説明

床スラブに用いるスペーサ

【課題】コンクリートからなる本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックとを含む床スラブにおいて、コンクリートを打設して前記本体を形成しているときに前記ブロックが浮き上がるのを防止するための手間を減らして、前記床スラブを効率的に施工できるようにすること。
【解決手段】コンクリートからなる本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックと、該ブロックから上方へ間隔を置いて前記本体の内部に配置され、水平方向に伸びる少なくとも1本の鉄筋とを含む床スラブに用いられ、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持するスペーサは、間隔を置かれた、相対する一対の側部及び該側部の間にある頂部からなる、前記鉄筋を受け入れ可能な本体部分と、該本体部分の各側部に設けられ、該側部から下方へ突出する、前記ブロックを突き刺し可能な少なくとも1つの突起とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床スラブに用いるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の床スラブには、コンクリートからなる板状の本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックとを含むものがある(特許文献1参照)。前記本体の内部に前記ブロックが配置されていることにより、前記床スラブの重量を軽減し、該床スラブのコンクリート使用量を低減することができる。
【0003】
前記床スラブは、前記ブロックに設けられた、該ブロックを上下方向に貫く貫通穴と、該貫通穴を貫き、下端部が前記本体の底部に固定されたロッドと、該ロッドの上端部に取り付けられ、前記ブロックに接する水平なプレートとを含む。
【0004】
前記床スラブを施工するとき、まず、前記ロッドの前記下端部を板状の型枠に固定する。次に、前記ブロックを、前記貫通穴が前記ロッドにより貫かれるように、前記型枠の上方に配置する。その後、前記プレートを、該プレートが前記ブロックに接するように、前記ロッドの前記上端部に取り付ける。その後、前記型枠の上に前記ブロックの頂部の高さより高い高さまでコンクリートを打設して前記本体を形成する。
【0005】
ところで、前記コンクリートを打設しているときに前記ブロックに浮力が加わり、該ブロックは浮き上がろうとする。このとき、前記プレートは、前記ブロックがその上方へ移動するのを阻止する。これにより、前記ブロックの浮き上がりを防止することができ、前記ブロックを前記本体の内部に精度良く配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−263516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記ブロックに前記貫通穴を設けること、前記ロッドの前記下端部を前記型枠に固定すること及び前記プレートを前記ロッドの前記上端部に取り付けることに多くの手間を要する。このため、前記床スラブを効率的に施工することができない。また、前記ブロックに前記貫通穴が設けられているため、前記ブロックの体積は、前記ブロックに前記貫通穴が設けられていない場合と比べて小さい。このため、前記床スラブの重量及びコンクリート使用量の増加を招く。
【0008】
前記ブロックは前記コンクリートの打設時に該コンクリートから水平力を受けることがある。前記プレートは、前記ブロックに接しているにすぎず、該ブロックが水平方向に移動するのを阻止することができない。このため、前記ブロックが前記水平力を受けて移動する可能性があり、前記ブロックを精度良く前記本体の内部に配置することができない恐れがある。
【0009】
本発明の目的は、コンクリートからなる本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックとを含む床スラブにおいて、コンクリートを打設して前記本体を形成しているときに前記ブロックが浮き上がるのを防止するために要する手間を減らすことにより、前記床スラブを効率的に施工できるようにすることである。また、本発明の他の目的は、前記ブロックに貫通穴を設けることなく前記ブロックの浮き上がりを防止することにより、前記床スラブの重量及びコンクリート使用量の増加を招くことがないようにすることである。さらに、本発明の他の目的は、前記ブロックが前記コンクリートから水平力を受けて移動するのを防止することにより、前記ブロックをより精度良く前記本体の内部に配置できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記床スラブが、前記ブロックから上方へ間隔を置いて配置された少なくとも1本の鉄筋を含み、前記床スラブに、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持する少なくとも1つのスペーサが用いられ、該スペーサが、間隔を置かれた、相対する一対の側部及び該側部の間にある頂部からなる、前記鉄筋を受け入れ可能な本体部分と、該本体部分の各側部に設けられ、該側部から下方へ突出する、前記ブロックを突き刺し可能な少なくとも1つの突起とを有し、前記スペーサにより前記ブロックの浮き上がりを防止する。これにより、前記本体部分を前記鉄筋の上方から該鉄筋に押し付けて前記スペーサを前記鉄筋に取り付けることにより前記ブロックの浮き上がりを防止できるようにし、前記ブロックの浮き上がりを防止するために要する手間を減らし、前記床スラブを効率的に施工できるようにする。また、ブロックに貫通穴を設けた従来の場合のように前記貫通穴により前記ブロックの体積を減少させることがないようにし、前記床スラブの重量及びコンクリート使用量の増加を招くことがないようにする。また、前記スペーサの前記本体部分が前記鉄筋を受け入れ、前記突起が前記ブロックを突き刺すことにより、前記ブロックが前記水平力を受けて移動するのを防止し、前記ブロックをより精度良く前記本体の内部に配置できるようにする。
【0011】
本発明に係るスペーサは、コンクリートからなる板状の本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックと、該ブロックから上方へ間隔を置いて前記本体の内部に配置され、水平方向に伸びる少なくとも1本の鉄筋とを含む床スラブに用いられ、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持する。前記スペーサは、間隔を置かれた、相対する一対の側部及び該側部の間にある頂部からなる、前記鉄筋を受け入れ可能な本体部分と、該本体部分の各側部に設けられ、該側部から下方へ突出する、前記ブロックを突き刺し可能な少なくとも1つの突起とを有する。
【0012】
前記床スラブを施工するとき、まず、前記ブロックを型枠の上方に配置する。次に、前記鉄筋を前記ブロックから上方へ間隔を置いて配置し、前記スペーサを前記鉄筋に取り付ける。このとき、前記スペーサの前記本体部分を前記鉄筋の上方から該鉄筋に押し付ける。これにより、前記本体部分は前記鉄筋を受け入れ、前記突起は前記ブロックを突き刺す。前記スペーサを前記鉄筋に取り付けた後、前記型枠の上にコンクリートを打設して前記本体を形成する。
【0013】
前記コンクリートを打設しているとき、前記ブロックに浮力が加わり、該ブロックは浮き上がろうとする。このとき、前記スペーサは、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持することにより、前記ブロックがその上方へ移動するのを阻止する。これにより前記ブロックの浮き上がりを防止することができる。
【0014】
前記ブロックの浮き上がりを防止するためには、前記スペーサの前記本体部分を前記鉄筋の上方から該鉄筋に押し付けることにより、前記スペーサを前記鉄筋に取り付ければよく、前記ブロックの浮き上がりを防止するために要する手間は比較的少ない。このため、ブロックに設けられた貫通穴を貫く、下端部が型枠に固定されたロッドと、該ロッドの上端部に取り付けられ、前記ブロックがその上方に移動するのを阻止するプレートとにより前記ブロックの浮き上がりを防止する従来の場合のように前記ブロックに前記貫通穴を設けること、前記ロッドの前記下端部を前記型枠に固定すること及び前記プレートを前記ロッドの前記上端部に取り付けることを要することはなく、前記ブロックの浮き上がりを防止するために多くの手間がかかることはない。これにより前記床スラブを効率的に施工することができる。また、前記従来の場合のように前記ブロックに設けられた前記貫通穴を要することがないため、前記貫通穴により前記ブロックの体積を減少させることはなく、前記床スラブの重量及びコンクリート使用量の増加を招くことはない。
【0015】
前記ブロックは前記コンクリートの打設時に該コンクリートから前記鉄筋に垂直な方向の水平力を受けることがある。前記スペーサの前記本体部分が前記鉄筋を受け入れ、前記突起が前記ブロックを突き刺すため、前記ブロックが前記水平力を受けたとき、前記ブロックが前記スペーサを介して前記鉄筋から反力を受けることにより、前記ブロックの移動が阻止される。これにより、前記ブロックが前記水平力を受けて前記鉄筋に対して移動するのを防止することができ、前記ブロックをより精度良く前記本体の内部に配置することができる。
【0016】
前記本体部分の各側部は、その厚さが前記頂部から下方に向けて漸増するものとすることができる。前記本体部分の各側部は、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに前記ブロックに接する下端面を有する。
【0017】
前記本体部分の各側部の厚さが前記頂部から下方に向けて漸増することにより、前記本体部分の各側部の前記下端面の面積を大きくすることができ、前記本体部分の各側部とブロックとの接触面積を増やすことができる。これにより、前記ブロックが前記コンクリートの打設時に該コンクリートから力を受けて前記スペーサに対して回転するのを防ぐことができる。
【0018】
前記ブロックは、その縦断面において、下方に突な円弧状の頂面を有するものとすることができる。この場合、前記スペーサの前記本体部分は、前記側部の幅方向に垂直な面で見て、一方の側部の前記下端面が、前記頂部の近傍又は該頂部の上方に中心を有する円形の一部を成し、他方の側部の前記下端面が前記円形の他の一部を成し、各側部の前記下端面は、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに前記ブロックの前記頂面に接する。これにより、前記ブロックが前記コンクリートの打設時に該コンクリートから力を受けたときに前記ブロックが前記スペーサから水平方向の反力を受けやすくすることができる。このため、前記ブロックが前記コンクリートの打設時に前記スペーサに対して水平方向にずれるのを防ぐことができる。
【0019】
前記本体部分の各側部に、該側部から他方の側部に向けて伸びる、弾性を有するアーム部分が設けられている。前記アーム部分は、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れているときに該鉄筋に接触して弾性変形し、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに弾性変形が解除されて前記本体部分が前記鉄筋から外れるのを阻止する。
【0020】
前記スペーサの前記鉄筋への取り付け時、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れている途中において、前記アーム部分は前記鉄筋に接触して弾性変形する。前記本体部分が前記鉄筋を受け入れ終わったとき、前記アーム部分は、弾性変形が解除されて、弾性変形前の状態に復元する。復元したアーム部分は、前記本体部分が前記鉄筋から外れるのを阻止する。
【0021】
前記アーム部分の先端部分は、前記アーム部分と前記本体部分の前記側部との境界部分より曲げ強度が小さく、前記アーム部分が前記鉄筋に接触して弾性変形するとき、前記アーム部分の前記先端部分は曲げ変形し、前記境界部分は曲げ変形しない。このため、前記アーム部分が前記鉄筋に接触して弾性変形するときに前記本体部分の各側部に曲げ変形が及ぶことはない。これにより、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れているときに前記本体部分の前記側部の間の間隔が変化して前記突起の前記ブロックへの突き刺しが妨げられることはなく、前記スペーサの前記鉄筋への取り付けを円滑に行うことができる。
【0022】
前記鉄筋は、該鉄筋の外面に前記鉄筋の軸線方向に間隔を置いて設けられた、それぞれが前記鉄筋の周方向に伸びる複数の節を有し、前記本体部分の前記頂部は、該頂部の幅方向に垂直な面で見て上方に突な円弧を呈する下面であって前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに該鉄筋の前記外面に接する下面と、該下面に設けられ、前記円弧の方向に伸びる少なくとも1つの溝であって前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに前記節の1つに係合する少なくとも1つの溝とを有するものとすることができる。
【0023】
前記溝が前記節の1つに係合することにより、前記ブロックが前記コンクリートの打設時に該コンクリートから前記鉄筋の軸線方向の水平力を受けて該鉄筋に対して移動するのを防止することができる。これにより前記ブロックをより精度良く前記本体の内部に配置することができる。
【0024】
前記スペーサは、前記本体部分の各側部の前記下端面に、それぞれが該下端面から下方へ突出し、前記第1突起の長さより短い長さを有する、前記ブロックを突き刺し可能な複数の第2突起が設けられたものとすることができる。各第2突起が前記ブロックを突き刺すことにより、前記ブロックが前記コンクリートから前記鉄筋に垂直な方向の水平力を受けたときに前記本体部分の各側部と前記ブロックとの間に生じる摩擦抵抗を増すことができる。これにより、前記ブロックが前記水平力を受けて前記鉄筋に対して移動することをより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンクリートからなる本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックと、該ブロックから上方へ間隔を置いて前記本体の内部に配置され、水平方向に伸びる少なくとも1本の鉄筋とを含む床スラブに用いられ、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持するスペーサが、間隔を置かれた、相対する一対の側部及び該側部の間にある頂部からなる、前記鉄筋を受け入れ可能な本体部分と、該本体部分の各側部に設けられ、該側部から下方へ突出する、前記ブロックを突き刺し可能な少なくとも1つの突起とを有する。これにより、前記本体部分を前記鉄筋の上方から該鉄筋に押し付けることにより、前記スペーサを前記鉄筋に取り付けることができ、前記鉄筋に取り付けられた前記スペーサは、コンクリートを打設して前記本体を形成しているとき、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持することにより、前記ブロックの浮き上がりを防止する。このため、前記ブロックの浮き上がりを防止するためには、前記本体部分を前記鉄筋の上方から該鉄筋に押し付けることにより、前記スペーサを前記鉄筋に取り付ければよく、前記ブロックの浮き上がりを防止するために要する手間は比較的少ない。
【0026】
これにより、ブロックに設けられた貫通穴を貫く、下端部が型枠に固定されたロッドと、該ロッドの上端部に取り付けられ、前記ブロックがその上方に移動するのを阻止するプレートとにより前記ブロックの浮き上がりを防止する従来の場合のように前記ブロックに前記貫通穴を設けること、前記ロッドの前記下端部を前記型枠に固定すること及び前記プレートを前記ロッドの前記上端部に取り付けることを要することはなく、前記ブロックの浮き上がりを防止するために多くの手間がかかることはない。このため、前記床スラブを効率的に施工することができる。また、前記従来の場合のように前記ブロックに設けられた前記貫通穴を要することがないため、該貫通穴により前記ブロックの体積を減少させることはない。このため、前記床スラブの重量及びコンクリート使用量の増加を招くことはない。
【0027】
また、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れ、前記突起が前記ブロックを突き刺すため、前記ブロックが前記コンクリートの打設時に該コンクリートから前記鉄筋に垂直な方向の水平力を受けたとき、前記ブロックが前記スペーサを介して前記鉄筋から反力を受けて、前記ブロックの移動が阻止される。これにより、前記ブロックが前記水平力を受けて前記鉄筋に対して移動するのを防止することができ、前記ブロックをより精度良く前記本体の内部に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施例に係る床スラブの縦断面図。
【図2】本発明の第1実施例に係る上方スペーサの正面図。
【図3】本発明の第1実施例に係る上方スペーサの斜視図。
【図4】下方スペーサの正面図。
【図5】下方スペーサの斜視図。
【図6】上方スペーサを鉄筋に取り付ける前におけるブロックの正面図。
【図7】上方スペーサを鉄筋に取り付けた後におけるブロックの正面図。
【図8】上方スペーサの本体部分が鉄筋を受け入れているときにおける上方スペーサの正面図。
【図9】上方スペーサの本体部分が鉄筋を受け入れたときにおける上方スペーサの正面図。
【図10】本発明の第2実施例に係る床スラブの縦断面図。
【図11】本発明の第2実施例に係る上方スペーサの正面図。
【図12】本発明の第2実施例に係る上方スペーサの斜視図。
【図13】本発明の第3実施例に係る床スラブの縦断面図。
【図14】本発明の第3実施例に係る上方スペーサの正面図。
【図15】本発明の第3実施例に係る上方スペーサの斜視図。
【図16】図13の線16における上方スペーサの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示すように、建物の床スラブ10が構築されている。床スラブ10は、コンクリートからなる板状の本体12と、該本体の内部に配置されたブロック14と、該ブロックから上方へ間隔を置いて本体12の内部に配置され、水平方向に伸びる少なくとも1本の鉄筋16と、本体12の内部に配置され、ブロック14と鉄筋16との間の間隔を維持する少なくとも1つのスペーサ(上方スペーサ)18とを含む。
【0030】
ブロック14は、発泡スチロール、プラスチック、木材等のような、コンクリートより比重が小さい材料からなる。ブロック14が本体12の内部に配置されていることにより、床スラブ10の重量を軽減し、該床スラブのコンクリート使用量を低減することができる。ブロック14は、六面体であり、ほぼ四角形の平面形状を有する。ブロック14は、その頂面20及び底面22のそれぞれが平坦である。
【0031】
ブロック14は、その底部24が本体12の下面26から上方へ間隔を置かれており、床スラブ10は、ブロック14の底部24と本体12の下面26との間の間隔を維持する少なくとも1つの下方スペーサ28を含む。図1に示した例では、床スラブ10は、ブロック14の隅部に配置された4つの下方スペーサ28を含む。下方スペーサ28の数は、複数である図1に示した例に代え、1つでもよい。
【0032】
本体12はほぼ四角形の平面形状を有し、鉄筋16は前記四角形の一辺に平行である。図1に示した例では、鉄筋16は前記四角形の縦方向(図1における奥行き方向)に伸びている。ブロック14と鉄筋16との間の間隔は該鉄筋の周囲に必要なコンクリート被り厚さに相当する。図1に示した例では、鉄筋16の直径は約12mmであり、ブロック14と鉄筋16との間の間隔は約20mmである。
【0033】
床スラブ10は、本体12の内部に配置された格子状の下端筋30、32と、該下端筋から上方へ間隔を置いて本体12の内部に配置された格子状の上端筋16、34、36とを含む。ブロック14は下端筋30、32から間隔を置かれており、ブロック14の底部24は下端筋30、32の高さとほぼ同じ高さに位置する。
【0034】
格子状の下端筋30、32は、それぞれが前記縦方向に伸びる、前記四角形の横方向(図1における左右方向)に間隔を置かれた複数の第1下端筋30と、それぞれが該第1下端筋と直交する、前記縦方向に間隔を置かれた複数の第2下端筋32とを含む。格子状の上端筋16、34、36は、鉄筋(第1上端筋)16と、それぞれが該第1上端筋に平行である、前記横方向に間隔を置かれた複数の第2上端筋34と、それぞれが第1上端筋16及び第2上端筋34と直交する、前記縦方向に間隔を置かれた複数の第3上端筋36とを含む。
【0035】
図2、3に示すように、床スラブ10に用いられる上方スペーサ18は、間隔を置かれた、相対する一対の側部38及び該側部の間にある頂部40からなる本体部分42と、該本体部分の各側部38に設けられ、該側部から他方の側部38に向けて伸びる、弾性を有するアーム部分44と、本体部分42の各側部38に設けられ、該側部から下方へ突出する少なくとも1つの突起46とを有する。
【0036】
本体部分42は第1上端筋16を受け入れることができる。本体部分42の各側部38は、その高さ寸法がブロック14と鉄筋16との間の間隔、すなわち第1上端筋16の周囲に必要なコンクリート被り厚さとほぼ等しい。本体部分42の各側部38は、その厚さがほぼ一定であり、下端面48を有する。下端面48は、本体部分42が第1上端筋16を受け入れたときにブロック14に接する。
【0037】
本体部分42の頂部40は、その厚さ寸法が側部38の高さ寸法より小さい。図2に示した例では、頂部40の厚さ寸法は側部38の高さ寸法の約1/3である。本体部分42の頂部40は、該頂部の幅方向(図2における奥行き方向)に垂直な面で見て上方に突な円弧を呈する下面50を有する。下面50は、本体部分42が第1上端筋16を受け入れたときに第1上端筋16に接する。
【0038】
アーム部分44は、本体部分42が第1上端筋16を受け入れているときに該第1上端筋に接触して弾性変形し、本体部分42が第1上端筋16を受け入れたときに弾性変形が解除されて本体部分42が第1上端筋16から外れるのを阻止する。アーム部分44は本体部分42の側部38に対して傾斜しており、アーム部分44の先端部分52は、アーム部分44と本体部分42の側部38との境界部分54の高さより高い高さに位置する。
【0039】
アーム部分44の先端部分52は、アーム部分44と本体部分42の側部38との境界部分54より曲げ強度が小さい。アーム部分44が第1上端筋16に接触して弾性変形するとき、アーム部分44の先端部分52は曲げ変形し、アーム部分44と本体部分42の側部38との境界部分54は曲げ変形しない。
【0040】
突起46は、本体部分42の各側部38の下端面48に設けられており、ブロック14を突き刺すことができる。突起46は、先細であり、その太さが本体部分42の側部38から下方に向けて漸減する。図2、3に示した例では、本体部分42の各側部38に、該側部の幅方向(図2における奥行き方向)に間隔を置かれた複数の突起46が設けられている。本体部分42の各側部38に複数の突起46が設けられている図2、3に示した例に代え、本体部分42の各側部38に1つの突起46が設けられていてもよい。
【0041】
図1に示したように、床スラブ10において、上方スペーサ18の本体部分42は第1上端筋16を受け入れており、本体部分42の各側部38の下端面48はブロック14に接しており、本体部分42の頂部40の下面50は第1上端筋16に接している。アーム部分44は、本体部分42が第1上端筋16から外れるのを阻止し、突起46はブロック14を突き刺している。上方スペーサ18はプラスチックからなる。上方スペーサ18は、プラスチックからなる上記の例に代え、金属製でもよい。
【0042】
第1上端筋16と本体12の上面との間の間隔は第1上端筋16の周囲に必要なコンクリート被り厚さに相当する。本体部分42の側部38の高さ寸法が前記コンクリート被り厚さとほぼ等しく、本体部分42の頂部40の厚さ寸法が側部38の高さ寸法より小さいことから、本体部分42の頂部40の厚さ寸法は前記コンクリート被り厚さより小さく、本体部分42の頂部40が本体12の上面から上方へ突出することはない。
【0043】
図4、5に示すように、床スラブ10に用いられる下方スペーサ28は、ブロック14の底部24と本体12の下面26との間に配置される本体部分56と、該本体部分に設けられ、本体部分56から上方へ突出する突起58とを有する。本体部分56は上端面60を有し、該上端面は、本体部分56がブロック14の底部24と本体12の下面26との間に配置されたときにブロック14の底部24に接する。突起58は、本体部分56の上端面60に設けられており、ブロック14を突き刺すことができる。突起58は、先細であり、その太さが本体部分56から上方に向けて漸減する。
【0044】
図1に示したように、床スラブ10において、下方スペーサ28の本体部分56はブロック14の底部24と本体12の下面26との間に配置されており、本体部分56の上端面60はブロック14の底部24に接しており、突起58はブロック14を突き刺している。下方スペーサ28は、突起58がブロック14を突き刺すことにより、ブロック14の底部24に固定されている。下方スペーサ28のブロック14の底部24への固定は、突起58がブロック14を突き刺すことによる図1に示した例に代え、本体部分56の上端面60をブロック14の底部24に接着することによるものでもよい。この場合、下方スペーサ28は、突起58を有しないものとすることができる。
【0045】
床スラブ10を施工するとき、図6に示すように、まず、格子状の下端筋30、32をほぼ四角形の板状の型枠62から上方へ間隔を置いて配置する。次に、ブロック14と、該ブロックの底部24に固定された少なくとも1つの下方スペーサ28とを用意する。その後、下方スペーサ28によりブロック14を型枠62から上方へ間隔を置いて配置する。このとき、ブロック14が下端筋30、32から間隔を置かれるようにする。なお、ブロック14と下方スペーサ28とを用意することは、下端筋30、32を型枠62から上方へ間隔を置いて配置した後に行う上記の例に代え、下端筋30、32を型枠62から上方へ間隔を置いて配置する前に行ってもよい。
【0046】
ブロック14を型枠62から上方へ間隔を置いて配置した後、格子状の上端筋16、34、36を下端筋30、32から上方へ間隔を置いて配置する。このとき、前記四角形の一辺に平行な少なくとも1本の第1上端筋16をブロック14から上方へ間隔を置いて配置する。その後、図7に示すように、少なくとも1つの上方スペーサ18を第1上端筋16に取り付ける。このとき、上方スペーサ18がブロック14と第1上端筋16との間の間隔を維持するようにする。
【0047】
上方スペーサ18を第1上端筋16に取り付けるとき、図8に示すように、本体部分42を第1上端筋16の上方から該第1上端筋に押し付ける(図8に、本体部分42を押し付ける方向を矢印64で示す。)。これにより、図9に示すように、本体部分42は第1上端筋16を受け入れ、本体部分42の各側部38の下端面48はブロック14に接し、突起46はブロック14を突き刺す。上方スペーサ18の第1上端筋16への取り付けを、本体部分42を第1上端筋16の上方から該第1上端筋に押し付けることのみにより行うことができるため、上方スペーサ18の第1上端筋16への取り付け作業は比較的容易である。
【0048】
本体部分42が第1上端筋16を受け入れている途中において、図8に示したように、アーム部分44は第1上端筋16に接触して弾性変形する(図8に、アーム部分44が弾性変形する方向を矢印66で示す。)。これにより、本体部分42の一方の側部38に設けられたアーム部分44と、本体部分42の他方の側部38に設けられたアーム部分44との間の間隔が広がる。このとき、アーム部分44の先端部分52は曲げ変形し、アーム部分44と本体部分42の側部38との境界部分54は曲げ変形しない。本体部分42が第1上端筋16を受け入れ終わったとき、図9に示したように、アーム部分44の弾性変形は解除される。これによりアーム部分44は弾性変形前の状態に復元する(図9に、アーム部分44が復元する方向を矢印68で示す。)。復元したアーム部分44は、第1上端筋16を本体部分42の頂部40に押し付けて、本体部分42が第1上端筋16から外れるのを阻止する。
【0049】
なお、アーム部分44の弾性変形が解除されたとき、アーム部分44は、図9に示した例にでは、完全に弾性変形前の形状に復元するが、これに代え、完全に弾性変形前の形状に復元せず、アーム部分44が第1上端筋16を本体部分42の頂部40に押し付けて、本体部分42が第1上端筋16から外れるのを阻止する程度に、ほぼ弾性変形前の形状に復元してもよい。
【0050】
上方スペーサ18を第1上端筋16に取り付けた後、型枠62の上に上端筋16、34、36の高さより高い高さまでコンクリートを打設して板状の本体12を形成する。前記コンクリートが硬化した後、本体12から型枠62を取り外す。
【0051】
前記コンクリートを打設しているとき、ブロック14に浮力が加わり、該ブロックは浮き上がろうとする。このとき、上方スペーサ18は、ブロック14と第1上端筋16との間の間隔を維持することにより、ブロック14がその上方へ移動するのを阻止する。これにより、ブロック14の浮き上がりを防止することができ、ブロック14を本体12の内部に精度良く配置することができる。
【0052】
ブロック14と第1上端筋16との間の間隔を維持する上方スペーサ18によりブロック14の浮き上がりを防止するため、ブロック14の浮き上がりを防止するためには上方スペーサ18を第1上端筋16に取り付ければよく、ブロック14の浮き上がりを防止するために要する手間は比較的少ない。このため、ブロックに設けられた貫通穴を貫く、下端部が型枠に固定されたロッドと、該ロッドの上端部に取り付けられ、前記ブロックがその上方に移動するのを阻止するプレートとにより前記ブロックの浮き上がりを防止する従来の場合のように前記ブロックに前記貫通穴を設けること、前記ロッドの前記下端部を前記型枠に固定すること及び前記プレートを前記ロッドの前記上端部に取り付けることを要することはなく、前記ブロックの浮き上がりを防止するために多くの手間がかかることはない。これにより床スラブ10を効率的に施工することができる。
【0053】
また、前記従来の場合のように前記ブロックに設けられた前記貫通穴を要することがないため、該貫通穴により前記ブロックの体積を減少させることはない。このため、床スラブ10の重量及びコンクリート使用量の増加を招くことはない。
【0054】
ところで、ブロック14から上方へ間隔を置いて配置された第1上端筋16は、自重により撓むことがある。第1上端筋16が撓むと、第1上端筋16を本体12の内部に精度良く配置することができず、また、ブロック14と第1上端筋16との間の間隔が狭くなってブロック14と第1上端筋16との間に該第1上端筋の周囲に必要なコンクリート被り厚さを確保することができない。上方スペーサ18は、ブロック14と第1上端筋16との間の間隔を維持することにより、第1上端筋16が撓むのを防ぎ、ブロック14と第1上端筋16との間の間隔が狭くなるのを防止する。このため、第1上端筋16を本体12の内部に精度良く配置することができ、また、ブロック14と第1上端筋16との間に確実に前記コンクリート被り厚さを確保することができる。
【0055】
ブロック14は前記コンクリートの打設時に該コンクリートから第1上端筋16に垂直な方向の水平力を受けることがある。上方スペーサ18の本体部分42が第1上端筋16を受け入れ、突起46がブロック14を突き刺しているため、ブロック14が前記水平力を受けたとき、ブロック14が上方スペーサ18を介して第1上端筋16から反力を受けて、ブロック14の移動が阻止される。これにより、ブロック14が前記水平力を受けて第1上端筋16に対して移動するのを防止することができ、ブロック14をより精度良く本体12の内部に配置することができる。
【0056】
上方スペーサ18のアーム部分44が第1上端筋16に接触して弾性変形するとき、アーム部分44の先端部分52が曲げ変形するのに対して、アーム部分44と本体部分42の側部38との境界部分54が曲げ変形しないため、本体部分42の各側部38に曲げ変形が及ぶことはない(図8)。このため、本体部分42が第1上端筋16を受け入れているときに本体部分42の側部38の間の間隔が変化して突起46のブロック14への突き刺しが妨げられることはなく、上方スペーサ18の第1上端筋16への取り付けを円滑に行うことができる。
【0057】
なお、アーム部分44が第1上端筋16に接触して弾性変形するとき、アーム部分44の先端部分52が曲げ変形するとともに、アーム部分44の中間部分、すなわち先端部分52と境界部分54との間に位置する部分が曲げ変形してもよいし、アーム部分44の先端部分52のみが曲げ変形し、アーム部分44の前記中間部分は曲げ変形しなくてもよい。また、アーム部分44の先端部分52が曲げ変形する上記の例に代え、アーム部分44の先端部分52が曲げ変形せずに、アーム部分44の前記中間部分のみが曲げ変形してもよい。ただし、アーム部分44の前記中間部分が曲げ変形した場合においても、アーム部分44と本体部分42の側部38との境界部分54は曲げ変形せず、本体部分42の各側部38に曲げ変形が及ぶことはない。
【0058】
第1上端筋16が前記縦方向に伸びている図1に示した例に代え、第1上端筋16が前記横方向に伸びていてもよい。この場合、格子状の上端筋16、34、36は、ブロック14から上方へ間隔を置かれた、前記横方向に伸びる第1上端筋16と、それぞれが第1上端筋16と直交する、前記横方向に間隔を置かれた複数の第2上端筋34と、それぞれが第1上端筋16に平行であり、かつ第2上端筋34と直交する、前記縦方向に間隔を置かれた複数の第3上端筋36とを含む。第1上端筋16の本数は、図1に示した例では1本であるが、これに代え、2本以上であってもよい。
【0059】
床スラブ10は、下方スペーサ28を含む図1に示した例に代え、下方スペーサ28を含まないものとすることができる。床スラブ10は、例えば、下端筋30、32の1つに平行な少なくとも1つの補助筋(図示せず)が下端筋30、32に固定され、ブロック14が前記補助筋の上に載せられているものとすることができる。
【0060】
ところで、下端筋30、32の位置は、下端筋30、32が自重により撓むことにより、又は据付上の誤差により、設計上決められた位置からずれていることがある。ブロック14が前記補助筋の上に載せられている場合、ブロック14の位置が下端筋30、32の位置に応じて変わるため、ブロック14を設計上決められた位置に配置することができない恐れがある。これに対して、下方スペーサ28によりブロック14を型枠62から上方へ間隔を置いて配置する場合、ブロック14の位置が型枠62を基準にして決まるため、ブロック14の位置が下端筋30、32の位置に応じて変わることはない。このため、ブロック14を、確実に、設計上決められた位置に配置することができる。
【0061】
図10ないし12に示す例では、上方スペーサ18の本体部分42は、各側部38の厚さがほぼ一定である図1に示した例に代え、各側部38の厚さが頂部40から下方に向けて漸増する。各側部38の下端面48は平坦である。
【0062】
本体部分42の各側部38の厚さが該側部と頂部40との境界部分70から下方に向けて漸増することにより、本体部分42の各側部38の下端面48の面積を大きくすることができ、本体部分42の各側部38とブロック14との接触面積を増やすことができる。これにより、ブロック14が前記コンクリートの打設時に該コンクリートから力を受けて上方スペーサ18に対して回転するのを防ぐことができる。
【0063】
図13ないし15に示す例では、上方スペーサ18の本体部分42は、各側部38の下端面48が平坦である図10に示した例に代え、側部38の前記幅方向(図13における奥行き方向)に垂直な面で見て、一方の側部38の下端面48が円形の一部を成し、他方の側部38の下端面48が前記円形の他の一部を成す。前記円形は、本体部分42の側部38の間を経て上下方向に伸びる直線上にあって側部38と頂部40との境界部分70の高さとほぼ同じ高さ又は境界部分70の高さより高い高さに位置する中心を有する。すなわち前記円形は頂部40の近傍又は頂部40の上方に前記中心を有する。
【0064】
ブロック14は、該ブロックの縦断面において、下方に突な円弧状の頂面20を有する。上方スペーサ18の本体部分42の各側部38の下端面48は、ブロック14の頂面20の形状に対応する形状を有し、頂面20に接している。これにより、ブロック14が前記コンクリートの打設時に該コンクリートから力を受けたときにブロック14が上方スペーサ18から水平方向の反力を受けやすくすることができる。このため、ブロック14が前記コンクリートの打設時に上方スペーサ18に対して水平方向にずれるのを防ぐことができる。
【0065】
上方スペーサ18の本体部分42の各側部38の下端面48は、図13に示したように、下端面48の曲率がブロック14の頂面20の曲率と等しく、下端面48の全部がブロック14の頂面20に接している。なお、上方スペーサ18の本体部分42の各側部38の下端面48は、該下端面の全部がブロック14の頂面20に接している図13に示した例に代え、下端面48の一部がブロック14の頂面20に接していてもよい。上方スペーサ18の本体部分42の各側部38の下端面48は、該下端面の曲率がブロック14の頂面20の曲率と等しい上記の例に代え、下端面48の曲率がブロック14の頂面20の曲率と異なってもよい。この場合、上方スペーサ18の本体部分42の各側部38の下端面48は、該下端面の一部がブロック14の頂面20に接している。
【0066】
ブロック14の底面22に、前記縦断面に垂直な方向に伸びる溝72が設けられており、該溝は第1下端筋30を受け入れている。溝72の内面は第1下端筋30から間隔を置かれており、溝72の前記内面と第1下端筋30との間の間隔は該第1下端筋の周囲に必要なコンクリート被り厚さに相当する。このため、ブロック14の下方に第1下端筋30が存在する場合であっても、ブロック14の底部24の高さを第1下端筋30の高さとほぼ同じ高さにすることができ、ブロック14の存在する範囲を上下方向に広いものとすることができ、床スラブ10の重量の軽減及びコンクリート使用量の低減を図ることができる。
【0067】
図14、15に示したように、床スラブ10に用いる上方スペーサ18は、突起(第1突起)46に加えて、本体部分42の各側部38の下端面48に設けられた、それぞれが該下端面から下方へ突出する複数の第2突起74を有する。各第2突起74は、第1突起46より短く、ブロック14を突き刺すことができる。
【0068】
図13に示したように、床スラブ10において、各第2突起74はブロック14を突き刺している。このため、ブロック14が前記コンクリートから前記水平力を受けたときに本体部分42の各側部38の下端面48とブロック14の頂面20との間に生じる摩擦抵抗を増すことができる。これにより、ブロック14が前記水平力を受けて第1上端筋16に対して移動することをより確実に防止することができる。
【0069】
図16に示す例では、第1上端筋16は、該第1上端筋の外面76に第1上端筋16の軸線方向に間隔を置いて設けられた、それぞれが第1上端筋16の周方向に伸びる複数の節78を有する。すなわち第1上端筋16は異形鉄筋である。上方スペーサ18の本体部分42の頂部40は、前記円弧を呈する下面50に設けられた、前記円弧の方向に伸びる少なくとも1つの溝80を有する。本体部分42の頂部40の下面50は、本体部分42が第1上端筋16を受け入れたときに該第1上端筋の外面76に接し、溝80は、本体部分42が第1上端筋16を受け入れたときに節78の1つに係合する。
【0070】
床スラブ10において、上方スペーサ18の本体部分42の頂部40の下面50は第1上端筋16の外面76に接しており、溝80は節78の1つに係合している。溝80が節78の1つに係合しているため、ブロック14が前記コンクリートの打設時に該コンクリートから第1上端筋16の軸線方向の水平力を受けて該第1上端筋に対して移動するのを防止することができる。これによりブロック14をより精度良く本体12の内部に配置することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 床スラブ
12 本体
14 ブロック
16 鉄筋
18 スペーサ(上方スペーサ)
20 頂面
38 側部
40 頂部
42 本体部分
44 アーム部分
46 突起(第1突起)
48 下端面
50 下面
52 先端部分
54 アーム部分と本体部分の側部との境界部分
74 第2突起
76 外面
78 節
80 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートからなる板状の本体と、該本体の内部に配置された、コンクリートより比重が小さいブロックと、該ブロックから上方へ間隔を置いて前記本体の内部に配置され、水平方向に伸びる少なくとも1本の鉄筋とを含む床スラブに用いられ、前記ブロックと前記鉄筋との間の間隔を維持するスペーサであって、
間隔を置かれた、相対する一対の側部及び該側部の間にある頂部からなる、前記鉄筋を受け入れ可能な本体部分と、
前記本体部分の各側部に設けられ、該側部から下方へ突出する、前記ブロックを突き刺し可能な少なくとも1つの第1突起とを有する、スペーサ。
【請求項2】
前記本体部分の各側部は、その厚さが前記頂部から下方に向けて漸増し、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに前記ブロックに接する下端面を有する、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記ブロックは、その縦断面において、下方に突な円弧状の頂面を有し、
前記上方スペーサの前記本体部分は、前記側部の幅方向に垂直な面で見て、一方の側部の前記下端面が、前記頂部の近傍又は該頂部の上方に中心を有する円形の一部を成し、他方の側部の前記下端面が前記円形の他の一部を成し、
各側部の前記下端面は、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに前記ブロックの前記頂面に接する、請求項2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記本体部分の各側部に、該側部から他方の側部に向けて伸びる、弾性を有するアーム部分が設けられており、該アーム部分は、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れているときに該鉄筋に接触して弾性変形し、前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに弾性変形が解除されて前記本体部分が前記鉄筋から外れるのを阻止する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記アーム部分の先端部分は、前記アーム部分と前記本体部分の前記側部との境界部分より曲げ強度が小さく、
前記アーム部分が前記鉄筋に接触して弾性変形するとき、前記アーム部分の前記先端部分は曲げ変形し、前記境界部分は曲げ変形しない、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記鉄筋は、該鉄筋の外面に前記鉄筋の軸線方向に間隔を置いて設けられた、それぞれが前記鉄筋の周方向に伸びる複数の節を有し、
前記本体部分の前記頂部は、該頂部の幅方向に垂直な面で見て上方に突な円弧を呈する下面であって前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに該鉄筋の前記外面に接する下面と、該下面に設けられ、前記円弧の方向に伸びる少なくとも1つの溝であって前記本体部分が前記鉄筋を受け入れたときに前記節の1つに係合する少なくとも1つの溝とを有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスペーサ。
【請求項7】
前記本体部分の各側部の前記下端面に、それぞれが該下端面から下方へ突出し、前記第1突起の長さより短い長さを有する、前記ブロックを突き刺し可能な複数の第2突起が設けられている、請求項2ないし6のいずれか1項に記載のスペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−222926(P2010−222926A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73957(P2009−73957)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(502281127)株式会社ファテック (83)
【出願人】(591029921)フジモリ産業株式会社 (65)
【Fターム(参考)】