説明

店舗等における駐車場システム

【課題】 安価で、しかも、利用者の利便性を損なわないような、電気自動車等用の充電インフラを提供する
【解決手段】 店舗等に隣接して、駐車エリアと; 料金受領手段と、料金受領手段から受信した信号に基づき、「料金を受領した」旨を記録する記録媒体を出力する媒体出力手段と、料金受領手段から受信した信号に基づき、「充電を開始する」旨の信号を充電装置に送信する信号送信手段と、情報書き込み装置によって記録媒体に書き込まれた情報を読み取る媒体読み取り手段と、媒体読み取り手段が読み取った情報に基づき、利用者が支払った料金の一部又は全部を返却する料金返却手段とを有する制御装置と; 接続端子と、制御装置の信号送信手段から受信した信号に基づいて電気自動車等に充電する充電手段とを有する充電装置と;記録媒体に、店舗等を利用したことに対応する情報を書き込む情報書き込み装置と; を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗、飲食店、宿泊施設、又は、その他の商品・役務提供施設における駐車場システムに関し、特に、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの電動機を備えた自動車に充電する充電装置を備えた駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石油、天然ガスや石炭などの化石燃料の枯渇を防止するため、あるいは、それら化石燃料を燃焼させる際に発生し、地球温暖化を引き起こすと言われている炭酸ガスの発生を抑制するため、電気自動車やプラグインハイブリッド車など、駆動手段として電動機を用いる自動車(以下、電気自動車等)の実用化が進められている。
【0003】
一方、電気自動車等を普及させるためには、ガソリン車やディーゼル車に対するガソリンスタンドに類するような充電インフラを整備させる必要がある。
これに対して、いわゆる急速充電器を備えた専用の充電スタンドが検討されている(特許文献1など)。しかし、
(1) 急速充電器自体のコストが高い
(2) 仮に急速充電器を用いたとしても、フル充電に十数〜数十分かかるため、ガソリンス タンドにおける給油よりも利便性が劣る
という問題がある。
【特許文献1】特開平07−115732
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価で、しかも、利用者の利便性を損なわないような、電気自動車等用の充電インフラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る駐車場システムは、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、量販店を含む店舗、レストラン、ファーストフードショップを含む飲食店、ホテル、旅館を含む宿泊施設、又は、その他の商品・役務提供施設(以下、店舗等と略記する)における駐車場システムであって、店舗等に付属し、店舗等の利用者(以下、利用者が略記する)の自動車を駐車する駐車エリアと;前記駐車エリアに隣接し、利用者が支払う料金を受領するとともに、「料金を受領した」旨の信号を後記媒体出力手段と後記信号送信手段に送信する料金受領手段と、該料金受領手段から受信した信号に基づき、「料金を受領した」旨を記録する記録媒体を出力する媒体出力手段と、前記料金受領手段から受信した信号に基づき、「充電を開始する」旨の信号を後記充電装置に送信する信号送信手段と、後記利用情報書き込み装置によって前記記録媒体に書き込まれた情報を読み取る媒体読み取り手段と、該媒体読み取り手段が読み取った情報に基づき、利用者が支払った料金の一部又は全部を返却する料金返却手段と、を有する制御装置と;前記駐車エリアに隣接し、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの電動機を備えた自動車(以下、電気自動車等と略記する)の充電用端子と接続可能な接続端子と、電気自動車等の充電用端子と前記接続端子が接続された状態で、前記制御装置の信号送信手段から受信した信号に基づいて電気自動車等に充電する充電手段と、を有する充電装置と;店舗等の内部に設置され、前記記録媒体に、該店舗等を利用したことに対応する情報を書き込む利用情報書き込み装置と;を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の駐車場システムにおいては、利用者が店舗等を利用している間に電気自動車等に充電することができるため、専用の充電スタンドで充電する場合のように、充電時間中、無為に過ごさなければならないという問題はない。また、利用者が店舗等を利用する時間は、1時間程度以上が通常であるため、充電装置としては急速充電器を使用することなく、一般のコンセントで対応することができる。また、店舗等で商品を購入したり役務を利用したりした場合だけ充電費用を無料にする又は軽減し、それ以外の場合には、充電費用を徴収することができるため、店舗等のオーナーにとってもメリットがあり、結果として、充電インフラの普及につながる効果が得られる。
【0007】
(実施形態)
図1は、本発明に係る駐車場システムを説明するための構成図であり、特に、店舗等がコンビニエンスストアである場合について説明している。
本実施形態の駐車場システムは、ファミリーレストラン1における駐車場エリア2、駐車場エリア2に隣接して設けられた制御装置4、同じく駐車場エリア2に隣接して設けられた充電装置5、ファミリーレストラン1の内部にあるレジ台11の上面に設けられた利用情報書き込み装置6、及び、制御装置4と充電装置5とを接続する配線から構成される。
【0008】
一方、図2は、本発明に係る駐車場システムを構成する制御装置4を説明するための外観図である。
制御装置4は、その前面に、利用者が電気自動車3を駐車した駐車エリアの場所(本実施形態においては(1)〜(3))を指定する駐車エリア指定ボタン41、利用者が先払いすべき充電料金を表示する料金表示器42、各種ガイダンス音声を出力するスピーカ43、利用者が貨幣を挿入する貨幣挿入口44、利用者が紙幣を挿入する紙幣挿入口45、電気自動車3への充電開始を指示する充電開始ボタン46、貨幣挿入口44から挿入した貨幣及び/又は紙幣挿入口45から挿入した紙幣の返却を指示する取り消しボタン47、利用者が挿入した貨幣及び/又は紙幣と充電料金との差額、又は、取り消しボタン47によって指示された返却額が返却される釣銭口48、充電開始後に利用券が発券されるとともに、利用券を挿入する利用券発券兼挿入口49が設けられている。
【0009】
さて、ファミリーレストラン1の利用者は、電気自動車3を駐車エリア2に駐車した後、電気自動車3に付帯している充電ケーブル31を充電装置5のAC200Vの一般コンセントに接続する。なお、ファミリーレストラン1のオーナーが、利用者に対して短時間で大電力量の充電を行うサービスを提供しようとする場合には、充電装置5に急速充電器を使用してもよい。
【0010】
その後、利用者は、制御装置4の駐車エリア指定ボタン41によって、自身の電気自動車3を駐車している駐車エリア(本実施形態では(1))を指定する。そうすると、料金表示器42には定額の先払い金額(本実施形態では100円)が表示されるとともに、スピーカ43から先払い金額の支払うを促すガイダンスが音声出力されるため、利用者は、貨幣挿入口43及び/又は紙幣挿入口44から表示(指示)された金額以上の金額を挿入する。そして、充電開始ボタン46を押すと、制御装置4から充電装置5に「充電を開始する」旨の信号が接続配線(図1では破線で表示)を経由して送信される。その結果、充電装置5から電気自動車3への充電が充電ケーブル31を経由して開始されるとともに、利用券発券兼挿入口49から利用券が発見される。また、貨幣挿入口43及び/又は紙幣挿入口44から挿入された金額が定額の先払い金額よりも大きい場合には、その差額が釣銭口48が返却される。
【0011】
なお、充電ケーブル31を充電装置5のコンセントに接続していない状態や、駐車エリア指定ボタン41によって電気自動車3を駐車してある駐車エリアとは異なる駐車エリアを選択した状態において充電開始ボタン46を押しても上の[0010]に記載した一連の動作は起こらず、スピーカ43から「充電ケーブルが接続されていないか、駐車エリアが正しく指定されていない」旨の警告メッセージが音声出力される。
【0012】
一方、利用券には、当該ファミリーレストラン1の駐車場において、「先払い金額支払って充電中である」旨が券面に印刷されているとともに、データが磁気的に記録される磁気ストライプを有する。
【0013】
利用者は該利用券を持参して、ファミリーレストラン1に入店し、食事を楽しんだ後、食事の精算時に定員に該利用券を提出する。店員は、該利用券をレジ台11の上に設けられた利用情報書き込み装置6に挿入する。利用情報書き込み装置6では、該利用券の磁気ストライプに、「利用者がファミリーレストラン1を利用した」旨の情報を書き込む。
【0014】
利用者は精算後、該利用券を持参して出店し、該利用券を制御装置4の利用券発券兼挿入口49に挿入する。制御装置4では、該利用券が挿入されたことを検知して、制御装置4から充電装置5に「充電を停止する」旨の信号が送信されて、充電装置5から電気自動車3への充電を停止する。それとともに、該利用券の磁気ストライプに記録された情報を読み取って、釣銭口48から、先払いされた金額を返却する。
その後、利用者は、充電ケーブル31を充電装置5のコンセントから取り外した上で、駐車エリア2から出庫する。
【0015】
なお、本実施形態においては、先払い金額を低く(100円)設定し、ファミリーレストラン1の利用金額によらず全額返却することにしているが、先払い金額を比較的高め(例えば500円)に設定する一方で、利用金額に応じて返却額を変える(例えば、利用金額1000円未満‥‥100円返却、利用金額1000円以上2000円未満‥‥200円返却、利用金額2000円以上3000円未満‥‥300円返却、利用金額3000円以上4000円未満‥‥400円返却、利用金額4000円以上‥‥500円返却など)。
また、本実施形態では、利用券を制御装置4の利用券発券兼挿入口49に挿入するまで充電を継続する(ただし、電気自動車3側がフル充電になれば電気自動車3側で充電を停止する)こととしているが、あらかじめ上限充電時間を設定し(例えば1時間)、その時間に達すると、制御装置4から充電装置5に「充電を停止する」旨の信号が送信されて、充電装置5から電気自動車3への充電を停止することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、量販店を含む店舗を営む小売業、レストラン、ファーストフードショップを含む飲食店を営む飲食業、ホテル、旅館を含む宿泊施設を営む宿泊業などの産業において利用することができる。また、駐車場を管理する各種制御装置を設計・製造する産業や、電気自動車等に充電する充電装置を製造する産業においても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る駐車場システムを説明するための構成図である。
【図2】本発明に係る駐車場システムを構成する制御装置4を説明するための外観図である。
【符号の説明】
【0018】
1‥‥‥ファミリーレストラン
11‥‥‥レジ台
2‥‥‥駐車エリア
3‥‥‥電気自動車
31‥‥‥充電ケーブル
4‥‥‥制御装置
41‥‥‥駐車エリア指定ボタン
42‥‥‥料金表示器
43‥‥‥スピーカ
44‥‥‥貨幣挿入口
45‥‥‥紙幣挿入口
46‥‥‥充電開始ボタン
47‥‥‥取り消しボタン
48‥‥‥釣銭口
49‥‥‥利用券発券兼挿入口
5‥‥‥充電装置
6‥‥‥利用情報書き込み装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、量販店を含む店舗、レストラン、ファーストフードショップを含む飲食店、ホテル、旅館を含む宿泊施設、又は、その他の商品・役務提供施設(以下、店舗等と略記する)における駐車場システムであって、
店舗等に付属し、店舗等の利用者(以下、利用者が略記する)の自動車を駐車する駐車エリアと;
前記駐車エリアに隣接し、利用者が支払う料金を受領するとともに、「料金を受領した」旨の信号を後記媒体出力手段と後記信号送信手段に送信する料金受領手段と、該料金受領手段から受信した信号に基づき、「料金を受領した」旨を記録する記録媒体を出力する媒体出力手段と、前記料金受領手段から受信した信号に基づき、「充電を開始する」旨の信号を後記充電装置に送信する信号送信手段と、後記利用情報書き込み装置によって前記記録媒体に書き込まれた情報を読み取る媒体読み取り手段と、該媒体読み取り手段が読み取った情報に基づき、利用者が支払った料金の一部又は全部を返却する料金返却手段と、を有する制御装置と;
前記駐車エリアに隣接し、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの電動機を備えた自動車(以下、電気自動車等と略記する)の充電用端子と接続可能な接続端子と、電気自動車等の充電用端子と前記接続端子が接続された状態で、前記制御装置の信号送信手段から受信した信号に基づいて電気自動車等に充電する充電手段と、を有する充電装置と;
店舗等の内部に設置され、前記記録媒体に、該店舗等を利用したことに対応する情報を書き込む利用情報書き込み装置と;
を備える駐車場システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−78285(P2011−78285A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230059(P2009−230059)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(301006530)
【Fターム(参考)】