座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法及び座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラム
【課題】対になった2つの変数をもつ複数のデータに対して、その座標平面におけるデータ点の分布領域を確率楕円とは異なる方法で描画する。
【解決手段】いずれかのデータ点を第1代表点とする(S3)。第1代表点を基準点とし、基準点を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、選定用方向(基準点を通る任意の1方向)に対してその方向から見て選定用回転方向でなす角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を第2代表点とする(S4)。直前代表点(直前に選定された代表点)を次の基準点とし、次の基準点を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、次の基準点を通って直前基準点(直前代表点の選定で用いられた基準点)へ向かう選定用方向に対してその方向から見て選定用回転方向でなす角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を次の代表点とする処理を繰り返す(S5)。代表点を結線して分布領域表示線を描画する(S6)。
【解決手段】いずれかのデータ点を第1代表点とする(S3)。第1代表点を基準点とし、基準点を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、選定用方向(基準点を通る任意の1方向)に対してその方向から見て選定用回転方向でなす角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を第2代表点とする(S4)。直前代表点(直前に選定された代表点)を次の基準点とし、次の基準点を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、次の基準点を通って直前基準点(直前代表点の選定で用いられた基準点)へ向かう選定用方向に対してその方向から見て選定用回転方向でなす角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を次の代表点とする処理を繰り返す(S5)。代表点を結線して分布領域表示線を描画する(S6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法及びそれをコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
座標平面は、2つの変数が対になった複数のデータの関係を表すことを目的としてよく用いられている。また、2つの変数が対になった複数のデータからなるデータ群について回帰直線や回帰曲線を求めてそれらのデータの関係を数値化することもできる。座標平面におけるデータ点の分布状態の特徴を表現する方法として、例えば特許文献1〜3に開示されているものがある。
また、座標平面において、各データ点を層別する情報がある場合などは、データ点を表す印の色や形を変えて表現することで、1つの座標平面に複数の層のデータ点の分布を表現することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、座標平面は2つの変数が対になった複数のデータの相関関係を表すのに適している。
しかし、1つの座標平面に表示する層の数が多く、データ点も多い場合、データ点を表す印は重なり合い、各層における分布の特徴の認識が困難であった。
また、複数の層を表示した座標平面ではなくても、図自体が小さくなるとデータ点を表す印も小さくなり、データ点の分布状態の特徴を認識することが困難になる。
このような不具合を克服するために層ごとに確率楕円を描画する方法もあるが、確率楕円は実際の分布を精度よく表現するものではない。
【0004】
本発明の目的は、確率楕円とは異なる方法でデータ点の分布領域を描画できる座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法及び座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法は、代表点選定第1ステップ、代表点選定第2ステップ、代表点選定第3ステップ及び分布領域描画ステップを含む。
上記代表点選定第1ステップは、対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群に対して、上記データ群のデータが点として表される座標平面上で、いずれか1つのデータ点を第1代表点として選定する。
上記代表点選定第2ステップは、時計回り又は反時計回りの一方を選定用回転方向とし、上記第1代表点を最初の基準点とし、上記最初の基準点を通る任意の1方向を最初の代表点選定用方向とし、上記最初の基準点を通って各データ点へ向かう複数の最初のデータ点方向のうち、上記最初の代表点選定用方向に対して上記最初の代表点選定用方向から見て上記選定用回転方向でなす角度が最小の上記最初のデータ点方向に対応するデータ点を第2代表点として選定する。
上記代表点選定第3ステップは、上記第2代表点又はこのステップで選定された代表点であって直前に選定された代表点からなる直前代表点を次の基準点とし、上記直前代表点の選定で用いられた基準点を直前基準点とし、上記次の基準点を通って上記直前基準点へ向かう方向から上記選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を次の代表点選定用方向とし、上記次の基準点を通って上記直前代表点以外の各データ点へ向かう複数の次のデータ点方向のうち、上記次の代表点選定用方向に対して上記次の代表点選定用方向から見て上記選定用回転方向でなす角度が最小の上記次のデータ点方向に対応するデータ点を次の代表点として選定する処理を繰り返す。
上記分布領域描画ステップは、上記代表点を結線して分布領域表示線を描画する。
ここで、座標平面は、直交座標平面、斜交座標平面、極座標平面など、どのような座標平面であってもよい。
また、代表点選定第3ステップで最初に選定される代表点の直前に選定された代表点は代表点選定第2ステップで選定された第2代表点である。
【0006】
本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第1ステップでの第1代表点を選定する方法はどのような方法であってもよい。代表点選定第1ステップは、いずれか1つのデータ点を第1代表点として直接選定するようにしてもよいし、複数のステップを経て第1代表点を選定するようにしてもよい。
【0007】
代表点選定第1ステップが複数のステップを含む一例として、上記代表点選定第1ステップは、上記座標平面上の任意の1点を第1代表点選定用基準点として設定する第1代表点選定用基準点設定ステップと、時計回り又は反時計回りの一方を第1代表点選定用回転方向とし、上記第1代表点選定用基準点を通る任意の1方向を第1代表点選定用方向とし、上記第1代表点選定用基準点を通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、上記第1代表点選定用方向に対して上記第1代表点選定用方向から見て上記第1代表点選定用回転方向でなす角度が最小の上記第1代表点選定用データ点方向に対応するデータ点を上記第1代表点として選定する第1代表点選定ステップと、を含むことを挙げることができる。
この局面において、上記代表点選定第2ステップは、上記最初の基準点(第1代表点)を通って上記第1代表点選定用基準点へ向かう方向から上記第1代表点選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を上記最初の代表点選定用方向とする。
ここで、第1代表点選定ステップにおける第1代表点選定用回転方向と、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップにおける選定用回転方向は、同じ回転方向であってもよいし、互いに反対の回転方向であってもよい。
【0008】
また、上記代表点選定第1ステップが上記第1代表点選定用基準点設定ステップ及び上記第1代表点選定ステップを含む場合、上記第1代表点選定用基準点設定ステップは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内の任意の点に上記第1代表点選定用基準点を設定するようにしてもよい。
この局面において、上記代表点選定第2ステップは、上記第1代表点選定用基準点を通って上記最初の基準点へ向かう方向を上記最初の代表点選定用方向として上記第2代表点を選定し、上記代表点選定第3ステップは、上記直前基準点を通って上記次の基準点へ向かう方向を上記次の代表点選定用方向として上記次の代表点として選定する。
ここで、代表点選定第2ステップにおける最初の代表点選定用方向、すなわち第1代表点選定用基準点を通って最初の基準点へ向かう方向は、最初の基準点を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向から第1代表点選定用回転方向で180度の方向である。
また、代表点選定第3ステップにおける次の代表点選定用方向、すなわち直前基準点を通って次の基準点へ向かう方向は、次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向から選定用回転方向で180度の方向である。
本発明において、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域は、データ点間の線の線上の領域も含む。なお、本発明において、必ずしも当該領域を求めなくてもよい。例えば、第1代表点選定用基準点が、いずれかのデータ点の座標や、データ点間の線の線上の座標、3つのデータ点で囲まれた領域内の座標などに配置される場合には、当該領域を求める必要はない。
【0009】
また、上記代表点選定第1ステップが上記第1代表点選定用基準点設定ステップ及び上記第1代表点選定ステップを含む場合、上記第1代表点選定用基準点とは座標が互いに異なり、かつ、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる域内の任意の点に、上記代表点選定第3ステップでの代表点の選定処理の終了時期判定に用いられる判定用中心点を設定する判定用中心点設定ステップをさらに含むようにしてもよい。
この局面において、上記第1代表点選定ステップは、上記判定用中心点を通って上記第1代表点選定用基準点へ向かう方向を上記第1代表点選定用方向として上記第1代表点として選定し、上記代表点選定第3ステップは、上記第1代表点選定用方向を最初の判定用方向と認定し、上記判定用中心点を通って上記代表点へ向かう判定用方向が上記最初の判定用方向に対して上記選定用回転方向で360度以上回転したときに上記次の代表点の選定処理を終了する。
【0010】
また、上記代表点選定第1ステップが上記第1代表点選定用基準点設定ステップ及び上記第1代表点選定ステップを含み、上記データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、上記代表点選定第1ステップの上記第1代表点選定用基準点設定ステップは、上記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を上記第1代表点選定用基準点と設定するようにしてもよい。
この局面において、上記第1代表点選定ステップは、上記第1代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする。
【0011】
また、本発明の分布領域描画方法において、上記データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、上記代表点選定用第1ステップは、上記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を上記第1代表点と設定する例を挙げることができる。
この局面において、上記代表点選定用第2ステップは、上記最初の代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を上記最初の基準点(第1代表点)とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を上記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を上記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を上記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする。
【0012】
本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第3ステップが代表点の選定処理を終了する時期は任意である。
上記判定用中心点設定ステップを含む局面では、代表点選定第3ステップは、判定用方向が最初の判定用方向に対して選定用回転方向で360度以上回転したときに次の代表点の選定処理を終了するようにしたが、本発明において、代表点選定第3ステップが代表点の選定処理を終了する時期はこれに限定されない。
【0013】
例えば、上記代表点選定第3ステップは、同一のデータ点が上記代表点として再度選定された時に上記次の代表点の選定処理を終了するようにしてもよい。
他の例として、上記代表点選定第3ステップは、少なくとも2つのデータ点が上記代表点として再度選定された時に上記次の代表点の選定処理を終了するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の分布領域描画方法において、上記分布領域描画ステップは、選定された順番に上記代表点を結線して上記分布領域表示線を描画する例を挙げることができる。
ただし、分布領域描画ステップは、各代表点から他のすべての代表点に線を結んで分布領域表示線を描画してもよい。
【0015】
この局面において、上記分布領域描画ステップは、再度選定された上記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された上記代表点は結線しない例を挙げることができる。
ただし、分布領域描画ステップは、当該代表点に対して結線してもよい。
【0016】
また、上記分布領域描画ステップは、上記第2代表点以降の代表点が選定されるたびに、選定された上記代表点とその代表点の直前に選定された上記代表点とを結線して上記分布領域表示線を描画するようにしてもよい。
ただし、分布領域描画ステップは、代表点選定第3ステップが代表点の選定処理を終了した後に分布領域表示線を描画するようにしてもよい。また、分布領域描画ステップは、代表点が選定されるたびに、選定された代表点と、既に選定されている他の代表点のすべてとを結線してもよい。
【0017】
この局面において、上記分布領域描画ステップは、再度選定された上記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された上記代表点につながる線を消去するようにしてもよい。
ただし、代表点選定第2ステップは、当該代表点につながる線を消去しなくてもよい。
【0018】
また、本発明の分布領域描画方法において、上記代表点選定第2ステップ及び上記代表点選定第3ステップは、上記角度が最小の上記データ点方向に対応するデータ点に替えて、上記角度が最大の上記データ点方向に対応するデータ点を代表点として選定するようにしてもよい。
この場合、上記代表点選定第3ステップは、上記次の基準点を通って上記直前基準点へ向かう方向から上記選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を上記次の代表点選定用方向とする。
【0019】
本発明にかかる座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラムは、本発明の分布領域描画方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の分布領域描画方法は、上記代表点選定第1ステップ、上記代表点選定第2ステップ、上記代表点選定第3ステップ及び上記分布領域描画ステップを含むようにしたので、対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群を座標平面に表示した際にデータ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線で表すことができる。そして、その相関関係及び分布領域をひと目で判断できる。
本発明の分布領域描画方法は2つ以上の層のデータ点を重ねて1つの座標平面に表現する際に特に有効である。
【0021】
本発明の分布領域描画方法において、代表点選定用第1ステップは、第1代表点選定用基準点を設定する第1代表点選定用基準点設定ステップと、第1代表点を選定する第1代表点選定ステップとを含むようにすれば、いずれか1つのデータ点を直接選択して第1代表点を選定しなくても第1代表点を選定できる。
さらに、代表点選定第2ステップは、最初の基準点(第1代表点)を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向から第1代表点選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を最初の代表点選定用方向とするようにすれば、最初の代表点選定用方向の範囲を設定できる。
【0022】
さらに、第1代表点選定用基準点設定ステップは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内の任意の点に第1代表点選定用基準点を設定するようにし、代表点選定第2ステップは、第1代表点選定用基準点を通って最初の基準点へ向かう方向を最初の代表点選定用方向として第2代表点を選定し、代表点選定第3ステップは、直前基準点を通って次の基準点へ向かう方向を次の代表点選定用方向として次の代表点として選定するようにすれば、第1代表点選定ステップで第1代表点選定用方向がいかなる方向に設定されようとも、代表点選定第3ステップで同一データ点が代表点として再度選定される前に、データ点の分布領域の輪郭を表現する分布領域表示線を描画するのに必要なすべての代表点を選定することができる。
【0023】
また、代表点選定第1ステップが第1代表点選定用基準点設定ステップ及び第1代表点選定ステップを含む場合、判定用中心点を設定する上記判定用中心点設定ステップをさらに含み、第1代表点選定ステップは、判定用中心点を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向を第1代表点選定用方向として第1代表点として選定し、代表点選定第3ステップは、第1代表点選定用方向を最初の判定用方向と認定し、判定用中心点を通って代表点へ向かう判定用方向が最初の判定用方向に対して選定用回転方向で360度以上回転したときに次の代表点の選定処理を終了するようにすれば、代表点選定第3ステップにおける代表点の選定処理の終了時期を決定することができる。
【0024】
また、代表点選定第1ステップが第1代表点選定用基準点設定ステップ及び第1代表点選定ステップを含み、データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、第1代表点選定用基準点設定ステップは、データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を第1代表点選定用基準点と設定するようにし、第1代表点選定ステップは、第1代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とすれば、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画するのに不必要な代表点が選定されるのを防止でき、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0025】
また、本発明の分布領域描画方法において、データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、代表点選定用第1ステップは、データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を第1代表点と設定するようにし、代表点選定用第2ステップは、最初の代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とすれば、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画するのに不必要な代表点が選定されるのを防止でき、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0026】
また、本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第3ステップは、同一のデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するようにすれば、代表点選定第3ステップにおける代表点の選定処理の終了時期を決定することができる。
【0027】
ところで、代表点選定第1ステップで、データ点の分布領域の輪郭を表す分布領域表示線を描画するのに必要な代表点のうちの1つが第1代表点として選定され、かつ、代表点選定第2ステップで、代表点選定用方向が最初の基準点(第1代表点)から見てデータ点の分布領域を横切るように設定されたときには、代表点選定第3ステップで、すべてのデータ点に応じた分布領域描画線を描画するのに必要な代表点をすべて選定する前に、第1代表点を構成するデータ点が代表点として再度選定される。この場合、代表点選定第3ステップで、同一のデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するように設定されていると、データ群を構成する複数のデータ点のうち一部のデータ点のみに応じた分布領域表示線が描画される。このような分布領域表示線も、データ点の分布領域を表していると言えるが、分布領域表示線は、データ群を構成するすべてのデータ点に応じたものであることが好ましい。
【0028】
そこで、代表点選定第3ステップは、少なくとも2つのデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するようにすれば、代表点選定第3ステップは、上述のような場合に代表点選定第3ステップで第1代表点を構成するデータ点が再度代表点として選定された後も次の代表点の選定処理を継続し、データ群を構成するすべてのデータ点に応じた適切な分布領域表示線を描画するのに必要なすべての代表点を選定できる。
なお、代表点選定第3ステップは、2つのデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了すれば、適切な分布領域表示線が描画されるが、3つ以上のデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するようにしても問題はない。
【0029】
本発明の分布領域描画方法において、分布領域描画ステップは、選定された順番に代表点を結線して分布領域表示線を描画するようにすれば、線が交差しない分布領域表示線を描画することができ、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線として描画することができる。
ただし、各代表点から他のすべての代表点に線を結んで分布領域表示線を描画した場合であっても、データ点の分布領域を表現することができる。
【0030】
この局面において、分布領域描画ステップは、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点は結線しないようにすれば、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点がある場合であっても、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0031】
また、分布領域描画ステップは、第2代表点以降の代表点が選定されるたびに、選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線して分布領域表示線を描画するようにすれば、線が交差しない分布領域表示線を描画することができ、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線として描画することができる。
ただし、代表点が選定されるたびに、選定された代表点と、既に選定されている他の代表点のすべてとを結線した場合であっても、データ点の分布領域を表現することができる。
【0032】
この局面において、分布領域描画ステップは、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点につながる線を消去するようにようにすれば、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点がある場合であっても、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0033】
なお、代表点選定第3ステップは、判定用方向が最初の判定用方向に対して選定用回転方向で360度以上回転したときに次の代表点の選定処理を終了する局面において、最初に選定された代表点と最後に選定された代表点が同一データ点でない場合がある。この場合、分布領域描画ステップが、選定された順番に代表点を結線して分布領域表示線を描画するときには、最初に選定された代表点と最後に選定された代表点を結線するようにすればよい。これにより、線が交差しない閉塞した分布領域表示線を描画することができる。
【0034】
また、本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップは、角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点に替えて、角度が最大のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定するようにし、代表点選定第3ステップは、次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向から選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を次の代表点選定用方向とするようにしても、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線で表すことができる。
【0035】
本発明の座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラムは、本発明の分布領域描画方法の各ステップをコンピュータに実行させるようにしたので、コンピュータを用いて本発明の分布領域描画方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図2】同実施例で用いたデータの一部を表す図表である。
【図3】図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。
【図4】同座標平面であって、第1代表点を次の基準点として次の代表点を求める処理の流れを説明するための図である。
【図5】同座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、データ点方向、代表点、判定用方向を示した図である。
【図6】同座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
【図7】同座標平面に他の分布領域表示線を図示した図である。
【図8】代表点選定第2ステップでの代表点選定用方向の範囲を説明するための図である。
【図9】図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、最終的に描画される分布領域表示線の内側に第1代表点選定用基準点が配置されたときに、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。
【図10】同座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、代表点選定用方向、データ点方向、代表点を示した図である。
【図11】同座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
【図12】同分布領域表示線を変形させた分布領域表示線を図示した図である。
【図13】第1代表点選定用基準点の位置及びその基準点に対する任意の方向の範囲の例を説明するための図である。
【図14】図2に示した数値データAと数値データBの座標平面を属性Z1,Z2で層として表示した図である。
【図15】図14に示したデータ点に対して、図1から図6を参照して説明した実施例と同様の工程で属性Z1,Z2ごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。
【図16】図2に示した数値データAに対する数値データBと数値データCの座標平面を層として表示した図である。
【図17】図16に示したデータ点に対して、図1から図6を参照して説明した実施例と同様の工程で数値データB,Cごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の一実施例を説明するためのフローチャートである。図2はこの実施例で用いたデータの一部を表す図表である。図3は、図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。図4は、その座標平面であって、第1代表点を次の基準点として第2代表点を求める処理の流れを説明するための図である。図5は、その座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、データ点方向、代表点、判定用方向を示した図である。図6は、その座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
図1から図6を参照してこの実施例を説明する。
【0038】
ステップS1:グラフ化の対象となる関連する2種類の数値データを選択する。ここでは、図2に示す表の数値データAと数値データBを選択するとして説明を進める。なお、ここではデータの属性は無視した。
【0039】
ステップS2:数値データAをX軸に数値データBをY軸に展開した座標平面上の任意の1点を第1代表点選定用基準点Sとして設定する(第1代表点選定用基準点設定ステップ)。また、第1代表点選定用基準点Sとは座標が互いに異なる任意の点に、判定用中心点Oを設定する(判定用中心点設定ステップ)。
判定用中心点Oは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内に配置される。この実施例では、判定用中心点Oをデータ点の分布領域の重心に設定した。ここで、データ点の分布領域の重心とは、2つの変数が対になった複数のデータに対して変数ごとに平均値を求めた値の点を言う。
また、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は、点S,Oの座標が互いに異なっていれば、特に決まりはない。この実施例では、図3に示す位置に第1代表点選定用基準点Sを設定した。
【0040】
ステップS3:図3に示すように、判定用中心点Oから基準点Sへ向かう方向を最初の判定用方向Dj1として設定する。この実施例において、方向Dj1は第1代表点選定用方向でもある。時計回り又は反時計回りの一方を第1代表点選定用回転方向とする。ここでは時計回りを第1代表点選定用回転方向とした。第1代表点選定用基準点Sを通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、第1代表点選定用方向Dj1に対して第1代表点選定用方向Dj1から見て時計回りでなす角度が最小の第1代表点選定用データ点方向H1に対応するデータ点を第1代表点T1として選定する(第1代表点選定ステップ)。第1代表点選定用基準点設定ステップ及び第1代表点選定ステップは代表点選定第1ステップを構成する。
【0041】
図3では、複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、第1代表点選定用方向でもある最初の判定用方向Dj1を、第1代表点選定用基準点Sを回転中心として時計回りに回転させたときに最初の判定用方向Dj1がデータ点と最初に重なった時の第1代表点選定用データ点方向H1のみを図示している。図3では、最初の判定用方向Dj1を回転させているが、実際の処理において方向Dj1を回転させる必要はない。各第1代表点選定用データ点方向が第1代表点選定用方向Dj1に対して第1代表点選定用方向Dj1から見て時計回りでなす角度は三角関数により求めることができる。第1代表点選定用データ点方向ごとに求めた複数の上記角度のうち、最小の角度に対応するデータ点を第1代表点T1とする。
【0042】
なお、この実施例を含め、以下で説明する実施例や図面において、基準点を回転中心として代表点選定用方向を回転させているが、実際の処理において代表点選定用方向を回転させる必要はない。各ステップにおいて、各代表点選定用データ点方向が代表点選定用方向に対して代表点選定用方向から見て代表点選定用回転方向でなす角度は三角関数により求めることができる。
【0043】
ステップS4:図4に示すように、判定用中心点Oから第1代表点T1へ向かう方向を判定用方向Dj2とする。方向Dj2は最初の代表点選定用方向でもある。時計回り又は反時計回りの一方を選定用回転方向とする。この選定用回転方向は、第1代表点選定用回転方向と同じ回転方向であってもよいし、逆の回転方向であってもよい。ここでは時計回りを選定用回転方向とした。ステップS3で求めた第1代表点T1を最初の基準点とする。
最初の基準点T1を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、代表点選定用方向Dj2に対して代表点選定用方向Dj2から見て時計回りでなす角度が最小のデータ点方向H2に対応するデータ点を第2代表点T2として選定する(代表点選定第2ステップ)。
【0044】
ステップS5:図5に示すように、判定用中心点Oから第2代表点T2へ向かう方向を判定用方向Dj3とする。方向Dj3は次の代表点選定用方向でもある。ステップS4で求めた第2代表点T2を次の基準点とする。
次の基準点T2を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、代表点選定用方向Dj3に対して代表点選定用方向Dj3から見て時計回りでなす角度が最小のデータ点方向H3に対応するデータ点を代表点T3として選定する。
その後、順次、判定用中心点Oから、直前に選定された代表点(直前代表点)に向かう方向を判定用方向かつ代表点選定用方向とし、直前代表点を次の基準点とし、次の基準点を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、代表点選定用方向に対して代表点選定用方向から見て時計回りでなす角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定する。代表点の選定処理は、順次求められる判定用方向が最初の判定用方向Dj1に対して時計回りで360度以上回転した時か、又は同一データ点が代表点として再度選定された時まで繰り返される。この実施例では、代表点T3が選定された後、判定用方向かつ代表点選定用方向Dj4〜Dj11が用いられて代表点T4〜T11が選定される。
【0045】
代表点T11が選定された後、判定用中心点Oから代表点T11へ向かう方向が判定用方向Dj12として求められる。図5に示すように、判定用方向Dj12は、直前の判定用方向Dj11から見て最初の判定用方向Dj1よりも時計回り側に位置するので、判定用方向が最初の判定用方向Dj1に対して時計回りで360度以上回転したと判定され、代表点の選定処理が終了される(代表点選定第3ステップ)。
【0046】
ステップS6:代表点T1〜T11を通過する線を描画することにより分布領域表示線を描画する(分布領域描画ステップ)。図6に示すように、この処理は、選定された順番に代表点T1〜T11を滑らかな曲線で結線し、かつ、最初に選定された代表点T1と最後に選定された代表点T11を滑らかな曲線で結線して分布領域表示線1を描画する。この滑らかな曲線は、例えば、Visual BasicのDrawClosedCurve関数など、指定した点を通る滑らかな曲線を描画することができるソフトウェアを用いることにより描画されることができる。ただし、代表点間の分布領域表示線1は直線であってもよい。
このように、この実施例は、データ点の分布領域を分布領域表示線1で囲んで表現することができる。
【0047】
上記実施例は、判定用方向が最初の判定用方向Dj1に対して時計回りで360度以上回転したときに代表点の選定処理を終了しているが、同一データ点が代表点として再度選定されるまで、上記実施例では代表点T1のデータ点が代表点として再度選定されるまで、代表点の選定処理を行なってもよい。
なお、同一データ点が代表点として再度選定されたときに代表点の選定処理を終了する場合、先に選定された代表点と同一データ点と同じ座標をもつ、最後に選定された代表点は、代表点と認識されてもよいし、認識されなくてもよい。最後に選定された代表点が代表点と認識されるときは、分布領域描画ステップで、選定された順番に代表点を通過する線が描画されることにより、閉塞された分布領域表示線が描画される。最後に選定された代表点が代表点と認識されないときは、分布領域描画ステップで、選定された順番に代表点を通過した後、最初に選定された代表点に戻る線が描画されることにより、閉塞された分布領域表示線が描画される。
【0048】
また、上記実施例では、分布領域描画ステップS6は、代表点T1〜T11の選定処理が完了した後に分布領域表示線1を描画しているが、代表点の選定処理と平行して分布領域表示線を描画してもよい。すなわち、分布領域描画ステップは、代表点選定第2ステップS4及び代表点選定第3ステップS5で代表点T2〜T11が選定されるたびに、選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線し、かつ、最後に選定された代表点T11と最初に選定された代表点T1とを結線して分布領域表示線1を描画するようにしてもよい。
【0049】
また、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップで選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線する処理を分布領域描画ステップが順次行なう場合に、代表点選定第3ステップで同一データ点が代表点として再度選定されたときには、分布領域描画ステップは再度選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線する処理を行なって分布領域表示線を描画する処理を終了する。
【0050】
また、上記実施例は、代表点T1〜T11を分布領域表示線1が交差しない順番に結線して分布領域表示線1を描画しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各代表点から他のすべての代表点に線を結んで分布領域表示線を描画してもよい。
【0051】
例えば、図7に示すように、図6に示した代表点に対して、各代表点T1〜T11について代表点とその代表点以外のデータ点が結線されてなる分布領域表示線3を描画してもよい。この場合でも、データ点の分布領域の輪郭を適切に表現することができる。図7では代表点と代表点を直線で結んでいるが、分布領域表示線3の輪郭を現す線は図6と同様に曲線であってもよい。
【0052】
また、上記実施例は、代表点選定第2ステップS4及び代表点選定第3ステップS5で、代表点選定用方向として判定用方向Dj2〜Dj11を用いているが、代表点選定用方向はこれに限定されない。ただし、当該代表点選定用方向を任意の方向とすると、例えば分布領域表示線が重なったり、閉塞しなかったり、閉塞したとしても大きくはみ出すデータ点が発生したりするなど、適切な代表点を選定できないという不具合が発生する可能性がある。
このような不具合を防止するために、代表点選定第2ステップでの代表点選定用方向は、最初の基準点T1を通って第1代表点選定用基準点Sへ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。また、代表点選定第3ステップでの代表点選定用方向は、次の基準点(直前代表点)を通って直前基準点(直前代表点の選定に用いられた基準点)へ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。なお、代表点選定第3ステップで、直前基準点は直前代表点の直前に選定された代表点でもあるので、代表点選定用方向が次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向に設定されるときには、代表点選定第3ステップは直前基準点を構成するデータ点を代表点の選定対象から除外する。
【0053】
図8は、代表点選定第2ステップS4での代表点選定用方向の範囲を説明するための図である。
代表点選定用方向の範囲Dr2は、最初の基準点(第1代表点)T1を始点として第1代表点選定用基準点Sへ向かう方向Dr2−1を時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度回転させた方向Dr2−2の範囲内であればよい。方向Dr2−2は、データ点方向H1(図3参照)と同じなので、代表点T1を通って方向Dr2−1及び方向Dr2−2へ伸びる直線に対して方向の範囲Dr2にはデータ点は存在しない。したがって、代表点選定第2ステップS4における代表点選定用方向は、方向の範囲Dr2の範囲内であればどの方向であってもよい。
【0054】
また、上記実施例では、代表点選定第3ステップは、代表点の選定ごとに設定される判定用方向Dj2〜Dj12が最初の判定用方向Dj1に対して360度以上回転したときに代表点の選定処理を終了するようにしているが、本発明は、判定用方向を用いなくてもよい。その場合、代表点として同一データ点が再度選定された時に、又は、少なくとも2つのデータ点が代表点として再度選定された時に、代表点選定第3ステップは代表点の選定処理を終了する。
【0055】
ただし、上記実施例では、判定用方向Dj1〜Dj11は代表点選定用方向として用いられているので、判定用方向を用いない場合には代表点選定用方向を定義付けする必要がある。第1代表点選定ステップで設定される第1代表点選定用方向は任意の方向でよい。代表点選定第2ステップで設定される代表点選定用方向は、上述のように、最初の基準点(第1代表点)を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。また、代表点選定第3ステップでの代表点選定用方向は、上述のように、次の基準点(直前代表点)を通って直前基準点(直前代表点の選定に用いられた基準点)へ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。
【0056】
また、上記実施例では、第1代表点選定用基準点Sは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域の外側に位置しているが、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は任意である。例えば、第1代表点選定用基準点は、偶然に又は意図的に、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内に配置されることもある。図9〜図11を参照して、この場合の本発明の処理の流れについて説明する。
【0057】
図9は、図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、最終的に描画される分布領域表示線の内側に第1代表点選定用基準点が配置されたときに、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。図10は、その座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、代表点選定用方向、データ点方向、代表点を示した図である。図11は、その座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
【0058】
図9に示すように、第1代表点選定用基準点設定ステップで、第1代表点選定用基準点Sが設定される。ここでは、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は、偶然に、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内である。なお、第1代表点選定用基準点設定ステップで、意図的に第1代表点選定用基準点Sが例えばデータ点の分布領域の中心又は重心に配置されれば、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内になる。ここで、複数のデータ点の分布領域の中心とは、2つの変数が対になった複数のデータに対して変数ごとに最大値と最小値を足して2で割って求めた値の点を言う。
【0059】
第1代表点選定ステップで、第1代表点選定用基準点Sを通る任意の1方向が第1代表点選定用方向D1として設定される。第1代表点選定用方向D1は、例えばY座標軸に平行で負の方向である。第1代表点選定用基準点Sを通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、第1代表点選定用方向D1に対して第1代表点選定用方向D1から見て時計回りでなす角度が最小の第1代表点選定用データ点方向H1に対応するデータ点が第1代表点T1として選定される。
【0060】
代表点選定第2ステップで第2代表点T2が選定され、代表点選定第3ステップで代表点T3〜T13が選定される(図10を参照。)。ここでは、選定用回転方向は時計回りであり、代表点選定用方向D2〜D12は、直前に選定された代表点に対応するデータ点方向H1〜H11である。代表点選定第3ステップで代表点T12が選定された後、代表点T12を次の基準点(直前代表点)とし、代表点T12に対応するデータ点方向H12を代表点選定用方向D13として代表点の選定が行なわれると、データ点方向H13に対応する代表点T13が選定される。代表点13を構成するデータ点は、既に代表点T2として選定されているので、代表点の選定処理が終了される。
【0061】
分布領域描画ステップで、選定された順番に代表点T1〜T13が滑らかな曲線で結線されて分布領域表示線5が描画される(図11を参照。)。ここで、代表点T2であるデータ点は代表点T13でもあるので、代表点T12と代表点T13が結線される。
【0062】
このように、第1代表点選定用基準点Sが最終的に描画される分布領域表示線5の内側に配置される場合であっても、本発明は、データ点の分布領域の輪郭を表現した分布領域表示線5を描画することができる。
【0063】
図11に示した分布領域表示線5は、代表点T2〜T13を結ぶ閉塞された線のほかに、代表点T1と代表点T2を結ぶ線を有する。このような分布領域表示線5が不都合な場合は、図12に示すように、代表点T1と代表点T2を結ぶ線が描画されないようにして分布領域表示線7が描画されるようにすればよい。これにより、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線7が描画される。代表点T1と代表点T2を結ぶ線を描画しない方法としては、当該線を消去する方法や、分布領域表示線を描画する際に代表点T1を除外する方法を挙げることができる。
【0064】
分布領域表示線のうち消去すべき部分に対応する代表点、又は分布領域表示線を描画する際に除外される代表点は、代表点選定第3ステップで再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点である。図9から図11を参照して説明した上記実施例において、第1代表点T1は、代表点T13として再度選定された代表点T2よりも前に選定された代表点である。したがって、図12に示すように、第1代表点T1につながる線は、消去される、又は描画されない。
【0065】
ところで、本発明において、データ群を座標平面に表示したデータ点のうち、必ず代表点として選定されるデータ点がある。そのデータ点は、XY座標系では、X座標値が最大のデータ点及び最小のデータ点、並びにY座標値が最大のデータ点及び最小のデータ点である。極座標系では、その点はr値が最大のデータ点である。
また、本発明において、第1代表点選定用基準点の配置座標は任意なので、データ群のうちいずれかのデータの座標を第1代表点選定用基準点としてもよい。
【0066】
データ群を構成する各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、本発明は、上記の必ず代表点として選定されるデータ点のうちいずれかのデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とし、その基準点に対して所定の方向に任意の方向を設定すれば、最終的に、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線を描画できる。その所定の方向は、(1)X座標値が最大のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(2)X座標値が最小のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向であり、(3)Y座標値が最大のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(4)Y座標値が最小のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向である。
【0067】
また、データ群を構成する各データが(r,θ)の極座標系である場合、本発明は、データ群のうち最大r値をもつデータの座標を第1代表点選定用基準点とし、その基準点に対して所定の方向に任意の方向を設定すれば、最終的に、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線を描画できる。その所定の方向は、データ群のうち最大r値をもつデータのθ値の±90度の方向の範囲内の1方向である。
【0068】
例えば、図13に示したXY座標平面の複数のデータ点に対して、それらのデータ点のうちX座標値が最小かつY座標値が最小のデータ点の座標に第1代表点選定用基準点Sが設定されるとする。第1代表点選定用基準点Sの座標を(Sx,Sy)とすると、X<Sxの範囲、及び、Y<Syの範囲にはデータ点が存在しない。したがって、第1代表点選定ステップで設定される任意の方向は、X座標軸と平行な方向でX座標軸の正の方向Dr1−1から、時計回りに、Y座標軸と平行な方向でY座標軸の正の方向Dr1−2の間の方向の範囲Dr1の範囲内であればよい。なお、方向の範囲Dr1には、方向Dr1−1及び方向Dr1−2を含む。
【0069】
このような位置に第1代表点選定用基準点Sを配置することにより、代表点選定第1ステップにおいて、最終的に描画される分布領域表示線よりも内側に位置する代表点が選定されることはなくなり、そして代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップにおいてそのような代表点が選定されることもなくなり、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線が描画される。
【0070】
また、第1代表点選定用基準点Sの座標位置のデータ点は必ず代表点として選定されるので、そのデータ点は、代表点選定第3ステップよりも前に、代表点として設定されるようにしてもよい。このようにすれば、その代表点が代表点選定第3ステップにおいて代表点として再度選定されることにより、代表点の選定処理が終了する。基準点Sの座標位置のデータ点が予め代表点として選定される時期は、その代表点が代表点選定第3ステップにおいて代表点として再度選定される時期よりも前であればいつでもよい。
【0071】
なお、本発明において、第1代表点選定用基準点の配置座標は任意なので、データ群のうちいずれかのデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合に、第1代表点選定用基準点の座標は、上記で説明した必ず代表点として選定されるデータの座標に限定されるものではない。
【0072】
また、上記実施例では、第1代表点を選定するための代表点選定第1ステップは、第1代表点選定用基準点設定ステップと第1代表点選定ステップを含んでいるが、本発明の代表点選定第1ステップはこれに限定されない。
【0073】
例えば、代表点選定第1ステップは、データ群を構成する複数のデータ点のうちいずれか1つのデータ点を第1代表点として直接選定するようにしてもよい。この場合、代表点選定第2ステップにおける代表点選定用方向は、第1代表点(最初の基準点)を通る任意の1方向である。
【0074】
さらに、代表点選定第1ステップは、データ群を構成する各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、上記の必ず代表点として選定されるデータ点のうちいずれかのデータ点を第1代表点として設定し、代表点選定第2ステップは、代表点選定用方向を所定の方向に設定すれば、最終的に、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線を描画できるようになる。その所定の方向は、(1)X座標値が最大のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータ座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(2)X座標値が最小のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向であり、(3)Y座標値が最大のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(4)Y座標値が最小のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向である。ただし、第1代表点となるデータ点及び代表点選定用方向はこれらに限定されない。
【0075】
例えば、図13を参照して説明すると、X座標値が最小かつY座標値が最小のデータ点(符号Sの位置のデータ点)が第1代表点として設定されるとき、代表点選定第2ステップで設定される代表点選定用方向は、X座標軸と平行な方向でX座標軸の正の方向Dr1−1から、時計回りに、Y座標軸と平行な方向でY座標軸の正の方向Dr1−2の間の方向の範囲Dr1の範囲内であればよい。ここでも、方向の範囲Dr1には、方向Dr1−1及び方向Dr1−2を含む。
【0076】
また、データ群を構成する各データが(r,θ)の極座標系である場合は、代表点選定第1ステップは、データ群のうち最大r値をもつデータを第1代表点として設定し、代表点第2ステップは、第1代表点を構成するデータのθ値の±90度の方向の範囲内の1方向とすればよい。
【0077】
図14は、図2に示した数値データAと数値データBの座標平面を属性Z1,Z2で層として表示したものである。図14中で、属性Z1のデータ点は丸印で示され、属性Z2のデータ点は四角印で示されている。
図14に示すように、属性Z1,Z2のデータ点の分布領域が重なっている場合、属性Z1,Z2のデータ点の分布領域はわかりにくい。
【0078】
図15は、図14に示したデータ点に対して図1から図6を参照して説明した実施例を用いて属性Z1,Z2ごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。実線は属性Z1のデータ点の分布領域表示線を示し、破線は属性Z2のデータ点の分布領域表示線を示している。
図15を見ると分かるように、属性Z1,Z2ごとに分布領域表示線を求めることにより、属性Z1,Z2のデータ点の分布領域が分かりやすくなる。
【0079】
図16は、図2に示した数値データAに対する数値データBと数値データCの座標平面を層として表示したものである。図16中で、数値データBのデータ点は丸印で示され、数値データCのデータ点は四角印で示されている。
図16において、数値データB,Cのデータ点の分布領域が重なっているので、数値データB,Cのデータ点の分布領域はわかりにくい。
【0080】
図17は、図16に示したデータ点に対して図1から図6を参照して説明した実施例を用いて数値データB,Cごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。実線は数値データBのデータ点の分布領域表示線を示し、破線は数値データCのデータ点の分布領域表示線を示している。
図17を見ると分かるように、数値データB,Cごとに分布領域表示線を求めることにより、数値データB,Cのデータ点の分布領域が分かりやすくなる。
このように、本発明の分布領域描画方法は2つ以上の層のデータ点を重ねて1つの座標平面に表現する際に特に有効である。
【0081】
上記実施例では、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップは、選定用方向とデータ点方向がなす上記角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定しているが、当該角度が最大のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定するようにしてもよい。この場合、代表点選定第3ステップは、次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向から選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を次の代表点選定用方向とする。この場合でも、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線で表すことができる。
【0082】
上記で説明した実施例の各ステップは、各ステップを処理するためのプログラムを作製し、コンピュータを用いてそのプログラムを実行させることによって実現できる。
【0083】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記の実施例では、代表点選定用回転方向として時計周りを用いたが、代表点選定用回転方向は反時計周りであってもよい。
【0084】
また、上記実施例の説明において、描画された座標平面を用いたが、本発明の各ステップにおいて描画済みの座標平面が必要なわけではない。すなわち、対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群があれば各ステップの処理を行なえる。
【0085】
また、上記実施例の説明において、描画された座標平面に基準点や判定用中心点、判定用方向、代表点選定用方向などを図示したが、本発明の各ステップにおいて、これらの図示も必ずしも必要ではない。
また、上記実施例ではX,Yの直交座標平面を用いているが、本発明で用いる平面座標は、直交座標平面、斜交座標平面、極座標平面のいずれであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、2つの変数が対になった複数のデータからなるデータ群、例えば半導体装置の製造工程の処理後に行なわれるパターン欠陥検査や異物検査、電気的特性試験などで得られたデータ群が座標平面に表示される時のデータ点の分布領域を表示する際に利用できる。
【符号の説明】
【0087】
1,3,5,7 分布領域表示線
D1〜D13 代表点選定用方向
Dj1 最初の判定用方向かつ第1代表点選定用方向
Dj2〜Dj12 判定用方向かつ代表点選定用方向
H1〜H13 代表点に対応したデータ点方向
O 判定用中心点
S 第1代表点選定用基準点
T1 第1代表点
T2 第2代表点
T3〜T19 代表点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特許第3639636号公報
【特許文献2】特許第3944439号公報
【特許文献3】特開2007−248198号公報
【特許文献4】特許第3888938号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法及びそれをコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
座標平面は、2つの変数が対になった複数のデータの関係を表すことを目的としてよく用いられている。また、2つの変数が対になった複数のデータからなるデータ群について回帰直線や回帰曲線を求めてそれらのデータの関係を数値化することもできる。座標平面におけるデータ点の分布状態の特徴を表現する方法として、例えば特許文献1〜3に開示されているものがある。
また、座標平面において、各データ点を層別する情報がある場合などは、データ点を表す印の色や形を変えて表現することで、1つの座標平面に複数の層のデータ点の分布を表現することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、座標平面は2つの変数が対になった複数のデータの相関関係を表すのに適している。
しかし、1つの座標平面に表示する層の数が多く、データ点も多い場合、データ点を表す印は重なり合い、各層における分布の特徴の認識が困難であった。
また、複数の層を表示した座標平面ではなくても、図自体が小さくなるとデータ点を表す印も小さくなり、データ点の分布状態の特徴を認識することが困難になる。
このような不具合を克服するために層ごとに確率楕円を描画する方法もあるが、確率楕円は実際の分布を精度よく表現するものではない。
【0004】
本発明の目的は、確率楕円とは異なる方法でデータ点の分布領域を描画できる座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法及び座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法は、代表点選定第1ステップ、代表点選定第2ステップ、代表点選定第3ステップ及び分布領域描画ステップを含む。
上記代表点選定第1ステップは、対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群に対して、上記データ群のデータが点として表される座標平面上で、いずれか1つのデータ点を第1代表点として選定する。
上記代表点選定第2ステップは、時計回り又は反時計回りの一方を選定用回転方向とし、上記第1代表点を最初の基準点とし、上記最初の基準点を通る任意の1方向を最初の代表点選定用方向とし、上記最初の基準点を通って各データ点へ向かう複数の最初のデータ点方向のうち、上記最初の代表点選定用方向に対して上記最初の代表点選定用方向から見て上記選定用回転方向でなす角度が最小の上記最初のデータ点方向に対応するデータ点を第2代表点として選定する。
上記代表点選定第3ステップは、上記第2代表点又はこのステップで選定された代表点であって直前に選定された代表点からなる直前代表点を次の基準点とし、上記直前代表点の選定で用いられた基準点を直前基準点とし、上記次の基準点を通って上記直前基準点へ向かう方向から上記選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を次の代表点選定用方向とし、上記次の基準点を通って上記直前代表点以外の各データ点へ向かう複数の次のデータ点方向のうち、上記次の代表点選定用方向に対して上記次の代表点選定用方向から見て上記選定用回転方向でなす角度が最小の上記次のデータ点方向に対応するデータ点を次の代表点として選定する処理を繰り返す。
上記分布領域描画ステップは、上記代表点を結線して分布領域表示線を描画する。
ここで、座標平面は、直交座標平面、斜交座標平面、極座標平面など、どのような座標平面であってもよい。
また、代表点選定第3ステップで最初に選定される代表点の直前に選定された代表点は代表点選定第2ステップで選定された第2代表点である。
【0006】
本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第1ステップでの第1代表点を選定する方法はどのような方法であってもよい。代表点選定第1ステップは、いずれか1つのデータ点を第1代表点として直接選定するようにしてもよいし、複数のステップを経て第1代表点を選定するようにしてもよい。
【0007】
代表点選定第1ステップが複数のステップを含む一例として、上記代表点選定第1ステップは、上記座標平面上の任意の1点を第1代表点選定用基準点として設定する第1代表点選定用基準点設定ステップと、時計回り又は反時計回りの一方を第1代表点選定用回転方向とし、上記第1代表点選定用基準点を通る任意の1方向を第1代表点選定用方向とし、上記第1代表点選定用基準点を通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、上記第1代表点選定用方向に対して上記第1代表点選定用方向から見て上記第1代表点選定用回転方向でなす角度が最小の上記第1代表点選定用データ点方向に対応するデータ点を上記第1代表点として選定する第1代表点選定ステップと、を含むことを挙げることができる。
この局面において、上記代表点選定第2ステップは、上記最初の基準点(第1代表点)を通って上記第1代表点選定用基準点へ向かう方向から上記第1代表点選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を上記最初の代表点選定用方向とする。
ここで、第1代表点選定ステップにおける第1代表点選定用回転方向と、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップにおける選定用回転方向は、同じ回転方向であってもよいし、互いに反対の回転方向であってもよい。
【0008】
また、上記代表点選定第1ステップが上記第1代表点選定用基準点設定ステップ及び上記第1代表点選定ステップを含む場合、上記第1代表点選定用基準点設定ステップは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内の任意の点に上記第1代表点選定用基準点を設定するようにしてもよい。
この局面において、上記代表点選定第2ステップは、上記第1代表点選定用基準点を通って上記最初の基準点へ向かう方向を上記最初の代表点選定用方向として上記第2代表点を選定し、上記代表点選定第3ステップは、上記直前基準点を通って上記次の基準点へ向かう方向を上記次の代表点選定用方向として上記次の代表点として選定する。
ここで、代表点選定第2ステップにおける最初の代表点選定用方向、すなわち第1代表点選定用基準点を通って最初の基準点へ向かう方向は、最初の基準点を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向から第1代表点選定用回転方向で180度の方向である。
また、代表点選定第3ステップにおける次の代表点選定用方向、すなわち直前基準点を通って次の基準点へ向かう方向は、次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向から選定用回転方向で180度の方向である。
本発明において、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域は、データ点間の線の線上の領域も含む。なお、本発明において、必ずしも当該領域を求めなくてもよい。例えば、第1代表点選定用基準点が、いずれかのデータ点の座標や、データ点間の線の線上の座標、3つのデータ点で囲まれた領域内の座標などに配置される場合には、当該領域を求める必要はない。
【0009】
また、上記代表点選定第1ステップが上記第1代表点選定用基準点設定ステップ及び上記第1代表点選定ステップを含む場合、上記第1代表点選定用基準点とは座標が互いに異なり、かつ、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる域内の任意の点に、上記代表点選定第3ステップでの代表点の選定処理の終了時期判定に用いられる判定用中心点を設定する判定用中心点設定ステップをさらに含むようにしてもよい。
この局面において、上記第1代表点選定ステップは、上記判定用中心点を通って上記第1代表点選定用基準点へ向かう方向を上記第1代表点選定用方向として上記第1代表点として選定し、上記代表点選定第3ステップは、上記第1代表点選定用方向を最初の判定用方向と認定し、上記判定用中心点を通って上記代表点へ向かう判定用方向が上記最初の判定用方向に対して上記選定用回転方向で360度以上回転したときに上記次の代表点の選定処理を終了する。
【0010】
また、上記代表点選定第1ステップが上記第1代表点選定用基準点設定ステップ及び上記第1代表点選定ステップを含み、上記データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、上記代表点選定第1ステップの上記第1代表点選定用基準点設定ステップは、上記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を上記第1代表点選定用基準点と設定するようにしてもよい。
この局面において、上記第1代表点選定ステップは、上記第1代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を上記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする。
【0011】
また、本発明の分布領域描画方法において、上記データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、上記代表点選定用第1ステップは、上記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を上記第1代表点と設定する例を挙げることができる。
この局面において、上記代表点選定用第2ステップは、上記最初の代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を上記最初の基準点(第1代表点)とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を上記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を上記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を上記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする。
【0012】
本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第3ステップが代表点の選定処理を終了する時期は任意である。
上記判定用中心点設定ステップを含む局面では、代表点選定第3ステップは、判定用方向が最初の判定用方向に対して選定用回転方向で360度以上回転したときに次の代表点の選定処理を終了するようにしたが、本発明において、代表点選定第3ステップが代表点の選定処理を終了する時期はこれに限定されない。
【0013】
例えば、上記代表点選定第3ステップは、同一のデータ点が上記代表点として再度選定された時に上記次の代表点の選定処理を終了するようにしてもよい。
他の例として、上記代表点選定第3ステップは、少なくとも2つのデータ点が上記代表点として再度選定された時に上記次の代表点の選定処理を終了するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の分布領域描画方法において、上記分布領域描画ステップは、選定された順番に上記代表点を結線して上記分布領域表示線を描画する例を挙げることができる。
ただし、分布領域描画ステップは、各代表点から他のすべての代表点に線を結んで分布領域表示線を描画してもよい。
【0015】
この局面において、上記分布領域描画ステップは、再度選定された上記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された上記代表点は結線しない例を挙げることができる。
ただし、分布領域描画ステップは、当該代表点に対して結線してもよい。
【0016】
また、上記分布領域描画ステップは、上記第2代表点以降の代表点が選定されるたびに、選定された上記代表点とその代表点の直前に選定された上記代表点とを結線して上記分布領域表示線を描画するようにしてもよい。
ただし、分布領域描画ステップは、代表点選定第3ステップが代表点の選定処理を終了した後に分布領域表示線を描画するようにしてもよい。また、分布領域描画ステップは、代表点が選定されるたびに、選定された代表点と、既に選定されている他の代表点のすべてとを結線してもよい。
【0017】
この局面において、上記分布領域描画ステップは、再度選定された上記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された上記代表点につながる線を消去するようにしてもよい。
ただし、代表点選定第2ステップは、当該代表点につながる線を消去しなくてもよい。
【0018】
また、本発明の分布領域描画方法において、上記代表点選定第2ステップ及び上記代表点選定第3ステップは、上記角度が最小の上記データ点方向に対応するデータ点に替えて、上記角度が最大の上記データ点方向に対応するデータ点を代表点として選定するようにしてもよい。
この場合、上記代表点選定第3ステップは、上記次の基準点を通って上記直前基準点へ向かう方向から上記選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を上記次の代表点選定用方向とする。
【0019】
本発明にかかる座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラムは、本発明の分布領域描画方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の分布領域描画方法は、上記代表点選定第1ステップ、上記代表点選定第2ステップ、上記代表点選定第3ステップ及び上記分布領域描画ステップを含むようにしたので、対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群を座標平面に表示した際にデータ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線で表すことができる。そして、その相関関係及び分布領域をひと目で判断できる。
本発明の分布領域描画方法は2つ以上の層のデータ点を重ねて1つの座標平面に表現する際に特に有効である。
【0021】
本発明の分布領域描画方法において、代表点選定用第1ステップは、第1代表点選定用基準点を設定する第1代表点選定用基準点設定ステップと、第1代表点を選定する第1代表点選定ステップとを含むようにすれば、いずれか1つのデータ点を直接選択して第1代表点を選定しなくても第1代表点を選定できる。
さらに、代表点選定第2ステップは、最初の基準点(第1代表点)を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向から第1代表点選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を最初の代表点選定用方向とするようにすれば、最初の代表点選定用方向の範囲を設定できる。
【0022】
さらに、第1代表点選定用基準点設定ステップは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内の任意の点に第1代表点選定用基準点を設定するようにし、代表点選定第2ステップは、第1代表点選定用基準点を通って最初の基準点へ向かう方向を最初の代表点選定用方向として第2代表点を選定し、代表点選定第3ステップは、直前基準点を通って次の基準点へ向かう方向を次の代表点選定用方向として次の代表点として選定するようにすれば、第1代表点選定ステップで第1代表点選定用方向がいかなる方向に設定されようとも、代表点選定第3ステップで同一データ点が代表点として再度選定される前に、データ点の分布領域の輪郭を表現する分布領域表示線を描画するのに必要なすべての代表点を選定することができる。
【0023】
また、代表点選定第1ステップが第1代表点選定用基準点設定ステップ及び第1代表点選定ステップを含む場合、判定用中心点を設定する上記判定用中心点設定ステップをさらに含み、第1代表点選定ステップは、判定用中心点を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向を第1代表点選定用方向として第1代表点として選定し、代表点選定第3ステップは、第1代表点選定用方向を最初の判定用方向と認定し、判定用中心点を通って代表点へ向かう判定用方向が最初の判定用方向に対して選定用回転方向で360度以上回転したときに次の代表点の選定処理を終了するようにすれば、代表点選定第3ステップにおける代表点の選定処理の終了時期を決定することができる。
【0024】
また、代表点選定第1ステップが第1代表点選定用基準点設定ステップ及び第1代表点選定ステップを含み、データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、第1代表点選定用基準点設定ステップは、データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を第1代表点選定用基準点と設定するようにし、第1代表点選定ステップは、第1代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とすれば、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画するのに不必要な代表点が選定されるのを防止でき、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0025】
また、本発明の分布領域描画方法において、データ群の各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、代表点選定用第1ステップは、データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を第1代表点と設定するようにし、代表点選定用第2ステップは、最初の代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とすれば、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画するのに不必要な代表点が選定されるのを防止でき、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0026】
また、本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第3ステップは、同一のデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するようにすれば、代表点選定第3ステップにおける代表点の選定処理の終了時期を決定することができる。
【0027】
ところで、代表点選定第1ステップで、データ点の分布領域の輪郭を表す分布領域表示線を描画するのに必要な代表点のうちの1つが第1代表点として選定され、かつ、代表点選定第2ステップで、代表点選定用方向が最初の基準点(第1代表点)から見てデータ点の分布領域を横切るように設定されたときには、代表点選定第3ステップで、すべてのデータ点に応じた分布領域描画線を描画するのに必要な代表点をすべて選定する前に、第1代表点を構成するデータ点が代表点として再度選定される。この場合、代表点選定第3ステップで、同一のデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するように設定されていると、データ群を構成する複数のデータ点のうち一部のデータ点のみに応じた分布領域表示線が描画される。このような分布領域表示線も、データ点の分布領域を表していると言えるが、分布領域表示線は、データ群を構成するすべてのデータ点に応じたものであることが好ましい。
【0028】
そこで、代表点選定第3ステップは、少なくとも2つのデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するようにすれば、代表点選定第3ステップは、上述のような場合に代表点選定第3ステップで第1代表点を構成するデータ点が再度代表点として選定された後も次の代表点の選定処理を継続し、データ群を構成するすべてのデータ点に応じた適切な分布領域表示線を描画するのに必要なすべての代表点を選定できる。
なお、代表点選定第3ステップは、2つのデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了すれば、適切な分布領域表示線が描画されるが、3つ以上のデータ点が代表点として再度選定された時に次の代表点の選定処理を終了するようにしても問題はない。
【0029】
本発明の分布領域描画方法において、分布領域描画ステップは、選定された順番に代表点を結線して分布領域表示線を描画するようにすれば、線が交差しない分布領域表示線を描画することができ、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線として描画することができる。
ただし、各代表点から他のすべての代表点に線を結んで分布領域表示線を描画した場合であっても、データ点の分布領域を表現することができる。
【0030】
この局面において、分布領域描画ステップは、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点は結線しないようにすれば、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点がある場合であっても、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0031】
また、分布領域描画ステップは、第2代表点以降の代表点が選定されるたびに、選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線して分布領域表示線を描画するようにすれば、線が交差しない分布領域表示線を描画することができ、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線として描画することができる。
ただし、代表点が選定されるたびに、選定された代表点と、既に選定されている他の代表点のすべてとを結線した場合であっても、データ点の分布領域を表現することができる。
【0032】
この局面において、分布領域描画ステップは、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点につながる線を消去するようにようにすれば、再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点がある場合であっても、データ点の分布領域の輪郭のみを表す分布領域表示線を描画できる。
【0033】
なお、代表点選定第3ステップは、判定用方向が最初の判定用方向に対して選定用回転方向で360度以上回転したときに次の代表点の選定処理を終了する局面において、最初に選定された代表点と最後に選定された代表点が同一データ点でない場合がある。この場合、分布領域描画ステップが、選定された順番に代表点を結線して分布領域表示線を描画するときには、最初に選定された代表点と最後に選定された代表点を結線するようにすればよい。これにより、線が交差しない閉塞した分布領域表示線を描画することができる。
【0034】
また、本発明の分布領域描画方法において、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップは、角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点に替えて、角度が最大のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定するようにし、代表点選定第3ステップは、次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向から選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を次の代表点選定用方向とするようにしても、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線で表すことができる。
【0035】
本発明の座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラムは、本発明の分布領域描画方法の各ステップをコンピュータに実行させるようにしたので、コンピュータを用いて本発明の分布領域描画方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図2】同実施例で用いたデータの一部を表す図表である。
【図3】図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。
【図4】同座標平面であって、第1代表点を次の基準点として次の代表点を求める処理の流れを説明するための図である。
【図5】同座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、データ点方向、代表点、判定用方向を示した図である。
【図6】同座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
【図7】同座標平面に他の分布領域表示線を図示した図である。
【図8】代表点選定第2ステップでの代表点選定用方向の範囲を説明するための図である。
【図9】図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、最終的に描画される分布領域表示線の内側に第1代表点選定用基準点が配置されたときに、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。
【図10】同座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、代表点選定用方向、データ点方向、代表点を示した図である。
【図11】同座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
【図12】同分布領域表示線を変形させた分布領域表示線を図示した図である。
【図13】第1代表点選定用基準点の位置及びその基準点に対する任意の方向の範囲の例を説明するための図である。
【図14】図2に示した数値データAと数値データBの座標平面を属性Z1,Z2で層として表示した図である。
【図15】図14に示したデータ点に対して、図1から図6を参照して説明した実施例と同様の工程で属性Z1,Z2ごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。
【図16】図2に示した数値データAに対する数値データBと数値データCの座標平面を層として表示した図である。
【図17】図16に示したデータ点に対して、図1から図6を参照して説明した実施例と同様の工程で数値データB,Cごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明の一実施例を説明するためのフローチャートである。図2はこの実施例で用いたデータの一部を表す図表である。図3は、図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。図4は、その座標平面であって、第1代表点を次の基準点として第2代表点を求める処理の流れを説明するための図である。図5は、その座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、データ点方向、代表点、判定用方向を示した図である。図6は、その座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
図1から図6を参照してこの実施例を説明する。
【0038】
ステップS1:グラフ化の対象となる関連する2種類の数値データを選択する。ここでは、図2に示す表の数値データAと数値データBを選択するとして説明を進める。なお、ここではデータの属性は無視した。
【0039】
ステップS2:数値データAをX軸に数値データBをY軸に展開した座標平面上の任意の1点を第1代表点選定用基準点Sとして設定する(第1代表点選定用基準点設定ステップ)。また、第1代表点選定用基準点Sとは座標が互いに異なる任意の点に、判定用中心点Oを設定する(判定用中心点設定ステップ)。
判定用中心点Oは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内に配置される。この実施例では、判定用中心点Oをデータ点の分布領域の重心に設定した。ここで、データ点の分布領域の重心とは、2つの変数が対になった複数のデータに対して変数ごとに平均値を求めた値の点を言う。
また、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は、点S,Oの座標が互いに異なっていれば、特に決まりはない。この実施例では、図3に示す位置に第1代表点選定用基準点Sを設定した。
【0040】
ステップS3:図3に示すように、判定用中心点Oから基準点Sへ向かう方向を最初の判定用方向Dj1として設定する。この実施例において、方向Dj1は第1代表点選定用方向でもある。時計回り又は反時計回りの一方を第1代表点選定用回転方向とする。ここでは時計回りを第1代表点選定用回転方向とした。第1代表点選定用基準点Sを通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、第1代表点選定用方向Dj1に対して第1代表点選定用方向Dj1から見て時計回りでなす角度が最小の第1代表点選定用データ点方向H1に対応するデータ点を第1代表点T1として選定する(第1代表点選定ステップ)。第1代表点選定用基準点設定ステップ及び第1代表点選定ステップは代表点選定第1ステップを構成する。
【0041】
図3では、複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、第1代表点選定用方向でもある最初の判定用方向Dj1を、第1代表点選定用基準点Sを回転中心として時計回りに回転させたときに最初の判定用方向Dj1がデータ点と最初に重なった時の第1代表点選定用データ点方向H1のみを図示している。図3では、最初の判定用方向Dj1を回転させているが、実際の処理において方向Dj1を回転させる必要はない。各第1代表点選定用データ点方向が第1代表点選定用方向Dj1に対して第1代表点選定用方向Dj1から見て時計回りでなす角度は三角関数により求めることができる。第1代表点選定用データ点方向ごとに求めた複数の上記角度のうち、最小の角度に対応するデータ点を第1代表点T1とする。
【0042】
なお、この実施例を含め、以下で説明する実施例や図面において、基準点を回転中心として代表点選定用方向を回転させているが、実際の処理において代表点選定用方向を回転させる必要はない。各ステップにおいて、各代表点選定用データ点方向が代表点選定用方向に対して代表点選定用方向から見て代表点選定用回転方向でなす角度は三角関数により求めることができる。
【0043】
ステップS4:図4に示すように、判定用中心点Oから第1代表点T1へ向かう方向を判定用方向Dj2とする。方向Dj2は最初の代表点選定用方向でもある。時計回り又は反時計回りの一方を選定用回転方向とする。この選定用回転方向は、第1代表点選定用回転方向と同じ回転方向であってもよいし、逆の回転方向であってもよい。ここでは時計回りを選定用回転方向とした。ステップS3で求めた第1代表点T1を最初の基準点とする。
最初の基準点T1を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、代表点選定用方向Dj2に対して代表点選定用方向Dj2から見て時計回りでなす角度が最小のデータ点方向H2に対応するデータ点を第2代表点T2として選定する(代表点選定第2ステップ)。
【0044】
ステップS5:図5に示すように、判定用中心点Oから第2代表点T2へ向かう方向を判定用方向Dj3とする。方向Dj3は次の代表点選定用方向でもある。ステップS4で求めた第2代表点T2を次の基準点とする。
次の基準点T2を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、代表点選定用方向Dj3に対して代表点選定用方向Dj3から見て時計回りでなす角度が最小のデータ点方向H3に対応するデータ点を代表点T3として選定する。
その後、順次、判定用中心点Oから、直前に選定された代表点(直前代表点)に向かう方向を判定用方向かつ代表点選定用方向とし、直前代表点を次の基準点とし、次の基準点を通って各データ点へ向かう複数のデータ点方向のうち、代表点選定用方向に対して代表点選定用方向から見て時計回りでなす角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定する。代表点の選定処理は、順次求められる判定用方向が最初の判定用方向Dj1に対して時計回りで360度以上回転した時か、又は同一データ点が代表点として再度選定された時まで繰り返される。この実施例では、代表点T3が選定された後、判定用方向かつ代表点選定用方向Dj4〜Dj11が用いられて代表点T4〜T11が選定される。
【0045】
代表点T11が選定された後、判定用中心点Oから代表点T11へ向かう方向が判定用方向Dj12として求められる。図5に示すように、判定用方向Dj12は、直前の判定用方向Dj11から見て最初の判定用方向Dj1よりも時計回り側に位置するので、判定用方向が最初の判定用方向Dj1に対して時計回りで360度以上回転したと判定され、代表点の選定処理が終了される(代表点選定第3ステップ)。
【0046】
ステップS6:代表点T1〜T11を通過する線を描画することにより分布領域表示線を描画する(分布領域描画ステップ)。図6に示すように、この処理は、選定された順番に代表点T1〜T11を滑らかな曲線で結線し、かつ、最初に選定された代表点T1と最後に選定された代表点T11を滑らかな曲線で結線して分布領域表示線1を描画する。この滑らかな曲線は、例えば、Visual BasicのDrawClosedCurve関数など、指定した点を通る滑らかな曲線を描画することができるソフトウェアを用いることにより描画されることができる。ただし、代表点間の分布領域表示線1は直線であってもよい。
このように、この実施例は、データ点の分布領域を分布領域表示線1で囲んで表現することができる。
【0047】
上記実施例は、判定用方向が最初の判定用方向Dj1に対して時計回りで360度以上回転したときに代表点の選定処理を終了しているが、同一データ点が代表点として再度選定されるまで、上記実施例では代表点T1のデータ点が代表点として再度選定されるまで、代表点の選定処理を行なってもよい。
なお、同一データ点が代表点として再度選定されたときに代表点の選定処理を終了する場合、先に選定された代表点と同一データ点と同じ座標をもつ、最後に選定された代表点は、代表点と認識されてもよいし、認識されなくてもよい。最後に選定された代表点が代表点と認識されるときは、分布領域描画ステップで、選定された順番に代表点を通過する線が描画されることにより、閉塞された分布領域表示線が描画される。最後に選定された代表点が代表点と認識されないときは、分布領域描画ステップで、選定された順番に代表点を通過した後、最初に選定された代表点に戻る線が描画されることにより、閉塞された分布領域表示線が描画される。
【0048】
また、上記実施例では、分布領域描画ステップS6は、代表点T1〜T11の選定処理が完了した後に分布領域表示線1を描画しているが、代表点の選定処理と平行して分布領域表示線を描画してもよい。すなわち、分布領域描画ステップは、代表点選定第2ステップS4及び代表点選定第3ステップS5で代表点T2〜T11が選定されるたびに、選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線し、かつ、最後に選定された代表点T11と最初に選定された代表点T1とを結線して分布領域表示線1を描画するようにしてもよい。
【0049】
また、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップで選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線する処理を分布領域描画ステップが順次行なう場合に、代表点選定第3ステップで同一データ点が代表点として再度選定されたときには、分布領域描画ステップは再度選定された代表点とその代表点の直前に選定された代表点とを結線する処理を行なって分布領域表示線を描画する処理を終了する。
【0050】
また、上記実施例は、代表点T1〜T11を分布領域表示線1が交差しない順番に結線して分布領域表示線1を描画しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各代表点から他のすべての代表点に線を結んで分布領域表示線を描画してもよい。
【0051】
例えば、図7に示すように、図6に示した代表点に対して、各代表点T1〜T11について代表点とその代表点以外のデータ点が結線されてなる分布領域表示線3を描画してもよい。この場合でも、データ点の分布領域の輪郭を適切に表現することができる。図7では代表点と代表点を直線で結んでいるが、分布領域表示線3の輪郭を現す線は図6と同様に曲線であってもよい。
【0052】
また、上記実施例は、代表点選定第2ステップS4及び代表点選定第3ステップS5で、代表点選定用方向として判定用方向Dj2〜Dj11を用いているが、代表点選定用方向はこれに限定されない。ただし、当該代表点選定用方向を任意の方向とすると、例えば分布領域表示線が重なったり、閉塞しなかったり、閉塞したとしても大きくはみ出すデータ点が発生したりするなど、適切な代表点を選定できないという不具合が発生する可能性がある。
このような不具合を防止するために、代表点選定第2ステップでの代表点選定用方向は、最初の基準点T1を通って第1代表点選定用基準点Sへ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。また、代表点選定第3ステップでの代表点選定用方向は、次の基準点(直前代表点)を通って直前基準点(直前代表点の選定に用いられた基準点)へ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。なお、代表点選定第3ステップで、直前基準点は直前代表点の直前に選定された代表点でもあるので、代表点選定用方向が次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向に設定されるときには、代表点選定第3ステップは直前基準点を構成するデータ点を代表点の選定対象から除外する。
【0053】
図8は、代表点選定第2ステップS4での代表点選定用方向の範囲を説明するための図である。
代表点選定用方向の範囲Dr2は、最初の基準点(第1代表点)T1を始点として第1代表点選定用基準点Sへ向かう方向Dr2−1を時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度回転させた方向Dr2−2の範囲内であればよい。方向Dr2−2は、データ点方向H1(図3参照)と同じなので、代表点T1を通って方向Dr2−1及び方向Dr2−2へ伸びる直線に対して方向の範囲Dr2にはデータ点は存在しない。したがって、代表点選定第2ステップS4における代表点選定用方向は、方向の範囲Dr2の範囲内であればどの方向であってもよい。
【0054】
また、上記実施例では、代表点選定第3ステップは、代表点の選定ごとに設定される判定用方向Dj2〜Dj12が最初の判定用方向Dj1に対して360度以上回転したときに代表点の選定処理を終了するようにしているが、本発明は、判定用方向を用いなくてもよい。その場合、代表点として同一データ点が再度選定された時に、又は、少なくとも2つのデータ点が代表点として再度選定された時に、代表点選定第3ステップは代表点の選定処理を終了する。
【0055】
ただし、上記実施例では、判定用方向Dj1〜Dj11は代表点選定用方向として用いられているので、判定用方向を用いない場合には代表点選定用方向を定義付けする必要がある。第1代表点選定ステップで設定される第1代表点選定用方向は任意の方向でよい。代表点選定第2ステップで設定される代表点選定用方向は、上述のように、最初の基準点(第1代表点)を通って第1代表点選定用基準点へ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。また、代表点選定第3ステップでの代表点選定用方向は、上述のように、次の基準点(直前代表点)を通って直前基準点(直前代表点の選定に用いられた基準点)へ向かう方向から時計回り(第1代表点選定用回転方向)で180度の範囲内で設定されればよい。
【0056】
また、上記実施例では、第1代表点選定用基準点Sは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域の外側に位置しているが、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は任意である。例えば、第1代表点選定用基準点は、偶然に又は意図的に、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内に配置されることもある。図9〜図11を参照して、この場合の本発明の処理の流れについて説明する。
【0057】
図9は、図2のデータをデータ点として表した座標平面であって、最終的に描画される分布領域表示線の内側に第1代表点選定用基準点が配置されたときに、第1代表点を求める処理の流れを説明するための図である。図10は、その座標平面に、最後の代表点を求めるまでに用いた第1代表点選定用基準点、代表点選定用方向、データ点方向、代表点を示した図である。図11は、その座標平面に分布領域表示線を図示した図である。
【0058】
図9に示すように、第1代表点選定用基準点設定ステップで、第1代表点選定用基準点Sが設定される。ここでは、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は、偶然に、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内である。なお、第1代表点選定用基準点設定ステップで、意図的に第1代表点選定用基準点Sが例えばデータ点の分布領域の中心又は重心に配置されれば、第1代表点選定用基準点Sの配置位置は各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内になる。ここで、複数のデータ点の分布領域の中心とは、2つの変数が対になった複数のデータに対して変数ごとに最大値と最小値を足して2で割って求めた値の点を言う。
【0059】
第1代表点選定ステップで、第1代表点選定用基準点Sを通る任意の1方向が第1代表点選定用方向D1として設定される。第1代表点選定用方向D1は、例えばY座標軸に平行で負の方向である。第1代表点選定用基準点Sを通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、第1代表点選定用方向D1に対して第1代表点選定用方向D1から見て時計回りでなす角度が最小の第1代表点選定用データ点方向H1に対応するデータ点が第1代表点T1として選定される。
【0060】
代表点選定第2ステップで第2代表点T2が選定され、代表点選定第3ステップで代表点T3〜T13が選定される(図10を参照。)。ここでは、選定用回転方向は時計回りであり、代表点選定用方向D2〜D12は、直前に選定された代表点に対応するデータ点方向H1〜H11である。代表点選定第3ステップで代表点T12が選定された後、代表点T12を次の基準点(直前代表点)とし、代表点T12に対応するデータ点方向H12を代表点選定用方向D13として代表点の選定が行なわれると、データ点方向H13に対応する代表点T13が選定される。代表点13を構成するデータ点は、既に代表点T2として選定されているので、代表点の選定処理が終了される。
【0061】
分布領域描画ステップで、選定された順番に代表点T1〜T13が滑らかな曲線で結線されて分布領域表示線5が描画される(図11を参照。)。ここで、代表点T2であるデータ点は代表点T13でもあるので、代表点T12と代表点T13が結線される。
【0062】
このように、第1代表点選定用基準点Sが最終的に描画される分布領域表示線5の内側に配置される場合であっても、本発明は、データ点の分布領域の輪郭を表現した分布領域表示線5を描画することができる。
【0063】
図11に示した分布領域表示線5は、代表点T2〜T13を結ぶ閉塞された線のほかに、代表点T1と代表点T2を結ぶ線を有する。このような分布領域表示線5が不都合な場合は、図12に示すように、代表点T1と代表点T2を結ぶ線が描画されないようにして分布領域表示線7が描画されるようにすればよい。これにより、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線7が描画される。代表点T1と代表点T2を結ぶ線を描画しない方法としては、当該線を消去する方法や、分布領域表示線を描画する際に代表点T1を除外する方法を挙げることができる。
【0064】
分布領域表示線のうち消去すべき部分に対応する代表点、又は分布領域表示線を描画する際に除外される代表点は、代表点選定第3ステップで再度選定された代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された代表点である。図9から図11を参照して説明した上記実施例において、第1代表点T1は、代表点T13として再度選定された代表点T2よりも前に選定された代表点である。したがって、図12に示すように、第1代表点T1につながる線は、消去される、又は描画されない。
【0065】
ところで、本発明において、データ群を座標平面に表示したデータ点のうち、必ず代表点として選定されるデータ点がある。そのデータ点は、XY座標系では、X座標値が最大のデータ点及び最小のデータ点、並びにY座標値が最大のデータ点及び最小のデータ点である。極座標系では、その点はr値が最大のデータ点である。
また、本発明において、第1代表点選定用基準点の配置座標は任意なので、データ群のうちいずれかのデータの座標を第1代表点選定用基準点としてもよい。
【0066】
データ群を構成する各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、本発明は、上記の必ず代表点として選定されるデータ点のうちいずれかのデータ点の座標を第1代表点選定用基準点とし、その基準点に対して所定の方向に任意の方向を設定すれば、最終的に、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線を描画できる。その所定の方向は、(1)X座標値が最大のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(2)X座標値が最小のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向であり、(3)Y座標値が最大のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(4)Y座標値が最小のデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向である。
【0067】
また、データ群を構成する各データが(r,θ)の極座標系である場合、本発明は、データ群のうち最大r値をもつデータの座標を第1代表点選定用基準点とし、その基準点に対して所定の方向に任意の方向を設定すれば、最終的に、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線を描画できる。その所定の方向は、データ群のうち最大r値をもつデータのθ値の±90度の方向の範囲内の1方向である。
【0068】
例えば、図13に示したXY座標平面の複数のデータ点に対して、それらのデータ点のうちX座標値が最小かつY座標値が最小のデータ点の座標に第1代表点選定用基準点Sが設定されるとする。第1代表点選定用基準点Sの座標を(Sx,Sy)とすると、X<Sxの範囲、及び、Y<Syの範囲にはデータ点が存在しない。したがって、第1代表点選定ステップで設定される任意の方向は、X座標軸と平行な方向でX座標軸の正の方向Dr1−1から、時計回りに、Y座標軸と平行な方向でY座標軸の正の方向Dr1−2の間の方向の範囲Dr1の範囲内であればよい。なお、方向の範囲Dr1には、方向Dr1−1及び方向Dr1−2を含む。
【0069】
このような位置に第1代表点選定用基準点Sを配置することにより、代表点選定第1ステップにおいて、最終的に描画される分布領域表示線よりも内側に位置する代表点が選定されることはなくなり、そして代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップにおいてそのような代表点が選定されることもなくなり、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線が描画される。
【0070】
また、第1代表点選定用基準点Sの座標位置のデータ点は必ず代表点として選定されるので、そのデータ点は、代表点選定第3ステップよりも前に、代表点として設定されるようにしてもよい。このようにすれば、その代表点が代表点選定第3ステップにおいて代表点として再度選定されることにより、代表点の選定処理が終了する。基準点Sの座標位置のデータ点が予め代表点として選定される時期は、その代表点が代表点選定第3ステップにおいて代表点として再度選定される時期よりも前であればいつでもよい。
【0071】
なお、本発明において、第1代表点選定用基準点の配置座標は任意なので、データ群のうちいずれかのデータの座標を第1代表点選定用基準点とする場合に、第1代表点選定用基準点の座標は、上記で説明した必ず代表点として選定されるデータの座標に限定されるものではない。
【0072】
また、上記実施例では、第1代表点を選定するための代表点選定第1ステップは、第1代表点選定用基準点設定ステップと第1代表点選定ステップを含んでいるが、本発明の代表点選定第1ステップはこれに限定されない。
【0073】
例えば、代表点選定第1ステップは、データ群を構成する複数のデータ点のうちいずれか1つのデータ点を第1代表点として直接選定するようにしてもよい。この場合、代表点選定第2ステップにおける代表点選定用方向は、第1代表点(最初の基準点)を通る任意の1方向である。
【0074】
さらに、代表点選定第1ステップは、データ群を構成する各データが(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系である場合、上記の必ず代表点として選定されるデータ点のうちいずれかのデータ点を第1代表点として設定し、代表点選定第2ステップは、代表点選定用方向を所定の方向に設定すれば、最終的に、データ点の分布領域の輪郭のみを表現した分布領域表示線を描画できるようになる。その所定の方向は、(1)X座標値が最大のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータ座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(2)X座標値が最小のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向であり、(3)Y座標値が最大のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向であり、(4)Y座標値が最小のデータの座標を第1代表点とする場合は、そのデータの座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向である。ただし、第1代表点となるデータ点及び代表点選定用方向はこれらに限定されない。
【0075】
例えば、図13を参照して説明すると、X座標値が最小かつY座標値が最小のデータ点(符号Sの位置のデータ点)が第1代表点として設定されるとき、代表点選定第2ステップで設定される代表点選定用方向は、X座標軸と平行な方向でX座標軸の正の方向Dr1−1から、時計回りに、Y座標軸と平行な方向でY座標軸の正の方向Dr1−2の間の方向の範囲Dr1の範囲内であればよい。ここでも、方向の範囲Dr1には、方向Dr1−1及び方向Dr1−2を含む。
【0076】
また、データ群を構成する各データが(r,θ)の極座標系である場合は、代表点選定第1ステップは、データ群のうち最大r値をもつデータを第1代表点として設定し、代表点第2ステップは、第1代表点を構成するデータのθ値の±90度の方向の範囲内の1方向とすればよい。
【0077】
図14は、図2に示した数値データAと数値データBの座標平面を属性Z1,Z2で層として表示したものである。図14中で、属性Z1のデータ点は丸印で示され、属性Z2のデータ点は四角印で示されている。
図14に示すように、属性Z1,Z2のデータ点の分布領域が重なっている場合、属性Z1,Z2のデータ点の分布領域はわかりにくい。
【0078】
図15は、図14に示したデータ点に対して図1から図6を参照して説明した実施例を用いて属性Z1,Z2ごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。実線は属性Z1のデータ点の分布領域表示線を示し、破線は属性Z2のデータ点の分布領域表示線を示している。
図15を見ると分かるように、属性Z1,Z2ごとに分布領域表示線を求めることにより、属性Z1,Z2のデータ点の分布領域が分かりやすくなる。
【0079】
図16は、図2に示した数値データAに対する数値データBと数値データCの座標平面を層として表示したものである。図16中で、数値データBのデータ点は丸印で示され、数値データCのデータ点は四角印で示されている。
図16において、数値データB,Cのデータ点の分布領域が重なっているので、数値データB,Cのデータ点の分布領域はわかりにくい。
【0080】
図17は、図16に示したデータ点に対して図1から図6を参照して説明した実施例を用いて数値データB,Cごとに分布領域表示線を求めた結果を示す図である。実線は数値データBのデータ点の分布領域表示線を示し、破線は数値データCのデータ点の分布領域表示線を示している。
図17を見ると分かるように、数値データB,Cごとに分布領域表示線を求めることにより、数値データB,Cのデータ点の分布領域が分かりやすくなる。
このように、本発明の分布領域描画方法は2つ以上の層のデータ点を重ねて1つの座標平面に表現する際に特に有効である。
【0081】
上記実施例では、代表点選定第2ステップ及び代表点選定第3ステップは、選定用方向とデータ点方向がなす上記角度が最小のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定しているが、当該角度が最大のデータ点方向に対応するデータ点を代表点として選定するようにしてもよい。この場合、代表点選定第3ステップは、次の基準点を通って直前基準点へ向かう方向から選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を次の代表点選定用方向とする。この場合でも、データ点の分布領域の輪郭を分布領域表示線で表すことができる。
【0082】
上記で説明した実施例の各ステップは、各ステップを処理するためのプログラムを作製し、コンピュータを用いてそのプログラムを実行させることによって実現できる。
【0083】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記の実施例では、代表点選定用回転方向として時計周りを用いたが、代表点選定用回転方向は反時計周りであってもよい。
【0084】
また、上記実施例の説明において、描画された座標平面を用いたが、本発明の各ステップにおいて描画済みの座標平面が必要なわけではない。すなわち、対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群があれば各ステップの処理を行なえる。
【0085】
また、上記実施例の説明において、描画された座標平面に基準点や判定用中心点、判定用方向、代表点選定用方向などを図示したが、本発明の各ステップにおいて、これらの図示も必ずしも必要ではない。
また、上記実施例ではX,Yの直交座標平面を用いているが、本発明で用いる平面座標は、直交座標平面、斜交座標平面、極座標平面のいずれであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、2つの変数が対になった複数のデータからなるデータ群、例えば半導体装置の製造工程の処理後に行なわれるパターン欠陥検査や異物検査、電気的特性試験などで得られたデータ群が座標平面に表示される時のデータ点の分布領域を表示する際に利用できる。
【符号の説明】
【0087】
1,3,5,7 分布領域表示線
D1〜D13 代表点選定用方向
Dj1 最初の判定用方向かつ第1代表点選定用方向
Dj2〜Dj12 判定用方向かつ代表点選定用方向
H1〜H13 代表点に対応したデータ点方向
O 判定用中心点
S 第1代表点選定用基準点
T1 第1代表点
T2 第2代表点
T3〜T19 代表点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特許第3639636号公報
【特許文献2】特許第3944439号公報
【特許文献3】特開2007−248198号公報
【特許文献4】特許第3888938号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群に対して、前記データ群のデータが点として表される座標平面上で、いずれか1つのデータ点を第1代表点として選定する代表点選定第1ステップと、
時計回り又は反時計回りの一方を選定用回転方向とし、前記第1代表点を最初の基準点とし、前記最初の基準点を通る任意の1方向を最初の代表点選定用方向とし、前記最初の基準点を通って各データ点へ向かう複数の最初のデータ点方向のうち、前記最初の代表点選定用方向に対して前記最初の代表点選定用方向から見て前記選定用回転方向でなす角度が最小の前記最初のデータ点方向に対応するデータ点を第2代表点として選定する代表点選定第2ステップと、
前記第2代表点又はこのステップで選定された代表点であって直前に選定された代表点からなる直前代表点を次の基準点とし、前記直前代表点の選定で用いられた基準点を直前基準点とし、前記次の基準点を通って前記直前基準点へ向かう方向から前記選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を次の代表点選定用方向とし、前記次の基準点を通って前記直前代表点以外の各データ点へ向かう複数の次のデータ点方向のうち、前記次の代表点選定用方向に対して前記次の代表点選定用方向から見て前記選定用回転方向でなす角度が最小の前記次のデータ点方向に対応するデータ点を次の代表点として選定する処理を繰り返す代表点選定第3ステップと、
前記代表点を結線して分布領域表示線を描画する分布領域描画ステップと、を含んだ座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法。
【請求項2】
前記代表点選定第1ステップは、
前記座標平面上の任意の1点を第1代表点選定用基準点として設定する第1代表点選定用基準点設定ステップと、
時計回り又は反時計回りの一方を第1代表点選定用回転方向とし、前記第1代表点選定用基準点を通る任意の1方向を第1代表点選定用方向とし、前記第1代表点選定用基準点を通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、前記第1代表点選定用方向に対して前記第1代表点選定用方向から見て前記第1代表点選定用回転方向でなす角度が最小の前記第1代表点選定用データ点方向に対応するデータ点を前記第1代表点として選定する第1代表点選定ステップと、を含み、
前記代表点選定第2ステップは、前記最初の基準点を通って前記第1代表点選定用基準点へ向かう方向から前記第1代表点選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を前記最初の代表点選定用方向とする、請求項1に記載の分布領域描画方法。
【請求項3】
前記代表点選定第1ステップの前記第1代表点選定用基準点設定ステップは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内の任意の点に前記第1代表点選定用基準点を設定し、
前記代表点選定第2ステップは、前記第1代表点選定用基準点を通って前記最初の基準点へ向かう方向を前記最初の代表点選定用方向として前記第2代表点を選定し、
前記代表点選定第3ステップは、前記直前基準点を通って前記次の基準点へ向かう方向を前記次の代表点選定用方向として前記次の代表点として選定する請求項2に記載の分布領域描画方法。
【請求項4】
前記第1代表点選定用基準点とは座標が互いに異なり、かつ、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなるデータ点の分布領域内の任意の点に、前記代表点選定第3ステップでの代表点の選定処理の終了時期判定に用いられる判定用中心点を設定する判定用中心点設定ステップをさらに含み、
前記第1代表点選定ステップは、前記判定用中心点を通って前記第1代表点選定用基準点へ向かう方向を前記第1代表点選定用方向として前記第1代表点として選定し、
前記代表点選定第3ステップは、前記第1代表点選定用方向を最初の判定用方向と認定し、前記判定用中心点を通って前記代表点へ向かう判定用方向が前記最初の判定用方向に対して前記選定用回転方向で360度以上回転したときに前記次の代表点の選定処理を終了する請求項2又は3に記載の分布領域描画方法。
【請求項5】
前記データ群の各データは(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系であって、
前記代表点選定第1ステップの前記第1代表点選定用基準点設定ステップは、前記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を前記第1代表点選定用基準点と設定し、
前記代表点選定第1ステップの前記第1代表点選定ステップは、前記第1代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする、請求項2に記載の分布領域描画方法。
【請求項6】
前記データ群の各データは(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系であって、
前記代表点選定用第1ステップは、前記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を前記第1代表点と設定し、
前記代表点選定用第2ステップは、前記最初の代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする、請求項1に記載の分布領域描画方法。
【請求項7】
前記代表点選定第3ステップは、同一のデータ点が前記代表点として再度選定された時に前記次の代表点の選定処理を終了する請求項1から3、5及び6のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項8】
前記代表点選定第3ステップは、少なくとも2つのデータ点が前記代表点として再度選定された時に前記次の代表点の選定処理を終了する請求項1から3、5及び6のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項9】
前記分布領域描画ステップは、選定された順番に前記代表点を結線して前記分布領域表示線を描画する請求項1から8のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項10】
前記分布領域描画ステップは、再度選定された前記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された前記代表点は結線しない請求項9に記載の分布領域描画方法。
【請求項11】
前記分布領域描画ステップは、前記第2代表点以降の代表点が選定されるたびに、選定された前記代表点とその代表点の直前に選定された前記代表点とを結線して前記分布領域表示線を描画する請求項1から8のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項12】
前記分布領域描画ステップは、再度選定された前記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された前記代表点につながる線を消去する請求項11に記載の分布領域描画方法。
【請求項13】
前記代表点選定第2ステップ及び前記代表点選定第3ステップは、前記角度が最小の前記データ点方向に対応するデータ点に替えて、前記角度が最大の前記データ点方向に対応するデータ点を代表点として選定し、
前記代表点選定第3ステップは、前記次の基準点を通って前記直前基準点へ向かう方向から前記選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を前記次の代表点選定用方向とする請求項1から12のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の各ステップをコンピュータに実行させるための、座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラム。
【請求項1】
対になった2つの変数をもつ複数のデータからなるデータ群に対して、前記データ群のデータが点として表される座標平面上で、いずれか1つのデータ点を第1代表点として選定する代表点選定第1ステップと、
時計回り又は反時計回りの一方を選定用回転方向とし、前記第1代表点を最初の基準点とし、前記最初の基準点を通る任意の1方向を最初の代表点選定用方向とし、前記最初の基準点を通って各データ点へ向かう複数の最初のデータ点方向のうち、前記最初の代表点選定用方向に対して前記最初の代表点選定用方向から見て前記選定用回転方向でなす角度が最小の前記最初のデータ点方向に対応するデータ点を第2代表点として選定する代表点選定第2ステップと、
前記第2代表点又はこのステップで選定された代表点であって直前に選定された代表点からなる直前代表点を次の基準点とし、前記直前代表点の選定で用いられた基準点を直前基準点とし、前記次の基準点を通って前記直前基準点へ向かう方向から前記選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を次の代表点選定用方向とし、前記次の基準点を通って前記直前代表点以外の各データ点へ向かう複数の次のデータ点方向のうち、前記次の代表点選定用方向に対して前記次の代表点選定用方向から見て前記選定用回転方向でなす角度が最小の前記次のデータ点方向に対応するデータ点を次の代表点として選定する処理を繰り返す代表点選定第3ステップと、
前記代表点を結線して分布領域表示線を描画する分布領域描画ステップと、を含んだ座標平面におけるデータ点の分布領域描画方法。
【請求項2】
前記代表点選定第1ステップは、
前記座標平面上の任意の1点を第1代表点選定用基準点として設定する第1代表点選定用基準点設定ステップと、
時計回り又は反時計回りの一方を第1代表点選定用回転方向とし、前記第1代表点選定用基準点を通る任意の1方向を第1代表点選定用方向とし、前記第1代表点選定用基準点を通って各データ点へ向かう複数の第1代表点選定用データ点方向のうち、前記第1代表点選定用方向に対して前記第1代表点選定用方向から見て前記第1代表点選定用回転方向でなす角度が最小の前記第1代表点選定用データ点方向に対応するデータ点を前記第1代表点として選定する第1代表点選定ステップと、を含み、
前記代表点選定第2ステップは、前記最初の基準点を通って前記第1代表点選定用基準点へ向かう方向から前記第1代表点選定用回転方向で180度の範囲内の任意の1方向を前記最初の代表点選定用方向とする、請求項1に記載の分布領域描画方法。
【請求項3】
前記代表点選定第1ステップの前記第1代表点選定用基準点設定ステップは、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなる領域内の任意の点に前記第1代表点選定用基準点を設定し、
前記代表点選定第2ステップは、前記第1代表点選定用基準点を通って前記最初の基準点へ向かう方向を前記最初の代表点選定用方向として前記第2代表点を選定し、
前記代表点選定第3ステップは、前記直前基準点を通って前記次の基準点へ向かう方向を前記次の代表点選定用方向として前記次の代表点として選定する請求項2に記載の分布領域描画方法。
【請求項4】
前記第1代表点選定用基準点とは座標が互いに異なり、かつ、各データ点についてデータ点とそのデータ点以外のすべてのデータ点が結線されてなるデータ点の分布領域内の任意の点に、前記代表点選定第3ステップでの代表点の選定処理の終了時期判定に用いられる判定用中心点を設定する判定用中心点設定ステップをさらに含み、
前記第1代表点選定ステップは、前記判定用中心点を通って前記第1代表点選定用基準点へ向かう方向を前記第1代表点選定用方向として前記第1代表点として選定し、
前記代表点選定第3ステップは、前記第1代表点選定用方向を最初の判定用方向と認定し、前記判定用中心点を通って前記代表点へ向かう判定用方向が前記最初の判定用方向に対して前記選定用回転方向で360度以上回転したときに前記次の代表点の選定処理を終了する請求項2又は3に記載の分布領域描画方法。
【請求項5】
前記データ群の各データは(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系であって、
前記代表点選定第1ステップの前記第1代表点選定用基準点設定ステップは、前記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を前記第1代表点選定用基準点と設定し、
前記代表点選定第1ステップの前記第1代表点選定ステップは、前記第1代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を前記第1代表点選定用基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする、請求項2に記載の分布領域描画方法。
【請求項6】
前記データ群の各データは(X,Y)の直交座標系又は斜交座標系であって、
前記代表点選定用第1ステップは、前記データ群のデータのうちX座標値が最大のデータ及び最小のデータ、並びにY座標値が最大のデータ及び最小のデータのうち少なくともいずれかを1つを満たす1つのデータの座標を前記第1代表点と設定し、
前記代表点選定用第2ステップは、前記最初の代表点選定用方向を、(1)X座標値が最大のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(2)X座標値が最小のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのX座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とし、(3)Y座標値が最大のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以上のいずれかの座標へ向かう方向とし、(4)Y座標値が最小のデータ点の座標を前記最初の基準点とする場合は、そのデータ点の座標を始点として、そのY座標値以下のいずれかの座標へ向かう方向とする、請求項1に記載の分布領域描画方法。
【請求項7】
前記代表点選定第3ステップは、同一のデータ点が前記代表点として再度選定された時に前記次の代表点の選定処理を終了する請求項1から3、5及び6のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項8】
前記代表点選定第3ステップは、少なくとも2つのデータ点が前記代表点として再度選定された時に前記次の代表点の選定処理を終了する請求項1から3、5及び6のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項9】
前記分布領域描画ステップは、選定された順番に前記代表点を結線して前記分布領域表示線を描画する請求項1から8のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項10】
前記分布領域描画ステップは、再度選定された前記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された前記代表点は結線しない請求項9に記載の分布領域描画方法。
【請求項11】
前記分布領域描画ステップは、前記第2代表点以降の代表点が選定されるたびに、選定された前記代表点とその代表点の直前に選定された前記代表点とを結線して前記分布領域表示線を描画する請求項1から8のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項12】
前記分布領域描画ステップは、再度選定された前記代表点が最初に選定されたときよりも前に選定された前記代表点につながる線を消去する請求項11に記載の分布領域描画方法。
【請求項13】
前記代表点選定第2ステップ及び前記代表点選定第3ステップは、前記角度が最小の前記データ点方向に対応するデータ点に替えて、前記角度が最大の前記データ点方向に対応するデータ点を代表点として選定し、
前記代表点選定第3ステップは、前記次の基準点を通って前記直前基準点へ向かう方向から前記選定用回転方向とは反対回転方向で180度の範囲内の1方向を前記次の代表点選定用方向とする請求項1から12のいずれか一項に記載の分布領域描画方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の各ステップをコンピュータに実行させるための、座標平面におけるデータ点の分布領域描画プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−221862(P2011−221862A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91631(P2010−91631)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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