説明

底面及び胴体部が菱形形状のガゼット袋及びこの製法並びにこの製法に用いられるガゼット部成形装置

【技術課題】
底面及び胴体部が菱形形状のガゼット袋を得ること。
【解決手段】
原反フィルム1を合掌貼り4して円筒状に形成し、この円筒状に形成した原反フィルム1を折り込み成形装置5により四辺が同一長さからなる平行四辺形に形成すると共に斜辺において一方の側面Dには正面Aのエッジから1/3のところ、他方の側面Bには背面Cのエッジから1/3のところにガゼット部12を形成し、内角110°で底シール9を行い、この底シール9の外はカッター10によりカットを行い、除去する。この結果、袋内に内容物を充填すると、底が菱形に展開し、併せて胴体部も菱形形状を呈し、正面が約2倍に拡大した斬新な形態の袋となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガゼット袋内に内容物を充填した際に、底面が偏平な菱形形状に展開すると共に胴体部も前記菱形形状の底面から立ち上って同じく菱形形状を呈することにより、袋の正面と一方の側面を合わせた面が袋の正面となるように形成してデザイン的に最も重要な正面を約2倍に拡大できるガゼット袋とこの製法並びにこの製法に用いられるガゼット部成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガゼット袋は、袋の胴体部の両サイドにV字状にガゼット部を形成し、この胴体部を横一文字状にヒートシールすることにより底面が四角形に開放されるもの(特開2001−080649号)と、前記のように横一文字にヒートシールすると共に四隅に斜45°のヒートシールを行うことにより開放したときに四隅に隙間を無くして粉体等が隅に入り込まないように形成したもの(特開平10−278138号)及び前記45°のヒートシールの外側をカットして底に三角形状のヒダが残らないように形成したものに大別できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記3種のガゼット袋の底は四角形を呈していて、この形態は自立性のためには最良であるが、袋の正面は四角形の一面のみである。
【0004】
一方、内容物、例えばひな祭り用のあられ等の場合には、袋自体も菱形形状を呈していると、いかにもひな祭り用としての外観となり、デザイン的に斬新性が出るばかりでなく、菱形形状とすることにより正面と側面を合わせた面が袋の正面となり、ブランドを含めたデザインの自由度が拡大する。
【0005】
本発明は、このように外観的に菱形形状となるガゼット袋とその製法及びこの製法において用いられるガゼット部成形装置を提供するのが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
a. 内面にヒートシール性を有する一層以上で構成された原反フィルムをロール状に捲きとる工程、
b. 前記ロールから連続的に原反フィルムを繰り出して供給する工程、
c. 前記原反フィルムの長手方向の両端を引き寄せて貼り合わせを行うことにより、円筒状の胴体部を形成する工程、
d. 前記胴体部を四辺が同一の長さの平行四辺形に形成する工程、
e.前記平行四辺形に形成された胴体部の両側面において、一方の側面には、正面側のエッジからその側面の中央に位置しない位置にガゼット部を形成すると共に他方の側面には、背面側のエッジからの距離が前記正面側からの距離と同一距離となる位置にガゼット部を形成する工程、
f. 前記ガゼット部を形成した胴体部を一定の間隔で横一文字に、又は胴体部の正面及び背面の中央においてV字状に底シールを行う工程、
g.前記底シールの外側に沿って胴体部をカットする工程により菱形形状のガゼット袋を製造することを特徴とするものである。
【0007】
この発明によると、底面を菱形形状に形成したガゼット袋を一連の連続工程により能率よく製造することができる。
【0008】
次に、請求項2に記載の発明は、前記工程により製造された底面及び胴体部が菱形形状に展開することを特徴とするものである。
【0009】
この発明によると、袋の正面側は正面と側面を合わせた広い面(正面の約2倍)とすることにより、ブランドを含めたデザインの自由度が拡大する。
【0010】
次に、請求項3に記載の発明は、ガゼット部の成形装置として、同一幅の上プレートと下プレート間に間隔を空け、かつ上下又は左右にズラして固定すると共に上プレートと下プレートの先端側を互いに接近させてなる底面及び胴体部が菱形形状に展開することを特徴とするものである。
【0011】
この発明によると、底面菱形形状のガゼット袋の成形において、その底面を奇麗な菱形に成形できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、内容物を充填した際に、底面及び胴体部が偏平な菱形形状に展開した従来にはない斬新なガゼット袋を提供できる。
【0013】
また、底面が菱形形状となることにより、その袋の胴体部も菱形形状を呈するため、袋の正面側は正面と側面を合わせた広い面積となることから、この広い面積を利用してブランドを含めたデザインを施し、商品価値を高めることができる包装形態を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)本発明に係るガゼット袋の製造工程の流れを示す説明図。(B)菱形の寸法形状の説明図。
【図2】胴体部の説明図。
【図3】ガゼット袋の説明図。
【図4】底部に110°の内角を有するV字状の底シールを行った状態の説明図。
【図5】底シールに沿ってカットした状態の説明図。
【図6】胴体部を開放することにより底面が菱形形状に展開した説明図。
【図7】袋内に内容物を充填し、口をリボン紐で結紮した状態の説明図。
【図8】ガゼット部成形装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(A)に基づいて本発明に係るガゼット袋が完成するまでの工程を説明する。
【0016】
ステップ1は、内面2にヒートシール性を有する一層以上で構成されたロールから原反フィルム1を繰り出す工程、
ステップ2は、原反フィルム1の長手方向の両端を引き寄せてシールバー3により合掌貼り又は封筒貼り、テープ挿入等の方法で円筒状の胴体部を形成する工程、
ステップ3は、胴体部を四辺が同一長さの平行四辺形となるようにガゼット部成形装置5により成形し、かつこの平行四辺形の斜辺(側面)において、一方は正面のエッジから1/3の位置(P点)を、他方は背面のエッジから1/3の位置(P点)を折り込みローラー6によりV字状に折り込んでガゼット部12を形成する工程、
ステップ4は、ガゼット部12を形成した胴体部7を一定の間隔で正面A及び背面Cの中央に内角が110°のV字状底シールバー10により底シール9を行う工程、
ステップ5は、底シール9の外側に沿って胴体部7をカットする工程、
ステップ6は、底面が菱形形状に展開するように形成されたガゼット袋を完成させる工程である。
【0017】
図2〜図7は、上記したステップS1〜S6におけるガゼット袋の成形形態を示すもので、この図2〜図7を用いて各工程時の形態を詳しく説明する。
【0018】
図2は、ステップ1において、ロールから繰り出された内面2にヒートシール性を有する一層以上で構成された原反フィルム1がステップ2でその両端が引き寄せられ、シールバー3により合掌貼り4されて円筒状に形成されたのち、図8に示すガゼット部成形装置5により四辺が同一長さの平行四辺形に形成された胴体部7の説明図であって、この胴体部7の左右側面BとDには、正面Aのエッジから左側面Dにおいては辺の1/3のところ(P点)に、右側面Bにおいては背面Cのエッジから1/3のところ(P点)に折り込みローラー6により図3に示すようにガゼット部12が形成される。
【0019】
但し、このガゼット部12は、左右側面B、Dの中央を外れた位置に形成する限り、その折り込み位置は限定されない。
【0020】
次に、上記ガゼット部12が形成された胴体部7は偏平に折り畳まれたのち、ステップ4において底シールバー8により図4に示すように正面A及び背面Cの中央に内角110°からなるV字状の底シール10a、10b、10c、10dが行われる。
【0021】
但し、この底シールの角度は、内角が極端に小さく、又は大きくならない限り自由である。
【0022】
次に、ステップ5において、図5に示すように底シール10a、10b、10c、10dの外側がカッター10によりカットされてステップ6で示した形態のガゼット袋11となる。
【0023】
図6は、以上の工程を経て製造されたガゼット袋11内に内容物を充填したことにより底面及び胴体部が菱形形状に展開した状態を示し、図7はリボン紐13で口側を結紮した状態を示すものである。
【実施例1】
【0024】
(1)材質構成
フタムラ化学株式会社製 二軸延伸ポリプロピレンフィルム30μ(タイプFOR−AQ)に東洋インキ株式会社製グラビアインキ(タイプ:ファインスター)を用いてグラビア印刷を行い、東洋モートン製接着剤(TM569)を使用して フタムラ化学株式会社製未延伸ポリプロピレンフィルム30μ(タイプFHK2)とをドライラミネート法により2枚のフィルムを貼り合わせて成る内面2がヒートシール性を有する原反フィルム1を使用する。
【0025】
(2)形成する底面菱形形状のガゼット袋11のサイズ
・フィルムスリット4の巾:316mm
・袋サイズ:74mm×74mm×250mm(長さ)
・合掌貼りシール巾:10mm
・c1及びd1の長さ:24mm(図2参照)
・c2及びd2の長さ:50mm(図2参照)
・V字型底シール9の内角:110度
・ひし形対角線の長さ 長い横方向対角線の長さl:122mm(図1(B)参照)
短い縦方向対角線の長さl:70mm(図1(B)参照)
【実施例2】
【0026】
本実施例2は、上記したステップ3において、円筒状に形成された原反フィルム1内であって、この円筒状のものを四辺が同一長さの平行四辺形に形成し、この平行四辺形の対向する斜辺(側面)のところに折込ローラー6によりガゼット部12を形成するために利用されるガゼット部成形装置(請求項3)を示すもので、この装置は、図8に示すように、上下(前後)に同一幅(74mm)の上プレート5aと下プレート5bを配置すると共に上下のプレート5a、5bの間隔を70mmに設定し、かつ上下のプレート5a、5bを24mm横にズラした形状になすと共に先端5c、5d側において上下の間隔を接近させた構成からなり、合掌貼りされた円筒状の原反フィルム1は、この装置5により平行四辺形に成形され、この対向する斜辺にガゼット部13が形成される。
【0027】
図8において、5eは取付金具、5fはプレート支柱である。
【符号の説明】
【0028】
1 原反フィルム
2 内面(ヒートシール面)
3 合掌貼り用ヒートシールバー
4 合掌貼り
5 ガゼット部成形装置
6 折り込みローラー
7 四角形
8 底シールバー
9 底シール
10 カッター
11 ガゼット袋
12 ガゼット部
13 リボン紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 内面にヒートシール性を有する一層以上で構成された原反フィルムをロール状に捲きとる工程、
b. 前記ロールから連続的に原反フィルムを繰り出して供給する工程、
c. 前記原反フィルムの長手方向の両端を引き寄せて貼り合わせを行うことにより、円筒状の胴体部を形成する工程、
d. 前記胴体部を四辺が同一の長さの平行四辺形に形成する工程、
e.前記平行四辺形に形成された胴体部の両側面において、一方の側面には、正面側のエッジからその側面の中央に位置しない位置にガゼット部を形成すると共に他方の側面には、背面側のエッジからの距離が前記正面側からの距離と同一距離となる位置にガゼット部を形成する工程、
f. 前記ガゼット部を形成した胴体部を一定の間隔で横一文字に、又は胴体部の正面及び背面の中央においてV字状に底シールを行う工程、
g.前記底シールの外側に沿って胴体部をカットする工程、
h.からなる袋内に内容物を充填したときに底面及び胴体部が菱形形状に展開するガゼット袋の製法。
【請求項2】
前記工程により製造された底面及び胴体部が菱形形状に展開するガゼット袋。
【請求項3】
同一幅の上プレートと下プレート間に間隔を空け、かつ上下又は左右にズラして固定すると共に上プレートと下プレートの先端側を互いに接近させてなる底面及び胴体部が菱形形状に展開するガゼット袋を製造するためのガゼット部成形装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−6394(P2013−6394A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142159(P2011−142159)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000237787)富士特殊紙業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】