説明

床材連結金具

【課題】根太の上に床材を敷設する際に、床材どうしの間隔を狭くすることができる床材連結金具。
【解決手段】床材連結金具11は、下部スライド基板121と第1垂直部122とが一体に成形されている下部連結部材12と、上部連結基板131と第2垂直部132とが一体に成形されている上部連結部材13とから少なくとも構成されている。前記下部スライド基板121は、根太材の上部に設けられたスライド溝にスライド自在に挿入される。前記第1垂直部122には、一方の側部に係合凹部または係合凸部123が成形されている。第2垂直部132には、前記第1垂直部122における係合凹部または係合凸部123に嵌合される係合凸部または係合凹部133が成形されている。前記係合凸部123および係合凹部133の形状は、互いに嵌合され、かつ、床材の溝と同じ方向に成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根太の上に床材を敷設する際に、床材と床材との連結を行うことができる床材連結金具に関するものである。特に、本発明は、床材どうしの間の間隔、および床材連結金具の幅を狭くすることがでる床材連結金具に関するものである。また、本発明は、床材の種類に対応して、前記床材の高さ調整が容易にできる床材連結金具に関するものである。なお、前記床材連結金具は、たとえば、アルミニウム合金、合成樹脂材等による成形、あるいは、金属製板材から加工して作製される。また、前記根太は、直接土間、コンクリートスラブ、木製下地材、鋼製床下地材、あるいは、コンクリートスラブ等の上にクッション、バネ、レベル調整ボルト等を介して敷設される。
【背景技術】
【0002】
近年、床材は、人に優しい天然木を使用した屋外用歩行デッキ、樹木の周囲に敷設された屋外用デッキ、ベランダ、屋上等、人と環境を配慮したものが多くなってきた。また、前記床材は、木材に限らず、アルミニウム合金の形材、合成樹脂材の形材、あるいは合成樹脂材と木材との粉末を成形したもの等が使用されている。また、図11(ロ)に示す従来例は、たとえば、二つの床材32′を床材連結金具11′によって連結している。
【0003】
前記床材連結金具11′は、下部金具と上部金具とから構成されている。前記下部金具は、下部基板121′と、前記下部基板121′上に垂直に一体に連設され、上部に凸部123′が一体に成形されている垂直部122′とから構成されている。前記上部金具は、上部基板131′と、前記上部基板131′から真下に垂下された嵌合凹部132′と、前記嵌合凹部132′の下部における幅を狭くする抜け止め突部133′とから構成されている。前記垂直部122′に一体に連設された突部123′は、前記嵌合凹部132′内にスライドしながら互いに嵌合される。
【0004】
前記床材32′は、前記床材32′どうしの上部間隔323′を規定値以下にするため狭く、前記床材連結金具11′の嵌合凹部132′をスライドして挿入できるように下部間隔322′を広く(W′)するように二段の溝が設けられてている。しかし、図11(ロ)に示す床材連結金具11′は、床材の間をハイヒールが入らないように、上部の幅を5mmから6mmにするため、下部の幅を広げて、7mm以上とする二段加工が必要になるという欠点を有した。
【0005】
また、たとえば、特開2002−106155号公報における木製床材の敷設装置は、コンクリートスラブ上にボルトにより高さ調整を行った根太が敷設される。前記根太の上には、ほぼH型をした連結金具がスライド自在に取り付けられる。また、前記連結金具は、床材の側部に設けられたスライド溝に嵌合されることにより床材どうしが互いに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−106155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記図11(ロ)に示す従来例は、床材連結金具11′は、嵌合凹部132の厚さ(a)、前記抜け止め突部133′の厚さ(b)、垂直部122′の厚さ(a)があり、前記床材の間隔W′を最低、3a+2bとする必要があった。また、床材どうしの間隔は、規定の幅より広い場合、ハイヒールの底、あるいは傘の先が入り、歩行者を危険に曝すことになるだけでなく、床材を連結する連結金具の幅、あるいは前記連結金具を挟む床材の側溝も深くなり、側面の2段加工を行うこともあり、コストが高価になるという問題があった。
【0008】
従来の床材連結金具は、床材の側部どうしを連結するだけであり、床材どうしの間隔を狭くすることが困難であった。前記従来例の床材連結金具は、下部において、幅の広い部分を有するため、前記床材に納まるように床材を切り落とす必要があり、工数としてコストが嵩むという問題があった。
【0009】
従来、床材は、安価で、かつ、良いデザインであることが要求される。前記床材のデザインは、床材と床材の隙間が問題になる。床材は、根太に対して、木ネジで固定するものがあるが、木ネジの頭の周りの木が腐る等の耐久性に問題があった。特に、前記木ネジがスチールの場合、皿の部分が早く腐る。また、床材は、互いに床材連結金具によって連結されるが、床材間の隙間、あるいは補修が問題であった。さらに、前記床材どうしの隙間は、ハイヒールの踵等が入り、危険である。
【0010】
以上のような課題を解決するために、本発明は、床材連結金具の垂直部材の長さの異なるものを複数種類備えておくことにより、床材の高さ方向を調整するだけでなく、床材どうしの間隔を狭くして、歩行者の安全を守ることができる安価な床材連結金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(第1発明)
第1発明の床材連結金具は、床材を側部方向に互いに連結して組み立てる際に、前記床材どうしの間隔を狭くすることができるものであり、前記根太の上部に設けられたスライド溝にスライド自在に挿入される下部スライド基板と、前記下部スライド基板上に垂直に一体に成形されるとともに、一方の側部に係合凹部または係合凸部が成形されている第1垂直部と、前記第1垂直部に成形された係合凹部または係合凸部に嵌合される係合凸部または係合凹部が成形されている第2垂直部と、前記第2垂直部の上部に一体に成形されるとともに、床材の側部連結溝に嵌合されて、床材を互いに連結する上部連結基板とから少なくとも構成されている。
【0012】
(第2発明)
第2発明の床材連結金具において、前記第1垂直部の係合凹部または前記第2垂直部の係合凹部は、スライド方向と直角で、かつ、第1垂直部の係合凸部または前記第2垂直部の係合凸部に向かって突出している突部(図1および図2の134)が成形されていることを特徴とする。
【0013】
(第3発明)
第3発明の床材連結金具において、前記第1垂直部の係合凸部または前記第2垂直部の係合凸部は、スライド方向と直角で、かつ、第1垂直部の係合凹部または前記第2垂直部の係合凹部に向かって突出している突部が成形されていることを特徴とする。
【0014】
(第4発明)
第4発明の床材連結金具において、前記係合凹部および係合凸部は、いずれか一方が蟻溝またはほぞであり、互いに結合されることを特徴とする。
【0015】
(第5発明)
第5発明の床材連結金具において、前記上部連結基板、第1垂直部、および第2垂直部の長さは、同じであり、前記下部スライド基板より短いことを特徴とする。
【0016】
(第6発明)
第6発明の床材連結金具において、前記下部スライド基板、前記第1垂直部、第2垂直部、および上部連結基板の長さは、同じであることを特徴とする。
【0017】
(第7発明)
第7発明の床材連結金具において、前記第1垂直部は、前記下部スライド基板との間に切り欠き溝が設けられていることを特徴とする。
【0018】
(第8発明)
第8発明の床材連結金具において、前記下部スライド基板、前記第1垂直部は、第2垂直部、および上部連結基板は、押し出し成形ができる部材から構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、下部スライド基板および上部連結基板に一体に成形された第1垂直部および第2垂直部の高さの異なるものを複数種類備えておき、所望の高さの床材連結金具を選択して、根太の高さ調整を行うとともに、床材どうしの間隔を狭くすることができ、歩行者の安全を確保できるとともに、安価な床材連結金具を得ることができる。また、床材は、側面の上下中央部に切り欠き溝を設けることにより、表面と裏面とを比較して綺麗な面を選んで使用することができる。
【0020】
本発明によれば、前記第1垂直部または第2垂直部を互いに嵌合させた際に、係合凹部または係合凸部のいずれか一方の内部に、スライド方向と直角で、第1垂直部または第2垂直部の係合凸部または係合凹部の方向と同じ方向に向かう突起が成形されており、嵌合してスライドする際に、前記突起が潰れ、互いの嵌合が緊密で、かつ、堅固に組み立てられる。
【0021】
本発明によれば、前記係合凹部と係合凸部に、蟻溝とほぞを成形することで、互いの結合を堅固にするとともに、二つの部材を嵌合させる場合の寸法誤差を逃がすことができる。
【0022】
本発明によれば、前記第1垂直部と前記下部スライド基板との間に切り欠き溝を設けることにより、組み立ての際の移動が簡単にでき、組み立てが迅速にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の第1実施例で、床材連結金具を説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】図2は本発明の第1実施例で、(イ)は床材連結金具の端部を示す図、(ロ)は床材連結金具の断面図である。
【図3】図3は本発明の第1実施例で、根太上において、床材連結金具によって床材を連結した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の第1実施例で、根太上に床材連結金具を介して床材を取り付けた状態を説明するための長さ方向断面図である。
【図5】図5は本発明の第1実施例で、根太上に床材連結金具を介して床材を取り付けた状態を説明するための横方向断面図である。
【図6】図6は本発明の第2実施例で、第1実施例と異なる床材を床材連結金具によって連結した状態を説明するための図である。(実施例2)
【図7】図7は本発明の第3実施例で、実施例1および実施例2と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。(実施例3)
【図8】図8は本発明の第4実施例で、実施例1から実施例3と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。(実施例4)
【図9】図9は本発明の第5実施例で、実施例1から実施例4と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。(実施例5)
【図10】図10は本発明の第6実施例で、実施例1から実施例5と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。(実施例6)
【図11】図11(イ)は本発明の床材連結金具の厚さ方向を説明するための図で、(ロ)は従来例の床材連結金具の厚さ方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1発明)
第1発明の床材連結金具は、根太上に床材を載置し、それぞれの床材の側部方向を互いに連結して、床を組み立てる際に、前記床材どうしの間隔を狭くすることができるものである。前記床材連結金具は、「T」字状部材および逆「T」字状部材における垂直部の側部に設けられた係合凸部および係合凹部を互いに嵌合させて一体にしたものである。前記逆「T」字状部材は、下部スライド基板と第1垂直部とが一体に成形されている。前記「T」字状部材は、上部連結基板と第2垂直部とが一体に成形されている。
【0025】
前記下部スライド基板は、前記根太の上部に設けられたスライド溝にスライド自在に挿入される。前記第1垂直部は、逆「T」字状となるように、前記下部スライド基板上に垂直に一体に成形されているとともに、一方の側部に係合凹部または係合凸部が成形されている。前記第2垂直部は、「T」字状となるように、前記上部連結基板の下に垂下するように一体に成形されているとともに、前記第1垂直部における係合凹部または係合凸部に嵌合される係合凸部または係合凹部が成形されている。
【0026】
床材連結金具は、前記係合凸部および係合凹部が互いに嵌合される形状になっており、かつ、前記上部連結基板の両端部が異なる床材のスライド溝にそれぞれ嵌合されて、前記床材の側部を連結する。また、前記床材連結金具は、複数個が床材のスライド溝に嵌合されて、移動する際に、前記前記係合凸部および係合凹部の係合が容易に外れない程度に嵌合されている。
【0027】
前記第2垂直部は、床材のスライド溝に嵌合されて、床材を互いに連結する上部連結基板が上部に一体に成形されている。前記第1垂直部および第2垂直部は、高さ方向の長さを任意にすることにより、床の高さを調整することが容易にできる。また、床の組み立ては、所望の高さの床材連結金具を選択した後、床材に前記床材連結金具を嵌合して、スライドさせるだけであるため、素人であっても、短時間に処理することができる。さらに、前記床材連結金具は、床材どうしの間隔を狭くすることができるとともに、上から下までを同じ幅にすることができるため、加工が容易で、かつ、安価であり、床材の継ぎ目にハイヒールの踵あるいは傘の先を挟むといった危険を無くすことができる。
【0028】
また、前記床材連結金具は、床材を連結する際に、上下逆さまに設けることができる。さらに、前記床材に設けられたスライド溝は、上下に二段設けること、あるいは、床材連結金具の上部連結基板あるいは下部スライド基板を逆に設けることができる。前記下部スライド基板は、根太に設けられた下部スライド基板スライド溝に全部が入っているが、前記第1垂直部の全部が覆われているもの、一部が覆われているもの、前記第1垂直部が覆われていないもの等がある。また、前記床材連結金具は、連結部が狭くできるため、床材の側面を2段加工する必要がなくなる。
【0029】
(第2発明)
第2発明の床材連結金具は、前記第1垂直部の係合凹部または前記第2垂直部の係合凹部の内部に、スライド方向と直角で、かつ、第1垂直部の係合凸部または前記第2垂直部の係合凸部に向かって突部が成形されている。前記突起は、比較的小さいものとすることで、前記係合凸部とスライド接触する際に潰れ、互いの嵌合が緊密で、かつ、堅固に組み立てられる。また、前記突起は、反対側に凹部を成形しておき、スライドしながら嵌合するに際し、所望の強さで嵌合するようにすることもできる。
【0030】
(第3発明)
第3発明の床材連結金具は、前記第1垂直部の係合凸部または前記第2垂直部の係合凸部に、スライド方向と直角で、かつ、第1垂直部の係合凹部または前記第2垂直部の係合凹部に向かって小さい突部が成形されている。前記突起は、第2発明と反対の場所に設けられているだけであり、全く同じ効果を奏するものである。また、前記同様に、前記突起は、反対側に凹部を成形しておき、スライドしながら嵌合するに際し、所望の強さで嵌合するようにすることもできる。
【0031】
(第4発明)
第4発明の床材連結金具は、前記第1垂直部および/または第2垂直部に設けられた前記係合凹部と係合凸部に、蟻溝とほぞが成形されている。前記蟻溝およびほぞは、互いの結合を堅固にすることができる。また、前記蟻溝は、薄い部分があり、この部分が多少曲がり、二つの部材を嵌合させる場合の寸法誤差を逃がすことができる。
【0032】
(第5発明)
第5発明の床材連結金具は、前記上部連結基板、第1垂直部、および第2垂直部の長さを同じにするとともに、下部に成形されている下部スライド基板より短く成形されている。前記長さの長い下部スライド基板は、安定して根太に取り付けられる。
【0033】
(第6発明)
第6発明の床材連結金具は、各部の長さ寸法が同じになっている点で、第5発明と異なっている。前記床材連結金具は、長さ方向の寸法が同じであるため、作成する際に、一部を切り取る等の手間がかからない。
【0034】
(第7発明)
第7発明の床材連結金具は、前記下部スライド基板が前記根太の上部に設けられたスライド溝に挿入する際に、前記第1垂直部と前記下部スライド基板との間に切り欠き溝が設けられているため、移動が簡単にでき、組み立てが容易にできる。すなわち、前記根太の上部に設けられたスライド溝は、下部スライド基板が入った際に、前記スライド溝を成形している上部が前記切り欠き溝に入ることができるため、下部スライド基板の幅を狭く作製することができる。
【0035】
(第8発明)
第8発明の床材連結金具は、前記下部スライド基板、第1垂直部は、第2垂直部、および上部連結基板が、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、あるいは、合成樹脂部材のように、押し出し成形、または金型成形が容易にできる部材から構成されている。また、前記床材連結金具は、金属板材を加工して作製することもできる。
【実施例1】
【0036】
図1は本発明の第1実施例で、床材連結金具を説明するための斜視図である。図2は本発明の第1実施例で、(イ)は床材連結金具の端部を示す図、(ロ)は床材連結金具の断面図である。図3は本発明の第1実施例で、根太上において、床材連結金具によって床材を連結した状態を示す斜視図である。図4は本発明の第1実施例で、根太上に床材連結金具を介して床材を取り付けた状態を説明するための長さ方向断面図である。図5は本発明の第1実施例で、根太上に床材連結金具を介して床材を取り付けた状態を説明するための横方向断面図である。なお、前記図1から図5における下部スライド基板121、および上部連結基板131は、幅方向の長さを対照あるいは非対照、または上下逆にすることも、床材あるいは施工状態によって任意にできる。
【0037】
図1から図5において、床材連結金具11は、根太上に床材を載置し、それぞれの床材を互いに連結して、床を組み立てるものである。前記床材連結金具11は、逆「T」字状部材からなる下部連結部材12、および「T」字状部材からなる上部連結部材13を、互いの側部に設けられた係合凸部123、および係合凹部133を互いに嵌合させて一体にしたものである。
【0038】
前記逆「T」字状部材からなる下部連結部材12は、下部スライド基板121と、前記下部スライド基板121に対して垂直に一体成形された第1垂直部122から構成されている。また、前記「T」字状部材からなる上部連結部材13は、上部連結基板131に対して垂直に垂下するように一体成形された第2垂直部132から構成されている。
【0039】
前記下部スライド基板121は、図3および図4に示された根太31の上部に設けられた下部スライド基板載置部311に載置されるとともに、下部スライド基板スライド溝312にスライド自在に挿入される。前記第1垂直部122は、逆「T」字状となるように、前記下部スライド基板121上に垂直に一体に成形されているとともに、一方の側部に係合凹部または係合凸部123が成形されている。前記第2垂直部132は、「T」字状となるように、前記上部連結基板131の下に垂下するように一体に成形されている。
【0040】
前記第1垂直部122および第2垂直部132は、互いに嵌合することができる係合凹部または係合凸部123および係合凸部または係合凹部133が成形されている。前記係合凸部123および係合凹部133の形状は、互いに嵌合され、かつ、床材に設けられたスライド溝321(図3参照)と同じ方向に成形される。また、前記床材連結金具11は、床材のスライド溝321に嵌合して、移動する際に、前記前記係合凸部123および係合凹部133の係合が容易に外れない程度に嵌合されている。
【0041】
前記第1垂直部122および第2垂直部132は、高さ方向の長さを任意にすることにより、根太31とともに、床材32の高さを調整することが容易にできるだけでなく、凹凸の嵌合であるため、厚さを薄くでき、床材の間隔を狭くすることができる。また、床材32の組み立ては、所望の高さの床材連結金具11を選択した後、床材32に前記床材連結金具11を嵌合して、スライドさせるだけであるため、素人であっても、短時間に処理することができ、床材32どうしの間にハイヒール等が入るという危険を防止することができる。
【0042】
床材32は、図3および図4において示されているように、長さ方向に僅かに湾曲した湾曲部324を設け、上を歩く人に対するクッション性を向上させることができる。前記下部スライド基板121の長さは、第1垂直部122および上部連結部材13の長さより長くすることにより、互いに嵌合し易くなっている。また、前記第1垂直部122は、前記下部スライド基板121との間に連結金具切欠部125を設けることにより、組み立てを容易にしている。
【0043】
さらに、上部連結基板131幅は、下部スライド基板121より狭くなっている。床材32に設けられた床材スライド溝321は、奥行きを深くすると、コストが高くなるだけでなく、溝を切るノコギリの刃が焼けるため、深さに限度がある。そのため、前記上部連結基板131幅は、必要以上に広くした方が良い。
【0044】
図1において、第1垂直部材122、および第2垂直部材132は、互いに嵌合する際に、スライド溝124および/または突条部134をいずれか一方に設けることができる。前記スライド溝124および/または突条部134は、その大きさを任意に成形することで、前記第1垂直部材122、および第2垂直部材132のスライド嵌合を適度の硬さに嵌合させることができる。
【0045】
前記突条部134は、比較的小さいものとすることで前記係合部または係合突部とスライド接触する際に、潰れて互いの嵌合が緊密で、かつ、堅固に組み立てられる。また、前記突条部134は、反対側に凹部を成形しておき、スライドしながら嵌合するに際し、所望の強さで嵌合するようにすることもできる。
【0046】
前記突条部134は、係合凹部133と嵌合する場合、前記突条部134と係合凹部133が反対になる場合、あるいは、一方のみをいずれかに設けることができる。前記突条部134は、大きさおよび高さ等を調整することにより、嵌合するに際し、所望の強さで嵌合するようにすることができる。また、前記突条部134の高さは、前記床材連結金具11および床材32の材質等によって任意に選ぶことができる。
【0047】
前記係合凸部123および係合凹部133は、いずれか一方を蟻溝またはほぞとすることができる。前記蟻溝およびほぞは、互いの結合を堅固にすることができる。また、前記蟻溝は、薄い部分があり、この部分が多少曲がり、二つの部材を嵌合させる場合の寸法誤差を逃がすことができる。
【0048】
前記床材連結金具11は、図1に示すように、前記上部連結基板131、第1垂直部122、および第2垂直部132の長さが同じになっている。また、下部に成形されている下部スライド基板121は、前記上部連結基板131、第1垂直部122、および第2垂直部132より長さが長く成形されている。前記長さの長い下部スライド基板121は、安定して根太31に取り付けられる。
【0049】
さらに、前記床材連結金具11は、下部スライド基板121、第1垂直部122、第2垂直部132、および上部連結基板131の長さ寸法が同じにすることができる。前記床材連結金具11は、長さ方向の寸法が同じであるため、押し出し成形品を同じ長さに切るだけであるため、工数を低減できる。
【0050】
前記床材連結金具11は、前記下部スライド基板121が前記根太31の連結金具載置部313に載置されるとともに、根太31上部に設けられたスライド溝321に挿入する際に、前記第1垂直部122と前記下部スライド基板121との間に切り欠き溝125が設けられているため、移動が簡単にでき、組み立てが容易にできる。
【0051】
前記床材連結金具11は、前記下部スライド基板121、第1垂直部122、第2垂直部132、および上部連結基板131が、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、あるいは、合成樹脂部材のように、押し出し成形、または金型成形が容易にできる部材から構成されている。前記押し出し成形は、成形後に、長さ方向に切断するだけで、前記床材連結金具11ができ上がる。
【実施例2】
【0052】
図6は本発明の第2実施例で、第1実施例と異なる床材を床材連結金具によって連結した状態を説明するための図である。図6において、床材62は、湾曲していない点、および床材62どうしの間隔が厚さ方向で均一な幅となっている点で、第1実施例と異なっている。
【実施例3】
【0053】
図7は本発明の第3実施例で、実施例1および実施例2と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。床材連結金具71は、第1垂直部722の長さが長くなっている点で、第1実施例および第2実施例と異なっている。
【実施例4】
【0054】
図8は本発明の第4実施例で、実施例1から実施例3と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。床材連結金具81は、第2垂直部832の長さが長くなっている点で、第3実施例と異なっている。実施例3および実施例4において、第1垂直部および第2垂直部は、両方の長さまたはいずれか一方の長さを変えることにより、床材の高さを簡単に調整することができる。
【実施例5】
【0055】
図9は本発明の第5実施例で、実施例1から実施例4と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。第5実施例の床材連結金具は、下部連結部材92、および上部連結部材93が互いに連結される。前記連結部材92は、下部スライド基板921上に一体に第1垂直部922が成形されている。前記連結部材93は、上部連結基板931の下方に一体に第2垂直部932が成形されている。前記第1垂直部922は、第1垂直部922と同じ方向で、かつ、上下方向に向かって、スライド突条923が設けられている。また、前記スライド突条923は、上下中間部で、長さ方向の溝924を設けることにより、押し出し成形が容易にできる。さらに、第2垂直部932は、前記スライド突条923が嵌合する凹部933が成形されている。
【実施例6】
【0056】
図10は本発明の第6実施例で、実施例1から実施例5と異なる床材連結金具を説明するための斜視図である。第6実施例の床材連結金具は、下部連結部材102、および上部連結部材103が互いに連結される。前記連結部材102は、下部スライド基板1021上に一体に第1垂直部1022が成形されている。前記連結部材103は、上部連結基板1031の下方に一体に第2垂直部1032が成形されている。前記第1垂直部1022は、第1垂直部1022と同じ方向で、かつ、上下方向に向かって、スライド突条1023が設けられている。また、第2垂直部1032は、前記スライド突条1023が嵌合する凹部1033が成形されている。前記本発明の実施例における垂直部に設けられた凹部および/または凸部の形状は、製作が容易で、かつ、互いにスライドしながら嵌合できるものであれば、図に描かれたものに限定されない。
【0057】
図11(イ)は本発明の床材連結金具の厚さ方向を説明するための図で、(ロ)は従来例の床材連結金具の厚さ方向を説明するための図である。図11(イ)において、本発明の床材連結金具の嵌合部の厚さWは、第1垂直部122(a)、凹凸嵌合部(a)、第1垂直部132(a)である(W=3a)。これに対して、図11(ロ)おいて、従来の床材連結金具の嵌合部の厚さW′=3a+2bとなり、2bだけ厚くなり、その分、床材の切込み溝を深く作製する必要がある。すなわち、図11(ロ)に示す床材連結金具11′は、下部における溝の幅を広くする必要があった。
【0058】
前記aの長さは、前記床材連結金具11の厚さであり、1.4mmから1.6mmである。前記bの長さは、引っ掛ける爪部分であり、1.2mmから1.3mm程度である。また、前記aとbとの関係は、a≧bであることが望ましい。また、本発明の各実施例における図面は、床材のスライド溝と上部連結基板との間に隙間を設けることができる。さらに、前記上部連結基板および下部スライド基板の幅は、長さを逆に設けること、あるいは上下逆に使用すること等、任意に選択することができる。また、前記床材連結金具の厚さ、および床材の間隔等は、ハイヒールの踵が入る危険、あるいは、デザイン等を考慮して任意に設けることができる。
【0059】
しかし、図11(イ)に示す本発明の床材連結金具11′は、下部の厚さを薄くできるととともに、上部と下部の厚さを同じにできるため、歩行中の危険がなく、工数を少なくできるため、安価なものとすることができる。図11(イ)において、本発明の床材連結金具11は、床材の幅を同じにするとともに、狭くすることができる。すなわち、前記床材と床材との幅は、4mmから5mmにすることができる。なお、図11は、誇張して描かれているため、床材連結金具および床材の各寸法比が必ずしも正確でない。
【0060】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本実施例に記載されている床材または床材連結金具は、アルミニウム合金の形材、合成樹脂製の形材、木製、木粉と合成樹脂を混合した部材等公知または周知の部材を使用できる。床材の形状、幅、および長さは、任意のものを採用できる。前記床材を載置する部分は、本発明に直接関係がないため、説明が省略されているが、公知または周知の構造とすることができる。本発明の床材連結金具を使用するに当たり、根太の形状および構造は、各種一般に使用されているものを適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
11・・・床材連結金具
12・・・下部連結部材
121・・・下部スライド基板
122・・・第1垂直部
123・・・係合凸部
124・・・スライド溝
125・・・連結金具切欠部
13・・・上部連結部材
131・・・上部連結基板
132・・・第2垂直部
133・・・係合凹部
134・・・突条部
31・・・根太
311・・・下部スライド基板載置部
312・・・下部スライド基板スライド溝
313・・・連結金具載置部
32・・・床材
321・・・スライド溝
322・・・床材切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根太上において、床材を側部方向に互いに連結して組み立てる際に、前記床材どうしの間隔を狭くすることができる床材連結金具において、
前記根太の上部に設けられたスライド溝にスライド自在に挿入される下部スライド基板と、
前記下部スライド基板上に垂直に一体に成形されるとともに、一方の側部に係合凹部または係合凸部が成形されている第1垂直部と、
前記第1垂直部に成形された係合凹部または係合凸部に嵌合される係合凸部または係合凹部が成形されている第2垂直部と、
前記第2垂直部の上部に一体に成形されるとともに、床材の側部連結溝に嵌合されて、床材を互いに連結する上部連結基板と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする床材連結金具。
【請求項2】
前記第1垂直部の係合凹部または前記第2垂直部の係合凹部は、スライド方向と直角で、かつ、第1垂直部の係合凸部または前記第2垂直部の係合凸部に向かって突出している突部が成形されていることを特徴とする請求項1に記載された床材連結金具。
【請求項3】
前記第1垂直部の係合凸部または前記第2垂直部の係合凸部は、スライド方向と直角で、かつ、第1垂直部の係合凹部または前記第2垂直部の係合凹部に向かって突出している突部が成形されていることを特徴とする請求項1に記載された床材連結金具。
【請求項4】
前記係合凹部および係合凸部は、いずれか一方が蟻溝またはほぞであり、互いに結合されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された床材連結金具。
【請求項5】
前記上部連結基板、第1垂直部、および第2垂直部の長さは、同じであり、前記下部スライド基板より短いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された床材連結金具。
【請求項6】
前記下部スライド基板、前記第1垂直部、第2垂直部、および上部連結基板の長さは、同じであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された床材連結金具。
【請求項7】
前記第1垂直部は、前記下部スライド基板との間に切り欠き溝が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された床材連結金具。
【請求項8】
前記下部スライド基板、前記第1垂直部は、第2垂直部、および上部連結基板は、押し出し成形ができる部材から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された床材連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−242365(P2010−242365A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91861(P2009−91861)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(501045054)株式会社マッティージャパン (5)
【Fターム(参考)】