床暖房パネル体とその施工方法
【課題】厚手の板を敷くように床暖房パネル体を敷くことができ、簡単に配線できるパネル体を提供する。
【解決手段】幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状の基板1の上面の周囲に木材あるいは同様な強度を持つ小根太3で枠体を形成し、この枠体で囲まれた収容部4を有するパネル基板pと、前記収容部4の中に配置した面状発熱体7と蓄熱マット8と、前記パネル基板pの開口面を蓋板11で閉止した床暖房パネル体Pであって、前記蓋板11は、中央蓋部11aと、この蓋部11aの両側に開閉自在に設けた蓋部11b、11cで構成されており、該蓋部を開閉操作して前記面状発熱体7の長手方向の両端より引き出されている電極線13を配線するように構成した。
【解決手段】幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状の基板1の上面の周囲に木材あるいは同様な強度を持つ小根太3で枠体を形成し、この枠体で囲まれた収容部4を有するパネル基板pと、前記収容部4の中に配置した面状発熱体7と蓄熱マット8と、前記パネル基板pの開口面を蓋板11で閉止した床暖房パネル体Pであって、前記蓋板11は、中央蓋部11aと、この蓋部11aの両側に開閉自在に設けた蓋部11b、11cで構成されており、該蓋部を開閉操作して前記面状発熱体7の長手方向の両端より引き出されている電極線13を配線するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋などを構成する床構造の内部に積層して配置される床暖房パネルと、これの施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
床構造の内部に面状発熱体を配置したり、あるいは面状発熱体と蓄熱シートとを組合わせて配置し、夜間電力を利用して蓄熱効果によって電気料金を低下させる方法などが提案されている。例えば、特公昭61−32442号公報、特公平5−17461号公報あるいは特公平4−81701号公報には面状発熱体をコンクリート床の上に敷設する構造が提案されている。
【0003】
また、日本家屋の場合は根太の上に張った根太板の上に畳が敷かれていることから床暖房装置を設置する空間を根太板の上方に形成することができず、床暖房装置を設けることができない床構造である。そこでチャンネル形の金属枠を準備し、その中に発熱体を収容したものを2本の根太の間に固定する方法が、特公平4−50490号公報が提案されている。また、チャンネル形の金属枠の中に発熱体と蓄熱材を収容したものが、特開平7−27352号公報が提案され、更に、蓄熱材と発熱体をモルタルの中に埋めた構造は特開平7−145951号公報で提案されている。更にまた二種類の蓄熱材を一つの袋の中に入れた構造のものは特開平7−42960号公報で提案されている。
【0004】
しかし、これらの床暖房装置は、コンクリート床の上に蓄熱材や発熱体をモルタルで埋めなければならないという問題がある。つまり、モルタルは施工してから約2週間の養生期間が必要であること、配列した発熱体同士の間を配線し、入力側の配線と配電盤との間を連結することが必要がある。しかし、モルタル施工は佐官が作業を行ない、発熱体の電気配線は電気工事人が行ない、更に室内の床板などの工事は大工が行う必要があることから、このような種類の異なる工事を同時に行うことができない。
【0005】
また、各作業は作業時間も異なっており、従って、前記のように異なる作業を一斉に実施することはできず、作業日程を整理して作業者の移動時間を考慮して別々の日に工事を行う必要があり、そのために工事を行う人の工数と日数を多く必要とし、工期が長くなる上に施工費用が高価になるという問題があった。
【0006】
例えば、日本家屋のコンクリートの基礎の上に束を立て、その上に捨て張りベニヤ(基礎床)を敷き、その上に床暖房装置を敷設する場合に、床暖房装置を構成する部材が厚板状(床暖房パネル板)のものであれば、前記ベニヤ板の上に床板を敷いていくような敷込み作業で装置を配置することができることから、著しい作業性を改善することが可能となる。
【0007】
前記目的のために、特許文献1にはプレハブ化された大型のパネルを使用するパネル構造の床暖房装置を提供している。また、特許文献2には、長方形の天板部と、この天板部の長手方向の両縁に断面がL形の袋状の係合部を形成した金属板製の外枠体を製作し、この外枠体の係合部の中に面状発熱体と断熱シートを前記係合部に挿入して床暖房パネルを構成し、前記天板部を上面にして敷設して床暖房装置とする装置が特許文献2で提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−228174号公報
【特許文献2】特許第3604369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1に記載された発明は、断熱層としてボリプロピレンやナイロンなどの合成樹脂を押出成形したハニカム板を2枚使用し、空洞の方向が90度異なるように配置し、そのハニカム板の上に面状発熱体を積層し、更にその上に床板を敷いて床暖房装置を完成するものである。
【0010】
しかし、この装置はハニカム板を形成している空洞がハニカム板の長手方向であるので空洞を形成している縦壁が薄くして耐圧力があまりなく、床暖房装置の上層の仕上げ床面上に重量物を乗せることができず、また、歩行していると人の体重によって変形する違和感を感じるものとなっている。また、ハニカム板は合成樹脂製であるから発熱体の発熱と共に次第に軟化し、それに応じて耐圧力が低下するという大きな問題がある。更に、ハニカム板や面状発熱体の端を整理して隣接する床暖房装置と連結するための側縁部材が特殊な形状のものであるので、これを合成樹脂で成形すると温度変化と共に強度が軟化して床構造に不具合が発生するという問題がある。
【0011】
一方、前記特許文献2に記載された発明は、長方形の天板部と、この天板部の長手方向の両縁に断面がL形の袋状の係合部を形成した金属板製の「外枠体」を準備し、この外枠体の両縁の係合部の中に面状発熱体と断熱シートを積層して前記係合部に挿入して床暖房パネルを構成し、この床暖房パネルを天板部を上面にして捨て張りベニヤなどの床面に敷設して床暖房装置としている。
【0012】
この床暖房パネルは前記外枠体の袋状の係合部に配線用孔とパネル同士を連結するための孔を開け、隣接するパネルの間をボルトで連通し、更に一方のパネルの孔から引き出して他方のパネルの孔に引き込んで結線して配線するようになっている。
【0013】
しかし、前記構造のパネルは、第1のパネル側の外枠体の配線用の孔から配線を引き出しでおいて隣接する第2のパネル側の外枠体の配線用の孔から引き出した配線同士を連結しておいて両外枠体の配線用孔に引き込みながら、パネル同士をボルトで連結しなければならないために、この作業が極めて煩雑である。また、パネル同士は連結されて一部屋分が一つないし二つの集団に連結されているので、配線の一部に不具合が発生したり、パネルの一部に不具合、例えば音がしたり、床の一部に盛り上がりが発生したりなどの問題が発生した場合、これを修正する作業が大がかりなものとなる。
【0014】
従って、この特許文献2に記載された床暖房用パネル板は、プレハブ式にパネル板を組み立てておくことができることからパネルを配置する工事は楽になっている。しかし、発熱体同士の配線と外枠体同士の連結が煩雑である上に、この床暖房装置の修理などが困難で、大がかりなものとなる場合があるなどの問題があった。
【0015】
床暖房装置をパネル板として組立てたものも知られているが、このパネル板は四隅に約10cm角の配線収納部を設け、この中に配線を収納するようにしており、配線が収納部内で塊状で押し込まれていることが多く、もし、この部分に釘が打たれた場合は電気がショートする危険性と、この配線が一種のコイルを形成して電磁波を発生したり、発熱をする欠点もある。また、この配線収納部をパネル板の四ケ所も設ける必要があることから、発熱体などを配置する空間がその分少なくなり、1枚のパネル板から十分な熱量を放出する構造としては不適当である。
【0016】
本発明は、前記従来の技術が持っている問題点を解消し、基礎床面(支持床面)にパネル体の設置が容易であり、かつ、配線を極めて簡単で、電気工事人でなくても容易に設置可能である床暖房用パネル体と、その設置方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するための本発明に係る床暖房用パネル体は、下記のように構成されている。
【0018】
1)幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状の基板の上面の周囲に木材あるいは同様な強度を持つ小根太で枠体を形成し、この枠体で囲まれた収容部を有するパネル基板と、前記収容部の中に配置した面状発熱体と蓄熱マットと、前記パネル基板の開口面を蓋板で閉止した床暖房パネル体であって、
前記蓋板は、中央の固定部と、この固定部の両側に開閉自在に設けた蓋部で構成されており、該蓋部を開閉操作して前記面状発熱体の長手方向の両端より引き出されている電極線を配線するように構成したことを特徴としている。
【0019】
2)前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を中央の固定部と、この固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設けたことを特徴としている。
【0020】
3)前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を中央の固定部と、この固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設ける共に前記固定部の下側に蓄熱マットなど保護し、床暖房パネル体に対して強度を与える金属板を配置したことを特徴としている。
【0021】
4)前記額縁状の枠で囲まれた収容部内に嵌入できる面積を持ち、両縁をL形に形成した側部を持つ金属板保護部材を前記蓄熱マットの上面に配置し、前記面状発熱体と連結されている電極線及び面状発熱体などを釘打ちなどの損傷を防止するように構成したことを特徴としている。
【0022】
5)前記薄板状のパネル基板の幅を、前記面状発熱体が2枚あるいはそれ以上の整数倍の枚数収容できる幅とし、1枚の面状発熱体の両側には小根太が配置され、前記枠に対して前記蓋板を釘打ち可能に構成したことを特徴としている。
【0023】
6)前記パネル基板の表面に形成された枠体で囲まれた収容部に、前記面状発熱体と蓄熱マットを収容するとともにこの蓄熱マットの上面に金属板保護板を配置し、更に前記蓋板の中央の固定部を前記小根太の上面に接着剤、釘、木ねじなどの手段で固定して一体化して1枚の厚板状となって運搬可能に構成されていることを特徴としている。
【0024】
7)前記請求項1記載の床暖房パネル体は、一つの電気機器として販売され、またはリースの対象物である物件として取り扱い可能であることを特徴としている。
【0025】
8)本発明に係る床暖房装置の施工方法は、前記請求項1記載のパネル体を家屋の基礎床面に配列し、前記パネル体の上面の蓋板の両端に設けてある蓋部を開き、面状発熱体の両端より引き出されている電極線と隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結し、前記配線蓋部を閉止した後、通常の床を仕上げることを特徴としている。
【0026】
9)前記面状発熱体の両端より引き出されている電極線と、隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結するに際して、同色の電極線同士を前記操作蓋部の下面において連結することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状からなるパネル基板、つまり1尺の幅に対して6尺の長さを持つ断熱性のある基板(サブ・ロク型)を使用して1枚の面状発熱体を敷設したものを基本としている。従って、2枚の面状発熱体を敷設する場合は、幅が2尺あるいは3尺で長さが6尺のもの(ニ・ロク型、サブ・ロク型)の基板を使用する。
【0028】
1尺×6尺型のものは基盤の周囲に木製あるいは同様に釘打ちができる材料を使用した小根太を額縁型に配置する。また、幅が2尺ないし3尺のものの場合は面状発熱体と隣の面状発熱体との間に小根太を配置して収容部を2個あるいは3個を配置する。
【0029】
前記1個あるいは複数個の収容部に、1枚あるいは複数枚の面状発熱体を配置し、更にこの面状発熱体の上部に薄板型の蓄熱材を積層する。この面状発熱体の両端より電極線が引き出されている。
【0030】
本発明においては、蓋板に特徴がある。蓋板は中央蓋部と、この中央蓋部の両側に開閉自在に設けた蓋部で構されている。この中央蓋部を前記小根太に接着あるいは釘やネジ釘を使用して固定することによってパネル体は1枚の板状に纏められて床面に敷設することかできる。
【0031】
そして蓋板の両側の蓋部を開いて隣接する面状発熱体どうしを配線し、そして蓋を閉めることによって元の板状になる。ある枚数のパネル体を一連に配線する場合は、前記蓋部を開けておき、連続的に配線することによって短時間に配線することができる。また、電極線を赤と青、赤と黒などに着色しておき、連結手段を押圧で電気的に接続できるコネクターを使用することによって電気工事者でなくても簡単に配線することができる。
【0032】
蓋板の両端は配線用の蓋部を形成しているので、この部分の配線が損傷しないように断面がトンネル形の金属製保護部材を設けておけば、配線部分の電気的な事故を防止できる。また、蓋板の側部などの釘を打ったり、ネジ釘を螺合する場合に便利なように目印の図形を着色部を設けておけば、面状発熱体や配線などの部分に電気的な損傷を防止することができる。
【0033】
中央蓋部と電気配線用の蓋部との間は電気伝導性のテープで連結してヒンジを形成しでおくのが良いが、場合によっては別体として配線した後で蓋をして適当な手段で固定することもできる。
【0034】
何れにしても、断熱板と面状発熱体と蓄熱材を一体として厚い板として運搬と敷設を効率的に行ない、効率的に敷設し、配線などの工事を行うことができる。また、このパネルの厚さを捨板として使用するコンパネの板厚と同じにすることによって部屋の基礎床面を同一な高さに合わせることができ、その後のフローリングなどの敷設が容易でかつ綺麗に仕上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
(パネル基板)
図1(A)は、パネル基板の正面図、(B)は側面図、更に図2(A)の斜視図に示すように硬質発泡樹脂板(例えば、硬質ウレタン発泡体など)などの使用した断熱性のあるパネル基板1(ベースボード)の周囲を押圧して窪ませて図2(B)に断面して示すように固定部2a〜2dを形成した。この固定部に小根太3a〜3d(木製、繊維を固めて角材に成形したものなどで、釘打ちやネジ止めができるもの)を接着剤などで固定してパネル基板1としている。そしてこの小根太3a〜3dをパネル基板1の周囲に額縁状の枠体を配置してその内部に面状発熱体などを収容する収容部4を形成している。
【0037】
また、前記パネル基板1の長手方向の両端の側面に電極線ないし配線用の溝5を形成して隣の発熱体との結線が容易な額縁状のパネル基板pを構成している。
【0038】
図3は、本発明に係る床暖房パネル体Pの端部の構成の分解説明図であり、また、図4は床暖房パネル体Pの横断面図である。
【0039】
床暖房パネル体Pは、前記パネル基板pの上面の小根太3で形成された額縁状の枠体で囲まれた収容部4の中に、面状発熱体7と蓄熱マット9を積層状態で収容シ、そして蓄熱マット9の上に、金属板(例えばトタン板)を使用して平板部とその両側をL形に折り曲げて変形コ字形に成形した保護板9を載せ、これを構造部材として使用することによって床暖房パネルPを全体的に補強している。
【0040】
蓋板11は、図3および図5(蓄熱マットの図示は省略されている。)に示すように、中央部の固定部11aとその両端の蓋部11b、11cに3分割され、前記蓋部11b、11cはアルミ箔をラミネートした接着テープ11d、11eで固定部11aと連結してこの固定部11aの両側を開閉して配線できるように構成されている。
【0041】
蓋板11は、アルミ箔(例えば200μm)をラミネートした厚紙(全体の厚みは1mm程度)で構成されており、前記固定部11aと両端の蓋部11b、11cの横断面は互いに斜め45度で切断され、蓋部11b、11cを開けた状態で前記斜めの端面が大きく開口し、閉止すると両切断面が接触するような構造になっている。
【0042】
図5は、パネル基板pに面状発熱体7(本出願人が製造販売している合成樹脂製面状発熱体:商品名“プラヒート”)と図示しない蓄熱マット(アルミ製の金属薄板ないし厚い箔を使用し、防錆処理を行なった厚さが10mmのハニカム板を使用し、これの空間部に蓄熱剤として融解点が50℃前後、凝固点が27℃前後の性質を持つ潜熱形の蓄熱剤を充填した蓄熱マットを積層した状態で配置した。
【0043】
前記パネル基板pの両側の小根太3a、3cの上面に両面接着テープ10a、10bが設けられており(図〜)、これの離型シートを剥離して前記蓋板11を載置し、その固定部11aを接着固定する。なお、この固定部11a両側の蓋部11b、11cは自由に開閉できて配線を容易に行うことができるようになっている。
【0044】
図6は、2枚の床暖房パネルP1とP2の面状発熱体7a、7bの電極線13をコネクタ14を介して直列に連結した第1の基本配列方法を示しており、電極線13a(あるいは配線)を入口側とすると、電極線13bは出口側となり、この連結方法を継続することによって床暖房パネルP1、P2(以下同様にして連結)を直列配列にすることができる。前記のように2枚の床暖房パネルP1、P2の2本の電極線13が直列に連結されており、従って、電極線13の間間の発熱部hは並列状態である。
【0045】
図7は、建物の一つの部屋の支持床15(断熱材を含む)の上に複数枚の床暖房パネルP1、P2、P3・・を縦に並べて電極線13(配線)同士を連結配線した状態を示しており、また、図8は、複数枚の床暖房パネルP1、P2、P3・・を横に並べて電極線13を連結配線した状態を示している。なお、16は床暖房装置のコントローラを示している。
【0046】
(配線方法)
本発明に係る床暖房パネル体Pは、配線し易い構造を有している点に特徴がある。
【0047】
図8は、床暖房装置Hを配線する状況を示しており、部屋Rの周囲にはダミーボード(床暖房パネル体Pとの高さを調整する板:コンパネ)17が設けられており、このダミーボード17に隣接して支持床15が床暖房パネル体Pの厚さ分だけ低くして形成されている。
【0048】
床暖房装置の敷設の第1工程として、部屋R内に敷いた支持床15の上に床暖房パネル体Pを横並びに配列する。そしてパネル基板pの額縁状の枠体に固定されていない蓋体11b、11cを一斉に開いて配線の準備をする。
【0049】
第2工程として、前記蓋部11b、11cが開かれて露出している面状発熱体7の両端より引き出されている電極線13を、隣接する面状発熱体7同士で、例えば床暖房パネル体P1の下部とP2の下部、P2の上部とP3の上部、P3の下部とP4の下部、P4の上部とP5の上部・・というようにジグザグ状に連結する。
【0050】
面状発熱体7の発熱部h(図5)の両側には2本の電極線13が配置されているが、この電極線13を例えば赤と黒、赤と白、赤と青など色に着色されており、配線作業に際して同色の電極線13同士をコネクタで連結する。その結果、複数枚の面状発熱体7は縦あるいは横に連結されるのである。
【0051】
図9は、蓋板11の中央の固定部11aの両側に着色部11f、11gを小根太3a、3cの幅に合わせて帯状に形成しており、この着色部を目印として釘やネジ釘を固定する部分を表示している。更に、蓋部11b、11cの部分の下側に位置する電極線13や配線を保護するための鉄板でトンネル形の枠状に形成した保護体20を配置して電極線13や配線を釘などから損傷を受けることがないように保護している。
【0052】
図10は、蓋板11の全体に側板11h、11i、11jをそれぞれ成形して断面をコ字形に形成したもので、固定部11aがパネル基板pに固定されて強固な構造となり、また、蓋部11b、11cも確実に固定できるようになる。そしてこの蓋部11b、11cに金属板を使用した場合には、これが配線を行う部分になると共に配線を保護する機能を持つことになる。
【0053】
図11は、蓋部11bと11cの両側に側板11i、11jをそれぞれコ字形に形成したもので、固定部を金属箔をラミネートしたシート状物で構成し、蓋部11b、11cを金属板とし、この固定部11aをパネル基板pに接着剤などでしっかりと固定することによって軽量な床暖房パネルPをすることができる。そして前記強度のある蓋部11b、11cによって確実に物理的な損傷から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(A)は、パネル基板の平面図、(B)は同側面図である。
【図2】パネル基板と小根太との関係を示す説明図である。
【図3】床暖房パネル体の端部を構造を分解して示す斜視図である。
【図4】床暖房パネル体の横断面図である。
【図5】床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【図6】床暖房パネル体の配線方法を示す分解斜視図である。
【図7】床暖房パネル体を部屋に敷き、配線する直前の状態の説明図である。
【図8】床暖房パネル体を部屋に敷いて配線した状態の説明図である。
【図9】配線部分に補強部材を使用する床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【図10】強度を増した蓋板を使用する床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【図11】強度を増した蓋板を使用する床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
p パネル基板(ベースボード)
P 床暖房パネル体
H 床暖房装置
1 基板(ペースボード)
2a〜2d 固定部
3a〜3d 小根太
4 収容部
5 配線用溝
7 面状発熱体
8 蓄熱マット
9 保護板
11 蓋板
11a 固定部
11b、11c 蓋部
11f、11g 着色部
13 電極線
14 コネクタ
15 支持床
17 ダミーボード
20 保護枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋などを構成する床構造の内部に積層して配置される床暖房パネルと、これの施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
床構造の内部に面状発熱体を配置したり、あるいは面状発熱体と蓄熱シートとを組合わせて配置し、夜間電力を利用して蓄熱効果によって電気料金を低下させる方法などが提案されている。例えば、特公昭61−32442号公報、特公平5−17461号公報あるいは特公平4−81701号公報には面状発熱体をコンクリート床の上に敷設する構造が提案されている。
【0003】
また、日本家屋の場合は根太の上に張った根太板の上に畳が敷かれていることから床暖房装置を設置する空間を根太板の上方に形成することができず、床暖房装置を設けることができない床構造である。そこでチャンネル形の金属枠を準備し、その中に発熱体を収容したものを2本の根太の間に固定する方法が、特公平4−50490号公報が提案されている。また、チャンネル形の金属枠の中に発熱体と蓄熱材を収容したものが、特開平7−27352号公報が提案され、更に、蓄熱材と発熱体をモルタルの中に埋めた構造は特開平7−145951号公報で提案されている。更にまた二種類の蓄熱材を一つの袋の中に入れた構造のものは特開平7−42960号公報で提案されている。
【0004】
しかし、これらの床暖房装置は、コンクリート床の上に蓄熱材や発熱体をモルタルで埋めなければならないという問題がある。つまり、モルタルは施工してから約2週間の養生期間が必要であること、配列した発熱体同士の間を配線し、入力側の配線と配電盤との間を連結することが必要がある。しかし、モルタル施工は佐官が作業を行ない、発熱体の電気配線は電気工事人が行ない、更に室内の床板などの工事は大工が行う必要があることから、このような種類の異なる工事を同時に行うことができない。
【0005】
また、各作業は作業時間も異なっており、従って、前記のように異なる作業を一斉に実施することはできず、作業日程を整理して作業者の移動時間を考慮して別々の日に工事を行う必要があり、そのために工事を行う人の工数と日数を多く必要とし、工期が長くなる上に施工費用が高価になるという問題があった。
【0006】
例えば、日本家屋のコンクリートの基礎の上に束を立て、その上に捨て張りベニヤ(基礎床)を敷き、その上に床暖房装置を敷設する場合に、床暖房装置を構成する部材が厚板状(床暖房パネル板)のものであれば、前記ベニヤ板の上に床板を敷いていくような敷込み作業で装置を配置することができることから、著しい作業性を改善することが可能となる。
【0007】
前記目的のために、特許文献1にはプレハブ化された大型のパネルを使用するパネル構造の床暖房装置を提供している。また、特許文献2には、長方形の天板部と、この天板部の長手方向の両縁に断面がL形の袋状の係合部を形成した金属板製の外枠体を製作し、この外枠体の係合部の中に面状発熱体と断熱シートを前記係合部に挿入して床暖房パネルを構成し、前記天板部を上面にして敷設して床暖房装置とする装置が特許文献2で提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−228174号公報
【特許文献2】特許第3604369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1に記載された発明は、断熱層としてボリプロピレンやナイロンなどの合成樹脂を押出成形したハニカム板を2枚使用し、空洞の方向が90度異なるように配置し、そのハニカム板の上に面状発熱体を積層し、更にその上に床板を敷いて床暖房装置を完成するものである。
【0010】
しかし、この装置はハニカム板を形成している空洞がハニカム板の長手方向であるので空洞を形成している縦壁が薄くして耐圧力があまりなく、床暖房装置の上層の仕上げ床面上に重量物を乗せることができず、また、歩行していると人の体重によって変形する違和感を感じるものとなっている。また、ハニカム板は合成樹脂製であるから発熱体の発熱と共に次第に軟化し、それに応じて耐圧力が低下するという大きな問題がある。更に、ハニカム板や面状発熱体の端を整理して隣接する床暖房装置と連結するための側縁部材が特殊な形状のものであるので、これを合成樹脂で成形すると温度変化と共に強度が軟化して床構造に不具合が発生するという問題がある。
【0011】
一方、前記特許文献2に記載された発明は、長方形の天板部と、この天板部の長手方向の両縁に断面がL形の袋状の係合部を形成した金属板製の「外枠体」を準備し、この外枠体の両縁の係合部の中に面状発熱体と断熱シートを積層して前記係合部に挿入して床暖房パネルを構成し、この床暖房パネルを天板部を上面にして捨て張りベニヤなどの床面に敷設して床暖房装置としている。
【0012】
この床暖房パネルは前記外枠体の袋状の係合部に配線用孔とパネル同士を連結するための孔を開け、隣接するパネルの間をボルトで連通し、更に一方のパネルの孔から引き出して他方のパネルの孔に引き込んで結線して配線するようになっている。
【0013】
しかし、前記構造のパネルは、第1のパネル側の外枠体の配線用の孔から配線を引き出しでおいて隣接する第2のパネル側の外枠体の配線用の孔から引き出した配線同士を連結しておいて両外枠体の配線用孔に引き込みながら、パネル同士をボルトで連結しなければならないために、この作業が極めて煩雑である。また、パネル同士は連結されて一部屋分が一つないし二つの集団に連結されているので、配線の一部に不具合が発生したり、パネルの一部に不具合、例えば音がしたり、床の一部に盛り上がりが発生したりなどの問題が発生した場合、これを修正する作業が大がかりなものとなる。
【0014】
従って、この特許文献2に記載された床暖房用パネル板は、プレハブ式にパネル板を組み立てておくことができることからパネルを配置する工事は楽になっている。しかし、発熱体同士の配線と外枠体同士の連結が煩雑である上に、この床暖房装置の修理などが困難で、大がかりなものとなる場合があるなどの問題があった。
【0015】
床暖房装置をパネル板として組立てたものも知られているが、このパネル板は四隅に約10cm角の配線収納部を設け、この中に配線を収納するようにしており、配線が収納部内で塊状で押し込まれていることが多く、もし、この部分に釘が打たれた場合は電気がショートする危険性と、この配線が一種のコイルを形成して電磁波を発生したり、発熱をする欠点もある。また、この配線収納部をパネル板の四ケ所も設ける必要があることから、発熱体などを配置する空間がその分少なくなり、1枚のパネル板から十分な熱量を放出する構造としては不適当である。
【0016】
本発明は、前記従来の技術が持っている問題点を解消し、基礎床面(支持床面)にパネル体の設置が容易であり、かつ、配線を極めて簡単で、電気工事人でなくても容易に設置可能である床暖房用パネル体と、その設置方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するための本発明に係る床暖房用パネル体は、下記のように構成されている。
【0018】
1)幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状の基板の上面の周囲に木材あるいは同様な強度を持つ小根太で枠体を形成し、この枠体で囲まれた収容部を有するパネル基板と、前記収容部の中に配置した面状発熱体と蓄熱マットと、前記パネル基板の開口面を蓋板で閉止した床暖房パネル体であって、
前記蓋板は、中央の固定部と、この固定部の両側に開閉自在に設けた蓋部で構成されており、該蓋部を開閉操作して前記面状発熱体の長手方向の両端より引き出されている電極線を配線するように構成したことを特徴としている。
【0019】
2)前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を中央の固定部と、この固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設けたことを特徴としている。
【0020】
3)前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を中央の固定部と、この固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設ける共に前記固定部の下側に蓄熱マットなど保護し、床暖房パネル体に対して強度を与える金属板を配置したことを特徴としている。
【0021】
4)前記額縁状の枠で囲まれた収容部内に嵌入できる面積を持ち、両縁をL形に形成した側部を持つ金属板保護部材を前記蓄熱マットの上面に配置し、前記面状発熱体と連結されている電極線及び面状発熱体などを釘打ちなどの損傷を防止するように構成したことを特徴としている。
【0022】
5)前記薄板状のパネル基板の幅を、前記面状発熱体が2枚あるいはそれ以上の整数倍の枚数収容できる幅とし、1枚の面状発熱体の両側には小根太が配置され、前記枠に対して前記蓋板を釘打ち可能に構成したことを特徴としている。
【0023】
6)前記パネル基板の表面に形成された枠体で囲まれた収容部に、前記面状発熱体と蓄熱マットを収容するとともにこの蓄熱マットの上面に金属板保護板を配置し、更に前記蓋板の中央の固定部を前記小根太の上面に接着剤、釘、木ねじなどの手段で固定して一体化して1枚の厚板状となって運搬可能に構成されていることを特徴としている。
【0024】
7)前記請求項1記載の床暖房パネル体は、一つの電気機器として販売され、またはリースの対象物である物件として取り扱い可能であることを特徴としている。
【0025】
8)本発明に係る床暖房装置の施工方法は、前記請求項1記載のパネル体を家屋の基礎床面に配列し、前記パネル体の上面の蓋板の両端に設けてある蓋部を開き、面状発熱体の両端より引き出されている電極線と隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結し、前記配線蓋部を閉止した後、通常の床を仕上げることを特徴としている。
【0026】
9)前記面状発熱体の両端より引き出されている電極線と、隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結するに際して、同色の電極線同士を前記操作蓋部の下面において連結することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状からなるパネル基板、つまり1尺の幅に対して6尺の長さを持つ断熱性のある基板(サブ・ロク型)を使用して1枚の面状発熱体を敷設したものを基本としている。従って、2枚の面状発熱体を敷設する場合は、幅が2尺あるいは3尺で長さが6尺のもの(ニ・ロク型、サブ・ロク型)の基板を使用する。
【0028】
1尺×6尺型のものは基盤の周囲に木製あるいは同様に釘打ちができる材料を使用した小根太を額縁型に配置する。また、幅が2尺ないし3尺のものの場合は面状発熱体と隣の面状発熱体との間に小根太を配置して収容部を2個あるいは3個を配置する。
【0029】
前記1個あるいは複数個の収容部に、1枚あるいは複数枚の面状発熱体を配置し、更にこの面状発熱体の上部に薄板型の蓄熱材を積層する。この面状発熱体の両端より電極線が引き出されている。
【0030】
本発明においては、蓋板に特徴がある。蓋板は中央蓋部と、この中央蓋部の両側に開閉自在に設けた蓋部で構されている。この中央蓋部を前記小根太に接着あるいは釘やネジ釘を使用して固定することによってパネル体は1枚の板状に纏められて床面に敷設することかできる。
【0031】
そして蓋板の両側の蓋部を開いて隣接する面状発熱体どうしを配線し、そして蓋を閉めることによって元の板状になる。ある枚数のパネル体を一連に配線する場合は、前記蓋部を開けておき、連続的に配線することによって短時間に配線することができる。また、電極線を赤と青、赤と黒などに着色しておき、連結手段を押圧で電気的に接続できるコネクターを使用することによって電気工事者でなくても簡単に配線することができる。
【0032】
蓋板の両端は配線用の蓋部を形成しているので、この部分の配線が損傷しないように断面がトンネル形の金属製保護部材を設けておけば、配線部分の電気的な事故を防止できる。また、蓋板の側部などの釘を打ったり、ネジ釘を螺合する場合に便利なように目印の図形を着色部を設けておけば、面状発熱体や配線などの部分に電気的な損傷を防止することができる。
【0033】
中央蓋部と電気配線用の蓋部との間は電気伝導性のテープで連結してヒンジを形成しでおくのが良いが、場合によっては別体として配線した後で蓋をして適当な手段で固定することもできる。
【0034】
何れにしても、断熱板と面状発熱体と蓄熱材を一体として厚い板として運搬と敷設を効率的に行ない、効率的に敷設し、配線などの工事を行うことができる。また、このパネルの厚さを捨板として使用するコンパネの板厚と同じにすることによって部屋の基礎床面を同一な高さに合わせることができ、その後のフローリングなどの敷設が容易でかつ綺麗に仕上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
(パネル基板)
図1(A)は、パネル基板の正面図、(B)は側面図、更に図2(A)の斜視図に示すように硬質発泡樹脂板(例えば、硬質ウレタン発泡体など)などの使用した断熱性のあるパネル基板1(ベースボード)の周囲を押圧して窪ませて図2(B)に断面して示すように固定部2a〜2dを形成した。この固定部に小根太3a〜3d(木製、繊維を固めて角材に成形したものなどで、釘打ちやネジ止めができるもの)を接着剤などで固定してパネル基板1としている。そしてこの小根太3a〜3dをパネル基板1の周囲に額縁状の枠体を配置してその内部に面状発熱体などを収容する収容部4を形成している。
【0037】
また、前記パネル基板1の長手方向の両端の側面に電極線ないし配線用の溝5を形成して隣の発熱体との結線が容易な額縁状のパネル基板pを構成している。
【0038】
図3は、本発明に係る床暖房パネル体Pの端部の構成の分解説明図であり、また、図4は床暖房パネル体Pの横断面図である。
【0039】
床暖房パネル体Pは、前記パネル基板pの上面の小根太3で形成された額縁状の枠体で囲まれた収容部4の中に、面状発熱体7と蓄熱マット9を積層状態で収容シ、そして蓄熱マット9の上に、金属板(例えばトタン板)を使用して平板部とその両側をL形に折り曲げて変形コ字形に成形した保護板9を載せ、これを構造部材として使用することによって床暖房パネルPを全体的に補強している。
【0040】
蓋板11は、図3および図5(蓄熱マットの図示は省略されている。)に示すように、中央部の固定部11aとその両端の蓋部11b、11cに3分割され、前記蓋部11b、11cはアルミ箔をラミネートした接着テープ11d、11eで固定部11aと連結してこの固定部11aの両側を開閉して配線できるように構成されている。
【0041】
蓋板11は、アルミ箔(例えば200μm)をラミネートした厚紙(全体の厚みは1mm程度)で構成されており、前記固定部11aと両端の蓋部11b、11cの横断面は互いに斜め45度で切断され、蓋部11b、11cを開けた状態で前記斜めの端面が大きく開口し、閉止すると両切断面が接触するような構造になっている。
【0042】
図5は、パネル基板pに面状発熱体7(本出願人が製造販売している合成樹脂製面状発熱体:商品名“プラヒート”)と図示しない蓄熱マット(アルミ製の金属薄板ないし厚い箔を使用し、防錆処理を行なった厚さが10mmのハニカム板を使用し、これの空間部に蓄熱剤として融解点が50℃前後、凝固点が27℃前後の性質を持つ潜熱形の蓄熱剤を充填した蓄熱マットを積層した状態で配置した。
【0043】
前記パネル基板pの両側の小根太3a、3cの上面に両面接着テープ10a、10bが設けられており(図〜)、これの離型シートを剥離して前記蓋板11を載置し、その固定部11aを接着固定する。なお、この固定部11a両側の蓋部11b、11cは自由に開閉できて配線を容易に行うことができるようになっている。
【0044】
図6は、2枚の床暖房パネルP1とP2の面状発熱体7a、7bの電極線13をコネクタ14を介して直列に連結した第1の基本配列方法を示しており、電極線13a(あるいは配線)を入口側とすると、電極線13bは出口側となり、この連結方法を継続することによって床暖房パネルP1、P2(以下同様にして連結)を直列配列にすることができる。前記のように2枚の床暖房パネルP1、P2の2本の電極線13が直列に連結されており、従って、電極線13の間間の発熱部hは並列状態である。
【0045】
図7は、建物の一つの部屋の支持床15(断熱材を含む)の上に複数枚の床暖房パネルP1、P2、P3・・を縦に並べて電極線13(配線)同士を連結配線した状態を示しており、また、図8は、複数枚の床暖房パネルP1、P2、P3・・を横に並べて電極線13を連結配線した状態を示している。なお、16は床暖房装置のコントローラを示している。
【0046】
(配線方法)
本発明に係る床暖房パネル体Pは、配線し易い構造を有している点に特徴がある。
【0047】
図8は、床暖房装置Hを配線する状況を示しており、部屋Rの周囲にはダミーボード(床暖房パネル体Pとの高さを調整する板:コンパネ)17が設けられており、このダミーボード17に隣接して支持床15が床暖房パネル体Pの厚さ分だけ低くして形成されている。
【0048】
床暖房装置の敷設の第1工程として、部屋R内に敷いた支持床15の上に床暖房パネル体Pを横並びに配列する。そしてパネル基板pの額縁状の枠体に固定されていない蓋体11b、11cを一斉に開いて配線の準備をする。
【0049】
第2工程として、前記蓋部11b、11cが開かれて露出している面状発熱体7の両端より引き出されている電極線13を、隣接する面状発熱体7同士で、例えば床暖房パネル体P1の下部とP2の下部、P2の上部とP3の上部、P3の下部とP4の下部、P4の上部とP5の上部・・というようにジグザグ状に連結する。
【0050】
面状発熱体7の発熱部h(図5)の両側には2本の電極線13が配置されているが、この電極線13を例えば赤と黒、赤と白、赤と青など色に着色されており、配線作業に際して同色の電極線13同士をコネクタで連結する。その結果、複数枚の面状発熱体7は縦あるいは横に連結されるのである。
【0051】
図9は、蓋板11の中央の固定部11aの両側に着色部11f、11gを小根太3a、3cの幅に合わせて帯状に形成しており、この着色部を目印として釘やネジ釘を固定する部分を表示している。更に、蓋部11b、11cの部分の下側に位置する電極線13や配線を保護するための鉄板でトンネル形の枠状に形成した保護体20を配置して電極線13や配線を釘などから損傷を受けることがないように保護している。
【0052】
図10は、蓋板11の全体に側板11h、11i、11jをそれぞれ成形して断面をコ字形に形成したもので、固定部11aがパネル基板pに固定されて強固な構造となり、また、蓋部11b、11cも確実に固定できるようになる。そしてこの蓋部11b、11cに金属板を使用した場合には、これが配線を行う部分になると共に配線を保護する機能を持つことになる。
【0053】
図11は、蓋部11bと11cの両側に側板11i、11jをそれぞれコ字形に形成したもので、固定部を金属箔をラミネートしたシート状物で構成し、蓋部11b、11cを金属板とし、この固定部11aをパネル基板pに接着剤などでしっかりと固定することによって軽量な床暖房パネルPをすることができる。そして前記強度のある蓋部11b、11cによって確実に物理的な損傷から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(A)は、パネル基板の平面図、(B)は同側面図である。
【図2】パネル基板と小根太との関係を示す説明図である。
【図3】床暖房パネル体の端部を構造を分解して示す斜視図である。
【図4】床暖房パネル体の横断面図である。
【図5】床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【図6】床暖房パネル体の配線方法を示す分解斜視図である。
【図7】床暖房パネル体を部屋に敷き、配線する直前の状態の説明図である。
【図8】床暖房パネル体を部屋に敷いて配線した状態の説明図である。
【図9】配線部分に補強部材を使用する床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【図10】強度を増した蓋板を使用する床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【図11】強度を増した蓋板を使用する床暖房パネル体を分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
p パネル基板(ベースボード)
P 床暖房パネル体
H 床暖房装置
1 基板(ペースボード)
2a〜2d 固定部
3a〜3d 小根太
4 収容部
5 配線用溝
7 面状発熱体
8 蓄熱マット
9 保護板
11 蓋板
11a 固定部
11b、11c 蓋部
11f、11g 着色部
13 電極線
14 コネクタ
15 支持床
17 ダミーボード
20 保護枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状の基板の上面の周囲に木材あるいは同様な強度を持つ小根太で枠体を形成し、この枠体で囲まれた収容部を有するパネル基板と、前記収容部の中に配置した面状発熱体と蓄熱マットと、前記パネル基板の開口面を蓋板で閉止した床暖房パネル体であって、
前記蓋板は、中央の固定部と、この固定部の両側に開閉自在に設けた蓋部で構成されており、該蓋部を開閉操作して前記面状発熱体の長手方向の両端より引き出されている電極線を配線するように構成したことを特徴とする床暖房パネル体。
【請求項2】
前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を中央の固定部と、この固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項3】
前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を固定部と、この中固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設ける共に、前記固定部の下側に蓄熱マットなど保護し、床暖房パネル体に対して強度を与える金属板を配置したことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項4】
前記額縁状の枠で囲まれた収容部内に嵌入できる面積を持ち、両縁をL形に形成した側部を持つ金属板保護部材を前記蓄熱マットの上面に配置し、前記面状発熱体と連結されている電極線及び面状発熱体などを釘打ちなどの損傷を防止するように構成したことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項5】
前記薄板状のパネル基板の幅を、前記面状発熱体が2枚あるいはそれ以上の整数倍の枚数収容できる幅とし、1枚の面状発熱体の両側には小根太が配置され、前記枠に対して前記蓋板を釘打ち可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項6】
前記パネル基板の表面に形成された枠体で囲まれた収容部に、前記面状発熱体と蓄熱マットを収容するとともにこの蓄熱マットの上面に金属板保護板を配置し、更に前記蓋体の中央の固定部を前記小根太の上面に接着剤、釘、木ねじなどの手段で固定して一体化して1枚の厚板状となって運搬可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項7】
前記請求項1記載の床暖房パネル体は、一つの電気機器として販売され、またはリースの対象物である物件として取り扱い可能であることを特徴とする床暖房パネル体。
【請求項8】
前記請求項1記載のパネル体を家屋の基礎床面に配列し、前記パネル体の上面の両端に設けてある蓋部を開き、面状発熱体の両端より引き出されている電極線と隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結し、前記蓋部を閉止した後、通常の床を仕上げることを特徴とする床暖房装置の施工方法。
【請求項9】
前記面状発熱体の両端より引き出されている電極線と、隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結するに際して、同色の電極線同士を前記操作蓋部の下面において連結することを特徴とする請求項8に記載の床暖房装置の施工方法。
【請求項1】
幅に対して数倍の長さを持つ断熱性薄板状の基板の上面の周囲に木材あるいは同様な強度を持つ小根太で枠体を形成し、この枠体で囲まれた収容部を有するパネル基板と、前記収容部の中に配置した面状発熱体と蓄熱マットと、前記パネル基板の開口面を蓋板で閉止した床暖房パネル体であって、
前記蓋板は、中央の固定部と、この固定部の両側に開閉自在に設けた蓋部で構成されており、該蓋部を開閉操作して前記面状発熱体の長手方向の両端より引き出されている電極線を配線するように構成したことを特徴とする床暖房パネル体。
【請求項2】
前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を中央の固定部と、この固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項3】
前記蓋板にアルミ箔をラミネートしたシート状物を使用し、該蓋板を固定部と、この中固定部の両側に設けた蓋部で構成し、更に前記蓋部の下側に配線を保護する保護部材を設ける共に、前記固定部の下側に蓄熱マットなど保護し、床暖房パネル体に対して強度を与える金属板を配置したことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項4】
前記額縁状の枠で囲まれた収容部内に嵌入できる面積を持ち、両縁をL形に形成した側部を持つ金属板保護部材を前記蓄熱マットの上面に配置し、前記面状発熱体と連結されている電極線及び面状発熱体などを釘打ちなどの損傷を防止するように構成したことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項5】
前記薄板状のパネル基板の幅を、前記面状発熱体が2枚あるいはそれ以上の整数倍の枚数収容できる幅とし、1枚の面状発熱体の両側には小根太が配置され、前記枠に対して前記蓋板を釘打ち可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項6】
前記パネル基板の表面に形成された枠体で囲まれた収容部に、前記面状発熱体と蓄熱マットを収容するとともにこの蓄熱マットの上面に金属板保護板を配置し、更に前記蓋体の中央の固定部を前記小根太の上面に接着剤、釘、木ねじなどの手段で固定して一体化して1枚の厚板状となって運搬可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル体。
【請求項7】
前記請求項1記載の床暖房パネル体は、一つの電気機器として販売され、またはリースの対象物である物件として取り扱い可能であることを特徴とする床暖房パネル体。
【請求項8】
前記請求項1記載のパネル体を家屋の基礎床面に配列し、前記パネル体の上面の両端に設けてある蓋部を開き、面状発熱体の両端より引き出されている電極線と隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結し、前記蓋部を閉止した後、通常の床を仕上げることを特徴とする床暖房装置の施工方法。
【請求項9】
前記面状発熱体の両端より引き出されている電極線と、隣接する面状発熱体の電極線とをコネクタを利用して連結するに際して、同色の電極線同士を前記操作蓋部の下面において連結することを特徴とする請求項8に記載の床暖房装置の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−151456(P2008−151456A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341957(P2006−341957)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000114064)ミサト株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000114064)ミサト株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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