説明

廃棄物処理プラント

【課題】混合廃棄物処理プラントと廃プラスチック系の廃棄物処理プラントとを併設するときの好適な配置・設計を提供する。
【解決手段】 廃プラスチックPLを選別する第1のライン60と、混合廃棄物MXから廃プラスチックを選別する選別部70と、選別部70で混合廃棄物MXから選別された第2の廃プラスチックMX122を処理する第2のライン90と、選別部70で選別された第2の廃プラスチック122以外の混合廃棄物の残渣MX2、MX121を処理する残渣処理部と、を備え、第1のライン60と第2のライン90が並設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物処理プラントに関する。本発明の廃棄物処理プラントは、建築物の解体等により生じた建築資材その他の産業的な廃棄物を処理することに適している。
【背景技術】
【0002】
建築物を解体したときに生じる廃棄物には無機材料(ガラス、コンクリート等)や有機材料(プラスチック、ゴム等)が混合している。混合廃棄物を原料としてこれを選別し、破砕して、再利用することが提案されている(例えば特許文献1や特許文献2参照)。
他方、廃プラスチックを効率よくリサイクル原料とすることのできる廃棄物処理プラントも望まれている。
通常は、混合廃棄物を処理するプラントと廃プラスチックを処理するプラントとは別個に設けられている。
【特許文献1】特開2006−739号公報
【特許文献2】特開2006−789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
混合廃棄物を処理するプラントと廃プラスチックを処理するプラントとが別個に設けられると、産廃業者は廃棄物を選別してさらに選別した内容に応じてそれぞれのプラントまで運搬しなくてはならず、手間がかかっていた。
理論的には、廃プラスチックを混合廃棄物処理プラントで処理可能であるが、処理スピードが遅くなるので現実的ではない。
そこで本発明者は、上記混合廃棄物を処理するプラントと廃プラスチックを処理するプラントとを併設し、もってプラント設備の集約(1ストップサービス)について検討をしてきた。
即ち、この発明の目的は混合廃棄物処理プラントと廃プラスチックの処理プラントとを併設するときの好適な配置・設計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記目的を達成すべきなされた廃棄物処理プラントである。即ち、
混合廃棄物から廃プラスチック系廃棄物を選別する選別部と、
前記選別部で前記混合廃棄物から選別された前記廃プラスチック系廃棄物を処理する第2のラインと、
前記選別部で選別された前記廃プラスチック系廃棄物以外の前記混合廃棄物の残渣を処理する残渣処理部と、を備え、
前記第1のラインと第2のラインが並設されている、ことを特徴とする廃棄物処理プラント。
【0005】
このように規定される第1の局面の廃棄物処理プラントによれば、混合廃棄物から廃プラスチック系廃棄物を選別して、当該廃プラスチック系廃棄物は第2のラインへ送られる。ここに、この第2のラインは廃プラスチックの処理専用の第1のラインへ並設されている。一般的に、廃プラスチックの処理ラインでは金属等の異物や塩素系のプラスチックを除去する必要がある。ここに、第1のラインと第2のラインとを並設することにより、当該除去作業を共通化することができる。
【0006】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面で規定の廃棄物処理プラントにおいて、前記選別部は前記混合廃棄物に含まれる所定のサイズを超える第2の廃プラスチック系廃棄物を前記第1のラインへ供給する手段を備える。
このように規定される第2の局面の廃棄物処理プラントによれば、第1のラインで処理可能なものが混合廃棄物から選択されて第1のラインへ供給される。これにより、第2のラインで処理される廃プラスチック系廃棄物のサイズが揃えられることとなり、当該第2のラインの稼動速度を最適化できる。その結果、混合廃棄物の処理速度が向上し、そのスループットが向上する。
【0007】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面で規定の廃棄物処理プラントにおいて、前記選別部は、第1のサイズを基準に前記混合廃棄物を選別する第1の選別機と、
前記第1の選別機で選別された前記第1のサイズを超える前記混合廃棄物を選別する第2の選別機であって、第2のサイズを超える混合廃棄物において第1の比重以下の比重の混合廃棄物を前記第1のラインへ供給する第2の選別機と、
前記第2の選別機で選別された前記第2のサイズ以下の混合廃棄物を選別する第3の選別機であって、第2の比重以下の比重の混合廃棄物を前記第2のラインへ供給する第3の選別機と、を備える。
このように規定される第3の局面の廃棄物処理プラントによれば、第1のラインで処理することが適当な廃プラスチック系廃棄物を混合廃棄物から確実に選別して当該第1のラインへ供給できる。また、第2のラインで処理することが適当な廃プラスチック系廃棄物を混合廃棄物から確実に選別して当該第2のラインへ供給できる。
また、比重を調整することにより、各廃プラスチック系廃棄物に含まれるプラスチック割合を制御できる。混合廃棄物由来の廃プラスチック系廃棄物には紙、布、木材等も含まれるので、プラスチック割合を制御できれば、廃プラスチック系廃棄物から得られる燃料の単位体積当たりの熱量を調整可能となる。
【0008】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、第3の局面で規定する廃棄物処理プラントにおいて、前記残渣処理部には、
前記第1の選別機で選別された前記第1のサイズ以下の混合廃棄物から第3のサイズ以下の微粒子成分を除去する第4の選別機と、該第4の選別機で選別された第3のサイズを超える前記混合廃棄物において第3の比重を超えるものを選別する第5の選別機とが備えられ、
前記第5の選別機で選別された前記混合廃棄物と、前記第3の選別機で選別された前記第2の比重を越える比重の混合廃棄物とを破砕する破砕機と、
該破砕機で破砕された混合廃棄物を第4のサイズを基準にしてセメント原料と建築用資材とに選別する第6の選別機、とを備える。
このように規定された第4の局面の廃棄物処理プラントによれば、混合廃棄物において廃プラスチック成分以外の成分を残渣処理部で処理して、セメント原料と建築用資材資材とに再生できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
この発明の実施例の廃棄物処理プラント1の概略構成を図1に示す。
この廃棄物処理プラント1(以下、単に「プラント」と略することがある)は、第1のライン10、選別部20、第2のライン30及び残渣処理部40とを備えてなる。
第1のライン10には廃プラスチックPLがホッパ等の投入口11より投入される。ここに、廃プラスチックPLは産廃業者等により予めプラスチック材料として分別されているものではあるが、往々にして金属等の異物が含まれることがある。また、塩素を含むプラスチックは再生装置を腐食させるおそれがある。よって、これら金属等の異物や塩素系プラスチック材料を除去する必要がある。第1のライン10ではかかる除去処理が自動的に及び/又は人の手により実行される。
第1のライン10へ直接供給される廃プラスチックPLは比較的大きなものが多い。細かい廃プラスチックは第1のライン10で処理されるまでもなく、燃料等として再利用が図られている。
【0010】
選別部20には混合廃棄物MXがホッパ等の投入口21より投入される。この混合廃棄物MXはもっぱら建築資材の廃棄物であり、生ごみ等の生活廃棄物は含まれないものとする。選別部20の基本的な機能は混合廃棄物MXから廃プラスチック系の廃棄物を選別して第2のライン30へ供給することにある。
【0011】
この発明の一つの実施例では、選別部20は第1〜第3の選別機22,23,25を備える。第1の選別機22は第1のサイズTHs1(実施例では60mm)を基準にして混合廃棄物MXを分別する。かかる第1の選別機22として例えばトロンメルを用いることができる。
第1のサイズTHs1を超える混合廃棄物MX1は第2の選別機23へ送られる。他方、第1のサイズTHs1以下の混合廃棄物MX2は残渣処理部40の第4の選別機41へ送られる。
第2の選別機23では、まず、第2のサイズTHs2(実施例では250mm)を基準にして混合廃棄物MX1を選別する。その結果、第2のサイズTHs2を超える大きさの混合廃棄物MX11が第1の比重THw1を基準にして選別される。実施例では明確な比重THw1が規定されるものではないが、振動ふるいを用い、第2のサイズTHs2を超える比較的大物であって、重比重物MX111はがれき類としてプラントの系外へ排出する。他方、第2のサイズTHs2を超える大物あっても軽比重物MX112は第2の廃プラスチック系廃棄物であるとして第1のライン10へ供給する。ここに、振動ふるいの振動エネルギーをかえることにより、第1のライン10へ供給する第2の廃プラスチック系廃棄物の比重、即ちプラスチック比率を制御できる。
【0012】
第2の選別機23においてそのサイズが第2のサイズTHs2以下の混合廃棄物MX12は第3の選別機25へ送られる。第3の選別機25では第2の比重THw2を基準にして選別が行われる。実施例では明確な比重THw2が規定されるものではないが、ベルト式の異物選別機を用いて60〜250mmサイズであって重比重物MX121は残渣処理部40の破砕機45へ送られる。他方、60〜250mmサイズであって軽比重物MX122は第1の廃プラスチック系廃棄物であるとして第2のライン30へ送られる。ここに異物選別機の選別能力(風力等)を調整することにより、第2のライン30へ送られる第1の廃プラスチック系廃棄物の比重、即ちプラスチック比率を制御できる。
【0013】
ここに、第1のライン10と第2のライン30とでは処理される廃プラスチックのサイズが異なるので、異物分別等の手法も異なる場合がある。換言すれば、廃プラスチックのサイズに応じて最適な手段が選択できる。その結果、各ライン10、30を最大の処理能力で稼動させられる。
第1のライン10と第2のライン30とは近接して並設されることが好ましい。廃プラスチックの処理にはオペレータが必要な場合が多いので、第1のライン10と第2のライン30とを近接かつ並設することにより、一人のオペレータが両ライン10、30を担当可能となる。
【0014】
残渣処理部40の基本的機能は廃プラスチック系廃棄物が選別除去された混合廃棄物を再利用可能な材料にまで処理することにある。
実施例の残渣処理部40は第4〜第6の選別機41,43,47と破砕機45を備えている。
第1の選別機22で選別された第1のサイズ以下の混合廃棄物MX2は第4の選別機41において微粒子成分MX22が除去される。微粒子成分MX22はプラントの寿命を低下させる磨耗の原因となるからである。実施例では第3のサイズ(10mm)を基準にして振動ふるいを利用して当該第3のサイズ以下の混合廃棄物MX22(微粉末成分)と第3のサイズを越える混合廃棄物MX21とに選別する。プラントから排出されるこの微粉末成分MX22はセメント原料として用いることができる。
混合廃棄物MX21はブロア(第5の選別機)の発生する風により重比重物(無機材料)MX211と軽比重物(有機材料)MX212とに更に選別される。重比重物の混合廃棄物MX211は破砕機45へ送られる。プラントから排出される軽比重物の混合廃棄物MX212は可燃物であるので、これは燃料として利用できる。
【0015】
第5の選別機43から送られてくる10〜60mmサイズの重比重物からなる混合廃棄物MX211と第3の選別機25から送られてくる60〜250mmサイズの重比重物からなる混合廃棄物MX121とが共に破砕機45で破砕される。
【0016】
破砕機45で破砕された混合廃棄物MX3は第6の選別機47へ送られる。この第6の選別機47は、第4のサイズを基準として、混合廃棄物MX3を選別する。実施例では第4のサイズとして20mmを採用している。そして、当該第4のサイズを超える混合廃棄物MX31はモルタル等の建築用資材として使用される。第4のサイズ以下の混合廃棄物MX32はセメント原料として使用される。
【実施例】
【0017】
以下、この発明の実施例について説明する。
図2は実施例の廃棄物処理プラント50の平面図である。図3〜図6にはプラント50の部分断面図を示した。また、図7はプラント50の動作を示すフローシートである。
実施例の廃棄物処理プラント50は第1のライン60、選別部70、第2のライン90及び残渣処理部100とから大略構成される。
第1のライン60はコンベアラインからなり、廃プラスチックを導入するためのホッパ61とオペレータの立位置となる手選別所62が付設される。符号63は磁選機であって、廃プラスチック中に含まれる鉄等の磁性金属材料を吸着除去する。また、図7に示すように、塩素センサ65を配設することが好ましい。
【0018】
選別部70は図4〜図6に詳述されるように、ホッパ71、キャタピラコンベア73、急斜面コンベア75、トロンメル77、振動ふるい79及び異物選別機81を備えてなる。
トロンメル77は60mmの目を備え、混合廃棄物中の60mm以下の成分を落下させ、60mmを超える大きさの成分を振動ふるい79へ送る。振動ふるい79は250mmの目を備え、トロンメルから送られてきた混合廃棄物を250mmを越えるサイズを有するものと250mm以下のサイズのものとに分別する。250mm以下のサイズのものは異物選別機81へ送られる。異物選別機81は傾斜したベルトコンベアを備え、このベルトコンベアを傾斜方向下方へ進行させながら当該ベルトコンベアに沿って強い風を上方へ送る。これにより、所定の比重より軽いものは風により吹き上げられて第2のライン90へ供給される。他方、所定の比重より重いものは風で吹き上げられないので、ベルトコンベアに沿って残渣処理部100へ送られる。
【0019】
第2のライン90はコンベアラインからなり、選別部70で選択された60〜250mmサイズの廃プラスチック系廃棄物が異物選別機81から供給される。手選別所62、磁選機63及び塩素センサ65は第1のライン60と共通化されている。
【0020】
残渣処理部100にはトロンメル77で選別された60mmサイズ以下の混合廃棄物を処理する第1の処理ライン110、異物選別機81で選別された60〜250mmサイズの重比重物を貯留ポート208まで搬送する第2の処理ライン130、及び選別された残渣を破砕・選別する第3の処理ライン140を備えている。
【0021】
第1の処理ライン110において、第1のベルトコンベア111はトロンメル77の下方においてトロンメル77と並列に配置される。トロンメル77から落下した60mmサイズ以下の混合廃棄物はこの第1のベルトコンベア111にキャッチされて、第2のベルトコンベア113に受け渡される。第2のベルトコンベア113は第1のベルトコンベア111に対して直交して配置される。
第2のベルトコンベア113の終端は第2の振動ふるい115のホッパ114に対向している。第2の振動ふるい115は10mmの目を有し、トロンメル77において選別された60mm以下の混合廃棄物のうちの10mmサイズ以下の微粉末成分を選別除去する。更に、分別送風機119により混合廃棄物の移送方向へ風を送ることにより、軽比重の混合廃棄物を吹き飛ばす。このとき、10mmサイズ未満の微粉末成分の軽比重成分をも当該風に巻き込むことができる。10mm〜60mmサイズの混合廃棄物のうちの重比重物は風により飛ばされることなく第3のベルトコンベア121へ送られる。第3のベルトコンベア121の終端は貯留ポート208に達している。第3のベルトコンベア121には手選別所123が付設される。なお、図7に示すとおり、第1のベルトコンベア111及び第2のベルトコンベア113にかけて磁選機125を配設できる。
【0022】
第2の処理ライン130は第4のベルトコンベアからなり、手選別所133と磁選機135とが配設される。第4のベルトコンベア130の終端は貯留ポート208に達している。この第4のベルトコンベアは第2のベルトコンベア113と平行に配置することが好ましい。
貯留ポート208に貯留された混合廃棄物は重比重物であり、第3の処理ライン140のホッパ143へ投入され、第5のベルトコンベア145により破砕機147へ供給される。破砕機147で破砕された混合廃棄物は第6のベルトコンベア149により第3の振動ふるい151へ供給される。第3の振動ふるい151は20mmの目を有し、破砕された混合廃棄物を選別する。即ち、20mmサイズ以下の混合廃棄物はセメント原料として使用可能であり、20mmサイズを超える混合廃棄物はモルタル等の建築用資材として使用可能である。符号153及び符号155はそれぞれ第7及び第8のベルトコンベアである。
ここに、第5のベルトコンベア145を第3のベルトコンベア121へ近接してかつ平行に配置し、破砕機147を第2の振動ふるい115の近傍に配置することが省スペースの観点から好ましい。同様に、第5のベルトコンベア145は第4のベルトコンベア130とクロスすることが好ましい。破砕機147と第3の振動ふるい151とをつなぐ第6のベルトコンベア149も第4のベルトコンベア130とクロスしかつ第3のベルトコンベア121と平行に配置することが、省スペースの観点から、好ましい。
【0023】
次に、実施例の廃棄物処理プラント1の動作を図7に基づき説明する。なお、選別の基準については図1を参照されたい。
まず、廃プラスチックPLはプラント施設の第1の受入れポート201へ搬入される(図2参照)。搬入された廃プラスチックPLから鉄屑等が磁選機64で除去され、ホッパ61へ廃プラスチックPLが投入される。廃プラスチックPLは第1のライン60を構成するベルトコンベアで移送されながら、塩ビパイプ等、塩ビシート等、鉄屑、非鉄金属屑、塩素系残渣物が除去される。これらの異物は夫々の特性に応じて、再生資源となったり廃棄処分となったりする。最終的に残った廃プラスチックPLは破砕機66により破砕されて可燃フラフ化され、更にプレス機67により圧縮され、固形燃料として使用可能となる。
なお、この実施例では混合廃棄物から廃棄された第2の廃プラスチック系廃棄物MX112が混入され、当該第2の廃プラスチック系廃棄物MX112におけるプラスチック比率を制御可能である。もって、固形燃料における単位体積当たりの熱量を制御可能となる。
【0024】
混合廃棄物MXはプラント施設の第2の受入れポート203へ搬入される(図2参照)。搬入された混合廃棄物MXから鉄屑等が磁選機72で除去され、選別部70の固定グリズリータイプのホッパ71へ投入される。グリズリーのピッチは400mmであり、400mmサイズを超える混合廃棄物MXははじかれてキャタピラコンベア73に届かない。400mサイズを超える混合廃棄物MXはプラント施設内に設置された図示しない破砕機により破砕されて再度ホッパ71へ投入される。
混合廃棄物MXはキャタピラコンベア73及び急斜面コンベア75を介して第1の選別機としてのトロンメル77へ供給される。トロンメルの目は60mmであるので、60mmサイズを超える混合廃棄物MX1は第2の選別機としての第1の振動ふるい79へ落下供給される。他方、60mmサイズ以下の混合廃棄物MX2は第1のベルトコンベア111の上に落下する。
【0025】
第1の振動ふるい79は250mmの目を有するので、当該第1の振動ふるい79へ供給された混合廃棄物MX1において250mm以下のサイズのもの(混合廃棄物MX12)はベルトコンベア80へ落下する。このベルトコンベア80にも手選別所82が設けられる。250mmを越えるサイズの混合廃棄物MX11であって高比重物MX111は、第1の振動ふるい79の振動エネルギーにより遠くへ飛ばされる。その結果、プラント施設のがれきポート205へ排出される。他方、低比重物MX112は遠くへ飛ばされること無く第1のライン60へ供給される。ここにおいて、振動ふるい79の振動エネルギー(振幅、振動数)を調節することにより、所望の比重THw1を基準として混合廃棄物MX11を選別することができる。
【0026】
ベルトコンベア80上の混合廃棄物MX12は第3の選別機としての異物選別機81へ送られる。異物選別機81では、ベルトコンベアの角度及び送風機の風量を調整することにより所望の比重THw2を基準として混合廃棄物MX12を選別する。即ち、混合廃棄物MX12において重比重物MX121は残渣処理部100の第4のベルトコンベア130へ送られ、貯留ポート208に蓄積される。低比重物122は第2のライン90へ送られる。
ここに、第2のライン90は第1のライン60と近接してかつ平行に配置されている。そして、第1のライン6030と同様に、塩ビパイプ等、塩ビシート等、鉄屑、非鉄金属屑、塩素系残渣物が除去される。これらの異物は夫々の特性に応じて、再生資源となったり廃棄処分となったりする。最終的に残った廃プラスチックPLは破砕機66により破砕されて可燃フラフ化され、更にプレス機67により圧縮され、固形燃料として使用可能となる。
第2のライン90を第1のライン60と並設することにより、異物を除去するための各種装置や廃プラスチックを破砕、圧縮する装置の共用化が可能となる。
また、第2のライン90へ送られる第1の廃プラスチック系廃棄物のプラスチック比率は第3の選別機により調整可能である。その結果、第2のライン90から得られる燃料の単位体積当たりの熱量が制御可能となる。
【0027】
トロンメル77により選別された60mmサイズ以下の混合廃棄物MX2は第1のベルトコンベア111及び第2のベルトコンベア113を介して第4の選別機としての第2の振動ふるい115へ供給される。第1及び第2のベルトコンベアに対向して磁選機125を配置し、混合廃棄物MX2から鉄屑等を除去することが好ましい。
第2の振動ふるい115は10mmの目を備えるので、10mm以下のサイズの混合廃棄物MX22は第1の再生資材ポート206へ蓄積される。10mmを超えるサイズの混合廃棄物MX21を第3のベルトコンベア121へ落下させる際に分別送風機119から風を当てる。風の強さに応じて所望の比重THw3以下の比較的軽比重の混合廃棄物MX212は第3の再生資材ポート207へ吹き飛ばされる。他方、THw3を越える比較的高比重の混合廃棄物MX211は第3のベルトコンベア121上に落下して、貯留ポート208へ蓄積される。
上記において、第1の再生資材ポート206に蓄積される微粉末の混合廃棄物MX22はセメント原料として使用できる。第2の再生資材ポート207に蓄積される軽比重の混合廃棄物MX212は木材、プラスチック、紙類その他の可燃性材料であるため、これをプレスすることより燃料として使用できる。
【0028】
貯留ポート208に蓄積された高比重の、即ち無機材料からなる混合廃棄物MX211、MX121は破砕機147で破砕され(混合廃棄物MX3)、第3の振動ふるい151へ供給される。第3の振動ふるい151は20mmの目を有するので、20mm以下のサイズの混合廃棄物MX32は第7のベルトコンベア153により第3の再生資材ポート210へ蓄積される。かかる小径かつ高比重の混合廃棄物MX32はセメント原料として使用できる。他方、20mmを超えるサイズの混合廃棄物MX31は第8のベルトコンベア155により第4の再生資材ポート213へ蓄積される。かかる比較的大径かつ高比重の混合廃棄物MX32はモルタル等の建築用資材として使用できる。
【0029】
上記において、各選別機における閾値(目の大きさ、比重)は任意に変更可能なことはいうまでもない。
以上説明したように、この実施例の廃棄物処理プラントによれば、建築廃材等に起因する混合廃棄物のリサイクルを可能とする。また、廃プラスチックの処理ラインと混合廃棄物の処理ラインとの最適な並設態様を示す。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1はこの発明の実施例の廃棄物処理プラントの概略構成図である。
【図2】図2は同じく実施例の廃棄物処理プラントの平面図である。
【図3】図3は図2におけるA−A矢視線断面図である。
【図4】図4は図2におけるB−B矢視線断面図である。
【図5】図5は図2におけるC−C矢視線断面図である。
【図6】図6は図2におけるD−D矢視線断面図である。
【図7】図7は実施例の廃棄処理プラントの動作フロー図である。
【符号の説明】
【0031】
1,50 廃棄物処理プラント
10,60 第1のライン
20,70 選別部
30,90 第2のライン
40,100 残渣処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを処理する第1のラインと
混合廃棄物から廃プラスチック系廃棄物を選別する選別部と、
前記選別部で前記混合廃棄物から選別された前記廃プラスチック廃棄物を処理する第2のラインと、
前記選別部で選別された前記廃プラスチック系廃棄物以外の前記混合廃棄物の残渣を処理する残渣処理部と、を備え、
前記第1のラインと第2のラインが並設されている、ことを特徴とする廃棄物処理プラント。
【請求項2】
前記選別部は前記混合廃棄物に含まれる所定のサイズを超える第2の廃プラスチック系廃棄物を前記第1のラインへ供給する手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理プラント。
【請求項3】
前記選別部は、第1のサイズを基準に前記混合廃棄物を選別する第1の選別機と、
前記第1の選別機で選別された前記第1のサイズを超える前記混合廃棄物を選別する第2の選別機であって、第2のサイズを超える混合廃棄物において第1の比重以下の比重の混合廃棄物を前記第1のラインへ供給する第2の選別機と、
前記第2の選別機で選別された前記第2のサイズ以下の混合廃棄物を選別する第3の選別機であって、第2の比重以下の比重の混合廃棄物を前記第2のラインへ供給する第3の選別機と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理プラント。
【請求項4】
前記残渣処理部には、
前記第1の選別機で選別された前記第1のサイズ以下の混合廃棄物から第3のサイズ以下の微粒子成分を除去する第4の選別機と、該第4の選別機で選別された第3のサイズを超える前記混合廃棄物において第3の比重を超えるものを選別する第5の選別機とが備えられ、
前記第5の選別機で選別された前記混合廃棄物と、前記第3の選別機で選別された前記第2の比重を越える比重の混合廃棄物とを破砕する破砕機と、
該破砕機で破砕された混合廃棄物を第4のサイズを基準にしてセメント原料と建築用資材とに選別する第6の選別機、とを備えることを特徴とする請求項3に記載の廃棄物処理プラント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−36163(P2010−36163A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204904(P2008−204904)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(508242241)株式会社グローバルエコロジー (2)
【Fターム(参考)】