説明

広告効果測定サーバ、広告効果測定装置、プログラム、広告効果測定システム

【課題】看板やデジタルサイネージ等の広告媒体において、テレビの視聴率と同じように、広告媒体の前にいる人のうち何割が広告を視聴していたかを表す広告視聴率を測定する。
【解決手段】広告媒体Aの広告効果を測定する広告効果測定サーバBであって、広告媒体Aの前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から検出された人の顔に基づいて視聴人数を計測する視聴人数計算部と、前記撮影部によって撮影された画像から検出された人の形に基づいて周辺人数を計算する周辺人数計算部と、前記視聴人数計算部が計測した視聴人数と、前記周辺人数計測部が計測した周辺人数と、に基づいて、広告視聴率を計算する視聴率計算部111とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告効果測定技術に関し、看板やデジタルサイネージなどの広告媒体を監視し、その結果を分析することで広告の効果測定を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
看板やデジタルサイネージなどの広告媒体による広告の効果測定について、下記特許文献1に記載の技術が知られている。当該技術では、撮影されたエリアに存在する人物の顔画像を認識し、認識した顔画像から人物の視線方向を抽出し、抽出した視線方向と人物のエリアにおける座標位置情報により顔画像の認識情報を生成するものである。この認識情報に基づき、表示されている広告コンテンツを視聴している人数を測定することにより、広告コンテンツを視聴している人数を計測して、広告コンテンツの広告効果を測定することができる。より詳細には、顔検出技術を利用して、広告を視聴している人の数や、性別、年齢などの属性を取得することで、広告効果を測定することができる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−112401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の顔検出技術を利用した広告効果測定では、広告を視聴している人の人数を計測することで、広告効果の測定を行っていた。しかし、たとえ同じ人数が広告を視聴したとしても、周囲にいる人の人数が異なれば、広告媒体への注目度は同じではなく、周囲にいる人の中で広告を視聴している人の割合が高いほど広告効果が高い。従って、顔検出技術を利用した広告効果測定では、広告媒体の効果を判断するのが困難であり、また、カメラに対して横向きや後ろ向きの人や、カメラから離れた人など顔を認識できない人については、人数を計測することができず、広告媒体周辺の人数を知ることはできないという問題があった。
本発明の目的は、広告媒体の効果測定をより精度良く行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る刻々効果測定技術は、テレビにおける視聴率のように、広告媒体の前にいる人のうち何割が広告を視聴していたかを求め、それに基づいて広告視聴率を測定することを特徴とする。
【0006】
本発明の一観点によれば、広告媒体の広告効果を測定する広告効果測定サーバであって、広告媒体の前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から検出された人の顔に基づいて視聴人数を計測する視聴人数計算部と、前記撮影部によって撮影された画像から検出された人の形に基づいて周辺人数を計算する周辺人数計算部と、前記視聴人数計算部が計測した視聴人数と、前記周辺人数計測部が計測した周辺人数と、に基づいて、広告視聴率を計算する視聴率計算部と、を有する広告効果測定サーバが提供される。
【0007】
また、本発明は、広告効果用データを測定可能な広告表示装置であって、前記広告表示装置の前方を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像から、人の顔を検出する顔検出部と、前記顔検出部が検出した顔のデータを格納する顔検出データベースと、前記撮影部によって撮影された画像から、人の形を検出する人検出部と、前記人検出部が検出した人のデータを格納する人検出データベースと、前記顔のデータと前記人のデータを広告効果測定サーバに送信する通信部と、を有することを特徴とする広告表示装置である。
【0008】
本発明の他の観点によれば、広告効果用データを測定可能な広告表示装置による広告表示方法であって、前記広告表示装置の前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から、人の顔を検出する顔検出ステップと、前記顔検出ステップが検出した顔のデータを顔検出データベースに格納するステップと、前記撮影部によって撮影された画像から、人の形を検出する人検出ステップと、前記人検出ステップが検出した人のデータを人検出データベースに格納するステップと、前記顔のデータと前記人のデータを広告効果測定サーバに送信するステップと、を有することを特徴とする広告表示方法が提供される。
【0009】
また、本発明は、上記に記載の広告表示方法等をコンピュータに実行させるためのプログラム、当該プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、看板やデジタルサイネージなどの広告媒体の効果を客観的に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態における広告効果測定システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】サーバ装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】広告効果測定装置における、顔検出と人検出との検出内容を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態における広告効果測定処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】顔検出部によって検出した情報を保持する顔検出DBのデータ構成例を示す図である。
【図6】顔の傾きを測定する仕組みの一例を示す図である。
【図7】広告の幅と視聴者から広告までの距離との関係を示す図である。
【図8】広告までの距離と撮影画像との関係の一例を示す図である。
【図9】広告効果演算処理の詳細な処理の流れを示すフローチャート図である。
【図10】人検出部によって検出した情報を保持する人検出DBのデータ構成例を示す図である。
【図11】視聴率計測部における視聴人数の計算処理の流れを示すフローチャート図である。
【図12】視聴率計測部によって計測された情報を保持する広告視聴率DBのデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施の一実施の形態による広告効果測定技術について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態における広告効果測定システムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、広告効果測定システムは、広告媒体(広告表示装置)Aと、サーバ装置Bと、が例えばネットワーク接続されている。広告媒体Aには、広告媒体の前方を撮影するためのカメラなどの撮影装置107が設けられている。
【0014】
広告媒体Aには、カメラ107で撮影した画像から人の顔を検出するプログラムにより顔を検出する顔検出部101と、カメラ107で撮影した画像から人の形を検出して画像内の人数を測定するプログラムにより人を検出する人検出部102と、広告媒体A全体を制御する制御部(CPU)105と、プログラム等を格納する記憶部(RAM、ROM等)106と、通信部108と、が設けられている。記憶部106には、広告媒体(広告表示装置)Aの横幅や字の大きさなどを格納しておくことができる。
【0015】
顔検出部101は、人の顔の特徴から人の顔を検出し、時間毎に検出した人の情報を顔検出DB(データベース)103に格納する。
【0016】
人検出部102は、人の全身や半身など人の形に近いものを人と認識し、時間毎に検出した人数を人検出DB(データベース)104に格納する。
【0017】
広告媒体Aの通信部108とネットワークNTを介してサーバ装置Bが接続されている。サーバ装置Bは、視聴率計測部111と、広告視聴率DB112と、を有している。
【0018】
視聴率計測部111は、顔検出DB103及び人検出DB104からのデータから、同一時間帯のデータを組み合わせて、時間帯毎の平均視聴率を計算し、広告視聴率DB112に格納する。
【0019】
図2は、視聴率計測部111の一構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、視聴率計測部111は、視聴率を演算する演算部121と、RAMなどの高速な主記憶部122と、通信部108と通信することができる通信部123と、ROMなどの記憶部124と、視聴率計算処理を行うための視聴率計算部125とを有し、視聴率計測部111は、広告視聴率DB112と接続されている。
【0020】
視聴率計算部125は、人検出DB104から周辺の人数を計算する周辺人数計算部126と、顔検出DB103から視聴人数を計算する視聴人数計算部128と、を有している。さらに、時間毎の(時間的に前後の)周辺人数を比較する周辺人数比較部127と、時間毎の(時間的に前後の)視聴人数を比較する視聴人数比較部129と、を有している。
【0021】
図1の顔検出部101と人検出部102とにおける検出内容の違いについて、図3を参照しながら説明する。図3は、広告装置(媒体)300の前方を撮影できるように本実施の形態による広告効果測定システムの広告装置300にカメラ301を取り付け、広告視聴率を測定している様子を示す図である。顔検出部101は、顔の特徴から顔を検出するので、人303のようにカメラ301に対して後ろを向いていたり、人304のようにカメラ301に対して横を向いている人を検出しないようにする。矢印は、視線方向を示す。顔の特徴とは、例えば、表示装置に対する傾き、画像に映った顔の大きさなどである。
【0022】
また、人305のようにカメラ301の方を向いていても、カメラ301から遠く離れている人も検出対象としないようにする。これらの点については、後述する。
【0023】
図3の例では、顔検出部101は、人302のみ検出対象とする。一方、人検出部102は、人の全身もしくは半身の形等から人を検出するので、基本的には、人の顔の向きや大きさに関わらず人302、人303、人304、人305の全ての人を検出する。
【0024】
図4は、本実施の形態における広告効果評価システムの全体の処理の流れを示すフローチャート図である。このシステムが測定・評価を開始すると(START)、顔検出部101が起動して、検出したデータを顔検出DB103に格納する(ステップS401)。次に、人検出部102が起動し、検出したデータを人検出DB104に格納する(ステップS402)。本実施の形態による広告効果評価システムを設置した店舗の閉店時間など、あらかじめ指定していた時刻になるまで、ステップS401とステップS402を繰り返し実行する。指定していた時刻になると(Y)、視聴率計測部105が起動し、広告視聴率DB112に計測データを格納し(ステップS404)、処理を終了する(END)。上記の処理により、顔検出DB103と、人検出DB104とに、それぞれ検出された人数等が格納されるとともに、広告視聴率DB112に、評価対象である広告の視聴率が格納される。
【0025】
図5は、顔検出部101によって検出した情報を保持する顔検出DB103内のデータ構成例をテーブル形式で示した図である。顔検出部101は、時間毎に検出した全ての人の情報を顔検出DB103に格納する。格納する情報は、例えば、日時501、性別502、推定年齢503、広告装置の法線方向からの傾きで示される顔の向き504、顔から広告装置への垂線と広告装置との交点で示される顔の座標505、画像における顔の大きさ506、顔検出人数507がある。一度に複数の人を認識した場合は、日時501が同一のデータを、検出した数だけ格納する。ここでは、期間T1(2010年8月1日の8:31〜8:34まで)、期間T2(同日8:35〜8:40まで)、期間T3(8:41〜8:45)など、期間毎に区別できるように検出結果を格納している。これにより、ある期間内に検出された顔の数と、それぞれの属性データを格納することができる。ここでは、期間T1における顔検出人数が1人、期間T2における顔検出人数が4人、期間T3における顔検出人数が3人と求められている。
【0026】
図6から図8までを参照しながら、顔検出処理の詳細について説明する。図6は、顔の傾きを推定する様子を示す図である。基本的には、顔の特徴である目、鼻、口を検出することができるが、主として目の映り方により傾きを決定することができる。例えば、顔の輪郭と、その縦方向に延びる中央線(点線)と、両目との位置関係により、傾きを検出することができる。図6(a)は、中央線を軸に対照に両眼が配置されている様子を示しており、傾きは約0度である。図6(b)は、中央線付近に片眼が配置されており、傾きは45度程度と推定される。図6(c)は、片眼のみと鼻の側面が見えており、90度の傾きと推定される。図6(d)は、目が全く見えておらず、ほぼ180度の傾きと推定される。実際には、90度以上の傾きであれば、広告装置を見ることはできないので、90度から180度の間の顔の傾きの精度を高くする必要はない。このように、カメラにより撮影された顔画像の目の位置等により、顔の傾きを推定することができる。
【0027】
図7は、広告装置の横幅Wと、人の顔の広告装置からの垂線に沿った距離Lとの関係を示す図である。図7(a)は、W=1m、L=1mで、人の顔の位置が広告装置の真ん中である場合の様子を示す図であり、この場合には、傾きが±30度以内であれば広告を見ていると判断できる。図7(b)に示すように、W=2mの場合には、傾きが±45度以内であれば広告を見ていると判断できる。図7(c)のように、W=1m、L=2mの場合には、±14〜15度の傾きまでが広告を見ていると判断できる。図7(d)に示すように、W=1m、L=1mの場合でも、広告装置の右端に人がいる場合には、左方向に45度、右方向には0度の傾きまで、広告装置を見ていると判定できる。すなわち、以下のように定義できる。
【0028】
顔が広告装置の真ん中の位置にある場合には、θ1=θ2=arctan(W/2L)
顔が広告装置の右端にある場合には、θ1=0、θ2=arctan(W/L)
顔が広告装置の左端にある場合には、θ1=arctan(W/L)、θ2=0である。
このような演算により、広告を見ているとされる許容傾きが計算できる。
【0029】
図8は、画像に映る顔の大きさによる、Lの推定の様子を示す図である。顔の大きさの相対値を50とし、これを、広告装置からの距離Lが1m程度の場合の顔の大きさの平均値とすると、顔の大きさの相対値45の場合には、L=1.2m、顔の大きさの相対値5の場合には、L=10m、顔の大きさの相対値10の場合には、L=5mと推定できる。すなわち、顔の大きさと距離はほぼ反比例する。また、顔の大きさの相対値が非常に小さい場合には、広告装置の方向を向いてはいるものの、実際には広告が見えていない状態であると判断することもでき、広告装置を見ていると判定できる顔の大きさのしきい値を広告毎に格納しておくこともできる。例えば、期間T1における顔検出の結果、広告を視聴していると推定される人数は、この欄の一番上の行の1人である。尚、このような場合には、広告の字の大きさも考慮し、より大きな字の場合には、遠くでも広告を見ていると判断することができる。
【0030】
以上のようにして、視線の傾きを推定するとともに、広告装置からの距離も推定することができ、実際にその人が広告を見ているかの目安とすることができる。
【0031】
図9は、上記の仕組みに基づく広告を見ている人数の計算処理の流れを示すフローチャート図であり、後述する図11の広告を視聴している人数を求める詳細な処理の一例を示す図である。図9に示すように、ステップS901で処理を開始し、ステップS902において、広告の大きさ(W)を、図1の記憶部106などから読み込み、ステップS903において、顔検出DB103から、それぞれの顔のデータを読み込む。ステップS904において、各顔について、顔の傾きを計算し、さらに、顔の大きさを計算する。ステップS905において、顔の大きさが小さく、広告を見ていないと推定される顔を除外する。ステップS906において、顔の大きさから、広告までの距離Lを計算する。ステップS907において、顔の座標と距離Lと、幅Wとから、顔の傾きが上記のような許容範囲に入っているか否かを計算する。ステップS908において、傾きの許容範囲と顔の傾き(計算値)から、広告を見ているか否かを計算する。ステップS909において、広告を見ている人数(視聴人数)の合計を計算し、顔検出DB103に格納して処理を終了する(ステップS910)。
【0032】
以上の処理により、実際に広告を見ていると高い確率で推定できる人数の合計を求めることができる。
【0033】
次に、広告を視聴しているか否かに依存しない広告の周囲にいる人数を求める。図10は、人検出部102によって検出した情報を保持する人検出DB104内のデータの一構成例を示す図である。人検出部102は、時間毎に検出した人の数を、人数1002の欄に格納する。図10では、日時欄1001における、2010年8月1日の8時31分の人検出部102により検出された人数1002が7人、2010年8月1日の8時32分の人検出部102により検出された人数1002が11人、2010年8月1日の8時33分の人検出部102により検出された人数1002が32人、…であることが示されている。ここで、期間T1(8時31分から8時35分まで)の平均人数1003が21人であるとする。同様に、期間T2の平均人数1003が25人、期間T3の平均人数1003が23人とする。これらの平均人数の値を周辺人数と称する。
【0034】
次に、視聴率計測部111の視聴人数計算部128における視聴人数の計算処理方法の一例について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
処理を開始すると(ステップS1101:START)、視聴率計測部111は、顔検出DB103から、計算対象の日時のデータを読み込む(ステップS1102)。ステップS1103で広告を視聴しているか否かを判定する。ここでは、図5で説明したように、計算対象の日時のデータから、顔の向き504と顔の大きさ506とが既定の設定内に入るなどの条件が揃えば、図9の処理で説明したように、広告を視聴しているものとする(ステップS1103でYes)。ステップS1103でNoの場合には、処理を終了する(END)。
【0036】
ステップS1103においてYESでステップS1104に進んだ場合には、前の時間の視聴者と同一人物か否かを判定し、一つ前の日時の計算結果と、性別502、年齢503、顔の向き504、顔の座標505、顔の大きさ506のズレが小さいものがある場合は同一人物として(ステップS1104でYes)、ステップS1105に進み、その人物の視聴時間を時間差の分だけプラスし、処理を終了する(END)。ステップS1104でNの場合にはステップS1106に進み、視聴者数をプラスし、処理を終了する(END)。
【0037】
ステップS1104の処理において、視聴人数比較部129において、例えば、図5のT1の期間において、2010年8月1日の8時31分の第1の男が年齢32歳、顔の向き+10°、顔の座標(32,56)で、顔の大きさが50であり、2010年8月1日の8時34分の第3の男が年齢32歳、顔の向き+10°、顔の座標(32,53)で、顔の大きさが47である場合には、第1の男と第3の男とは同一の人と見なすことができ、一方、図5のT1の期間において、2010年8月1日の8時31分の第2の男が年齢63歳、顔の向き−20°、顔の座標(44,63)で、顔の大きさが10であり、2010年8月1日の8時35分の第4の男が年齢50歳、顔の向き−25°、顔の座標(10,26)で、顔の大きさが25である場合には、ズレが大きいため、第2の男と第4の男とは同一人物とはみなさない。もちろん、第2、第4の男と第1、3の男も同一人物とはみなさない。このように、視聴者の顔の属性のズレが大きい場合は、異なる人物と推定できるため、広告を視聴していると図11で見なされる場合には、視聴人数としてプラスする(ステップS1106)。これらの処理を繰り返すことで、視聴人数と、視聴者ごとの視聴時間が得られ、一定時間以上、広告を視聴していた人の人数、すなわち、視聴人数を測定することができる。
【0038】
図12は、視聴率計測部111によって計測された情報を保持する広告視聴率DB112のデータ構成例を示す図である。時間帯1201毎に、視聴率計測部111は、人検出DB104から一定期間内に周辺にいた人の数を計算した値、すなわち図10の平均人数1003を周辺人数1202として、顔検出DB103から一定の期間内に広告を視聴していた人数の平均値を計算したものを視聴人数1203として格納する。視聴人数は、図11の処理等で求めることができる。
【0039】
この視聴人数1203を周辺人数1202で割った値が、広告媒体の広告視聴率1204となる。ここでは、図10で説明したように、期間T1における周辺人数1202が21人、視聴人数1203が1人であるから、期間T1における広告視聴率1204は約4.76%、期間T2における広告視聴率1204が16.00%、期間T3における広告視聴率1204は13.04%と求まる。
【0040】
尚、上記の顔検出人数(視聴人数)1203、平均人数(周辺人数)1202、広告視聴率1204の、時間毎の求め方は一例を示したものであり、期間Tは1分ごととしても良いし、また、平均人数(周辺人数)は、周辺人数計算部126により、期間T1における周辺人数の単純平均とする以外に、例えば期間T1における各時間(ここでは1分間)における周辺人数を求め、そこから視聴率を求めてから、視聴率の平均を期間T毎に求めるなどの様々な方法を用いることができる。また、周辺人数比較部127により、近い時間の前後のフレームで、人が大きく顔が移動している場合には、単なる通りすがりと判定して、平均人数のカウントには入れないようにして周辺人数計算部126の計算において考慮するようにしても良い。
【0041】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、看板やデジタルサイネージなどの広告媒体の効果を客観的に判断することができる。
【0042】
顔の大きさが大きいほど、広告を見ている可能性が高いため、重み付けの係数を大きくするなどのアルゴリズムや、顔の傾きが0度の近いほど、広告を見ている可能性が高いために、重み付け係数が大きくなるなどのアルゴリズムを用いると、より、精度の高い視聴率を求めることができる。
【0043】
尚、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0044】
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、広告効果測定装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
A…広告媒体(広告表示装置)
B…サーバ装置
101…顔検出部
102…人検出部
103…顔検出DB
104…人検出DB
107…カメラ
108…通信部
111…視聴率計測部
112…広告視聴率DB
300…広告媒体
301…カメラ
302〜305…人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告媒体の広告効果を測定する広告効果測定サーバであって、
広告媒体の前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から検出された人の顔に基づいて視聴人数を計測する視聴人数計算部と、
前記撮影部によって撮影された画像から検出された人の形に基づいて周辺人数を計算する周辺人数計算部と、
前記視聴人数計算部が計測した視聴人数と、前記周辺人数計測部が計測した周辺人数と、に基づいて、広告視聴率を計算する視聴率計算部と
を有することを特徴とする広告効果測定サーバ。
【請求項2】
前記視聴人数計算部は、
前記検出された人の顔の傾きが、所定の幅を有する広告を視聴可能であると判断される傾きの範囲内にある人のみをカウントすることを特徴とする請求項1に記載の広告効果測定サーバ。
【請求項3】
前記視聴人数計算部は、
前記検出された人の顔の傾きと顔の位置座標とに基づいて、所定の幅を有する広告を見ていると判断される傾きの範囲内にある人のみをカウントすることを特徴とする請求項1に記載の広告効果測定サーバ。
【請求項4】
前記視聴人数計算部は、
前記検出された人の顔が、所定の値よりも大きい人のみカウントすることを特徴とする請求項1に記載の広告効果測定サーバ。
【請求項5】
前記視聴人数計算部は、
時間的に前後の顔の傾き又は人の顔の大きさを比較する視聴人数比較部を有し、
前記視聴人数計算部は、前記視聴人数比較部により、前後の傾き又は人の顔の大きさを比較した結果が近似する場合には、同じ視聴者として視聴人数に加えないことを特徴とする請求項2又は3に記載の広告効果測定サーバ。
【請求項6】
前記視聴人数計算部は、
時間的に前後の周辺人数の座標位置を比較する周辺人数比較部を有し、
前記周辺人数計算部は、前記周辺人数比較部により、時間的に大きく位置が動いている人を、周辺人数としてカウントしないことを特徴とする請求項1に記載の広告効果測定サーバ。
【請求項7】
前記視聴率計算部は、所定の時間範囲内における視聴率を計算することを特徴とする請求項1に記載の広告効果サーバ。
【請求項8】
広告効果用データを測定可能な広告表示装置であって、
前記広告表示装置の前方を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像から、人の顔を検出する顔検出部と、
前記顔検出部が検出した顔のデータを格納する顔検出データベースと、
前記撮影部によって撮影された画像から、人の形を検出する人検出部と、
前記人検出部が検出した人のデータを格納する人検出データベースと、
前記顔のデータと前記人のデータを広告効果測定サーバに送信する通信部と
を有することを特徴とする広告表示装置。
【請求項9】
前記顔検出部は、
前記撮影された画像から、少なくとも、顔の大きさと、顔の傾きと、顔の座標とを求めることを特徴とする請求項8に記載の広告表示装置。
【請求項10】
前記顔検出部と前記人検出部は、ある時間毎に抽出する顔と人を集計することを特徴とする請求項8又は9に記載の広告表示装置。
【請求項11】
広告媒体の広告効果を測定する広告効果測定方法であって、
広告媒体の前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から検出された人の顔に基づいて視聴人数を計測する視聴人数計算ステップと、
前記撮影部によって撮影された画像から検出された人の形に基づいて周辺人数を計算する周辺人数計算ステップと、
前記視聴人数計算ステップが計測した視聴人数と、前記周辺人数計測ステップが計測した周辺人数と、に基づいて、広告視聴率を計算する視聴率計算ステップと
を有する
ことを特徴とする広告効果測定方法。
【請求項12】
広告効果用データを測定可能な広告表示装置による広告表示方法であって、
前記広告表示装置の前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から、人の顔を検出する顔検出ステップと、
前記顔検出ステップが検出した顔のデータを顔検出データベースに格納するステップと、
前記撮影部によって撮影された画像から、人の形を検出する人検出ステップと、
前記人検出ステップにおいて検出された人のデータを人検出データベースに格納するステップと、
前記顔のデータと前記人のデータを広告効果測定サーバに送信するステップと
を有することを特徴とする広告表示方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
広告媒体の広告効果を測定する広告効果測定システムであって、
広告媒体の前方を撮影する撮影部によって撮影された画像から検出された人の顔に基づいて視聴人数を計測する視聴人数計算部と、
前記撮影部によって撮影された画像から検出された人の形に基づいて周辺人数を計算する周辺人数計算部と、
前記視聴人数計算部が計測した視聴人数と、前記周辺人数計測部が計測した周辺人数と、に基づいて、広告視聴率を計算する視聴率計算部と
を有する広告効果測定サーバと、
広告効果用データを測定可能な広告表示装置であって、
前記広告表示装置の前方を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像から、人の顔を検出する顔検出部と、
前記顔検出部が検出した顔のデータを格納する顔検出データベースと、
前記撮影部によって撮影された画像から、人の形を検出する人検出部と、
前記人検出部が検出した人のデータを格納する人検出データベースと、
前記顔のデータと前記人のデータを広告効果測定サーバに送信する通信部と
を有することを特徴とする広告表示装置と、
を有することを特徴とする広告効果測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−123727(P2012−123727A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275802(P2010−275802)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】