説明

廃プラスチックを用いたエネルギー利用システム

【課題】適切に分留ができ、油化装置の小型化と製造コストの低減ができ、且つ得られた油を適切に利用できる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムを提供すること。
【解決手段】廃プラスチックを加熱して熱分解させる熱分解槽10と、油原液に凝縮させる油原液用コンデンサ20と、油原液が、順次導入されて順次温度差をつけて加熱されるように直列に接続され、所要の組成に気化させる複数の分留用加熱槽30と、各々の所要の組成の油となるように凝縮させる各々の分留用コンデンサ32と、各々の所要の組成の油を貯留する各々の貯留槽40とを備える廃プラスチックの油化装置1と、廃プラスチックの油化装置1に隣接して設けられた施設2と、施設2の設備及び廃プラスチックの油化装置1の電源としてその廃プラスチックの油化装置1で得られた油を利用して発電を行う発電装置3とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃プラスチックが適切に油化・分留されることで得られる油を用いたエネルギー利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品のプラスチック化が推進され、それに伴って廃棄されるプラスチック(廃プラスチック)の量が莫大なものとなっている。
しかし、その廃プラスチックにかかる再資源化は遅れており、多くが、埋め立てられ、或は焼却処分とされているのが現状である。
【0003】
これに対して廃プラスチックの油化装置は多数提案されているが、適切に分留された油を得るためには一般的に分留塔が用いられ、装置が大型化し、その製造コストが高くなっている。
このため、廃プラスチックの油化装置は、一般的に普及していないのが現状である。
【0004】
なお、プラスチックの油化装置としては、例えば、複数の熱分解部を備えると共に、複数の気液分離器を備えるプラスチックの連続乾留熱分解油化装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−309781号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムに関して解決しようとする問題点は、従来の油化方法によって適切に分留された油を得るためには、油化装置が大型化し、その製造コストが高くなる点にある。そして、その廃プラスチックから得られた油を適切に利用する方法が検討されていない点にある。
そこで本発明の目的は、適切に分留ができ、油化装置の小型化と製造コストの低減ができ、且つ廃プラスチックから得られた油を適切に利用できる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの一形態によれば、廃プラスチックを加熱して熱分解させる熱分解槽と、該熱分解槽で気化された油成分を冷却して油原液に凝縮させる油原液用コンデンサと、該油原液用コンデンサで生じた油原液が順次導入されて順次温度差をつけて加熱されるように直列に接続され、前記油原液を各々の所要の組成に気化させる複数の分留用加熱槽と、該分留用加熱槽ごとに接続され、気化された油を冷却して各々の所要の組成の油となるように凝縮させる各々の分留用コンデンサと、該分留用コンデンサごとに接続され、各々の所要の組成の油を貯留する各々の貯留槽とを備える廃プラスチックの油化装置と、該廃プラスチックの油化装置に隣接して設けられた施設と、該施設の設備及び前記廃プラスチックの油化装置の電源として、前記廃プラスチックの油化装置で得られた油を利用して発電を行う発電装置とを具備する。
【0008】
また、本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの一形態によれば、前記施設内に配置され、前記廃プラスチックの油化装置で得られた油を燃料として駆動される動力装置を備えることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの一形態によれば、前記施設の熱源として、前記廃プラスチックの油化装置で得られた油を燃焼させて熱エネルギーを得るためのボイラーを含む燃焼装置を備えることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの一形態によれば、前記油原液用コンデンサ及び前記複数の分留用加熱槽を冷却するために、水を循環させる管路が設けられて構成された循環水による冷却装置と、該冷却装置の循環水を冷却するための放熱部によって構成されて、前記施設の室内の暖房を行う暖房ユニット部とを具備することを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの一形態によれば、前記施設が、完全閉鎖型の植物栽培工場、太陽光を併用するビニールハウスを含む園芸施設、又はエネルギーに関して自己完結型の製造工場を含む処理施設であって、前記発電装置によって少なくとも前記施設の照明設備に電力を供給することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるによれば、適切に分留ができ、油化装置の小型化と製造コストの低減ができ、且つ廃プラスチックから得られた油を適切に利用できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの形態例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムの最良の形態例を添付図面(図1)に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明にかかる廃プラスチックの油化装置を含むエネルギー利用システムの形態例を示す説明図である。
【0015】
先ず、廃プラスチックの油化方法について説明する
最初の油化工程では、廃プラスチックを加熱して熱分解させ、気化された油成分を冷却することで凝縮させて油原液を得る。
なお、加熱手段としては、電熱装置による電力を利用する方法、ガス燃料や石油のような液体燃料をバーナーなどで燃焼させる方法、又は高周波による発熱を利用する方法などの既存の技術を用いればよい。また、冷却手段としては、水冷や、熱媒体による冷凍サイクルを用いた方法などの既存の技術を用いればよい。
【0016】
次の分留工程では、油化工程で得られた油原液を、直列に接続された複数の分留用加熱槽30に導いて順次高温となるように温度差をつけて加熱して気化させる。
そして、低温度で気化する揮発性の高い組成の油から順に、分留用加熱槽30ごとに対応して接続された各々の分留用コンデンサ32によって冷却することで凝縮させて各々の所要の組成の油を得る。
これによれば、従来から一般的な分留塔を用いることなく、装置を平面的でコンパクトに構成できる。そして、小型の油化装置であるが、効率よく適切に油を分留できる。また、油化装置が小型化するため、その製造コストを低減することができる。
【0017】
また、本発明の廃プラスチックの油化方法においては、複数の分留用加熱槽30が実質的に同一の高さ位置に配置され、その複数の分留用加熱槽30を通して油原液の液面高さが実質的に同一の高さ位置となるように維持しつつ加熱して気化させるとよい。
これによれば、熱分解によって液化された油原液を、小型で簡単な構成の装置によって順次適切に送りつつ、効率よく適切に分留できる。
【0018】
次に、廃プラスチックの油化装置について説明する。
10は熱分解槽であり、廃プラスチックを加熱して熱分解させる。例えば、プラスチックを400〜500℃まで加熱して分解させる。なお、本形態例では、電熱装置11が巻かれており、電力によって加熱する構造になっている。
また、12は攪拌羽根であり、モータ13によって回転し、液化した廃プラスチックを均一に加熱すべく攪拌するために設けられている。
15は残渣槽であり、廃プラスチックを融解した際に発生する残渣を受けるための容器部となっている。また、16は排出用開閉弁であり、残渣を排出する際に開ける。
【0019】
また、本形態例の熱分解槽10には、原料の廃プラスチックが加熱されて溶融・流動化された状態で投入されるように構成されている。
17は廃プラスチック供給装置部であり、原料の破砕された廃プラスチックを所要の温度まで加熱することで流動化された状態で連続供給できる装置となっている。例えば、粒状の廃プラスチックを300℃程度まで加熱し、流動化された状態のものを押し込むことで熱分解槽10に供給する装置とすることができる。
【0020】
20は油原液用コンデンサであり、熱分解槽10で気化・蒸発された油成分を冷却して油原液に凝縮させる。21は水冷の熱交換部であり、油原液用コンデンサ20の内部に巡らされた管路によって構成され、油原液用コンデンサ20の冷却手段となっている。
22は油原液貯留槽であり、油原液用コンデンサ20で生じた油原液を一時的に貯留する容器部となっている。また、24は電磁弁であり、油原液貯留槽22から分留用加熱槽30aへ油原液を適宜供給するように、その連通管路23に開閉や流量制御を行う調整弁として設けられている。
【0021】
19は油原液用の容積拡大部であり、熱分解槽10と油原液用コンデンサ20との間に配されている。熱分解槽10と油原液用コンデンサ20とを接続する管路18の一部が大径になっていることで形成されている。
これによれば、熱分解槽10から供給される気化された油を含む気体が、断熱膨張によって冷却され、油原液用コンデンサ20に到達するまでの前処理がなされるスペースとなっている。また、気化された成分のうち、重いものの一部が液化されて落ち、油原液用コンデンサ20へ不要部が送られることを防止するための構成ともなっている。
【0022】
30(a〜d)は分留用加熱槽であり、油原液用コンデンサ20で生じた油原液が順次導入されて順次温度差をつけて加熱されるように直列に接続され、その油原液を各々の所要の組成に気化させるように複数が配されている。
本形態例では、ガソリンの分留用加熱槽30a、灯油の分留用加熱槽30b、軽油の分留用加熱槽30c及び重油の分留用加熱槽30dの順に4つが、熱分解槽10の側から直列に連続して接続されている。ガソリンの分留用加熱槽30aの加熱温度が最も低く、順次高温になって、重油の分留用加熱槽30dの加熱温度が最も高くなるように設定される。これにより、4つの異なる組成の油(ガソリン、灯油、軽油、重油)を好適に分留できる。さらに、多くの分留用加熱槽30を設ければ、さらに細かく分割して異なる組成の油を得ることができる。
【0023】
また、本形態例の複数の分留用加熱槽30(a〜d)にかかる加熱手段は、各々、電熱装置31(a〜d)が巻かれることで構成されており、電力によって加熱される。この加熱手段については、各々の設定温度を維持できるように、既存の技術による温度管理システムを利用して管理するようにすればよい。
【0024】
32(a〜d)は分留用コンデンサであり、分留用加熱槽30(a〜d)ごとに接続され、気化された油を冷却して各々の所要の組成の油となるように凝縮させるべく、各々が設けられている。
本形態例では、ガソリンの分留用コンデンサ32a、灯油の分留用コンデンサ32b、軽油の分留用コンデンサ32c及び重油の分留用コンデンサ32dの順に4つが、各分留用加熱槽30(a〜d)に対応して管路38(a〜d)を介して接続・配置されている。これにより、4つの異なる組成の油(ガソリン、灯油、軽油、重油)を凝縮できる。
【0025】
この分留用コンデンサ32(a〜d)は、前記油原液用コンデンサ20と同等の構成に設けられており、各々について熱交換部33(a〜d)が設けられている。
また、本形態例の油原液用コンデンサ20及び分留用コンデンサ32(a〜d)については、水冷式の熱交換部21、33(a〜d)を構成する水冷用の配管25が直列に接続されている。なお、26は冷却水の水槽であり、27は冷却水を循環させるためのポンプである。これによれば、各コンデンサ20、32(a〜d)に同量の冷却水を循環させることができるため、確実な冷却ができる。ただし、本発明はこれに限定されるものでなく、仕様条件によっては、配管を並列に接続することや、コンデンサごとに冷却水を循環させる形態としてもよい。
【0026】
40(a〜d)は貯留槽であり、分留用コンデンサ32(a〜d)ごとに接続され、各々の所要の組成の油を貯留すべく、各々が設けられている。
本形態例では、ガソリンの貯留槽40a、灯油の貯留槽40b、軽油の貯留槽40c及び重油の貯留槽40dの順に4つが、各分留用コンデンサ32(a〜d)に対応して配管41(a〜d)を介して接続・配置されている。これにより、4つの異なる組成の油(ガソリン、灯油、軽油、重油)を回収できる。
【0027】
35(a〜d)は接続管であり、複数の分留用加熱槽30(a〜d)が実質的に同一の高さ位置に配置され、その複数の分留用加熱槽30(a〜d)を通して油原液の液面34の高さが実質的に同一の高さ位置を維持するように、隣接する分留用加熱槽30の間ごとに設けられている。
また、36(a〜d)は調整弁であり、接続管35(a〜d)ごとに配されて液面34高さの調整ができるように設けられている。
【0028】
さらに詳細には、各接続管35は、上流側の分留用加熱槽30の底部から、下流側の分留用加熱槽30の側壁部へ接続されている。つまり、上流側の分留用加熱槽30で下方に下がったところから、下流側の分留用加熱槽30で上がった部分へ接続される形態となっている。その各々の接続管35(a〜d)の下流側の分留用加熱槽30の側壁部に接続される高さ位置も各々実質的に同一に設定されている。
また、調整弁36(a〜d)は、接続管35(a〜d)の低い位置に配されている。
そして、接続管35(a〜d)の高い位置で分留用加熱槽30の側壁部に接続される高さ位置と同一の部分に、逆止弁37(a〜d)が配されている。この逆止弁37(a〜d)によれば、油原液の逆流を阻止することができる。
【0029】
このように複数の分留用加熱槽30(a〜d)が、水平に並べられて接続されていることから、上流側の分留用加熱槽30にある油原液の圧力によって下流側の分留用加熱槽30へ供給される油原液の量が規定される。強制的に送るポンプを必要とせず、油原液が順次下流側の分留用加熱槽30へ流れて供給される。また、調整弁36(a〜d)や逆止弁37(a〜d)によって、各分留用加熱槽30へ供給される油原液の量が制御される。
また、接続管35(a〜d)が油原液を下げて上げる管路になっている。このため、油原液が送られるに従って、比重の重いものが順次適切に押し出される形態となっている。
【0030】
調整弁36(a〜d)は、例えば電磁弁によって設けられ、集中的に管理制御されるようにするとよい。その制御装置としては、各分留用加熱槽30(a〜d)の油原液の液面34高さを検出する各々の液面センサー(図示せず)と、その各々の液面センサーの検出データに基づいて制御される調整弁36(a〜d)とを構成要素とすればよい。
これらによれば、調整弁36(a〜d)を適切に開閉し、油原液の流れを適正に制御することができる。このため、各々の分留用加熱槽30(a〜d)における油成分の蒸発・気化の量変化に柔軟に応じて、導入される油原液の供給量を適宜に制御できることになる。従って、油の分留を適切に行うことができる。
【0031】
39(a〜d)は容積拡大部であり、分留用加熱槽30と分留用コンデンサ32との間に接続されて配され、気化された油の一部を断熱膨張によって凝縮液化させる部分になっている。分留用加熱槽30と分留用コンデンサ32とを接続する管路38(a〜d)の一部が大径になっていることで形成されている。
これによれば、分留用加熱槽30から供給される気化された油を含む気体が、断熱膨張によって冷却され、分留用コンデンサ32に到達するまでの前処理がなされる部分となっている。また、気化された成分のうち、重いものの一部が液化されて落ち、分留用コンデンサ32へ必要以上に重質成分が送られることを防止するための構成ともなっている。
【0032】
42(a〜d)は開閉弁であり、各々の分留用加熱槽30(a〜d)において残渣を排出する際に開かれる弁である。
50(a〜g)は圧力抜き用の配管であり、各々が各槽10、22、40(a〜d)、55に接続・連通されている。51は水槽であり、その水槽51の水中に、圧力抜き用の配管50(a〜g)の末端が浸漬されている。これにより、それぞれの槽10、22、40(a〜d)、55は低い水圧で閉じた系となっている。
また、52は空気抜きの配管であり、水槽51の上部に接続・連通されており、上端が大気に開放されている。
また、55は自動排出槽であり、重油のような揮発性の低い油を排出できる。また、複数の分留用加熱槽30(a〜d)でオーバーフローした際には自動的に排出できるため、安全性を確保できる。なお、57は逆止弁であり、58は開閉弁である。
【0033】
塩素を成分として含んでいない廃プラスチックについては、特別の前処理を要せずに熱分解によって油化できる。従って、以上の形態例で説明した構成によって、適切に分留してそれぞれの成分組成の油を得ることができる。例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンの廃プラスチックは前処理を行わないで油化・分留できる。
なお、塩素を成分として含んでいる廃プラスチックについては、脱塩素用の装置ユニットを採用すればよい。その場合、熱分解装置の前処理部として、脱塩素用の装置ユニットを組み込めばよい。
【0034】
次に、以上に説明した廃プラスチックの油化装置を構成要素とする廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムについて、図1に基づいて説明する。
本発明にかかる廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムは、以上に説明した廃プラスチックの油化装置1と、その廃プラスチックの油化装置1に隣接して設けられた施設2と、その施設2の設備及び廃プラスチックの油化装置1の電源として、廃プラスチックの油化装置1で得られた油を利用して発電を行う発電装置3とを具備することを特徴とする。
【0035】
ここで、施設2とは、例えば、完全閉鎖型の植物栽培工場、太陽光を併用するビニールハウスを含む園芸施設、又はエネルギーに関して自己完結型の製造工場を含む処理施設などである。
そして、少なくとも施設2の照明設備に、前述の発電装置3によって電力を供給することで、廃プラスチックを施設2のエネルギー源として好適に利用できる。なお、照明設備としては、LEDを利用すれば効率のよい光源になる。
また、発電装置3によって得られる電力は、光源だけでなく、モータ等の動力装置の電源、電熱装置の電源、及び制御装置の電源などとして用いることができるのは勿論である。
【0036】
4は動力装置であり、施設2内に配置され、廃プラスチックの油化装置1で得られた油を燃料として駆動されるように設けられている。
また、5は燃焼装置であり、施設2の熱源として、廃プラスチックの油化装置1で得られた油を燃焼させて熱エネルギーを得るためのボイラーなどの発熱装置である。
これらによっても、廃プラスチックを施設2のエネルギー源として好適に利用できる。
【0037】
また、28は循環水による冷却装置であり、油原液用コンデンサ20及び複数の分留用加熱槽30(a〜d)を冷却するために、水を循環させる管路(配管25)が設けられて構成されている。60は暖房ユニット部であり、冷却装置28の循環水を冷却するための放熱部によって構成されて、施設2の室内の暖房を行うように設けられている。
これによれば、廃プラスチックの油化装置1の排熱を好適に利用することができ、エネルギーを無駄なく使用できる。
【0038】
以上の廃プラスチックを用いたエネルギー利用システムを、植物栽培工場や園芸施設に適用することで、人工照明や加温ができるため、通年で植物を栽培できる。
廃プラスチックとしては、農業資材の廃棄物を利用でき、資源を有効に活用することができる。
また、土面又は土中にパイプを巡らし、廃プラスチックの油化装置1の排熱(暖房ユニット部60)や燃焼装置5によって得られる温水を流すことで、植物栽培工場や園芸施設の暖房を好適に行うことができる。なお、夏場には、施設2の外側の放熱部61で廃プラスチックの油化装置1の排熱を放熱させればよい。その放熱部61で循環水を冷却する方法は、冷却ファンや冷凍サイクル装置による強制的なものであっても良いのは勿論である。
【0039】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0040】
1 廃プラスチックの油化装置
2 施設
3 発電装置
4 動力装置
5 燃焼装置
10 熱分解槽
20 油原液用コンデンサ
25 配管
28 冷却装置
30a〜d 分留用加熱槽
32a〜d 分留用コンデンサ
35a〜d 接続管
36a〜d 調整弁
39a〜d 容積拡大部
40a〜d 貯留槽
60 暖房ユニット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを加熱して熱分解させる熱分解槽と、該熱分解槽で気化された油成分を冷却して油原液に凝縮させる油原液用コンデンサと、該油原液用コンデンサで生じた油原液が順次導入されて順次温度差をつけて加熱されるように直列に接続され、前記油原液を各々の所要の組成に気化させる複数の分留用加熱槽と、該分留用加熱槽ごとに接続され、気化された油を冷却して各々の所要の組成の油となるように凝縮させる各々の分留用コンデンサと、該分留用コンデンサごとに接続され、各々の所要の組成の油を貯留する各々の貯留槽とを備える廃プラスチックの油化装置と、
該廃プラスチックの油化装置に隣接して設けられた施設と、
該施設の設備及び前記廃プラスチックの油化装置の電源として、前記廃プラスチックの油化装置で得られた油を利用して発電を行う発電装置とを具備することを特徴とする廃プラスチックを用いたエネルギー利用システム。
【請求項2】
前記施設内に配置され、前記廃プラスチックの油化装置で得られた油を燃料として駆動される動力装置を備えることを特徴とする請求項1記載の廃プラスチックを用いたエネルギー利用システム。
【請求項3】
前記施設の熱源として、前記廃プラスチックの油化装置で得られた油を燃焼させて熱エネルギーを得るためのボイラーを含む燃焼装置を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の廃プラスチックを用いたエネルギー利用システム。
【請求項4】
前記油原液用コンデンサ及び前記複数の分留用加熱槽を冷却するために、水を循環させる管路が設けられて構成された循環水による冷却装置と、
該冷却装置の循環水を冷却するための放熱部によって構成されて、前記施設の室内の暖房を行う暖房ユニット部とを具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃プラスチックを用いたエネルギー利用システム。
【請求項5】
前記施設が、完全閉鎖型の植物栽培工場、太陽光を併用するビニールハウスを含む園芸施設、又はエネルギーに関して自己完結型の製造工場を含む処理施設であって、前記発電装置によって少なくとも前記施設の照明設備に電力を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃プラスチックを用いたエネルギー利用システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−57800(P2011−57800A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207399(P2009−207399)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(508067714)
【Fターム(参考)】