説明

廃油ストーヴにおける燃焼制御器具

【課題】 廃油燃焼装置における、安全性を考慮した、フロートによる油面の検出で作動する制御手段を有する簡単な構造の汎用性のある器具を提供することである。
【解決手段】 同一形状の円筒形状のフロートを収容する同一の円筒状の二個の油筒の夫々を底部で燃焼室と連結管で結合し、油筒内に燃焼用廃油が流れるようにして、二個の油筒内で、フロートの上昇によって作動するリミットスイッチのオンオフ位置を変えて燃料レベルが異常に高くなったときに装置の全体を停止する制御手段を設ける器具として課題を解決している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全に廃油ストーヴの燃焼を行うことの出来る燃焼制御器具に関するものであり、特には燃焼に最適な定量の廃油を供給する制御器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、環境保護或いは改善などの観点から様々な廃棄物の処理が問題視されており、その対策が各分野で講じられているが工場などで発生する切削油などの廃油の処理も燃焼装置を用いて燃焼処理されているのが普通である。この廃油などの廃液を燃焼するための様々な装置なりストーヴが使用され或いは技術的手段が知られている。回収された廃油をハウジング部内の燃焼皿に供給し、点火後、外気を強制供給しながら燃焼させる装置により、そのままでは廃棄できない各種廃液を燃焼処分する方法が一般的に採用されている。また、この装置による処分では、廃液の種類によっては大量の煙が発生したり燃焼が不十分のまま有害物質として大気中に放出される問題があり、この点を改良して、前段に廃液を燃焼させる廃液燃焼室を設け、且つ後段に燃焼により発生した排気を処分する廃棄処理室を設けたハウジング部と廃液供給部と燃焼室に外気を送風する燃焼用送風部と排気処理室に外気を送風する排気処理用送風部と排気処理室に臨む排気ダクトを有しフロートスイッチによって廃液の液面制御を行う燃焼装置或いはこの装置の改良に関わり、廃液と他の燃料を燃焼させて処理する燃焼であって、廃液及び燃料の供給量を制御するために、燃料供給部と廃液供給部内にフロートを設け両液の燃焼室内の油面と供給部内の油面が、フロートの浮沈で作動するスイッチによって回路が開閉する制御手段で同一になるように構成されている燃焼装置が提案されている。
【特許文献1】 特開平10−253033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記、廃油などの廃液燃焼装置に於ける燃料の液面を一定に保つための制御をフロートスイッチに依って行なう制御手段にあっては、液面制御するときには、最も普通に実施されているフロートスイッチに依って液面を定レベルに保持するだけの手段として燃料装置に組み込まれているものであり、過燃焼防止のための手段として考慮されているものではない。そこで、本発明においては、火災などの発生を防ぐ安全対策の手段として液面を制御することを目的として、殆ど全ての廃油燃焼装置に適用できる、極めて安定して上下動するフロートを用いて油面の制御を2段階で行なう汎用の安全装置としての燃料制御器具を構成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
連通管によって燃焼室と互いに底部で連通する2つの油筒を設け、この油筒の中に、底面が内側に向かって湾曲して凹む球面状を成す円筒のフロートを収容し、該油筒の夫々の上方外側面に施すスイッチ取付板に固定するリミットスイッチのレバーを油筒内に導入し、レバーの先端部が前記フロートの上面に定位置で接するように配置するものであり、一方の油筒内では燃焼のための一定量の燃料を供給するための油面を保つ位置でフロートと燃料の供給用リミットスイッチのレバーが接するように配置し、他方の油筒内では、安全対策として、何らかの原因により前記油筒での燃焼と定常状態を保つ油面を定位置に保つことが出来ずに油面が上昇した場合に、過燃焼することを防止するために、フロートと停止用リミットスイッチとの接触位置を前記定常燃焼の定位置よりも多少高めに、通常は5ミリメートル程度高い位置でスイッチが作動するように配置して、このスイッチの作動によって燃焼装置全体の運転が停止するように配する、2つの油面のレベル検出手段を有し、フロートの上下動によって作動するスイッチを電子回路上に配してなる制御手段を有する廃油燃焼装置の燃料制御機器として課題を解決しているものである。
【発明の効果】
【0005】
円筒状油筒内に収容する特有の形状を有する円筒状フロートが極めて安定して上下動するために燃焼用廃油の液面が一定し、且つ2つの油筒及びフロートを同一のものを使用しうるので極めて簡単な構成によって目的を達成できるものであり、過燃焼を防止し安全に運転が出来る汎用の廃油燃焼装置における器具として課題を十分に解決しているものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
同一のフロートを収納する2つの円筒状油筒内の油面を検出することによって燃焼室内の油面を一定に保つことと、この一定の油面を超えて、燃焼室内に廃油が流れたときに上昇した油面を検出して装置全体の作動を停止する手段を設け、2つの独立した油筒の、燃焼室と連通するパイプ間に両者を繋ぐバイパス用のパイプを設けることで高粘土の廃油でも燃焼させることが出来る汎用の器具と成り得るものとなる。
【実施例】
【0007】
以下、図面に示す実施例に従って本発明の実施態様について説明する。
図1乃至図4において、同一形状の2つの円筒状油筒1、2の底部と燃焼室17の底部で連通する連通管3、4の間をバイパス用のパイプ5で繋ぎ、油筒1、2は台板6の上に設けてある。油筒1、2内には、油筒1、2内径より多少外径の小さい同一形状の円筒状フロート7、8を束縛することなく収納してある。フロート7、8は図3及び図4に示すように円筒状の底面が内側に向かって湾曲して凹む球面状をしており、その上面が、油筒1、2の上方側面に設けるスイッチ取付板15に固定される燃料の供給用リミットスイッチ9と停止用リミットスイッチ10の、スイッチ端部で固定されてスイッチピン12を押圧することの出来るレバー11の先端側を、油筒1、2の上方側面に穿つレバーガイド用の窓16から油筒1、2内に導入して、このレバー11に定位置で接するようにしてある。このフロート7、8がレバー11に接する位置を変えて2つのレベル検出部が構成されている。1つの油通1では通常運転のための燃料供給のレベル検出を行い他の1つの油筒2では燃料18の供給過多になってレベルが異常に高くなったときに安全のために燃焼装置全体の作動を停止するレベル検出が出来るように構成されている。この場合の定位置の差は通常は5ミリメートル程度であるが最低3ミリメートル程度は許容される。フロート7、8の実施例におけるこの形状が極めて安定した横振れのない上下動を呈しレベル検出が誤差の小さい範囲で正確な定位置を確保できることになる。両リミットスイッチ9、10から伸びるリード線13、14を回路(図面省略)に接続してある。
連通管3、4を繋ぐ互いにバイパスとなるパイプ5は連通管3の廃油による目詰まりが生じた場合に対応するために設けてある。
【0008】
図4にはフロート7の作動状態を示してある。燃焼室17に廃油等の燃料18が供給されて燃焼している通常状態時の燃焼レベル19では、燃料の供給用リミットスイッチ9が回路を開いており図示はしないが燃料供給弁が開いた状態を保っているが、この状態では停止用リミットスイッチ10はオフの状態にある。この状態から燃料18が過剰に供給されると燃焼室1内の油面と油筒1、2内の油面が上昇し高レベル20になったときには供給用リミットスイッチ9が回路を閉じて通電し燃料供給弁を閉じて廃油の供給を停止するようになっている。油面が下がったときにはスイッチがオフとなって供給が再開されるように制御系が構成されているが、スイッチのオン・オフ状態を逆にして電子回路系を構成することももちろん可能である。燃料18の通常の供給状態で何らかのトラブルによって油面が異常に上昇しその異常レベル21に達した場合には、油筒2内のフロート8に依って異常レベルが検出され停止用リミットスイッチ10が回路を閉じて別系統の制御系に通電し図示はしないが全ての機器例えば送風機、ポンプなどの作動を停止し、場合によっては警報装置を作動させる等の制御系を操作できるように構成されている。付属する機器類の作動を制御する制御系はどのように設定されても良く、本発明にあっては、あくまでも2つの油筒内の形状に特徴を有するフロートに依って油面をその高さの違いで検出し電子回路を開閉する器具であり弁等の制御手段の選択は自由である。
【0009】
本発明におけるフロート7、8の底部の形状が内側に向かって湾曲し球面となっていることが水平方向の外側に向けた圧力が均等に作用し液面の変動に対して極めて安定した上下動を呈することになっているが、他の条件としては油筒が円筒形でありフロートも円筒形であることでありフロートの横振れがないので油筒との間隙を大きく採る必要は全くない。容易にはフロートに清涼飲料水のアルミ缶等の空き缶を利用することで実施も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、燃焼装置における液面検出に基づく燃焼制御機器として構成するものであるが、安全を期待する液面検出によって制御系を駆動する目的では他の分野でも利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明における構造の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 同実施例の上面図である。
【図3】 油筒内の断面図である。
【図4】 状態説明のための断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 油筒
2 油筒
3 連通管
4 連通管
5 パイプ
6 台板
7 フロート
8 フロート
9 供給用リミットスイッチ
10 停止用リミットスイッチ
11 レバー
12 スイッチピン
15 取付板
16 窓
17 燃焼室
18 燃料
19 燃焼レベル
20 高レベル
21 異常レベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通管に依り燃焼室と互いに底部で連通する2つの油筒の各々の内部に、燃料供給のレベル検出用と装置全体を停止する為のレベル検出用の、底面が内側に向かって湾曲する球面状を成す円筒のフロートを収容し、前記油筒の上方外側面に設けるスイッチ取付板に固定するリミットスイッチのレバーを該油筒内に導入し前記フロートの上面に定位置で接するように配置するとともに、該定位置の、装置全体を停止するためのレベル検出側の位置を多少高く採ることにより作動するレベル検出手段を有し、該フロートの上下動によって作動するスイッチを電子回路上に配する制御手段を有する廃油ストーヴにおける燃焼制御器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−292126(P2008−292126A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164351(P2007−164351)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(507208945)株式会社田中建設 (1)
【Fターム(参考)】