説明

座席調節機構用の保護被覆

車両座席(1)は、調節機構(3)によって枢動され及び/又は回転され得るように座部(2)に配置される背もたれを有する。前記調節機構(3)は、被覆(5)によって覆われ、前記被覆は、2つの部分に設けられる。第1の部分(6)は、比較的硬質の樹脂材料から製造され、第2の部分(7)は、比較的軟質の樹脂材料から製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、調節機構によって枢動可能に及び/又は回転可能に座部に配置される背もたれを有する車両座席に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の車両座席は、先行技術からよく知られており、座部及び背もたれを有している。背もたれは、調節機構によって枢動可能に及び/又は回転可能に車両座席に設けられる。この調節機構は、傷害の危険要素となる場合が多い。
【発明の概要】
【0003】
従って、先行技術の欠点を持たない車両座席を利用可能にすることが本願発明の目的である。
【0004】
この目的は、調節機構によって枢動可能に及び/又は回転可能に座部に配置される背もたれを有する車両座席によって達成される。この調節機構は、被覆によって覆われ、被覆は、2つの部分に設けられ、第1の部分は、比較的硬質の樹脂材料から製造され、第2の部分は、比較的軟質の樹脂材料から製造される。
【0005】
本願発明は、調節機構によって枢動可能に及び/又は回転可能に座部に配置される背もたれを有する車両座席に関する。こうした車両座席は、1人以上の人物を収容してもよく、異なる座席列に設けられてもよい。本願発明の車両座席は、好ましくは、第3の座席列に設けられる。従って、それは、特に好ましくは、最初の2つの座席列において利用可能な座席よりも多くの人物を自動車に収容する必要がある場合にのみ必要とされる緊急座席として知られるものである。
【0006】
本願発明による車両座席において、背もたれは、例えば、快適性の調節のために、特には、基本的には座部に対して垂直な使用位置から座部に対して平行な格納位置へと背もたれを持ってくるために、座部に対して枢動可能及び/又は回転可能である。このため、調節機構は、座部と背もたれとの間に設けられる。
【0007】
本願発明によれば、この調節機構には樹脂性の被覆が設けられる。この被覆は、特に、座席乗員の背中が接触する背もたれの支持面、及び/又は座席乗員の下部が接触する座部の支持面に対して平行に配置される領域に設けられる。好ましくは、湾曲した被覆が設けられる。
【0008】
本願発明によれば、被覆は、異なる樹脂材料から構成される2つの部分を有し、一方の部分は比較的硬質の樹脂材料から製造され、他方の部分は比較的軟質の樹脂材料から製造される。
【0009】
比較的硬質の樹脂材料は、寸法的に安定しており、比較的大きな力が用いられることによってのみ変形され得る。比較的硬質の樹脂材料は、20° Cで比較的低い弾性を有し、即ち、変形性は比較的低い。比較的高い力が用いられると、比較的硬質の樹脂材料は、非常に迅速に塑性的に変形する。比較的硬質の樹脂材料は、例えば、熱可塑性である。
【0010】
同様に、比較的軟質の樹脂材料も、寸法的に安定しているが、非常に広範囲にわたって弾性的に変形可能であり、即ち、変形力が存在しなくなるとすぐにその原型に戻る。特に、比較的軟質の樹脂材料は、比較的硬質の樹脂材料よりも弾性的である。しかしながら、それは通常の動作中における座席乗員への傷害が確実に回避されるほどに硬質でなければならない。比較的軟質の樹脂材料は、例えば、ゴム又はゴム状の材料である。軟質材料の別の例は、発泡状の樹脂材料である。
【0011】
好ましくは、両方の部分は、比較的小さい材料厚を有する。
【0012】
被覆は、好ましくは、大部分が硬質の樹脂材料から構成される。好ましくは、比較的硬質の樹脂材料から製造される部分は、好ましくは、比較的軟質の樹脂から作られる部分が配置される凹所を有する。
【0013】
こうした2つの部分は、非ポジティブ、ポジティブ及び/又は材料結合方式で互いに接続されてもよい。
【0014】
好ましくは、溝穴、好ましくは、T字状の溝穴が、比較的軟質の樹脂から製造される部分に設けられる。
【0015】
好ましくは、比較的軟質の樹脂から製造される部分は、少なくとも1つの、好ましくは、2つのタブを有する。次に、このタブは、例えば、背もたれが調節されているときに可逆的に変形され得る。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つのリブ、特に、1つの強化リブが、比較的軟質の樹脂から製造される部分に設けられる。
【0017】
好ましくは、比較的軟質の樹脂から製造される部分は、前記部分にプレストレスされて設けられる。本願発明のこの好ましい実施形態では、比較的軟質の樹脂から製造される部分は、比較的硬質の樹脂から製造される他方の部分に摩擦的に接続され得る。
【0018】
好ましくは、調節機構は、背もたれが調節されているときに、比較的硬質の樹脂から製造される被覆のその部分から出る固定ピンを有する。この場合、固定ピンは、好ましくは、比較的軟質の部分のタブを可逆的に変形させる。
【0019】
本願発明は、図1乃至4によって以下に説明される。上記説明は、単に例示目的で提供されており、本願発明の一般概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願発明による車両座席を示す。
【図2】被覆の第1の実施形態を示す。
【図3】被覆の第2の実施形態を示す。
【図4】被覆の更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、座部2及び背もたれ3を有する本願発明による車両座席を示す。背もたれ3は、特に、例示された使用位置から背もたれが座部に対して本質的に並行である格納位置へと調節機構によって持ってこられ得る。この調節機構4は、人が調節機構で傷害を受けることを防ぐために、被覆5が設けられる。この場合、調節機構は背もたれを調節する前、間及び/又は後に前後に動かす必要がある固定ピンを有するので、被覆は、必要に応じて、被覆5からピンが出てき得る凹所、開口を有する。
【0022】
図2は、被覆5の第1の実施形態を示す。被覆5は、基本的には、比較的に硬質の樹脂材料から製造される部分6から構成される。より軟質の樹脂材料、特に、ゴム上の樹脂材料から作られる部分7が、開口の領域に配置され、好ましくは、材料結合方式で部分6の樹脂材料に接続される。この材料結合的な接続は、接着によって、及び/又は両方の樹脂材料が製造工程で使用されて硬化中に互いに接続されることで達成される。好ましくは、部分7は、溝穴8、特に、T字状の溝穴を有している。それによって、ピン(図示せず)が被覆から出て貫通することを補助する2つのタブ9が生ずる。この場合、タブは弾性的に曲げられる。
【0023】
図3は、基本的には、図2による被覆、この場合、樹脂部分7を強化するリブ11を有する樹脂部分7を示す。この場合、樹脂部分7と樹脂部分6との接続は、好ましくは、摩擦的に行われ、特に、部分7が部分6に対してプレストレスを与えられる。プレストレスは、部分7に更なる剛性を与えるリブ11によって補助される。
【0024】
図4は、被覆の更なる実施形態を示す。この場合、樹脂部分7は、溶接スポットによって、即ち、材料結合方式で樹脂部分6に接続される。しかしながら、接続点10はポジティブ式に形成されてもよく、例えば、樹脂部分7は樹脂部分6の鋲10が挿入される凹所であってもよい。その他の場合は、図2及び3に関する記述への参照が行われる。
【符号の説明】
【0025】
1 車両座席
2 座部
3 背もたれ
4 調節機構
5 調節機構4の被覆
6 第1の樹脂材料、比較的硬質の樹脂、第1の樹脂部分
7 第2の樹脂材料、比較的軟質の樹脂、更なる樹脂部分
8 溝穴
9 タブ
10 接続点、溶接スポット
11 ウェブ、リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節機構(3)によって枢動可能に及び/又は回転可能に座部(2)に配置される背もたれ(3)を有する車両座席(1)であって、
前記調節機構(3)は、被覆(5)によって覆われ、且つ
前記被覆は、2つの部分に設けられており、第1の部分(6)は、比較的硬質の樹脂材料から製造され、且つ第2の部分(7)は、比較的軟質の樹脂材料から製造されることを特徴とする、車両座席(1)。
【請求項2】
前記部分(6、7)は、非ポジティブ、ポジティブ及び/又は材料結合方式で互いに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の車両座席(1)。
【請求項3】
溝穴(8)、好ましくは、T字状の溝穴(8)が前記部分(7)に設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両座席(1)。
【請求項4】
前記部分(7)は、少なくとも1つの、好ましくは、2つのタブ(9)を有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両座席(1)。
【請求項5】
少なくとも1つのリブ(11)が、前記部分(7)に設けられることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両座席(1)。
【請求項6】
前記部分(7)は、前記部分(6)にプレストレスされて設けられることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両座席(1)。
【請求項7】
前記調節機構は、前記背もたれが調節されるときに前記被覆の前記部分(6)から出る固定ピンを有することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両座席(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518758(P2013−518758A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551543(P2012−551543)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000440
【国際公開番号】WO2011/107192
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】