説明

庇の取付構造および取付方法

【課題】庇の左右の長さを自由に調整できるとともに、庇を確実に支持できる庇の取付構造および取付方法を提供する。
【解決手段】建物の外壁7に庇取付ブラケット2が外壁7に沿って固定され、庇取付ブラケット2と直角な複数の支持アーム3が庇取付ブラケット2の長手方向に所定ピッチで配置されるとともに、これら支持アーム3の基端部が庇取付ブラケット2に固定され、複数の支持アーム3の先端部に、庇取付ブラケット2と平行に配置された繋ぎ材4が取付けられることによって、複数の支持アーム3の先端部が前記繋ぎ材4によって連結され、繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5が前記繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置され、支持アーム3と前記繋ぎ材4に屋根部6が設けられているので、庇を確実に支持できる庇の取付構造を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に庇を取り付ける庇の取付構造および取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に庇を取り付ける庇の取付構造の一例として特許文献1に記載のものが知られている。この庇の取付構造は、庇の基端部に、断面L字状の取付金具が設けられ、建物の躯体に、開口部の上辺部を構成する第一框材が固定され、前記第一框材に、前記取付金具が、その一片部を前記第一框材の上面に当接し、他片部を前記第一框材の前面に当接した状態で固定されていることを特徴としている。
この庇の取付構造によれば、第一框材に取付金具を当接して固定するだけなので、庇を建物に容易に取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−266459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物の間取りや形状等に応じて、庇の左右の長さを自由に調整したいという要望がある。しかしながら、上記従来の技術では、建物開口部の上辺部の第一框材に、庇の基端部を取付金具を介して固定しているので、開口部の上辺部より左右の長さが長い庇を取り付けるのは困難である。
また、庇の左右の長さを長くすると、その分重量も嵩むので、従来のように庇の基端部を第1框材に固定するだけでは、庇を支持するのが困難になってくる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、庇の左右の長さを自由に調整できるとともに、庇を確実に支持できる庇の取付構造および取付方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、建物に庇1を取付ける庇の取付構造において、
前記建物の外壁7に、水平方向に長尺な庇取付ブラケット2が前記外壁7に沿って固定され、
この庇取付ブラケット2と直角な複数の支持アーム3が前記庇取付ブラケット2の長手方向に所定ピッチで配置されるとともに、これら支持アーム3の基端部が前記庇取付ブラケット2に固定され、
前記複数の支持アーム3の先端部に、前記庇取付ブラケット2と平行に配置された繋ぎ材4が取付けられることによって、前記複数の支持アーム3の先端部が前記繋ぎ材4によって連結され、
前記繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5が前記繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置され、
前記支持アーム3と前記繋ぎ材4に屋根部6が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、建物の外壁7に水平方向に長尺な庇取付ブラケット2が前記外壁7に沿って固定されているので、この庇取付ブラケット2に固定する支持アームの本数とピッチを自由に調整することができ、これによって、支持アーム3の先端部を
連結する繋ぎ材4の長さを自由に調整するとともに、これら支持アーム3と繋ぎ材4に設ける屋根部6の長さを自由に調整することができる。したがって、庇の左右の長さを自由に調整できる。
また、繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5が前記繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置されているので、左右に長い庇1を確実に支持できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の庇の取付構造において、
前記庇取付ブラケット2は、前記外壁7に当接されて止着材8によって固定されるブラケット固定部2aと、前記外壁7との間に所定の間隔をもって設けられて、前記支持アーム3の基端部がボルト止めされる支持アーム固定部2bとを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、ブラケット固定部2aが外壁7に当接されて止着材8によって固定されているので、庇取付ブラケット2を外壁7に強固に固定でき、また、支持アーム固定部2bが外壁7との間に所定の間隔をもって設けられているので、支持アーム固定部2bに支持アーム3の基端部を容易にボルト止めできる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の庇の取付構造において、
前記支持アーム3の基端部に、前記支持アーム固定部2bに当接されてボルト止めされる固定プレート3aが設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、固定プレート3aが支持アーム固定部2bに当接されてボルト止めされるので、支持アーム3の基端部を支持アーム固定部2bに容易かつ強固に固定できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の庇の取付構造において、前記庇取付ブラケット2がその長手方向に分割された複数の分割庇取付ブラケット12によって構成され、
前記繋ぎ材4がその長手方向に分割された複数の分割繋ぎ材15によって構成され、
前記屋根部6が、前記庇取付ブラケット2の長手方向に分割された複数の屋根パネル20によって構成され、
前記庇1の長手方向において、前記庇取付ブラケット2の分割位置と、前記繋ぎ材4の分割位置と、前記屋根部6の分割位置とが一致していることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、庇取付ブラケット2の分割位置と、繋ぎ材4の分割位置と、屋根部6の分割位置とが一致しているので、分割庇取付ブラケット12、分割繋ぎ材15、屋根パネル20の数を適宜調整することによって、庇1の左右の長さを自由に調整できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の庇の取付構造において、
前記支持アーム3の位置と、前記繋ぎ材4の分割位置とが異なることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、支持アーム3の位置と繋ぎ材4の分割位置とが異なるので、分割繋ぎ材15,15を支持アーム3に干渉することなく容易に接合できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の庇の取付構造において、前記屋根部6が、前記庇取付ブラケット2の長手方向に分割された複数の屋根パネル20によって構成され、
前記複数の屋根パネル20のうち、少なくとも一つが玄関ポーチ上に配置され、残りが玄関ポーチ上から建物の外壁7に沿って配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、複数の屋根パネル20のうち、少なくとも一つが玄関ポーチ上に配置され、残りが玄関ポーチ上から建物の外壁7に沿って配置されているので、玄関ポーチ上の玄関庇から延長する延長庇を容易に施工できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、建物に庇を取付ける庇の取付方法において、
前記建物の外壁7に、水平方向に長尺な庇取付ブラケット2を前記外壁7に沿って固定し、
次に、この庇取付ブラケット2と直交する複数の支持アーム3を前記庇取付ブラケット2の長手方向に所定ピッチで配置するとともに、これら支持アーム3の基端部を前記庇取付ブラケット2に固定し、
次に、前記複数の支持アーム3の先端部に、前記庇取付ブラケット2と平行に配置された繋ぎ材4を取付けることによって、前記複数の支持アーム3の先端部を前記繋ぎ材4によって連結し、
次に、前記繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5を前記繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置し、
次に、前記支持アーム3と前記繋ぎ材4に屋根部6を設けることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、支持アーム3の本数とピッチを調整るするとともに、繋ぎ材4の長さを調整することによって、庇1の左右の長さを自由に調整した庇を施工できる。
また、繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5が前記繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置されているので、左右に長い庇を確実に支持できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、建物の外壁に水平方向に長尺な庇取付ブラケットが前記外壁に沿って固定されているので、支持アームの本数とピッチを調整するとともに、繋ぎ材の長さや屋根部の長さを調整することによって、庇の左右の長さを自由に調整できる。
また、繋ぎ材を下方から支持する複数の支持柱が前記繋ぎ材の長手方向に所定ピッチで設置されているので、左右に長い庇を確実に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る庇の取付構造の一例を示すもので、当該取付構造を有する建物の要部の斜視図である。
【図2】同、分解斜視図である。
【図3】同、庇の側断面図である。
【図4】同、庇の正断面図である。
【図5】同、庇の先端部の拡大断面図である。
【図6】同、庇の平面図である。
【図7】同、庇の正面図である。
【図8】同、庇の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る庇の取付構造を有する建物の要部の斜視図、図2は庇の取付構造を示す分解斜視図である。
なお、本実施の形態では、建物は複数の建物ユニットを現場で縦横に設置してなるユニット式建物である。
【0023】
図1および図2に示すように、庇1は、庇取付ブラケット2、支持アーム3、繋ぎ材4
、支持柱5、屋根部6等を備えて構成されている。
庇取付ブラケット2は、建物の外壁7に沿って水平方向に長尺な部材であり、図2および図3に示すように、金属製の帯状の板材を二つの凸部を有するように折り曲げ加工することによって形成されている。
また、庇取付ブラケット2は、外壁7にビス等の止着材8によって固定されるブラケット固定部2aと、外壁7との間に所定の間隔をもって設けられて、支持アーム3の基端部がボルト止めされる支持アーム固定部2bとを備えている。ブラケット固定部2aは、前記2つの凸部を挟んで合計3箇所に形成されており、支持アーム固定部2bは前記凸部の先端に形成されている。凸部の高さはその内側にボルト止め用のナットを挿入可能となるように、当該ナットの高さより高くなっている。
また、庇取付ブラケット2は、図2に示すように、その長手方向に3分割された3本の分割庇取付ブラケット12・・・によって構成され、各分割庇取付ブラケット12には、前記ブラケット固定部2aと支持アーム固定部2bが形成されている。
そして、3本の分割庇取付ブラケット12は、それらを一直線状に配置して外壁7に当接するとともに、それらのブラケット固定部2aを通して止着材8を外壁7に打ち込みまたはねじ込むことによって、外壁7に固定されている。
【0024】
前記支持アーム3は、庇取付ブラケット2と直角に4本配置されるとともに、庇取付ブラケット2の長手方向に所定ピッチで配置されている。支持アーム3は断面コ字形の鋼材によって形成されており、その基端部には固定プレート3aが固定されている。
固定プレート3aは、図3に示すように、その上端に水平に折曲された水平板を有しており、この水平板を割庇取付ブラケット12(庇取付ブラケット2)の上側の凸部の上面に掛けたうえで、2つの凸部の先端面に形成されている支持アーム固定部2b,2bに当接されてボルト止めされている。このようにして支持アーム3の基端部が庇取付ブラケット2に固定されている。
【0025】
前記繋ぎ材4は、図2に示すように、4本の支持アーム3の先端部に、庇取付ブラケット2と平行に配置されたうえで、取付けられている。これによって4本の支持アーム3の先端部が繋ぎ材4によって連結されている。
繋ぎ材4は断面コ字形の鋼材によって形成されている。一方、前記支持アーム3の先端部には、図3および図5に示すように、連結部材13が支持アーム3の先端部から突出すようにして溶接固定されている。そして、この連結部材13が繋ぎ材4の上側のフランジ部にボルト14によってボルト止めされることによって、支持アーム3の先端部が連結部材13を介して繋ぎ材4に連結されている。
また、繋ぎ材4は、図2に示すように、その長手方向に分割された3本の分割繋ぎ材15によって構成されている。3本の分割繋ぎ材15は、それらを一直線状に配置したうえで、互いに連結されている。隣り合う分割繋ぎ材15,15には、図4に示すように、それらの接合部を跨ぐようにして、接合板16が分割繋ぎ材15,15のウエブ部に内側から当接されている。そして、この接合板16がボルト14によって、ウエブ部にボルト止めされることによって、隣り合う分割繋ぎ材15,15どうしが接合されている。
【0026】
前記支持柱5は、図1および図2に示すように、繋ぎ材4を下方から支持するものであり、繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで4本設置されている。
支持柱5は、図2〜図4に示すように、角筒状の鋼材で形成された柱本体5aと、この柱本体5aの上下端部にそれぞれ固定された上端プレート5b、下端プレート5cと、柱本体5aの外側を覆う化粧カバー5dとから構成されている。
柱本体5aの下端部は、図7および図8に示すように、玄関ポーチ17に埋設されおり、下端プレート5cが基礎にアンカーボルト18によって固定されている。柱本体5aの上端部は、図3〜図5に示すように、庇1中に挿入さており、上端プレート5bがボルト14によって、繋ぎ材4の下側のフランジ部にボルト止めされている。これによって、繋
ぎ材4は支持柱5によって下方から支持されている。
なお、支持柱5の化粧カバー5dは、玄関ポーチ17の上面と庇1の下面との間に位置する柱本体5aの外側を所定の隙間をもって覆っており、化粧カバー5dの上端と庇1の下面との間、化粧カバー5dの下端と玄関ポーチ17の上面との間には若干の隙間が設けられている。
【0027】
また、前記支持アーム3と繋ぎ材4に屋根部6が設けられている。屋根部6は、図1、図2および図6に示すように、庇1の長手方向に分割された3枚の屋根パネル20によって構成されている。
屋根パネル20は、図3に示すように、庇取付ブラケット2と平行に配置された複数本の断面コ字形の鋼材20aと、これら鋼材20aの上面に取り付けられ屋根材20bとを備えている。屋根材20bは合板等によって形成されている。なお、屋根材20bの上面には薄板状の屋根鋼板が設けられている。
屋根パネル20の軒先側に位置する鋼材20aは前記繋ぎ材4の上面に設置されており、ボルト14によってボルト止めされている。また、屋根パネル20の軒先側以外に位置する鋼材20aは前記支持アーム3の上面に設置され、ボルト14によってボルト止めされている。なお、屋根パネル20の軒先側に位置する鋼材20aに隣り合う鋼材20aはボルト止めされていない。
また、図1に示すように、屋根部6を構成する複数の屋根パネル20のうち、一つの屋根パネル20が玄関ポーチ17上に配置され、残りの屋根パネル20は玄関ポーチ17上から建物の外壁7に沿って配置されている。
【0028】
隣接する屋根パネル20,20どうしの隙間には、図2に示すように、ジョイナー21が設けられている。また、3枚の屋根パネル20の上面の奥側には庇取付ブラケット2の長手方向に延在する溝20cが連続して設けられており、この溝20cに箱型の樋22が挿入固定されている。なお、樋22は2枚の屋根パネル20,20に設けられる長いものと、1枚の屋根パネル20に設けられる短いものがあるが、これら樋22,22は若干の隙間をもって連続して設けられている。また、図6に矢印で示すように、屋根パネル20の上面は樋22向けて水が流れるような水勾配が付され、さらに、長い樋22は図1および図6において左側に水が流れるような水勾配が付され、短い樋22は右側に水が流れるような水勾配が付されている。なお、樋22の端部には、後述する竪樋42が接続されるドレン孔22aが形成されている。
【0029】
前記屋根部6の先端部および側端部には、図1および図2に示すように、幕板23が取り付けられている。
幕板23はその長手方向に分割された5つの分割幕板24によって構成されている。屋根部6の先端部に取付けられた3つの分割幕板24は、前記繋ぎ材4と平行に配置されており、左右両側の分割幕板24の一端部は屋根部6の側端部側に向けて折曲している。また、屋根部6の側端部に取り付けられた2つの分割幕板24は、支持アーム3と平行に配置されおり、図2および図3において、左側の分割幕板24の一端部は内側に折曲している。
【0030】
また、前記分割幕板24は上幕板24aと下幕板24bとによって構成されている。図5に示すように、屋根パネル20の先端部には取付部材25が固定されており、この取付部材25の上部に、角材26、水密材27を介して、屋根部6の先端部に位置する上幕板24aの上部がビス28によって固定され、取付部材25の下端部に当該上幕板24aの下部がビス28によって固定されている。なお、上幕板24aの前面には各パイプで形成された化粧部材24cが上下に所定間隔で複数取付けられている。
また、取付部材25の下端部には、屋根部6の先端部に位置する下幕板24bの上端部がビス28によって固定され、当該下幕板24bの下端部はブラケット29に固定されて
いる。前記繋ぎ材4には支持部材30が繋ぎ材4から前方に突出するようにして固定されており、この支持部材30に野縁31が固定され、この野縁31に前記ブラケット29が固定されている。
【0031】
また、図4に示すように、屋根パネル20の側端部には取付部材25aが固定されており、この取付部材25aの上部に、角材および水密材を介して、屋根部6の側端部に位置する上幕板24aの上部がビスによって固定され、取付部材25aの下端部に当該上幕板24aの下部がビス28によって固定されている。なお、上幕板24aの前面には各パイプで形成された化粧部材24cが上下に所定間隔で複数取付けられている。
また、取付部材25aの下端部には、屋根部6の側端部に位置する下幕板24bの上端部がビス28によって固定され、当該下幕板24bの下端部はブラケット29aに固定されている。このブラケット29aは、後述する軒天野縁32の端部に当該軒天野縁32と直角に取り付けられた軒天野縁32aに固定されている。
【0032】
また、図3に示すように、支持アーム3には、複数の軒天野縁32が固定されている。軒天野縁32は支持アーム3と直交する方向に延びており、所定間隔で平行に配置されている。軒天野縁32の下面には、図3および図2に示すように、軒天材33が水平に固定されている。なお、支持柱5より前方に位置する軒天材33aは、図5に示すように、前記野縁31に固定されている。また、軒天材33の裏側には、ダウンライト34が支持アーム3に固定されて設けられており、このダウンライト34のカバー材は軒天材33に形成された孔に挿入されることによって、軒天材33の下面に開口している。
【0033】
図2〜図4に示すように、前記庇の長手方向において、庇取付ブラケット2の分割位置(分割庇取付ブラケット12,12の接合位置)と、繋ぎ材4の分割位置(分割繋ぎ材15,15の接合位置)と、屋根部6の分割位置(屋根パネル20,20の接合位置)と、幕板23の分割位置(屋根部6の先端部の位置する分割幕板24,24の接合位置)とが一致している。また、前記支持アーム3の位置と、前記繋ぎ材4の分割位置とは異なっている。
【0034】
次に建物に庇1を取り付ける方法について説明する。
まず、建物の外壁7に、水平方向に長尺な庇取付ブラケット2を外壁7に沿って固定する。
この場合、図2および図3に示すように、分割庇取付ブラケット12を一直線状に配置するとともに、それらのブラケット固定部2aを外壁7に当接してビス等の止着材8によって固定する。
【0035】
次に、図2に示すように、庇取付ブラケット2と直交する複数の支持アーム3を庇取付ブラケット2の長手方向に所定ピッチで配置するとともに、これら支持アーム3の基端部を庇取付ブラケット2に固定する。
支持アーム3の基端部を庇取付ブラケット2に固定する場合、図3に示すように、支持アーム3の基端部の固定プレート3aの上端の水平板を庇取付ブラケット2の上側の凸部の上面に掛けたうえで、固定プレート3aを2つの凸部の先端面に形成されている支持アーム固定部2b,2bに当接してボルト40によって、ボルト止めする。ボルト40が螺合するナットは凸部の内側に収めることができるので、容易にボルト止めできる。
なお、支持アーム3の基端部を固定する位置は、分割庇取付ブラケット12,12の接合位置以外に設定する。
【0036】
次に、図2に示すように、複数の支持アーム3の先端部に、庇取付ブラケット2と平行に配置された繋ぎ材4を取付けることによって、複数の支持アーム3の先端部を繋ぎ材4によって連結する。
この場合、図4に示すように、複数の分割繋ぎ材15を一直線状に配置するとともに、隣り合う分割繋ぎ材15,15の接合部を跨ぐようにして、接合板16を分割繋ぎ材15,15のウエブ部に内側から当接したうえで、この接合板16をボルト14によって、ウエブ部にボルト止めすることによって、隣り合う分割繋ぎ材15,15どうしを接合する。
また、図3〜図5に示すように、支持アーム3の先端部に突出すようにして固定されている連結部材13を、繋ぎ材4の上側のフランジ部にボルト14によってボルト止めすることによって、支持アーム3の先端部を連結部材13を介して繋ぎ材4に連結する。
なお、庇1の長手方向において、庇取付ブラケット2の分割位置(分割庇取付ブラケット12,12の接合位置)に、繋ぎ材4の分割位置(分割繋ぎ材15,15の接合位置)を一致させる。
【0037】
次に、図2に示すように、繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5を繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置する。
この場合、図7および図8に示すように、支持柱5の柱本体5aの下端部を玄関ポーチ17に埋設し、下端プレート5cを基礎にアンカーボルト18によって固定する。また、柱本体5aの上端部を、図3〜図5に示すように、庇1中に挿入し、上端プレート5bをボルト14によって、繋ぎ材4の下側のフランジ部にボルト止めする。これによって、繋ぎ材4を支持柱5の柱本体5aによって下方から支持する。
本実施の形態では、支持柱5は、平面視において、繋ぎ材4の分割位置(分割繋ぎ材15,15の接合位置)からずらして配置するが、支持柱5は繋ぎ材4の長手方向の所望の位置に配置すればよい。
【0038】
次に、図2に示すように、前記支持アーム3と繋ぎ材4に屋根部6を設ける。
この場合、図3〜図5に示すように、複数の屋根パネル20を支持アーム3および繋ぎ材4上に互いに隣接させて配置したうえで、屋根パネル20の軒先側に位置する鋼材20aを繋ぎ材4の上面に設置して、ボルト14によってボルト止めする。また、屋根パネル20の軒先側以外に位置する鋼材20aを支持アーム3の上面に設置して、ボルト14によってボルト止めする。
【0039】
次に、図2に示すように、屋根パネル20の溝20cに樋22を挿入固定した後、隣接する屋根パネル20,20どうしの隙間にジョイナー21を設ける。
次に、図2、図3〜図5に示すように、支持アーム3に、複数の軒天野縁32を固定するとともに、繋ぎ材4の端部に、支持部材30を介して野縁31を固定する。
次に、屋根部6の先端部に位置する下幕板24bの上端部を取付部材25の下端部にビス28によって固定するとともに、当該下幕板24bの下端部をブラケット29に固定する。また、屋根部6の側端部に位置する下幕板24bの上端部を取付部材25aの下端部にビス28によって固定するとともに、当該下幕板24bの下端部をブラケット29aに固定する。
次に、屋根部6の先端部に位置する上幕板24aの上部を取付部材25の上部に、角材26、水密材27を介して、ビス28によって固定するとともに、当該上幕板24aの下端部を取付部材25の下端部にビス28によって固定する。また、屋根部6の側端部に位置する上幕板24aの上部を取付部材25aの上部に、角材、水密材を介して、ビスによって固定するとともに、当該上幕板24aの下端部を取付部材25aの下端部にビス28によって固定する。
【0040】
次に、図3および図4に示すように、前記軒天野縁32に軒天材33を固定するとともに、野縁31に、支持柱5より前方に位置する軒天材33aを固定する。
次に、図1および図3に示すように、屋根部6と外壁7との取り合い部に水切り41を取付け、その後、柱本体5aにその外側を覆う化粧カバー5dを取り付ける。
最後に、図1および図2に示すように、竪樋42、胴差43等を取り付けて終了する。
【0041】
本実施の形態によれば、建物の外壁7に水平方向に長尺な庇取付ブラケット2が外壁7に沿って固定されているので、この庇取付ブラケット2に固定する支持アーム3の本数とピッチを自由に調整することができ、これによって、支持アーム3の先端部を連結する繋ぎ材4の長さを自由に調整するとともに、これら支持アーム3と繋ぎ材4に設ける屋根部6の長さを自由に調整することができる。したがって、庇の左右の長さを自由に調整できる。
また、繋ぎ材4を下方から支持する複数の支持柱5が前記繋ぎ材4の長手方向に所定ピッチで設置されているので、左右に長い庇1を確実に支持できる。
【0042】
また、庇取付ブラケット2のブラケット固定部2aが外壁7に当接されて止着材8によって固定されているので、庇取付ブラケット2を外壁7に強固に固定でき、また、支持アーム固定部2bが外壁7との間に所定の間隔をもって設けられているので、支持アーム固定部2bに支持アーム3の基端部を容易にボルト止めできる。つまり、支持アーム固定部2bと外壁7との間にナットを挿入して、このナットにボルト40を螺合して締め付けることによって、支持アーム固定部2bに支持アーム3の基端部を容易にボルト止めできる。
さらに、支持アーム3の基端部に、支持アーム固定部2bに当接されてボルト止めされる固定プレート3aが設けられているので、支持アーム3の基端部を支持アーム固定部2bに容易かつ強固に固定できる。
【0043】
また、庇取付ブラケット2が複数の分割庇取付ブラケット12によって構成され、繋ぎ材4が複数の分割繋ぎ材15によって構成され、屋根部6が、複数の屋根パネル20によって構成され、庇取付ブラケット2の分割位置と、繋ぎ材4の分割位置と、屋根部6の分割位置とが一致しているので、分割庇取付ブラケット12、分割繋ぎ材15、屋根パネル20の数を適宜調整することによって、庇1の左右の長さを自由に調整できる。
また、支持アーム3の位置と繋ぎ材4の分割位置とが異なるので、分割繋ぎ材15,15を支持アーム3に干渉することなく容易に接合できる。
また、屋根部6が、庇取付ブラケット2の長手方向に分割された複数の屋根パネル20によって構成され、複数の屋根パネル20のうちの一つが玄関ポーチ17上に配置され、残りが玄関ポーチ17上から建物の外壁7に沿って配置されているので、玄関ポーチ17上の玄関庇から延長する延長庇を施工できる。
【符号の説明】
【0044】
1 庇
2 庇取付ブラケット
2a ブラケット固定部
2b 支持アーム固定部
3 支持アーム
3a 固定プレート
4 繋ぎ材
5 支持柱
6 屋根部
7 外壁
8 止着材
12 分割庇取付ブラケット
15 分割繋ぎ材
17 玄関ポーチ
20 屋根パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に庇を取付ける庇の取付構造において、
前記建物の外壁に、水平方向に長尺な庇取付ブラケットが前記外壁に沿って固定され、
この庇取付ブラケットと直角な複数の支持アームが前記庇取付ブラケットの長手方向に所定ピッチで配置されるとともに、これら支持アームの基端部が前記庇取付ブラケットに固定され、
前記複数の支持アームの先端部に、前記庇取付ブラケットと平行に配置された繋ぎ材が取付けられることによって、前記複数の支持アームの先端部が前記繋ぎ材によって連結され、
前記繋ぎ材を下方から支持する複数の支持柱が前記繋ぎ材の長手方向に所定ピッチで設置され、
前記支持アームと前記繋ぎ材に屋根部が設けられていることを特徴とする庇の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の庇の取付構造において、
前記庇取付ブラケットは、前記外壁に当接されて止着材によって固定されるブラケット固定部と、前記外壁との間に所定の間隔をもって設けられて、前記支持アームの基端部がボルト止めされる支持アーム固定部とを備えていることを特徴とする庇の取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の庇の取付構造において、
前記支持アームの基端部に、前記支持アーム固定部に当接されてボルト止めされる固定プレートが設けられていることを特徴とする庇の取付け構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の庇の取付構造において、
前記庇取付ブラケットがその長手方向に分割された複数の分割庇取付ブラケットによって構成され、
前記繋ぎ材がその長手方向に分割された複数の分割繋ぎ材によって構成され、
前記屋根部が、前記庇取付ブラケットの長手方向に分割された複数の屋根パネルによって構成され、
前記庇の長手方向において、前記庇取付ブラケットの分割位置と、前記繋ぎ材の分割位置と、前記屋根部の分割位置とが一致していることを特徴とする庇の取付構造。
【請求項5】
請求項4に記載の庇の取付構造において、
前記支持アームの位置と、前記繋ぎ材の分割位置とが異なることを特徴とする庇の取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の庇の取付構造において、
前記屋根部が、前記庇取付ブラケットの長手方向に分割された複数の屋根パネルによって構成され、
前記複数の屋根パネルのうち、少なくとも一つが玄関ポーチ上に配置され、残りが玄関ポーチ上から建物の外壁に沿って配置されていることを特徴とする庇の取付構造。
【請求項7】
建物に庇を取付ける庇の取付方法において、
前記建物の外壁に、水平方向に長尺な庇取付ブラケットを前記外壁に沿って固定し、
次に、この庇取付ブラケットと直交する複数の支持アームを前記庇取付ブラケットの長手方向に所定ピッチで配置するとともに、これら支持アームの基端部を前記庇取付ブラケットに固定し、
次に、前記複数の支持アームの先端部に、前記庇取付ブラケットと平行に配置された繋ぎ材を取付けることによって、前記複数の支持アームの先端部を前記繋ぎ材によって連結
し、
次に、前記繋ぎ材を下方から支持する複数の支持柱を前記繋ぎ材の長手方向に所定ピッチで設置し、
次に、前記支持アームと前記繋ぎ材に屋根部を設けることを特徴とする庇の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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