説明

床暖房パネル

【課題】 結線部分が原因となる低温領域の発生を防ぎ、温度ムラのない床暖房パネルを提供する。
【解決手段】 床材2の裏面側に発熱体5および配線具6を収めて裏面材7を被せた床暖房パネル1であって、床材2裏面に設けられた発熱体用凹部3の全面に発熱体5が収められ、この発熱体5と裏面材7との間に形成されている空間を配線具用凹部4としてこれに配線具6が収められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、床材の裏面側に形成された収納部に発熱体及び配線具を収めてなる、床材一体型の電気式の床暖房パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記床暖房パネルについては、たとえば図5(a)(b)に例示したように、床材2の裏面側に収納部としての発熱体用凹部3と配線具用凹部4を設け、これにそれぞれ発熱体5および配線具6を収めてなるものが知られている。
【0003】
この床暖房パネル1の電気結線は、配線具6としての3分岐式のコネクタ61を介して、その1つの接続部により床材2から伸びた電線が接続され、残りの2つの接続により隣接する他の床暖房パネル1が接続されることで、行われる。
【0004】
下記特許文献1および2には、これと同様な構成の床暖房パネルおよび電気結線について記載されている。
【特許文献1】特開平11−256803号公報
【特許文献2】特開2002−195591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のとおりの従来の床暖房パネル1では、配線具6による結線部分には発熱体5がないため、その部分は他の部分に比べて暖まらない。また、この床暖房パネル1を複数枚並設させる場合、隣接する床暖房パネル1とも結線させる必要があるため、結線部分が連続して形成されることとなり、暖房エリアを大きくすると、どうしても床材2表面に人が冷たいと感じる低温領域が形成されてしまう。
【0006】
そこで、以上のとおりの事情に鑑み、本願発明は、結線部分が原因となる低温領域の発生を防ぎ、温度ムラのない床暖房パネルを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、床材の裏面側に発熱体および配線具を収めて裏面材を被せた床暖房パネルであって、床材裏面に設けられた発熱体用凹部の全面に発熱体が収められ、この発熱体と裏面材との間に形成されている空間を配線具用凹部としてこれに配線具が収められていることを特徴とする。
【0008】
また、本願発明は、第2には、前記発熱体における前記配線具の上方に位置する部分が除去されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の発明によれば、床材裏面側をくりぬくなどして形成された発熱体用凹部に対してその全面に発熱体を収め、この発熱体とこれを覆うよう床材裏面に被せられる裏面材との間に配線具用凹部として利用する空間を確保し、これに配線具を収めるようにすることで、床材裏面側のほぼ全域を占めるように発熱体が位置し、且つこの発熱体の裏側に配線具が位置することとなるため、発熱体の熱が床材表面全体に伝わり、配線具による結線部分が原因となる低温領域が発生せず、温度ムラのない床暖房パネルが実現される。
【0010】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明と同様な効果が得られ、また、発熱体用凹部の全面に収められた発熱体における配線具の上方に位置する部分が、くり抜くなどして除去されていることで、配線具の上に発熱体が来なくなるため、配線具に対する耐熱性の要求を抑えた床暖房パネルを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本願発明の一実施形態を示したものである。
【0012】
この実施形態において、まず、床暖房パネル1のパネル基材となる矩形状の床材2の裏面には、四周端部に若干ののり代面積を残した全面に、発熱体用凹部3が形成されており、この発熱体用凹部3の全面に、面状の発熱体5が収められている。この発熱体5としては、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータなどを考慮できる。
【0013】
床材2の裏面には、さらに、その発熱体用凹部3ごと発熱体5を覆い隠す裏面材7が貼り付けられるのであるが、この裏面材7と発熱体5との間にはある程度の空間が確保されており、この空間を配線具用凹部4として利用し、これに配線具6が収められている。これにより、配線具6は、床材2表面から見て、発熱体5の裏側に位置することとなる。
【0014】
なお、本実施形態では、この配線具6が収められている配線具用凹部4として利用した部分以外の空間は空隙となっているので、これに断熱材8が充填されている。この場合、たとえば、裏面側をくりぬいた床材2に、両面に接着剤を塗った発熱体5を収め、その上に断熱材8を入れて、プレス機でプレスすることで、床材2、発熱体5、断熱材8を一体化することができる。
【0015】
以上の床暖房パネル1によれば、床材2裏面側のほぼ全域を占めた発熱体5によって床材2表面全体が暖められ、このとき、配線具6による結線部分、つまり配線具6としてのコネクタ61とそれに接続されている電線62が位置する部分の上方にも発熱体5が存在しているので、結線部分が原因となる低温領域が床材2表面に発生することはない。したがって、この床暖房パネル1を複数枚並設させて結線部分が連続して形成されたとしても、低温領域のない広い暖房エリアを確保できるようになる。また断熱材8の存在により、床下への放熱が減り、床上への熱効率が上がるため、より均一で効果的な暖房エリアが実現される。
【0016】
なお、この床暖房パネル1の一寸法例としては、発熱体5が厚さ約1mm、コネクタ61が厚さ約5mmの場合、発熱体5およびコネクタ61が上下して収められる収納部の深さ(発熱体用凹部3自体の深さと言える)は約6mmとなる。
【0017】
<第2の実施形態>
ところで、上述したとおりに発熱体用凹部3の全面に収められた発熱体5と裏面材7との間に確保された配線具用凹部4に収められた配線具6は、床材2表面側から見て発熱体5の下方に位置することとなるが(図1(b)参照)、この場合、配線具6が発熱体5に触れることが考えられ、配線具6自身の耐熱性を考慮する必要が生じる。
【0018】
そこで、たとえば図2に例示したように、発熱体5における配線具6の上方に位置する部分をくり抜くなどして除去することで、耐熱対策を講じることができる。
【0019】
より具体的には、図2の実施形態では、発熱体5における配線具6の直上部分及びその周辺部分が除去されて、床材2裏面からみて配線具6よりも僅かに広い範囲で発熱体5に窓(除去窓50と呼ぶこととする)が形成されたようになっている。この除去窓50の存在により、配線具6の上に発熱体5が来なくなるため、配線具6に対する耐熱性の要求を抑えることができる。
【0020】
このときの一寸法例としては、配線具6のコネクタ61が約30mm角である場合に、発熱体5の除去窓50は約50mm四方とする。ここで、たとえば、床暖房パネル1内での温度差を5度以内にすることを考慮すると、約50mm四方であれば、周りとの温度差が5度以上となる低温領域は発生しない。ただもちろん、床材2の材質や断熱材・均熱材の有無等によってこの数値は変動するので、配線具6の上に発熱体5が来なくなりその耐熱性条件が緩和される限り、除去窓50の寸法や形状は適宜なものとすることが望ましい。
【0021】
発熱体5については、たとえば図3及び図4に例示したように、PTCヒータ素体51とそれを上下から挟んで絶縁する絶縁用PET(ポリエチレンテレフタレート)部材52とで構成される面状のPTCヒータとすることができる。これに上記除去窓50を設ける場合には、予めPTCヒータ素体51および絶縁用PET部材52に除去窓50となる開口部を設けておく。絶縁用PET部材52の開口部は若干小さめのものとする。また、絶縁用PET部材52の裏面には、PTCヒータ素体51と絶縁用PET部材52とを一体化させるために、PTCヒータ素体51を避けた裏面周縁部分および開口部周縁部分にポリエチレン53が付されている。この絶縁用PET部材52でPTCヒータ素体51を上下から挟み、これにポリエチレン53の融点まで熱を加えると、ポリエチレン53が融解して絶縁用PET部材52同士が接着される。このとき、PTCヒータ素体51の開口部もその周縁部が被装されて絶縁される。これにより、PTCヒータ素体51が絶縁用PET部材52により絶縁された除去窓50付き発熱体5が実現される。
【0022】
なお、以上の各実施形態では床材2が矩形状のものとなっているが、この他にもたとえばL字形状等の様々な形態の床材2についても、上述したと同様に本願発明を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)(b)は、各々、本願発明の一実施形態を示した裏面図および断面図。
【図2】(a)(b)は、各々、 本願発明の別の一実施形態を示した裏面図および断面図。
【図3】発熱体について説明するための断面図。
【図4】発熱体について説明するための斜視図。
【図5】(a)(b)は、各々、従来の床暖房パネルを例示した裏面図および断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 床暖房パネル
2 床材
3 発熱体用凹部
4 配線具用凹部
5 発熱体
50 除去窓
51 PTCヒータ素体
52 絶縁用PET部材
53 ポリエチレン
6 配線具
61 コネクタ
62 電線
7 裏面材
8 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材の裏面側に発熱体および配線具を収めて裏面材を被せた床暖房パネルであって、
床材裏面に設けられた発熱体用凹部の全面に発熱体が収められ、この発熱体と裏面材との間に形成されている空間を配線具用凹部としてこれに配線具が収められていることを特徴とする床暖房パネル。
【請求項2】
前記発熱体における前記配線具の上方に位置する部分が除去されていることを特徴とする請求項1記載の床暖房パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−90670(P2006−90670A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278951(P2004−278951)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】