説明

床材

【課題】軽量かつ高耐久性を実現するとともに、木質系床材と比較して遜色のない連結性を有し、防水性にも優れた床材を提供すること。
【解決手段】上下方向に開放する筒状の中空セル5の複数が密集して形成され、矩形の平面形状を有するコア材2の上下面のうち少なくとも上面側に、コア材の平面形状と略同一な平面形状を有する面材4が、コア材の外側に突出するように位置をずらして配設され、コア材と面材との位置ずれした部分にさね9が形成され、コア材の上面または上下両面において少なくともさねが形成される部分に防水性を有する防水部材3が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量かつ高耐久性を実現する床材として、ハニカム状などの中空芯材を備えたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、ハニカム状の中心芯材と、中心芯材の周りに延在する矩形状の枠部材と、中心芯材および枠部材の上下面にそれぞれ添着され、芯組立体を構成する表面材と裏打ち材と、芯組立体の周りに成形された成形縁とからなるフロアーパネルが記載されている。
【0004】
このような中空芯材を備えた床材により床を形成する際には、隣接して配置される2枚の床材同士を突き合わされる側端部において連結する必要がある。連結方法としては、これまでに、
1)モールなどの床材と別体とされた連結部材を介設する方式
2)あらかじめ連結部材を床材に組み込んでおく方式
3)突き合わされる側端部を直接溶接するまたは接着剤を用いて接着する方式
が考えられている。
【0005】
特許文献1に記載されたフロアーパネルでは、表面材と裏打ち材とに枠部材を越えて延びるフランジが形成され、成形縁と機械的に接合し、成形縁は、所定間隔で形成された相補的な舌片と溝とを有し、隣接する2枚のフロアーパネル同士の連結は、隣接する2枚のフロアーパネルにおいて一方のフロアーパネルの成形縁に形成された各溝内に他方のフロアーパネルの成形縁に形成された各舌片を嵌合させることにより実現される。したがって、特許文献1に記載されたフロアーパネルの連結方法は、上記2のあらかじめ連結部材を床材に組み込んでおく方式に分類される。
【特許文献1】特開平8−100510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記1〜3の方式に分類される、中空芯材を備えた床材の連結方法は、以下の通りの問題を個々に抱えている。
【0007】
すなわち、上記1の方式については、モールなどの連結部材が床材表面から上方に突出するため、床の平滑さが損なわれることが否めない。上記2の方式については、床を平滑にすることが可能であり、上記1の方式の問題は解消されるが、連結部材を床材に一体に組み込むため、特許文献1の記載からも理解されるように、床材の構造が複雑化し、したがって、製造が容易でなく、しかも連結部材の分重量が増大するとともに、連結部材の形状によっては床材同士の連結部に隙間が生じることがあり、その隙間を埋めなければならないという煩わしさもある。上記3の方式については、施工性が非常に悪く、連結作業に要する時間が長いという問題がある。
【0008】
木質系床材の一般的な連結方法は、床材の側端部に形成した雄ざねおよび雌ざねのほんざねによるものであるが、中空芯材をほんざね加工することは不可能であり、したがって、特許文献1に記載されたフロアーパネルに指摘される上記2の方式の問題が顕在化する。
【0009】
加えて、中空芯材を備えた床材については、表面側に配設される面材と中空芯材との間に不十分な結合などに起因して隙間が生じると、隙間から水がしみ込み、床材や床下が腐食するおそれがある。
【0010】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、軽量かつ高耐久性を実現するとともに、木質系床材と比較して遜色のない連結性を有し、防水性にも優れた床材を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0012】
すなわち、第1の発明は、上下方向に開放する筒状の中空セルの複数が密集して形成され、矩形の平面形状を有するコア材の上下面のうち少なくとも上面側に、コア材の平面形状と略同一な平面形状を有する面材が、コア材の外側に突出するように位置をずらして配設され、コア材と面材との位置ずれした部分にさねが形成された床材であって、コア材の上面または上下両面において少なくともさねが形成される部分に防水性を有する防水部材が配設されていることを特徴としている。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、面材が、コア材の上面側にコア材から位置ずれして配設され、コア材とによりさねとしてあいじゃくりを形成していることを特徴としている。
【0014】
第3の発明は、上記第1の発明において、面材が、コア材の上下両面側にコア材から位置ずれして配設され、コア材上面側の第1の面材およびコア材下面側の第2の面材は、同一投影面上に配置され、コア材とによりほんざねを形成していることを特徴としている。
【0015】
第4の発明は、上記第1ないし第3いずれか一つの発明において、コア材において、少なくともさねが形成され、面材の外側に突出する部分が防水加工されていることを特徴としている。
【0016】
第5の発明は、上記第4の発明において、防水加工は、コア材への樹脂含浸またはコア材を形成する中空セル内への樹脂充填のいずれか一方または両方であることを特徴としている。
【0017】
第6の発明は、上記第3ないし第5いずれか一つの発明において、第2の面材とコア材との間にコア材と同一構成を有する第2のコア材が介設され、第2のコア材の外周縁は第2の面材の外周縁と一致して配置され、第2のコア材の少なくとも上面全面に前記防水部材が配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
上記第1の発明によれば、面材が、コア材の外側に突出するように位置をずらしてコア材の上面側に配設され、さねが形成されているため、特別な連結部材が必要でなく、床材の構造を簡略化することができ、したがって、製造容易であるとともに、十分軽量となる。床を形成する際に隣接して配置される2枚の床材同士は、さねによって連結することができ、隣接配置された2枚の床材同士の連結部に隙間は発生しにくく、一般の木質系床材と比較して遜色のない連結性が実現される。しかも、コア材に防水部材が配設されているため、水の浸入を防止することができ、また、隣接配置された2枚の床材同士の連結部において、面材の突合せ部から水が浸入したとしても、防水部材によってコア材への水のしみ込みを防ぐこともでき、コア材の膨張や床材の腐食などが十分抑えられ、防水性にも優れた床材が実現される。
【0019】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、さねをあいじゃくりとして形成することができる。
【0020】
上記第3の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、さねをほんざねとして形成することができる。
【0021】
上記第4の発明によれば、上記第1ないし第3いずれか一つの発明の効果に加え、コア材において、少なくともさねが形成され、面材の外側に突出する部分の防水性を高めることができる。
【0022】
上記第5の発明によれば、上記第4の発明の効果に加え、防水加工を簡便に行うことができる。
【0023】
上記第6の発明によれば、上記第3ないし第5いずれか一つの発明の効果と同様な効果が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1、図2、図3は、それぞれ、本発明の床材の第1実施形態を示した分解斜視図、平面図、図1のA−A断面図である。
【0025】
図1、図2および図3に示した床材1は、平面形状が略方形の矩形形状を有する中空なコア材2の上面全面に、防水性を有する防水部材としてシート状に形成され、コア材2と略同一な略方形の平面形状を有する防水シート3が配設されるとともに、コア材2の平面形状と略同一な略方形の平面形状を有する薄板状の面材4が、コア材2から水平方向に位置ずれし、下面を防水シート3の上面に重ね合わせてコア材2の上面側に配設されて形成されている。
【0026】
コア材2は、図1図中に要部を拡大して示したように、上下方向に開放する筒状の中空セル5としての六角筒状のハニカムセル6が複数隣接して密集し、相互間で結合し、全体としてハニカム状に一体に形成されたものである。このようなコア材2によって、床材1を軽量で高耐久性を有するものとして実現している。コア材2の素材には、基本的にボール紙などの紙質のものが採用されるが、要求性能に応じて、樹脂含浸したり、不燃紙を用いたりすることができる。また、紙質のものばかりでなく、アラミド繊維からコア材2を形成することもできる。さらに、コア材2は、上下面のいずれか一方または両方に紙などの面材が貼着されたものとすることもできる。
【0027】
なお、本発明の床材において、コア材2を形成する中空セル5には、中空部の平面形状が三角形以上の多角形形状である角筒状のものや円形である円筒状のものを適宜採用することができる。
【0028】
防水シート3は、コア材2に防水性を付与し、床材1の防水性を高めるものであり、基本的に水がしみ込まないものであれば、素材や構成などに特に制限はない。たとえば、クラフト紙や不織布にポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムを貼り合わせたラミネートシートを一般的なものとして例示することができる。防水シート3についても、要求特性に応じて、素材や構成などを適宜選択することができ、上記ラミネートシートを複層に積層したり、クラフト紙に樹脂含浸したり、単層の樹脂フィルムそのものを防水シート3として使用することなどが可能である。
【0029】
このような防水シート3は、通常、コア材2に貼着して配設することができるが、配設方法も、防水シート3の素材や構成などに応じて適宜採用することができる。上記ラミネートシートの場合には、接着剤を用いてコア材2に接着したり、最下面に粘着層を付設し、粘着層を形成する粘着剤によってコア材2に貼り合わせたりなどすることができる。この他、普通紙などをコア材2に貼り合わせた後に、普通紙などに樹脂を含浸またはコーティングなどして防水シート3の形成と同時にコア材2に配設することも可能である。
【0030】
面材4は、上記の通り、コア材2から水平方向に位置ずれして配設されているが、具体的には、図2に示したように、面材4の隣り合う互いに略直交する二辺部7、8がコア材2の外側に突出するように位置をずらしてコア材2の上面側に配設されている。面材4は、防水シート3の上面に重なり合う下面において防水シート3に貼着することができる。貼着には、接着剤を用いることができ、防水シート3の上面と重なり合う部分の下面に塗装ロールなどを用いて接着剤を塗布し、たとえば、加圧成形するなどによって床材1として一体となる。
【0031】
面材4は、コア材2を補強し、床材1の面強度を十分高め、安定した平滑な床を形成するなどの機能を有する。このような機能を実現する面材4には、たとえば、MDF、HDFや、ケナフを解繊し、その繊維をマット化して接着剤を含浸した後、マットを積層して熱圧プレス成形して形成されるケナフ繊維ボードなどの各種繊維ボード、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂に木粉を配合し、必要に応じて無機フィラー、強化材などを添加し、混練して得られる木質・プラスチック複合材を押出成形して形成されるエンジニアリングボードなどが例示される。
【0032】
面材4は、上記の通り、コア材2から水平方向に位置ずれして配設されるため、床材1には、図3に示したように、コア材2と面材4との位置ずれした部分にさね9が形成される。図1−3に示した床材1では、さね9はあいじゃくり10として形成されている。
【0033】
このように、図1−3に示した床材1では、面材4が、その隣り合う二辺部7、8をコア材2の外側に突出するように位置をずらしてコア材2の上面側に配設されることによって、さね9としてのあいじゃくり10が形成されているため、特別な連結部材が必要でなく、床材1の構造が簡略化されており、したがって、製造容易であるとともに、十分軽量となっている。床を形成する際には、隣接して配置される2枚の床材1同士をあいじゃくり10によって連結することができ、すなわち、雄ざね10aに雌ざね10bを重ね合わせて床材1同士を連結することができる。隣接配置された2枚の床材1同士の連結部に隙間は発生しにくく、一般の木質系床材と比較して遜色のない連結性が実現される。床材1の全体厚みをたとえば12mmにすれば、現状の一般住宅用の床材とほぼ同じ厚みとすることができ、施工面での支障は生じない。
【0034】
しかも、コア材2の上面全面に防水シート3が配設されているため、水の浸入を防止することができ、また、隣接配置された2枚の床材1同士の連結部において、面材4の突合せ部から水が浸入したとしても、防水シート3によってコア材2への水のしみ込みを防ぐこともでき、コア材2の膨張や床材1の腐食などを十分抑えることができる。床材1は、防水性にも優れている。加えて、防水シート3の配設によって、コア材2の寸法安定性が向上するとともに、強度の低下を抑えることなどが可能であり、施工後の品質が安定した床材1が実現される。
【0035】
なお、本発明の床材では、防水シート3などの防水部材は、コア材の必ずしも全面に配設される必要はなく、面材の防水性能などに応じて、さねが形成される部分、特に雄ざねとなる面材と重なり合わない部分に、部分的にコア材に配設することもできる。たとえばこのことを図1−3に示した床材1に適用する場合には、図4に示したように、コア材2の上面周端部のみに防水シート3を配設することができる。防水シート3は、内側に開口部を有する略ロ字型形状に形成しても、短冊状に形成し、コア材2の上面の前後左右の端部に配設し、結果的にコア材2の上面周端部に配設された状態にすることなどが可能である。防水シート3の部分的な配設によって、その分のコスト低減、配設容易化などが図られる。このように防水部材をコア材に部分的に配設する場合には、防水性を考慮すれば、防水部材の面材側の端縁部を面材の下面と重なり合うようにすると、連結した床材同士において面材の突合せ部から浸入する恐れのある水がコア材にしみ込むのを効果的に防止することができ、好ましい。
【0036】
また、面材のコア材からの位置ずれは、必ずしも隣り合う二辺部とする必要はなく、いずれか一方、すなわち、図1−3に示した床材1では、辺部7のみまたは辺部8のみをコア材2の外側に突出するように位置をずらしてコア材2の上面側に配設することもできる。
【0037】
上記の通りの防水部材のコア材への部分的な配設は、以下の実施形態においても同様に適用される。
【0038】
図5は、本発明の床材の第2実施形態を示した断面図である。
【0039】
図5に示した床材1において、図1−3に示した床材1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図5に示した床材1では、図1−3に示した床材1のコア材2の下面にもその全面に防水シート3が配設されている。すなわち、図5に示した床材1では、コア材2の上下両面の全面に防水シート3が配設されている。コア材2の下面全面に配設された防水シート3は、床下からの吸水、吸湿を防止し、このため、コア材2の膨張や床材1の腐食などを一層抑えることができ、床材1の防水性が高まっている。加えて、コア材2の下面全面に配設された防水シート3によって、コア材2の寸法安定性がさらに向上するとともに、強度の低下を一層抑えることなどが可能であり、施工後の品質がより安定した床材1が実現される。
【0041】
図5に示した床材1でも、防水シート3の配設は、図4に例示したようなコア材2の上下面における、さね9としてあいじゃくり10が形成される部分のみ、特に雄ざね10aが形成される部分のみの部分的な配設とすることができる。
【0042】
図6は、本発明の床材の第3実施形態を示した断面図である。
【0043】
図6に示した床材1において、図1−3に示した床材1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図6に示した床材1では、図1−3に示した床材1のコア材2の下面側にも面材4が、コア材2から水平方向に位置ずれして配設されている。すなわち、コア材2の上面側の第1の面材4aと同様に、コア材2の下面側の第2の面材4bも、図2に示したように、面材4の隣り合う互いに略直交する二辺部7、8がコア材2の外側に突出するように位置をずらしてコア材2の下面側に配設されている。しかも、第1の面材4aおよび第2の面材4bは、同一投影面上に配置されており、図6に示した床材1を平面視したときの形状は、図2に示した平面形状と同一である。
【0045】
第2の面材4bは、コア材2の下面に重なり合う上面においてコア材2に貼着することができる。貼着には、第1の面材4aと同様に、接着剤を用いることができ、防水シート3の下面と重なり合う部分の上面に接着剤を塗装ロールなどを用いて塗布し、たとえば、加圧成形するなどによって第1の面材4aと同時に配設され、床材1として一体となる。
【0046】
こうして、図6に示した床材1には、コア材2と第1の面材4aおよび第2の面材4bとの位置ずれした部分にさね9としてほんざね11が形成されている。ほんざね11の形成によって、図1−3に示した床材1に形成されたあいじゃくり10と同様に、床を形成する際に隣接して配置される2枚の床材1同士をほんざね11によって連結することができ、すなわち、雄ざね11aを雌ざね11bに嵌合させて床材1同士を連結することができる。隣接配置された2枚の床材1同士の連結部に隙間は発生しにくく、一般の木質系床材と比較して遜色のない連結性を有する。床材1の全体厚みをたとえば12mmにすれば、現状の一般住宅用の床材とほぼ同じ厚みとすることができ、施工面での支障は生じない。また、ほんざね11の形成によって特別な連結部材が必要でないため、床材1の構造が簡略化されており、したがって、製造容易であるとともに、十分軽量となっている。さらに、第2の面材4bの配設によって、コア材2が補強され、床材1の面強度が向上し、より安定した平滑な床の形成が可能ともなる。第2の面材4bには、図1−3に示した床材1における面材4と同様なものを採用することができ、第1の面材4aと同種または異種のいずれのものとすることができる。要求性能に応じて適宜なものを選択することができる。
【0047】
なお、本発明の床材では、第2の面材は、第1の面材と同一投影面上に配置されることが必要であり、第1の面材の一辺部のみがコア材から位置ずれする場合には、第2の面材も同様に、対応する一辺部のみの位置ずれとする。
【0048】
図7は、本発明の床材の第4実施形態を示した断面図である。
【0049】
図7に示した床材1において、図6に示した床材1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図7に示した床材1では、図6に示した床材1のコア材2の下面にもその全面に防水シート3が配設されている。すなわち、図7に示した床材1では、コア材2の上下両面の全面に防水シート3が配設されている。コア材2の下面全面に配設された防水シート3は、床下からの吸湿を防止し、このため、コア材2の膨張や床材1の腐食などを一層抑えることができ、床材1の防水性が高まっている。加えて、コア材2の下面全面に配設された防水シート3によって、コア材2の寸法安定性がさらに向上するとともに、強度の低下を一層抑えることなどが可能であり、施工後の品質がより安定した床材1が実現される。
【0051】
図7に示した床材1でも、防水シート3の配設は、図4に例示したようなコア材2の上下面における、さね9としてほんざね11が形成される部分のみ、特に雄ざね11aが形成される部分のみの部分的な配設とすることができる。
【0052】
図8は、本発明の床材の第5実施形態を示した断面図である。
【0053】
図8に示した床材1において、図7に示した床材1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図8に示した床材1では、ほんざね11における雄ざね11aが形成される、コア材2の第1の面材4aおよび第2の面材4bから外側に突出する端部周辺が、樹脂12の含浸により防水加工され、雄ざね11aにおける防水性をより高めている。樹脂12の含浸は、たとえば、コア材2を形成するボール紙などの素材にウレタン樹脂などの樹脂12を塗布するなどして実現することができる。コア材2が、その上下面のいずれか一方または両方に普通紙などの面材が貼り合わされたものである場合には、その面材にも樹脂12を塗布するなどして含浸させることができる。含浸させる樹脂の種類は特に制限はなく、防水性を付与可能なものから加工性などを考慮して適宜選択することができる。たとえば、塗膜構成型、浸透型、含浸型などの耐水性塗料が例示される。樹脂12の含浸は、防水シート3の配設と同様に、雄ざね11aから面材4の内側まで行うと、防水性を確実に高めることができる。
【0055】
また、図8に示した床材1では、ほんざね11において、すなわち、雄ざね11aおよび雌ざね11bの両方において、コア材2の側面に防水シート13が配設され、ほんざね11における防水性をより高めている。防水シート13には、コア材2の上下面に配設される防水シート3と同様なものが適用可能であり、また、防水シート3と同様に、配設によって防水シート13が配設と同時に形成されるものとすることも可能である。この他、防水性を有するテープ、プラスチックシート、金属板材などを防水シート13としてコア材2のほんざね11における側面に貼着することができる。また、防水性を有しない普通紙などの紙を貼った後、樹脂含浸したり、耐水性塗料を塗装して防水シート13を形成したりなどすることもできる。
【0056】
防水シート13では、ほんざね11における防水性を確実に実現するために、その上下端面が防水シート3に重なり合うように配置することが好ましい。防水シート3の大きさをコア材2の大きさより若干大き目とすることにより、防水シート13の上下端面に防水シート3を重ね合わせることができる。
【0057】
なお、本発明の床材において防水シート13の配設は付加的なものであり、図8に示した床材1において防水シート13の省略は可能である。また、図6に示した床材1に対して防水シート13の配設は可能である。さらに、樹脂含浸による雄ざねの防水加工は、図6に示した床材1の雄ざね11aはもちろん、図1−3および図5に示したあいじゃくり10として形成されるさね9における雄ざね10aも対象とすることができる。いずれの場合も床材1の防水性が向上する。
【0058】
図9は、本発明の床材の第6実施形態を示した断面図である。
【0059】
図9に示した床材1において、図8に示した床材1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図9に示した床材1では、ほんざね11における雄ざね11aが形成される、コア材2の第1の面材4aおよび第2の面材4bから外側に突出する端部周辺において、コア材2を形成する中空セル5としてのハニカムセル6の中空部に樹脂12が充填され、樹脂12の充填によって防水加工され、雄ざね11aにおける防水性を硬化した樹脂12により高めている。充填硬化させる樹脂の種類は特に制限はなく、防水性を付与可能なものから加工性などを考慮して適宜選択することができる。たとえばウレタン樹脂が例示され、発泡性樹脂を充填する場合には、床材1の連結の際に雄ざね11aにおいて釘打ち、ビス打ち、タッカー留めなどを行うことができ、連結強度を高めることができる。通常のタッカー留めを考慮すると、面材4をコア材2から水平方向に5mmずらして配設した場合、樹脂12を充填する範囲は、10mm以上30mm以下の奥行きが例示される。このことからも、樹脂12を充填する範囲は、図8に示した樹脂12の含浸による防水加工と同様に、雄ざね11aから面材4の内側まで行うことが好ましく、また、防水性を確実に高めることができる。釘打ち、ビス打ち、タッカー留めなどを考慮しない場合は、発泡しない樹脂の充填でよいが、樹脂12の充填範囲は、上記と同様にすることが好ましい。
【0061】
図8に示した樹脂12の含浸および図9に示した樹脂12の充填は、コア材2において、少なくともさね9が形成され、面材4の外側に突出する部分の防水加工を簡便に実現する。
【0062】
なお、本発明の床材では、コア材において、少なくともさねが形成され、面材の外側に突出する部分に施す防水加工は、図8に示した樹脂12の含浸または図9に示した樹脂12の充填の択一ばかりでなく、樹脂12の含浸および充填の両方を採用し、雄ざねにおける防水性をさらに向上させることも可能である。そして、このようなコア材の防水加工は、さねのみに限られず、面材と重なり合う部分にまで行っても構わない。
【0063】
図10は、本発明の床材の第7実施形態を示した断面図である。
【0064】
図10に示した床材1において、図7に示した床材1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図10に示した床材1では、図7に示した第2の面材4bとコア材2との間に、コア材2と同一の構成を有する、すなわち、中空セル5としてのハニカムセル6の複数が密集し、全体としてハニカム状に一体に形成された第2のコア材14が介設されている。第2のコア材14の外周縁は第2の面材4bの外周縁と一致して配置されており、さね9としてのほんざね11は、第1の面材4aとコア材2とにより形成され、第2のコア材14は、ほんざね11の形成に関与していない。つまり、床材1の上部にほんざね11が形成されている。ただし、床材1を上下反転させれば、第1の面材4aが床材1の下側に、第2の面材4bが上側に位置することになるので、ほんざね11は床材1の下部に配置される。したがって、図10に示した床材1は、ほんざね11の位置を上部および下部のいずれにも配置することができるものである。
【0066】
第2のコア材14の上下両面の全面に防水シート3が配設されている。このため、コア材2の下面の防水シート3は、図7に示した床材1の場合と異なり、雄ざね11aが形成される部分の下面にのみ配設されている。このようなコア材2の下面における雄ざね11aが形成される部分のみの防水シート3の配設は、図1−3に示した床材1における防水シート3の配設に準じている。また、コア材2の下面において雄ざね11aが形成される部分にのみ防水シート3を配設することにより、第2のコア材14の上面全面に配設された防水シート3と重なり合うことがなく、床材1の厚みが均一となる。
【0067】
このように、図10に示した床材1は、コア材2と第2のコア材14との積層構造を有する点において図7に示した床材1と構成が異なっているが、図10に示した床材1も図7に示した床材1と同様な効果を実現する。そして、コア材2および第2のコア材14の厚みを適当に調節することによって、床材1の全体厚みを12mmにすることができ、現状の一般住宅用の床材とほぼ同じ厚みとなり、施工面での支障は生じない。
【0068】
なお、本発明の床材では、第2のコア材14については、その上面全面に防水シート3が少なくとも配設されていればよく、下面に配設した防水シート3は省略可能である。また、図10に示した床材1においても、図8、図9に示した樹脂12の含浸や充填および防水シート13の配設による雄ざね11aの防水性の向上は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の床材の第1実施形態を示した分解斜視図である。
【図2】図1に示した床材の平面図である。
【図3】図1に示した床材のA−A断面図である。
【図4】本発明の床材における防水部材の一配設形態を示した平面図である。
【図5】本発明の床材の第2実施形態を示した断面図である。
【図6】本発明の床材の第3実施形態を示した断面図である。
【図7】本発明の床材の第4実施形態を示した断面図である。
【図8】本発明の床材の第5実施形態を示した断面図である。
【図9】本発明の床材の第6実施形態を示した断面図である。
【図10】本発明の床材の第7実施形態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 床材
2 コア材
3 防水シート
4 面材
4a 第1の面材
4b 第2の面材
5 中空セル
9 さね
10 あいじゃくり
11 ほんざね
12 樹脂
14 第2のコア材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に開放する筒状の中空セルの複数が密集して形成され、矩形の平面形状を有するコア材の上下面のうち少なくとも上面側に、コア材の平面形状と略同一な平面形状を有する面材が、コア材の外側に突出するように位置をずらして配設され、コア材と面材との位置ずれした部分にさねが形成された床材であって、コア材の上面または上下両面において少なくともさねが形成される部分に防水性を有する防水部材が配設されていることを特徴とする床材。
【請求項2】
面材が、コア材の上面側にコア材から位置ずれして配設され、コア材とによりさねとしてあいじゃくりを形成していることを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項3】
面材が、コア材の上下両面側にコア材から位置ずれして配設され、コア材上面側の第1の面材およびコア材下面側の第2の面材は、同一投影面上に配置され、コア材とによりほんざねを形成していることを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項4】
コア材において、少なくともさねが形成され、面材の外側に突出する部分が防水加工されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の床材。
【請求項5】
防水加工は、コア材への樹脂含浸またはコア材を形成する中空セル内への樹脂充填のいずれか一方または両方であることを特徴とする請求項4に記載の床材。
【請求項6】
第2の面材とコア材との間にコア材と同一構成を有する第2のコア材が介設され、第2のコア材の外周縁は第2の面材の外周縁と一致して配置され、第2のコア材の少なくとも上面全面に前記防水部材が配設されていることを特徴とする請求項3ないし5いずれか一項に記載の床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−127368(P2009−127368A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306054(P2007−306054)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】