説明

廃棄食品のリサイクルシステム

【課題】食品販売店から大量に廃棄される食品に対して、夫々の食品に対応した適切な処理を施すことにより、効率的な循環型廃棄食品のリサイクルシステムを提供する。
【解決手段】廃棄食品が一括して収集されるリサイクルセンタ200を備え、該リサイクルセンタ200は、廃棄食品保管部201と、食品中の脂肪分含有量に応じて分別する分別処理を施す前処理部202と、再資源化処理を施す再資源化処理部203と、再資源化製品を保管する出荷用保管部204とを備え、前記再資源化処理部203が、低脂肪系廃棄食品の一部を乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造する低脂肪系乾燥飼料を製造する低脂肪系乾燥飼料製造ライン203bと、他の低脂肪系廃棄食品を乳酸発酵させて液状発酵飼料を製造する液状発酵飼料製造ライン203aと、高脂肪系廃棄食品を乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料を製造する高脂肪系乾燥飼料製造ライン203bと、を含む構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストア等の食品販売店で大量に発生する消費期限切れまたは賞味期限切れの廃棄食品を収集し、これを適切に処理することにより付加価値の高い再資源化製品としてリサイクルすることを可能とした廃棄食品のリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア、スーパーマーケット又はデパート等の食品販売店では、弁当や惣菜などの調理食品は、合成樹脂製の弁当箱やトレイに入れられ、合成樹脂製の蓋やラップで覆われている。例えば、トレイ入り弁当やカップ形状食品、アルミ鍋式インスタント食品、あるいは飲料では、紙パック入り飲料等が挙げられる。また、調理パンやおにぎりは、合成樹脂フィルムの袋に入れられて販売されている。
【0003】
このように包装された食品は、季節による保存温度や販売時における環境変化から消費期限或いは賞味期限が定められている。これらの包装食品は、賞味期限が経過すると商品として販売することができないため、店頭から取り除かれて廃棄される。一般に廃棄食品はごみ処理場にて焼却、埋め立て処分されていたが、近年、埋立地の逼迫化や資源の有効利用、食品廃棄物の排出削減を目的として、これらの廃棄される食品をリサイクルして有効利用することが求められている。
【0004】
廃棄食品の有効利用を図る技術として、例えば、特許文献1(特開2003−88838号公報)には、外食産業や食品製造所等から排出される食品廃棄物を蒸洗、乾燥して脱油乾燥飼料を生産したり、あるいは食品廃棄物をメタン発酵させて高カロリーガスを得たり、あるいは食品廃棄物を乳酸発酵させて発酵混合飼料を生産するシステムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2006−136858号公報)には、排出事業所、リサイクルセンタ及び生産者の間の流通を管理する事務局がトレーサビリティを導入した食物残渣資源リサイクル方法が提案されている。これは、食物残渣を乾燥資源にする排出事業所と、乾燥資源を有機質肥料又は飼料に再資源化するリサイクルセンタと、有機質肥料又は飼料を利用してを生産物を生産する生産者と、排出事業所、リサイクルセンタ及び生産者の間の栽培又は飼育から加工、製造、流通までの過程を管理する事務局と、排出事業所に生ゴミ処理機を販売する事務局と提携した販売代理店と、生産者に対し栽培状況又は飼育状況における認証又は指導等をしたり、肥料、土壌又は生産物の分析を行う事務局と提携した提携機関とからなる構成となっており、これにより食品残渣を効率的に再資源化することが可能となるとともに、これらの循環を全体的に追跡管理することで安全性が高まるものである。
【0006】
【特許文献1】特開2003−88838号公報
【特許文献2】特開2006−136858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来より食品残渣を循環リサイクルして有効利用する方法が提案されているが、食品販売店から排出される廃棄食品には種々雑多な食品残渣が含まれているため、それらを分別することが困難であり、そのため、従来の処理方法では、付加価値の高い良質の製品を製造することが困難であり、実際に循環型食品リサイクルを実現することは難しかった。
また、特許文献1の処理方法では処理工程が複雑になる上に、設備費が高価になるという問題がある。さらに、特許文献1及び特許文献2には、廃棄食品若しくは再資源化製品の保管について記載されていないが、これらの保管が適切になされていないとリサイクル原料として利用不可となったり製品としての価値が下がるなどして、循環型リサイクルシステム構築の障害となる惧れがある。
【0008】
また、家畜用飼料の場合、一般的に、豚用飼料は脂肪分が多いと、価値が下がってしまう。これに対して、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等から廃棄される弁当類のおかず類や惣菜類は脂肪分が高く、豚用飼料としては不向きである。一方、鶏用の飼料では脂肪分の量は豚用ほど制約されないと考えられる。一般的に流通している豚用飼料は、配合飼料が主となっているが、この配合飼料のうち、主要成分はトウモロコシ等の穀物類である。しかし、最近になってエネルギ需要の変化のために、トウモロコシの国際相場が高騰している。
【0009】
一方、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の廃棄食品中、おにぎり、菓子パン、弁当のご飯などは、良質で低脂肪の穀物類が多いため、これらの廃棄食品を低コストで豚用飼料として再利用できれば、良質の豚用飼料を製造できるとともに、豚用飼料の製造コストを低減することができる。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、食品販売店から大量に廃棄される食品に対して、夫々の食品に対応した適切な処理を施すことにより付加価値の高い製品を製造し、効率的な循環型リサイクルシステムを形成することを可能とした廃棄食品のリサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明の廃棄食品のリサイクルシステムは、
コンビニエンスストア等の食品販売店より排出された消費期限切れまたは賞味期限切れの廃棄食品から他の製品を製造して需要者へ販売し、前記廃棄食品の再生利用を促進するようにした廃棄食品のリサイクルシステムにおいて、
前記食品販売店から排出された前記廃棄食品が一括して収集されるリサイクルセンタを備えており、
前記リサイクルセンタは、少なくとも低温に維持された低温保管室を備えた廃棄食品保管部と、前記廃棄食品保管部から搬送された廃棄食品を、該食品中の脂肪分含有量に応じて分別する分別処理を含む前処理を施す前処理部と、前記前処理後の廃棄食品のうち、脂肪分含有量の異なる廃棄食品に対して夫々異なる再資源化処理を施す再資源化処理部と、該再資源化処理部にて製造された製品を出荷前に保管する出荷用保管部と、を備え、
前記再資源化処理部が、低脂肪系廃棄食品の一部を乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造する低脂肪系乾燥飼料製造ラインと、他の低脂肪系廃棄食品を乳酸発酵させて液状発酵飼料を製造する液状発酵飼料製造ラインと、高脂肪系廃棄食品を乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料を製造する高脂肪系乾燥飼料製造ラインと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記リサイクルセンタにて、前記需要者の製品需要に応じて前記廃棄食品保管部から夫々の前記製造ラインへ送られる廃棄食品量が調整されるようにしたことを特徴とする。
さらに、前記食品販売店から排出された前記廃棄食品を前記リサイクルセンタに輸送する輸送手段を備え、前記輸送手段が、前記廃棄食品に適した温度で低温保管する低温保管手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前記前処理部では、脂肪分含有量に応じて分別困難な廃棄食品を分離する構成を備え、前記再資源化処理部が、前記分別困難な廃棄食品を堆肥化して堆肥を製造するか、又はメタン発酵してバイオガスを製造する堆肥化/メタン発酵ラインを備えたことを特徴とする。
さらに、前記前処理部では、前記再資源化処理部にて処理困難な種類の廃棄食品を分離する構成を備え、該廃棄食品を他の再資源化処理場へリサイクル原料として搬送するようにしたことを特徴とする。
さらにまた、前記リサイクルセンタに加えて、該リサイクルセンタにて製造した飼料が供給される畜産業者と、該畜産業者にて生産された畜肉を原料とし前記食品販売店へ供給する食品が製造される食品工場と、を備えることにより循環型食品リサイクルシステムが形成されるようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明において、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品として脂肪分含有量に応じて分別可能な廃棄食品としては、主として、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、若しくはデパートの食品売り場等から廃棄される包装食品である。一方、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別するのが困難な廃棄食品は、主として、病院、学校又はレストラン等で給食用として調理され供された食品の残りである前記消費系廃棄食品である。
【0014】
ただし、コンビニ等から廃棄された食品でも、包装されていないものがある。例えば、中華まん、おでん、やきとり等のくし物などがあり、これらの廃棄食品は、一部を除き
低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別することが困難であるので、堆肥製造の原料として堆肥化処理されるか、又はバイオマスの原料としてメタン発酵処理されるを選択される。一方、消費系廃棄食品の中でも、分別可能な野菜類は液状発酵飼料の原料となり得るので、液状発酵飼料の製造ラインに回すことができる。
また、紙パックに入った牛乳、あるいは合成樹脂製容器等に入ったプリン、ヨーグルト等の乳飲料系廃棄食品は、分別して乳酸発酵に利用できるため、液状発酵飼料の製造工程に回すことができる。
【0015】
集積された廃棄食品の分別作業は、主として作業員が手動で行なうが、あるいは従来公知の半自動化された機械を使って行なってもよい。
分別可能な廃棄食品から分別された低脂肪系廃棄食品は、一部を乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造し、残りは乳酸菌により発酵処理して液状発酵飼料を製造する。これによって、豚用として好適な低脂肪系乾燥飼料を製造することができる。
【0016】
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等から廃棄される消費期限切れまたは賞味期限切れの食品には、おにぎり、菓子パン、弁当のご飯など良質の低脂肪な穀物類が多く含まれ、これらの低脂肪系廃棄食品から高脂肪系廃棄食品を分別することによって、良質の低脂肪系乾燥飼料を大量に製造することができる。
【0017】
分別可能な廃棄食品から低脂肪系廃棄食品を分別した後には、サンドイッチや弁当のおかず類など、脂肪分を多く含むものが必然的に残る。これも栄養分がある程度一定となっておれば、配合飼料に混合することが可能になる。鶏用の飼料としては脂肪分が多くても使用可能である。従って、低脂肪系廃棄食品を分別した後の残った高脂肪系廃棄食品を乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料を製造することにより、主として鶏用の飼料として利用することができる。なお、他の飼料との配合割合の制限は受けるが、豚用としても使用可能である。また、高脂肪系乾燥飼料は、ペットフードや魚餌等のようにペットや観賞用動物などの家畜以外の動物用飼料(餌)としても好適に用いられる。
【0018】
また、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系乾燥飼料に分別できない廃棄食品、主として前記消費系廃棄食品は、堆肥化して堆肥を製造するか、又はメタン発酵してバイオガスを製造するかのいずれかのラインを選択する。堆肥化は、好気性菌によって廃棄食品を分解する発酵作用であり、メタン発酵は嫌気性菌によって廃棄食品を分解する発酵作用である。そのため、対象となる廃棄食品を堆肥化に向く廃棄食品とメタン発酵に向く廃棄食品とに分別してそれぞれのラインに振り分ける。
【0019】
このように、本発明によれば、各所から集積した廃棄食品から、豚用飼料として好適な良質の低脂肪系乾燥飼料及び液状発酵飼料と、鶏用飼料若しくはペットフードや魚餌等として好適な良質の高脂肪系乾燥飼料を同時に製造できる。さらに、かかる分別が困難な廃棄食品から堆肥やエネルギ源となるバイオガスを生成することができる。また、廃棄食品を低脂肪系廃棄食品、高脂肪系廃棄食品、及びこれらに分別できないその他の廃棄食品に分別した後で、それぞれの廃棄食品に再資源化処理を施すため、処理ラインを簡素化でき、これによって、低コストな飼料を製造することができる。
【0020】
また、本発明のごとく、需要者の製品需要に応じて前記廃棄食品保管部から夫々の前記製造ラインへ送られる廃棄食品量が調整される構成とすることにより、再資源化製品に大量の余剰が生じたり、再資源化原料の不足により再資源化製品が製造できなかったりすることを防ぎ、効率的なリサイクル処理が可能となる。
また、輸送手段に低温保管手段を備えたり、リサイクルセンタの廃棄食品保管部若しくは出荷用保管部に低温保管手段を備えることにより、廃棄食品や再資源化製品を最適な状態で保管することが可能となり、製品の価値を低下させることなく保持することが可能である。
さらに、再資源化処理部にて処理困難な種類の廃棄食品は、他の再資源化処理場へリサイクル原料として搬送する構成とすることにより、廃棄食品の実際の廃棄量を最小限に抑えることが可能となる。
さらにまた、本発明に示した構成を備えるとともに、前記リサイクルセンタに加えて、畜産業者と、食品工場とを備えることにより、効率的な循環型食品リサイクルシステムを構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、食品販売店から大量に廃棄される食品に対して、リサイクルセンタにて夫々の食品に対応した適切な再資源化処理を施すことにより付加価値の高い製品を製造し、効率的な循環型リサイクルシステムを形成することを可能とした。
また、各所から集積した廃棄食品のうち、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品に分別可能な廃棄食品から、豚用飼料として好適な良質の低脂肪系乾燥飼料及び液状発酵飼料と、主に鶏用飼料として好適な良質の高脂肪系乾燥飼料を同時に製造できる。さらに、前記分別が困難な廃棄食品から堆肥やエネルギ源となるバイオガスを生成することができる。従って、大量に廃棄される食品の有効利用を可能にする。
【0022】
また、廃棄食品を低脂肪系廃棄食品、高脂肪系廃棄食品、及びこれらに分別できないその他の廃棄食品に分別した後で、それぞれの廃棄食品に再資源化処理を施すため、処理工程を簡素化でき、これによって、低コストな飼料を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態)
【0024】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態である循環型リサイクルシステムの概略につき説明する。
同図において、複数の食品販売店A(210)、食品販売店B(211)、・・・、から排出された消費期限切れまたは賞味期限切れの廃棄食品は、容器に収納された状態のままで輸送手段215にてリサイクルセンタ200に一括して収集される。前記食品販売店は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、若しくはデパートの食品売り場等の生鮮食品や調理食品等の食品を販売する店舗である。前記輸送手段215は、輸送する廃棄食品に応じて低温保管庫を備えるとよい。
【0025】
リサイクルセンタ200では、収集された廃棄食品を原料として、種々の再資源化処理が行われ、再資源化製品である飼料が製造される。この具体的な構成については後述する。
前記リサイクルセンタ200にて製造された飼料は、複数の畜産業者A(230)、畜産業者B(231)、・・・、に夫々の需要に応じて供給される。また、リサイクルセンタ200にて再資源化処理が困難な食品については、他の再資源化処理場220にリサイクル原料として送給することが好ましい。
さらに、前記畜産業者にて生産された鶏肉、豚肉、牛肉等の畜肉は、夫々食品工場240に輸送され、ここで調理等の加工がなされた後、前記食品販売店に搬送される。尚、食品工場240は、加工種類等に応じて複数存在するものである。
【0026】
前記リサイクルセンタ200は、少なくとも低温に維持された低温保管室を備えた廃棄食品保管部201と、該廃棄食品保管部201から取り出された廃棄食品を、該食品中の脂肪分含有量に応じて分別する分別処理を含む前処理を施す前処理部202と、該前処理後の廃棄食品のうち、脂肪分含有量の異なる廃棄食品に対して夫々異なる再資源化処理を施す再資源化処理部203と、該再資源化処理部203にて製造された製品を出荷前に保管する出荷用保管部204と、を備えている。
【0027】
前記廃棄食品保管部201は、リサイクルセンタ200に収集された廃棄食品が最初に持ち込まれる所であり、上記したように低温保管室を備えるとともに、常温保管が適している廃棄食品を保管するための常温保管室を備えることが好ましい。
前記前処理部202は、再資源化処理を施す廃棄食品が持ち込まれ、ここで仕分け、容器の開封等の前処理が必要に応じて行われるとともに、廃棄食品の脂肪分含有量に応じて分別される。このとき、少なくとも低脂肪系廃棄食品と高脂肪系廃棄食品とに分別される。さらに、脂肪分含有量に応じて分別することが困難な廃棄食品も分別することが好ましい。分別後の廃棄食品は、必要に応じて破砕された後、再資源化処理部203に搬送される。尚、廃棄食品の回収、搬送に用いられた通い容器(例えばコンテナ等)は、前処理部202で回収され、空容器保管部202aにて必要に応じて洗浄、乾燥された後、再度食品販売店210、211に送って次回の廃棄食品の回収、搬送に用いられる。
【0028】
前記再資源化処理部203は、低脂肪系廃棄食品の一部を乳酸発酵させて液状発酵飼料を製造する液状発酵飼料製造ライン203aと、他の低脂肪系廃棄食品及び高脂肪系廃棄食品を夫々乾燥処理して乾燥飼料を製造する乾燥飼料製造ライン203bとを少なくとも備える。ここで、前記乾燥飼料製造ライン203bは、低脂肪系廃棄食品の他の一部を乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造する低脂肪系乾燥飼料製造ライン(図示略)と、高脂肪系廃棄食品を乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料を製造する高脂肪系乾燥飼料製造ラインとを備える。これらの再資源化処理の具体的構成については、図2乃至図12を用いて後述する。
【0029】
このようにして各ラインにより得られた液状飼料、乾燥飼料等の再資源化製品は、出荷用保管部204(204a、204b)にて、需要者(畜産業者)に輸送されるまで一時的に保管されるようになっている。ここで、出荷用保管部204は、図示されるごとく独立して設けたスペースであってもよいし、或いは各ライン内の空スペースを利用してもよい。また、出荷用保管部204は、再資源化製品を一定期間保管する場合、或いは製造された後すぐに出荷する場合の何れにも対応できるようになっている。
上記したように本実施例では、前記輸送手段215、廃棄食品保管部201が夫々低温保管手段等の温度調整手段を備える構成とすることにより、再資源化原料を最適な状態に保持して処理を効率化し、製品の付加価値を高くすることができるため循環型リサイクルシステムを実現可能な効率のよいシステムとすることが可能である。
【0030】
また、本実施形態では、前記リサイクルセンタ200にて、再資源化製品需要者の需要に応じて前記廃棄食品保管部201から夫々の前記製造ラインへ送られる廃棄食品量が調整されるように構成することが好ましい。これにより、再資源化製品に大量の余剰が生じたり、再資源化原料の不足により再資源化製品が製造できなかったりすることを防ぎ、効率的なリサイクル処理が可能となる。
また、前記前処理部202では、脂肪分含有量に応じて分別困難な廃棄食品を分離する構成を備え、該再資源化処理部203が、前記分別困難な廃棄食品を堆肥化して堆肥を製造するか、又はメタン発酵してバイオガスを製造する堆肥化/メタン発酵ライン(何れも図示略)を備えることが好ましい。
さらに、前記前処理部202では、前記再資源化処理部203にて処理困難な種類の廃棄食品を分離する構成を備え、該廃棄食品を他の再資源化処理場220へリサイクル原料として搬送するとよく、これにより廃棄食品の実際の廃棄量を最小限に抑えることが可能となる。
【0031】
上記したように本実施形態によれば、食品販売店210、211から大量に廃棄される食品に対して、リサイクルセンタ200にて夫々の食品に対応した適切な再資源化処理を施すことにより付加価値の高い製品を製造し、効率的な循環型リサイクルシステムを形成することを可能とした。
【0032】
次に、図2乃至図12を参照して、上記実施形態について具体的な例を挙げて説明する。図2は本実施形態に係る処理工程のブロック線図である。図2において、廃棄食品の再資源化処理を行うための廃棄食品の集積場1には、主として、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、若しくはデパートの食品売り場、量販店、又は食品工場、コンビニベンダー等から消費期限切れまたは賞味期限切れで廃棄された廃棄食品aや、主として、レストランや学校、病院等で給食用として調理された食品の残りとして廃棄された消費系廃棄食品bが集積される。
【0033】
廃棄食品aには主として前述の包装食品が含まれるが、一方で、包装されていない食品、例えば、中華まん、おでん、やきとり等のくし物などが雑多に混じった廃棄食品も含まれる。一方、消費系廃棄食品bは、種々雑多に混じった廃棄食品が主であるが、野菜系廃棄食品のように分別可能なものも含まれる。
【0034】
集積された廃棄食品a及びbは、まず前処理場2で前処理として、作業員による手作業又は半自動化された従来公知の手段により、低脂肪系廃棄食品c、包装廃棄食品d、高脂肪系廃棄食品e、野菜系廃棄食品f、飲料系廃棄食品g、及びその他残りの種々雑多な廃棄食品が混ざったその他の廃棄食品hに分類される。
【0035】
低脂肪系廃棄食品cは、主として、ご飯、麺類、パン類等の炭水化物等を含んでいる。低脂肪系廃棄食品cは、低脂破袋機3で低脂肪系廃棄食品c中に混入する柔らかいフィルム状の袋を破断して該袋中の廃棄食品を取り出す。その後、低脂肪系廃棄食品cの一部は低脂乾燥機4に送られ、低脂乾燥機4で乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造する。低脂肪系廃棄食品cの残りは、液状発酵飼料を製造するため、水分量調整タンク5に送られる。
【0036】
高脂肪系廃棄食品eは、主として、弁当のおかず類や惣菜などの高脂肪系の調理食品である。高脂肪系廃棄食品eは、高脂破袋機7を経た後、高脂乾燥機8に送られて乾燥処理され、高脂肪系乾燥飼料となる。
【0037】
包装廃棄食品dは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、デパートの食品売り場などで販売されている、例えば、トレイや弁当箱に入った食品やカップ形状食品、あるいはアルミ鍋式インスタント食品などである。包装材としては、合成樹脂製の容器やフィルムのほか、紙パックやアルミ箔などがある。
【0038】
包装廃棄食品dは、トレーカッタ6で包装材を破断し、内部の廃棄食品を取り出す。その後、取り出した廃棄食品を低脂肪系廃棄食品と高脂肪系廃棄食品とに分別し、分別された低脂肪系廃棄食品は、低脂破袋機3の上流側で低脂肪系廃棄食品cに合流し、一方、分別された高脂肪系廃棄食品は、高脂破袋機7の上流側で高脂肪系廃棄食品eに合流する。
【0039】
野菜系廃棄食品fは、破砕機9で破砕された後、低脂肪系液状発酵飼料の原料として水分量調整タンク5に入れられる。
飲料系廃棄食品gは、飲料系砕袋機10で紙パック等の包装材を破断され、該包装材を分離した後、飲料受けタンク11に入れられる。
【0040】
その他の廃棄食品hには、例えば、学校、病院で供された給食から排出された味噌汁や、コンビニ、スーパー等で廃棄されたおでんややきとり等のくし物、その他、つけ物や、中華まん、ハンバーグ、エビフライなど種々雑多な廃棄食品が混ざっている。従って、その他の廃棄食品hからは、低脂肪系廃棄食品又は高脂肪系廃棄食品を分別できないので、破砕機12を経た後、堆肥化処理に好適なものは乾燥機13で乾燥処理され、その後堆肥化装置14に送られ、堆肥化される。そして、その他の廃棄食品hのうちメタン発酵処理に好適なものは、メタン発酵装置15に送られ、バイオガス生成の原料となる。
【0041】
次に分別された各廃棄食品の処理工程を具体的に説明する。図3において、低脂肪系廃棄食品cが原料前処理ゾーン2からコンベア31で搬送されて低脂破袋機3に投入される。低脂破袋機3では、低脂肪系廃棄食品cを包む柔らかいフィルム状の包みが破られ、風力選別により破袋と低脂肪系廃棄食品cとが分離される。低脂肪系廃棄食品cは、低脂破袋機3から従来公知の構成を有するサークルフィーダ32に排出され、ここで2系統の搬送路33及び34に分配される。
【0042】
搬送路33に分配された低脂肪系廃棄食品cは、低脂乾燥機4に送られ、低脂乾燥機4で乾燥処理されて低脂肪系乾燥飼料となる。一方、搬送路34に分配された低脂肪系廃棄食品cは、水分量調整タンク5a又は5bに送られて、液状発酵飼料の原料となる。
【0043】
次に、高脂肪系廃棄食品eが原料前処理ゾーン2からコンベア71で搬送されて高脂破袋機7に投入される。高脂破袋機7は低脂破袋機3と同一の構成を有する。高脂破袋機7で風力分別により破袋と分離された高脂肪系廃棄食品eは、高脂破袋機7から従来公知の構成を有するサークルフィーダ72に排出され、ここで2系統の搬送路73及び74に分配される。搬送路73に排出された高脂肪系廃棄食品eは、高脂乾燥機8aに送られ、搬送路74に排出された高脂肪系廃棄食品eは、高脂乾燥機8bに送られる。
【0044】
野菜系廃棄食品fは、原料前処理ゾーン2からコンベア91で搬送され、破砕機9に送られる。破砕機9で破砕された野菜系廃棄食品fは、液状発酵飼料の原料として搬送路92を経て水分量調整タンク5a又は5bに送られる。
次に、飲料系廃棄食品gは、原料前処理ゾーン2からコンベア101で搬送され、飲料系砕袋機10に送られる。飲料系砕袋機10で飲料系廃棄食品gが入ったペットボトル又は紙パック等の可撓性容器を破断し、該可撓性容器と飲料系廃棄食品gとを分離する。分離された飲料系廃棄食品gは、飲料受けタンク11に貯留される。
【0045】
次に、その他の廃棄食品hは、原料前処理ゾーン2からコンベア121で破砕機12に搬送される。破砕機12で破砕処理されたその他の廃棄食品hのうち、堆肥化処理に好適なものは、搬送路122を通って乾燥機13に送られ、乾燥機13で乾燥処理される。その後、コンベア131で堆肥化装置14に送られ、堆肥化される。破砕機12で破砕されたその他の廃棄食品hのうちメタン発酵処理に好適なものは、搬送路123をコンテナでメタン発酵装置15に運ばれ、バイオガスを成形するための原料となる。
【0046】
なお、包装廃棄食品dは、トレーカッタ6により包装材が破断され、包装材を除去した後、低脂肪系廃棄食品と高脂肪系廃棄食品とに分離されるが、ここでトレーカッタ6の構成を図4及び図5に基づいて説明する。図4はトレーカッタ6の立面図、図5はトレーカッタ6の搬送コンベア61の平面図である。
【0047】
図4及び図5において、トレーカッタ6は、主として、包装食品を搬送する搬送コンベア61と、搬送コンベア61上の包装廃棄食品dを押圧支持する周回体621及び搬送された包装廃棄食品dを切断するカッター622を備えたカッターユニット62と、切断時に飛散される廃棄食品や水分などを受ける水受皿63と、フレーム64によって構成されている。また図示されないが、トレーカッタ6の正面扉や側面扉、包装廃棄食品dを投入する投入部65及び包装廃棄食品dを排出する排出部66などの各部に安全カバーが設けられている。
【0048】
投入部65より投入された包装廃棄食品dは、搬送コンベア61を用いて最大30m/minで搬送され、周回体621により押圧支持される。搬送コンベア61と周回体621に狭持された包装廃棄食品dはカッター622により略中央部を切断され、排出部66より排出される。
投入部65では、人手によるか、自動投入装置によって包装廃棄食品dが搬送コンベア61の略中央部に載置されるように投入する。なお、包装廃棄食品dは搬送コンベア61の1つの仕切り空間に1個載置することが好ましい。その際、包装廃棄食品dは1分間につき100個連続的に切断することが可能である。
【0049】
周回体621は、一対のチェーンコンベアを周回方向に空隙を持たせて隣接配置されたものを用いる。周回体621は、その周回体621に係合して作動するスプロケットを有しており、図4に示すように、投入部側スプロケット623が排出部側スプロケット624よりも上方に設けられている。また、カッター622の取付部上方に位置する周回体621の周回位置を局部的に拡幅化する引張り手段が設けられている。なお、本実施形態では前記引張り手段として、テンショナー67を用いるが、周回体621の周回位置を局部的に拡幅化するのであれば、引張り手段はテンショナーだけに限定されない。
【0050】
搬送コンベア61は、図5に示すように、外周面に仕切り空間を形成した一対のコンベアベルトをベルト周回方向pに空隙を持たせて隣接配置されている。仕切り空間は、図5(a)に示すように、コンベアベルト外周側に複数設けられた仕切り611により形成されている。そして、図5(b)のように、搬送コンベア61の仕切り空間に載置された包装廃棄食品dは、周回方向pに向って搬送される。
【0051】
本実施形態では、搬送コンベア61として、2分割桟付きプラスチックベルトコンベアを用いており、仕切り空間の幅を略150mmとした。プラスチックベルトコンベアを用いることにより、廃棄食品や廃棄食品に含まれる調味料が飛散しても腐食しにくく、容易に洗浄することが可能である。また、洗浄性を考慮し、動力として、インバータ制御による全閉外扇型若しくは防水ブレーキ付きモーターを使用している(トレーカッタ6のさらなる詳細構成は特願2007−106398号の明細書及び図面を参照)。
【0052】
次に、低脂乾燥機4の下流側の処理ラインによる低脂肪系乾燥飼料の製造工程を説明する。図6は低脂乾燥機4の下流側の処理工程を示す系統図、図7は低脂乾燥機4の縦断立面図、図8は同じく側面図である。図6〜7において、搬送路33を空気輸送されてきた低脂肪系廃棄食品cは、低脂乾燥機4のハウジング41の長手軸方向に間隔を置いて分散配置された投入口411a〜cから低脂乾燥機4内に投入される。低脂乾燥機4の内部には、水平方向に配置された回転軸42が設けられ、回転軸42は、ハウジング41の両外側に配置された支持台421によって回転可能に支持されている。低脂乾燥機4の外部に設けられた駆動モータ43の出力が駆動力伝達装置44を介して回転軸42に伝達される。
【0053】
低脂乾燥機4で乾燥処理された低脂肪系廃棄食品cは、ハウジング41の一端側の底面に設けられた排出口45a及びハウジング41の側面に設けられた排出口45bから排出され、コンベア451を経て分級装置452に達する。分級装置452で粗い粒子の低脂肪系廃棄食品cが除去され、均一な粒子となった低脂肪系廃棄食品cは,冷却装置453で冷却される。その後マグネットセパレータ454で金属類が除去されて、製品ホッパ455に貯留されて、低脂肪系乾燥飼料F1として出荷される。
【0054】
また、乾燥促進のためのキャリアガス取り入れ口412が設けられている。キャリアガス導入の目的は、乾燥機内部での水分蒸発を促進することにあり、外気を一定量低脂乾燥機4の内部に送り込み、内部で蒸発した水分と一緒に排ガス排出口46から排出する。低脂乾燥機4の排出口46から排出される排ガスcgは、集塵器461で除塵された後、コンデンサ462で冷却される。その後、排ガスcgは水封ポット463で凝縮水が除去された後、図示しない脱臭装置に送られて脱臭処理される。
【0055】
図7及び図8において、低脂乾燥機4は、ハウジング41の上部に長手軸方向に間隔を置いて分散配置された低脂肪系廃棄食品cの投入口411a〜cと排ガス排出口46が設けられている。ハウジング41の内部で、回転軸42に回転体47が取り付けられている。回転体47には両側に鏡板471が設けられ、両鏡板471の内側に管板472が設けられている。そして、該管板472間に多数の中空管473が架設されている。
【0056】
回転軸42の駆動側端には、駆動モータ43の駆動力を伝達するチェーン441が巻装されたスプロケット442が装着され、かかる構成の駆動力伝達装置44によって回転軸42が回転する。また、回転軸42の内部には軸方向に沿って蒸気流通孔422が穿設されているとともに、回転軸42の駆動側端に蒸気入口423が設けられ、蒸気入口423から加熱蒸気sが供給され、加熱蒸気sは蒸気流通孔422を経て、多数の中空管473内を通り、従動側の回転軸42に穿設された蒸気流通孔422を経て、ドレンqがドレン出口424から排出されるように構成されている。
【0057】
鏡板471及び管板472の外周面には、円周方向に等間隔で多数のリフタ取付枠474が低脂乾燥機4の長手軸方向に沿って装着されている。また、リフタ取付枠474には、円周方向で90度間隔ごとに多数のリフタ475が装着されている。リフタ475はハウジング41の長手軸方向に沿って分散配置されている。また、中空管473を支持する複数の支持プレート476がハウジング41の長手軸方向に沿って配設されている。
かかる構成によって、低脂乾燥機4の内部に投入され、ハウジング41の底部に落ちてきた低脂肪系廃棄食品cをリフタ475でハウジング41内の上方に掻き揚げるようにすることができる。
【0058】
かかる構成の低脂乾燥機4において、低脂乾燥機4の上部に長手軸方向に分散配置された投入口411a〜cからハウジング47の内部に投入された低脂肪系廃棄食品cは、回転体47によって攪拌されながら、加熱乾燥処理される。即ち、中空管473には120〜150℃の加熱蒸気が流され、低脂肪系廃棄食品cは100℃以下に加熱される。低脂肪系廃棄食品cをかかる温度に加熱することによって、低脂肪系廃棄食品cの炭化を防止しながら、効率の良い乾燥処理をすることができる。
【0059】
なお、図9に示すように、低脂乾燥機4のハウジング41の床面41aにまず低脂肪系廃棄食品を乾燥させた乾燥物(例えば、前日の乾燥物の残り)c1を敷き詰めて、その上に生の米飯・デンプン質類c2を載置して予備乾燥したので、生の米飯・デンプン質類c2のこげ、塊状化を防止することができる。
【0060】
投入口411a〜cから低脂肪系廃棄食品cを投入し、回転体47で低脂肪系廃棄食品cを攪拌しながら、ハウジング41内の底面近くに降下した低脂肪系廃棄食品cをリフタ475で上方に掻き揚げるようにしているので、ハウジング41内では、ハウジング41の長手軸方向に沿って同じような割合で乾燥の進んでいる低脂肪系廃棄食品cや乾燥の進んでいない生の低脂肪系廃棄食品cが混在することになる。
【0061】
そのため、低脂肪系廃棄食品cは、水分蒸発のみでなく、周りの低脂肪系廃棄食品cへの水分移動によって乾燥が進むため、自己崩壊がなく、原型を留めた乾燥処理が可能となる。従って、粒子径の均一な食べやすい低脂肪系乾燥飼料を製造することができる。このようにして乾燥処理された低脂肪系廃棄食品cは、排出口45a及び45bから停滞することなくスムーズに排出される。低脂肪系廃棄食品cは、入口側では均等になるように分散投入するが、低脂乾燥機4の内部では、リフタ475の取り付け角度を調節することにより、少しずつ後方に送り、排出口45a及び45bから排出する。図8において、回転体7は矢印方向に回転するので、乾燥処理された低脂肪系廃棄食品cは、排出口45aから排出されるとともに、排出口45bの堤451を越えて排出される。
【0062】
次に、高脂乾燥機8a又は8bの下流側の処理による高脂肪系乾燥飼料の製造工程を説明する。図10は高脂乾燥機8a又は8bの下流側の処理工程を示す系統図、図11は高脂乾燥機8a又は8bの内部拡大図である。図10において、搬送路73又は74を空気輸送されてきた高脂肪系廃棄食品eは、高脂乾燥機8a又は8bのハウジング81の上部入口側に配置された投入口811からハウジング81内に投入される。ハウジング81の内部には、水平方向に配置された回転軸82が貫設され、ハウジング81の両側に配置された支持台821によって回転可能に支持されている。
【0063】
ハウジング81の外部に設けられた駆動モータ83の出力が駆動力伝達装置84を介して回転軸82に伝達される。高脂乾燥機8a又は8bで乾燥処理された高脂肪系廃棄食品eは、ハウジング81の長手軸方向出口側に設けられた排出口85から排出され、コンベア851を経て分級装置852に達する。分級装置852で粗い粒子の高脂肪系廃棄食品eが除去され、均一な粒子となった高脂肪系廃棄食品eは,冷却装置853で冷却される。その後マグネットセパレータ854で金属類が除去されて、製品ホッパ855に貯留されて、高脂肪系乾燥飼料F2として出荷される。排出口85は、低脂乾燥機4の側面に設けられた排出口45bと同一の構成を有する。
【0064】
また、ハウジング81の入口側上部には、キャリアガスの取り入れ口812が設けられ、乾燥機内部での水分蒸発を促進する。ハウジング81の排出口86から排出される排ガスegは、集塵器861で除塵された後、コンデンサ862で冷却水rにより冷却される。その後、排ガスegは水封ポット863で凝縮水が除去された後、図示しない脱臭装置に送られて脱臭処理される。
【0065】
図11に示すように、ハウジング81の内部で回転軸82には、同一直径を有する多数のそろばん形状の中空円盤87が回転軸82の軸方向に微小な間隔を置いて並設されている。そして、前記低脂乾燥機4と同様に、回転軸82の内部に図示しない蒸気流通孔が軸方向に穿設され、回転軸82の駆動側端に設けられた蒸気入口から加熱蒸気が注入され、該蒸気流通孔を経て中空円盤87の内部を通ることにより、ハウジング81内に投入された高脂肪系廃棄食品eを加熱乾燥処理する。その後、高脂肪系廃棄食品eと熱交換して加熱蒸気がドレンとなり、該ドレンが回転軸82の従動側端に設けられたドレン出口から排出される。
【0066】
かかる構成の高脂乾燥機8a又は8bによれば、投入口811に投入された高脂肪系廃棄食品eは、中空円盤87で攪拌されながら徐々に乾燥が進む。そして、中空円盤87の端部には、高脂肪系廃棄食品eを出口側に向かって付勢する角度で図示しない攪拌翼が取り付けられているので、高脂肪系廃棄食品eは出口側に向かって移動していく。回転軸82には多数の回転円盤87が微小な隙間を置いて配置されているため、高脂肪系廃棄食品eとの接触面積が大きい。高脂肪系廃棄食品eは、投入口811から投入されて排出口85から排出される間に多数の回転円盤87と接触するために、熱交換効率が良い。従って、脂肪分の高い廃棄食品に対しても良好な乾燥処理が可能になる。
なお、製造した低脂肪系乾燥飼料F1及び高脂肪系乾燥飼料F2は、水分含有量を14重量%以下とすることで、カビ等の発生を防止することができる。
【0067】
次に、水分量調整タンク5a又は5bの下流側に設けられた液状発酵飼料製造ラインを図12に基づいて説明する。まず、図3において、低脂肪系廃棄食品cが破袋機3を経て水分量調整タンク5a又は5bに貯蔵されるとともに、野菜系廃棄食品fが破砕機9を経て水分量調整タンク5a又は5bに貯蔵される。
【0068】
次に図12において、乳飲料系廃棄食品iの包装材を分離する包装材分離設備51では、例えば紙パックに入った牛乳、又は合成樹脂製の容器に入ったプリン、ヨーグルト等の乳飲料系廃棄食品iがホッパ511に投入され、破袋機512で紙パック、合成樹脂製容器等の包装材を破断する。そして、内部の乳飲料系廃棄食品iを取り出して空になった紙パックj等を破袋機512で乳飲料系廃棄食品iから分離し、乳飲料系廃棄食品iを乳飲料受けタンク513に貯留する。
【0069】
水分量調整タンク5a又は5bでは、乳飲料受けタンク513に貯留された乳飲料系廃棄食品iを管路514を介して水分量調整タンク5a又は5bに供給するとともに、水wを水分量調整タンク5a又は5bに供給して原料の水分調整を行なう。即ち、低脂肪系廃棄食品c及び野菜系廃棄食品fの混合物は60重量%程度の水分量であったが、これに乳飲料系廃棄食品i及び水を注入して80重量%以上の水分量に調製する。水分量調整タンク5a又は5bでは循環路501a又は501bを使って原料を循環させ、水分量調整タンク5a又は5b内の攪拌を行なう。
【0070】
次に、水分量調整タンク5a又は5b内の原料液を管路502を介して殺菌装置52に送って殺菌処理を行う。殺菌装置52に属するタンク521に送られた原料液は、循環管路522を介して加熱/冷却器523とタンク521との間を循環する。加熱/冷却器523には加熱蒸気sが供給され、原料液は加熱蒸気sと間接熱交換することにより、80℃の温度で3分以上加熱されて減菌処理される。この処理によって、原料液中の一般性菌を減少させることにより、後から添加する乳酸菌が増殖しやすい環境をつくる。
【0071】
原料液を殺菌処理した後、加熱/冷却器523に冷却水rを供給し、原料液と熱交換して原料液を40℃に冷却する。一方、乳酸培養設備53の培養タンク531に管路515を介して乳飲料系廃棄食品iを供給し、培養タンク531で乳酸菌を培養する。その後、タンク521で殺菌処理された原料液と、培養タンク531で培養された乳酸菌とは、スタティックミキサ54で互いに混合された後、発酵設備55の発酵タンク551に送られる。
【0072】
発酵タンク551で原料液は乳酸菌により発酵処理され、液状発酵飼料を製造することができる。発酵タンク551では、該タンク内の乳酸菌混合原料液が外部加熱用熱交換器552により温水tと熱交換されることによって、35〜40℃の温度に16時間以上保持される。即ち、タンク内の原料液が液循環ポンプ553により循環され、この循環ライン上に設置された外部加熱用熱交換器552にて、温水tと原料液とが熱交換されることにより発酵タンク551内の原料液が上記温度範囲に保持される構成となっている。これによって、原料液が乳酸菌で発酵され、液状発酵飼料F3が製造され、出荷される。
【0073】
このように、本実施形態では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、あるいは食品工場やコンビニベンダー等から消費期限切れまたは賞味期限切れで廃棄され主として包装材の包装された廃棄食品aや、レストランや学校、又は病院等で給食用に調理された食品の残りが廃棄された消費系廃棄食品bが集積場1に集積される。そして、集積された廃棄食品を、低脂肪系廃棄食品cと、高脂肪系廃棄食品eと、野菜系廃棄食品fと、飲料系廃棄食品gと、その他の廃棄食品hとに分別される。
【0074】
この場合、低脂肪系廃棄食品c及び高脂肪系廃棄食品eが分別可能な廃棄食品aから低脂肪系廃棄食品c及び高脂肪系廃棄食品eが分別される。また、包装廃棄食品dはトレーカッタ6で破断することにより、容易に低脂肪系廃棄食品cと高脂肪系廃棄食品eとに分別することができる。そして、消費系廃棄食品bからは野菜系廃棄食品fが分別可能である。
【0075】
その後、低脂肪系廃棄食品cを乾燥処理して、低脂肪系乾燥飼料F1を製造するとともに、高脂肪系廃棄食品eを乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料F2を製造し、さらに低脂肪系廃棄食品cの一部と野菜系廃棄食品fとを乳酸菌で発酵処理して液状発酵飼料F3を製造するようにしたので、豚用飼料として好適な低脂肪系乾燥飼料F1及び低脂肪系液状飼料F3と、鶏用飼料として使用可能な高脂肪系乾燥飼料F2を同時に製造可能となる。尚、高脂肪系乾燥飼料F2は、ペットフードや魚餌等のようにペットや観賞用動物などの家畜以外の動物用飼料(餌)としても好適に用いられる。
【0076】
また、種々雑多なものが混じった廃棄食品の中から低脂肪系廃棄食品cと高脂肪系廃棄食品eとを分別した後、分別された廃棄食品に対して再資源化処理を実施しているので、個々の再資源化処理工程を簡素化できる。そのため、低コストの飼料を製造できる。
【0077】
また、低脂肪系廃棄食品cを乾燥処理するのに好適な中空管473をもつ回転体47を装備した低脂乾燥機4で乾燥処理することにより、自己崩壊が少なく、原型を留めた均一な粒子径の低脂肪系乾燥飼料F1を製造することができる。
なお、低脂乾燥機4のハウジング41の床面41aにまず低脂肪系廃棄食品cを乾燥させた乾燥物c1を敷き詰めて、その上に生の米飯・デンプン質類c2を載置するようにして予備乾燥したことにより、生の米飯・デンプン質類c2のこげ、塊状化を防止することができる。
【0078】
また、高脂肪系廃棄食品eを乾燥処理するのに好適な中空円盤87を装備した高脂乾燥機8a又は8bを使用することにより、加熱効果を高めて、高脂肪分のべとつきをなくし、取り扱いを容易にすることができる。
【0079】
さらに、飲料系廃棄食品gから分別した乳飲料系廃棄食品iを液状発酵飼料F3の製造に再利用するようにしているので、液状発酵飼料F3を低コストで製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、やコンビニエンスストア、スーパーマーケット等あるいはレストラン、学校、病院等から廃棄された種々雑多な廃棄食品から良質な複数種の飼料を同時に低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係るリサイクルシステムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る処理工程のブロック線図である。
【図3】前記実施形態で分別された各廃棄食品の処理工程を示す系統図である。
【図4】前記実施形態のトレーカッタ6の立面図である。
【図5】前記実施形態のトレーカッタ6の平面図である。
【図6】前記実施形態の低脂乾燥機4の下流側の処理工程を示す系統図である。
【図7】前記実施形態の低脂乾燥機4の縦断立面図である。
【図8】前記実施形態の低脂乾燥機4の側面図である。
【図9】前記実施形態で予備乾燥を行なう低脂乾燥機4の一部断面図である。
【図10】前記実施形態の高脂乾燥機8a又は8bの下流側の処理工程を示す系統図である。
【図11】前記実施形態の高脂乾燥機8a又は8bの内部拡大図である。
【図12】前記実施形態の水分量調整タンク5a又は5bの下流側に設けられた液状発酵飼料製造ラインを示す系統図である。
【符号の説明】
【0082】
3 低脂破袋機
4 低脂乾燥機
5a、5b 水分量調整タンク
6 トレーカッタ
7 高脂破袋機
8a、8b 高脂乾燥機
14 堆肥化装置
15 メタン発酵装置
41a 床面
47 回転体
52 殺菌装置
53 乳酸培養設備
55 発酵貯蔵設備
82 回転軸
87 中空円盤
200 リサイクルセンタ
210、211 食品販売店
215 輸送手段
230、231 畜産業者
240 食品工場
473 中空管
c 低脂肪系廃棄食品
e 高脂肪系廃棄食品
h その他の廃棄食品
s 加熱蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンビニエンスストア等の食品販売店より排出された消費期限切れまたは賞味期限切れの廃棄食品から他の製品を製造して需要者へ販売し、前記廃棄食品の再生利用を促進するようにした廃棄食品のリサイクルシステムにおいて、
前記食品販売店から排出された前記廃棄食品が一括して収集されるリサイクルセンタを備えており、
前記リサイクルセンタは、少なくとも低温に維持された低温保管室を備えた廃棄食品保管部と、前記廃棄食品保管部から搬送された廃棄食品を、該食品中の脂肪分含有量に応じて分別する分別処理を含む前処理を施す前処理部と、前記前処理後の廃棄食品のうち、脂肪分含有量の異なる廃棄食品に対して夫々異なる再資源化処理を施す再資源化処理部と、該再資源化処理部にて製造された製品を出荷前に保管する出荷用保管部と、を備え、
前記再資源化処理部が、低脂肪系廃棄食品の一部を乾燥処理して低脂肪系乾燥飼料を製造する低脂肪系乾燥飼料製造ラインと、他の低脂肪系廃棄食品を乳酸発酵させて液状発酵飼料を製造する液状発酵飼料製造ラインと、高脂肪系廃棄食品を乾燥処理して高脂肪系乾燥飼料を製造する高脂肪系乾燥飼料製造ラインと、を含むことを特徴とする廃棄食品のリサイクルシステム。
【請求項2】
前記リサイクルセンタにて、前記需要者の製品需要に応じて前記廃棄食品保管部から夫々の前記製造ラインへ送られる廃棄食品量が調整されるようにしたことを特徴とする廃棄食品のリサイクルシステム。
【請求項3】
前記食品販売店から排出された前記廃棄食品を前記リサイクルセンタに輸送する輸送手段を備え、前記輸送手段が、前記廃棄食品に適した温度で低温保管する低温保管手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の廃棄食品のリサイクルシステム。
【請求項4】
前記前処理部では、脂肪分含有量に応じて分別困難な廃棄食品を分離する構成を備え、前記再資源化処理部が、前記分別困難な廃棄食品を堆肥化して堆肥を製造するか、又はメタン発酵してバイオガスを製造する堆肥化/メタン発酵ラインを備えたことを特徴とする請求項1記載の廃棄食品のリサイクルシステム。
【請求項5】
前記前処理部では、前記再資源化処理部にて処理困難な種類の廃棄食品を分離する構成を備え、該廃棄食品を他の再資源化処理場へリサイクル原料として搬送するようにしたことを特徴とする請求項1記載の廃棄食品のリサイクルシステム。
【請求項6】
請求項1記載のリサイクルセンタに加えて、該リサイクルセンタにて製造した飼料が供給される畜産業者と、該畜産業者にて生産された畜肉を原料とし前記食品販売店へ供給する食品が製造される食品工場と、を備えることにより循環型食品リサイクルシステムが形成されるようにしたことを特徴とする廃棄食品のリサイクルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−284461(P2008−284461A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132201(P2007−132201)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【出願人】(504420009)株式会社アグリガイアシステム (1)
【出願人】(596170387)
【Fターム(参考)】