説明

廃プラスチック風力選別方法

【課題】機器点数を減らした簡易的な選別プロセスにより異物を確実に除去できるとともに、廃プラスチックの回収率を確保することができる廃プラスチック風力選別方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、分別収集された廃プラスチックのプラベールを開梱・粗破砕する工程、開梱した廃プラスチック中から1段目風力選別機4により異物と廃プラスチックを含む重質物と廃プラスチックを選別する工程、前記重質物から2段目風力選別機8により廃プラスチックを選別する工程、1段目風力選別機4及び2段目風力選別機8により選別された前記廃プラスチックを破砕する工程で順次処理する廃プラスチック風力選別方法。1段目風力選別機の押し込み風量を150〜200m/minにし、2段目風力選別機の押し込み風量を30〜45m/minにして廃プラスチックを選別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、包装などの廃プラスチックを再商品化プロセスに供するため、分別収集された廃プラスチックから良品の廃プラスチックの回収率を向上させる廃プラスチック風力選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器包装リサイクル法によって、一般市民から排出され、自治体により分別収集された容器、包装などの廃プラスチックは、コークス原料などとしてリサイクルする設備において選別される。通常、収集された廃プラスチックは金属などの異物を含むため、収集廃プラスチックを破砕した後、風力分離機により異物を含む重質物と廃プラスチックを多く含む軽質物とに選別される。選別された軽質物は、減容成形機により減容成形され、ペレットが製造される。
【0003】
特許文献1には、分別回収された廃プラスチックをリサイクル利用するために、収集廃プラスチックを開梱もしくは切断し、開梱、切断された廃プラスチック中から手選別および/または振動ふるいを用いて混在する異物を分離除去し、異物を除去された廃プラスチックを破砕し、破砕された廃プラスチック中から乾式重力分級機によって廃プラスチックを分離して回収する方式が開示されている。
【0004】
図3は、従来の廃プラスチック選別方法の工程を示す図である。
【0005】
分別収集された廃プラスチックを圧縮・減容し、袋詰めしたプラベール11は、開梱・粗破砕機12で破袋され、粗破砕される。次いで風力分離機13で異物を含む重質物と廃プラスチックを多く含む軽質物に選別される。
【0006】
風力分離機13で選別された軽質物は、二次破砕機18で破砕され、ペレット化に適したフラフにされ、フラフはホッパ19に貯留される。
【0007】
一方、風力分離機13で選別された異物を含む重量物は、手選別14により金属、陶磁器などの異物を除去した後、粗破砕機15で粗破砕される。破砕物は、磁力選別機16で鉄やアルミなどの金属類が除去された後、風力分離機17により重質物と軽質物に選別される。選別された軽質物は二次破砕機18で破砕され、得られたフラフはホッパ19に貯留され、重質物は残渣20として処理される。
【特許文献1】特開2004−188695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来の廃プラスチック選別方法では、異物が過度に多い廃プラスチックを投入すると、後段の破砕機に異物が混入し、刃物の早期損耗により安定稼働を損ねるという課題があった。
【0009】
また、風力分離機では異物選別を確実に行うために風力を下げると、良品の廃プラスチックの回収率が低下するため、容器包装リサイクル協会ガイドラインの回収率85%以上の確保が難しくなるおそれがあった。
【0010】
また、容器包装リサイクル法施行当初は、このリサイクル法が一般市民に十分浸透していなかったため収集廃プラスチックに異物が多く含まれており、手選別を必要としていたが、容器包装リサイクル協会の引き取り品質基準が厳格化されても、含まれる異物の選別はほぼ可能であった。
【0011】
しかしながら、従来の廃プラスチック選別方法は、風力分離機、手選別ブース、破砕機などの機器点数が多く工程が複雑であり、さらに手選別は手選別要員が必要であるためコスト高となっていた。
【0012】
そこで、本発明は、機器点数を減らした簡易な選別プロセスにするとともに、異物を確実に除去して廃プラスチックの回収率を確保することができる廃プラスチック風力選別方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の廃プラスチック風力選別方法は、風力選別を2段化し、1段目の風力選別機で粗選別、2段目の風力選別機で精選別できるプロセスとするものである。1段目風力選別機の重質側に2段目風力選別機を設ける簡易な選別プロセスにより、1段目風力選別機で重質物に共連れされた良品廃プラスチックを2段目風力選別機で回収するものである。
【0014】
本発明の廃プラスチック風力選別方法は、分別収集された廃プラスチックのプラベールを開梱・粗破砕する工程、開梱した廃プラスチック中から1段目風力選別機により異物と廃プラスチックを含む重質物と廃プラスチックを選別する工程、前記重質物から2段目風力選別機により廃プラスチックを選別する工程、1段目風力選別機及び2段目風力選別機により選別された前記廃プラスチックを破砕する工程で順次処理することを特徴とする。
【0015】
1段目風力選別機の押し込み風量を150〜200m/minにして粗選別し、2段目風力選別機の押し込み風量を30〜45m/minにして精選別する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、1段目風力選別機の重質側に2段目風力選別機を設置し、1段目風力選別機により重質側に異物を積極的に落として確実に除去することができる。この選別により重質側に共連れする廃プラスチックが多く含まれることになるが、2段目風力選別機で重質物を異物と廃プラスチックに精選別して共連れする廃プラスチックを回収する機能を持たせる。その結果、異物を確実に除去するとともに、共連れする良品廃プラスチックを回収できるので、回収率を確保することが可能となる。各風力選別機の風量調整により、異物除去率と回収率を最適に調整することもできる。
【0017】
また、本発明では、図3に示す従来の選別フローから、風力分離、手選別、破砕機の工程を省略するので、機器点数を減らすことができる。
【0018】
また、本発明は、手選別を必要としないので、手選別要員も不要となる。また、従来の手選別有りのプロセスと同等以上の回収率を確認した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施例を、図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明による廃プラスチック風力選別方法の工程を示す図である。
【0021】
プラベール1は、開梱・粗破砕機2で開梱・粗破砕されて150mm×150mmに粗破砕される。
【0022】
粗破砕物は、磁力選別機3により鉄などの金属類が除去される。
【0023】
磁力選別された粗破砕物は、1段目風力選別機4で異物と廃プラスチッを含む重質物と実質的に廃プラスチックからなる軽質物に選別する。1段目風力選別機4では、重質側に異物を積極的に落として廃プラスチックに含まれる異物を確実に除去するために、押し込み風量を小さくし、例えば、従来200m/minの風量を150〜200m/minにする。
【0024】
1段目風力選別機4で選別された実質的に廃プラスチックからなる軽質物は、二次破砕機5で破砕されてペレット化に適したフラフになる。フラフは後工程で成形機6により成形され、成型品ホッパ7に貯留される。
【0025】
一方、1段目風力選別機4で選別された重量物は、1段目風力選別機4で異物の他に共連れする廃プラスチックを含んでいるので、2段目風力選別機8で異物を含む残渣9と廃プラスチックに選別する。2段目風力選別機8の押し込み風量は、異物と廃プラスチックを選別するので、異物を確実に除去するため、30〜45m/minにして良品の廃プラスチックを回収する。
【0026】
2段目風力選別機8で選別され、回収された廃プラスチックは、1段目風力選別機4で選別された廃プラスチックと同様に、二次破砕機5で破砕されてペレット化に適したフラフとなる。
【0027】
図2は本発明の廃プラスチック風力選別方法における廃プラスチックの収支を示す図である。なお、図2では、廃プラスチックを廃プラと記す。
【0028】
図2において、投入量100%のうち、磁力選別機3で金属を選別後、98.41%が1段目風力選別機4へ投入された。1段目風力選別機4では、97.16%の廃プラスチックが良品廃プラスチックとして軽質側に、1.25%の廃プラスチックが異物とともに重質物として選別された。
【0029】
1段目風力選別機4で選別された1.25%の重質物は、2段目風力選別機8で0.69%の廃プラスチックが軽質物として選別・回収され、残渣には0.19%の廃プラスチックが回収できずに含まれていた。
【0030】
廃プラスチックをコークス原料としてリサイクルする設備全体において、手選別のない本発明と従来の手選別について、その回収率(=コークス炉投入量÷容器包装リサイクル廃プラスチック受入量)を比較した結果、従来方法の回収率が90%であったの対して、本発明は93%であった。このことから、本発明の回収率は、手選別なしにかかわらず、手選別する従来の方法以上であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による廃プラスチック風力選別方法の工程を示す図である。
【図2】本発明による廃プラスチック風力選別方法における廃プラスチックの収支を示す図である。
【図3】従来の廃プラスチック選別方法の工程を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1:プラベール 2:開梱・粗破砕機
3:磁力選別機 4:1段目風力選別機
5:二次破砕機 6:成形機
7:成型品ホッパ 8:2段目風力選別機
9:残渣
11:プラベール 12:開梱・粗破砕機
13:風力分離機 14:手選別
15:粗破砕機 16:磁力選別機
17:風力分離機 18:二次破砕機
19:ホッパ 20:残渣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分別収集された廃プラスチックのプラベールを開梱・粗破砕する工程、開梱した廃プラスチック中から1段目風力選別機により異物と廃プラスチックを含む重質物と廃プラスチックを選別する工程、前記重質物から2段目風力選別機により廃プラスチックを選別する工程、1段目風力選別機及び2段目風力選別機により選別された前記廃プラスチックを破砕する工程で順次処理することを特徴とする廃プラスチック風力選別方法。
【請求項2】
1段目風力選別機の押し込み風量を150〜200m/minにして廃プラスチックを選別し、2段目風力選別機の押し込み風量を30〜45m/minにして廃プラスチックを選別することを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック風力選別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−95793(P2009−95793A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271011(P2007−271011)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】