説明

廃液から有価物と塩酸を製造する方法

【解決手段】フッ化水素酸を主成分とし、塩酸を添加したガラスのケミカルエッチング剤を使用した後のフッ素系廃液を原料として、以下(a)〜(e)の順に処理する。
(a) アルミニウムをアルカリ土類塩と反応させ、フルオロアルミン酸アルカリ土類塩としてアルミニウムを分離する。(b) アルミニウムを分離した廃液に含まれるフッ化水素酸を酸化ケイ素化合物と反応させ、ケイフッ化水素酸に変換する。(c) ケイフッ化水素酸に変換した廃液にナトリウム塩を添加し、ケイフッ化ナトリウムを合成する。(d) ケイフッ化ナトリウムを合成後分離した液にカリウム塩を添加し、ホウフッ化カリウムを合成する。(e) ホウフッ化カリウムを合成後、分離した液を蒸留して塩酸を製造する。
【効果】工業用薬品として有価物であるケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウム、塩酸を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、フラットディスプレーの普及とともにその基板であるガラスのケミカルエッチング等の分野において、フッ化水素酸が多量に使用されている。それに伴い、使用後の廃液量も増加しており、地球環境保全及び資源の有効利用の観点からその適切な処理が望まれている。そして、その処理も産業廃棄物として処理するのではなく、フッ素資源の有効利用のため、その廃液を原料として使用し、有価物を高純度に合成する方法の確立が求められている。
【背景技術】
【0002】
ガラスのケミカルエッチング廃液からの廃物の負荷を軽減するためのいくつかの方法が報告されている。エッチングで生成する不要なケイフッ化水素酸に難溶性のケイフッ化物を生成するナトリウム化合物やカリウム化合物を加え、ケイフッ化ナトリウムやケイフッ化カリウムとして取り除き、処理後の液をガラスのケミカルエッチング剤として再利用する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ガラスのケミカルエッチング廃液に対して、まずナトリウム化合物やカリウム化合物を加えて廃液中のケイフッ化水素酸及びホウフッ化水素酸を難溶性のケイフッ化物またはホウフッ化物として固定化処理した後、カルシウム塩を加えてフッ素を固定化するか、ホウフッ化物を含有する場合はあらかじめアルミニウム化合物を加えてホウフッ化物をホウ酸とフッ化物に分解した後、カルシウム塩を加えてフッ素の固定化処理を行う方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、これらの方法は、ケイフッ化ナトリウム及びホウフッ化カリウムの製造に関して、操作の手順、不純物の分離、原料化合物の選定、原料化合物の量、原料化合物の投入方法、反応温度等、工業的製法として必要な条件については検討されていない。
したがって、これらの方法で回収したケイフッ化ナトリウム及びホウフッ化カリウムは、廃水の処理過程でフッ素を除去するための方法において発生した産業廃棄物であって、かなり純度が低く工業用薬品としての価値は極めて低い。
また、塩酸の回収方法については、言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3623663号公報
【0006】
【特許文献2】特許第3635643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フッ化水素酸を主成分とし塩酸を添加したガラス基板のケミカルエッチング剤を使用した後のフッ素系廃液を原料として、有価物である高純度のケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウムと塩酸を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
一般に、ガラスのケミカルエッチングには、濃度10〜30重量%程度のフッ化水素酸をベースとし、塩酸が濃度2〜10重量%程度添加された酸が使用されている。ガラスケミカルエッチングに使用されるフッ化水素酸濃度や塩酸等の組成は、エッチングメーカーのノウハウとしてブラックボックス化されているが、いずれも決められた成分の濃厚原液を、決められた濃度となるように混合してエッチング液を調整して用いるのが一般的である。
【0009】
ガラスケミカルエッチング後の廃液は、エッチングするガラスの種類、使用するエッチング液、エッチング液中のフッ化水素酸の利用度により変化するが、廃液中には多量の未反応のフッ化水素酸と反応で生成したケイフッ化水素酸、ガラス成分に起因する各種のフッ化物を含んでいる。
【0010】
例えば、液晶用ガラスに一般に使用されているアルミノホウケイ酸ガラス(代表的な組成は、SiO:60%、Al:17%、B:7.4%、MgO:3.9%、CaO:4.1%、SrO:7.5%である。)をケミカルエッチングすると、これらの各組成は、フッ化水素酸と反応して次のようなフッ素化合物を生成する。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
このうち、MgO、CaO、SrO、BaOは、難溶性のフッ素化合物を生成するので、ろ過分離可能なスラッジを生成する。また、Alは、難溶性のフッ素化合物を生成するのでスラッジを生成する一方、一部がAlFのようなフルオロアルミン酸となり廃液中に残る。そして、SiOおよびBは、ケイフッ化水素酸とホウフッ化水素酸となり、いずれもアルカリ土類金属やアルミニウムとは難溶性の化合物を生成しないために廃液中に残る。
【0018】
廃液中のケイフッ化水素酸とホウフッ化水素酸については、例えば特許文献2に記載されているように、ケイフッ化水素酸はナトリウム化合物で処理することにより難溶性のケイフッ化ナトリムを生成し、ホウフッ化水素酸はカリウム化合物で処理することにより難溶性のホウフッ化カリウムとして分離できるが、ガラスエッチング廃液には前記のガラスに含有されるAl、MgO、CaO、SrO由来の化合物が混入することや、ガラスエッチング廃液が通常消費されなかったフッ化水素酸を含有していることにより、ナトリウム化合物で処理したときにフッ化ナトリムや酸性フッ化ナトリムが生成し、ケイフッ化ナトリム及びホウフッ化カリウムに混入するため純度が低下し、高純度が求められる有価物とするのは困難である。
また、ケイフッ化水素酸とホウフッ化水素酸の両方を含む廃液をナトリウム化合物やカリウム化合物で処理すると、当然のことながら、生成物は、ケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、ホウフッ化カリウム等の混合物となるので、廃棄物として処理するのであれば問題ないが、有価物としては極めて価値の低いものになってしまう。
したがって、前記特許文献記載の方法はあくまでも廃液中のフッ素を除去するための方法に過ぎず、廃液から高純度の有価物を製造する方法には適さず、塩酸の回収もできない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者等は、鋭意研究の結果、フッ化水素酸を主成分とし塩酸添加したガラスのケミカルエッチング剤を使用した後のフッ素系廃液を原料として、工業用薬品として有価物である高純度のケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウムと塩酸を製造する方法を見出した。すなわち、工業用薬品として有価物である高純度のケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウムと塩酸を製造するための、操作の手順、原料化合物の選定、原料化合物の量、原料化合物の投入方法、反応温度について種々検討し、以下に示すように、工業的に確立し得る方法を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明は、フッ化水素酸を主成分とし、塩酸を添加したガラスのケミカルエッチング剤を使用した後のフッ素系廃液を原料として、以下(a)〜(e)の順に処理することによって、ケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウム、塩酸を製造することを特徴とする、廃液から有価物と塩酸を製造する方法に関するものである。
(a) アルミニウムをアルカリ土類塩と反応させ、フルオロアルミン酸アルカリ土類塩としてアルミニウムを分離する。
(b) アルミニウムを分離した廃液に含まれるフッ化水素酸を酸化ケイ素化合物と反応させ、ケイフッ化水素酸に変換する。
(c) ケイフッ化水素酸に変換した廃液にナトリウム塩を添加し、ケイフッ化ナトリウムを合成する。
(d) ケイフッ化ナトリウムを合成後分離した液にカリウム塩を添加し、ホウフッ化カリウムを合成する。
(e) ホウフッ化カリウムを合成後、分離した液を蒸留して塩酸を製造する。
【0021】
アルミニウムを、アルカリ土類塩である塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム、塩化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウムのいずれかと反応させ、フルオロアルミン酸アルカリ土類塩の難溶性物の固体として分離することができる。
【0022】
アルミニウムを分離した廃液に含まれる未反応のフッ化水素酸と、酸化ケイ素化合物である二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウムのいずれかとを、酸化ケイ素化合物のケイ素のモル数がフッ化水素酸のモル数に対して0.20〜0.33倍で反応させ、ケイフッ化水素酸を完全に変換せしめるのが望ましい。
【0023】
未反応のフッ化水素酸を完全にケイフッ化水素酸にした廃液と、ナトリウム塩である塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのいずれかとを、ナトリウム塩に含まれるナトリウムのモル数がケイフッ化水素酸のモル数に対して、2.10〜3.30倍で反応させ、かつ、その反応温度を35〜70℃の間で調整するか、あるいは、ナトリウム塩の水溶液を反応温度が35〜70℃になるようにあらかじめ加熱して投入し、ケイフッ化ナトリウムを合成することが望ましい。
【0024】
ケイフッ化ナトリウムを合成後分離した液に、カリウム塩である塩化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのいずれかを、ホウフッ化水素酸のモル数に対して1.05〜1.50倍のカリウム塩を使用し、ホウフッ化カリウムを合成することが望ましい。
【0025】
以下に、上記(a)〜(e)の各工程について、詳細に説明する。
【0026】
(廃液からアルミニウムを分離する)
ガラスエッチング廃液にはガラスに含有されるAl、MgO、CaO、SrOの難溶性のフッ素化合物が生成し、スラッジとして含有されている。この廃液中のスラッジは沈降させ上澄み液を取り出すことや、各種のフィルター及び遠心ろ過機を用いてろ過することで分離できる。
【0027】
廃液中のアルミニウムは、難溶性のフッ素化合物のスラッジとして含有されているほか、一部がAlFのようなフルオロアルミン酸となり廃液中に残る。廃液中のアルミニウムは、ケイフッ化物及びホウフッ化物を製造する場合、難溶性フルオロアルミン酸塩の不純物となって混入するので、除去しなければならない。
【0028】
アルミニウムは、アルカリ土類塩と反応し、式(7)で示されるようにフルオロアルミン酸アルカリ土類塩(MxAlyFz、M:Ca、Ba、Sr、x,y,z:定数)として難溶性物の固体となり、廃液から遠心ろ過機のようなろ過機によって分離する。そのときの反応について、塩化カルシウムを使用した場合の反応を式(7)に示す。
【0029】
塩化カルシウムの使用例を示したが、この方法に使用できるその他のカルシウム塩として、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を、バリウム塩では、塩化バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム等を、ストロンチウム塩では、塩化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウム等を挙げることができる。
【0030】
【化7】

【0031】
フルオロアルミン酸アルカリ土類塩を分離した廃液は、次の「フッ化水素酸からケイフッ化水素酸を合成する工程」で使用する。
【0032】
(フッ化水素酸からケイフッ化水素酸を合成する)
アルミニウムを分離した廃液に含まれるガラスエッチングにおいて、未反応のフッ化水素酸を酸化ケイ素化合物と反応させ、ケイフッ水素酸にする必要がある。フッ化水素酸が残ると、後工程のケイフッ化ナトリウムを合成する過程で、ナトリウム塩の一部がフッ化水素酸と反応し、フッ化ナトリウムや酸性フッ化ナトリウムが生成してケイフッ化ナトリウムの純度が低減するため、フッ化水素酸は完全にケイフッ化水素酸に変換しておかなければならない。使用する酸化ケイ素化合物としては、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム等を挙げることができる。そして、本発明の目的である高純度のケイフッ化ナトリウムを製造するためには、反応させる酸化ケイ素化合物のケイ素のモル数がフッ化水素酸のモル数に対して0.20〜0.33倍であることが望ましい。
【0033】
【化8】

【0034】
これは、酸化ケイ素化合物として二酸化ケイ素の一例である式(8)に示す酸化ケイ素化合物とフッ化水素酸の反応において、酸化ケイ素化合物を過剰にして化学平衡をケイフッ化水素酸の生成方向へ促進させるためであり、次の「ケイフッ化ナトリウムを合成する工程」において、高純度のケイフッ化ナトリウムを得ることに関しての重要事項である。
【0035】
なお、0.20倍以下であると、フッ化水素酸を完全にケイフッ化水素酸に変換できない。0.33倍以上の場合は経済的でない。
【0036】
実際には、合成槽中において廃液を攪拌しながら、酸化ケイ素化合物を添加して行き、フッ化水素酸を酸化ケイ素化合物と反応させてケイフッ化水素酸とし、過剰の酸化ケイ素化合物はろ過して除去する。
【0037】
(ケイフッ化ナトリウムを合成する)
「フッ化水素酸からケイフッ化水素酸を合成する工程」で処理した廃液に、ナトリウム塩を添加し、ケイフッ化ナトリウムを合成する。ナトリウム塩としては、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用できる。ナトリウム塩の添加方法は、固体の状態で投入してもよいが、適当な濃度の水溶液にして添加する方が、反応を制御しやすい。
【0038】
ナトリウム塩の投入は、全量を一度に行ってもよいが、ケイフッ化ナトリウムの析出と分離を何回かに分けながら段階的に行ってもよい。
また、ナトリウム塩の投入量は、ナトリウム塩に含まれるナトリウムのモル数でケイフッ化水素酸のモル数に対し、2.10〜3.30倍投入する。これは、本発明の目的である高純度のケイフッ化ナトリウムを得るためには、式(9)で示す反応についてナトリウム塩を過剰に添加することで、ケイフッ化ナトリウムが生成される方へ促進させるためである。ナトリウム塩添加量がケイフッ化水素酸のモル数に対し2.10倍を下回ると、ケイフッ化水素酸をケイフッ化ナトリウムとして完全に回収できない。また、3.30倍を上回ることは、経済的でない。
【0039】
【化9】

【0040】
なお、ナトリウム塩は、廃液中のホウフッ化水素酸と反応し、ホウフッ化ナトリウムを生成させるが、投入量がそれに含まれるナトリウムのモル数でケイフッ化水素酸のモル数に対し、2.10〜3.30倍であれば、十分溶解し結晶となって析出はしない。
【0041】
ケイフッ化ナトリウムを合成するとき、反応温度を35〜70℃の間で調整すると、ケイフッ化ナトリウムの高純度で大きな結晶が得られるので、ケイフッ化ナトリウムを遠心分離機等のろ過機で反応液と分離する作業が円滑になり、工業的製法として有利になる。
反応温度が35℃未満であると、得られるケイフッ化ナトリウムの結晶の粒子が小さくなり、合成液との分離が困難になる。また、反応温度が70℃以上になると、反応液からケイフッ化水素酸が蒸発することや熱エネルギーを過剰に加えるととになり、現実的ではない。さらに、反応温度の調整は、反応装置を加熱して制御してもよいが、ナトリウム塩の水溶液を反応温度が35〜70℃になるようにあらかじめ加熱して投入すると、より結晶が大きく成長するので有利である。
【0042】
以上のように、合成したケイフッ化ナトリウムを遠心分離機等のろ過機で分離した後、乾燥してケイフッ化ナトリウムの粉体を得る。そして、分離された合成液は、次の「ホウフッ化カリウムを合成する工程」に使用する。
【0043】
(ホウフッ化カリウムを合成する)
「ケイフッ化ナトリウムを合成する工程」で得たケイフッ化ナトリウムを分離した液に、カリウム塩を添加しホウフッ化カリウムを合成する。カリウム塩としては、塩化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等を使用できる。「ケイフッ化ナトリウムを合成する工程」で得たケイフッ化ナトリウムを分離した液には、ケイフッ化水素酸は含まれていないため、カリウム塩を加えても難溶性のケイフッ化カリウムが生成せず、高純度のホウフッ化カリウムが得られる。
【0044】
カリウム塩の添加方法は、固体の状態で投入してもよいが、適当な濃度の水溶液にして添加する方が、反応を制御しやすい。カリウム塩の投入量は、カリウム塩中のカリウムのモル数をホウフッ化水素酸のモル数に対し、1.05〜1.50倍投入するのが望ましい。
これは、本発明の目的である高純度のホウフッ化カリウムを得るためには、式(10)で示す反応においてカリウム塩を過剰に添加することで、ホウフッ化カリウムが生成される方へ促進させるためである。カリウム塩添加量がホウフッ化水素酸のモル数に対し1.05倍を下回ると、ホウフッ化カリウムの純度が低下する。また、1.50倍を上回ることは、経済的でない。
【0045】
【化10】

【0046】
以上のように、合成したホウフッ化カリウムを遠心分離機等のろ過機で分離して乾燥し、ホウフッッ化カリウムの粉体を得る。そして、分離された反応液は、次の工程の「塩酸を蒸留する工程」で塩酸の蒸留回収に使用する。
【0047】
(塩酸を製造する)
「ホウフッ化カリウムを合成する工程」において、揮発成分であるケイフッ化水素酸は、上記(a)〜(d)の工程によって完全にケイフッ化ナトリウムとして分離されているため、ホウフッ化カリウムを分離した液中には、ケイフッ化水素酸は含有していない。また、ホウフッ化水素酸は、ホウフッ化カリウムとしてほとんど分離される。なお、液中にも一部ホウフッ化水素酸は含有しているが、120℃以下では揮発しない。したがって、低沸点成分である塩酸は、単蒸留のような簡易な蒸留設備によって、水分とともに容易に高純度で回収できる。
蒸留装置は、塩酸等の酸性物に耐久性のあるテフロン(登録商標)、カーボン等の材質で構成されればよい。
【発明の効果】
【0048】
請求項1記載の発明によれば、フッ化水素酸を主成分とし塩酸を添加したガラスのケミカルエッチング剤を使用した後のフッ素系廃液を原料として、工業用薬品として有価物である高純度のケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウムと塩酸を製造することができ、地球環境保護及び限られた資源の有効利用に益するところ大である。
【0049】
請求項2記載の発明によれば、アルミニウムをアルカリ土類塩と反応させ、フルオロアルミン酸アルカリ土類塩の難溶性物の固体として分離することにより、フルオロアルミン酸塩の生成を防止し、高純度のケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウムの製造を可能にすることができる。
【0050】
請求項3記載の発明によれば、アルミニウムを分離した廃液に含まれるガラスエッチングにおいて未反応のフッ化水素酸と酸化ケイ素化合物である二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウムのいずれかとを、酸化ケイ素化合物のケイ素のモル数がフッ化水素酸のモル数に対して0.20〜0.33倍で反応させることにより、ケイフッ水素酸を完全に変換することを可能にすることができる。
【0051】
請求項4記載の発明によれば、未反応のフッ化水素酸を完全にケイフッ化水素酸にした廃液と、ナトリウム塩である塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのいずれかとを、ナトリウム塩に含まれるナトリウムのモル数がケイフッ化水素酸のモル数に対して、2.10〜3.30倍で反応させ、かつ、その反応温度を35〜70℃の間で調整するか、あるいは、ナトリウム塩の水溶液をあらかじめ加熱して投入して反応温度が35〜70℃になるように調整することにより、高純度ケイフッ化ナトリウムの製造を可能にすることができる。
【0052】
請求項5記載の発明によれば、ケイフッ化ナトリウムを合成後分離した液に、カリウム塩である塩化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのいずれかを、ホウフッ化水素酸のモル数に対して1.05〜1.50倍のカリウム塩を使用することにより、高純度のホウフッ化カリウムの製造を可能にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
1−1.廃液からのアルミニウムの分離
1mのポリエチレン製反応器に、あらかじめろ過してスラッジを取り除いた表1に示す組成のガラスエッチング廃液570kgを計り採った。この液を攪拌機で攪拌しながら、この液中に含有しているアルミニウム含有量のモル数の2倍のモル数に相当する35重量%塩化カルシウム溶液22.8kgを計り採り、15分間で滴下して加えた。滴下終了後、3時間攪拌して攪拌を停止し、遠心ろ過機で固定物を除去し、ろ過液を530kgを回収した。
このろ過液を分析したところ、アルミニウム含有率は、0.170重量%から0.016重量%に減少していた。
【0055】
【表1】

【0056】
1−2.フッ化水素酸をケイフッ化水素酸にする
アルミニウム除去処理をした廃液のフッ化水素酸の含有率は、分析の結果、3.20重量%であった。
この廃液330kgを、1mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、フッ化水素酸量のモル数の0.25倍の二酸化ケイ素粉末7.91kgを投入し、二酸化ケイ素を溶解させ、フッ化水素を完全にケイフッ化水素酸にし、過剰分の二酸化ケイ素をろ過機で分離した。
ろ過液を分析して確認したところ、フッ化水素酸の濃度は0.01重量%以下で、ケイフッ化水素酸の濃度は、14.3重量%であった。
【0057】
1−3.ケイフッ化ナトリウムの合成
上記1−2.のろ過液を攪拌しながら、70℃に加熱した20重量%塩化ナトリウム溶液250kg(ケイフッ化水素酸のモル数の2.56倍)を50分かけて滴下し、滴下終了後、3時間攪拌した。そのとき、反応熱も発生して、反応温度は55℃になった。
反応液を1日間放冷した。その後、結晶を遠心ろ過機で分離し、乾燥させて、ケイフッ化ナトリウム64.5kgを得た。
その分析結果は、純度99.7重量%、平均粒子径(d50)が101μmであった。
また、ろ過液中のケイフッ化水素酸を分析したところ、その濃度は0.02重量%であった。
【0058】
1−4.ホウフッ化カリウムの合成
ケイフッ化ナトリウム合成後のろ過液中のホウフッ化水素酸の含有率は、分析の結果、0.939重量%であった。
ケイフッ化ナトリウムの結晶を分離した後のろ過液350kgを0.5mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、含有するホウフッ化水素酸のモル数の1.30倍相当の10重量%水酸化カリウム27.3kgを滴下して加え、滴下終了後、約1時間攪拌した。そして、合成液をろ過して結晶を回収して乾燥し、純度99.4重量%のホウフッ化カリウム4.68kgを得た。
【0059】
1−5.塩酸の製造
ホウフッ化カリウム合成後、分離した液90kgをテフロン(登録商標)製の蒸留装置で蒸留し、蒸留釜の液温が110℃までの留出液を80kg得た。この留出液は15重量%の塩酸で、それに含有している総フッ素の濃度は、0.1重量%以下であった。
【0060】
(実施例2)
2−1.廃液からのアルミニウムの分離
1mのポリエチレン製反応器に、あらかじめろ過してスラッジを取り除いた表2に示す組成のガラスエッチング廃液650kgを計り採った。この液を攪拌機で攪拌しながら、この液中に含有しているアルミニウム含有量のモル数の2倍のモル数に相当する炭酸カルシウムの粉末9.16kgを計り採り、炭酸ガスの発生を調整しながら、少しずつ添加した。添加終了後、4時間攪拌して攪拌を停止し、遠心ろ過機で固定物を除去し、ろ過液を620kg回収した。
このろ過液を分析したところ、アルミニウム含有率は、0.190重量%から0.015重量%に減少していた。
【0061】
【表2】

【0062】
2−2.フッ化水素酸をケイフッ化水素酸にする
アルミニウム除去処理をした廃液のフッ化水素酸の含有率は、分析の結果、5.50重量%であった。
この廃液400kgを、1mのポリエチレン製の反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、フッ化水素酸量のモル数の0.28倍のニ酸化ケイ素粉末18.5kgを投入し、二酸化ケイ素を溶解させてフッ化水素を完全にケイフッ化水素酸にし、過剰分の二酸化ケイ素をろ過機で分離した。
ろ過液を分析して確認したところ、フッ化水素酸の濃度は0.01重量%以下で、ケイフッ化水素酸の濃度は、18.2重量%であった。
【0063】
2−3.ケイフッ化ナトリウムの合成
上記2−2.のろ過液410kgを1mの本体が鉄製で内面がポリプロピレンライニングされたジャケット付反応器のジャケットに計り採り、反応器のジャケットに減圧蒸気を流して液温を45℃に加熱した。
次に、液を攪拌しながら、炭酸水素ナトリウムの粉末103kg(ケイフッ化水素酸のモル数の2.30倍)を炭酸ガスの発生を調整しながら、少しずつ添加した。添加終了後、3時間攪拌をした。そのとき、反応熱も発生して、反応温度は58℃になった。
反応液を1日間放冷した。その後、結晶を遠心ろ過機で分離し後、乾燥させて、ケイフッ化ナトリウム98.9kgを得た。
その分析結果は、純度99.5重量%、平均粒子径(d50)が113μmであった。
また、ろ過液中のケイフッ化水素酸を分析したところ、その濃度は0.015重量%であった。
【0064】
2−4.ホウフッ化カリウムの合成
ケイフッ化ナトリウム合成後のろ過液中のホウフッ化水素酸の含有率は、分析の結果、1.97重量%であった。
ケイフッ化ナトリウムの結晶を分離した後のろ過液300kgを0.5mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、含有するホウフッ化水素酸のモル数の1.10倍の炭酸カリウ5.12kgを炭酸ガスの発生を調整しながら、少しずつ添加した。添加終了後、1.5時間攪拌をした。
その合成液をろ過して結晶を回収して乾燥し純度99.6重量%のホウフッ化カリウム8.41kgを得た。
【0065】
2−5.塩酸の製造
ホウフッ化カリウム合成後、分離した液100kgをテフロン(登録商標)製の蒸留装置で蒸留し、蒸留釜の液温が85〜110℃までの留出液を30kg得た。この留出液は13.2重量%の塩酸で、それに含有している総フッ素の濃度は、0.1重量%以下であった。
【0066】
(実施例3)
3−1.廃液からのアルミニウムの分離
1mのポリエチレン製反応器に、あらかじめろ過してスラッジを取り除いた表3に示す組成のガラスエッチング廃液550kgを計り採った。この液を攪拌機で攪拌しながら、この液中に含有しているアルミニウム含有量のモル数の2倍のモル数に相当する20重量%塩化バリウム溶液34.0kgを計り採り、20分間で滴下して加えた。滴下終了後、3時間攪拌して攪拌を停止し、遠心ろ過機で固定物を除去し、ろ過液535kgを回収した。
このろ過液を分析したところ、アルミニウム含有率は、0.080重量%から0.006重量%に減少していた。
【0067】
【表3】

【0068】
3−2.フッ化水素酸をケイフッ化水素酸にする
分析の結果、アルミニウム除去処理をした廃液のフッ化水素酸の含有率は、5.70重量%であった。
この廃液500kgを、1mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、フッ化水素酸量のモル数の0.30倍の二酸化ケイ素粉末25.7kgを投入し、二酸化ケイ素を溶解させてフッ化水素を完全にケイフッ化水素酸にし、過剰分の二酸化ケイ素をろ過機で分離した。
ろ過液を分析して確認したところ、フッ化水素酸の濃度は0.01重量%以下で、ケイフッ化水素酸の濃度は、18.1重量%であった。
【0069】
3−3.ケイフッ化ナトリウムの合成
上記3−2.のろ過液を攪拌しながら、45℃に加熱した20重量%水酸化ナトリウム溶液312kg(ケイフッ化水素酸のモル数の2.36倍)を80分かけて滴下し、滴下終了後、4時間攪拌した。そのとき、反応温度は48℃になった。
反応液を1日間放冷した後、結晶を遠心ろ過機で分離し後、乾燥させて、ケイフッ化ナトリウム121kgを得た。
その分析結果は、純度99.8重量%、平均粒子径(d50)が65μmであった。
また、ろ過液中のケイフッ化水素酸を分析したところ、その濃度は0.01重量%であった。
【0070】
3−4.ホウフッ化カリウムの合成
ケイフッ化ナトリウム合成後のろ過液中のホウフッ化水素酸の含有率は、分析の結果、1.10重量%であった。
ケイフッ化ナトリウムの結晶を分離した後のろ過液650kgを1mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、含有するホウフッ化水素酸のモル数の1.15倍相当の10重量%水酸化カリウム52.6kgを滴下して加え、滴下終了後、約1時間攪拌した。そして、合成液をろ過して結晶を回収して乾燥し、純度99.6重量%のホウフッ化カリウム10.0kgを得た。
【0071】
3−5.塩酸の製造
ホウフッ化カリウム合成後、分離した液250kgをテフロン(登録商標)製の蒸留装置で蒸留し、蒸留釜の液温が85〜110℃までの留出液を90kg得た。この留出液は16.5重量%の塩酸で、それに含有している総フッ素の濃度は、0.1重量%以下であった。
【0072】
次に、比較例について具体的に説明する。
【0073】
(比較例1)
4−1.フッ化水素酸をケイフッ化水素酸にする
実施例1で使用した、あらかじめろ過してスラッジを取り除いた表4に示す組成の廃液330kgを、1mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、フッ化水素酸のモル数の0.17倍の二酸化ケイ素粉末6.37kgを投入し、二酸化ケイ素を溶解させてフッ化水素をケイフッ化水素酸にした。
分析して確認したところ、フッ化水素酸の濃度は1.30重量%で、ケイフッ化水素酸の濃度は、13.5重量%であった。
【0074】
【表4】

【0075】
4−2.ケイフッ化ナトリウムの合成
上記4−1.の液を攪拌しながら、室温の20重量%塩化ナトリウム溶液188kg(ケイフッ化水素酸のモル数の2.04倍)を50分かけて滴下し、滴下終了後、3時間攪拌した。そのとき、反応熱が発生したが、反応温度は26℃になった。
反応液を1日間放冷した後、実施例1のときの3.5倍の時間をかけて結晶を遠心ろ過機で分離した後、乾燥させて、ケイフッ化ナトリウム52.7kgを得た。
その分析結果は、純度86.7重量%、平均粒子径(d50)が13.5μmであった。さらに、X線回折分析で調査したところ、ケイフッ化ナトリウムの他に、フッ化ナトリウム、酸性フッ化ナトリウム及びフルオロアルミン酸ナトリウムが含まれており、工業用薬品として要求される品位を大きく下回ることが判明した。
また、ろ過液中のケイフッ化水素酸を分析したところ、その濃度は2.10重量%であった。
【0076】
4−3.ホウフッ化カリウムの合成
分析の結果、ケイフッ化ナトリウム合成後のろ過液中のホウフッ化水素酸の含有率は1.07重量%であった。
ケイフッ化ナトリウムの結晶を分離した後のろ過液350kgを0.5mのポリエチレン製反応器に計り採り、攪拌機で攪拌しながら、含有するホウフッ化水素酸のモル数の1.03倍相当の10重量%水酸化カリウム24.6kgを滴下して加え、滴下終了後、約1時間攪拌した。
そして、合成液をろ過して結晶を回収して乾燥し、純度84.4重量%のホウフッ化カリウム5.32kgを得た。さらに、X線回折分析で調査したところ、ホウフッ化カリウムの他にケイフッ化カリウムが含まれており、工業用薬品として要求される品位を大きく下回ることが判明した。
【0077】
4−4.塩酸の製造
ホウフッ化カリウム合成後、分離した液90kgをテフロン(登録商標)製の蒸留装置で蒸留し、蒸留釜の液温が110℃までの留出液を80kg得た。この留出液は13重量%の塩酸で、それに含有している総フッ素の濃度は、2.5重量%の低品位のものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化水素酸を主成分とし、塩酸を添加したガラスのケミカルエッチング剤を使用した後のフッ素系廃液を原料として、以下(a)〜(e)の順に処理することによって、ケイフッ化ナトリウム、ホウフッ化カリウム、塩酸を製造することを特徴とする、廃液から有価物と塩酸を製造する方法。
(a) アルミニウムをアルカリ土類塩と反応させ、フルオロアルミン酸アルカリ土類塩としてアルミニウムを分離する。
(b) アルミニウムを分離した廃液に含まれるフッ化水素酸を酸化ケイ素化合物と反応させ、ケイフッ化水素酸を合成する。
(c) ケイフッ化水素酸に変換した廃液にナトリウム塩を添加し、ケイフッ化ナトリウムを合成する。
(d) ケイフッ化ナトリウムを合成後分離した液にカリウム塩を添加し、ホウフッ化カリウムを合成する。
(e) ホウフッ化カリウムを合成後、分離した液を蒸留して塩酸を製造する。
【請求項2】
アルミニウムを、アルカリ土類塩である塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、炭酸バリウム、炭酸水素バリウム、塩化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、炭酸水素ストロンチウムのいずれかと反応させ、フルオロアルミン酸アルカリ土類塩の難溶性物の固体として分離することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
アルミニウムを分離した廃液に含まれる未反応のフッ化水素酸と、酸化ケイ素化合物である二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウムのいずれかとを、酸化ケイ素化合物のケイ素のモル数がフッ化水素酸のモル数に対して0.20〜0.33倍で反応させ、ケイフッ化水素酸を完全に変換せしめたことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
未反応のフッ化水素酸を完全にケイフッ化水素酸にした廃液と、ナトリウム塩である塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのいずれかとを、ナトリウム塩に含まれるナトリウムのモル数がケイフッ化水素酸のモル数に対して、2.10〜3.30倍で反応させ、かつ、その反応温度を35〜70℃の間で調整するか、ナトリウム塩の水溶液を反応温度が35〜70℃になるようにあらかじめ加熱して投入し、ケイフッ化ナトリウムを合成することを特徴とする請求項1又は3記載の方法。
【請求項5】
ケイフッ化ナトリウムを合成後分離した液に、カリウム塩である塩化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのいずれかを、ホウフッ化水素酸のモル数に対して1.05〜1.50倍のカリウム塩を使用し、ホウフッ化カリウムを合成することを特徴とする請求項1又は4記載の方法。

【公開番号】特開2011−126720(P2011−126720A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283556(P2009−283556)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(390024419)森田化学工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】