座椅子
【課題】継続的に違和感のない安定した座り心地が得られると共に、着座を継続しても腰椎の負担を軽減した座り心地が得られる.
【解決手段】人が着座する座部A及び座部Aと接続されて傾動自在な背凭れ部Bとを有する座椅子において、背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口部Eと、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨が当たり、また、背凭れ部Bに胸椎の上部を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎との間の間隙が生じる。その間隙に背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に取付けられた補助クッション部Cの飛び出しによって、当該間隔をなくすようにしたものである。背凭れ部Bの面と腰椎との間の間隙を補助クッション部Cでなくすことにより、背凭れ部Bを傾動して着座している人体の腰に対して、腰椎の位置が自然の状態に保持したまま、使用することができる。
【解決手段】人が着座する座部A及び座部Aと接続されて傾動自在な背凭れ部Bとを有する座椅子において、背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口部Eと、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨が当たり、また、背凭れ部Bに胸椎の上部を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎との間の間隙が生じる。その間隙に背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に取付けられた補助クッション部Cの飛び出しによって、当該間隔をなくすようにしたものである。背凭れ部Bの面と腰椎との間の間隙を補助クッション部Cでなくすことにより、背凭れ部Bを傾動して着座している人体の腰に対して、腰椎の位置が自然の状態に保持したまま、使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座椅子の使用時における腰部への負担を軽減すると共に、着座時における快適性及び利便性を向上させた座椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から和室等で使用される座椅子においては、一般に座部と背凭れとで構成されており、通常、背凭れが角度調節金具により座部と起伏自在に連結されている。かかる座椅子を使用する場合、使用目的に応じて背凭れは最も身体に快適な状態に角度調節される。例えば、読書やテレビ鑑賞等においては背凭れを起立状態とし、また仮眠や休息をとる場合には、背凭れを倒して腰部に負担をかけない状態に角度調節される。
【0003】
特許文献1では、背凭れが座部に対し起伏自在に連結された座椅子において、着座時の人体の臀部及び腰部の当接面に移動自在に配設される補助具を設け、しかも、前記補助具が座部と背凭れの曲折部に一端が係止された連結材と、該連結材の他端部に設置された緩衝材とからなるものである。
【0004】
即ち、特許文献1の座椅子は、背凭れが座部に対し起伏自在に連結された座椅子において、着座時の人体の臀部及び腰部の当接面に移動自在に配設される補助具を設けたものである。座部に補助具を配設可能とすることにより、座椅子に着座していても臀部が安定するため、長時間快適かつ楽に着座することができる。また、背凭れの任意の箇所に補助具を移動することにより、着座しながら背筋を伸ばすことができ、心地よい刺激を得ることが可能となる。更に、背凭れを水平状態に倒伏させ、腰部の下に補助具を配設して仰向けに横臥した場合には、腰部及び背中の関節、筋肉を伸張させるストレッチ運動を行うことができる。
【0005】
また、本発明の座椅子の前記補助具が、座部と背凭れの曲折部に一端が係止された連結材と、該連結材の他端部に設置された緩衝材とからなることが好ましい。連結材を介して座椅子の曲折部と緩衝材とを連結可能にすることにより、座椅子と一体化し、使用の容易性を図ることが可能となる。更に、本発明の座椅子は、前記連結材が、略座椅子幅にわたり延在する平布状を呈していることが好ましい。連結材を略座椅子幅にわたり延在する平布状とすることにより、座部や背凭れへの移行を簡易に行うことができ、そして、緩衝材を任意の箇所に移動しても座椅子使用時において緩衝材がずれることがなく、安定性に優れるという効果を奏する。更にまた、本発明の座椅子は、前記緩衝材が肉厚の矩形状を呈していることが好ましい。緩衝材を肉厚の矩形状とすることにより、着座時の臀部または腰部の安定性がよくなり、使用感も良好となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−291566
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1は、背凭れが座部に対し起伏自在に連結された座椅子において、着座時の人体の臀部及び腰部の当接面に移動自在に配設される補助具を設け、しかも、前記補助具が座部と背凭れの曲折部に一端が係止された連結材と、該連結材の他端部に設置された緩衝材とからなるものである。
しかし、特許文献1においては、人が座椅子に着座したとき、背凭れに臀部が当たり、着座位置が決まる。そして、状態を後ろに傾けて背中、即ち、胸椎の位置を定める。このとき、補助具は単なるクッション材として機能しているにすぎない。
特許文献1では、例えば、着座の際には、補助具の上に着座し、また、凭れる場合には、臀部と背凭れとの間に補助具が介在する。したがって、着座の際、臀部の下に補助具を敷いた場合、凭れかせの際の臀部の後ろに補助具を挟んだ場合には、何れも人体の基準となる安定位置を不安定にするものであるから、見掛け上は安定したクッション性のよい座椅子のイメージを持つものの、当該座椅子を使用してみるとクッション性による不安定さにより落ち着きが悪いことが分かる。
【0008】
そこで、本発明は、継続的に違和感のない安定した座り心地が得られると共に、着座を継続しても腰椎の負担を軽減した座り心地が得られる座椅子の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にかかる座椅子は、人が着座する座部及び前記座部と接続されて傾動自在な背凭れ部とを有する座椅子において、前記背凭れ部の下部の座部側に形成した開口部と、前記背凭れ部の面に人体の尾骨及び胸椎の上部を凭れ掛けた状態下で、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙を、前記背凭れ部の前記開口部の上側を軸として回動自在として、当該間隔をなくすように回動自在な前記開口部に取付けられた補助クッション部とを具備するものである。
ここで、人が着座する座部とは、座椅子の座面となり、その背凭れ部が垂直の時、全体で体重を支える部分を構成するものである。
また、前記座部と接続されて傾動自在な背凭れ部とは、人体の上半身を凭れ掛けさせる部分で、その受けた力は、前記背凭れ部から前記座部に伝えられる。
そして、上記背凭れの下部の座部側に形成した開口部とは、前記背凭れ部の前記座部側の一辺を開放したUの字状としてもよいし、背凭れ部の4辺を残したまま、ロ字状に刳り貫き形成してもよい。
更に、上記背凭れ部の面に臀部の尾骨及び胸椎の上部を凭れ掛けた状態下とは、前記背凭れ部の面に尾骨及び胸椎を凭れ掛けたときであればよく、継続的に、その状態が維持されるか否かはここで問題とするものではない。前記背凭れ部の面と人体の臀部の尾骨及び上部の一部の胸椎との位置関係を特定するものである。
また、上記補助クッション部は、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙を、前記背凭れ部の前記開口部の上側を軸として回動自在としたから、前記背凭れ部の面と前記腰椎との間の当該間隔をなくすように回動自在な前記補助クッション部が取付けられたものである。したがって、使用していないときには、前記補助クッション部の全体が前記開口部に収容されてもよいし、一部が前記背凭れ部から突出してもよいし、逆に、前記背凭れ部の背面側に突出していてもよい。
【0010】
請求項2の発明にかかる座椅子の前記背凭れ部の最上部側には、頭部を凭れ掛ける頭部受け部を設けたものである。
ここでは、前記背凭れ部の最上部側に設けた頭部を凭れ掛ける頭部受け部は、クッション材でもよいし、傾動式の前記背凭れ部からの突出距離を変化させるものであってもよい。或いは頭部受け部が傾動しない固定されたものであってもよい。
【0011】
請求項3の発明にかかる座椅子の前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は傾動自在としたものである。
ここでは、前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は、傾動式の前記背凭れ部からの突出距離を変化させるものであるから、上半身の傾動状態によって頭部受け部の傾動角度を調節できる。このとき、前記頭部受け部の傾動角度と前記補助クッション部の傾動角度とをリンクさせてもよい。
【0012】
請求項4の発明にかかる座椅子の前記補助クッション部は、空気の流れを良くする構造としたものである。
ここで、空気の流れを良くするとは、開口部と補助クッション部の大きさが開口部が大きく(広く)、補助クッション部との間に間隙が形成されるものであるから、前記補助クッション部自体が湿気を閉じ込めない構造とするものであればよい。勿論、前記補助クッション部自体に通気性を持たせてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の座椅子は、人が着座する座部と接続されて傾動自在な背凭れ部を有し、前記背凭れ部の下部に形成された開口部の上側を軸に回動自在とした補助クッション部によって、前記背凭れ部の面に臀部の尾骨及び胸椎を凭れ掛けた状態下で、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙をなくすようにその間を前記補助クッション部で補完するものである。
したがって、着座者の腰椎の負担を前記補助クッション部で軽減し、前記背凭れ部の面の角度が変化しても、補助クッション部の回動によって常に腰椎の必要な支えになるから、腰椎の負担が少なくなり、長時間の着座であっても腰に対する負担が軽減される。特に、補助クッション部は上側を支点として回動するものであり、特に、背骨は腰椎から胸椎に至る曲線は、下部ほど背凭れ部との間隔が広くなるから、前記補助クッション部の回動によって、その背骨の曲線の面に沿って合致した支えとすることができる。
また、このとき、前記背凭れ部の開口部から腰椎側に補助クッション部が移動するから、人体の背中側、特に、腰椎側に空気の通路が形成され、前記背凭れ部と背中との接触面側が湿気で蒸れることがなくなる。
【0014】
請求項2の座椅子の記背凭れ部の最上部側には、頭部を凭れ掛ける頭部受け部を設けたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、上半身のいかなる体形においても腰椎及び頚椎の形状に従った、即ち、背骨の形状に従った支えができる。
【0015】
請求項3の座椅子の前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は、傾動自在としたものであるから、請求項2に記載の効果に加えて、座椅子の使用者の好みにあった頭部位置とすることができる。
【0016】
請求項4の座椅子の前記補助クッション部は、空気の流れを良くする構造としたものであるから、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の効果に加えて、前記背凭れ部の開口部から腰椎側に補助クッション部が移動するから、人体の背中側、特に、腰椎側に空気の通路が形成され、前記背凭れ部と背中との接触面側が蒸れることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の座椅子の内部全体のフレーム構造を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の座椅子の全体の外観構造を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の座椅子の背凭れ部の構造を示す正面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造を示す図3の切断線X−Xによる断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造を示す図3の切断線Y−Yによる断面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造及び人体の背骨との関係を示す図3の切断線X−Xによる断面相当の断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造及び人体の背骨との関係を示す図3の切断線Y−Yによる断面相当の断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の座椅子を直線状態に延ばしたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1の座椅子を約15度程度折り曲げたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1の座椅子を約90度程度折り曲げたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1の座椅子を約90度を超えて折り曲げて回動自在としたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態1の座椅子の補助クッション部のラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態1の座椅子の頭部受け部のラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態1の変形例の座椅子の内部全体のフレーム構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0019】
特に、図1において、金属パイプ製の座フレーム10は、略Uの字状(略コの字状の角を丸く処理したもので、1本のフレームを曲げて処理したもの)の主座フレーム11とその間を保護する補助座フレーム12から構成されている。また、金属パイプ製の背フレーム30も、2本の立上りフレーム31と1本の水平フレーム32から略コの字状(角を端部として使用できる形態)に形成された主背フレーム33が構成されている。勿論、本発明を実施する場合には、補助座フレーム12、水平フレーム32は省略することも、位置を変えることもできるし、材料を変更することもできる。なお、本発明を実施する場合には、略Uの字状とは、略コの字状の角を丸く処理したもので、1本のフレームを曲げて処理したものであり、略コの字状の角を端部として使用できる形態とは相違するとの前提で説明する。
【0020】
そして、座フレーム10の略Uの字状の主座フレーム11の開口端と背フレーム30の略コの字状の主背フレーム33の立上りフレーム31の下端の開口端には、各開口端にラチェット金具20が配設されている。ラチェット金具20の構造は基本的には、後述するラチェット金具40、ラチェット金具50と同一であるが、念のため、後にそれらの相違点のみ説明する。なお、本発明を実施する場合には、ラチェット金具40、ラチェット金具50がラチェット金具20と同一構造とする必要性はない。2個のラチェット金具20は、主座フレーム11の開口端と主背フレーム33の立上りフレーム31の開口端に挿入し、そこにスポット溶接、圧着でラチェット金具20と主座フレーム11の開口端または主背フレーム33の下端の開口端とが固着されている。
【0021】
背フレーム30の水平フレーム32には、その中央に2個のラチェット金具40が配設されている。その2個のラチェット金具40には、金属パイプ製の略Uの字状の補助クッションフレーム41の開口端部が接続されている。また、背フレーム30の主背フレーム33の立上りフレーム31の端部には、2個のラチェット金具50が配設されている。その2個のラチェット金具50には、金属パイプ製の略Uの字状の頭部受けフレーム51の開口端部が接続されている。
【0022】
座フレーム10は、図4乃至図7に示すように、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップシート等の緩衝用として成型等のウレタンフォーム、他の発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、ゴム製容器に空気を注入したエアクッションタイプの緩衝材18としてもよい。何れにせよ、緩衝材18としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、人の着座時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。しかし、これは本発明を実施する場合に特に限定されるものではない。また、軟質の緩衝材18内部には、ウレタンフォームチップ等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材18の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料等が好ましい。また、緩衝材18として低反発材料、高反発材料を使用してもよい。
なお、座フレーム10は、必要な緩衝材18及び強靭な布地等の被覆材15と共に座部Aを形成している。
【0023】
また、背フレーム30は座部Aと同様に、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップシート等の緩衝用として成型等のウレタンフォーム、発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、ゴム製容器に空気を注入したエアクッションタイプの緩衝材38としてもよい。何れにせよ、緩衝材38としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、背凭れ時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。軟質の緩衝材38内部には、ウレタンフォーム等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材38の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料が好ましい。また、緩衝材38として低反発材料、高反発材料を使用する場合もある。
なお、背フレーム30は、必要な緩衝材38及び強靭な布地等の被覆材35と共に背凭れ部Bを形成している。
【0024】
そして、補助クッションフレーム41も同様に、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップ等の緩衝材として成型等の発泡ウレタン、発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、空気を注入したエアクッションタイプとしてもよい。何れにせよ、緩衝材48としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、背凭れ時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。軟質の緩衝材48内部には、ウレタンフォーム等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材48の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料が好ましい。また、緩衝材48として低反発材料、高反発材料を使用する場合もある。しかし、人体の背側の通気性を良くするためには、発泡樹脂の発泡率が高いものか、立体網した網状のものの使用が好ましい。勿論、発泡樹脂に貫通孔を形成したものでもよい。
なお、補助クッションフレーム41は必要な緩衝材48及び強靭な布地等の被覆材45と共に補助クッション部Cを形成している。前記補助クッション部Cと開口部Eとの関係は、背凭れ部Bを正面に見るとき、前記補助クッション部Cが開口部Eの中に収容され、前記補助クッション部Cが開口部Eよりも小さく形成されている。
【0025】
この開口部Eは、背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口で、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1及び胸椎M4の上部(第2胸椎から第7胸椎)を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を、背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸として回動自在とする所定のクッション材の飛び出しによって、当該間隙をなくすように回動自在に開口部Eに取付けられた補助クッション部Cの収容部として機能するものである。背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を無くす機能から、補助クッション部Cの下端が仙骨M2の上、好ましくは第2腰椎から第4腰椎に位置するように設定される。したがって、補助クッション部Cは、腰椎M3を中心に胸椎M4を持ち上げ、かつ、仙骨M2等との骨の間隔を保持することができる。
【0026】
更に、頭部受けフレーム51も同様に、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップ等の緩衝用として成型等のウレタンフォーム、発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、ゴム製容器に空気を注入したエアクッションタイプの緩衝材58でもよい。何れにせよ、緩衝材58としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、背凭れ時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。軟質の緩衝材58内部には、ウレタンフォーム等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材58の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料が好ましい。また、緩衝材58として低反発材料、高反発材料を使用する場合もある。
なお、頭部受けフレーム51は、必要な緩衝材58及び強靭な布地等の被覆材55と共に頭部受け部Dを形成している。
【0027】
頭部受け部Dの横幅は、背凭れ部Bの横幅と同一でもよいし、図14に示すように、1/4〜2/3の幅とすることもできる。また、直接、背凭れ部Bにクッション材を接合したものであってもよい。因みに、背凭れ部Bの横幅の1/4〜2/3の幅としたものでは、頭部受け部Dの部分の被覆材55を背凭れ部Bの色彩よりも濃い色彩または逆に薄い色彩のものとすると、頭部受け部Dが強調され、購買者に頭部受け部Dの機能を訴えることができる。勿論、頭部受け部Dの横幅が背凭れ部Bの横幅と同一のものでも同様の効果がある。しかし、頭部受け部Dの横幅が背凭れ部Bの横幅と同一のものでは、強調しないで使用によって細かな配慮を気付かせる効果もでる。
【0028】
ラチェット金具20及びラチェット金具40、ラチェット金具50は、次のような構造になっている。まず、図8乃至図11を用いて、本実施の形態のラチェット金具20について、具体的構成を説明する。なお、ラチェット機構については、特開平8−84629、特開平10−28624、特開2002−262955、特開2004−92876等で周知である。また、シリンダを使用するものも、特開2001−128777、特開2001−128778、特開2001−145533、特開2001−161480等で周知であるので、その1例のみを実施例として説明する。
図において、ラチェット金具20は、座椅子の座フレーム10と背フレーム30との間の連結部に使用されるもので、座部A側に位置する固定部材210と背凭れ部B側に位置する回動部材220と、逆方向の回転を防止する逆転防止爪230と、ラチェット機能を禁止または解禁するカム板240とを基本的構造としている。ラチェット金具40及びラチェット金具50も同様である。
【0029】
固定部材210は、座椅子における座部Aの座フレーム10の両端部に挿着、カシメまたはスポット溶接によって取付けられる取付片211と、その端部の両側に形成されたラチェット金具20の機構部分の略全体を収容する略Uの字状に折り曲げたハウジング部212を有している。ハウジング部212は、取付片211の端部に形成された相対向する一対の略卵形の側壁と、その側壁相互を接続する底面により構成されている。
背凭れ部B側の回動部材220は、背フレーム30の各端部に取付けられる取付片221と、その端部に形成された相対向する一対のラチェット222を有している。この一対のラチェット222は、本発明を実施する場合には、片側のみとすることもできる。
【0030】
回動部材220の取付片221の端部に複数のラチェット歯が所定のピッチで形成されてなるラチェット222には、カム板240の第1当接部245または第2当接部246が衝突する第1受部225または第2受部226が設けられている。ラチェット222のラチェット歯は、背凭れ部Bを何段階の変化で傾動停止させるかを決定するもので、通常、5段から10段の位置で停止できるように形成されている。
この回動部材220に形成した一対のラチェット222間にカム板240を介在させた状態で、ラチェット222及びカム板240が、固定部材210のハウジング部212内に収容され、ハウジング部212の両側壁に設けられた回動軸251に回動自在に軸支されている。
【0031】
また、ハウジング部212内に配置される逆転防止爪230は、その先端側にラチェット歯に係合する係合爪231が形成されている。係合爪231をラチェット歯に対応させた状態で、逆転防止爪230の基端側がハウジング部212に爪軸252を介し回転自在に軸支されている。そして、この逆転防止爪230が、爪軸252を支点として、図8乃至図11の反時計方向に弾性力が付与されており、係合爪231がラチェット歯に係合すると共に、また、ラチェット222のラチェット歯によって図8乃至図11時計方向に回動させられた場合には、係合爪231がラチェット歯から離脱した状態となる。
【0032】
即ち、逆転防止爪230は、爪軸252に設けられたコイルばね253の弾性力により、図8乃至図11の反時計方向であるラチェット歯に噛み合う方向に弾性力が付与されている。そして、係合爪231がラチェット歯に係合した状態においては、ラチェット222の時計方向の回転が規制され、ラチェット222が反時計方向に回転しようとした際には、ラチェット歯と係合爪231とが係合しないように離脱方向に押されて係合が解除される。なお、係合爪231の歯数は1個でも2個でもよい。
【0033】
この回動軸251を中心に回動自在のカム板240は、逆転防止爪230に対向する側の約90〜120度の外周には、回動部材220の第1受部225または第2受部226に衝突する第1当接部245と第2当接部246とを有し、係合爪231のラチェット歯への係合を許容する周縁凹部241と、係合爪231のラチェット歯への係合を規制するようにラチェット222より僅かに大きく円弧状に形成された周縁突部242が設けられている。
【0034】
この構成のラチェット金具20において、図8乃至図11に示すように、回動部材220が固定部材210に対し開いた背凭れを後方に倒した状態においては、逆転防止爪230の係合爪231が、カム板240の周縁凹部241内に配置されることにより、逆転防止爪230が係合方向に付勢され、係合爪231がラチェット歯にそれぞれ係合する。
図9の状態においては、図8の回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)との角度を狭めたものであり、背凭れ部Bを約15度程度起こした状態に相当する。このとき、時計方向に荷重が加わったとしても、係合爪231がラチェット歯に係合し、角度を開く方向への回転は係合爪231がラチェット歯に係合した状態に規制される。
【0035】
また、図10に示すように、回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し反時計方向に回転させた場合は、ラチェット歯により係合爪231が離脱方向に移動し、係合爪231が次段のラチェット歯を乗り越えた後、係合爪231がコイルばね253の弾性力によって、次段のラチェット歯に係合する。この係合状態においても、回動部材220を開く方向に荷重が加わったとしても、係合爪231がラチェット歯に係合し、反対方向の回転は規制される。
【0036】
回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し約90度回転させた図10に示す状態から、回動部材220を閉じる方向に最終係合位置まで傾動させると、係合爪231が最終係合位置のラチェット222に係合した際、回動部材220が固定部材210に対し略90度の位置に固定される。
【0037】
更に、この最終係合位置から、図11に示すように、一旦、回動部材220を固定部材210に対し閉じる方向に傾動させると、回動部材220の第2受部226がカム板240の第2当接部246に当接して、カム板240が反時計方向に僅か回動する。これにより、係合爪231の先端が、コイルばね253の付勢力に抗してカム板240の案内部243に沿って離脱方向に移動して周縁突部242に乗り上げた状態となる。こうして係合爪231のラチェット歯に対する係合が解除された状態に保持される。
【0038】
したがって、この状態では、背凭れ部Bの回動部材220を開く方向に回転することが可能となる。また、図11に示すように、背凭れ部Bの回動部材220を開く方向、即ち、背凭れ部Bを寝させる方向に回転させていくと、図8に示すように回動部材220の第1受部225がカム板240の第1当接部245に衝合して、カム板240が時計方向に僅かに回動して、第2爪片232の先端がカム板240の周縁突部242から案内部243を通って周縁凹部241の位置に配置される。これにより、係合爪231がコイルばね253の弾性力により周縁凹部241内に挿入されると同時に、対応するラチェット歯にそれぞれ係合可能となる。
【0039】
このように、ラチェット金具20は、背凭れ部Bを座部A側に傾動させると、図11の位置まで回動し、背凭れ部Bを座部A側に接触させることができる。この状態下では、カム板240が逆転防止爪230の係合爪231がラチェット222のラチェット歯と噛み合わないので、背凭れ部Bを座部A側から離反する方向に回動させることができる。
背凭れ部Bを座部A側に傾動させるとき、図8乃至図10の位置まで回動させる間では、当該背凭れ部Bの特定の傾動角度で回動を止め、背凭れ部Bの回動方向とは異なる方向に若干戻すと、係合爪231がラチェット222の最寄りのラチェット歯に係合し、回動部材220が固定部材210に対し特定の角度の停止位置となり固定される。
【0040】
したがって、図8乃至図11に示す回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し約90度回動させるまでの間では、回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し特定の角度で停止させることができる。しかし、回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し約90度を超えて回動させると、係合爪231がラチェット222の最寄りのラチェット歯に係合できなくなるから、回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)は、11に示す回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)との重なり状態または図8に示す一直線状態となる。図8に示す回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)の最大傾度から徐々に回動角度を狭くすることにより、その傾動角度で停止させることができる。このときの係合爪231がラチェット222の最寄りのラチェット歯に係合する点が回動部材220(背凭れ部B)の停止点となり、その数が背凭れを何段階の変化で停止させるかを決定するもので、通常、5段から10段の位置で停止できるように形成されている。
【0041】
図12は補助クッション部Cのラチェット金具40を示すものである。ラチェット金具20との相違点のみを説明すると、固定部材210側が何れも背フレーム30の水平フレーム32に溶接で接合されている。ラチェット機能については基本的にはラチェット金具20と相違しない。本実施の形態の補助クッション部Cのラチェット金具40は3乃至5段階に傾動可能としている。
なお、背フレーム30を構成する水平フレーム32をL字状に2分割し、その間を補強材(棒鋼、板材)で繋ぎ、L字状に2分割した水平フレーム32に固定部材210を接続してもよい。
【0042】
図13は頭部受け部Dのラチェット金具50を示すものである。ラチェット金具20との相違点のみを説明すると、固定部材210側が何れも背フレーム30を構成する略Uの字状の2本の立上りフレーム31の端部に挿着し、溶接で接合されている。ラチェット機能等については基本的には相違しない。本実施の形態の頭部受け部Dのラチェット金具50は、補助クッション部Cのラチェット金具40と同様、3乃至5段階に傾動可能としている。
なお、2本の立上りフレーム31とその上部の水平フレーム32は1本の直線フレームで背フレーム30を構成でき、その端部に頭部受け部Dのラチェット金具50を配設しているが、本発明を実施する場合には、2本の立上りフレーム31と水平フレーム32を金属製の管材とし、略Uの字状に形成することもできる。
【0043】
また、図14は本実施の形態の座椅子の変形例で、内部全体のフレーム構造を示す斜視図である。
図14の座フレーム10においては、略Uの字状の主座フレーム11の開口端間を補助座フレーム12によって座フレーム10の機械的構造を安定化させている。また、補助座フレーム12に代えて、合成樹脂テープで略Uの字状の主座フレーム11の開口端間を接続してもよい。何れにせよ、機械的強度を出すための対応である。
図1の本実施の形態の座椅子においては、金属パイプ製の2本の立上りフレーム31と1本の水平フレーム32から略Uの字状に形成された主背フレーム33で背フレーム30を構成しているが、本実施の形態では、水平フレーム32に直接ラチェット金具20の固定部材210側を直接水平フレーム32の中央部分に溶接している。
【0044】
そして、頭部受け部Dのラチェット金具50は、背フレーム30を構成している主背フレーム33は金属パイプ製の2本の立上りフレーム31と1本の水平フレーム32から略コ字状に形成しているが、本変形例では、主背フレーム33は1本の金属パイプで立上りフレーム部31aと水平フレーム部32aを曲げて略Uの字状に形成したものである。この主背フレーム33の水平フレーム部32a側に所定の間隔で一対のラチェット金具50の固定部材210側が溶接され、ラチェット金具50の回動部材220に金属パイプ製の略コ字状の頭部受けフレーム51が挿着され、溶接されている。
このように、本実施の形態の座椅子は、座部A、背凭れ部B、補助クッション部C、頭部受け部D、開口部Eの構造は、格別限定されることはない。
【0045】
このように構成された本実施の形態の座椅子は、特に、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1等の臀部が当たったとき、背凭れ部Bに胸椎M4の上部、即ち、例えば、第2胸椎から第7胸椎等を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙が生じる。この間隙に背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に取付けられた補助クッション部Cによって、当該間隙をなくすようにクッション材をそこに供給するものである。背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を補助クッション部Cでなくすことにより、背凭れ部Bを傾動して着座している人体の腰に対して、腰椎M3の位置が自然の状態に保持したまま、使用することができる。したがって、継続的に違和感のない安定した座り心地が得られると共に、着座を継続しても腰椎M3の負担を軽減した座り心地が得られる。
【0046】
また、少なくとも、人が着座する座部A及び座部Aと接続されて傾動自在な背凭れ部Bとを有する座椅子において、背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口部Eは、その背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に取付けられた補助クッション部Cの飛び出しが行われるものであるから、必然的に、開口部Eが補助クッション部Cよりも広い面積となり、人が座部Aに着座し、背凭れ部Bに上半身を凭れ掛けていても、開口部Eと補助クッション部Cとの間の間隙に空気の流れが生じ、人の腰椎M3側、即ち、背中側に湿度がこもるのが防止でき、清涼感が確保でき、座椅子をオールシーズンの使用とすることができる。
特に、補助クッション部Cを通気性を良くする構造としたものでは、顕著な効果が得られる。
【0047】
特に、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1が当たったとき、背凭れ部Bに胸椎M4の上部、即ち、第2胸椎から第7胸椎を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙が生じる。この間隙は、骨盤側の尾骨M1及び仙骨M2側が広く身体上部に行くほどその間隔が狭くなるように変化している。したがって、本実施の形態では、背凭れ部Bの開口部Eの上側を回動軸として取付けられた補助クッション部Cは、回動軸を基準として、下部の自由端に行くほど間隔を広くすることができるものであるから、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を補助クッション部Cで補完することにより、補助クッション部Cの面によって背凭れ部Bに従って傾動して着座している人体の腰椎M3の位置を自然の状態に保持したまま、使用することができ、着座を継続しても腰椎M3の負担を非常に軽減した座り心地が得られる。よって、直線で形成されているかに見える座椅子においても人体の背骨の曲線に従った対応ができ、椎間板ヘルニヤ等の椎間板に損傷がある人であっても、楽に着座することができ、かつ、その状態を継続できる。
【0048】
そして、本実施の形態では、頭部受け部Dがラチェット金具50で傾動自在になっているから、頚椎M5の位置に応じた頭部の設定が可能となる。特に、補助クッション部Cと頭部受け部Dとの機能を併せ持つものでは、身体がリラックスした状態で着座できることから、着座時間が長くなる傾向にある。しかし、このとき、開口部Eと補助クッション部Cとの間の間隙に空気の流れが生じ、人の腰椎M3側、即ち、背中側に湿度がこもるのが防止でき、清涼感が確保できるから、その相乗効果によって、本発明の座椅子のリラックスゼーションは従来の座椅子に比較できない程度に顕著の効果がある。
【0049】
上記実施の形態においては、略Uの字状の主座フレーム11とその間を保護する補助座フレーム12から構成され座フレーム10、主背フレーム31とその間を保護する補助背フレーム32から構成されている背フレーム30は、図1の実施の形態の構造に限定されるものではなく、本発明を実施する場合には、他の公知の構成を採用することができる。
また、ラチェット金具20、ラチェット金具40、ラチェット金具50の構造は、本発明を実施する場合には、上記実施の形態のラチェット金具20に限定されるものではなく公知のラチェット機能のものの使用が可能であり、また、油圧シリンダ、エアシリンダ等の機構を使用してもよい。
【0050】
上記実施の形態における背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口部Eは、本発明を実施する場合には、背凭れ部Bの下端が解放されていてもよいし、閉じた上、即ち、座部Aの上面から5乃至10cm上に四角の開口の最下部を形成してもよい。また、その幅を背フレーム30の幅まで広げることもできる。何れにせよ、開口部Eが補助クッション部Cよりも背凭れ部Bの面からみて、面積が広いものであればよい。少なくとも、座椅子の使用状態で、開口部Eが補助クッション部Cよりも大きく、両者間に間隙が生じる程度であることが望ましい。
【0051】
上記実施の形態における背凭れ部Bの面に臀部及び胸椎M4を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を、背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に回動自在とした補助クッション部Cの所定のクッション材の飛び出しによって、当該間隙をなくすようにしたものである。この背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1及び胸椎M4を凭れ掛けた状態下で形成される背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙とは、背骨の彎曲状態で自然に形成されるものであり、そこに身体の筋肉がリラックスすると、背骨に負担がかかりヘルニヤ等の要因を作るが、補助クッション部Cによって腰椎M3が受けられると背骨自体に与えられるストレスが減少し、人体の負担が軽減される。
【0052】
上記実施の形態では、補助クッション部Cを補助クッションフレーム41は及び緩衝材48及び被覆材45によって構成している。したがって、人は使用する前に、補助クッション部Cの回動角度を設定する必要がある。しかし、この補助クッション部Cを油圧シリンダまたはエアシリンダで制御し、人が座部Aに着座し、背凭れ部Bの面に臀部及び胸椎M4を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙に補助クッション部Cを挿入するように回動させると、人が着座した状態で、その圧力の程度が決定できるので嗜好に合致した調整が可能となる。特に、背凭れ部Bの側部に油圧シリンダまたはエアシリンダの制御バルブの制御器を配置しておけば、人体の自然の着座状態で補助クッション部Cのセッティングが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上記実施の形態で説明した座椅子の技術は、椅子全般に使用できることであり、座椅子に限定した使用が前提とするものではない。勿論、車両用のシートにも使用できるものである。
【符号の説明】
【0054】
A 座部
B 背凭れ部
C 補助クッション部
D 頭部受け部
E 開口部
M1 尾骨
M2 仙骨
M3 腰椎
M4 胸椎
M5 頸椎
10 座フレーム
20、40、50 ラチェット金具
30 背フレーム
32 水平フレーム
18、38、48、58 緩衝材
41 補助クッションフレーム
51 頭部受けフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、座椅子の使用時における腰部への負担を軽減すると共に、着座時における快適性及び利便性を向上させた座椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から和室等で使用される座椅子においては、一般に座部と背凭れとで構成されており、通常、背凭れが角度調節金具により座部と起伏自在に連結されている。かかる座椅子を使用する場合、使用目的に応じて背凭れは最も身体に快適な状態に角度調節される。例えば、読書やテレビ鑑賞等においては背凭れを起立状態とし、また仮眠や休息をとる場合には、背凭れを倒して腰部に負担をかけない状態に角度調節される。
【0003】
特許文献1では、背凭れが座部に対し起伏自在に連結された座椅子において、着座時の人体の臀部及び腰部の当接面に移動自在に配設される補助具を設け、しかも、前記補助具が座部と背凭れの曲折部に一端が係止された連結材と、該連結材の他端部に設置された緩衝材とからなるものである。
【0004】
即ち、特許文献1の座椅子は、背凭れが座部に対し起伏自在に連結された座椅子において、着座時の人体の臀部及び腰部の当接面に移動自在に配設される補助具を設けたものである。座部に補助具を配設可能とすることにより、座椅子に着座していても臀部が安定するため、長時間快適かつ楽に着座することができる。また、背凭れの任意の箇所に補助具を移動することにより、着座しながら背筋を伸ばすことができ、心地よい刺激を得ることが可能となる。更に、背凭れを水平状態に倒伏させ、腰部の下に補助具を配設して仰向けに横臥した場合には、腰部及び背中の関節、筋肉を伸張させるストレッチ運動を行うことができる。
【0005】
また、本発明の座椅子の前記補助具が、座部と背凭れの曲折部に一端が係止された連結材と、該連結材の他端部に設置された緩衝材とからなることが好ましい。連結材を介して座椅子の曲折部と緩衝材とを連結可能にすることにより、座椅子と一体化し、使用の容易性を図ることが可能となる。更に、本発明の座椅子は、前記連結材が、略座椅子幅にわたり延在する平布状を呈していることが好ましい。連結材を略座椅子幅にわたり延在する平布状とすることにより、座部や背凭れへの移行を簡易に行うことができ、そして、緩衝材を任意の箇所に移動しても座椅子使用時において緩衝材がずれることがなく、安定性に優れるという効果を奏する。更にまた、本発明の座椅子は、前記緩衝材が肉厚の矩形状を呈していることが好ましい。緩衝材を肉厚の矩形状とすることにより、着座時の臀部または腰部の安定性がよくなり、使用感も良好となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−291566
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1は、背凭れが座部に対し起伏自在に連結された座椅子において、着座時の人体の臀部及び腰部の当接面に移動自在に配設される補助具を設け、しかも、前記補助具が座部と背凭れの曲折部に一端が係止された連結材と、該連結材の他端部に設置された緩衝材とからなるものである。
しかし、特許文献1においては、人が座椅子に着座したとき、背凭れに臀部が当たり、着座位置が決まる。そして、状態を後ろに傾けて背中、即ち、胸椎の位置を定める。このとき、補助具は単なるクッション材として機能しているにすぎない。
特許文献1では、例えば、着座の際には、補助具の上に着座し、また、凭れる場合には、臀部と背凭れとの間に補助具が介在する。したがって、着座の際、臀部の下に補助具を敷いた場合、凭れかせの際の臀部の後ろに補助具を挟んだ場合には、何れも人体の基準となる安定位置を不安定にするものであるから、見掛け上は安定したクッション性のよい座椅子のイメージを持つものの、当該座椅子を使用してみるとクッション性による不安定さにより落ち着きが悪いことが分かる。
【0008】
そこで、本発明は、継続的に違和感のない安定した座り心地が得られると共に、着座を継続しても腰椎の負担を軽減した座り心地が得られる座椅子の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にかかる座椅子は、人が着座する座部及び前記座部と接続されて傾動自在な背凭れ部とを有する座椅子において、前記背凭れ部の下部の座部側に形成した開口部と、前記背凭れ部の面に人体の尾骨及び胸椎の上部を凭れ掛けた状態下で、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙を、前記背凭れ部の前記開口部の上側を軸として回動自在として、当該間隔をなくすように回動自在な前記開口部に取付けられた補助クッション部とを具備するものである。
ここで、人が着座する座部とは、座椅子の座面となり、その背凭れ部が垂直の時、全体で体重を支える部分を構成するものである。
また、前記座部と接続されて傾動自在な背凭れ部とは、人体の上半身を凭れ掛けさせる部分で、その受けた力は、前記背凭れ部から前記座部に伝えられる。
そして、上記背凭れの下部の座部側に形成した開口部とは、前記背凭れ部の前記座部側の一辺を開放したUの字状としてもよいし、背凭れ部の4辺を残したまま、ロ字状に刳り貫き形成してもよい。
更に、上記背凭れ部の面に臀部の尾骨及び胸椎の上部を凭れ掛けた状態下とは、前記背凭れ部の面に尾骨及び胸椎を凭れ掛けたときであればよく、継続的に、その状態が維持されるか否かはここで問題とするものではない。前記背凭れ部の面と人体の臀部の尾骨及び上部の一部の胸椎との位置関係を特定するものである。
また、上記補助クッション部は、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙を、前記背凭れ部の前記開口部の上側を軸として回動自在としたから、前記背凭れ部の面と前記腰椎との間の当該間隔をなくすように回動自在な前記補助クッション部が取付けられたものである。したがって、使用していないときには、前記補助クッション部の全体が前記開口部に収容されてもよいし、一部が前記背凭れ部から突出してもよいし、逆に、前記背凭れ部の背面側に突出していてもよい。
【0010】
請求項2の発明にかかる座椅子の前記背凭れ部の最上部側には、頭部を凭れ掛ける頭部受け部を設けたものである。
ここでは、前記背凭れ部の最上部側に設けた頭部を凭れ掛ける頭部受け部は、クッション材でもよいし、傾動式の前記背凭れ部からの突出距離を変化させるものであってもよい。或いは頭部受け部が傾動しない固定されたものであってもよい。
【0011】
請求項3の発明にかかる座椅子の前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は傾動自在としたものである。
ここでは、前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は、傾動式の前記背凭れ部からの突出距離を変化させるものであるから、上半身の傾動状態によって頭部受け部の傾動角度を調節できる。このとき、前記頭部受け部の傾動角度と前記補助クッション部の傾動角度とをリンクさせてもよい。
【0012】
請求項4の発明にかかる座椅子の前記補助クッション部は、空気の流れを良くする構造としたものである。
ここで、空気の流れを良くするとは、開口部と補助クッション部の大きさが開口部が大きく(広く)、補助クッション部との間に間隙が形成されるものであるから、前記補助クッション部自体が湿気を閉じ込めない構造とするものであればよい。勿論、前記補助クッション部自体に通気性を持たせてもよい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の座椅子は、人が着座する座部と接続されて傾動自在な背凭れ部を有し、前記背凭れ部の下部に形成された開口部の上側を軸に回動自在とした補助クッション部によって、前記背凭れ部の面に臀部の尾骨及び胸椎を凭れ掛けた状態下で、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙をなくすようにその間を前記補助クッション部で補完するものである。
したがって、着座者の腰椎の負担を前記補助クッション部で軽減し、前記背凭れ部の面の角度が変化しても、補助クッション部の回動によって常に腰椎の必要な支えになるから、腰椎の負担が少なくなり、長時間の着座であっても腰に対する負担が軽減される。特に、補助クッション部は上側を支点として回動するものであり、特に、背骨は腰椎から胸椎に至る曲線は、下部ほど背凭れ部との間隔が広くなるから、前記補助クッション部の回動によって、その背骨の曲線の面に沿って合致した支えとすることができる。
また、このとき、前記背凭れ部の開口部から腰椎側に補助クッション部が移動するから、人体の背中側、特に、腰椎側に空気の通路が形成され、前記背凭れ部と背中との接触面側が湿気で蒸れることがなくなる。
【0014】
請求項2の座椅子の記背凭れ部の最上部側には、頭部を凭れ掛ける頭部受け部を設けたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、上半身のいかなる体形においても腰椎及び頚椎の形状に従った、即ち、背骨の形状に従った支えができる。
【0015】
請求項3の座椅子の前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は、傾動自在としたものであるから、請求項2に記載の効果に加えて、座椅子の使用者の好みにあった頭部位置とすることができる。
【0016】
請求項4の座椅子の前記補助クッション部は、空気の流れを良くする構造としたものであるから、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の効果に加えて、前記背凭れ部の開口部から腰椎側に補助クッション部が移動するから、人体の背中側、特に、腰椎側に空気の通路が形成され、前記背凭れ部と背中との接触面側が蒸れることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の座椅子の内部全体のフレーム構造を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の座椅子の全体の外観構造を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の座椅子の背凭れ部の構造を示す正面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造を示す図3の切断線X−Xによる断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造を示す図3の切断線Y−Yによる断面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造及び人体の背骨との関係を示す図3の切断線X−Xによる断面相当の断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の座椅子の内部構造及び人体の背骨との関係を示す図3の切断線Y−Yによる断面相当の断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の座椅子を直線状態に延ばしたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1の座椅子を約15度程度折り曲げたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1の座椅子を約90度程度折り曲げたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1の座椅子を約90度を超えて折り曲げて回動自在としたラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態1の座椅子の補助クッション部のラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態1の座椅子の頭部受け部のラチェット金具の状態を示す断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態1の変形例の座椅子の内部全体のフレーム構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0019】
特に、図1において、金属パイプ製の座フレーム10は、略Uの字状(略コの字状の角を丸く処理したもので、1本のフレームを曲げて処理したもの)の主座フレーム11とその間を保護する補助座フレーム12から構成されている。また、金属パイプ製の背フレーム30も、2本の立上りフレーム31と1本の水平フレーム32から略コの字状(角を端部として使用できる形態)に形成された主背フレーム33が構成されている。勿論、本発明を実施する場合には、補助座フレーム12、水平フレーム32は省略することも、位置を変えることもできるし、材料を変更することもできる。なお、本発明を実施する場合には、略Uの字状とは、略コの字状の角を丸く処理したもので、1本のフレームを曲げて処理したものであり、略コの字状の角を端部として使用できる形態とは相違するとの前提で説明する。
【0020】
そして、座フレーム10の略Uの字状の主座フレーム11の開口端と背フレーム30の略コの字状の主背フレーム33の立上りフレーム31の下端の開口端には、各開口端にラチェット金具20が配設されている。ラチェット金具20の構造は基本的には、後述するラチェット金具40、ラチェット金具50と同一であるが、念のため、後にそれらの相違点のみ説明する。なお、本発明を実施する場合には、ラチェット金具40、ラチェット金具50がラチェット金具20と同一構造とする必要性はない。2個のラチェット金具20は、主座フレーム11の開口端と主背フレーム33の立上りフレーム31の開口端に挿入し、そこにスポット溶接、圧着でラチェット金具20と主座フレーム11の開口端または主背フレーム33の下端の開口端とが固着されている。
【0021】
背フレーム30の水平フレーム32には、その中央に2個のラチェット金具40が配設されている。その2個のラチェット金具40には、金属パイプ製の略Uの字状の補助クッションフレーム41の開口端部が接続されている。また、背フレーム30の主背フレーム33の立上りフレーム31の端部には、2個のラチェット金具50が配設されている。その2個のラチェット金具50には、金属パイプ製の略Uの字状の頭部受けフレーム51の開口端部が接続されている。
【0022】
座フレーム10は、図4乃至図7に示すように、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップシート等の緩衝用として成型等のウレタンフォーム、他の発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、ゴム製容器に空気を注入したエアクッションタイプの緩衝材18としてもよい。何れにせよ、緩衝材18としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、人の着座時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。しかし、これは本発明を実施する場合に特に限定されるものではない。また、軟質の緩衝材18内部には、ウレタンフォームチップ等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材18の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料等が好ましい。また、緩衝材18として低反発材料、高反発材料を使用してもよい。
なお、座フレーム10は、必要な緩衝材18及び強靭な布地等の被覆材15と共に座部Aを形成している。
【0023】
また、背フレーム30は座部Aと同様に、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップシート等の緩衝用として成型等のウレタンフォーム、発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、ゴム製容器に空気を注入したエアクッションタイプの緩衝材38としてもよい。何れにせよ、緩衝材38としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、背凭れ時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。軟質の緩衝材38内部には、ウレタンフォーム等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材38の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料が好ましい。また、緩衝材38として低反発材料、高反発材料を使用する場合もある。
なお、背フレーム30は、必要な緩衝材38及び強靭な布地等の被覆材35と共に背凭れ部Bを形成している。
【0024】
そして、補助クッションフレーム41も同様に、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップ等の緩衝材として成型等の発泡ウレタン、発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、空気を注入したエアクッションタイプとしてもよい。何れにせよ、緩衝材48としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、背凭れ時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。軟質の緩衝材48内部には、ウレタンフォーム等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材48の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料が好ましい。また、緩衝材48として低反発材料、高反発材料を使用する場合もある。しかし、人体の背側の通気性を良くするためには、発泡樹脂の発泡率が高いものか、立体網した網状のものの使用が好ましい。勿論、発泡樹脂に貫通孔を形成したものでもよい。
なお、補助クッションフレーム41は必要な緩衝材48及び強靭な布地等の被覆材45と共に補助クッション部Cを形成している。前記補助クッション部Cと開口部Eとの関係は、背凭れ部Bを正面に見るとき、前記補助クッション部Cが開口部Eの中に収容され、前記補助クッション部Cが開口部Eよりも小さく形成されている。
【0025】
この開口部Eは、背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口で、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1及び胸椎M4の上部(第2胸椎から第7胸椎)を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を、背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸として回動自在とする所定のクッション材の飛び出しによって、当該間隙をなくすように回動自在に開口部Eに取付けられた補助クッション部Cの収容部として機能するものである。背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を無くす機能から、補助クッション部Cの下端が仙骨M2の上、好ましくは第2腰椎から第4腰椎に位置するように設定される。したがって、補助クッション部Cは、腰椎M3を中心に胸椎M4を持ち上げ、かつ、仙骨M2等との骨の間隔を保持することができる。
【0026】
更に、頭部受けフレーム51も同様に、公知のウレタンフォームによる充填成型、ウレタンフォームシート、ウレタンフォームチップ等の緩衝用として成型等のウレタンフォーム、発泡性樹脂、または、発泡性樹脂等の代わりに、ゴム製容器に空気を注入したエアクッションタイプの緩衝材58でもよい。何れにせよ、緩衝材58としては、所定の肉厚の略矩形状を呈しており、背凭れ時の安定性等の面から人体に近い位置を軟質発泡樹脂で、人体に遠い位置を硬質発泡樹脂で形成するのが好ましい。軟質の緩衝材58内部には、ウレタンフォーム等からなる緩衝性を有する芯材が収容されていてもよい。この場合には、緩衝材58の外面素材は、緩衝性を有する素材として、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴム材料が好ましい。また、緩衝材58として低反発材料、高反発材料を使用する場合もある。
なお、頭部受けフレーム51は、必要な緩衝材58及び強靭な布地等の被覆材55と共に頭部受け部Dを形成している。
【0027】
頭部受け部Dの横幅は、背凭れ部Bの横幅と同一でもよいし、図14に示すように、1/4〜2/3の幅とすることもできる。また、直接、背凭れ部Bにクッション材を接合したものであってもよい。因みに、背凭れ部Bの横幅の1/4〜2/3の幅としたものでは、頭部受け部Dの部分の被覆材55を背凭れ部Bの色彩よりも濃い色彩または逆に薄い色彩のものとすると、頭部受け部Dが強調され、購買者に頭部受け部Dの機能を訴えることができる。勿論、頭部受け部Dの横幅が背凭れ部Bの横幅と同一のものでも同様の効果がある。しかし、頭部受け部Dの横幅が背凭れ部Bの横幅と同一のものでは、強調しないで使用によって細かな配慮を気付かせる効果もでる。
【0028】
ラチェット金具20及びラチェット金具40、ラチェット金具50は、次のような構造になっている。まず、図8乃至図11を用いて、本実施の形態のラチェット金具20について、具体的構成を説明する。なお、ラチェット機構については、特開平8−84629、特開平10−28624、特開2002−262955、特開2004−92876等で周知である。また、シリンダを使用するものも、特開2001−128777、特開2001−128778、特開2001−145533、特開2001−161480等で周知であるので、その1例のみを実施例として説明する。
図において、ラチェット金具20は、座椅子の座フレーム10と背フレーム30との間の連結部に使用されるもので、座部A側に位置する固定部材210と背凭れ部B側に位置する回動部材220と、逆方向の回転を防止する逆転防止爪230と、ラチェット機能を禁止または解禁するカム板240とを基本的構造としている。ラチェット金具40及びラチェット金具50も同様である。
【0029】
固定部材210は、座椅子における座部Aの座フレーム10の両端部に挿着、カシメまたはスポット溶接によって取付けられる取付片211と、その端部の両側に形成されたラチェット金具20の機構部分の略全体を収容する略Uの字状に折り曲げたハウジング部212を有している。ハウジング部212は、取付片211の端部に形成された相対向する一対の略卵形の側壁と、その側壁相互を接続する底面により構成されている。
背凭れ部B側の回動部材220は、背フレーム30の各端部に取付けられる取付片221と、その端部に形成された相対向する一対のラチェット222を有している。この一対のラチェット222は、本発明を実施する場合には、片側のみとすることもできる。
【0030】
回動部材220の取付片221の端部に複数のラチェット歯が所定のピッチで形成されてなるラチェット222には、カム板240の第1当接部245または第2当接部246が衝突する第1受部225または第2受部226が設けられている。ラチェット222のラチェット歯は、背凭れ部Bを何段階の変化で傾動停止させるかを決定するもので、通常、5段から10段の位置で停止できるように形成されている。
この回動部材220に形成した一対のラチェット222間にカム板240を介在させた状態で、ラチェット222及びカム板240が、固定部材210のハウジング部212内に収容され、ハウジング部212の両側壁に設けられた回動軸251に回動自在に軸支されている。
【0031】
また、ハウジング部212内に配置される逆転防止爪230は、その先端側にラチェット歯に係合する係合爪231が形成されている。係合爪231をラチェット歯に対応させた状態で、逆転防止爪230の基端側がハウジング部212に爪軸252を介し回転自在に軸支されている。そして、この逆転防止爪230が、爪軸252を支点として、図8乃至図11の反時計方向に弾性力が付与されており、係合爪231がラチェット歯に係合すると共に、また、ラチェット222のラチェット歯によって図8乃至図11時計方向に回動させられた場合には、係合爪231がラチェット歯から離脱した状態となる。
【0032】
即ち、逆転防止爪230は、爪軸252に設けられたコイルばね253の弾性力により、図8乃至図11の反時計方向であるラチェット歯に噛み合う方向に弾性力が付与されている。そして、係合爪231がラチェット歯に係合した状態においては、ラチェット222の時計方向の回転が規制され、ラチェット222が反時計方向に回転しようとした際には、ラチェット歯と係合爪231とが係合しないように離脱方向に押されて係合が解除される。なお、係合爪231の歯数は1個でも2個でもよい。
【0033】
この回動軸251を中心に回動自在のカム板240は、逆転防止爪230に対向する側の約90〜120度の外周には、回動部材220の第1受部225または第2受部226に衝突する第1当接部245と第2当接部246とを有し、係合爪231のラチェット歯への係合を許容する周縁凹部241と、係合爪231のラチェット歯への係合を規制するようにラチェット222より僅かに大きく円弧状に形成された周縁突部242が設けられている。
【0034】
この構成のラチェット金具20において、図8乃至図11に示すように、回動部材220が固定部材210に対し開いた背凭れを後方に倒した状態においては、逆転防止爪230の係合爪231が、カム板240の周縁凹部241内に配置されることにより、逆転防止爪230が係合方向に付勢され、係合爪231がラチェット歯にそれぞれ係合する。
図9の状態においては、図8の回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)との角度を狭めたものであり、背凭れ部Bを約15度程度起こした状態に相当する。このとき、時計方向に荷重が加わったとしても、係合爪231がラチェット歯に係合し、角度を開く方向への回転は係合爪231がラチェット歯に係合した状態に規制される。
【0035】
また、図10に示すように、回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し反時計方向に回転させた場合は、ラチェット歯により係合爪231が離脱方向に移動し、係合爪231が次段のラチェット歯を乗り越えた後、係合爪231がコイルばね253の弾性力によって、次段のラチェット歯に係合する。この係合状態においても、回動部材220を開く方向に荷重が加わったとしても、係合爪231がラチェット歯に係合し、反対方向の回転は規制される。
【0036】
回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し約90度回転させた図10に示す状態から、回動部材220を閉じる方向に最終係合位置まで傾動させると、係合爪231が最終係合位置のラチェット222に係合した際、回動部材220が固定部材210に対し略90度の位置に固定される。
【0037】
更に、この最終係合位置から、図11に示すように、一旦、回動部材220を固定部材210に対し閉じる方向に傾動させると、回動部材220の第2受部226がカム板240の第2当接部246に当接して、カム板240が反時計方向に僅か回動する。これにより、係合爪231の先端が、コイルばね253の付勢力に抗してカム板240の案内部243に沿って離脱方向に移動して周縁突部242に乗り上げた状態となる。こうして係合爪231のラチェット歯に対する係合が解除された状態に保持される。
【0038】
したがって、この状態では、背凭れ部Bの回動部材220を開く方向に回転することが可能となる。また、図11に示すように、背凭れ部Bの回動部材220を開く方向、即ち、背凭れ部Bを寝させる方向に回転させていくと、図8に示すように回動部材220の第1受部225がカム板240の第1当接部245に衝合して、カム板240が時計方向に僅かに回動して、第2爪片232の先端がカム板240の周縁突部242から案内部243を通って周縁凹部241の位置に配置される。これにより、係合爪231がコイルばね253の弾性力により周縁凹部241内に挿入されると同時に、対応するラチェット歯にそれぞれ係合可能となる。
【0039】
このように、ラチェット金具20は、背凭れ部Bを座部A側に傾動させると、図11の位置まで回動し、背凭れ部Bを座部A側に接触させることができる。この状態下では、カム板240が逆転防止爪230の係合爪231がラチェット222のラチェット歯と噛み合わないので、背凭れ部Bを座部A側から離反する方向に回動させることができる。
背凭れ部Bを座部A側に傾動させるとき、図8乃至図10の位置まで回動させる間では、当該背凭れ部Bの特定の傾動角度で回動を止め、背凭れ部Bの回動方向とは異なる方向に若干戻すと、係合爪231がラチェット222の最寄りのラチェット歯に係合し、回動部材220が固定部材210に対し特定の角度の停止位置となり固定される。
【0040】
したがって、図8乃至図11に示す回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し約90度回動させるまでの間では、回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し特定の角度で停止させることができる。しかし、回動部材220(背凭れ部B)を固定部材210(座部A)に対し約90度を超えて回動させると、係合爪231がラチェット222の最寄りのラチェット歯に係合できなくなるから、回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)は、11に示す回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)との重なり状態または図8に示す一直線状態となる。図8に示す回動部材220(背凭れ部B)と固定部材210(座部A)の最大傾度から徐々に回動角度を狭くすることにより、その傾動角度で停止させることができる。このときの係合爪231がラチェット222の最寄りのラチェット歯に係合する点が回動部材220(背凭れ部B)の停止点となり、その数が背凭れを何段階の変化で停止させるかを決定するもので、通常、5段から10段の位置で停止できるように形成されている。
【0041】
図12は補助クッション部Cのラチェット金具40を示すものである。ラチェット金具20との相違点のみを説明すると、固定部材210側が何れも背フレーム30の水平フレーム32に溶接で接合されている。ラチェット機能については基本的にはラチェット金具20と相違しない。本実施の形態の補助クッション部Cのラチェット金具40は3乃至5段階に傾動可能としている。
なお、背フレーム30を構成する水平フレーム32をL字状に2分割し、その間を補強材(棒鋼、板材)で繋ぎ、L字状に2分割した水平フレーム32に固定部材210を接続してもよい。
【0042】
図13は頭部受け部Dのラチェット金具50を示すものである。ラチェット金具20との相違点のみを説明すると、固定部材210側が何れも背フレーム30を構成する略Uの字状の2本の立上りフレーム31の端部に挿着し、溶接で接合されている。ラチェット機能等については基本的には相違しない。本実施の形態の頭部受け部Dのラチェット金具50は、補助クッション部Cのラチェット金具40と同様、3乃至5段階に傾動可能としている。
なお、2本の立上りフレーム31とその上部の水平フレーム32は1本の直線フレームで背フレーム30を構成でき、その端部に頭部受け部Dのラチェット金具50を配設しているが、本発明を実施する場合には、2本の立上りフレーム31と水平フレーム32を金属製の管材とし、略Uの字状に形成することもできる。
【0043】
また、図14は本実施の形態の座椅子の変形例で、内部全体のフレーム構造を示す斜視図である。
図14の座フレーム10においては、略Uの字状の主座フレーム11の開口端間を補助座フレーム12によって座フレーム10の機械的構造を安定化させている。また、補助座フレーム12に代えて、合成樹脂テープで略Uの字状の主座フレーム11の開口端間を接続してもよい。何れにせよ、機械的強度を出すための対応である。
図1の本実施の形態の座椅子においては、金属パイプ製の2本の立上りフレーム31と1本の水平フレーム32から略Uの字状に形成された主背フレーム33で背フレーム30を構成しているが、本実施の形態では、水平フレーム32に直接ラチェット金具20の固定部材210側を直接水平フレーム32の中央部分に溶接している。
【0044】
そして、頭部受け部Dのラチェット金具50は、背フレーム30を構成している主背フレーム33は金属パイプ製の2本の立上りフレーム31と1本の水平フレーム32から略コ字状に形成しているが、本変形例では、主背フレーム33は1本の金属パイプで立上りフレーム部31aと水平フレーム部32aを曲げて略Uの字状に形成したものである。この主背フレーム33の水平フレーム部32a側に所定の間隔で一対のラチェット金具50の固定部材210側が溶接され、ラチェット金具50の回動部材220に金属パイプ製の略コ字状の頭部受けフレーム51が挿着され、溶接されている。
このように、本実施の形態の座椅子は、座部A、背凭れ部B、補助クッション部C、頭部受け部D、開口部Eの構造は、格別限定されることはない。
【0045】
このように構成された本実施の形態の座椅子は、特に、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1等の臀部が当たったとき、背凭れ部Bに胸椎M4の上部、即ち、例えば、第2胸椎から第7胸椎等を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙が生じる。この間隙に背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に取付けられた補助クッション部Cによって、当該間隙をなくすようにクッション材をそこに供給するものである。背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を補助クッション部Cでなくすことにより、背凭れ部Bを傾動して着座している人体の腰に対して、腰椎M3の位置が自然の状態に保持したまま、使用することができる。したがって、継続的に違和感のない安定した座り心地が得られると共に、着座を継続しても腰椎M3の負担を軽減した座り心地が得られる。
【0046】
また、少なくとも、人が着座する座部A及び座部Aと接続されて傾動自在な背凭れ部Bとを有する座椅子において、背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口部Eは、その背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に取付けられた補助クッション部Cの飛び出しが行われるものであるから、必然的に、開口部Eが補助クッション部Cよりも広い面積となり、人が座部Aに着座し、背凭れ部Bに上半身を凭れ掛けていても、開口部Eと補助クッション部Cとの間の間隙に空気の流れが生じ、人の腰椎M3側、即ち、背中側に湿度がこもるのが防止でき、清涼感が確保でき、座椅子をオールシーズンの使用とすることができる。
特に、補助クッション部Cを通気性を良くする構造としたものでは、顕著な効果が得られる。
【0047】
特に、背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1が当たったとき、背凭れ部Bに胸椎M4の上部、即ち、第2胸椎から第7胸椎を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙が生じる。この間隙は、骨盤側の尾骨M1及び仙骨M2側が広く身体上部に行くほどその間隔が狭くなるように変化している。したがって、本実施の形態では、背凭れ部Bの開口部Eの上側を回動軸として取付けられた補助クッション部Cは、回動軸を基準として、下部の自由端に行くほど間隔を広くすることができるものであるから、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を補助クッション部Cで補完することにより、補助クッション部Cの面によって背凭れ部Bに従って傾動して着座している人体の腰椎M3の位置を自然の状態に保持したまま、使用することができ、着座を継続しても腰椎M3の負担を非常に軽減した座り心地が得られる。よって、直線で形成されているかに見える座椅子においても人体の背骨の曲線に従った対応ができ、椎間板ヘルニヤ等の椎間板に損傷がある人であっても、楽に着座することができ、かつ、その状態を継続できる。
【0048】
そして、本実施の形態では、頭部受け部Dがラチェット金具50で傾動自在になっているから、頚椎M5の位置に応じた頭部の設定が可能となる。特に、補助クッション部Cと頭部受け部Dとの機能を併せ持つものでは、身体がリラックスした状態で着座できることから、着座時間が長くなる傾向にある。しかし、このとき、開口部Eと補助クッション部Cとの間の間隙に空気の流れが生じ、人の腰椎M3側、即ち、背中側に湿度がこもるのが防止でき、清涼感が確保できるから、その相乗効果によって、本発明の座椅子のリラックスゼーションは従来の座椅子に比較できない程度に顕著の効果がある。
【0049】
上記実施の形態においては、略Uの字状の主座フレーム11とその間を保護する補助座フレーム12から構成され座フレーム10、主背フレーム31とその間を保護する補助背フレーム32から構成されている背フレーム30は、図1の実施の形態の構造に限定されるものではなく、本発明を実施する場合には、他の公知の構成を採用することができる。
また、ラチェット金具20、ラチェット金具40、ラチェット金具50の構造は、本発明を実施する場合には、上記実施の形態のラチェット金具20に限定されるものではなく公知のラチェット機能のものの使用が可能であり、また、油圧シリンダ、エアシリンダ等の機構を使用してもよい。
【0050】
上記実施の形態における背凭れ部Bの下部の座部A側に形成した開口部Eは、本発明を実施する場合には、背凭れ部Bの下端が解放されていてもよいし、閉じた上、即ち、座部Aの上面から5乃至10cm上に四角の開口の最下部を形成してもよい。また、その幅を背フレーム30の幅まで広げることもできる。何れにせよ、開口部Eが補助クッション部Cよりも背凭れ部Bの面からみて、面積が広いものであればよい。少なくとも、座椅子の使用状態で、開口部Eが補助クッション部Cよりも大きく、両者間に間隙が生じる程度であることが望ましい。
【0051】
上記実施の形態における背凭れ部Bの面に臀部及び胸椎M4を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙を、背凭れ部Bの開口部Eの上側を軸に回動自在とした補助クッション部Cの所定のクッション材の飛び出しによって、当該間隙をなくすようにしたものである。この背凭れ部Bの面に臀部の尾骨M1及び胸椎M4を凭れ掛けた状態下で形成される背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙とは、背骨の彎曲状態で自然に形成されるものであり、そこに身体の筋肉がリラックスすると、背骨に負担がかかりヘルニヤ等の要因を作るが、補助クッション部Cによって腰椎M3が受けられると背骨自体に与えられるストレスが減少し、人体の負担が軽減される。
【0052】
上記実施の形態では、補助クッション部Cを補助クッションフレーム41は及び緩衝材48及び被覆材45によって構成している。したがって、人は使用する前に、補助クッション部Cの回動角度を設定する必要がある。しかし、この補助クッション部Cを油圧シリンダまたはエアシリンダで制御し、人が座部Aに着座し、背凭れ部Bの面に臀部及び胸椎M4を凭れ掛けた状態下で、背凭れ部Bの面と腰椎M3との間の間隙に補助クッション部Cを挿入するように回動させると、人が着座した状態で、その圧力の程度が決定できるので嗜好に合致した調整が可能となる。特に、背凭れ部Bの側部に油圧シリンダまたはエアシリンダの制御バルブの制御器を配置しておけば、人体の自然の着座状態で補助クッション部Cのセッティングが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上記実施の形態で説明した座椅子の技術は、椅子全般に使用できることであり、座椅子に限定した使用が前提とするものではない。勿論、車両用のシートにも使用できるものである。
【符号の説明】
【0054】
A 座部
B 背凭れ部
C 補助クッション部
D 頭部受け部
E 開口部
M1 尾骨
M2 仙骨
M3 腰椎
M4 胸椎
M5 頸椎
10 座フレーム
20、40、50 ラチェット金具
30 背フレーム
32 水平フレーム
18、38、48、58 緩衝材
41 補助クッションフレーム
51 頭部受けフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、人が着座する座部及び前記座部と接続されて傾動自在な背凭れ部とを有する座椅子において、
前記背凭れ部の下部の前記座部側に形成した開口部と、
前記背凭れ部の前記座部側の面に人体の尾骨及び胸椎の上部を凭れ掛けた状態下で、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙を、前記背凭れ部の前記開口部の上側を軸として回動自在に取付けられ、当該間隙をなくすことを自在とした補助クッション部と
を具備することを特徴とする座椅子。
【請求項2】
前記背凭れ部の最上部側には、頭部を凭れ掛ける頭部受け部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の座椅子。
【請求項3】
前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は、傾動自在としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の座椅子。
【請求項4】
前記補助クッション部は、通気性を良くする構造としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の座椅子。
【請求項1】
少なくとも、人が着座する座部及び前記座部と接続されて傾動自在な背凭れ部とを有する座椅子において、
前記背凭れ部の下部の前記座部側に形成した開口部と、
前記背凭れ部の前記座部側の面に人体の尾骨及び胸椎の上部を凭れ掛けた状態下で、前記背凭れ部の面と腰椎との間の間隙を、前記背凭れ部の前記開口部の上側を軸として回動自在に取付けられ、当該間隙をなくすことを自在とした補助クッション部と
を具備することを特徴とする座椅子。
【請求項2】
前記背凭れ部の最上部側には、頭部を凭れ掛ける頭部受け部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の座椅子。
【請求項3】
前記背凭れ部の最上部側の頭部受け部は、傾動自在としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の座椅子。
【請求項4】
前記補助クッション部は、通気性を良くする構造としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の座椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−40079(P2012−40079A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182013(P2010−182013)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(599158111)明光ホームテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(599158111)明光ホームテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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