説明

広域測位システム

受信機の位置を決定するためのシステム及び方法が記載される。測位システムは、測位信号をブロードキャストする送信機を含む送信機ネットワークを含む。測位システムは、測位信号及び/又は衛星信号を取得して追跡するリモート受信機を含む。衛星信号は衛星ベースの測位システムの信号である。リモート受信機の第1のモードは、リモート受信機が測位信号及び/又は衛星信号を使用して位置を計算する、端末ベースの測位を使用する。測位システムはリモート受信機に結合されたサーバーを含む。リモート受信機の第2の動作モードは、サーバーが測位信号及び/又は衛星信号からリモート受信機の位置を計算する、ネットワークベースの測位を含み、リモート受信機は測位信号及び/又は衛星信号を受信してサーバーに転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年9月10日に出願された米国(US)特許出願第61/095,856号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、2009年3月24日に出願された米国特許出願第61/163,020号の利益を主張する。
本発明は一般に測位システムに関連する。本発明は、特に広域測位システムに関連する。
【背景技術】
【0003】
全地球測位システム(GPS)のような測位システムが長年にわたって使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、貧弱な信号条件においては、これら従来の測位システムは性能が劣化することがあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
受信機の位置を決定するためのシステム及び方法が記載される。実施例の測位システムは、測位信号(positioning signals)をブロードキャスト(放送)する送信機を含む送信機ネットワークを含む。測位システムは、測位信号及び/又は衛星信号を取得して追跡するリモート受信機を含む。衛星信号は衛星ベースの測位システムの信号である。リモート受信機の第1のモードは、リモート受信機が測位信号及び/又は衛星信号を使用して位置を計算する、端末ベースの(terminal-based)測位(位置決め、positioning)を使用する。測位システムは、リモート受信機に結合されたサーバーを備える。リモート受信機の第2の動作モードは、サーバーが測位信号及び/又は衛星信号からリモート受信機の位置を計算する、ネットワークベースの測位を含み、リモート受信機は測位信号及び/又は衛星信号を受信しサーバーに転送する。
【0006】
実施例の位置を決定する方法は、リモート受信機において測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを受信することを含む。測位信号は複数の送信機を含む送信機ネットワークから受信される。衛星信号は衛星ベースの測位システムから受信される。当該方法は、端末ベースの測位及びネットワークベースの測位のうちの1つを使用してリモート受信機の位置を決定することを含む。端末ベースの測位は、測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを使用して、リモート受信機において、リモート受信機の位置を計算することを含む。ネットワークベースの測位は、測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを使用して、リモートサーバーにおいて、リモート受信機の位置を計算することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例による、広域測位システムのブロック図である。
【図2】実施例による、同期されたビーコンのブロック図である。
【図3】実施例による、リピーター構成を使用する測位システムのブロック図である。
【図4】代替的な実施例による、リピーター構成を使用する測位システムのブロック図である。
【図5】実施例によるタワー同期を示す。
【図6】実施例による、GPS統制された(GPS disciplined)PPS生成器のブロック図である。
【図7】実施例による、GPS統制された発振器である。
【図8】実施例による、PPSと、送信機のアナログ部がデータを送信することを可能にする信号との間の時間差をカウントする信号図(signal diagram)を示す。
【図9】実施例による、差動WAPSシステムのブロック図である。
【図10】実施例による、共通の視聴時間転送(view time transfer)を示す。
【図11】実施例による、双方向の時間転送を示す。
【図12】実施例による、受信機ユニットのブロック図である。
【図13】実施例による、RFモジュールのブロック図である。
【図14】実施例による、信号のアップコンバージョン及び/又はダウンコンバージョンを示す。
【図15】実施例による、測位システムにおけるクロック共有(clock sharing)を示すブロック図である。
【図16】実施例による、WAPSからGNSS受信機への支援転送(assistance transfer)のブロック図である。
【図17】実施例による、GNSS受信機からWAPS受信機への援助情報(aiding information)の転送を示すブロック図である。
【図18】実施例による、WAPS支援情報がWAPSサーバーから提供される例示的な構成である。
【図19】実施例による、h[n]において最初に到着するパス(経路)を推定する(見積もる、estimate)ためのフロー図である。
【図20】実施例による、基準相関関数を推定するためのフロー図である。
【図21】実施例による、雑音部分空間(ノイズサブスペース、noise sub-space)を推定するためのフロー図である。
【図22】代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【図23】別の代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【図24】さらに別の代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【図25】さらに別の代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【図26】実施例による、様々なシステムからの距離(レンジ、range)測定を使用するハイブリッド位置推定のブロック図である。
【図27】実施例による、様々なシステムからの位置推定値を使用するハイブリッド位置推定のブロック図である。
【図28】実施例による、様々なシステムからの距離(レンジ)及び位置の推定値の組み合わせを使用する、ハイブリッド位置推定のブロック図である。
【図29】実施例による、GNSS/WAPS位置及び/又は速度推定値の質が良好な場合におけるセンサーのドリフトバイアス(drifting bias)を較正するのを助けるために、WAPS/GNSSシステムから位置/速度推定値がフィードバックされる、ハイブリッド位置解決法を決定するためのフロー図である。
【図30】実施例による、明示的なフィードバックの必要なしにGNSSユニット及び/又はWAPSユニットにおいて位置/速度計算の一部として(バイアス、スケール(scale)及びドリフトなどの)センサーパラメーターが推定されるハイブリッド位置解決法を決定するためのフロー図である。
【図31】実施例による、センサー較正が個々の位置計算ユニットから分離されるハイブリッド位置解決法を決定するためのフロー図である。
【図32】実施例による、個々の位置計算ユニットの状態の一部としてセンサーパラメーター推定がなされるハイブリッド位置解決法を決定するためのフロー図である。
【図33】実施例による、WAPSと他のシステムとの間での情報の交換を示す。
【図34】実施例による、FM受信機とWAPS受信機との間での、位置、周波数及び時間の推定値の交換を示すブロック図である。
【図35】実施例による、WLAN/BT送受信機とWAPS受信機との間での、位置、時間及び周波数の推定値の交換を示すブロック図である。
【図36】実施例による、セルラー送受信機とWAPS受信機との間での、位置、時間及び周波数の推定値の交換を示すブロック図である。
【図37】実施例による、セッションキー設定のブロック図である。
【図38】実施例による、暗号化のためのフロー図である。
【図39】代替的な実施例による、暗号化のためのセキュリティアーキテクチャーのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、記載されるシステム及び方法についての完全な理解及びそれらについての役に立つ説明を提供するために、多数の特定の詳細が紹介される。しかし、当業者であれば、これらの特定の詳細のうち1つもしくは複数なしに、又は他のコンポーネント、システムなどにより、これらの実施例を実施することができることを認識するであろう。他の例において、開示された実施例の態様を不明瞭にするのを避けるべく、周知の構造又は動作は示されないか、又は詳細には記載されない。
【0009】
図1は、実施例による、測位システムのブロック図である。本明細書において広域測位システム(WAPS)又は「システム」と呼ばれる測位システムは、同期されたビーコンのネットワーク、ビーコン及び/又は全地球測位システム(GPS)衛星(及び、オプションとして、位置計算エンジンを有する)を取得して追跡する受信機ユニット、並びにタワーの指標、請求(billing)インターフェース、専用の(proprietary)暗号化アルゴリズム(及びオプションとして、位置計算エンジン)を含むサーバーを備える。システムは、認可された又は無認可の動作帯域で動作し、測位及びナビゲーションの目的のために専用の波形を送信する。WAPSシステムは、よりよい位置解のために他の測位システムとともに使用することができ、又は、WAPSシステムは、他の測位システムを支援するのに使用することができる。本明細書の文脈において、測位システムは、緯度の座標、経度の座標及び高度の座標のうち1つ以上を局地化するものである。
【0010】
本明細書において、「GPS」に言及される場合は常に、それは、Glonassなどの他の既存の衛星測位システムのほか、ガリレオ(Galileo)及びコンパス(Compass)/Beidouなどの将来の測位システムを含み得るGNSS(全地球型衛星ナビゲーションシステム)のより広い意味において言及されるものである。
【0011】
図2は、実施例による、同期されたビーコンのブロック図である。本明細書においてビーコンとも呼ばれる、実施例の同期されたビーコンは、CDMAネットワークを形成し、各ビーコンは、組み込まれた支援データのデータストリームを備えたゴールド符号系列などの、良好な相互相関特性を有する擬似乱数(PRN)シーケンスを送信する。代替的に、各ビーコン送信機からのシーケンスは、TDMAフォーマットで別個のスロットへ、間に合うように配置することができる。
【0012】
地上測位システムにおいて、克服すべき主要な課題のうちの1つは、近遠問題であり、受信機において、遠い送信機は近くの送信機によって妨害される(get jammed)。この問題に対処するために、実施例のビーコンは、近遠問題を軽減するためにローカル送信機が別個のスロット(TDMA)(及び、オプションとして、異なる符号(CDMA))を使用することができるCDMA技術及びTDMA技術の組み合わせを使用する。さらに遠く離れた送信機は、異なるCDMA符号を使用する一方で同じTDMAスロットを使用することを認められる。これにより、システムの広域なスケーラビリティが可能になる。TDMAスロッティング(slotting)は、保証された近遠性能のために決定論的であり得るし、又は良好な平均的な近遠性能を提供するためにランダム化され得る。搬送波信号はまた、任意の「近遠」問題に対処すべく符号の相互相関性能を改善するために何ヘルツかだけ(例えば、ゴールド符号の繰り返し周波数の一部)オフセットされてもよい。2つのタワーが同じTDMAスロットを使用するが異なる符号を使用する場合、受信機における相互相関は、より弱い信号を検出する前により強い信号の干渉除去を使用することによりさらに拒絶することができる。
【0013】
TDMAシステムの別の重要なパラメーターはTDMAスロット期間(slotting period)(TDMAフレームとも呼ばれる)である。具体的には、WAPSシステムにおいて、TDMAフレーム持続時間(frame duration)は、同じ送信機の2つの連続するスロット間の期間である。TDMAフレーム持続時間は、サービス区域(coverage area)に位置するのに必要な送信機スロットの数とTDMAスロット持続時間との積によって決定される。感度は単一のTDMAスロットによって必ずしも制限されないが、TDMAスロット持続時間は感度要件(sensitivity requirements)によって決定される。1つの例示的な構成は、TDMAフレーム持続時間として1秒を使用し、TDMAスロット持続時間として100msを使用してもよい。
【0014】
さらに、実施例のビーコンは、支援データを含むプリアンブルを使用することができ、又は、情報は、チャネル推定、順方向誤り検出及び/又は訂正に使用してデータをロバストにするのを助けることができる。実施例の支援データは以下のうち1つ以上を含むがこれらに限定されない:波形のパルスの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジにおける正確なシステム時間;タワーのジオコード(Geocode)データ(緯度、経度及び高度);隣接したタワーに関するジオコード情報及び区域において様々な送信機によって使用されるシーケンスの指標;送信機(オプション)及び近隣の送信機のためのクロックタイミング補正;ローカルの大気補正(atmospheric corrections)(オプション);GNSS時間に対するWAPSタイミングの関係(オプション);擬似距離の解明(resolution)において受信機を援助するための都市、都市近郊、ローカルの環境についての指示(オプション);並びに、PNシーケンスの基準指標(base index)又はゴールド符号系列に対する指標からのオフセット。ブロードキャストされる送信データフレームにおいて、安全性及び/又はライセンス管理の理由から単一の又は1組の受信機を停止させるための情報を含むフィールドが含まれてもよい。
【0015】
実施例の異なるビーコン及びタワーからの送信の送信波形タイミングは、共通のタイミング基準(timing reference)に対して同期される。代替的に、異なるタワーからの送信間のタイミングの差が知られ、送信されるべきである。支援データは、一定間隔で増加されるタイミングメッセージを例外として、データブロックの数及びサイズによって決定される間隔で繰り返される。支援データは、本明細書に詳細に記載されるように、専用の暗号化アルゴリズムを使用して暗号化されてもよい。拡散符号もさらなるセキュリティのために暗号化されてもよい。信号はアップコンバージョンされ、所定の周波数でブロードキャストされる。送信機の終端間の(end-to-end)遅延は、ビーコン間の差分遅延がおよそ3ナノ秒より小さくなることを保証するように正確に較正される。送信機の組をリスンする、調査された位置における差動WAPS受信機を使用して、その組の中の送信機について相対的なクロック補正を見つけることができる。
【0016】
実施例のタワー配置は、範囲及び位置の正確さのために最適化される。タワーの配置は、ネットワーク内及びネットワークの端におけるほとんどの位置の3つ以上のタワーから信号を受信するような方法で配置され、その結果、これらの位置の各々における精度の幾何学的希釈(GDOP)は、精度要求に基づく所定のしきい値未満である。RF計画調査を行うソフトウェアプログラムはネットワーク内及びネットワークの周りのGDOPについての分析を含むように増強される。GDOPは受信機位置及び送信機位置の関数である。ネットワーク設計(planning)にGDOPを組み入れる1つの方法は、以下のように最適化を設定することである。最小化されるべき関数は、範囲(カバレージ)の大きさ(体積、ボリューム、volume)にわたってGDOPの二乗の体積積分である。体積積分は受信機位置の(x、y、z)座標に関するものである。最小化はn個の送信機位置座標、i=1,...,nに対してxmin<x<xmax、ymin<y<ymax、zmin<z<zmaxであって、範囲体積についてxmin、ymin及びzminが下限であり、xmax、ymax及びzmaxが上限であるという範囲体積にあるという制約に従う所与のサービスエリアにおける(x、y、z)、(x、y、z)、...、(x、y、z)、に関するものである。最小化されるべき関数は、
【0017】
【数1】

【0018】
として書くことができる。
また、最小化されるべき関数は、カバレージ領域Rの重要性(すなわち、要求される性能品質)によって重み付けされてもよい。
【0019】
【数2】

【0020】
タワーの座標位置に対するさらなる制約は、所与の領域における既に利用可能なタワーの位置に基づいてもよい。すべての座標の座標化(coordinatization)は、通常、正のxとして平均的な東(average east)、正のyとして平均的な北(average north)及び正のzとして平均的な垂直上方(average vertical up)を備えたローカルレベルの座標系において行われてもよい。上記の制約された最小化問題を解決するソフトウェアは、関数fを最小化する最適化された送信機位置(x、y、z)、(x、y、z)、...、(x、y、z)を出力する。
【0021】
【数3】

【0022】
この技術は、(都市におけるような)広域ネットワーク又は(モールにおけるような)ローカル配置の両方に適用することができる。1つの例示的な構成において、送信機のネットワークは、各大都市圏の周りの三角形/六角形の配置においておよそ30kmの距離だけ離れている。各タワーは、対応するアンテナを介して、およそ20Wから1kWのEIRPまでの範囲で最大電力まで放射することができる。別の実施例において、タワーは特定の地域に限定する(ローカライズする、局地化する、localize)ことができ、1Wまで低い電力レベルで送信することができる。動作の周波数帯域は、無線スペクトルにおける任意の認可された帯域又は無認可の帯域を含む。実施例の送信アンテナは、ダイバーシティ、セクター化などに役立ち得る全方向アンテナ、又は複数のアンテナ/アレイを含む。
【0023】
隣接するタワーは、送信するのによい又は代替的に異なる時間において同じシーケンスを送信するのによい相互相関特性を備えた異なるシーケンスを使用することにより区別される。これらの区別技術は、組み合わせて、所与の地理的区域だけに適用することができる。例えば、異なる地理的区域のネットワークを介して同じシーケンスを再利用してもよい。
【0024】
ローカルのタワーは実施例の広域ネットワークタワーを増強するために所与の地理的区域に配置することができる。ローカルのタワーは、使用されると、測位の精度を改善することができる。ローカルのタワーは、キャンパスのような環境に配置してもよいし、又は、数10メートルから数キロメートルまでの範囲の距離だけ離して、公衆安全の要求のために配置されてもよい。
【0025】
位置解決法からのよりよい品質の高度推定を容易にするために、タワーは、好ましくは、(同様の高さではなく)多様な高さに配置される。異なる高さを有する異なる緯度/経度における送信機に加えて、タワーに対して高さの多様性を加えるための別の方法は、異なる高さにおける(同一の緯度及び経度を備えた)同じ物理的なタワー上に(異なる符号シーケンスを使用して)複数のWAPS送信機を有することである。同じタワー上の送信機は近遠問題を生じないので、同じ物理的なタワー上の異なる符号シーケンスは同じスロットを使用することができることに注目されたい。
【0026】
WAPS送信機は、(セルラータワーなどの)1つ以上の他のシステムに使用される既存の又は新たなタワーに配置することができる。WAPS送信機配置コストは、同じ物理的なタワー又は位置を共有することにより最小化することができる。
【0027】
(例えば、倉庫やモールなどの)特定の地域に限定された領域における性能を改善するために、追加のタワーを、広域の範囲に使用される送信機を増強するためにその領域に配置することができる。代替的に、全送信機を設置するコストを低減するために、関心のある領域にリピーター(repeater)を配置することができる。
【0028】
上述の測位に使用される送信ビーコン信号がWAPSだけのために構築された送信機である必要はないが、もともと時間的に同期される任意の他のシステム又は追加のタイミング・モジュールを介して同期が増強されるシステムからの信号であり得ることに留意されたい。代替的に、当該信号は、相対的な同期を基準受信機によって決定することができるシステムからのものであり得る、これらのシステムは、例えば、既に配置されるかもしれないし、又は付加的な同期能力をもって新たに配置されるかもしれない。そのようなシステムの例は、デジタルテレビ及びアナログテレビ又はメディアフロー(MediaFlo)などのブロードキャストシステムであってもよい。
【0029】
図3は、実施例による、リピーター構成を使用する測位システムのブロック図である。リピーター構成は次のコンポーネントを含む:
1)共通のWAPS受信アンテナ(アンテナ1)
2)様々なWAPS送信機アンテナ(ローカルアンテナ1−4)に接続するRFパワー増幅器及びスプリッター/スイッチ
3)WAPSユーザー受信機
アンテナ1は、ローカルアンテナ1−4へのコンポジット信号(合成信号、composite signal)を受信し、増幅し、ローカルアンテナ1−4に分配する。(好ましくは)ユーザー受信機における異なるリピーターからの送信のオーバーラップ(衝突)がないような方法で、スイッチングが行われるべきである。送信の衝突は、ガードインターバルの使用を通じて回避することができる。スイッチから送信アンテナまでの既知のケーブル遅延は、すべてのローカルリピーターについての全体の遅延を均一にするためにリピーター−増幅器−送信機において遅延を加算すること、又は、ユーザー受信機におけるケーブル遅延だけ、特定のリピーターからの推定される到着時間を調節することによって、補償されるべきである。TDMAが広域WAPSネットワークにおいて使用される場合、各広域スロット(各スロットは1つの広域WAPSタワーを含む)がすべてのリピータースロットにおいて生じるように、リピータースロットのスイッチングレートが選択される。1つの例示的な構成は、広域TDMAフレーム持続時間の倍数(multiple)に等しいリピータースロット持続時間を使用するであろう。具体的には、広域TDMAフレームが1秒である場合、その後リピータースロットは整数の秒数であり得る。この構成は最も単純であるが、ケーブル上のRF信号分配の要件のため、小さな制限された領域における配置にのみ適している。ユーザーWAPS受信機は、リピータースロット期間中の静的な(又は準静的な)仮定の下で位置及び作業を計算するためにリピータータワーをリスンする場合に、到着の時間差を使用する。送信がリピーターからのものであるという事実は、各WAPSタワー信号が1つのリピータースロットから次のものまで同じタイミング差(ジャンプ)を示すという事実によって自動的に検出することができる。
【0030】
図4は、代替的な実施例による、リピーター構成を使用する測位システムのブロック図である。この構成において、各リピーターは、WAPSリピーター−受信機及びローカルのアンテナ(例えば、それは屋内にあってもよい)を備える関連するカバレージ増大WAPS送信機を含む。WAPSリピーター受信機は、WAPSシステム・タイミング情報のほか、1つの広域WAPS送信機に対応するWAPSデータストリームを抽出することができるはずである。1つの広域WAPS送信機に対応するWAPSシステム・タイミング及びデータは、その後(例えば、異なる符号及び同じスロットを使用して)WAPS信号を再送信することができる対応するローカルエリアWAPS送信機に渡される。当該送信機は、ローカルアンテナの緯度、経度及び高度など、追加のデータをその送信に含める。この構成において、WAPSユーザー受信機動作(距離測定及び位置測定)は、信号がリピーターからやって来るという事実に対してトランスペアレントであってもよい。リピーターにおいて使用される送信機は、GNSSタイミングを抽出するためにそれがGNSSタイミング・ユニットを持つ必要がないという点において、完全なWAPSビーコンより安価であることに注目されたい。
【0031】
受信機ユニットの動作モードに依存して、端末ベースの測位又はネットワークベースの測位のいずれかがシステムによって提供される。端末ベースの測位において、受信機ユニットは、受信機自体上でユーザーの位置を計算する。これは、どこで曲がるのかの指示(turn-by-turn directions)、ジオ・フェンシング(geo-fencing)などの応用に役立つ。ネットワークベースの測位において、受信機ユニットはタワーから信号を受信し、ユーザーの位置を計算するために受信された信号をサーバーに通信又は送信する。これは、E911、集中型のサーバーによる資産の追跡及び管理などの応用において有用である。サーバーにおける位置計算は、ほぼリアル・タイムで行うことができ、又は、サーバーにおける精度を改善するために多くのソース(例えば、GNSS、差動WAPSなど)からのデータにより後処理することができる。WAPS受信機はまた、ネットワークベースの測位を容易にするために、(例えば、SUPLセキュアユーザープレーンサーバー(SUPL Secure User PLane server)と同様に)サーバーから情報を提供し得ることができる。
【0032】
実施例のタワーは、互いに同期を自律的に維持するか、又はネットワークベースの同期を使用する。図5は実施例によるタワー同期を示す。次のパラメーターは同期の態様について記述するのに使用される。
【0033】
システム送信機時間=tWAPSーtx
絶対時間基準=tWAPS_abs
時間調整=Δsystem=tWAPSーtx−tWAPS_abs
絶対時間基準に対してWAPSシステム時間を同期させることが不可欠ではないことに留意されたい。しかし、すべてのWAPS送信機は共通のWAPSシステム時間に対して同期される(すなわち、すべてのWAPS送信機の相対的なタイミング同期)。(もしあれば)WAPSシステム時間に関する各送信機のタイミング補正が計算されるべきである。タイミング補正は、電波(air)WAPS支援送信を介して直接的に、又は他のある通信手段を介して、受信機にとって利用可能にされるべきである。その支援は、例えば、セルラー(又は他の)モデムを介して、又は(イリジウム、デジタルTV、メディアフローもしくはセルラーシステムのブロードキャストチャネルなどの)システムからのブロードキャストデータを介して、WAPS受信機に配信することができる。代替的に、タイミング補正はサーバーへ送信することができ、サーバーにおいて位置を計算する場合に使用することができる。実施例のタワー同期の記述がそれに続く。
【0034】
ネットワークベースの同期の下では、タワーはローカルエリアで互いに同期する。本明細書に詳細に記載されるように、タワー間の同期は、一般に、(よりよい時間分解能のために、搬送波上に任意の形式の変調を使用して変調することができ及び/又は拡散符号を使用して拡散することができ、次に搬送波を変調する)パルスの送信及び受信機上でパルスのエッジに同期することを含む。
【0035】
実施例の自律的な同期モードにおいて、タワーはローカルタイミング基準を使用して同期される。例えば、タイミング基準は以下のうちの1つであり得る:GPS受信機;非常に正確なクロックソース(例えば、原子クロックソース);現地(ローカル)時間ソース(例えば、GPS統制されたクロック);及び、信頼できるクロックソースの任意の他のネットワーク。正確に時間同期される、XM衛星無線機、LORAN、eLORAN、テレビ信号などからの信号の使用は、タワーの粗いタイミング基準として使用することができる。1つの実施例における例として、図6は、実施例による、ルビジウム、セシウム又は水素マスターなどの正確な/安定しているタイミングソースを統制するために使用されるGPS受信機からのPPSパルス・ソースのブロック図である。代替的に、図7に示されるように、GPS統制されたルビジウムクロック発振回路を使用することができる。
【0036】
図6を参照すると、正確なクロックソースにおけるPLLの時定数は、よりよい短期的な安定性(又は、同等に、短期的なGPS PPS変化のフィルタリング)を提供する十分に大きな数字(例えば、0.5−2時間の範囲内)に設定され、GPS−PPSは、より長期的な安定性及び広域の「粗い(coarse)」同期を提供する。送信機システムは、(GPSユニットからの及び正確なクロックソースからの)これらの2つのPPSパルスを連続的に監視し、いかなる異常(偏差、anormaly)も報告する。その異常は、2つのPPSソースが数時間の間ロックされた後に、PPSソースのうちの1つが、タワーネットワーク管理者により決定される所与の時間閾値によりもう一方のソースから離れてドリフトすることかもしれない。異常を検出するために第3のローカルクロックソースを使用することができる。異常な挙動の場合、正しい挙動を示すPPS信号が、送信機システムによって選択され、監視ステーションへ報告される。また、正確な時間ソースの(当該時間ソースによって報告される)PPS入力とPPS出力との間の瞬間的な時間差は、送信機によってブロードキャストすることができ、又は後処理をする際に使用されるべきサーバーへ送信することができる。
【0037】
送信機システムにおいて、PPSパルス入力の立ち上がりエッジと送信機のアナログ部がデータを送信することを可能にする信号の立ち上がりエッジとの間の時間差は、内部で生成される高速クロックを使用して測定される。図8は、実施例による、PPSと、送信機のアナログ部がデータを送信することを可能にする信号との間の時間差をカウントするための信号図を示す。その差を表すカウントは、データストリームの一部としての受信機の各々へ送信される。ルビジウム時計(当該時計は時間/日にわたって安定している)などの非常に安定したクロック基準の使用により、システムは、装置が特定のタワー・データをこれ以上変調することができない万一の場合に備えて、装置上でタワーごとにこの補正を格納/送信することが可能となる。利用可能なものがある場合、この補正データはまた、通信媒体を介して装置へ送信することができる。タワーからの補正データは、基準受信機又は他のタワーのブロードキャストをリスンするタワー上に取り付けられた受信機のいずれかによって監視することができ、集中型のサーバーに伝えることができる。タワーはまた、その後に装置への通信リンクを介してそれらのタワーの近くで装置へこの情報を広めることができる集中型のサーバーにこのカウント情報を周期的に送信することができる。代替的に、サーバーは、近隣のタワーのための支援情報としてこの情報をブロードキャストすることができるように(例えば、現場における)タワーからの情報を近隣のタワーへ渡すことができる。近隣のタワーのための支援情報は、近辺のタワーに関する、(タワーが静的であるので)位置情報及びタイミング補正情報を含み得る。
【0038】
別の実施例において、広域差動測位システムはタワーからのタイミング誤差を補正するために使用することができる。図9は、実施例による、差動WAPSシステムのブロック図である。(あらかじめ調査された位置に配置された)基準受信機は、近辺のすべてのタワーからの信号を受信するために使用される。差動GPSの原理はこの方法に適用されるが、地上の場合における非ライン・オブ・サイト(non-line-of-sight)の影響へ対処することは、それを独自のものにする。各タワーについての基準受信機の擬似距離(符号位相)測定値は、時間タグ付けされて、その後サーバーへ送信される。タワーj及びiの基準受信機において測定された受信符号の位相ベースの距離は以下のように書くことができる:
【0039】
【数4】

【0040】
ここで、
【0041】
【数5】

【0042】
はタワーjの幾何学的距離を送信するための基準受信機であり、dtref及びdtはそれぞれ共通基準時間(例えば、GPS時間)に関してそれぞれのアンテナに参照される基準受信機クロックオフセット及び送信機クロックオフセットであり、cは光の速度であり、
【0043】
【数6】

【0044】
は測定ノイズである。
タワーi及びjの間のクロックタイミングの差、dt−dtは、上の2つの式を差し引いて、基準受信機から送信タワーまでの既知の幾何学的距離を使用することにより、サーバーにおいて計算される。これにより、ローバー(rover)/移動局測定における送信機間のタイミング差の除去が可能になる。送信タワーにおいて使用されるクロックが比較的安定している場合、時間差dt−dtのよりよい(例えば、雑音の少ない)推定値を得るために、時間にわたる平均化を使用することができることに留意されたい。
【0045】
ローバー/移動局の擬似距離測定値はまた、時間タグ付けされ、サーバーへ送られる。ローバー/移動局において測定された受信符号の位相ベースの距離は、次のように書くことができる:
【0046】
【数7】

【0047】
上の2つの式を差し引いて再編成することによって、その結果は
【0048】
【数8】

【0049】
となる。
【0050】
【数9】

【0051】
及び
【0052】
【数10】

【0053】
が測定された量であり、量dt−dtが基準受信機測定値から計算されることに留意されたい。
【0054】
【数11】

【0055】
及び
【0056】
【数12】

【0057】
の各々は、受信機の未知の座標及び送信タワーi及びjの既知の座標の観点から書くことができる。3つの距離測定により、2つの距離差の式は上述のように形成して2次元の位置解を得ることができ、また、4つの距離測定により、3つの距離差の式は上述のように形成して3次元の位置を得ることができる。さらなる測定により、最小二乗解(least square solution)は、雑音量
【0058】
【数13】

【0059】
及び
【0060】
【数14】

【0061】
の影響を最小化するために使用することができる。
代替的に、タイミング差の補正は、その場で誤差を補正するため及び移動局における位置計算を容易にするために移動局へ返送することができる。差分補正は、基準局と移動局の両方によって見ることができるのと同じ多くの送信機に適用することができる。この方法は、概念的に、システムがタワー同期なしに動作することを可能にすることができ、又は代替的に、大まかに同期されたシステムにおいて任意の残存クロック誤差を補正することを可能にすることができる。
【0062】
別の手法は、上述の差分手法と対照的なスタンドアロン手法である。タイミング同期を確立する1つの方法は、特定の地域の各送信タワーにおけるGPSタイミング受信機に同じ地域のDGPS基準受信機からのDGPS補正値を受信させることによるものである。既知の位置に設置されるDGPS基準受信機は、それ自身のクロックを基準クロックとして考慮し、それが追跡するGPS衛星への擬似距離測定値に対する補正値を見つける。特定のGPS衛星についてのDGPS補正値は、通常、衛星位置及びクロック誤差並びに電離圏及び対流圏の遅延による全誤差を含む。DGPS基準受信機とGPS衛星との間のライン・オブ・サイトがこの付近内の方向においてあまり変わらないので、この全誤差は、DGPS基準受信機の付近(通常、中心にDGPS受信機を備えた約100kmの半径の領域をもつ)において他のGPS受信機によってなされる任意の擬似距離測定に対して同じになる。したがって、特定のGPS衛星についてDGPS基準受信機によって送信されたDGPS補正値を使用するGPS受信機は、その衛星のその擬似距離測定値からこの全誤差を取り除くために補正値を使用する。しかし、そのプロセスにおいて、それは、GPS時間に関してDGPS基準受信機のクロックバイアスをその擬似距離測定値へ加えるであろう。しかし、このクロックバイアスがすべてのDGPS擬似距離補正について共通であるので、異なるGPS受信機のタイミングソリューションに対するその効果は共通のバイアスである。しかし、この共通のバイアスは、異なるGPS受信機のタイミングにおいて相対的なタイミング誤差を与えない。特に、これらのGPS受信機が(既知の位置における)タイミングGPS受信機であるならば、それらはすべてDGPS基準受信機のクロックに同期される。これらのGPSタイミング受信機が異なる送信機を駆動する場合、その送信はまた同期される。
【0063】
DGPS基準受信機からの補正値を使用する代わりに、広域増強システム(WAAS)衛星によって送信される同様の補正値は、GPSタイミング受信機によって使用されて、それらが駆動する送信機の送信を同期させることができる。WAASの利点は、基準時間が、DGPS基準システムのそれではなく、正確な原子時計の組によって維持されるようなGPS時間自体であるということである。
【0064】
広域にわたるタワー間の正確な時間同期を達成することに対する別の手法は、タワー対間のタイミングを確立するために時間転送技術を使用することである。適用することができる1つの技術は、「共通の視聴時間転送」と呼ばれる。図10は、実施例による、共通の視聴時間転送を示す。共通の衛星の視界を有する送信機中のGPS受信機がこの目的のために使用される。共通の視界にある衛星のタワーの各々からの符号位相及び/又は搬送波位相測定値は、GPS受信機によって周期的に(例えば、最低限毎秒一度)時間タグ付けされ、これらの測定値が分析されるサーバーへ送信される。
【0065】
観察できるGPS符号(衛星「i」によって発せられ、受信機「p」によって観察される信号)
【0066】
【数15】

【0067】
は、次のように書くことができる:
【0068】
【数16】

【0069】
ここで
【0070】
【数17】

【0071】

【0072】
【数18】

【0073】
と等しい受信機衛星の幾何学的距離であり、
【0074】
【数19】

【0075】
は信号受信時間における受信機アンテナ位置であり、
【0076】
【数20】

【0077】
は信号放射時における衛星位置を表し、
【0078】
【数21】

【0079】
及び
【0080】
【数22】

【0081】
は、それぞれ、電離圏の及び対流圏の遅延であり、
【0082】
【数23】

【0083】
及び
【0084】
【数24】

【0085】
は受信機及び衛星ハードウェアの群遅延である。変数
【0086】
【数25】

【0087】
は、アンテナ、受信機にそれを接続するケーブル及び受信機自体内の遅延の影響を含む。さらに、dt及びdtはそれぞれGPS時間に関する受信機及び衛星のクロックオフセットであり、cは光速であり、εは測定雑音である。
【0088】
共通の視聴時間転送方法は単一の差分符号観測量
【0089】
【数26】

【0090】
を計算し、それは、2つの受信機(「p」及び「q」と呼ばれる)において同時に測定される符号観測量間の差
【0091】
【数27】

【0092】
である。単一の差分観測量を計算する際に、衛星における群遅延時間のほか衛星のクロック誤差が取り消される。また、上記の式において、対流圏及び電離圏の摂動がキャンセルする(又は、例えば受信機の分離が大きい場合にモデル化することができる)ことに注目されたい。受信機間の群遅延差が一旦較正されると、受信機クロック間の所望の時間差c(dt−dt)は当該式から見つけることができる。複数の時間及び衛星測定値にわたる単一の差は、推定される時間差の品質をさらに改善するために組み合わせることができる。
【0093】
同様の方法で、共通の視聴時間転送のための単一の差分搬送波位相方程式は、次のように書くことができる
【0094】
【数28】

【0095】
初期位相の曖昧性及び整数曖昧性(整数バイアス、integer ambiguity)が上式中に存在するので、時間転送を直接的に決定するために位相の単一の差を使用することができないことに注目されたい。符号と位相の観察結果の組み合わせた使用により、符号からの時間差に関する絶対的な情報及び搬送波位相からの時間差の発生に関する正確な情報を利用することが可能になる。搬送波位相の単一の差における誤差分散(error variance)はよりよい時間転送追跡につながる符号位相の単一の差よりかなり良好である。
【0096】
所与の衛星についてのタワーごとの結果として生じる誤差は、補正のためにタワーに送り返されるか、タワーにおいて適用されるか、受信機によって行われるべき追加の補正のために通信リンクを介して受信機へ送信されるか、又はタワーからの他のタイミング補正値とともにブロードキャストメッセージとして送信される。特定の例において、それは、タワー及び受信機からの測定値が、よりよい位置精度のためにサーバー上で後処理されるようなものであってもよい。Ll及び/又はL2又はGalileo/Glonassなどの他の衛星システムからC/A符号測定値及び/又は搬送波位相測定値を生成する単一チャネルGPSタイミング受信機又は多重チャネルタイミング受信機は、共通の視聴時間転送のこの目的のために使用することができる。多重チャネルシステムにおいて、共通の視界における複数の衛星からの情報は受信機によって同時に得られる。
【0097】
「共通の視聴時間転送」における代替的な機構は、(各々が対応する送信機に供給を行う)ローカルエリア中の異なるタイミングGPS受信機がそのタイミングパルス導出(derivation)(例えば、1パルス/秒)において共通の衛星だけを使用するが、GPS(又はUTC)秒に合わせるべきタイミングパルスを補正するための試みがなされないことを保証することである。共通の視聴衛星の使用は、(共通のGPS衛星位置、クロック誤差並びに電離圏及び対流圏の遅延補償誤差などの)タイミングパルスにおける共通の誤差が、ほぼ同じ大きさだけタイミングパルスにおける誤差を取る(pull)ことを保証し、タイミングパルス中の相対誤差が低減される。測位の際、相対的なタイミング誤差のみが問題であるので、サーバーベースのタイミング誤差補正の必要はない。しかし、サーバーは、タイミングパルスを導出する際にGPS衛星が使用されるべきである異なるGPS受信機にコマンドを与えることができる。
【0098】
時間転送の代替的な方法は「双方向の時間転送」技術である。図11は、実施例による双方向の時間転送を示す。互いに対して時間を計るのに使用される2つのタワーを考える。2つの送信機の各々からの送信はPPSパルスにおいて開始し、時間間隔カウンターは送信タワーの受信部(WAPS受信機)上で開始される。受信された信号は、両側において時間間隔カウンターを停止させるのに使用される。時間間隔カウンターからの結果はWAPSサーバーへデータモデムリンクを介して送信され、送信時間に沿ってこれらの結果が比較され、2つのタワー間のタイミングの誤差を計算することができる。その後、これは、任意の数のタワーに拡張され得る。この方法において、タワーiにおけるΔT及びタワーjにおけるΔTという反対の測定値の間の関係、及びi及びjにおけるクロック間の時間差dtijは、
【0099】
【数29】

【0100】
として表すことができ、ここで
【0101】
【数30】

【0102】
及び
【0103】
【数31】

【0104】
はタワーの送信機遅延であり、
【0105】
【数32】

【0106】
及び
【0107】
【数33】

【0108】
はタワーの受信機遅延である。送信機と受信機の遅延が一旦較正されると、時間差を推定することができる。
タワー間の時間転送に加えて、GPS時間に対するタワーのタイミングは、共通の視聴時間転送において使用されるGPSタイミング受信機によって見つけることができる。
【0109】
【数34】

【0110】
のように距離測定値を使用して、受信機の遅延、衛星クロック誤差及び電離圏/対流圏の誤差を計上した後、GPS時間dtに対するローカルクロックの時刻補正が計算される。受信機δR,pの遅延は群遅延の測定によって較正することができる。GPS衛星ナビゲーションメッセージからの情報(復調によって又はサーバーから得られる)は、dt及び
【0111】
【数35】

【0112】
の影響を除去する衛星タイミング補正を計算するために使用することができる。同様に、対流圏及び電離圏の遅延効果は、外部モデルからの補正値を使用して最小化される。電離圏の補正は例えばWAASメッセージから得ることができる。代替的に、クロック及び電離圏/対流圏の補正の組み合わせは、利用可能な場合、擬似距離のためのRTCM DGPS補正から得ることができる。
【0113】
GPS時間に対するオフセットもまた、タワーからデータストリームの一部として送信することができる。これにより、WAPS信号を取得する任意のWAPS受信機は、GNSS受信機におけるGNSS調査要件(search requirements)を低減するために助けとなる、正確なGPS時間及び周波数を提供することができる。
【0114】
システムの実施例において、ブロードキャスト送信機は局在化した屋内の位置決定を提供するためだけに(ad hoc)使用することができる。例えば、火災時の安全確保用途において、WAPS送信機は3つ以上のブロードキャスト局(例えば、消防自動車であってもよい)に配置される。タワーは、先に述べられた多くの手段及びブロードキャスト信号のうちの1つによって互いに同期する。帯域幅及びチッピングレート(chipping rates)は、その時におけるその用途についてのその領域におけるスペクトル利用可能性及び精度要件に基づいて見積もられる。受信機は装置への通信リンクを介してシステムパラメーターを通知される。
【0115】
図12は実施例による受信機ユニットのブロック図である。ビーコン信号は、受信機ユニット上のアンテナにおいて受信され、ダウンコンバートされ、復調され、(暗号)解読され、測位エンジンへ供給される。受信機は、信号を正確に再構築するためのすべての情報を提供する。受信アンテナは全方向アンテナであってもよく、又は、代替的に、ダイバーシティを提供する多くのアンテナ/アレイなどであってもよい。別の実施例において、ミキシング及びダウンコンバーションはデジタルドメインにおいて行うことができる。各受信機ユニットは独自のハードウェア識別番号及びコンピュータにより生成される秘密鍵を含むか又は使用する。一般に、各受信機ユニットは、最後の幾つかの位置を不揮発性メモリーに格納し、後に当該最後の幾つかの格納された位置について遠隔に問い合わせることができる。所与の領域におけるスペクトルの利用可能性に基づいて、送信機及び受信機は利用可能な帯域幅に適合し、よりよい精度及びマルチパス送信のためにチッピングレート及びフィルター帯域幅を変えることができる。
【0116】
1つの実施例において、受信される信号のデジタルベースバンド処理は、WAPS RFモジュールを備えたGPS RF部からの信号を多重化/供給することにより、市販のGPS受信機を使用して遂行される。図13は、実施例による、WAPS RFモジュールを備えた受信機のブロック図である。幾つか例を挙げると、RFモジュールは、低雑音増幅器(LNA)、フィルター、ダウンコンバーター及びアナログ・デジタル変換器のうち1つ以上を含む。これらのコンポーネントに加えて、信号は、さらに、チップもしくはカスタムASIC上、FPGA上、DSP上又はマイクロプロセッサー上での追加処理を使用して、GPS受信機の入力要件に適合するように調整することができる。信号の調整は、(ACI−隣接チャネル干渉などの)帯域内又は帯域外ノイズについてのデジタルフィルタリングをすること、WAPS受信機の周波数からのGPS ICへの入力の中間周波数又はベースバンド周波数を変換すること、GPS ICがWAPS信号を処理することができるようにデジタル信号の強度を調節すること、WAPSフロントエンドを制御するための自動利得制御(AGC)アルゴリズムなどを含んでもよい。特に、これによってWAPS RFモジュールが任意の市販のGPS受信機とともに動作することが可能になるので、周波数変換は非常に有用な特徴である。別の実施例において、WAPSシステムのための信号調整回路を含む全体のRFフロントエンド・チェーン(鎖、frontend chain)は、GPS RFチェーンを含む既存のGPSダイの上に統合することができる。
【0117】
別の実施例において、デジタルベースバンド入力へのアクセスが利用可能でない場合、信号は任意の帯域からGPS帯域にアップコンバート/ダウンコンバートすることができ、GPS受信機のRF部に供給することができる。図14は実施例による信号のアップコンバーション及び/又はダウンコンバーションを示す。
【0118】
別の実施例において、複数のRFチェーン又は調整可能なRFチェーンは、広域でもローカルでも、所与の領域における動作の最も有効な周波数を使用するように、WAPSシステムの送信機及び受信機の両方に加えることができる。周波数の選択は、スペクトル、伝播要件などの清浄度(cleanliness)によって決定することができる。
【0119】
無線フロントエンドはWAPSと他のアプリケーションとの間で共有することができる。フロントエンドの幾つかの部分は共有することができ、幾つかは相互排他的な基準で使用されてもよい。例えば、ダイ/システムがアンテナを含むテレビ(NTSCもしくはATSC又はDVB−H、メディアフローなどのシステム)チューナーフロントエンドを既に有する場合、テレビチューナー無線機及びアンテナはWAPSシステムと共有することができる。それらは、システムが所与の時間においてテレビ信号を受信するか又はWAPS信号を受信するという点で、相互排他的な基準で動作することができる。別の実施例において、それがそのようなシステムにWAPS RFセクションを加えることをより簡単にする場合、アンテナは、テレビチューナーとWAPSシステムとの間で共有することができ、両方のシステムが同時に動作することを可能にする。システム/ダイがFM無線機などの無線機を有する場合ににおいて、RFフロントエンドはWAPSシステム及びFM無線機の両方を提供するために修正することができ、これらの無線機は相互排他的な基準で動作することができる。同様の修正は、WAPS RF帯域に近い近接する周波数で動作する幾つかのRFフロントエンドを有するシステムに対して行うことができる。
【0120】
GNSSサブシステムに使用される、水晶、水晶発振器(XO)、電圧制御された温度補償型水晶発振器(VCTCXO)、デジタル制御された水晶発振器(DCXO)、温度補償型水晶発振器(TCXO)などのクロックソース基準は、WAPS受信機に基準クロックを提供するためにWAPS受信機と共有することができる。この共有はダイ又はオフチップ(off-chip)において行うことができる。代替的に、携帯電話についての任意の他のシステムによって使用されるTCXO/VCTCXOは、WAPSシステムと共有することができる。図15は、実施例による、測位システムにおけるクロック共有を示すブロック図である。送受信機又はプロセッサーシステムブロックが様々なシステムを指すことができることに留意されたい。WAPSシステムとクロックを共有する送受信機システムは、モデム送受信機(例えば、セルラーモデム、WLANモデムもしくはBTモデム)又は受信機(例えば、GNSS受信機、FM受信機もしくはDTV受信機)であってもよい。これらの送受信機システムは、オプションとして、周波数制御のためにVCTCXO又はDCXOを制御してもよい。送受信機システム及びWAPSシステムが単一のダイへ統合されてもよく、又は別個のダイであってもよく、クロック共有に影響を与えないことに留意されたい。プロセッサーは、クロックソースを使用する(ARMサブシステム、デジタル信号プロセッサーシステムなどの)任意のCPUシステムであってもよい。一般に、VCTCXO/DCXOが共有される場合、他のシステムによって適用される周波数補正は、WAPS動作を容易にするためにできるだけ大きく減速されてもよい。具体的には、WAPS受信機において使用される最大積分時間内の周波数更新は、WAPS受信機のよりよい性能(すなわち、SNR損失を最小化する)を可能にするために制限され得る。WAPS受信機の状態に関する情報(特に、使用される積分のレベル、WAPSシステムの取得対追跡状態(acquisition versus tracking state))は、周波数更新についてのよりよい調整のために他のシステムと交換することができる。例えば、周波数更新はWAPS取得段階中に一時停止することができ、又はWAPS受信機がスリープ状態である場合に周波数更新は予定され得る。通信は、制御信号の形式又は代替的にメッセージの形式で、送受信機システムとWAPSシステムとの間で交換することができる。
【0121】
WAPSは、WAPS及び従来のGPSシステムの両方をサポートするために従来のGPS受信機のベースバンドハードウェアを修正する必要のない方法で、タワーから信号及びメッセージをブロードキャストする。このことの重要性は、WAPSシステムはGPS C/A符号システム(チップレートに影響する)の利用可能な帯域幅の半分のみを有するが、WAPSブロードキャスト信号は商用品質のC/A符号GPS受信機の限界内で動作するように構成されるという事実にある。さらに、信号の利用可能性に基づいて、アルゴリズムは、位置を決定するためにGPS信号が使用されるべきか、又は、WAPS信号もしくはその組み合わせが最も正確な位置を得るために使用されるべきであるかを決定する。
【0122】
WAPSシステム上でゴールド符号に加えて送信されるデータは、ハイブリッドGNSS−WAPS使用の場合にGNSSについて支援情報を送信するために使用することができる。当該支援はSV軌道パラメーター(例えば、天体位置表及び天体暦)の形式であってもよい。当該支援はまたローカルエリアにおいて可視のSVに特化されてもよい。
【0123】
さらに、WAPSシステムから得られるタイミング情報は、GNSSシステムのために繊細な(fine)時間支援として使用することができる。WAPSシステムのタイミングがGPS(又はGNSS)時間に合わせられるので、WAPS信号の符号及びビットに合わせること及び任意のタワーからデータストリームを読み取ることは、GNSS時間についての粗い知識を提供する。加えて、位置解決法(受信機のクロックバイアスは位置解決法の副産物である)は、WAPSシステム時間を正確に決定する。一旦WAPSシステム時間が知られると、繊細な時間支援をGNSS受信機に提供することができる。タイミング情報は、そのエッジがWAPSの内部時間基準に結び付けられる単一のハードウェア信号パルスを使用して、転送することができる。GPS時間に(より一般的には、GNSSシステムの時間基準が直接関連づけられるので、GNSS時間とともに)WAPSシステム時間が直接マッピングされることに留意されたい。GNSSは、このエッジを受信したら、その内部GNSS時間基準カウントをラッチすることができるべきである。代替的に、GNSSシステムは、エッジがその内部時間基準に合わせられるパルスを生成することができるべきであり、WAPSシステムはその内部WAPS時間基準をラッチすることができるべきである。その後、WAPS受信機は、この情報を備えたメッセージをGNSS受信機へ送信して、GNSS受信機がWAPS時間基準へその時間基準をマッピングすることを可能にする。
【0124】
同様に、ローカルクロックについての周波数推定値は、GNSS受信機に対して周波数支援を提供するために使用することができる。WAPS受信機からの周波数推定値は、それらが共通クロックを共有していようといまいと、GNSS受信機の周波数推定値を改善するために使用することができることに留意されたい。2つの受信機が別個のクロックを有する場合、他方のシステムに対する一方のシステムのクロック周波数を測定するために、追加の較正ハードウェアブロック又はソフトウェアブロックが必要とされる。ハードウェアブロック又はソフトウェアブロックは、WAPS受信機セクションにあってもよいし、又はGNSS受信機セクションにあってもよい。その後、WAPS受信機からの周波数推定値はGNSS受信機の周波数推定値を改善するために使用することができる。
【0125】
WAPSシステムからGNSSシステムへ送信することができる情報はまた、位置の推定値を含んでもよい。位置の推定値は、(例えば、WAPSタワーのPN符号によって決定される)概算のものであってもよいし、又はWAPSシステムにおける実際の位置推定値に基づいたより正確なものであってもよい。WAPSシステムからの利用可能な位置推定値は、GNSSシステムをよりよく支援するために使用できる位置のより正確な推定値を提供するために、異なるシステムからの位置の別の推定値(例えば、セルラーIDベースの測位からの粗い位置推定値)と結合してもよいことに留意されたい。図16は、実施例による、WAPSからGNSS受信機への支援転送のブロック図である。
【0126】
GNSS受信機はまた、位置、周波数及びGNSS時間の推定値をWAPS受信機へ提供することにより、初回測位時間(Time-To-First-Fix、TTFF)、感度及び位置品質の観点から、WAPS受信機の性能を改善するのを助けることができる。例として、図17は、実施例による、GNSS受信機からWAPS受信機への支援情報の転送を示すブロック図である。GNSSシステムは、LORAN、e−LORAN又は同様の地上測位システムによって取り替えることができることに留意されたい。位置推定値は、部分的なもの(例えば、高度又は2次元位置)、完全なもの(例えば、3次元位置)又は未加工の(raw)距離/擬似距離データであり得る。ハイブリッド解決法においてこの距離情報の使用を可能にするために、距離/擬似距離データは、SV(又はSV軌道パラメーターなどのSVの位置を計算するための手段)の位置とともに提供されるべきである。すべての位置支援情報は、その品質を示す測定基準(基準、metric)とともに提供されるべきである。(ハードウェア信号を使用して、WAPSシステムに転送され得る)GNSS時間情報を提供する場合、(もしあれば)GPS時間に対するGNSS時間のオフセットは、WAPS受信機における使用を可能にするために提供されるべきである。周波数の推定値は、信頼基準(confidence metric)(推定値の推定される品質、例えば、推定値における最大の期待誤差を示す)とともにクロック周波数の推定値として提供することができる。GNSSシステム及びWAPSシステムが同じクロックソースを共有する場合、これは十分である。GNSSシステム及びWAPSシステムが別個のクロックを使用する場合、WAPSシステムが較正する(すなわちNSSクロックに関してWAPSの相対的なクロックバイアスを推定する)ことを可能にするために、GNSSクロックはまたWAPSシステムに提供されるべきであり、又は、代替的に、WAPSシステムはGNSSシステムにそのクロックを提供すべきであり、GNSSシステムは較正推定値(すなわち、GNSSクロックに関するWAPSの相対的なクロックバイアスの推定値)を提供するべきである。
【0127】
さらにWAPS受信機の感度及びTTFFを改善するために、(別の方法ではタワーによって送信される情報から復号されるような)支援情報は、(携帯電話、WiFi、SMSなどの)他の通信媒体によってWAPSサーバーからWAPS受信機に提供することができる。既に利用可能な「暦(almanac)」情報があれば、受信機は(ビット整列又は復号の必要なしに)送信波形に時間整合する必要があるだけなので、WAPS受信機のジョブは単純になる。データビットを復号する必要性をなくすことにより、TTFFを低減し、したがって、受信機はすべてのビットを復号するために電源を連続的にオンにする必要がないので、電力が節約される。図18は、実施例による、WAPS支援情報がWAPSサーバーから提供される例示的な構成である。
【0128】
ビーコンは、ローカルの測位をさらに改善するために受信機に加えられてもよい。ビーコンは、装置IDに基づくシグネチャー(署名、signature)を備えた波形を周期的に送信する低電力RF送信機を含んでもよい。例えば、当該シグネチャーは、送信機を一意的に識別する符号であってもよい。関連する受信機は、すべての方向においてスキャンするときの信号エネルギーピークの探知を通じて、又は(信号到着の指示を決定するために複数のアンテナ素子からの信号を使用する)方向探知を通じて、比較的より高い精度で送信機の位置を見つけることができるであろう。
多重パス信号の解消
多重パスの解消は測位システムにおいて重大である。無線チャネルは、しばしば、ランダムな位相及び振幅を備えたランダムに変化する多重パスコンポーネントにより特徴づけられる。測位を正確にするために、受信機アルゴリズムが、存在する場合にはライン・オブ・サイト(LOS)パス(最初の到着パスになる)を解決し、又は最初に到着するパス(必ずしもLOSコンポーネントではないかもしれない)を解決することは欠かせない。
【0129】
従来の方法は、しばしば以下のように動作する:(1)受信された信号は、送信された擬似ランダム系列(例えば、受信機において知られているゴールド符号系列)と相互相関されている;(2)受信機は、結果として生じる相互相関関数の最初のピークを見つけ、最初に到着した経路のタイミングがこのピークの位置によって示されるタイミングと同じであることを推定する。最低の多重パス分離が多くの場合そうでない利用可能な帯域幅の逆数よりはるかに大きい限り、これらの方法は有効に機能する。帯域幅は貴重なものであり、最小の量の帯域幅で多重パスを解決できる方法は、システムの効率を改善するために強く望まれる。
【0130】
(多重パス及び信号強度を含む)チャネル環境に依存して、最初に到着するパスの推定を得るための適切な方法が使用される。最良の解決可能性のために、高分解能の方法が使用される一方、低いSNRにおける合理的な性能のためには、相互相関ピークサンプル、及びピークのまわりの相関関数の幾つかの特性を直接に使用する、より多くの従来の方法が適用される。
【0131】
次の式で与えられるレートfでサンプリングされた量子化された受信信号y[n]を考える。
【0132】
【数36】

【0133】
ここでy[n]は有効チャネル
【0134】
【数37】

【0135】
による送信された擬似ランダム系列x[n]の畳み込みである受信信号であり、htx[n]は送信フィルターであり、htx[n]は受信フィルターであり、h[n]は多重パスチャネルである。
【0136】
ピーク位置を見つけるための1つの方法は、明白なピーク位置を取り囲む値を使用したピーク補間によるものである。当該補間は、ピークの両側における1つの値を使用する二次方程式であってもよいし、ピークのまわりの2つ以上のサンプルを使用する高次多項式を使用してもよいし、又は実際のパルス形状についての最良の適合(best fit)を使用してもよい。二次の補間の場合には、二次式は、ピーク値及びピークを直接に取り囲む値に適合される。二次式のピークは、測距に使用されるピーク位置を決定する。この方法はかなりロバストであり、低いSNRにおいてよく機能することができる。
【0137】
代替的な実施例は基準位置としてピーク位置以外の値を使用してもよい。DLLが相関関数上の基準位置として実際にピーク位置を使用する一方、この方法は基準としてピークと異なるポイントを使用することに留意されたい。この方法は、相関ピークの初期のエッジが立ち下がりエッジより多重パスによる影響が少ないという事実によって動機づけられる。例えば、歪んでいない(チャネル効果のない)相関関数上のピークからのチップTcの75%の点は、基準点として使用されてもよい。この場合、この75%の点と一致する補間されたz[n]関数の部分が選択され、ピークはこの点からTcの25%として見つけられる。
【0138】
別の代替的なピーク相関関数ベースの方法は、(ピークの歪みの測定値、例えば、ピーク幅などの)ピーク形状を使用してもよい。ピーク位置から始めて、ピークの形状に基づいて、ピーク位置に対する補正は最初に到着するパスを推定するために決定される。
【0139】
高分解能の方法は、多重パスコンポーネントを見つけるために固有空間分解を使用する一群の効率的な多重パス解決の方法である。MUSIC、ESPIRITなどの方法は、この類の解決スキームに該当する。それらは、同じ所与の帯域幅に対して、従来の方法より間隔がはるかに密接な多重パスコンポーネントを効果的に解決することができるという点で非常に強力なスキームである。高分解能の最も早い到着時間の方法は、ピーク値からピーク位置を推測するのではなく、最も早いパスの到着時間を直接的に推定することを試みる。以下では、送信された信号の粗い取得が受信機において既に利用可能であり、擬似ランダム系列の開始が受信機においておおよそ知られていると仮定する。
【0140】
図19は、実施例による、h[n]における最初に到着するパスを推定するためのフロー図である。最も早いパスを決定するための方法は次の動作を含むが、これらに限定されない:
1.受信サンプルy[n]を送信系列x[n]と相互相関させて結果z[n]を得る。相互相関が畳み込みの観点から
【0141】
【数38】

【0142】
と書かれる場合、当該式は
【0143】
【数39】

【0144】
として書き直すことができる。ここでφxx[n]は擬似ランダム系列の自己相関関数である。
2.z[n]の最初のピークを見つけて、npeakとしてそれを示す。z[n]のピークの左へwLサンプルを抽出し、ピークの右へwRサンプルを抽出し、このベクトルをpVとして示す。
【0145】
【数40】

【0146】
ベクトルpVは、相互相関結果z[n]の有用な部分を示す。理想的な場合において、チャネル歪みがなくチャネルBWが制限されない場合、wL=wR=fを選択することは、受信信号のタイミングを決定するのに十分であろう。制限されたBWが存在するとき、擬似ランダム符号x[n]が+l/−lの系列である場合について、wL及びwRを選択するための最適な方法は、
【0147】
【数41】

【0148】
のピークの左側及び右側に存在する0でない値(又は、より一般的には、ピーク値の一部として定義されたあるしきい値より大きな値が選択される)としてそれらを選択することである。wLとwRの選択の際の1つの他に考慮すべきことは、雑音部分空間(sub-space)に関して十分な情報を得るために十分な、相関関係のないノイズサンプルを選択することである。さらに、斬新な(far-out)多重パスコンポーネントを解決するのを助けるために、特に左側(すなわち、wLの選択を通じて)すべての可能性のある多重パスコンポーネントを含むように、整数のwL及びwRが選択されるべきである。fを越えるあまりに多くのサンプルを含むと、pVベクトルに導入されたノイズ量が増加され、したがって削減されなければならない。シミュレーション及び実験を通じて、wL及びwRの値の典型的な組は、それぞれ3f及び3fである。
【0149】
z[n](及びひいてはpV)が、チャネルh[n]、送信フィルターhtx[n]、受信フィルターhrx[n]及び擬似ランダム系列φxx[n]の自己相関関数の効果を含むことに留意されたい。チャネルにおいて最初に到着するパスを推定するために、他の効果を除去する必要がある。多くの場合において、送信パルス形状及び受信パルス形状は最良の雑音性能に対して一致されるが、その制約はこのアルゴリズムが機能するためには要求されない。基準相関関数は
【0150】
【数42】

【0151】
として定義され、これは最初に到着するパスの推定にpVを使用することができる前に推定され除去される必要がある。
3.基準相関関数φref[n]が次に推定される。
【0152】
基準相互相関を得るための1つの方法は次のとおりである:対応するピークベクトルpVRefを得るために理想的なチャネル(いわゆる「ケーブル化されたリンク(cabled link)」)上でステップ1−2を実行する。pVRefは基準相関関数φref[n]の有用なサンプルを含む。図20は、実施例による、基準相関関数を推定するためのフロー図である。
【0153】
「ケーブル化されたリンク」の方法は、「理想的な」チャネル(例えば、ケーブル)を介して送信機フロントエンド(電力増幅器及び送信アンテナがバイパスされる)から受信機フロントエンド(受信アンテナをバイパスする)へ変調された信号を送信することを含む。「理想的な」チャネルがある遅延及び減衰を有してもよいがいかなる他の歪みも加えるべきでなく、高いSNRを有していなければならないことに留意されたい。最良の性能のために、「ケーブル化された」基準は、擬似ランダム系列が異なる自己相関関数及び従って異なる基準を有するので、各擬似ランダム系列について別個に基準を生成する必要がある。自己相関サイドローブは十分に減衰されない限り誤解され得るので、最良の自己相関関数(具体的には、自己相関サイドローブにおけるそれらの終了はピークと比較して、よく抑制されるべきである)に対してPRNを適切に選択することもまた重大であり、時間分解能方法の最良の全体的な性能に帰着する。
【0154】
送信フィルター応答が制御されると仮定すれば、ケーブル化されたリンク上の応答についての1つの較正が、生成中に受信機ごとに必要である。(例えば、たくさんの受信機について)受信機フィルター特性を制御することができる場合、応答についてのケーブル化されたリンク上の較正は、さらに受信機の組についての1つの較正測定値へ低減することができる。
【0155】
基準相関関数φref[n]を決定するための代替的な方法は、個々のコンポーネントφxx[n]、htx[n]及びhrx[n]を分析的に計算し、基準相関関数φref[n]に到達するためにそれらを畳み込むことである。この方法が、送信フィルターインパルス応答及び受信フィルターインパルス応答を実際の実施において制御することができる度合いに依存することに留意されたい。
【0156】
4.複数のゴールド符号にわたって及びさらに複数のビットにわたってコヒーレントに平均化することにより、pVの推定値におけるSNRを改善する。複数のビットにわたって平均化することは、個々のビットが送信されることについての決定がなされた後にコヒーレントに行うことができる。換言すれば、ビットにわたる積分の前に決定のフィードバックを使用する。改善されたSNRはステップ1における相互相関関数での平均化を実行することにより同等に得ることができることに留意されたい。
【0157】
5.長さNfft、ベクトルpVFreq及びpVRef,Freqをそれぞれ得るために、Nfft−(wL+wR)ゼロのパディングのない(zero padding)pV及びpVRefの長さNfftの高速フーリエ変換(FFT)を計算する。Nfftの最適値は、人工的及び実際に測定されたチャネルの両方を使用するシミュレーションを通じて多重パスの解決可能性をチェックすることにより得られる。通常のNfftの値は4096以上であると分かった。
【0158】
【数43】

【0159】
6.チャネルh[n]の周波数領域推定値(ノイズにより破損)を得るため、
【0160】
【数44】

【0161】
を計算する。受信された系列y[n]がNos(すなわち、+/−1/Tcに帯域制限された送信パルス形状についてNos=f/2)並びに送信及び受信パルス成形フィルターがBW=l/Tで完全に帯域制限されている場合、正確にはHfull[k]のDCのまわりのN=Nfft/2Nosの正及び負のサンプルは、実際のチャネルHreal[k]の推定値に対してゼロではない(すなわち、使用可能である)。我々の研究から、我々は、DCの両側のNfft/2αNosサンプルが解決アルゴリズムの最良の性能について選ばれるべきであり、α>1が、送信機及び受信機において使用される実際のパルス成形フィルター並びに自己相関関数φxx[n]に基づいて選択されると結論付けた。φref[n]の周波数遷移帯域を含むことがノイズ増強を引き起こし、αが選択されたサンプルにおけるこれらの周波数を排除するのに十分大きいように選択されることに留意されたい。しかし、あまりに大きなαを選択すると、信号情報の損失を引き起こす。小さな余分の帯域幅をもつ二乗余弦フィルター形状に基づく実際の帯域制限された関数についてのα=1.25という好ましい選択が実施例において使用された。
【0162】
7.Hfull[k]のDCコンポーネントが指標0にある場合、低減されたHベクトル、H[]は、
【0163】
【数45】

【0164】
として定義される。
8.低減されたチャネル推定ベクトルH[k]から行列Pを構築する。
【0165】
【数46】

【0166】
ここで、1<M<2Nはパラメーターであり、()’は複素数の共役を表す。低減されたチャネル推定ベクトルH[k]の推定された共分散行列RをR=P×P’として定義する。
Mがあまりに小さくなるように(1に近く)選択される場合、その後Rの固有値は数に非常に制限され、その結果、高分解能アルゴリズムは信号とノイズとの間を表現することができない。Mがあまりに大きく(2Nに近く)なるように選択される場合、共分散を得る際の平均化の量が不十分であるので共分散行列推定値Rは信頼性が低く、また、得られた共分散行列Rは階数落ち(ランク落ち、rank-deficient)である。したがって、その許容範囲のちょうど真中にあるMの値、すなわちM=Nはよい選択である。これもまた経験的に確認された。
【0167】
9.R=UDV’
として、R上で特異値分解(SVD)を行う。ここでUは左の特異ベクトルの行列であり、Vは右の特異ベクトルの行列であり、Dは特異値の対角行列である。
【0168】
10.sV=降順にソートされたDの対角線コンポーネントとして、ソートされた特異値sVのベクトルを構築する。
11.次の重要なステップは信号とノイズの部分空間を分離することである。言いかえれば、特異値sV[ns+l]...sV[N]がノイズに対応するようにベクトルsV中の指標nsを選択することである。ノイズ特異値のベクトルをsVnoiseとして定義する。
【0169】
雑音部分空間に対応する特異値を分離し、雑音部分空間の基底ベクトルの表現を見つけることが可能な、多くの方法がある:
a)信号対雑音比(例えば、チップ上のSNR)の関数でありT=f(SNR)であるTがしきい値であって、max(sV)/Tより小さいすべての特異値。図21は、実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【0170】
b)min(max(sV)/T,mean(sV(L:M))×T)未満のすべての特異値であって、ここでLは遅延拡散(例えば、N/2)より大きな選択することができるパラメーターであり、Tは経験的に決定される別のしきい値(一般的な値は1000であってもよい)である。図22は、代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【0171】
c)別の方法は、ノイズ及び信号プラスノイズ(signal-plus-noise)部分空間の異なる分割についてのSNRを繰り返し推定してSNRの別の推定値と比較することによって、雑音部分空間を決定することを含む。図23は、別の代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【0172】
1)以下のようにSNRの推定値を計算する。
i.ノイズがsV()n,n+1,...Mによって表されると仮定し、ノイズ共分散を
【0173】
【数47】

【0174】
として計算する。
ii.信号パワーを
【0175】
【数48】

【0176】
として計算する。
iii.SNRの推定:
【0177】
【数49】

【0178】
2)SNRの代替的な推定値は他の方法を通じて得られる(例えば、チップ上のSNR)。SNRを直接的に推定する1つの方法は以下のとおりである:
i.(周波数誤差の除去、並びにTの間隔が開けられたサンプル及び符号非相関に対する再サンプリングの後に)受信されたデータサンプルが、Xによって与えられる場合(ここでXは補間されたピーク位置から開始してチップ間隔で配置される)、
=S+N
ii.信号は
【0179】
【数50】

【0180】
として推定される。
iii.ノイズは
【0181】
【数51】

【0182】
として推定される。
iv.SNRは
【0183】
【数52】

【0184】
として推定される。
3)以下の条件
【0185】
【数53】

【0186】
を満たすノイズ特異値をsV(n,n+1,...,M)として選択する。
d)別の方法は、c)l)を使用してノイズ及び信号部分空間の異なる分割についてのSNRを繰り返し推定し、
【0187】
【数54】

【0188】
となるように分割nstartを選択することにより、雑音部分空間を決定することを含む。
図24は、さらに別の代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
【0189】
e)図25は、さらに別の代替的な実施例による、雑音部分空間を推定するためのフロー図である。
1)wLen=(wL+wR)/fcを定義する。その後、第1のwLen特異値は、重要な信号プラス雑音部分空間又は雑音部分空間の特異値(特異値の残りは相関性のあるノイズ及び信号並びに量子化効果を表す)を表す。
【0190】
2)以下のようにSNRの推定値を計算する。
i.ノイズがsV(i):i=n,n+1...wLen;l<n≦wLenによって表されると仮定し、
【0191】
【数55】

【0192】
としてノイズ分散を計算する。
ii.
【0193】
【数56】

【0194】
として信号パワーを計算する。
iii.SNRの推定:
【0195】
【数57】

【0196】
3)nstart=[最小n:SNRest(n)>(SNRest(wLen)−thresDB)]と定義する。その後winLenまでのnstartはノイズ特異値を表す。thresDBの一般的な値は10である。
【0197】
12.Vを構築するために対応するノイズの右側の特異ベクトルを選択する、すなわち、ノイズ特異値に対応するVにおけるすべてのベクトルを選択して、雑音部分空間行列Vを構築する。
【0198】
13.第1のパスの到着時間を推定する:
a)
【0199】
【数58】

【0200】
と定義する。
b)
【0201】
【数59】

【0202】
の値の範囲について
【0203】
【数60】

【0204】
を計算する。調査の分解能Δτは、要求されるだけ小さく選択できる。一例として、τが0.05のステップで範囲[−5,5]内で探索されるように、τmax=5及びΔτ=0.05である。
【0205】
14.Ω(τ)のピークは、粗いピークnpeakに対するチャネルインパルスの位置を提供する。理論上、第1のピークはLOSパスに対応する。基地局からの送信において符号化することができる伝播環境に関する情報に基づいて、τmaxを制御することができる。例えば、遅延拡散が大きい場合、τmaxはより大きくなるように(例えば、10)選択することができ、遅延拡散がより小さい場合、τmaxはより小さな値(例えば、4)として選択することができる。
組み合わせ方法
上述のスタンドアロンの方法とは別に、多数の他の組み合わせ方法が可能である。チップ上のSNRに基づいたスキームの組み合わせは有効な方法である。以下、実際上実現することができる組み合わせスキームのリストについて記載する:
1.chipSNRRefより小さいchipSNRについて、ノイズ特異値を選択するために方法12(d)を選択する。そうでなければ方法12(a)を選択する。
【0206】
2.chipSNRRefより大きなchipSNRについて、ノイズ特異値を選択してピーク位置を推定するために方法12(d)を選択する。そうでなければ、相互相関関数z[n]から開始する(ピーク補間、ピーク成形などの)直接的なピーク推定技術を使用する。
【0207】
3.chipSNRRefより小さいchipSNRについて、ノイズ特異値を選択するために方法12(e)を選択する。そうでなければ方法12(a)を選択する。
chipSNRRefの一般的な値は10dBである。
位置の計算
受信機ユニットの位置は、端末ユニット又はサーバーのいずれかにおいて利用可能な測位エンジンによって決定される。受信機は、システムからの距離測定値を使用することができ、又は機会の他の信号からの任意の測定値とシステム距離測定値を組み合わせることができる。測定値が既知の位置に由来するならば、距離測定の十分な組により位置決定がなされる。3D空間における距離の式は
【0208】
【数61】

【0209】
によって与えられる。
送信機の位置は(x,y,z)によって与えられ、モバイル装置の未知の位置はあるローカル座標フレームにおいて(X,Y,Z)によって与えられる。3つ以上の送信機が、定点(fix)を計算するために使用される3つ以上の距離測定値を生成する。受信機の時間がWAPSタイミングと同期されないので、当該測定値は、そのうえ、受信機時間バイアスの付加的な項目を有する。
【0210】
【数62】

【0211】
この式は後に「擬似距離測定式」と呼ばれる。送信機がタイミング同期されるので時間バイアスが共通であることに留意されたい。各送信機からの送信に埋め込まれているデータストリームから利用可能な送信タイミング補正のために擬似距離を補正しなければならない。このデルタ時間バイアスは新たな未知のパラメーターを作成し、したがって、最低4つの測定値が解決に使用される。気圧高度計測定は解決のために必要な情報を
Baro=(Z−Z)
として提供する。これらの非線形連立方程式を解く1つの方法は、任意の初期点における問題を線形化して、その後、最終的な解につながるようにこの初期位置に対する補正を反復して見つけることである。
【0212】
この方法は、X,Y,Z解について初期の推測を使用し、したがって、送信機の重心は、
【0213】
【数63】

【0214】
として使用される。
最終位置の解は
【0215】
【数64】

【0216】
の形式であると仮定される。
幾何学的な距離は、(X,Y,Z,Δt)=(X,Y,Z,Δt)に関するテイラー級数において拡大することができる。
【0217】
【数65】

【0218】
推定された距離は
【0219】
【数66】

【0220】
として計算され、
偏導関数は
【0221】
【数67】

【0222】
によって与えられる。
この実施例において、4つの未知のものを備えた4つの一次方程式が示される。追加の距離推定は行列中により多くの行を生成する。その結果は式の組
【0223】
【数68】

【0224】
である。
観測行列の最後の行は気圧高度計測定値を表す。3 1の列(column of three 1)は、すべての3つの距離についての同じ時間バイアスを表す。これらの式はAx=bの形をしている。解x=A−1*bである。気圧計測定値がない場合、さらに1つの追加の測定は、上記行列の行1から3に類似する追加の行を追加することに留意されたい。この追加の測定は受信機の高度の推定を可能にするであろう。未知のものの数より多くの利用可能な測定値がある場合、その後、解は、A=(AA)−1により与えられるAの擬似逆に基づき、最小二乗解はx=A−1bにより与えられることに留意されたい。測定の品質が等しくない場合、最小二乗の意味で式Ax=bを解く最適な方法は各式からの誤差についてのSNRに比例した重みを使用することである。これはA=(AWA)−1Wによる解x=A−1bにつながる。対角重み付け行列Wは測定値のノイズ分散に比例した重みによって形成される。これらの式の解は、
【0225】
【数69】

【0226】
のように、X、Y、Z及びデルタ時間推定値(delta time estimates)に対するデルタ補正値を生成する。
これにより本方法の最初の反復が完了する。更新された位置及び時間バイアス推定値が初期の推測にとって代わり、アルゴリズムはデルタパラメーターがあるしきい値未満であるまで継続する。典型的な停止点は、あるしきい値未満(例えば、1メートル)のデルタ値のノルムについてのものである。
【0227】
GPSにおける連立一次方程式は、アルゴリズムが最終のユーザー位置へ収束するように、最小二乗法及びユーザーの位置に関する初期の推測を使用して解かれる。線形化は、衛星とユーザー位置との間の距離が地上のユーザー位置と推測される位置との間の距離より大きいという基本的な仮定に基づく。(小さな形状を備えた)地上環境において方程式の組が機能するために、初期の推測は、(上述のように)重心、受信される信号が最も強い送信機に近い点又は反復のない一連の式によって閉じた形式の解(閉形式解)を与える直接的な方法によって得られる送信機に近い点に基づいてもよい。初期の推測が、重心、又は受信信号が最も強い送信機に近い点である場合、初期の推測は最小二乗法を使用して改善される。初期の推測が反復のない一連の式による閉じた形式の解を与える直接的な方法によって得られる場合、初期解自体が最終解であり、それは、(信号強度及び仰角などのパラメーターから得られる)それらの測定値における期待誤差を使用することにより、重み付けされた個々の測定値とともに、未知のものよりさらに多くの測定値(従って、式)が存在する場合に限り、最小二乗法を使用して改善される。さらに、一連の測定が時間内に処理されることになっている場合、上述のように得られた解は最適解の「軌跡(trajectory)」を得るためにカルマンフィルターに供給されてもよい。
【0228】
地上の場合における線形化問題を克服する別の手法は、非線形の最小化問題として(具体的には、重み付けされた非線形の最小二乗問題として)式の組を定式化することを含む。具体的には、最小化されるべき非線形の目的関数(objection function)は、
【0229】
【数70】

【0230】
として定義される。
重みWは、測定された距離RのSNRに反比例するように選択される。受信機位置の最良の推定値は、目的関数を最小化する(X,Y,Z,Δt)の組として得られる。気圧計又は他の高度支援が利用可能な場合、目的関数は、
【0231】
【数71】

【0232】
へと修正される。
この方法に基づいた位置解決は、特に小さな形状の地上システム構成のもとで、より安定的でロバストになる。この構成において、受信機座標の小さな変化は、観測行列を大きく変化させ、時には線形化された反復が収束しないことにつながる。極小値が存在することができるように、目的関数の形状に影響する測定値における残存バイアスのせいで、極小値への収束又は発散がより多く生じる。残存バイアスは屋内/都市の峡谷(canyon)環境においてとてもありふれたものとなり得る。上述の非線形方程式は、小さな形状の線形化問題の克服に加えて、測定バイアスに対して位置アルゴリズムをロバストにする。
【0233】
関数fの最小化を行って最適なX,Y,Zを得るための1つの手法は、関数の大域的最小点を見つけるために(微分展開(differential evolution)などの)遺伝的アルゴリズムを使用することである。そのようなアルゴリズムの使用は、多重パスバイアスが距離測定値に存在する場合に小さな形状の地上測位において生じる極小値を回避するための解法を可能にする。
【0234】
擬似距離測定式を解くために線形最小二乗法又は非線形最小二乗法が使用されるかどうかに関係なく、品質測定基準が位置推定値とともに提供されることが重要である。位置品質測定基準は、擬似距離測定式残差、測定の品質のほか、推定される位置に対するタワーの配置の関数であるべきである。i番目のタワーの測定のための擬似距離測定残差は、
【0235】
【数72】

【0236】
によって与えられる。
平均の重み付けされた二乗平均擬似距離残差は、
【0237】
【数73】

【0238】
により与えられる。
HDOP、VDOP、PDOPは、
【0239】
【数74】

【0240】
の対角成分から
【0241】
【数75】

【0242】
として定義される。
特定のSNRにおける擬似距離RMS(二乗平均)誤差は
【0243】
【数76】

【0244】
によって与えられる。
ここでfは、一般にその引数の非線形単調減少関数である。当該関数fは、信号BW及び受信機BWの関数として特定の受信機構成について分析的に導出することができ、又は代替的に、距離誤差に対するテーブルマッピングSNRとしてシミュレーションから見つけることができる。
2次元位置の品質測定基準は、
【0245】
【数77】

【0246】
として定義される。
同様に、高度及び3次元位置の品質測定基準は
【0247】
【数78】

【0248】
によって与えられる。
量αは所望の信頼度に基づいて選択される。例えば、値1が68%の信頼に使用される一方、値3は95%の信頼を得るために使用される。
【0249】
WAPSシステムを使用する測位の別の方法は、差動スキーム(differential scheme)におけるWAPS基準受信機の使用を含む。「差動広域測位システム」に示され、タイミング同期のコンテキストにおいて議論されるように、WAPSタワー及び基準受信機の緯度、経度、高度とともにタイムスタンプされた基準受信機測定値は、特定のタイムスタンプにおけるWAPSタワー送信間のタイミングデルタ(timing delta)を決定するために使用することができる。送信機間のタイミングデルタが一旦知られると、距離の式は再び単一の共通時間バイアスを有するように低減することができる。その後、WAPS受信機は、WAPSデータストリームの復調(例えば、データストリームからタイミング補正を抽出すること)を回避することができる。WAPS受信機測定値はサーバーへ送信することができ、次に、位置はサーバーにおいて計算することができ、又は代替的に、基準受信機測定値はWAPS受信機へ中継することができ、位置はそこで計算することができる。WAPSタワーの緯度、経度及び高度が既に知られている/位置計算での使用に利用可能であると仮定される。WAPSデータストリームが安全である場合、この差動システムは、タイミング補正の目的のためにセキュアなデータストリームからデータを抽出することの必要性を回避することができる。
【0250】
WAPSシステムから測位を得るための別の代替的な方法はRSSI指紋採取(finger-printing)技術を使用する。WAPSタワー送信電力/位置及びRSSIレベルのデータベースは、測位が必要とされる領域における訓練測定値に基づいて所与の目標地域について構築される。RSSIデータベースもまた、ソリューションを改善するために到来角(AOA)情報により増大される場合がある。WAPS受信機RSSI測定値(及びおそらくはAOA測定値)は、その後、位置推定値を得るためにこのデータベースを調べるために使用される。WAPS RSSI測定値を使用する代替的な方法は、伝播モデル(又は単純な外挿/補間技術)を使用して測定値を距離推定値に変換し、次に、位置を決定するために三辺測量(トリラテレーション、tri-lateration)を使用することである。この指紋採取技術におけるRSSI測定値は距離に変換することができる任意の他の測定値で置き換えることができることに留意されたい。
【0251】
WAPSインフラストラクチャーを使用して位置を計算する代替的な方法は、WAPSタワー位置についての予備的知識なしにWAPSシステムから測位を得る盲検法(blind method)を使用する。この方法において、WAPSタワーのおおよその位置は、フィールド測定によって(例えば、GNSSタグ付けされた位置におけるWAPSタワーのまわりの多くの角度からRSSIを測定し、次にWAPSタワー位置を推定するためにこれらの位置のRSSIに基づいた加重平均を使用することによって)決定される。その後、RSSI指紋採取方法のうちのいずれかは、(例えば、上の段落に記載されるように)位置を決定するために使用することができる。
【0252】
WAPSインフラストラクチャーを使用して位置を計算する代替的な方法は、位置をオフラインで計算するために使用することができる。位置計算は、オプションとしておおよその位置及びWAPS時間タグとともに、WAPS受信機からのWAPS信号のサンプルセグメントを格納すること(例えば、格納されたデータは低IFにおけるIデータ又はベースバンドにおけるIQデータであってもよい)を含む。信号を得ることができるのに十分なサンプルを格納することが十分であることに留意されたい。サンプルはWAPSタワーへの距離を探索し、取得し、計算するために後に処理される。本方法は、オフラインデータを使用して、サーバー上の中央データベースに格納され得るタワー位置及びタイミング補正情報を検索してもよい。オフライン位置計算についてのこの方法は、デバイス上のメモリーのみのコストでWAPS測位をサポートする能力を提供する。この方法の他の利点は、WAPS IQデータを格納するのに取られる時間が非常に短く、位置に迅速にタグ付けする必要のある用途にとって便利なものとするが、正確な位置が瞬時に必要ではないということである。この方法のための1つの可能な応用は写真について地理的タグ付け(geo-tagging)をするためのものであってもよい。
【0253】
測位に対する別の手法は上述の符号位相測定値に加えて搬送波位相測定値を使用する。搬送波位相測定値は
【0254】
【数79】

【0255】
として書くことができる。
様々な技術を搬送波位相測定値における整数曖昧性Nを解決するために使用することができる。符号位相測定、複数の周波数における測定及び/又は他の方法は、曖昧性を解決するために使用することができる。続いて、時間tにおける搬送波位相測定値は、正確な初期位置から開始する位置の正確な追跡を提供することができる。将来の時間における搬送波位相測定値は
【0256】
【数80】

【0257】
として書くことができる。
搬送波位相測定がサイクルスリップを有していない限りNは変化せず(すなわち、信号は連続位相ロックにより追跡されるべきである)、新たな位置は最小二乗法を使用して計算することができる。代替的に、これらの測定値は新たな位置状態を更新するためにカルマンフィルターにおいて使用することができる位相ロックが失われると、整数曖昧性の新たな値を計算する必要がある。
【0258】
別の手法は、上述のような基準受信機に対する差動測位を使用する。差動測位は、符号もしくは搬送波測定値又は両方の組み合わせのいずれかを使用して行うことができる。単一の差分観測量は、
【0259】
【数81】

【0260】
として、基準受信機r及び受信機sから同じタワーの測定値を差し引くことにより、符号及び搬送波位相について計算される。
送信機におけるいかなるタイミング誤差もこれらの観測量に現れず、したがって、システムが非同期であるか又は不完全に同期される場合でさえ、位置解決が可能となることに留意されたい。加えて、対流圏の遅延が短い基準値(例えば、基準受信機rと受信機sとの間の距離)に対してローカルエリアにおいて相関する可能性があるので、測定値におけるいかなる対流圏の遅延誤差もほとんど相殺する。通信チャネルは、位置計算のために基準受信機rから受信機sへ距離及び搬送波の測定値を送信するために使用される。又は、代替的に、受信機s及び受信機rは、位置計算のためにサーバーへ距離及び搬送波を通信する必要がある。
【0261】
任意の位置解決法において、受信機の高さは地形図上の配置又は気圧検知を使用して決定することができる。地図上の配置を使用して、三辺測量中に、ユーザーの位置は、地形データベースに基づく地形上にあるように制約することができ、ユーザーの高さが決定される。ユーザーの高さはまた、地形の上のある高さ内にあるように制約され得る。例えば、その領域で最も高い建物に基づいて、地形より上の最大の高度は制約することができる。この種の制約は、(例えば、バイアスされた距離測定値を使用する場合に時々生成される曖昧な解を除去することによって)高さの解の品質を改善することができる。
【0262】
さらに、屋内の建物の地図が利用可能な場合、(可能性のあるユーザー位置における関連付けられる制約とともに)情報が、位置解決を支援するために使用することができる。例えば、物理的制限は、ユーザー動作モデルを制約し、それによって追跡カルマン位置フィルターの品質を改善するために使用することができる。建物の地図の別の使用は、タワーから屋内位置までの物理的環境に基づいて、特定のタワーの距離測定値の品質を決定/推定することである。距離品質のよりよい推定値は、よりよい位置推定値につながる位置計算に重み付けするために使用することができる。
【0263】
気圧センサーを使用する場合、較正された気圧センサーは、受信機端末が高度において上又は下へ移動されるとき、圧力差を測定するために使用することができる。受信機の高さを決定するために、これは、異なる高度における圧力についての較正された値又は平均値と比較される。
【0264】
位置解を計算する際に、二次元の位置に対して要求される最低限の3つの測定値よりも大きな追加の測定値が利用可能である場合、測定値の一貫性のチェックに基づく受信機の整合性の監視は、「異常値(outlier)」測定値を除外するために使用される。「異常値」の測定値は送信機におけるタイミング同期の喪失又は多重パスなどのチャネル効果によるものであり得る。
ハイブリッド測位及び他のシステムとの情報交換
実施例のシステムは、測位を提供するために、任意の「機会の信号(signal of opportunity)」と組み合わせることができる。機会の信号の例は次のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない:GPS受信機;Galileo;Glonass;アナログ又はデジタルTV信号;メディアフロー、Wi−Fi、FM信号などのシステムからの信号;WiMax;セルラー(UMTS、LTE、CDMA、GSMなど);ブルートゥース(登録商標)、並びに、LORAN及びe−LORAN受信機。
【0265】
信号の種類にかかわらず、機会の信号は、信号強度など、距離測定又は距離測定のための代用物(proxy)を提供する。距離についてのこの代用物は位置の推定値を得るために適切に重み付けされて組み合わせられる。重み付けは、受信された信号の信号対雑音比(SNR)を使用してもよく、又は、代替的に、受信機の環境を定義する基準(例えば、支援データからの、都市、郊外、地方の環境についての知識、アプリケーションからの入力に基づく、受信機が屋内にあるか又は屋外にあるかについての知識)を使用してもよい。これは、通常、実施例のシステムが利用不能であるか又は信号の受信地域(カバレージ)が制限された環境において行われる。特定の測定のための重みにSNRを使用する場合、当該重みは、位置を得るためにWAPS測定値のほか他のシステム測定値の最適な組み合わせを可能とするように、単にSNRの逆関数(又はより低いSNRをもつ信号に対してより低い重みを提供する任意の他の関数)であってもよい。最終的な測位解は、追加の信号ソースから距離測定値を取ってきてWAPS距離測定値と組み合わせ、緯度、経度及び高度について位置解を導出すること、又は、追加のソース/デバイスから位置測定値及びWAPSシステムから位置測定値を取ってきて、異なるシステムからの位置品質測定基準に基づくこれらの位置測定値の組み合わせを使用して最適化された位置解を提供することによって、計算することができる。WAPS測定値/WAPS位置推定値を使用してハイブリッド解を得る様々な構成が図26、図27及び図28に示される。以下に記載されるアーキテクチャーのいずれも、システムのハードウェア及びソフトウェア分割に依存する使用のために選択することができる。
【0266】
図26は、実施例による、様々なシステムからの距離測定値を使用するハイブリッド位置推定のブロック図である。(関連付けられた距離品質測定基準とともに)距離測定値が、GNSS及び他の測位システムから使用され、ハイブリッド位置エンジンによって単一の最適位置解へと組み合わせられる。このアーキテクチャーは、それらから最良の位置推定値を得るために利用可能なデータを使用するという観点で最適である。
【0267】
図27は、実施例による、様々なシステムからの位置推定値を使用するハイブリッド位置推定のブロック図である。位置品質とともに、異なるシステムからの独立した位置推定値が、最良の品質を備えたものを選択するために使用される。このアーキテクチャーは、異なる測位システムがよく分離されるので、実施し統合するのが最も簡単である。
【0268】
図28は、実施例による、様々なシステムからの距離及び位置の推定値の組み合わせを使用するハイブリッド位置推定のブロック図である。例えば、WLAN測位システムからの位置推定値は、最良の解に到達するために、GNSSシステム及びWAPSシステムからの距離測定値からの位置推定値と比較することができる。
【0269】
加速度計及びジャイロなどの慣性ナビゲーションセンサー(INS)、e−コンパスなどの磁気センサー、高度計などの圧力センサーは、追跡モードにおける使用のために、WAPSシステムに、(疎結合(loose coupling)と呼ばれる)位置支援情報又は(密結合(tight coupling)と呼ばれる)未加工のセンサー測定値を提供するために使用することができる。
【0270】
加速度計は、サーバーへの位置の報告を更新するための頻度を決定するために実施例の受信機において使用することができる。一連の位置解及び加速度計測定値の組み合わせは、静的な位置、一定の速度及び/又は他の移動を検出するために使用することができる。次に、この移動データ又は情報は、更新の頻度を決定するために使用することができ、その結果、例えば、一様でない動作が存在する場合、更新の頻度は比較的高い頻度に設定してもよく、受信機が一定の速度であるか又は所定の期間にわたって動かない場合、更新の頻度は電力を節約するために低減されてもよい。
【0271】
センサー又は位置の測定値は、(カルマンフィルターなどの)位置フィルターにおける位置解へと組み合わせることができる。センサー測定値がWAPSハイブリッド位置エンジンにおけるGNSS及びWAPS測定値と組み合わせられる、2種類の密結合アーキテクチャーは、図29及び図30に示される。図29は、実施例による、GNSS/WAPS位置及び/又は速度推定値の品質がよい場合にセンサーのドリフトバイアスを時々較正するのを支援するために、WAPS/GNSSシステムからの位置/速度推定値がフィードバックされる、ハイブリッド位置解を決定するためのフロー図である。アルゴリズムのセンサー較正部分と位置計算部分とを分割することにより、このアーキテクチャーはアルゴリズム構築を単純化する。しかし、この方法の欠点は、WAPS/GNSS推定値を使用してセンサーを再較正するための良い時期がいつなのかを決定する際の複雑さである。
【0272】
図30は、実施例による、明示的なフィードバックの必要なしにGNSS及び/又はWAPSユニットにおける位置/速度計算の一部として、(バイアス、スケール及びドリフトなどの)センサーパラメーターが推定される、ハイブリッド位置解を決定するためのフロー図である。例えば、センサーパラメーターは、受信機の位置/速度の追跡のために使用されるカルマンフィルターの状態ベクトルの一部として含むことができる。このアーキテクチャーは、位置及びセンサーパラメーターの両方を更新するために、1つの組み合わされたフィルターにおいて情報が使用されるという点で、最適解を提供する。
【0273】
選択ユニットがGNSSエンジンからの位置推定値とWAPSエンジンからの位置推定値との間で選択をする疎結合が図31及び図32に示される。選択ユニットがWAPS又はGNSS位置ユニットの一部であってもよいことに留意されたい。図31は、実施例による、センサー較正が個々の位置計算ユニットから分離されるハイブリッド位置解を決定するためのフロー図である。図32は、実施例による、センサーパラメーター推定が個々の位置計算ユニットの状態の一部としてなされるハイブリッド位置解を決定するためのフロー図である。
【0274】
選択が1つのシステムからの情報のみを使用するので、疎結合方法は一般に密結合方法より良好でない。疎結合又は密結合の方法において、当該方法は位置を決定するために未加工のセンサー測定値とともに距離を使用し、1つの最適フィルターにおけるセンサーパラメーターはセンサーパラメーター及び位置が別々に計算される場合より良い。結果として、性能の視点からの好ましい方法は潜在するセンサーパラメーター推定を備えた密結合システムである。しかし、ハードウェア/ソフトウェアプラットホームの分割に依存して、これらの方法の1つ以上は、容易に実施され、したがって選択されてもよい。
【0275】
情報もまた、WAPSシステムと、同じプラットホーム上の(携帯電話、ラップトップ、PNDなどの)他の送受信機システムとの間で交換することができる。送受信機システムは、例えば、Bluetooth送受信機、WLAN送受信機、FM受信機/送信機、デジタル又はアナログTVシステム、メディアフロー、XM無線/イリジウムなどの衛星通信システム、GSM/UMTS/cdma2000 lx/EVDO又はWiMaxなどのセルラーモデム送受信機であってもよい。図33は、実施例による、WAPSと他のシステムとの間の情報の交換を示す。システム間の情報の交換はいずれかのシステムの性能を改善する場合がある。WAPSシステム時間がGPS時間に合わせられるので、WAPSシステムは任意の他のシステムに良好な品質のタイミング及び周波数の推定値を提供することができる。WAPSシステムへの時間及び周波数の推定値は、符号と周波数におけるWAPS取得サーチ空間を低減することができる。さらに、WAPSシステムは他の送受信機システムに位置情報を提供することができる。同様に、他のシステムが利用可能な位置情報(部分的な位置、例えば、高度もしくは2次元位置、又は完全な位置、例えば3次元位置もしくは未加工の距離/擬似距離/距離の差)を有する場合、その位置情報は、位置品質測定基準により又は位置品質測定基準なしに、WAPSシステムに提供することができる。ハイブリッド解においてこの距離情報の使用を可能にするために、距離/擬似距離データは、送信機(又は送信機位置から任意の受信機位置までの距離を計算するための他の手段)の位置とともに提供されるべきである。2つの送信機に対応する距離の差は2つの送信機の位置とともに提供されるべきである。WAPSシステムは、その位置解決を支援するために当該情報を使用する。代替的に、位置情報は、既知の送信機位置から受信機装置までの距離(又は擬似距離)の形で提供することができる。これらの距離(又は擬似距離)は、ハイブリッド位置を計算するために、測位アルゴリズムによってWAPS距離と組み合わせられる。
【0276】
それらの間で交換することができる特定のシステム及び情報の例は図34、図35及び図36に示される。
図34は、実施例による、FM受信機とWAPS受信機との間での位置、周波数及び時間の推定値の交換を示すブロック図である。WAPSシステムからの位置推定値はFM受信機に提供することができる。その後、この位置推定値は、例えば、ローカル領域におけるアクティブなFM無線局を自動的に決定するために使用されてもよい。その上、FM信号はRDS(無線データサービス、Radio Data Service)送信を含んでもよい。FM局の位置がRDS/RBDSデータストリーム(例えば、送信機の場所に関するデータを提供して都市及び州の名を与え、DGPSナビゲーションデータを提供する、位置及びナビゲーション(LN)機能)に含まれている場合、次にこの情報はWAPS受信機に対する位置支援を提供するために使用することができる。WAPSシステムからの周波数推定値は、特定の局についてFM受信機チューニング時間を低減するために容易に使用することができる。他の目的において、FM受信機における推定値の周波数品質はFM無線局送信品質に基づく。WAPSシステムにおける時間推定値はGPS時間に基づき、時間はタイミング整合を支援するためにFM受信機に転送することができる。RDS/RBDS送信におけるクロック時間(時刻、CT)機能はRDSデータに対するタイミングを決定するために使用されてもよく、WAPS受信機へ転送することができる。
【0277】
図35は、実施例による、WLAN/BT送受信機とWAPS受信機との間の位置、時間及び周波数の推定値の交換を示すブロック図である。一般に、これらのWLAN/BT送受信機は正確な周波数推定値を持っておらず、その結果、周波数の推定値はかなり粗いので、WLAN/BT送受信機からWAPS受信機へのそのような推定値の転送は制限された値を有する場合がある。逆方向において、WAPS周波数推定は、WLANシステム上での周波数捕捉のために取られる時間を低減することができる。例えば、無線LAN AP(アクセスポイント)ビーコン上のタイムスタンプから抽出されるタイミング情報は、WAPS取得を支援するためにWAPSシステムへ転送することができる。これをWAPSシステムに役立つようにするために、GPS時間に対するWLANタイミングについてのある参照が必要であることに留意されたい。同様に、WLAN/BTシステムが利用可能な位置推定値(部分的な位置、例えば、高度もしくは2次元位置、又は完全な位置、例えば、3次元位置もしくは未加工の距離/擬似距離)を有する場合、その位置情報は、WAPSシステムに対する位置品質測定基準を提供されてもよいしされなくてもよい。WLAN位置推定値は、付近のサービス提供しているAP又は他の「聞き取れる」APの地理的位置にすぎない。WLAN位置推定値はまた部分的なものであってもよく、例えば、問題になっているAPのフロアに基づいた高度推定値であってよい。WLAN位置情報はまた、既知の送信機AP位置に対する距離推定値であってもよく(例えば、WLANシステムは、距離推定値を決定するために往復時間測定値を使用してもよい)、又は、2つの送信AP間の距離の差の推定値であってもよい。
【0278】
図36は、実施例による、セルラー送受信機とWAPS受信機との間の位置、時間及び周波数の推定値の交換を示すブロック図である。(TDOA、AFLT又は他の同様のセルラー信号FLもしくはRLベースの測位方法からなどの)セルラーシステムからの位置推定値(部分的な、完全な又は未加工の距離/距離の差)は、よりよい位置推定値を得るためにこれらの測定値を使用するWAPSシステムに提供することができる。セルラーモデムの周波数追跡ループからの周波数の推定値は、周波数サーチ空間を低減ししたがってWAPS取得時間(すなわち、TTFF)を改善するために、WAPSシステムに提供することができる。セルラーシステムからの時間推定値もまた、符号サーチ空間を低減するか又はビット及びフレーム整合を支援するために、WAPSシステムに提供することができる。例えば、cdma2000/lx EVDOなどの、GPS時間に同期されるシステムは、WAPSシステムについての品質の優れた時間推定値を提供することができる一方、GSM/GPRS/EGPRS/UMTSなどの非同期(送信がGPSなどの時間スケールに良好に同期しない)セルラーシステムは、粗い時間推定値を提供し得る。
【0279】
WAPSシステム時間がGPS時間に合わせられるので、WAPSシステムは、たとえ同じプラットホーム上でなくても、任意の他のシステムへよい品質のタイミング及び周波数の推定値を提供することができる。例えば、WAPSシステムは、GPSの第2の境界と整合されたpps(1秒当たりのパルス)又は関連付けられるGPS時間を備えた単一パルス信号などの周期的なハードウェア信号を介して、ピコ/フェムト−セルBTSにタイミング情報を提供するために使用することができる。
【0280】
上述のように、実施例のWAPSシステムによって使用されるスペクトルは、認可された又は無認可の帯域又は周波数を含んでもよい。代替的に、WAPSシステムは「余白(White Space)」スペクトルを使用することができる。余白スペクトルは、WAPSシステムがローカル領域において自由である(TVの余白に制限されない)と検知し又は決定し、そのスペクトルにおいて位置ビーコンを送信する、任意のスペクトルとして定義される。実施例の送信機は、未使用のスペクトルを検出し及び/又はスペクトルを調整する集中型データベースに地理的位置(容易にGPSタイミング受信機から得ることができる)を通信するためにスペクトル検知技術を使用することができる。受信機は、これらのビーコンをリスンするためのスペクトル検知技術を含んでもよく、又は、別の実施例において、通信媒体を使用してそこへ合わせられるべき周波数について通知されてもよい。(送信機が、送信するためのスペクトル及び/又は送信するのに必要である時間期間を次に割り当てる、集中型データベースへ、送信機の地理的位置をブロードキャストすることを要求される場合)WAPSシステムは、動的な余白利用可能性又は割り当てに適合し得る。WAPSシステムは、このスペクトルにおいて連続的にブロードキャストすることができ、又はスペクトルについての集中型の調整サービスによって制御されるような他のシステムと当該スペクトルを共有することができる。WAPSシステムコンポーネントのチッピングレート及びデータレートは、任意の所与の時間において精度の要件並びに/又は信号パワー及び帯域幅の利用可能性に適合するように動的に修正することができる。システムパラメーターは受信機によって検知することができるか、又は通信媒体を介して受信機に通信することができる。送信機は、ローカルネットワークを形成することができ、又はより広い地理的領域におけるスペクトル利用可能性の場合に、連続的なネットワークを形成することができる。
【0281】
実施例の送信機はまた、タイムシェアされる方法で、同じ送信システム上で他のネットワークと共存することができる。例えば、同じスペクトルは、位置アプリケーションとスマートグリッドアプリケーションとの間でタイムシェアされた方法で使用することができる。送信機は最大の利用可能な電力レベルを使用するブロードキャスト送信機であり、スペクトル検知に基づいて又は集中型の調整サーバーによって要求されるように、その電力レベルを動的に調節することができる。受信機はスペクトル検知を使用することができ、又はそのときに通信媒体(余白スペクトルであってもよい)によってシステムパラメーター及び起動時間について伝えることができる。
【0282】
スペクトル利用可能性に基づいて、実施例のWAPSシステムは、テレビ余白(6MHzの帯域幅)のうち1つのチャネルを使用することができ、又は複数のチャネルが利用可能な場合、複数の周波数帯域をよりよい多重パス解決に使用することができる。隣接チャネルが利用可能な場合、チャネル結合(例えば、隣接チャネルを組み合わせること)が使用できる。増加した帯域幅は、よりよい多重パス解決、より高い精度のためのより高いチッピングレートなどに使用することができる。代替的に、利用可能な帯域幅は、近遠問題及び/又は多重パス解決を解決するのを支援するために、FDMAの下で使用することができる。
【0283】
2つ以上の余白帯域におけるWAPS波形の余白送信/受信は、WAPS搬送波位相測定に対するより良好でより高速な整数曖昧性の解決を可能にすることができる。これは、WAPSを使用した、比較的高い精度(1波長より小さいオーダー)の単一点測位を可能にする。
【0284】
余白帯域幅はまた、(基準受信機が使用される場合)調査された位置における基準受信機とその位置が見つけられるべき受信機との間でWAPSにおいて通信チャネルとして使用することができる。
【0285】
認可された帯域におけるWAPSシステムが広域ネットワークにおいて利用可能な場合、タワーの余白ベースのローカルネットワークは、WAPS受信機の位置精度を増大するために使用することができる。受信機は、両方の周波数を同時にリスンするか、又は認可された帯域と余白帯域との間で切り替えを行って適切な周波数へ合わせるように設計することができる。
【0286】
余白帯域はまた、位置支援及びクロックバイアス、衛星天体位置表などのような他の支援情報について、WAPS、GPS又はAGPSシステムに支援情報を送信するために使用することができる。
【0287】
広い分離を備えた複数の周波数が利用可能である場合に、WAPSシステムは、よりよい多重パス性能を提供するため、周波数の多様性を利用するように設計することができる。
暗号化及びセキュリティ
実施例のシステムにおけるオーバーヘッド情報は暗号化アルゴリズムを使用して暗号化することができる。これにより、ユーザーは、システムを使用し、システムの使用について費用請求され、情報のセキュリティを制御する手段を提供することが可能となる。鍵は信号を解読するために適用することができる。鍵は、PC、無線・ネットワーク、ハードウェア・ドングルを使用して得ることができ、又はそれが任意の意図しないソースによってアクセス不能である方法でデバイスの不揮発性メモリーへと焼きつけることができる。
【0288】
実施例の暗号化は、データセキュリティ及び認証の両方を提供する。暗号化を使用して安全になる鍵コンポーネントは、送信機、受信機及びサーバー通信である。送信機の認証は、悪意のある送信機が拒絶され得るように送信機を明白に識別することを含む。受信機の認証は、本物の受信機のみが送信された情報を利用することができるようなものである。受信機の認証は、認証された受信機(本物の受信機)だけが動作することを許可されるようなものである。サーバー通信は、受信機とサーバーとの間の通信及び送信機とサーバーとの間の通信が安全でなければならないように暗号化される。ユーザーデータの保護はまた、位置追跡ユーザデータベースが認証されていないアクセスからの保護を要求するので、暗号化される。
【0289】
実施例の暗号化方法は、広く2つの種類に分類することができる:対称鍵暗号作成法及び非対称鍵暗号作成法である。対称鍵暗号化は認証と暗号化の両方を提供するが、非対称鍵暗号化は、公開鍵が誰にでも利用可能であるので、秘密鍵所有者の認証を提供する。データの対称鍵暗号化は所与の同様の資源より一桁分高速である。3DES及びAESは対称鍵暗号作成法の例である。両方の方法の組み合わせは実施例の暗号化アーキテクチャーの一部として使用される。
【0290】
無線(OTA)ブロードキャストメッセージは、一般的なブロードキャストメッセージ又はシステムメッセージを含み得る。一般的なブロードキャストメッセージは、受信機がその位置を決定するのを支援する、位置情報、送信機タイミングカウント及び他の関連情報などの、各送信機に特有のデータを含む。システムメッセージは、暗号鍵を構成し、受信機を有効/無効にするため、又は受信機の特定の組への目標とされる一方向のプライベート情報の交換のために使用される。
【0291】
実施例のメッセージの一般的な形式は次のものを含む:メッセージの種類(パリティ/ECCによる保護);暗号化されたメッセージ;及び暗号化されたメッセージECC。メッセージが暗号化された後、暗号化されたメッセージのECCが計算される。
【0292】
OTAブロードキャストは、おそらくは毎秒周期的に送信されるフレームを含む。チャネルのデータレートに依存して、複数のフレームにわたってメッセージが分割(セグメント化)されてもよい。各フレームはフレームタイプとフレームデータを含む。(パリティ保護された)フレームタイプは、これがメッセージの最初のフレームであるか否か又はそれが連続するフレームであるか否かを示す;それはまた、他の目的に使用され得る低レベルのフォーマットのフレームを示してもよい。フレームデータは、実質的に、セグメント化されたメッセージ又は低レベルのデータフレームである。
【0293】
OTAシステムメッセージは、システムのメッセージタイプに依存して、セッションキーによって、又は送信機の秘密鍵によって、暗号化することができる。OTAの一般的なブロードキャストメッセージは、本明細書に記載されるように送信機及び受信機の両方が交渉したセッションキーによる対称鍵アルゴリズムを使用して暗号化される。これは相互認証を提供する、すなわち、送信機は受信機によって認証することができ、認証された受信機のみがOTAブロードキャストを復号することができる。セッションキーはすべての送信機及び受信機に知られており、周期的に変更される。キー変更メッセージは、過去の幾つかのセッションキーを使用して暗号化され、ある期間においてアクティブでなかった受信機が現在のセッションキーに同期することを可能にする。
【0294】
OTAブロードキャストはまた、送信機の秘密鍵によって暗号化された周期的なシステムメッセージを含む。受信機は、関連付けられる公開鍵を使用することにより、送信機の信頼性を明白に識別することができる。セッションキーが信用できない場合において、この機構は、認証されていない送信機を実施できなくすることを保証する。
【0295】
図37は、実施例による、セッションキー設定のブロック図である。各受信機は、独自の装置ID及び装置固有鍵を備えている。図38は、実施例による、暗号化のためのフロー図である。WAPSシステムデータサーバーは、装置ID/装置固有鍵の組み合わせのデータベースを保持する。受信機とWAPSデータサーバーとの間の受信機初期化は、受信機の種類に特有のデータ接続(GPRS/USB/モデムなど)を使用して容易にされる。この接続は、装置が装置IDによりそれ自身を識別した後に装置固有の鍵を使用して暗号化される。この初期化中、現在のセッションキー、送信機公開鍵及び使用許可期間(licensing term)(すなわち、受信機が認可される持続期間)が交換される。受信機の初期化は、受信機が現在のセッションキー(初期の起動)を失くした場合、又はそのセッションキーが同期していない(拡張されたパワーオフ)場合に実行することができる。セッションキーは周期的に更新され、更新に使用される新たな鍵は以前のN個の鍵を使用して暗号化される。
【0296】
OTAデータレートは、受信機を認証するための唯一の機構であることにとって不適切かもしれない。しかし、実施例のシステムメッセージプロトコルは装置ID固有の及び装置ID距離ベースの受信機の認証をサポートする。
【0297】
信用できないセッションキーは全ての受信機を再初期化することを必要とする。したがって、セッションキー記憶装置は、装置において不正開封防止される(tamper-proof)べきである。装置の暗号境界の外(すなわち、任意の種類の付属の記憶装置)に格納されるセッションキーは、装置の安全な鍵を使用して暗号化される。
【0298】
送信機がその秘密鍵を使用して周期的に認証情報を送信するので、信用できないセッションキーは、なりすまして送信機にアクセスするために使用することができない。したがって、送信機の秘密鍵は決して洩らされる(危険にさらされる、compromised)べきではない。
【0299】
図39に示される代替的な実施例において、鍵は、WAPSサーバーからの通信リンクを介して受信機に直接的に配信することができ、又は第三者のアプリケーションもしくはサービスプロバイダーを介してルーティングすることができる。鍵はある有効期間を有してもよい。鍵は、顧客との契約上の協定に基づいて、アプリケーションごとのベースで又はデバイスごとのベースで利用可能とされてもよい。受信機上のアプリケーション又はネットワーク上のアプリケーションの一方によって位置要求がなされる場合はいつでも、鍵は、位置を計算するためにWAPSエンジンから位置又はパラメーターを取り出す前に有効性についてチェックされる。WAPSサーバーに対する鍵及び情報の交換は、専用のプロトコルを使用して、又はOMA SUPLなどの標準プロトコルを通じて起こり得る。
【0300】
システムのセキュリティアーキテクチャーは、図37及び図39に示されるアーキテクチャーの組み合わせとして実施することができる。
パラメーターセンサーは、センサーからの測定値に時間タグを付けるため及び/又は位置タグを付けるためにWAPSシステムの受信機へ統合することができる。パラメーターセンサーは、数例を挙げると、温度センサー、湿度センサー、重量センサー、及びスキャナータイプのセンサーを含んでもよいが、これらに限定されない。例えば、X線検出器は、追跡される受信機、又は追跡される受信機を含む装置が、X線機器を通り抜けるかどうかを決定するために使用することができる。X線イベントの時間及びX線機器の位置は、検出器によってタグ付けすることができる。加えて、他のパラメーターセンサーは、センサーからの測定値に時間タグ付け及び位置タグ付けの両方をするために、WAPSシステムへ統合することができる。
【0301】
ユーザーは、個人又は資産に対して、使用ごとに、装置上でのアプリケーションごとに、毎時間、毎日、毎週、毎月、及び年ベースで、システムについて費用請求されてもよい。
【0302】
受信機ユニットの位置及び高さは、通信プロトコルを使用して、端末上の任意のアプリケーション又はネットワークサーバーに送信することができる。代替的に、未加工の距離測定値は、通信プロトコルを通じてネットワークへ送信することができる。通信プロトコルは、端末上のアプリケーションに対する、又は標準もしくは専用の無線プロトコルを通じてサーバーに対する、標準のシリアルインターフェース又は他のデジタルインターフェースであってもよい。標準のプロトコルを介してサーバーへ結合または接続する可能な方法は、サーバーに接続された別の電話に対しての、又は、代替的に、ウェブサーバーへの無線データサービスを介しての、SMSメッセージの使用を含む。送信された情報は、緯度/経度、(利用可能な場合には)高さ、及びタイムスタンプのうち1つ以上を含む。サーバー又は端末ユニット上のアプリケーションは、位置決定を開始することができる。ユーザーの位置は、サーバーから、又はサーバー上のアプリケーションによって、直接的に通信することができる。
【0303】
GPS受信機から独立したWAPSスタンドアロンシステムは装置の位置を決定するために使用することができる。WAPSシステム単独、又は統合されたWAPS及びGPS並びに/もしくは他の測位システムは、媒体カード上で(SDカードなどの)媒体記憶カードと共存するように実施することができる。WAPSシステム単独、又は統合されたWAPS及びGPSシステム並びに/もしくは他の測位システムは、SIMカードを追跡することができるように、携帯電話加入者識別モジュール(SIM)カード上で共存するように実施することができる。
搬送波位相による正確な測位
(1m未満まで)更に精度を改善するためにWAPSシステム性能を増大する1つの方法は、以下に記載されるような搬送波位相測位システムを実施することである。ビーコンは通常のWAPS送信機として設定される。この方法については、簡易な連続的位相追跡を容易にするためにTDMAスロットを使用しないことが望ましいかもしれない(しかし不可欠ではない)。TDMAが使用されない場合、近遠問題は、受信機における干渉除去及び増加したダイナミックレンジを通じて克服することができる。そのような方法をサポートするWAPS受信機は、すべての可視の衛星について連続的な方法で符号及び搬送波位相を測定しタイムスタンプをすることができる。さらに、連続的な方法で符号及び搬送波位相の同様な測定を行うことができる基準受信機が既知の調査された位置に存在する。WAPS受信機及び基準受信機からの測定値は装置又はサーバーのいずれかにおいて位置を計算するために組み合わせられてもよい。そのようなシステムの構成は差動WAPSシステムと同一である。
【0304】
搬送波位相測定は符号位相測定より正確であるが、整数曖昧性と呼ばれる、未知の整数の数の搬送波位相サイクルを含む。しかし、曖昧性解消(ambiguity resolution)と呼ばれる、整数曖昧性を見つけるための方法がある。ここでは、改善された精度のために、ユーザー受信機位置について反復して解くための極小値サーチアルゴリズムの拡張を使用し、複数の時期において測定値を使用する1つの方法が考慮される。最初に、単一の時期におけるユーザー受信機での搬送波位相測定値を次のように考慮する。
【0305】
【数82】

【0306】
ここでφ、λ、f及びNは、それぞれ搬送波位相、波長、周波数及び整数サイクルであり、dtはクロックバイアスであり、rは距離であり、εは測定誤差であり、下付き文字uはユーザー受信機を表し、kは送信機番号を表す。
距離は、ユーザー位置及び送信機位置p及びp(k)の観点から、
【0307】
【数83】

【0308】
として与えられる。
送信機クロックバイアスについての知識における誤差を除去するために、対応する搬送波位相方程式
【0309】
【数84】

【0310】
とともに既知の位置における別の受信機(基準受信機と呼ばれる)を考慮する。
下付き文字rは基準受信機を表し、(1)から(2)を差し引いて
【0311】
【数85】

【0312】
を得る。
これは
【0313】
【数86】

【0314】
として書かれる。ここで
【0315】
【数87】

【0316】
である。
dtrには関心がないので、指標(k)の異なる値について差分(5)によって除去することができ、いわゆる二重の差分観測量の式
【0317】
【数88】

【0318】
を得る。
ここで
【0319】
【数89】

【0320】
である。
次に、式(6)は
【0321】
【数90】

【0322】
としてのrur(kl)を介した未知のユーザー位置pにおける式である。
ここで
【0323】
【数91】

【0324】
である。
通常、二重差分に使用される送信機lは送信機のうちの1つであり、便宜上それをlとしてラベル付けすることは
【0325】
【数92】

【0326】
又は
【0327】
【数93】

【0328】
としての行列形式の式につながる。
式(10)は未知のユーザー位置pにおける非線形式である。極小値サーチアルゴリズムは一次方程式において機能し、そのため、式(10)は線形化されて以下のように反復して解かれる。反復をmとして、pへの近似はpである。
【0329】
【数94】

【0330】
及び
【0331】
【数95】

【0332】
ここで
【0333】
【数96】

【0334】
次に、式(10)は
【0335】
【数97】

【0336】
として書かれる。
式(13)はx=Δpにおいて線形であり、以下に与えられる極小値サーチアルゴリズムを使用してΔpについて解かれる。そのようにして得られたΔpを使用して、式(11)は反復mにおけるpを得るために使用され、次にそのようにして得られたpは、次の反復(m+1)におけるpm+1として使用される。Δpが収束を決定するのに十分に小さくなるまで、反復が継続される。反復の初めにおいて、pは符号位相ベースの解から得ることができる。
【0337】
ここで式(13)を解くことを考える。Qddを二重差分搬送波位相誤差ベクトルの共分散行列とする。それは以下のように得られる。単一の差分観測量φur(k)=φ(k)−φ(k)における誤差の分散はQ+Qであり、ここでQ+Qは送信機kから独立していると仮定されるそれぞれの搬送波位相誤差分散である。φur(k1)=φur(k)−φur(1)の分散は2(Q+Q)であり、φur(j1)=φur(j)−φur(1)とφur(k1)=φur(k)−φur(1)との間の相互分散(j≠k)はQ+Qであり、これは共通項φur(1)の分散である。したがって、
【0338】
【数98】

【0339】
(13)の加重最小二乗解は、
【0340】
【数99】

【0341】
であり、ここでGはGの左逆元であり、G=(G・Qdd−1・G)−1・G・Qdd−1である。その結果残りのベクトルは
【0342】
【数100】

【0343】
であり、これはNの関数であり、極小値サーチは
【0344】
【数101】

【0345】
としてNに関して残りの加重ノルム二乗を最小にしようとする。
(17)を解くために
【0346】
【数102】

【0347】
をNが整数であるという制約の下で解くことを考慮する。Wはべき等(idempotent)である(W=W及びW・W=W)であるので、その結果、
【数102−1】

及び
【数102−2】

である。したがって、Nの探索は(18)を満たすそれらのNに制限される。
【0348】
Nがx=Δpの推定のために一旦解決されると式(15)から得られる。(n−1)>3及びしたがって(n−1)×(n−1)行列S及びWが完全な階数(n−1)から3だけ足りないので、それぞれ(n−1)×3及び3×(n−1)の次元の行列G及びGは階数3を有する。
【0349】
式(18)においてWのQR分解(LU分解を使用してもよい)を使用して、
【0350】
【数103】

【0351】
であり、ここでQは正規直交(ortho-normal)行列(Q−1=Q)であり、Rは上三角行列であり、その結果
【0352】
【数104】

【0353】
であり、
【0354】
【数105】

【0355】
である。
したがって、
【0356】
【数106】

【0357】
の解は、整数値を備えた3次元ボックスにおいてNを探索し、(21)からNを得て、(17)においてc(N)を最小にするNを選ぶことによって、得られる。Nの探索は、以前の反復からのNの値に集中する。Nのゼロ次反復においてλ‐1・f(p)の端数部分として得られるNの後段;pは符号位相ベースの解である。3次元探索ボックスのサイズは符号位相ベースの解における不確実性に依存する。このボックスはより小さなサブボックスに分割することができ、各々のより小さなサイズのサブボックスの中心は、初期のpとして試みることができる。
【0358】
上記の方法は、位置を決定するために測定値の単一の時期(瞬間)を使用した。以下の記載では、当該単一時期の方法に対する拡張について説明する。複数の時期測定値は、ユーザー受信機の移動が無視できるときに十分に近く取られる。さらに、後続の時期において新たな未知の整数曖昧性が導入されないように、初期の時期の整数曖昧性は後の時期の間、同じままである。(衛星の送信機の動きがライン・オブ・サイトを変化させ、従って独立した式を与えるGNSSの場合とは異なり)送信機の位置が固定されるので、複数の時期の測定値は独立した式を与えない。したがって、(独立した式の数が未知の曖昧性と3つの位置座標の合計の数より大きくなるときのGNSSの場合とは異なり)複数の時期の測定値は、整数曖昧性について浮動小数曖昧性(float ambiguities)として解決する際に助けとならない。しかし、複数の時期の測定値はより多くの搬送波位相測定誤差を許容し、さらに成功した曖昧性解決を可能にする。複数の時期の場合において、式(13)は
【0359】
【数107】

【0360】
となる。
上述の式のような単一の時期の場合についての展開に続いて、問題は
【0361】
【数108】

【0362】
となるようにNを見つけるという問題に帰着する。ここで
【0363】
【数109】

【0364】
である。
そして、Nについて(23)を解くために、
【0365】
【数110】

【0366】
のQR分解(LU分解を使用することもできる)を使用し、上記(19)から(21)の式に従って、
【0367】
【数111】

【0368】
を解くことを考える。ここでもまた、Nがx=Δpの推定のために一旦解決されると式(15)から得られる。このx=Δpの推定値は小さく、その結果、式(11)における反復はユーザー位置pを得るために停止される。通常、xの各コンポーネントが1e−6の大きさより小さい場合、その後収束が示され、反復が停止される。
【0369】
次のステップは、収束したユーザー位置pが正しいものであるかどうかを確認することである。これは、
【0370】
【数112】

【0371】
として(10)から得られる残差に基づいてなされる。各時期の間の残差の最大の絶対値が
【0372】
【数113】

【0373】
未満である場合、収束した解は解として受け入れられ、そうでなければ探索は新たなサブボックスを選択することにより継続される。通常、確認試験におけるスケール係数(スケールファクター)κは、5であるように選択することができる。解が一旦確認されると、上述の差動WAPSシステムは1mに近い又は1mよりよい精度を達成することができる。
【0374】
この差動WAPS搬送波位相システムは、基準受信機の追加を介して従来のWAPSシステムの上に重ねられてもよいし、又はスタンドアロンであってもよい。差動WAPS搬送波位相システムは、(モール、倉庫などの)ある局所的な目標地域における高精度の測位を配信するために使用することができる。
【0375】
位置/タイミング精度における使用のための本明細書に記載されるシステムは、ローカルエリア及び広域の両方において以下のアプリケーションのうち1つ以上に使用することができるが、これらに限定されない:資産管理;人の追跡;ペットの追跡;防火;モバイル広告;公安用途のための特別の位置決定(例えば、「モバイル」送信機の組は位置(例えば、火災の位置)に移動させることができ、それらの送信機は、その付近における受信機の組に位置信号を提供するためにローカルネットワークを形成する);軍事用途(例えば、送信機は、正確な屋内の位置を得るために、陸上に又は無線で特別な方法で配置することができる);精度の要請を満たす帯域幅を提供することができる用途のための柔軟な帯域幅;コンテナ追跡及び屋内環境においてコンテナをあちこち移動させる車両;地理的タグ付け;地理的包囲(geo-fencing);E911アプリケーション;医学的応用のためのパレット追跡及びパレット追跡を要求する他の用途;フェムトセル;フェムトセルのタイミング基準、タイミング受信機;屋内及び屋外の両方の位置に基づいて認証をするセキュリティ用途のための位置の提供;帰還(homing)用途(例えば、WAPSを使用するペット/資産追跡、及び携帯電話を使用した資産/ペットまでの歩行者のナビゲーションの提供)。単独での又は他の位置技術と統合されたWAPSシステムは、さらに、既存のローカルエリア及び/又は広域資産管理及び/又は測位システムへ統合することができる。
【0376】
本明細書に記載された実施例は、次のものを備える測位システムを含む:測位信号をブロードキャストする複数の送信機を含む送信機ネットワーク;測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを取得して追跡するリモート受信機であって、衛星信号は衛星ベースの測位システムの信号であり、リモート受信機の第1の動作モードはリモート受信機が測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つからリモート受信機の位置を計算する、端末ベースの測位を含む、リモート受信機;及び、リモート受信機に結合されたサーバーであって、リモート受信機の第2の動作モードは、サーバーが測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つからリモート受信機の位置を計算する、ネットワークベースの測位を含み、リモート受信機は測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを受信してサーバーへ転送する、サーバー。
【0377】
本明細書に記載された実施例は位置を決定する方法を含み、当該方法は、リモート受信機において測位信号及び衛星信号方法のうち少なくとも1つを受信するステップであって、測位信号は複数の送信機を含む送信機ネットワークから受信され、衛星信号は衛星ベースの測位システムから受信される、受信するステップ;及び、端末ベースの測位及びネットワークベースの測位のうちの1つを使用してリモート受信機の位置を決定するステップであって、端末ベースの測位は測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを使用してリモート受信機においてリモート受信機の位置を計算することを含み、ネットワークベースの測位は測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを使用してリモートサーバーにおいてリモート受信機の位置を計算することを含む、決定するステップを備える。
【0378】
本明細書に記載されたコンポーネントは、一緒に配置してもよいし、又は別個の位置に配置されてもよい。通信パスは、コンポーネントを結合し、コンポーネント間でファイルを通信又は転送するための、任意の媒体を含む。通信パスは、無線接続、有線接続及びハイブリッド無線/有線接続を含む。通信パスはまた、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、専用ネットワーク、オフィス間ネットワーク又はバックエンドネットワーク、及びインターネットを含むネットワークへの結合又は接続を含む。さらに、通信パスは、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ及びCD−ROMディスクなどの取外し可能な固定媒体のほか、フラッシュRAM、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続、RS−232接続、電話回線、バス及び電子メールメッセージを含む。
【0379】
本明細書に記載されたシステム及び方法の態様は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルアレイロジック(PAL)デバイス、電気的にプログラム可能な論理及びメモリー装置、及び標準的なセルベースのデバイスなどの、プログラマブルロジックデバイス(PLD)のほか、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む、様々な回路のうちの任意のものへプログラムされた機能として実施されてもよい。システム及び方法の態様を実施する他の幾つかの可能性は、(電子的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリー(EEPROM)などの)メモリーを備えるマイクロコントローラー、内蔵されたマイクロプロセッサー、ファームウェア、ソフトウェアなどを含む。さらに、システム及び方法の態様は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、(シーケンシャル及び組み合わせの)個別論理回路、カスタムデバイス、ファジー(神経)論理回路、量子デバイス、及び上記のデバイスタイプのうちのいずれかの合成を有するマイクロプロセッサーに具体化されてもよい。勿論、基本的なデバイス技術は、様々なコンポーネントタイプ、例えば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)などの金属酸化物電界効果トランジスター(MOSFET)技術、エミッター結合型論理回路(ECL)などのバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン接合(silicon-conjugated)ポリマー構造及び金属−接合ポリマー−金属構造)、混合されたアナログ及びデジタルなどにおいて提供されてもよい。
【0380】
本明細書に開示されたいかなるシステム、方法及び/又は他のコンポーネントも、コンピューターによる設計ツールを使用して記述することができ、様々なコンピューター読み取り可能な媒体において、その動作、レジスタ転送、論理コンポーネント、トランジスター、レイアウト形状、及び/又は他の特性の観点から、具体化されたデータ及び/又は命令として表現する(表す)ことができることに留意すべきである。そのような形式を整えられた(フォーマットされた、formatted)データ及び/又は命令が具体化され得るコンピューター読み取り可能な媒体は、様々な形式の不揮発性記憶媒体(例えば、光学記憶媒体、磁気記憶媒体又は半導体記憶媒体)及び無線、光もしくは有線の信号伝達媒体又はそれらの任意の組み合わせを介してそのような形式を整えられたデータ及び/又は命令を転送するために使用され得る搬送波を含むが、これらに限定されない。搬送波によるそのような形式を整えられたデータ及び/又は命令の転送の例は、1つ以上のデータ転送プロトコル(例えば、HTTP、HTTPs、FTP、SMTP、WAPなど)によるインターネット及び/又は他のコンピューターネットワークを介した転送(アップロード、ダウンロード、電子メールなど)を含むが、これらに限定されない。1つ以上のコンピューター読み取り可能な媒体を介してコンピューターシステム内で受信される場合、上述のコンポーネントについてのそのようなデータ及び/又は命令ベースの表現は、1つ以上の他のコンピュータープログラムの実行とともに、当該コンピューターシステム内の処理エンティティ(例えば、1つ以上のプロセッサー)によって処理され得る。
【0381】
文脈上他の方法で明確に要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、「備える」、「備えた」などの語は、排他的又は完全な意味とは対照的に、包括的な意味で、すなわち、「を含むがそれに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数又は複数を使用する語はまた、それぞれ、複数又は単数を含む。さらに、「本明細書において」、「以下に」、「上記の」、「以下の」及び同様の意味の語は、本出願において使用される場合、本出願の任意の特定の部分ではなく全体として本出願を指す。「又は」なる語が2つ以上の項目のリストに関して使用される場合、その語は、その語についての次の解釈をすべてカバーする:リスト中の項目のうちの任意のもの、リスト中の項目のすべて、及びリスト中の項目の任意の組み合わせ。
【0382】
本システム及び方法の実施例についての上記の記載は、完全であるようには意図されず、又、本システム及び方法を開示された正確な形式に限定するようにも意図されない。本システム及び方法の特定の実施例、及びその例は、説明の目的のために本明細書に記載され、当業者であれば認識するように、本システム及び方法の範囲内で、様々な同等の修正が可能である。本明細書において提供される本システム及び方法についての教示は、上述のシステム及び方法のためだけでなく、他のシステム及び方法に適用することができる。
【0383】
上述の様々な実施例の要素及び動作は、さらなる実施例を提供するために組み合わせることができる。これら及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして本システム及び方法に対して行うことができる。
【0384】
一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、実施例を明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施例に限定するように解釈されるべきでなく、特許請求の範囲に従って動作するすべてのシステムを含むように解釈されるべきである。したがって、実施例は、本明細書における開示によって限定されず、その代わりに、実施例の範囲は特許請求の範囲によって全体的に決定されるべきである。
【0385】
実施例のある態様がある請求の形式で以下に提示されるが、本願発明者は、任意の数の請求の形式で実施例の様々な態様を意図している。したがって、本願発明者は、実施例の他の態様について追加の請求の形式を追求するべく、本出願を提出した後に追加の請求項を加える権利を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位信号をブロードキャストする複数の送信機を含む送信機ネットワークと、
測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを取得して追跡するリモート受信機であって、前記衛星信号は衛星ベースの測位システムの信号であり、前記リモート受信機の第1の動作モードは、前記リモート受信機が前記測位信号及び前記衛星信号のうち少なくとも1つから前記リモート受信機の位置を計算する、端末ベースの測位を含む、リモート受信機と、
前記リモート受信機に結合されたサーバーであって、前記リモート受信機の第2の動作モードは、前記サーバーが前記測位信号及び前記衛星信号のうち少なくとも1つから前記リモート受信機の位置を計算する、ネットワークベースの測位を含み、前記リモート受信機は前記測位信号及び前記衛星信号のうち少なくとも1つを受信して前記サーバーへ転送する、サーバーと
を具備する測位システム。
【請求項2】
リモート受信機において測位信号及び衛星信号のうち少なくとも1つを受信するステップであって、前記測位信号は複数の送信機を含む送信機ネットワークから受信され、前記衛星信号は衛星ベースの測位システムから受信される、受信するステップと、
端末ベースの測位及びネットワークベースの測位のうちの1つを使用して前記リモート受信機の位置を決定するステップであって、端末ベースの測位は前記測位信号及び前記衛星信号のうち少なくとも1つを使用して前記リモート受信機において前記リモート受信機の位置を計算するステップを含み、ネットワークベースの測位は前記測位信号及び前記衛星信号のうち少なくとも1つを使用してリモートサーバーにおいて前記リモート受信機の位置を計算するステップを含む、決定するステップと
を具備する位置を決定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2012−502299(P2012−502299A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526979(P2011−526979)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/056572
【国際公開番号】WO2010/030825
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
3.フロッピー
【出願人】(511064281)コムラブス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】