説明

廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤及びその製造方法

【課題】 廃プラスチックを用い、また酸性ガスを吸着するためのアルカリ薬品等を添着する製造工程を不要とし、さらに飽和に達すればそれ以上吸着できなかった従来の吸着剤と違って、酸性ガスを持続的に除去できる廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 カルシウム系化合物とアルミニウム系化合物のうちの少なくとも一方を無機物の充填材として含有する廃プラスチックを特定、選別した後、該廃プラスチックを400℃〜1000℃の温度域で且つ酸素割合が5%以下の酸素の少ない還元性雰囲気で加熱し、該加熱を所定時間継続させてその廃プラスチックを炭化させることにより炭化物と無機物とが混在する状態の生成物をつくり、該生成物が気相中の酸性ガスを持続的に除去する除去剤になるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FRP等の複合プラスチック廃棄物の有効利用が図られる廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気相中の酸性ガスの除去技術として活性炭による吸着法が知られ、これまで活性炭の酸性ガスに対する吸着能を高める種々の技術が提案されてきた(例えば特許文献1,2)。
【0003】
【特許文献1】特開昭52−63882号公報
【特許文献2】特開平6−7634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1,2等にみられる酸性ガス除去用の活性炭を造るには、担体の活性炭を準備し、さらにその表面全域に各種アルカリ薬品等を添着させるアルカリ処理工程等が必要になっていた(第1の問題点)。また酸性ガスの除去技術に活性炭等の吸着剤を採用した場合は、酸性ガスの吸着量が飽和に達すれば再生するか、または新品に交換しなければならない宿命を負っていた(第2の問題点)。
【0005】
一方、プラスチック廃棄物の活性炭化については、これまで次のような技術が提案されている。(1)FRP等の複合プラスチック等を炭化し、ガラス繊維等を分離した後、炭化物は賦活して活性炭とし、ガラス繊維等は土壌改良材やコンクリート補強材として利用する方法(特開平5−185056号公報)、(2)FRP廃棄物を炭化したものを芯材とする土壌改良,肥料用多層カプセルを製造して用いる方法(特開平7−33569号公報)、(3)FRP廃棄物その他のプラスチック廃材を、天然軽石等の多孔質粒塊物とともに炉内で交互に積層し炭化させ、活性炭化して用いる方法(特開平9−21519号公報)、(4)カルシウム系化合物等を無機物充填材として含む廃プラスチックを炭化し、オルソリン酸イオン及びメチレンブルーに対して吸着能を有する吸着剤を製造する方法(特許第3332882号)等である。
しかし、前記(1)の方法は、活性炭を製造するにあたり無機系充填材やガラス繊維などの強化材を含む場合、分離機で炭化物から繊維等を圧壊,分離した後に、水蒸気賦活させ活性炭を造っていた。前記(2),(3)の方法にあっては、或る特定の無機充填材についての効用とその積極的活用は述べられていない。無機物の充填材を含む複合プラスチック廃棄物から活性炭を製造しようとした場合、無機物の炭化が不可能で良好な炭化物が得られていなかった。前記(4)の方法は、オルソリン酸イオン及びメチレンブルーに対して吸着能を有する吸着剤を製造する方法にとどまっていた。
今日、建築資材,輸送用機器,工業機材等多用途に使用されているFRP等のプラスチック廃棄物が大量排出されているが、これまでの利用技術等では未だ不十分なため、廃棄物として処理されるものが大半であった(第3の問題)。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するもので、生産原料としての高価な担体たる活性炭等の原料に代えて廃プラスチックを用い、また酸性ガスを吸着するためのアルカリ薬品等を添着する製造工程を不要とし、さらに飽和に達すればそれ以上吸着できなかった従来の吸着剤と違って、酸性ガスを持続的に除去できる廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、無機物の充填材としてカルシウム系化合物及び/又はアルミニウム系化合物を合計で3重量%〜50重量%含有する廃プラスチックが、400℃〜1000℃の温度域で且つ酸素割合5%以下の酸素の少ない還元性雰囲気で加熱され炭化されることにより、炭化物と無機物とが混在する多孔質体を形成し、気相中の酸性ガスを持続的に除去できるようにした廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤にある。
請求項2に記載の発明の要旨は、カルシウム系化合物とアルミニウム系化合物のうちの少なくとも一方を無機物の充填材として含有する廃プラスチックを特定、選別した後、該廃プラスチックを400℃〜1000℃の温度域で且つ酸素割合が5%以下の酸素の少ない還元性雰囲気で加熱し、該加熱を所定時間継続させてその廃プラスチックを炭化させることにより炭化物と無機物とが混在する状態の生成物をつくり、該生成物が気相中の酸性ガスを持続的に除去する除去剤になるようにしたことを特徴とする廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤の製造方法にある。請求項3の発明たる酸性ガス除去剤の製造方法は、請求項2で、廃プラスチックにさらにガラス繊維を含ませて炭化させることを特徴とする。
【0008】
プラスチックのリサイクル利用として、活性炭化させるマテリアルリサイクル方法等がある。ただ炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム等の無機物の充填材やガラス繊維等の強化材等を含有するFRP等の複合プラスチック廃棄物は、燃焼させると複合プラスチックに対し約60%もの重量の灰分を発生させる。また、これまでは有機性物質を活性炭化する場合、炭化させた後、水蒸気や薬剤等を用いて細孔構造を発達させるいわゆる賦活操作を一般に行ってきた。しかし、この方法により複合プラスチック廃棄物から活性炭を製造すると、樹脂100%の廃棄物を炭化したものに比べ、元々少ない炭素分が炭化物を賦活処理する間に消失してしまい、活性炭としての所定の吸着能が得難い問題があった。さらに硫化水素等の酸性ガスに対して吸着能を有する活性炭を調整するには、活性炭表面に触媒作用或いは化学反応性をもつ金属成分,化学薬品を別途担持させる必要があった(特許文献1等)。
本発明者等は、こうした問題を改善すべくFRP等の複合プラスチック廃棄物のリサイクル技術を模索するなかで、プラスチックの副資材である特定の無機充填材に着目し、その廃プラスチックを用いて請求項1,2に記載のごとくすると、複雑な分離操作や賦活処理はもちろん化学薬品等の担持も必要としない、簡便にして気相中の酸性ガスに対し除去効果の高い除去剤を生成するのを見出した。充填材として混入されたカルシウム系化合物(及び/又はアルミニウム系化合物)の加熱生成物である酸化カルシウム(及び/又は酸化アルミニウム)が含まれることから、硫化水素等の酸性ガスに対し強い吸着能を示す。無機物の充填材としてカルシウム系化合物及び/又はアルミニウム系化合物を合計で3重量%〜50重量%含有する廃プラスチックが、400℃〜1000℃の温度域で且つ酸素割合5%以下の酸素の少ない還元性雰囲気で加熱され炭化されてなる炭化生成物は、吸着面積を増加させる空隙部分に加え、酸化カルシウムや酸化アルミニウムの微粒子及び活性炭化部分の複合体からなり、両者がモザイク状に分布することにより、被吸着質の疎水性部分(例えばメチルメルカプタンのメチル基部分)を活性炭部分で物理吸着しながら、チオール基(-SH)等の部分は酸化カルシウム部分や酸化アルミニウム部分で化学反応を起こさせ、結果的に被吸着物質を分解すると考えられる。前記廃プラスチックにさらにガラス繊維を含ませて炭化させると、吸着面積が大なるガラス繊維の形状によって吸着面積を増やし、且つそのガラス繊維表面に微粉状の炭化生成物が多数分布する構造となり、酸性ガスに対する除去効果を一段と高める。
【発明の効果】
【0009】
本発明の酸性ガス除去剤及びその製造方法は、廃プラスチックを原料にして酸性ガスを吸着するためのアルカリ薬品等を添着する製造工程を不要にしながら、酸性ガスに対し高い除去効果があり、しかもその酸性ガスを持続的に除去できるなど優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤及びその製造方法について詳述する。
【0011】
廃プラスチックを用いた本発明に係る具体的な酸性ガス除去剤及びその製造方法は次のごとくである。
本発明の原料となる廃プラスチック(プラスチック廃棄物又は複合プラスチック廃棄物)は、カルシウム系化合物とアルミニウム系化合物のうちの少なくとも一つを無機物の充填材とするものを特定選択する。廃プラスチックにはさらにガラス繊維,炭素繊維,アラミド繊維等の強化材を含む複合廃棄物でもよく、むしろ、ガラス繊維を含有するとより好適となる。廃プラスチックに含まれる合成樹脂は、その種類を問わず、例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,ABS,ポリアミド,ポリアセタール,ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、或いはフェノール,ユリア,メラミン,不飽和ポリエステル,ポリウレタン等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
【0012】
充填材(フィラー)は、プラスチックの重要な副資材であって、増量材としての主たる役割の他に種々の目的で用いられている。充填材には炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム,含水塩基性炭酸マグネシウム,石英粉,クレー(ケイ酸アルミニウム),硫酸バリウム,木粉,セルロース,パルプ,紙,クラフト紙,カーボンブラック,ホワイトカーボン,リグニン,アスベスト,雲母さらに、アルミニウム,ブロンズ,亜鉛,銅などの金属粉、有機充填剤など様々なものが存在する。
【0013】
本発明者等は、カルシウム系化合物等を無機物充填材として含む廃プラスチックを炭化し、オルソリン酸イオン及びメチレンブルーに対して吸着能を有する吸着剤を製造する方法(特許第3332882号)を先に開発したが、該吸着剤が新たに硫化水素,メチルメルカプタン等の酸性ガスに対して高い吸着能を有することを見出した。しかも、従来の吸着剤と異なり、気相中の酸性ガスを持続的に除去できる酸性ガス除去剤となることを見出し本発明に至った。カルシウム系化合物を充填材に含む廃プラスチックを特定,選別し、これを還元性の雰囲気で加熱炭化させて酸性ガス除去剤を造るのである。上記カルシウム系化合物に代えて、アルミニウム系化合物とすることができ、カルシウム系化合物とアルミニウム系化合物のうちの少なくともいずれか一方を無機物の充填材として含有する廃プラスチックとすることができる。尚、廃プラスチックを原料とするため、一部にカルシウム系化合物且つアルミニウム系化合物を含まない廃プラスチックが混入することが許容される。前記特定,選別された廃プラスチック全量のうち、無機物の充填材としてカルシウム系化合物及び/又はアルミニウム系化合物は合計で3重量%〜50重量%含有するのが好ましい。3重量%未満だと酸性ガスの持続的除去が困難になり、一方、50重量%を越えると活性炭化部分が少なくなりすぎ、同様に酸性ガスの持続的除去が困難になるからである。前記3重量%〜50重量%にするのは、カルシウム系化合物単独でも、カルシウム系化合物及びアルミニウム系化合物でも、アルミニウム系化合物単独でも満たす。
【0014】
選定された上記廃プラスチックは、空気を遮断して還元性の雰囲気で加熱炭化される。空気を遮断して、廃プラスチックが加熱分解される。具体的には、廃プラスチックを適当な大きさに破断した後、炭化炉に入れ、400℃〜1000℃の範囲内の温度に加熱し、1時間程度以上酸素割合が5%以下の酸素の少ない還元性の雰囲気下で加熱炭化される。5%以下とするのは、5%を越えると炭化物がCOとなって放出してしまうからである。
【0015】
上記廃プラスチックを400℃〜1000℃の温度域で酸素割合が5%以下の酸素の少ない還元雰囲気下に一定時間加熱すると、樹脂部分は炭化し、酸素が僅かしかない状況下でも脱炭酸反応や脱水反応等により無機物は部分的に酸化物へと変化する。樹脂が活性炭化した部分と、Ca,Alを含んだ無機充填材が酸化物として無機吸着剤化した部分が混在する多孔質体の生成物をつくる。炭化生成物の中に、吸着能を高める比表面積が大きくなる空隙をつくりながら、酸化カルシウムの微粒子が活性炭化部分に付着した複合物として生成され、これがそのままで気相中の酸性ガスを持続的に除去できる酸性ガス除去剤となる。上記廃プラスチックを400℃〜1000℃の温度域の還元性雰囲気で加熱し炭化させてなる炭化生成物は、吸着面積を増加させる空隙部分に加え、酸化カルシウム微粒子及び活性炭化部分の複合体からなり、両者がモザイク状に分布することにより被吸着質の疎水性部分(例えばメチルメルカプタンのメチル基部分)を活性炭化部分で物理吸着させながら、チオール基(−SH)等の酸性基の部分は酸化カルシウム部分で化学反応を起こさせ、結果的に被吸着物質を分解することができると考えられる。気相中の酸性ガスを持続的に除去できることから、このように吸着剤表面に物理吸着と化学反応を起こさせる部分が共存すると考えられる。
本発明の酸性ガス除去剤の原料たる廃プラスチックの中には、前記特定,選別によりカルシウム系化合物及び/又はアルミニウム系化合物の充填材(フィラー)の合計が数%〜数十%(好適範囲は3重量%〜50重量%)含有する。廃プラスチックの炭化により本発明の酸性ガス除去剤を生成するが、酸性ガス除去剤中のカルシウム分又はアルミニウム分の含有量は原料となる廃プラスチック中のそれらの含有量に比べさらに増大する。そして、カルシウム分又はアルミニウム分は炭素と共に酸性ガス除去剤の主要構成成分となり、被吸着物質(酸性ガス)の分解を促すと考えられる。
本酸性ガス除去剤が除去できる気相中の酸性ガスは、上記メチルメルカプタンの他、硫化水素,塩化水素ガス,亜硫酸ガス,亜硝酸ガス,吉草酸他のカルボン酸類等がある。
【0016】
ここで、上述の廃プラスチックに強化材たるガラス繊維を含むと、ガラス繊維の表面に樹脂の炭化粒子や酸化カルシウムの微粒子が無数に点在付着した状態になる。その結果、紡糸されて表面積が大なるガラス繊維の形状と相まって吸着面積をさらに増やし、酸性ガスの除去効果が高まりより好ましい状態になる。実際、ガラス繊維が酸性ガス除去に好影響を与えることを確認している。
【0017】
前記還元性雰囲気で加熱する温度を400℃〜1000℃の範囲内とするのは、400℃未満とすると、プラスチックの高分子樹脂が溶融軟化し、溶融部分が無機フィラーと分離し溜ってしまう一方、1000℃を越えると、炭化物の炭素が消失し白化してしまい、無機物だけになってしまうためである。炭化物の炭素の消失を抑える好ましい加熱温度は800℃以下であり、本加熱条件に関しては、600℃〜700℃の温度域で加熱時間が1.5時間〜2.5時間の範囲がより好ましいことが実験にて確認された。
上記酸性ガス除去剤は、その後、所望の大きさに破砕し製品化される。
【0018】
次に、実施例に基づき本発明を説明する。本発明は勿論これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
ガラス繊維(約50重量%),不飽和ポリエステル樹脂(約45重量%),炭酸カルシウム(約5重量%)で構成されるFRPの廃プラスチックについて、400℃〜1000℃の温度範囲で酸素割合が5%以下の酸素の少ない還元雰囲気下に2時間加熱炭化し炭化生成物たる酸性ガス除去剤を調整した。650℃で焼成して得られた酸性ガス除去剤約1.5gを容積5Lのポリフッ化ビニル製袋に入れ、真空吸引後、濃度50pp(v)mの硫化水素標準ガス約5Lを封入、袋内濃度の経日変化を測定し、ガス濃度がゼロになった際には、袋内ガスを抜き取り再度標準ガスを封入する。こうした実験を繰り返した場合の経日濃度変化の測定結果を図1に示す。図2は図1の測定結果を経過日数に対する硫化水素の累積吸着量(累積除去量)として表したものである。
【0020】
(2)実施例2
実施例1の硫化水素標準ガスに代えて、メチルメルカプタン標準ガスを封入し、実施例1と同様の実験を行った。その経日濃度変化を測定した結果を図3に示す。
【0021】
前述の実施例1,実施例2のごとく炭化処理させてなる酸性ガス除去剤は、酸化カルシウム,ガラス繊維,不飽和ポリエステル樹脂炭化物から構成され、活性炭表面に触媒作用或いは化学反応性をもつ金属成分、アルカリ等の化学薬品を担持させた添着活性炭と同等以上に酸性ガスに対する除去効果(吸着能)が高いことが判った。さらに飽和に達すればそれ以上吸着できなかった従来の吸着剤と違って、図1,図3のごとく長期に亘り持続的に酸性ガスを除去できるなど優れた特長を有した。本酸性ガス除去剤は飽和曲線が描けず、従来の吸着剤のような再生処理を要しない。
また、硫化水素等の酸性ガス吸着用市販活性炭がその表面をアルカリで処理したアルカリ添着活性炭であったのに対し、本発明の廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤及びその製造方法によるものは、酸性ガスが原料たる廃プラスチックに含まれるカルシウム化合物と反応することにより除去されるものであり、特段の処理工程は不要で、低コストで生産できる。
実施例は炭酸カルシウムを用いたが、他のカルシウム系化合物でも有効であり、また前記炭酸カルシウムに代えて水酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物でも炭酸カルシウムを用いたときと同様の効果が得られる。
【0022】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。カルシウム系化合物やアルミニウム系化合物は実施形態で述べたものに限定されない。廃プラスチックに代え、廃ゴムにも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1で、硫化水素に対する酸性ガス除去剤の吸着効果を示すグラフである。
【図2】図1の測定データを経過日数に対する硫化水素の累積吸着量(累積除去量)として表したグラフである。
【図3】実施例2で、メチルメルカプタンに対する酸性ガス除去剤の吸着効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物の充填材としてカルシウム系化合物及び/又はアルミニウム系化合物を合計で3重量%〜50重量%含有する廃プラスチックが、400℃〜1000℃の温度域で且つ酸素割合5%以下の酸素の少ない還元性雰囲気で加熱され炭化されることにより、炭化物と無機物とが混在する多孔質体を形成し、気相中の酸性ガスを持続的に除去できるようにした廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤。
【請求項2】
カルシウム系化合物とアルミニウム系化合物のうちの少なくとも一方を無機物の充填材として含有する廃プラスチックを特定、選別した後、該廃プラスチックを400℃〜1000℃の温度域で且つ酸素割合が5%以下の酸素の少ない還元性雰囲気で加熱し、該加熱を所定時間継続させてその廃プラスチックを炭化させることにより炭化物と無機物とが混在する状態の生成物をつくり、該生成物が気相中の酸性ガスを持続的に除去する除去剤になるようにしたことを特徴とする廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤の製造方法。
【請求項3】
前記廃プラスチックにさらにガラス繊維を含ませて炭化させる請求項2記載の廃プラスチックを用いた酸性ガス除去剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−237104(P2007−237104A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64781(P2006−64781)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(594156880)三重県 (58)
【出願人】(000164885)栗本化成工業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】