説明

建具

【課題】水切り部材のために建具枠が垂直姿勢に対して斜めの姿勢となった場合に、下枠の室内側下取付片と下室内額縁材の内面との間に隙間が生じない建具とする。
【解決手段】建具枠1の下枠3の取付面3aを水切り部材30を介して建物躯体20の開口部21の室外側面22に取付け、この下枠3の室内側下取付片42を、下室内額縁材12の内面12aに形成した取付用凹部14に固着して、その室内側下取付片42と下室内額縁材12の内面12aとの間に隙間が生じないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠の室内側内周面に沿って、室内額縁を四周連続して取付けたサッシ窓などの建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具枠の室内側内周面に沿って室内額縁を四周連続して取付けた建具が種々提案されている。
例えば、特許文献1に開示されたように、建具枠の上枠、下枠、左右の縦枠の室内側に設けた取付片を、上室内額縁材、下室内額縁材、左右の縦室内額縁材に固着して建具枠の室内側内周面に沿って室内額縁を四周連続して取付けた建具が提案されている。
【特許文献1】実公平1−26858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来の建具は、その建具枠を建物躯体の開口部の室外側面に固着具で固着して取付ける際に、下枠と開口部の室外外側面との間に水切り部材を取付けることがある。
この場合には、建具枠が垂直姿勢に対して上枠が室内側寄りとなるように斜めの姿勢となり、下枠の取付片と下の室内額縁との間に隙間が生じてしまう。
前述の従来の建具では、上下横木材、縦木材を設けているので、隙間が見えないが、各木材がなければ隙間が室内から見えてしまう。
【0004】
本発明の目的は、水切り部材のために建具枠が垂直姿勢に対して斜めの姿勢となった場合に、下枠の室内側下取付片と下室内額縁材の内面との間に隙間が生じないようにした建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建物躯体の開口部の室外側面に建具枠を取付け、その建具枠の室内側内周面に沿って室内額縁を四周連続して取付けた建具であって、
前記建具枠の下枠の取付面は水切り部材を介して前記開口部の下室外側面に取付け、
前記室内額縁の上室内額縁材の内面を、上枠の室内側上取付片に接して固着具で固着し、
前記室内額縁の下室内額縁材の内面における室外側寄りに取付用凹部を形成して室外側寄り部分を縦面と取付横面を有する階段形状とし、この取付用凹部の取付横面に下枠の室内側下取付片を固着具で固着して、その室内側下取付片の室内側端面を取付用凹部の縦面に接するようにしたことを特徴とする建具である。
【0006】
本発明においては、前記下枠の室内側下取付片は、その室内側端部に縦向片を有し、その縦向片を下室内額縁材の取付用凹部の縦面に接するようにできる。
このようにすれば、建具枠が垂直に対して大きな角度斜めであっても、室内側下取付片の室内側端面が下室内額縁材の縦面に接し、その下室内額縁材の内面と室内側下取付片との間に隙間が生じることがない。
【0007】
本発明においては、前記建具枠の左右の縦枠の室内側縦取付片と、前記室内額縁の縦室内額縁材の内面とが接すると共に、相互に平行な平坦面であるようにできる。
このようにすれば、建具枠が垂直姿勢に対して斜めであっても左右の縦枠の室内側縦取付片と縦室内額縁材の内面との間に隙間が生じることがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水切り部材のために建具枠が垂直姿勢に対して斜めの姿勢となるが、下枠の室内側下取付片と下室内額縁材の内面との間に隙間が生じないようにできる。
また、上枠の室内側上取付片が上室内額縁材の内面に接しているので、その室内側上取付片と上室内額縁材との間に隙間が生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に示すように、建具枠1は、上枠2と下枠3と左右の縦枠4,4を方形状に連結してある。
前記建具枠1の室内側内周面1aには室内額縁10が四周連続して取付けてある。
この室内額縁10は、上室内額縁材11と下室内額縁材12と左右の縦室内額縁材13,13を方形状に連結してある。
前記建具枠1内には建具体、例えば内障子5と外障子6が面内方向に移動自在に装着されて建具、例えば引き違い窓を構成している。
【0010】
前記建具枠1は図2、図3に示すように、建物躯体20の開口部21における室外側面22に取付けられる。
前記上枠2の取付面2aを開口部21の上室外側面22aに接し、下枠3の取付面3aを開口部21の下室外側面22bに水切り部材30を介して接し、左右の縦枠4の取付面4aを開口部21の縦室外側面22cに接して取付けられる。
例えば、下枠3の垂下片3bを水切り部材30の縦片31に接し、その縦片31を開口部21の下室外側面22bに押しつけ、その垂下片3bから固着具32を縦片31を通して建物躯体20に固着して下枠3を取付ける。
縦枠4の室内側板4bを固着具4cで建物躯体20に固着して縦枠4を取付ける。
【0011】
前記上枠2は図2に示すように、室内側上取付片40を有する。この室内側上取付片40が上室内額縁材11の内面11aにおける室外側寄りに接し、固着具41で固着して上枠2の室内側部と上室内額縁材11を連結している。
【0012】
前記下枠3は図2に示すように、室内側下取付片42を有する。
前記下室内額縁材12の内面12aにおける室外側寄りには取付用凹部14が長手方向全長に亘って形成され、下室内額縁材12の室外側寄りは、内面12aと連続し、室外側に向かう縦面14aと、この縦面14aと連続し室外側に向かう取付横面14bで階段形状としてある。
前記下枠3の室内側取付片42は、下室内額縁材12の取付用凹部14の取付横面14bに固着具43で固着し、室内側取付片42の室内側端面42aを縦面14aに接するようにして下枠3の室内側部と下室内額縁材12を連結している。
【0013】
前記縦枠4は図3に示すように、室内側縦取付片44を有する。この室内側縦取付片44が縦室内額縁材13の内面13aにおける室外側寄りに接し、固着具45で固着して縦枠4の室内側部と縦室内額縁材13を連結している。
【0014】
このようであるから、下枠3の取付面3aは、水切り部材30の縦片31の厚さ分だけ、上枠2の取付面2a寄りも室外側寄りに位置し、建具枠1は、垂直姿勢に対して上枠2が室内側寄りとなるように斜めの姿勢となっているが、前記上枠2の室内側上取付片40に上室内額縁材11の内面11aが接し、下枠3の室内側下取付片42が下室内額縁材12の取付用凹部14に固着しているので、下室内額縁材12の内面12aと下枠3の室内側下取付片42との間に隙間が生じない。
【0015】
また、上枠2の室内側上取付片40と上室内額縁材11の内面11aとの間に隙間が生じない。
また、縦枠4の室内側縦取付片44が縦室内額縁材13の内面13aに接していると共に、その室内側縦取付片44と縦室内額縁材13の内面13aは平坦で、平行面であるから、縦室内額縁材13に対して室内側縦取付片44が垂直に対して斜めであっても、両者の間には隙間が生じることがない。
【0016】
前記室内額縁10は、上室内額縁材11、下室内額縁材12、左右の縦室内額縁材13を方形状に連結した状態で、室内側から建具枠1に向けて開口部21内に挿入し、上・縦室内額縁材11,13の内面11a,13aを室内側上取付片40、室内側縦取付片44にそれぞれ接すると共に、下室内額縁材12の取付用凹部14を室内側下取付片42に接する。
そして、各取付片40,42,44を固着具41,43,45で上・下・縦室内額縁材11,12,13に固着して室内額縁10を建具枠1の室内側内周面1aに四周連続で取付ける。
【0017】
前記下枠3の室内側下取付片42は、その室内側端部に縦向片42bを有し、その縦向片42bが下室内額縁材12の縦面14aに当接しているので、建具枠1が垂直に対して大きな角度斜めで、その室内側下取付片42が水平に対して大きな角度斜めであっても、その室内側下取付片42の室内側端面42aが下室内額縁材12の縦面14aに接し、下室内額縁材12の内面12aと室内側下取付片42との間に隙間が生じることがない。
【0018】
前記上枠2は、金属上枠材50の室内側部に樹脂枠材51を取付けた複層形材で、その樹脂枠材51の室内側部分51aが前述の室内側上取付片40であるから、その室内側上取付片40は弾性変形可能である。
したがって、室内側上取付片40が上室内額縁材11の内面11aに対して斜めであっても、固着具41で固着することで室内側上取付片40を上室内額縁材11の内面11aに密着して取付けできる。
【0019】
また、縦枠4も上枠2と同様に、金属縦枠材52の室内側部に樹脂枠材53を取付けた複層形材で、その樹脂枠材53の室内側部分53aが前述の室内側縦取付片44である。
したがって、室内側縦取付片44は弾性変形可能である。
【0020】
前記下枠3は、金属下枠材54と中間横樹脂枠材55と室内側樹脂枠材56を供えた複層形材で、その金属下枠材54の室内側部分54aと室内側樹脂枠材56の室内側部分56aが重なり合って前述の室内側下取付片42である。
このようであるから、室内側下取付片42を固着具43で下室内額縁材12の内面12aに固着することで、その室内側下取付片42を下室内額縁材12の内面12aに密着させることができず、両者の間に隙間が生じてしまう。
そこで、前述のように下室内額縁材12の内面12aに取付用凹部14を形成した。
【0021】
図2に示すように、金属下枠材54の室内側部分54aを取付用凹部14の取付横面14bに接し、室内側樹脂枠材56の室内側部分56aで前記室内側部分54aを覆うと共に、取付用凹部材14の縦面14aに接している。
このようにすることで、建具枠1の室内側部分が樹脂となるから、結露が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態を示す建具の全体内観図である。
【図2】建具の取付状態の詳細縦断面図である。
【図3】建具の取付状態の詳細横断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…建具枠、1a…室内側内周面、2…上枠、2a…取付面、3…下枠、3a…取付面、4…縦枠、4a…取付面、10…室内額縁、11…上室内額縁材、11a…内面、12…下室内額縁材、12a…内面、13…縦室内額縁材、13a…内面、14…取付用凹部、14a…縦面、14b…取付横面、20…建物躯体、21…開口部、22…室外側面、30…水切り部材、31…縦片、40…室内側上取付片、41…固着具、42…室内側下取付片、43…固着具、44…室内側縦取付片、45…固着具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部の室外側面に建具枠を取付け、その建具枠の室内側内周面に沿って室内額縁を四周連続して取付けた建具であって、
前記建具枠の下枠の取付面は水切り部材を介して前記開口部の下室外側面に取付け、
前記室内額縁の上室内額縁材の内面を、上枠の室内側上取付片に接して固着具で固着し、
前記室内額縁の下室内額縁材の内面における室外側寄りに取付用凹部を形成して室外側寄り部分を縦面と取付横面を有する階段形状とし、この取付用凹部の取付横面に下枠の室内側下取付片を固着具で固着して、その室内側下取付片の室内側端面を取付用凹部の縦面に接するようにしたことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記下枠の室内側下取付片は、その室内側端部に縦向片を有し、その縦向片を下室内額縁材の取付用凹部の縦面に接するようにした請求項1記載の建具。
【請求項3】
前記建具枠の左右の縦枠の室内側縦取付片と、前記室内額縁の縦室内額縁材の内面とが接すると共に、相互に平行な平坦面である請求項1又は2記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−95905(P2010−95905A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267581(P2008−267581)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】