領域の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
【0069】
蛍光体領域は、発光性結晶粒子から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体領域を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体領域を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。あるいは又、赤色発光蛍光体ペースト、緑色発光蛍光体ペースト、青色発光蛍光体ペーストを順次、塗布した後、各蛍光体塗布領域を順次露光、現像して、各蛍光体領域を形成してもよいし、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体領域を形成してもよい。基板上における蛍光体領域の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。
【0070】
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体領域の間、あるいは、隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体領域からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
【0071】
蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された2次電子といった、所謂後方散乱電子が他の蛍光体領域に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。
【0072】
隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。
【0073】
隔壁における蛍光体領域を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリクス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリクス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
【0074】
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
【0075】
カソードパネルとアノードパネルとを周縁部において接合するが、接合は接着層から成る接合部材を用いて行ってもよいし、あるいは、棒状あるいはフレーム状(枠状)であってガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から構成された枠体と接着層とから成る接合部材を用いて行ってもよい。枠体と接着層とから成る接合部材を用いる場合には、枠体の高さを適宜選択することにより、接着層のみから成る接合部材を使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、B23−PbO系フリットガラスやSiO2−B23−PbO系フリットガラスといったフリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
【0076】
カソードパネルとアノードパネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネルのいずれか一方と接合部材とを接合し、第2段階でカソードパネル又はアノードパネルの他方と接合部材とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスとすることが好ましいが、大気中で行うこともできる。
【0077】
排気を行う場合、排気は、カソードパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチップ管とも呼ばれる排気管を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、カソードパネル及び/又はアノードパネルの無効領域に設けられた貫通部の周囲に、上述のフリットガラス又は低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、平面型表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
【0078】
各スペーサは、複数のスペーサ部材から構成されていてもよい。即ち、1列のスペーサは、1本のスペーサから構成されていてもよいし、複数のスペーサ部材から構成されていてもよい。後者の場合、1列のスペーサの軸線上に複数のスペーサ部材が配列される。スペーサ(スペーサ部材を包含する)は、例えばセラミックスやガラスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライト等のケイ酸アルミニウム化合物やアルミナ等の酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができるし、例えば、特表2003−524280号公報等に記載されている材料を用いることもできる。また、スペーサを構成するガラスとして、ソーダライムガラスを挙げることができる。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネル及び/又はカソードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
【0079】
スペーサは、例えば、
(a)セラミックス粉末、導電性付与材料粉末を分散質とし、バインダーを添加してグリーンシート用スラリーを調製し、
(b)グリーンシート用スラリーを成形して、グリーンシートを得、その後、
(c)グリーンシートを焼成する、
ことにより製造することができる。グリーンシート焼成品を切断した後、後述する帯電防止膜を形成してもよいし、グリーンシート焼成品に帯電防止膜を形成した後、係るグリーンシート焼成品を切断してもよい。
【0080】
グリーンシート用スラリーの分散質となるセラミックス粉末を構成する材料として、上述したセラミックスを挙げることができる。尚、グリーンシート用スラリーの分散質となる導電性付与材料は、グリーンシート用スラリー内にあっては、必ずしも導電性を示さなくてもよい。導電性付与材料は、グリーンシートの焼成の際に化学的組成が変化するものであってもよいし、焼成により化学的組成が変化しないものであってもよい。具体的には、グリーンシートを焼成することにより、グリーンシート内の導電性付与材料も焼成されるが、焼成された導電性付与材料が導電性を示すものであればよい。グリーンシート用スラリーの分散質となる導電性付与材料として、例えば、金や白金等の貴金属;モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物、ニッケル酸化物等の金属酸化物;チタン炭化物、タングステン炭化物、ニッケル炭化物等の金属炭化物;モリブデン酸アンモニウム等の金属塩を挙げることができる。更には、これらの混合物であってもよい。即ち、導電性付与材料は、単一の種類の材料から成る態様であってもよいし、複数の種類の材料から成る態様であってもよい。また、グリーンシート用スラリーに添加されるバインダーを構成する材料として、有機系バインダー材料(例えば、アクリル系エマルジョンやポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール)あるいは無機系バインダー材料(例えば、水ガラス)を挙げることができる。
【0081】
スペーサの表面には、帯電防止膜が設けられていることが好ましい。帯電防止膜を構成する材料は、その2次電子放出係数が1に近いことが好ましく、帯電防止膜を構成する材料として、グラファイト等の半金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、硫化物、及び、窒化物等を用いることができる。より具体的には、例えば、グラファイト等の半金属及びMoSe2等の半金属元素を含む化合物、CrOx、CrAlxy、Nd23、LaxBa2-xCuO4、LaxBa2-xCuO4、Lax1-xCrO3等の酸化物、AlB2、TiB2等のホウ化物、SiC等の炭化物、MoS2、WS2等の硫化物、及び、BN、TiN、AlN等の窒化物等を挙げることができるし、更には、例えば、特表2004−500688号公報等に記載されている材料等を用いることもできる。帯電防止膜は、単一の種類の材料から成るものであってもよいし、複数の種類の材料から成るものであってもよいし、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。帯電防止膜を(第1の金属酸化物,第2の金属酸化物)の混合物から構成することもできる。(第1の金属酸化物,第2の金属酸化物)の組み合わせとして、(クロム酸化物,チタン酸化物)、(クロム酸化物,インジウム酸化物)、(マンガン酸化物,チタン酸化物)、(マンガン酸化物,インジウム酸化物)、(亜鉛酸化物,チタン酸化物)あるいは(亜鉛酸化物,インジウム酸化物)を挙げることができる。帯電防止膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等、周知の方法により形成することができる。帯電防止膜は、スペーサの側面部上に直接設けられていてもよいし、例えば、密着性改善用等の下地膜がスペーサの上に形成されており、下地膜の上に帯電防止膜が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0082】
本発明の平面型表示装置の駆動方法にあっては、平面型表示装置の非表示動作時の正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_farを求め、これらの正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_farに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域における電子放出状態と、非近接電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する。それ故、平面型表示装置におけるスペーサの近傍に位置する蛍光体領域での発光状態とスペーサの近傍に位置していない蛍光体領域での発光状態との差異を出来る限り少なくすることができ、輝度の均一性に優れた高表示品質の平面型表示装置を提供することができる。しかも、測定電流値が大きくなり、測定精度の向上を図ることができ、高精度の補正を行うことが可能となるし、表示期間以外に行うので、表示に障害が生じることがない。更には、簡易的な電流計やラインメモリーが使えるため、平面型表示装置の製造コストへの影響が小さい。また、基準正規化第2電流値IInt_Nor_farあるいは基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearを予め求めておくことで、電子放出領域からの電子の放出状態に経時変化が生じた場合であっても、係る経時変化を、容易に、且つ、確実に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、それに先立ち、実施例1〜実施例9における平面型表示装置の共通した概要を、以下、説明する。ここで、実施例1〜実施例9における平面型表示装置は、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)である。実施例1〜実施例9における表示装置にあっては、第1の方向に延びる帯状の第1電極(例えば走査電極)はゲート電極13から構成され、第2の方向に延びる帯状の第2電極(例えばデータ電極)はカソード電極11から構成されている。
【0084】
実施例1〜実施例9における表示装置は、第2の方向(図面におけるY方向を参照)に沿った表示装置の模式的な一部端面図である図6〜図11に示すように、
(A)第1の方向(図面におけるX方向参照)に延びるM本の帯状の第1電極(ゲート電極13)、及び、第1の方向とは異なる第2の方向(図面におけるY方向参照)に延びるN本の帯状の第2電極(カソード電極11)を備え、第1電極(ゲート電極13)と第2電極(カソード電極11)との重複領域から構成されたN×M個の電子放出領域EAを有するカソードパネルCP、並びに、
(B)蛍光体領域22及びアノード電極24を備えたアノードパネルAP、
から成り、カソードパネルCPとアノードパネルAPとがそれらの周縁部で接合部材26を介して接合されている。
【0085】
ここで、実施例1〜実施例9における表示装置は、有効領域EF、及び、有効領域EFを取り囲む無効領域NEを有する。尚、有効領域EFとは、表示装置としての実用上の画像表示機能を果たす略中央に位置する表示領域であり、この有効領域EFは、額縁状に包囲する無効領域NEによって囲まれている。そして、カソードパネルCPとアノードパネルAPと接合部材26とによって挟まれた空間は真空(圧力:例えば10-3Pa以下)に保持されている。カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのアノードパネルAP及びカソードパネルCPの一部分の模式的な部分的分解斜視図は、基本的に、図19に示したと同様である。
【0086】
実施例1〜実施例9において、電子放出領域を構成する電界放出素子は、例えば、スピント型電界放出素子から構成されている。スピント型電界放出素子は、
(a)支持体10に形成されたカソード電極(第2電極)11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極(第1電極)13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複部分に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15、
から構成されている。ここで、電子放出部15の形状は円錐形である。
【0087】
あるいは又、実施例1〜実施例9にあっては、電子放出素子は、例えば扁平型電界放出素子から構成されている。即ち、扁平型電界放出素子は、図18に示したように、
(a)支持体10上に形成されたカソード電極(第2電極)11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成されたゲート電極(第1電極)13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複部分に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15A、
から構成されている。ここで、電子放出部15Aは、例えば、マトリックスに一部分が埋め込まれた多数のカーボン・ナノチューブから構成されている。
【0088】
カソードパネルCPにおいて、カソード電極11は第2の方向(図面におけるY方向参照)に延びる帯状であり、ゲート電極13は、第2の方向とは異なる第1の方向(図面におけるX方向参照)に延びる帯状である。カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極11,13の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されている。1サブピクセルに相当する電子放出領域EAには複数の電界放出素子が設けられており、1サブピクセルに相当する電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域EF内に、2次元マトリクス状に配列されている。
【0089】
また、図9〜図11に示すように、表示装置によっては、絶縁層12及びゲート電極13上には層間絶縁層16が設けられており、更には、収束電極17が、電子放出領域EAを取り囲むように層間絶縁層16上に設けられており、複数の電子放出領域EAに共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極17及び層間絶縁層16には、第3開口部14Cが設けられている。
【0090】
カソードパネルCPの無効領域NEには、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔には、真空排気後に封じ切られるチップ管とも呼ばれる排気管(図示せず)が取り付けられている。
【0091】
実施例1〜実施例9における表示装置においては、図6あるいは図9に示すように、アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された蛍光体領域22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、アノード電極24から構成されている。そして、蛍光体領域22と蛍光体領域22との間の基板20上には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。アノード電極24は、厚さ約0.3μmのアルミニウム(Al)から成り、有効領域EFを覆う薄い1枚のシート状であり、蛍光体領域22を覆う状態で設けられている。
【0092】
あるいは又、実施例1〜実施例9における表示装置においては、図7あるいは図10に示すように、アノードパネルAPにおいて、各蛍光体領域22を取り囲む格子状の隔壁21が基板20上に形成されている構成、構造とすることもできる。ここで、1画素(1ピクセル)は、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、及び、青色発光蛍光体領域22Bから構成されており、1サブピクセルは、蛍光体領域22から構成されている。そして、各蛍光体領域22は、隔壁21によって囲まれている。格子状の隔壁21における蛍光体領域22を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)は、矩形形状(長方形)であり、これらの平面形状(開口領域の平面形状)は2次元マトリクス状(より具体的には、井桁)に配列され、格子状の隔壁21が形成されている。
【0093】
あるいは又、実施例1〜実施例9における表示装置においては、図8あるいは図11に示すように、アノード電極24は、各蛍光体領域22を覆い、且つ、隔壁21の側面まで延びているが、隔壁21の頂面にはアノード電極24は形成されていない構成、構造とすることもできる。即ち、アノード電極24は、複数の(より具体的には、サブピクセルに対応した)アノード電極ユニット24Aから構成されている。尚、隣接するアノード電極ユニット24A間は、アノード電極抵抗体層27によって電気的に接続されている。
【0094】
実施例1〜実施例9における表示装置の隔壁21とスペーサ40と蛍光体領域22の配置状態の一例を模式的に図12〜図17に示す。尚、図7、図8、図10、図11に示す表示装置における蛍光体領域等の配列を、図13あるいは図15に示す構成としている。また、図12〜図17においてはアノード電極の図示を省略している。隔壁21の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1サブピクセルに相当する、例えば平面形状が略矩形の蛍光体領域22の四方を取り囲む形状(図12、図13、図14、図15参照)、あるいは、略矩形の(あるいは帯状の)蛍光体領域22の対向する二辺と平行に延びる帯状形状を挙げることができる(図16及び図17参照)。尚、図16に示す蛍光体領域22にあっては、蛍光体領域22R,22G,22Bを、図16の上下方向に延びる帯状とすることもできる。隔壁21の一部は、スペーサ40を保持するためのスペーサ保持部としても機能する。尚、図6〜図11において、スペーサ保持部の図示は省略している。
【0095】
そして、実施例1〜実施例9における表示装置にあっては、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間に、第1の方向(図面におけるX方向参照)に延びる平板状のスペーサ40が、P列(具体的には、20インチ型の表示装置にあっては、7本)、配置されている。また、スペーサ40とスペーサ40とによって、Q本(=90本)の第1電極(ゲート電極13)が挟まれている。即ち、スペーサ40は、図6〜図11にあっては、第1の方向(X方向であり、紙面垂直方向)に沿って延びている。スペーサ40、あるいは、スペーサを構成するスペーサ部材は、アルミナ(Al23,純度99.8重量%)から成り、スペーサ40(あるいはスペーサ部材)の頂面と底面との間の抵抗値は、約1×1010Ω(約10GΩ,比抵抗値では約6×107Ω・m)である。また、スペーサ40(あるいはスペーサ部材)の側面には、RFスパッタリング法に基づき、厚さ4nmの酸化クロム(CrOx)から成る帯電防止膜(図示せず)が形成されている。酸化クロムは、2次電子放出係数が比較的小さく、スペーサ40(あるいはスペーサ部材)が正に帯電するような条件下では、帯電防止膜として非常に好ましい材料である。
【0096】
実施例1〜実施例9における表示装置において、カソード電極11はカソード電極制御回路31に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路32に接続され、収束電極17が設けられている場合には、収束電極17は収束電極制御回路33に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路34に接続されている。これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。表示装置の実表示動作時、アノード電極制御回路34からアノード電極24に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルト、具体的には、例えば、9キロボルト(例えば、D0=2.0mm)とすることができる。一方、表示装置の実表示動作時、カソード電極11に印加する電圧VC及びゲート電極13に印加する電圧VGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧VGも変化させる方式
のいずれを採用してもよいが、実施例1〜実施例9における表示装置においては、上述の(2)の方式を採用する。
【0097】
即ち、表示装置の実表示動作時、カソード電極11には相対的に負電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極17が設けられている場合には、収束電極17には収束電極制御回路33から例えば0ボルトが印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路34から印加される。係る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。尚、カソード電極11を第1電極(走査電極)とし、ゲート電極13を第2電極(データ電極)とする場合には、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力すればよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15,15Aから電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体領域22に衝突する。その結果、蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧VG、及びカソード電極11に印加される電圧VCによって制御される。
【実施例1】
【0098】
実施例1は、本発明の平面型表示装置の駆動方法に関する。ここで、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例9における表示装置は、図6〜図11に示した表示装置のいずれかとすることができる。尚、以下の説明において、スペーサ40の近傍に位置する電子放出領域を、近接電子放出領域EAnearと呼び、スペーサ40の近傍に位置していない電子放出領域を、非近接電子放出領域EAfarと呼ぶ場合がある。また、スペーサ40の近傍に位置する第1電極を、近接第1電極と呼ぶ場合があり、スペーサ40の近傍には位置していない第1電極を、非近接第1電極と呼ぶ場合がある。
【0099】
ここで、表示装置の非表示動作時、近接電子放出領域EAnearを非表示駆動させて、係る近接電子放出領域EAnearから放出された電子に基づく第1電流値Inearを測定して正規化第1電流値INor_nearを求める。また、併せて、非近接電子放出領域EAfarを非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出された電子に基づく第2電流値Ifarを測定して正規化第2電流値INor_farを求める。そして、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と、非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように(具体的には、例えば、輝度が概ね同じとなるように)、電子放出領域EAnear,EAfarの駆動条件(例えば、第1電極及び第2電極に印加する電圧)を設定する。
【0100】
そして、更には、実施例1にあっては、スペーサ40とスペーサ40とによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極(ゲート電極13)の本数をQ本とし、これらのQ本の第1電極(ゲート電極13)の内、一方のスペーサ40の近傍に位置する電子放出領域(近接電子放出領域EAnear)を構成する第1電極(近接第1電極)の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサ40の近傍に位置する電子放出領域(近接電子放出領域EAnear)を構成する第1電極(近接第1電極9の本数をR’本(R’≧1)としたとき、
一方のスペーサ40に最も近いところに位置する第1番目の近接第1電極から第R番目の近接第1電極まで、及び、第(Q−R’+1)番目の近接第1電極から第Q番目の近接第1電極まで、各近接第1電極(各ゲート電極13)毎に、この近接第1電極から構成された近接電子放出領域EAnearを非表示駆動させて、係る近接電子放出領域EAnearから放出された電子に基づく第1電流値Inear(r)(但し、r=1,2,・・・,R、及び、Q−R’+1,・・・,Q−1,Q)を独立して測定して正規化第1電流値INor_near(r)を独立して求める。また、併せて、第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの非近接第1電極によって構成された非近接電子放出領域EAfarを独立して非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを独立して測定して正規化第2電流値INor_farを求める。
【0101】
このように、第1電流値Inear(r)を、近接第1電極(ゲート電極13)毎に測定する。また、表示装置の非表示動作時における電子放出領域EAの非表示駆動にあっては、表示装置の実表示動作時における電子放出領域EAの表示駆動において最大の電流値が得られるような駆動条件と同じ駆動条件(第1電極であるゲート電極13に印加する電圧と第2電極であるカソード電極11に印加する電圧の差を最大とする)とすることが望ましいが、これに限定するものではない。更には、最適補正値がビデオ信号レベルにより異なる場合には、複数の信号レベル毎に計測を行い、任意の信号レベルに対して補間データを求めることにより、より細かい補正を行うこともできる。
【0102】
尚、実施例1にあっては、あるいは、後述する各種の実施例にあって、R=R’=3とする。
【0103】
第1電極(ゲート電極13)への電圧印加状態を図1に示すが、図1あるいは後述する図2〜図5においては、第p番目、第(p+1)番目、第(p+2)番目のスペーサ40を図示し、更には、第(p−1,Q)番目の第1電極、第(p,1)番目〜第(p,Q)番目の第1電極[第p番目の第1電極集合体]、第(p+1,1)番目〜第(p+1,Q)番目の第1電極[第(p+1)番目の第1電極集合体]、第(p+2,1)番目〜第(p+2,4)番目の第1電極を図示している。また、第2電極の図示は省略している。図1〜図5において、右手側、上下方向に複数の直線を図示しているが、この直線は、アノード電極あるいは収束電極に流れる電流を意味している。
【0104】
図1における直線[A]〜直線[H]は、以下の電流値を示す。ここで、電流値I(p,q)は、第p番目のスペーサ40と第(p+1)番目のスペーサ40とによって挟まれた第p番目の第1電極集合体における第q番目の第1電極(ゲート電極13)から構成された係る電子放出領域EAから放出された電子に基づく電流値を意味する。
【0105】
直線[A]=電流値I(p,1)、あるいは、電流値I(p+1,1)、あるいは、電流値I(p+2,1)・・・
直線[B]=電流値I(p,2)、あるいは、電流値I(p+1,2)、あるいは、電流値I(p+2,2)・・・
直線[C]=電流値I(p,3)、あるいは、電流値I(p+1,3)、あるいは、電流値I(p+2,3)・・・
直線[D]=電流値I(p,4)、あるいは、電流値I(p+1,4)、あるいは、電流値I(p+2,4)・・・
直線[E]=電流値I(p,Q-3)、あるいは、電流値I(p+1,Q-3)、あるいは、電流値I(p+2,Q-3)・・・
直線[F]=電流値I(p,Q-2)、あるいは、電流値I(p+1,Q-2)、あるいは、電流値I(p+2,Q-2)・・・
直線[G]=電流値I(p,Q-1)、あるいは、電流値I(p+1,Q-1)、あるいは、電流値I(p+2,Q-1)・・・
直線[H]=電流値I(p,Q)、あるいは、電流値I(p+1,Q)、あるいは、電流値I(p+2,Q)・・・
【0106】
実施例1にあっては、
Nor_near(r)=Inear(r)/N
あるいは又、
Nor_near(r)=Inear(r)
である。
【0107】
より具体的には、R=R’=3なので、
Nor_near(1) =Inear(1)/N
Nor_near(2) =Inear(2)/N
Nor_near(3) =Inear(3)/N
Nor_near(Q-2)=Inear(Q-2)/N
Nor_near(Q-1)=Inear(Q-1)/N
Nor_near(Q) =Inear(Q)/N
【0108】
また、具体的には、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarの個数は(Q−R−R’)×Nであり、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarを構成する非近接第1電極(ゲート電極13)の本数は(Q−R−R’)である。従って、
Nor_far=ΣIfar(q)/{(Q−R−R’)×N}
あるいは又、
Nor_far=ΣIfar(q)/(Q−R−R’)
である。尚、記号「Σ」は、電流値Ifar(R+1)から電流値Ifar(Q-R')までの総和の電流値を求めることを意味し、より具体的には、電流値Ifar(4)から電流値Ifar(Q-3)までの総和の電流値を求めることを意味する。
【0109】
そして、前述したとおり、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域EAの駆動条件を設定する。具体的には、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域EAnearを構成する各近接第1電極毎に、この近接第1電極から構成された近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように(具体的には、例えば、輝度が概ね同じとなるように)、電子放出領域EAの駆動条件を設定する。より具体的には、例えば、線順次駆動方式を採用し、第1電極(ゲート電極13)を走査電極、第2電極(カソード電極11)をデータ電極としているので、非近接電子放出領域EAfarを構成する第1電極(ゲート電極13)に印加する電圧を一定値V1_farとし、電子放出領域EAを構成する第2電極(カソード電極11)に印加する電圧をビデオ信号に応じて可変の値V2とし、近接電子放出領域EAnearを構成する近接第1電極(ゲート電極13)に印加する電圧(一定値)V1_nearは、前述した式(1)を満足すればよい。
【0110】
そして、前述したとおり、(INor_far/INor_near)の値、及び、係る値に対応するV1_nearの値を一種の参照テーブルとして表示装置に備えられた記憶手段内に記憶させておけば、V1_nearの電圧値を電子放出領域EAに、周知の方法に基づき供給することができる。
【0111】
ここで、表示装置の非表示動作時を、表示装置への電力供給開始(スイッチ・オン)から、所定の時間が経過するまでの期間(例えば、数秒程度)とすることができる。この場合には、表示装置の非表示動作が経過した後、表示装置の実表示動作が開始する。そして、表示装置の係る実表示動作において、正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_far等に基づき、近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と、非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域EAの駆動条件が設定される。あるいは又、表示装置の非表示動作時を、表示装置への電力供給終了(スイッチ・オフ)から、所定の時間が経過するまでの期間(例えば、数秒程度)とすることができる。この場合には、表示装置の非表示動作が経過した後、表示装置の動作が完全に停止する。そして、表示装置の次の実表示動作において、正規化第1電流値INor_near及び正規化第2電流値INor_far等に基づき、近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と、非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域EAの駆動条件が設定される。以下に説明する実施例2〜実施例9においても、同様とすることができる。
【0112】
実施例1においては、図6〜図11に図示した表示装置の非表示動作時、近接電子放出領域EAnearを非表示駆動させて、係る近接電子放出領域EAnearから放出され、アノード電極24に衝突する電子に基づく第1電流値Inearを測定し、非近接電子放出領域EAfarを非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出され、アノード電極24に衝突する電子に基づく第2電流値Ifarを測定する。尚、この場合、表示装置の非表示動作時のアノード電極24への印加電圧をVA_test、表示装置の実表示動作時のアノード電極24への印加電圧をVAとするとき、例えば、VA=10キロボルト、VA_test/VA=0.2とすることができる。このような表示装置の非表示動作時のアノード電極24への印加電圧VA_testによっては、表示装置には実質的に何ら画像が表示されない。また、アノード電極24に衝突する電子に基づく第1電流値Inear、第2電流値Ifarを測定するが、具体的には、例えば、アノード電極24を流れる電流(アノード電流)を測定すればよい。以上の説明は、後述する実施例2〜実施例9にも適用することができる。尚、カソード電極11に流れる電流を測定することも原理的には可能であるが、カソード電極11が接続されているドライバーは、電圧駆動のスイッチングを行う簡単な素子であり、このようなドライバーを介して電流を計測することは好ましくない。
【0113】
あるいは又、実施例1においては、図9〜図11に図示した表示装置の非表示動作時、近接電子放出領域EAnearを非表示駆動させて、係る近接電子放出領域EAnearから放出され、収束電極17に衝突する電子に基づく第1電流値Inearを測定し、非近接電子放出領域EAfarを非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出され、収束電極17に衝突する電子に基づく第2電流値Ifarを測定する構成とすることができる。これによって、表示装置には実質的に何ら画像が表示されない。この場合、収束電極17に印加する電圧VF_testとして、例えば第1電極(ゲート電極13)に印加される電圧に50ボルトを加えた電圧を例示することができる。また、収束電極17に衝突する電子に基づく第1電流値Inear、第2電流値Ifarを測定するが、具体的には、例えば、収束電極17を流れる電流を測定すればよい。以上の説明は、後述する実施例2〜実施例9にも適用することができる。
【実施例2】
【0114】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2においては、スペーサ40とスペーサ40とによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれにおいて第1電流値Inear(r)を測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear(r)の総計Inear_sum(r)から正規化第1電流値INor_near(r)を求める。
【0115】
実施例2にあっては、図1における直線[A]〜直線[H]は、以下の電流値を示す。
【0116】
直線[A]=電流値Inear_sum(1)
=・・・+電流値I(p,1)+電流値I(p+1,1)+電流値I(p+2,1)+・・・
直線[B]=電流値Inear_sum(2)
=・・・+電流値I(p,2)+電流値I(p+1,2)+電流値I(p+2,2)+・・・
直線[C]=電流値Inear_sum(3)
=・・・+電流値I(p,3)+電流値I(p+1,3)+電流値I(p+2,3)+・・・
直線[D]=電流値Ifar_sum(4)
=・・・+電流値I(p,4)+電流値I(p+1,4)+電流値I(p+2,4)+・・・
直線[E]=電流値Ifar_sum(Q-3)
=・・・+電流値I(p,Q-3)+電流値I(p+1,Q-3)+電流値I(p+2,Q-3)+・・・
直線[F]=電流値Inear_sum(Q-2)
=・・・+電流値I(p,Q-2)+電流値I(p+1,Q-2)+電流値I(p+2,Q-2)+・・・
直線[G]=電流値Inear_sum(Q-1)
=・・・+電流値I(p,Q-1)+電流値I(p+1,Q-1)+電流値I(p+2,Q-1)+・・・
直線[H]=電流値Inear_sum(Q)
=・・・+電流値I(p,Q)+電流値I(p+1,Q)+電流値I(p+2,Q)+・・・
【0117】
実施例2にあっては、
Nor_near(r)=Inear_sum(r)/{(P−1)×N}
あるいは又、
Nor_near(r)=Inear_sum(r)/(P−1)
である。
【0118】
また、具体的には、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarの個数は(P−1)×(Q−R−R’)×Nであり、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarを構成する非近接第1電極(ゲート電極13)の本数は(P−1)×(Q−R−R’)である。従って、
Nor_far=ΣΣIfar_sum(q)/{(P−1)×(Q−R−R’)×N}
あるいは又、
Nor_far=ΣΣIfar_sum(q)/{(P−1)×(Q−R−R’)}
である。尚、記号「ΣΣ」は、電流値Ifar_sum(R+1)から電流値Ifar_sum(Q-R')までの和の電流値を求め、更には、p=1,2,・・・,(P−1)までの電流値の和の総和を求めることを意味し、より具体的には、電流値Ifar_sum(4)から電流値Ifar_sum(Q-3)までの和の電流値を求め、更には、p=1,2,・・・,(P−1)までの電流値の和の総和を求めることを意味する。以下においても同様である。
【実施例3】
【0119】
実施例3も、実施例1の変形であり、本発明の平面型表示装置の駆動方法−Aに関する。実施例1にあっては、第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの非近接第1電極(ゲート電極13)によって構成された非近接電子放出領域EAfaRを独立して非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfaRから放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求めた。一方、実施例3にあっては、第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの非近接第1電極(ゲート電極13)によって構成された非近接電子放出領域EAfaRを、例えば同時に非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfaRから放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求める。
【0120】
実施例3にあっては、図2における直線[A]〜直線[G]は、以下の電流値を示す。
【0121】
直線[A]=電流値I(p,1)、あるいは、電流値I(p+1,1)、あるいは、電流値I(p+2,1)・・・
直線[B]=電流値I(p,2)、あるいは、電流値I(p+1,2)、あるいは、電流値I(p+2,2)・・・
直線[C]=電流値I(p,3)、あるいは、電流値I(p+1,3)、あるいは、電流値I(p+2,3)・・・
直線[D]=電流値I(p,Q-2)、あるいは、電流値I(p+1,Q-2)、あるいは、電流値I(p+2,Q-2)・・・
直線[E]=電流値I(p,Q-1)、あるいは、電流値I(p+1,Q-1)、あるいは、電流値I(p+2,Q-1)・・・
直線[F]=電流値I(p,Q)、あるいは、電流値I(p+1,Q)、あるいは、電流値I(p+2,Q)・・・
直線[G]=
・・・+電流値I(p,4)+電流値I(p,5)+電流値I(p,6)+・・・
+電流値I(p,Q-5)+電流値I(p,Q-4)+電流値I(p,Q-3)
+電流値I(p+1,4)+電流値I(p+1,5)+電流値I(p+1,6)・・・
+電流値I(p+1,Q-5)+電流値I(p+1,Q-4)+電流値I(p+1,Q-3)
+・・・
【0122】
実施例3にあっては、
Nor_near(r)=Inear(r)/N
あるいは又、
Nor_near(r)=Inear(r)
である。
【0123】
また、具体的には、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarの個数は(P−1)×(Q−R−R’)×Nであり、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarを構成する非近接第1電極(ゲート電極13)の本数は(P−1)×(Q−R−R’)である。従って、
Nor_far=ΣΣIfar_sum(q)/{(P−1)×(Q−R−R’)×N}
あるいは又、
Nor_far=ΣΣIfar_sum(q)/{(P−1)×(Q−R−R’)}
である。
【実施例4】
【0124】
実施例4は、実施例3の変形であり、本発明の平面型表示装置の駆動方法−A’に関する。実施例4にあっては、スペーサ40とスペーサ40とによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のぞれぞれにおいて、第1電流値Inear(r)を測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear(r)の総計Inear_sum(r)から正規化第1電流値INor_near(r)を求め、且つ、各第1電極集合体からの(P−1)個の第2電流値Ifar_sumの総計Ifar_Gsumから正規化第2電流値INor_farを求める。
【0125】
実施例4にあっては、図2における直線[A]〜直線[G]は、以下の電流値を示す。
【0126】
直線[A]=電流値Inear_sum(1)
=・・・+電流値I(p,1)+電流値I(p+1,1)+電流値I(p+2,1)+・・・
直線[B]=電流値Inear_sum(2)
=・・・+電流値I(p,2)+電流値I(p+1,2)+電流値I(p+2,2)+・・・
直線[C]=電流値Inear_sum(3)
=・・・+電流値I(p,3)+電流値I(p+1,3)+電流値I(p+2,3)+・・・
直線[D]=電流値Inear_sum(Q-2)
=・・・+電流値I(p,Q-2)+電流値I(p+1,Q-2)+電流値I(p+2,Q-2)+・・・
直線[E]=電流値Inear_sum(Q-1)
=・・・+電流値I(p,Q-1)+電流値I(p+1,Q-1)+電流値I(p+2,Q-1)+・・・
直線[F]=電流値Inear_sum(Q)
=・・・+電流値I(p,Q)+電流値I(p+1,Q)+電流値I(p+2,Q)+・・・
直線[G]=
・・・+電流値I(p,4)+電流値I(p,5)+電流値I(p,6)+・・・
+電流値I(p,Q-5)+電流値I(p,Q-4)+電流値I(p,Q-3)
+電流値I(p+1,4)+電流値I(p+1,5)+電流値I(p+1,6)・・・
+電流値I(p+1,Q-5)+電流値I(p+1,Q-4)+電流値I(p+1,Q-3)
+・・・
【0127】
実施例4にあっては、
Nor_near(r)=Inear_sum(r)/{(P−1)×N}
あるいは又、
Nor_near(r)=Inear_sum(r)/(P−1)
である。
【0128】
また、具体的には、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarの個数は(P−1)×(Q−R−R’)×Nであり、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarを構成する非近接第1電極(ゲート電極13)の本数は(P−1)×(Q−R−R’)である。従って、
Nor_far=ΣΣIfar_sum(q)/{(P−1)×(Q−R−R’)×N}
あるいは又、
Nor_far=ΣΣIfar_sum(q)/{(P−1)×(Q−R−R’)}
である。
【実施例5】
【0129】
実施例5も、実施例1の変形である。実施例5にあっては、基準正規化第2電流値IInt_Nor_farを、実施例1にて説明したと同様の方法に基づき、予め求めておく。そして、基準正規化第2電流値IInt_Nor_farと正規化第2電流値INor_far、及び、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と、非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように(具体的には、例えば、輝度が概ね同じとなるように)、実施例1と同様にして、電子放出領域EAの駆動条件を設定する。より具体的には、第1電極(ゲート電極13)を走査電極、第2電極(カソード電極11)をデータ電極とする場合にあっては、近接電子放出領域EAnearを構成する近接第1電極に印加する電圧(一定値)V1_nearは、以下の式(2−1)、式(2−2)から求めることができる。このような構成にすることで、電子放出領域EAからの電子の放出状態に経時変化が生じても、係る経時変化を確実に補正することができる。尚、基準正規化第2電流値IInt_Nor_farとして、平面型表示装置の製造時における正規化第2電流値INor_farを例示することができるし、所定の時間(例えば、5千時間、1万時間・・・・)が経過した後の正規化第2電流値INor_farを例示することができる。
【0130】
γ・ln(V1_near/VInt_1_far)=ln(INor_near/IInt_Nor_far) (2−1)
γ・ln(V1_far/VInt_1_far)=ln(INor_far/IInt_Nor_far) (2−2)
【実施例6】
【0131】
実施例6は、実施例5の変形である。実施例6にあっては、基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearを、実施例1にて説明したと同様の方法に基づき、予め求めておく。そして、基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearと正規化第1電流値INor_near、及び、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、表示装置の実表示動作時、近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と、非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域EAの駆動条件を設定する。より具体的には、第1電極(ゲート電極13)を走査電極、第2電極(カソード電極11)をデータ電極とする場合にあっては、近接電子放出領域EAnearを構成する近接第1電極(ゲート電極13)に印加する電圧(一定値)V1_nearは、以下の式(3−1)、式(3−2)から求めることができる。このような構成にすることで、電子放出領域EAからの電子の放出状態に経時変化が生じても、係る経時変化を確実に補正することができる。尚、基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearとして、平面型表示装置の製造時における正規化第1電流値INor_nearを例示することができるし、所定の時間(例えば、5千時間、1万時間・・・・)が経過した後の正規化第1電流値INor_nearを例示することができる。
【0132】
γ・ln(V1_near/VInt_1_near)=ln(INor_near/IInt_Nor_near) (3−1)
γ・ln(V1_far/VInt_1_near)=ln(INor_far/IInt_Nor_near) (3−2)
【実施例7】
【0133】
実施例7も、実施例1の変形であり、本発明の平面型表示装置の駆動方法−Bに関する。実施例7にあっては、
スペーサ40とスペーサ40とによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極(ゲート電極13)の本数をQ本とし、これらのQ本の第1電極(ゲート電極13)の内、一方のスペーサ40の近傍に位置する電子放出領域(近接電子放出領域EAnear)を構成する第1電極(近接第1電極)の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサ40の近傍に位置する電子放出領域(近接電子放出領域EAnear)を構成する第1電極(非近接第1電極)の本数をR’本(R’≧1)としたとき、
一方のスペーサ40に最も近いところに位置する第1番目の近接第1電極から第R番目の近接第1電極まで、及び、第(Q−R’+1)番目の近接第1電極から第Q番目の近接第1電極までによって構成された近接電子放出領域EAnearを同時に非表示駆動させて、係る近接電子放出領域EAnearから放出された電子に基づく第1電流値Inear_sumを測定して正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、
第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの非近接第1電極によって構成された非近接電子放出領域EAfarを同時に非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
近接電子放出領域EAnearを構成する(R+R’)本の近接第1電極において、近接第1電極から構成された近接電子放出領域EAnearにおける電子放出状態と、非近接電子放出領域EAfarにおける電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定する。
【0134】
実施例7における第1電極(ゲート電極13)への電圧印加状態を図3に示す。尚、図3において、直線[A]〜直線[G]は、以下の電流値を示す。
【0135】
直線[A]=電流値Inear_sum(p-1)
=電流値I(p-1,1)+電流値I(p-1,2)+電流値I(p-1,3)
+電流値I(p-1,Q-2)+電流値I(p-1,Q-1)+電流値I(p-1,Q)
直線[B]=電流値Inear_sum(p)
=電流値I(p,1)+電流値I(p,2)+電流値I(p,3)
+電流値I(p,Q-2)+電流値I(p,Q-1)+電流値I(p,Q)
直線[C]=電流値Ifar(p)
=電流値I(p,4)+電流値I(p,5)+電流値I(p,6)+・・・
+電流値I(p,Q-5)+電流値I(p,Q-4)+電流値I(p,Q-3)
直線[D]=電流値Inear_sum(p+1)
=電流値I(p+1,1)+電流値I(p+1,2)+電流値I(p+1,3)
+電流値I(p+1,Q-2)+電流値I(p+1,Q-1)+電流値I(p+1,Q)
直線[E]=電流値Ifar(p+1)
=電流値I(p+1,4)+電流値I(p+1,5)+電流値I(p+1,6)+・・・
+電流値I(p+1,Q-5)+電流値I(p+1,Q-4)+電流値I(p+1,Q-3)
直線[F]=電流値Inear_sum(p+2)
=電流値I(p+2,1)+電流値I(p+2,2)+電流値I(p+2,3)
+電流値I(p+2,Q-2)+電流値I(p+2,Q-1)+電流値I(p+2,Q)
直線[G]=電流値Ifar(p+2)
=電流値I(p+2,4)+電流値I(p+2,5)+電流値I(p+2,6)+・・・
+電流値I(p+2,Q-5)+電流値I(p+2,Q-4)+電流値I(p+2,Q-3)
【0136】
あるいは又、実施例7における第1電極(ゲート電極13)への電圧印加状態を図4に示す。尚、図4において、直線[A]〜直線[E]は、以下の電流値を示す。
【0137】
直線[A]=電流値Inear_sum(p-1)
=電流値I(p-1,1)+電流値I(p-1,2)+電流値I(p-1,3)
+電流値I(p-1,Q-2)+電流値I(p-1,Q-1)+電流値I(p-1,Q)
直線[B]=電流値Inear_sum(p)
=電流値I(p,1)+電流値I(p,2)+電流値I(p,3)
+電流値I(p,Q-2)+電流値I(p,Q-1)+電流値I(p,Q)
直線[C]=電流値Inear_sum(p+1)
=電流値I(p+1,1)+電流値I(p+1,2)+電流値I(p+1,3)
+電流値I(p+1,Q-2)+電流値I(p+1,Q-1)+電流値I(p+1,Q)
直線[D]=電流値Inear_sum(p+2)
=電流値I(p+2,1)+電流値I(p+2,2)+電流値I(p+2,3)
+電流値I(p+2,Q-2)+電流値I(p+2,Q-1)+電流値I(p+2,Q)
直線[E]=
・・・+電流値I(p,4)+電流値I(p,5)+電流値I(p,6)+・・・
+電流値I(p,Q-5)+電流値I(p,Q-4)+電流値I(p,Q-3)
+電流値I(p+1,4)+電流値I(p+1,5)+電流値I(p+1,6)+・・・
+電流値I(p+1,Q-5)+電流値I(p+1,Q-4)+電流値I(p+1,Q-3)
+・・・
【0138】
ここで、実施例7にあっては、表示装置の非表示動作時、第1電流値Inear_sum(p)を測定して正規化第1電流値INor_near(p)を求めるが、具体的には、非表示駆動させられた近接電子放出領域EAnearの個数は(R+R’)×N(但し、R=R’=3)であり、非表示駆動させられた近接電子放出領域EAnearを構成する近接第1電極の本数は(R+R’)であり、
Nor_near(p)=Inear_sum(p)/{(R+R’)×N}
あるいは又、
Nor_near(p)=Inear_sum(p)/(R+R’)
から求めることができる。
【0139】
また、表示装置の非表示動作時、スペーサ40の近傍に位置していない、(Q−R−R’)本の非近接第1電極から構成された非近接電子放出領域EAfarの全てを同時に非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出された電子に基づく第2電流値Ifar(p)を測定して正規化第2電流値INor_far(p)を求めるが、具体的には、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarの個数は(Q−R−R’)×Nであり、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarを構成する非近接第1電極の本数は(Q−R−R’)であり、
Nor_far(p)=Ifar(p)/{(Q−R−R’)×N}
あるいは又、
Nor_far(p)=Ifar(p)/(Q−R−R’)
から求めることができる。
【0140】
実施例7あるいは後述する実施例8において説明する平面型表示装置の駆動方法を、実施例2〜実施例6において説明した平面型表示装置の駆動方法と組み合わせてもよい。
【実施例8】
【0141】
実施例8は、実施例7の変形であり、本発明の平面型表示装置の駆動方法−B’に関する。実施例8にあっては、(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれにおいて第1電流値Inear_sumを測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear_sumの総計Inear_Gsumから正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、各第1電極集合体からの(P−1)個の第2電流値Ifar_sumの総計Ifar_Gsumから正規化第2電流値INor_farを求める。
【0142】
実施例8にあっては、図5における直線[A]、及び、直線[B]は、以下の電流値を示す。
【0143】
直線[A]=電流値Inear_sum
=・・・・
+電流値I(p,1)+電流値I(p+1,1)+電流値I(p+2,1)+・・・
+電流値I(p,2)+電流値I(p+1,2)+電流値I(p+2,2)+・・・
+電流値I(p,3)+電流値I(p+1,3)+電流値I(p+2,3)+・・・
+電流値I(p,Q-2)+電流値I(p+1,Q-2)+電流値I(p+2,Q-2)+・・・
+電流値I(p,Q-1)+電流値I(p+1,Q-1)+電流値I(p+2,Q-1)+・・・
+電流値I(p,Q)+電流値I(p+1,Q)+電流値I(p+2,Q)+・・・
直線[B]=電流値Ifar
=・・・
+電流値I(p,4)+電流値I(p+1,4)+電流値I(p+2,4)+・・・
+電流値I(p,5)+電流値I(p+1,5)+電流値I(p+2,5)+・・・
+電流値I(p,6)+電流値I(p+1,6)+電流値I(p+2,6)+・・・
・・・
+電流値I(p,Q-5)+電流値I(p+1,Q-5)+電流値I(p+2,Q-5)+・・・
+電流値I(p,Q-4)+電流値I(p+1,Q-4)+電流値I(p+2,Q-4)+・・・
+電流値I(p,Q-3)+電流値I(p+1,Q-3)+電流値I(p+2,Q-3)+・・・
【0144】
ここで、実施例8にあっては、表示装置の非表示動作時、第1電流値Inear_sumを測定して正規化第1電流値INor_nearを求めるが、具体的には、非表示駆動させられた近接電子放出領域EAnearの個数は(P−1)×(R+R’)×N(但し、R=R’=3)であり、非表示駆動させられた近接電子放出領域EAnearを構成する近接第1電極の本数は(P−1)×(R+R’)であり、
Nor_near=Inear_sum/{(P−1)×(R+R’)×N}
あるいは又、
Nor_near=Inear_sum/{(P−1)×(R+R’)}
から求めることができる。また、表示装置の非表示動作時、スペーサ40の近傍に位置していない、(P−1)×(Q−R−R’)本の非近接第1電極から構成された非近接電子放出領域EAfarの全てを同時に非表示駆動させて、係る非近接電子放出領域EAfarから放出された電子に基づく第2電流値Ifarを測定して正規化第2電流値INor_farを求めるが、具体的には、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarの個数は(P−1)×(Q−R−R’)×Nであり、非表示駆動させられた非近接電子放出領域EAfarを構成する非近接第1電極の本数は(P−1)×(Q−R−R’)であり、
Nor_far=Ifar/{(P−1)×(Q−R−R’)×N}
あるいは又、
Nor_far=Ifar/{(P−1)×(Q−R−R’)}
から求めることができる。
【実施例9】
【0145】
実施例9も、実施例1の変形である。実施例9にあっては、表示装置の非表示動作時における電子放出領域EAの非表示駆動時間TOP_testは、表示装置の実表示動作時における電子放出領域EAの表示駆動時間TOPよりも長い構成とすることができる。ここで、TOP_test/TOPの関係として、TOP_test/TOP=20を例示することができる。尚、表示駆動時間TOPは、デューティ期間に相当し、フレームのリフレッシュ時間(例えば60Hzの場合16.7ミリ秒)をMで除した秒数である。このように、低周波数での非表示駆動を行うことによって、測定電流値が大きくなり、測定精度の向上を図ることができるし、非表示駆動における駆動電流波形が鈍り、測定精度が低下するといった問題の発生を防止することができる。
【0146】
実施例9において説明した平面型表示装置の駆動方法を、実施例2〜実施例8において説明した平面型表示装置の駆動方法と組み合わせてもよい。
【0147】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
【0148】
実施例においては、スペーサとスペーサとによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極の本数をQ本としたとき、スペーサとスペーサとによって挟まれた第1電極集合体を1つの纏まりとして、種々、説明を行ったが、代替的に、スペーサによって区画された一方の領域に存在し、R本の近接第1電極が存在するq本[但し、qは、R≦qを満足する整数]の第1電極と、このスペーサによって区画された他方の領域に存在し、R’本の近接第1電極が存在する(Q−q)本の第1電極を第1電極集合体として、本発明を適用することもできる。
【0149】
実施例にあっては、ゲート電極13が第1電極に相当し、カソード電極11が第2電極に相当する構成としたが、代替的に、カソード電極11が第1電極に相当し、ゲート電極13が第2電極に相当する構成とすることもできる。電子放出領域は、第1電極と第2電極との重複領域から構成されているが、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第1枝配線と第2枝配線との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第1枝配線と第2枝配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第1枝配線の端部と第2枝配線の端部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第1枝配線と第2電極との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、あるいは又、第1電極から枝配線(第1枝配線)が延び、第1枝配線と第2配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第1枝配線の端部と第2配線の側部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、あるいは又、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第2枝配線と第1電極との重複領域が電子放出領域に相当する形態も、更には、第2電極から枝配線(第2枝配線)が延び、第2枝配線と第1配線の対向部分に電子放出領域が設けられている(第2枝配線の端部と第1配線の側部に跨って電子放出領域が設けられている)形態も、『電子放出領域は、第1電極と第2電極との重複領域から構成されている』形態に包含される。
【0150】
また、実施例にあっては、1本の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域を一度に非表示動作させたが、代替的に、1本の第1電極によって構成されるN個の電子放出領域を複数に分割して、分割された領域内に位置する電子放出領域を同時に非表示動作させてもよい。そして、この場合には、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍に位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定するが、第1電極への電圧の印加状態だけでなく、分割された領域内に位置する電子放出領域毎に第2電極への電圧の印加状態を制御すればよい。即ち、分割された領域内に位置する電子放出領域毎に第2電極に一種のバイアス電圧を印加すればよい。
【0151】
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層に係る複数の第1開口部に連通した第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
【0152】
表面伝導型電子放出素子と通称される電子放出素子から電子放出領域を構成することもできる。この表面伝導型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In23)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマトリクス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の一方の電極(例えば、第1電極)に行方向配線が接続され、一対の電極の内の他方の電極(例えば、第2電極)に列方向配線が接続された構成を有する。一対の電極(第1電極及び第2電極)に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子をアノードパネル上の蛍光体領域に衝突させることによって、蛍光体領域が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子から電子放出領域を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】図1は、実施例1、実施例2あるいは実施例4の平面型表示装置の駆動方法における第1電極への電圧印加状態を示す図である。
【図2】図2は、実施例3の平面型表示装置の駆動方法における第1電極への電圧印加状態を示す図である。
【図3】図3は、実施例7の平面型表示装置の駆動方法における第1電極への電圧印加状態を示す図である。
【図4】図4は、実施例7の平面型表示装置の駆動方法における第1電極への電圧印加状態の別の例を示す図である。
【図5】図5は、実施例8の平面型表示装置の駆動方法の変形例における第1電極への電圧印加状態を示す図である。
【図6】図6は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る実施例1〜実施例9の平面型表示装置の一部端面図である。
【図7】図7は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の変形例から成る実施例1〜実施例9の平面型表示装置の一部端面図である。
【図8】図8は、スピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の別の変形例から成る実施例1〜実施例9の平面型表示装置の一部端面図である。
【図9】図9は、収束電極を備えたスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る実施例1〜実施例9の平面型表示装置の一部端面図である。
【図10】図10は、収束電極を備えたスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の変形例から成る実施例1〜実施例9の平面型表示装置の一部端面図である。
【図11】図11は、収束電極を備えたスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の別の変形例から成る実施例1〜実施例9の平面型表示装置の一部端面図である。
【図12】図12は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図13】図13は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図14】図14は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図15】図15は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図16】図16は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図17】図17は、平面型表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
【図18】図18は、扁平型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置から成る従来の平面型表示装置の概念的な一部端面図である。
【図19】図19は、冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。
【図20】図20の(A)は、電子放出領域から放出された電子によって電子放出領域とアノード電極との間に流れるアノード電流を模式的に示すグラフであり、図20の(B)は、電子放出領域からの電子の放出状態に経時変化が生じることを模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0154】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、EA・・・電子放出領域、EF・・・有効領域、NE・・・無効領域、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14・・・開口部、14A・・・第1開口部、14B・・・第2開口部、14C・・・第3開口部、15,15A・・・電子放出部、16・・・層間絶縁層、17・・・収束電極、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体領域、23・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、24・・・アノード電極、24A・・・アノード電極ユニット、26・・・接合部材、27・・・アノード電極抵抗体層、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・収束電極制御回路、34・・・アノード電極制御回路、40・・・スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1の方向に延びるM本の帯状の第1電極、及び、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるN本の帯状の第2電極を備え、第1電極と第2電極との重複領域から構成されたN×M個の電子放出領域を有するカソードパネル、並びに、
(B)蛍光体領域及びアノード電極を備えたアノードパネル、
から成り、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合部材を介して接合されており、
カソードパネルとアノードパネルとの間には、第1の方向に延びるスペーサが、P列、配置された平面型表示装置の駆動方法であって、
平面型表示装置の非表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inearを測定して正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、
スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifarを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定することを特徴とする平面型表示装置の駆動方法。
【請求項2】
スペーサとスペーサとによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極の本数をQ本とし、該Q本の第1電極の内、一方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR’本(R’≧1)としたとき、
一方のスペーサに最も近いところに位置する第1番目の第1電極から第R番目の第1電極まで、及び、第(Q−R’+1)番目の第1電極から第Q番目の第1電極まで、各第1電極毎に、該第1電極から構成された電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inear(r)(但し、r=1,2,・・・,R、及び、Q−R’+1,・・・,Q−1,Q)を測定して正規化第1電流値INor_near(r)を求め、且つ、
第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの第1電極によって構成された電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
スペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する各第1電極毎に、該第1電極から構成された電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項3】
(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれにおいて第1電流値Inear(r)を測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear(r)の総計Inear_sum(r)から正規化第1電流値INor_near(r)を求め、且つ、各第1電極集合体からの(P−1)個の第2電流値Ifar_sumの総計Ifar_Gsumから正規化第2電流値INor_farを求めることを特徴とする請求項2に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項4】
スペーサとスペーサとによって挟まれた(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれを構成する第1電極の本数をQ本とし、該Q本の第1電極の内、一方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR本(R≧1)、他方のスペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成する第1電極の本数をR’本(R’≧1)としたとき、
一方のスペーサに最も近いところに位置する第1番目の第1電極から第R番目の第1電極まで、及び、第(Q−R’+1)番目の第1電極から第Q番目の第1電極までによって構成された電子放出領域を同時に非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第1電流値Inear_sumを測定して正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、
第(R+1)番目から第(Q−R’)番目までの第1電極によって構成された電子放出領域を同時に非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出された電子に基づく第2電流値Ifar_sumを測定して正規化第2電流値INor_farを求め、
スペーサの近傍に位置する電子放出領域を構成するR本及びR’本の第1電極において、該第1電極から構成された電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項5】
(P−1)群の第1電極集合体のそれぞれにおいて第1電流値Inear_sumを測定する操作を、(P−1)群において、同時に行い、各第1電極集合体からの(P−1)個の第1電流値Inear_sumの総計Inear_Gsumから正規化第1電流値INor_nearを求め、且つ、各第1電極集合体からの(P−1)個の第2電流値Ifar_sumの総計Ifar_Gsumから正規化第2電流値INor_farを求めることを特徴とする請求項4に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項6】
平面型表示装置の非表示動作時とは、平面型表示装置への電力供給開始から、所定の時間が経過するまでの期間であることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項7】
平面型表示装置の非表示動作時とは、平面型表示装置への電力供給終了から、所定の時間が経過するまでの期間であることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項8】
平面型表示装置の非表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、アノード電極に衝突する電子に基づく第1電流値Inearを測定し、且つ、
スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、アノード電極に衝突する電子に基づく第2電流値Ifarを測定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項9】
平面型表示装置の非表示動作時のアノード電極への印加電圧をVA_test、平面型表示装置の実表示動作時のアノード電極への印加電圧をVAとするとき、0.05≦VA_test/VA≦0.5を満足することを特徴とする請求項8に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項10】
カソードパネルには、収束電極が更に備えられ、
平面型表示装置の非表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、収束電極に衝突する電子に基づく第1電流値Inearを測定し、且つ、
スペーサの近傍には位置していない電子放出領域を非表示駆動させて、係る電子放出領域から放出され、収束電極に衝突する電子に基づく第2電流値Ifarを測定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項11】
平面型表示装置の非表示動作時における電子放出領域の非表示駆動時間TOP_testは、平面型表示装置の実表示動作時における電子放出領域の表示駆動時間TOPよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項12】
基準正規化第2電流値IInt_Nor_farを求めておき、
基準正規化第2電流値IInt_Nor_farと正規化第2電流値INor_far、及び、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。
【請求項13】
基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearを求めておき、
基準正規化第1電流値IInt_Nor_nearと正規化第1電流値INor_near、及び、正規化第1電流値INor_nearと正規化第2電流値INor_farとに基づき、平面型表示装置の実表示動作時、スペーサの近傍に位置する電子放出領域における電子放出状態と、スペーサの近傍には位置していない電子放出領域における電子放出状態とが略等しくなるように、電子放出領域の駆動条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−193190(P2007−193190A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12465(P2006−12465)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】