説明

床仕上げ材及びこれを用いた床構造

【課題】磁性材料を用いた床材の施工において、床仕上げ材に磁気シールド材を介して磁性材料を配することで、磁性材料から発生する磁気を防止すると共に、リフォーム時には高価な磁性材料を廃棄することなくリサイクル可能とした床仕上げ材及びこれを用いた床構造を提供する。
【解決手段】床下地上に複数枚が敷設されて床面を構成する床仕上げ材において、床仕上げ材の裏面に磁気シールド材12を介して磁性材料13を配した床仕上げ材と、磁性材料13に対して被吸引性を有する床下地材とから構成される床構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材裏面に磁石を配置することで施工が容易であり、補修や改修も容易に行える床仕上げ材及びこれを用いた床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に床材の施工は、根太または大引等の上に直接または合板等の床下地材を介し、その上に床材を順次並べ、接着剤や釘を用いて固定しているが、補修や改修のために床材を外そうとすれば、釘の取り外しに手間がかかり、廃棄時の木材と金属の分別が面倒である。また床材を剥がした際に床下地材に接着剤の固まりが残り新たに床材を貼る際に不陸が生じたり、剥がす際に床下地材を破損させる場合がある。また、施工時に床材表面に接着剤が付着して汚れが発生するという問題が生じる。
【0003】
これに対して、接着剤や釘を用いない施工法として、磁石を用いて床材を施工する方法が、特開2000−336903、特開2002−138652に開示されている。
【特許文献1】特開2002−138652 特開2000−336903
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床材を磁石で固定するには強力な磁石が必要になるが、強力な磁石を使用すると強い磁気が発生するため、時計、携帯電話、パソコン、磁気カード、ペースメーカー等磁気の影響を受け易い精密機器を床に近づけると悪影響を与える。しかし、上記公開特許には磁気シールドに関しては開示も示唆もされていないので実際に使用する際には問題が生じる。
【0005】
本発明は前記の問題点を解決するためになされたもので、磁気シールド材を用いることで、磁石から発生する磁気を防止すると共に、リフォーム時には高価な磁石を廃棄することなくリサイクル可能とした床仕上げ材及びこれを用いた床構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、床下地上に複数枚が敷設されて床面を構成する床仕上げ材において、床仕上げ材の裏面に磁気シールド材を介して磁性材料を配したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の床仕上げ材の裏面に係止片を設けた取付部材が固着され、磁気シールド材には前記取付部材の係止片と係合する係止片が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の床仕上げ材と該床仕上げ材に配した磁性材料に対して被吸引性を有する床下地材とからなる床構造を特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の被吸引性を有する床下地材が被吸引性を有する粉体を含有したシートを表面に貼着した板材からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、床仕上げ材の裏面に磁気シールド材を介して磁性材料を配しているので、磁性材料からは強力な磁気が発生するが床仕上げ材の表面側には磁気はほとんど漏れないため、時計、携帯電話、パソコン、磁気カード、ペースメーカー等磁気の影響を受け易い精密機器を床に近づけても悪影響を受けない。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、床仕上げ材の裏面に係止片を設けた取付部材が固着され、磁気シールド材には前記取付部材の係止片と係合する係止片が設けられているので、施工時やリフォーム時に磁気シールド材を床仕上げ材に簡単に取付け取り外しができ、磁気シールド材や磁性材料を廃棄することなくリサイクルを可能とした。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、床下地材を磁性材料に対して被吸引性を有する材料とすることで、床下地材上に床仕上げ材を施工する際に、床仕上げ材の裏面に配した磁性材料を床下地材に吸引固定することができるので、施工時に床仕上げ材の位置調整を行うことができ、リフォーム時にも床下地材を破損することなく床仕上げ材を取り外すことができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、床下地材が磁性材料に対して被吸引性を有する粉体を含有したシートを表面に貼着した板材からなることで、請求項3に示した効果を発揮すると共に木工用の刃物を使用して現場で簡単に切断加工等ができるので、より施工性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に用いる床材仕上げ材10の一例を示す。
この床仕上げ材10は一般的に用いられる幅1尺×長さ6尺の木質床材であり、図1に示すように床材裏面側の長さ方向両端と中央部に2カ所ずつ計6カ所の凹部11を設けている。
【0016】
図2は、前記凹部11に配する磁気シールド材12及び磁性材料13の斜視図の一例を示したものであるが、本形態に限定されるものではない。磁気シールド材12は内部に磁性材料13を収納する空間を有し、磁性材料13を磁気の吸引力により簡単に取り付けられると共に、加工性、価格の点からも鋼製のものが好ましい。磁性材料13としては施工時に十分な吸引力を有するものであれば、通常の磁石であっても磁性材料を含有するシート等であってもその形態は問わない。
【0017】
図3に示すように、床仕上げ材10の裏面に設けた凹部11には接着剤または両面テープにより磁気シールド材12が固定され、該磁気シールド材12の空間には若干小さな磁性材料13が磁力により吸引固定されている。なお、磁気シールド材12及び磁性材料13の床材への取付箇所及び個数は一例であり、床仕上げ材10の寸法や磁性材料の吸引力に応じて適宜変更される。
【0018】
図4は、床下地として根太31に床仕上げ材10を直接施工する例を示したものである。根太31は床仕上げ材10を支持する根太部分が鋼製であり、支持脚32を介して床面に一定間隔で設置されている。図のように根太間隔に合わせて磁性材料13を床仕上げ材10の裏面に設け、鋼製根太31は磁性材料13に対して被吸引性を有し、床仕上げ材10を固定することができるので、施工時の寸法調整も容易に行うことができ、補修や改修のための床材の取り外しも容易に行うことができる。
【0019】
図5は、床下地として根太31に合板やパーティクルボード等の捨張り材20を張り、さらにその表面に磁性材料13に対して被吸引性を有する鋼板等の板材を表面材21として張り付けた施工例を示したものである。床下地材として捨張り材20を使用した場合は、根太間隔に磁性材料13の配置を合わせる必要がなく床仕上げ材10を自由に施工できる。表面材21は全面に張る必要はなく部分的に張っても良い。また、鋼板に変えて被吸引性を有する粉体を含有したシートを使用しても良い。この場合は金属用の刃物は不要で木工用の刃物をそのまま使用することができ、切断加工が簡単にできるのでさらに施工性が高まる。また、シートに消臭剤、防虫剤、ホルムアルデヒドキャッチャー剤等の機能性薬剤を含有することで、いろいろな機能を付加することができる。
【0020】
図6は、既存の床40の上に磁性材料13に対して被吸引性を有する鋼製のCチャンネル41を所定寸法(本例では45cm間隔)でビス止めし、床仕上げ材10の裏面に磁気シールド材12及び磁性材料13を同じ間隔で配置することで、Cチャンネル41上に床仕上げ材10を固定したものである。これによれば、リフォームの際に既存の床を取り外すことなく新しい床を施工することができるので、手間も少なく短時間で施工することができ、解体による廃棄物も発生も少なくなる。また、図6に示すように断熱材、遮音材、調湿材等の機能材42を床仕上げ材10の裏面の空間部に充填することによりそれぞれの機能を発揮することができる。なお、既存の床の上に施工する場合だけでなく、新築においても図5に示すような捨張り材20を張った上に鋼製のCチャンネル41を取り付けてもよい。
【0021】
次に、取付部材14を用いた別の実施形態について説明する。図7は、床仕上げ材10の裏面に設けた凹部11に磁気シールド材12を固定する際に、接着剤等で直接固着するのではなく、取付部材14を介して固定する方法を示している。取付部材14と磁気シールド材12は係止片15同士を係合させることにより、取り外しが容易に行えるので、リフォーム等で容易に解体できると共に磁気シールド材12及び磁性材料13のリサイクルも容易に行える。
【0022】
図8は、前記取付部材14、磁気シールド材12及び磁性材料13の斜視図の一例であるが本形態に限定されるものではない。取付部材14と磁気シールド材12はそれぞれ同じ直径を有する円板と内部に板状の薄型磁石13を収納できる空間を有する円筒からなり、中央付近に所定間隔を隔てて平行に配置した係止片15を有する。係止片15は係止部分がそれぞれ反時計回りに開放した構造となっている。
【0023】
係止片15を裏面側に向けて取付部材14を接着剤または両面テープで床仕上げ材10の裏面凹部11に固着した後、磁気シールド材12の空間部に磁石13を吸着収納し、該磁気シールド材12を前記裏面凹部11に挿入し時計回りに回転させることで、係止部分が反時計回りに開放した取付部材14、磁気シールド材12の係止片15が係合して床仕上げ材10の裏面に磁石が固定される。解体時には磁気シールド材12を反時計回りに回すことで容易に取り外すことができる。なお、取付部材14と磁気シールド材12の係合の方法は本構成に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】床仕上げ材を示す背面図。
【図2】磁気シールド材及び磁性材料を示す斜視図。
【図3】床仕上げ材の裏面に設けた凹部を示す断面図。
【図4】鋼製根太を用いた施工状態を示す断面図。
【図5】捨張り材を用いた施工状態を示す断面図。
【図6】鋼製のCチャンネルを用いた施工状態を示す断面図。
【図7】取付部材を用いた場合の床仕上げ材の裏面に設けた凹部を示す断面図。
【図8】係止片を有する取付部材、磁気シールド材及び磁性材料を示す斜視図。
【符号の説明】
【0025】
10…床仕上げ材
11…凹部
12…磁気シールド材
13…磁性材料
14…取付部材
15…係止片
20…捨張り材
21…表面材
31…根太(鋼製根太)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地上に複数枚が敷設されて床面を構成する床仕上げ材において、床仕上げ材の裏面に磁気シールド材を介して磁性材料を配したことを特徴とする床仕上げ材。
【請求項2】
床仕上げ材の裏面に係止片を設けた取付部材が固着され、磁気シールド材には前記取付部材の係止片と係合する係止片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の床仕上げ材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の床仕上げ材と該床仕上げ材に配した磁性材料に対して被吸引性を有する床下地材とからなることを特徴とする床構造。
【請求項4】
請求項3に記載の被吸引性を有する床下地材が被吸引性を有する粉体を含有したシートを表面に貼着した板材からなることを特徴とする床構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−92467(P2007−92467A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286220(P2005−286220)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】