説明

建柱作業用補助具

【課題】任意の長さに切断して電柱などの柱状構造物を設置する箇所に予め埋設しておく建柱作業用補助具に関し、側面の切断位置から刃先が逃げることなく切断できるようにして、使用する柱状構造物の下端部の寸法形状に応じた長さに容易に調整できるようにすること。
【解決手段】電柱の下端部よりも大きめの円筒形状に形成されて、掘削穴内に設置した後に前記電柱の下端部を内部に差し込んだ状態にして該電柱の下端部との間を埋め戻すことにより電柱を所望の位置に立てる建柱作業に用いられる補助具10であって、電柱の種別に応じた長さおよび太さの前記下端部を内部に差込可能な寸法の円筒形状に形成されており、前記筒形状の側面には、前記柱状構造物の種別に応じた長さ毎に切断溝11が形成されている。また、前記筒形状の側面には、貫通穴12が開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建柱作業用補助具に関し、詳しくは、電柱などの柱状構造物を設置する箇所に予め埋設しておくものに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱などの柱状構造物を所望の位置に立てて設置する建柱作業としては、地面を掘削した穴内にその柱状構造物の下端部を埋設することが一般的に行なわれており(例えば、特許文献1、2)、地盤が脆弱な場合には、有底の円筒部材を埋設してその円筒部材内に柱状構造物を差し込んで立てた状態に保持することも提案されている(例えば、特許文献3、4)。
【0003】
その一方で、土木工事などで形成する斜面(法面)や敷設するコンクリートブロック内などに電柱等の柱状構造物を設置する必要がある場合には、先にその柱状構造物を立ててしまうと工事の工程を複雑にしてしまうことから、予め簡易な単なる円筒形状の先行管(建柱作業用補助具)を所望の設置位置に埋設しておくことが多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−296345号公報
【特許文献2】特開平11−323961号公報
【特許文献3】特開2003−336257号公報
【特許文献4】特開2004−84268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような簡易な形状の先行管にあっては、柱状構造物の種別毎に準備されているわけではなく、内部に差し込んで埋設する下端部の長さに応じて切断することにより使用するのが一般的である。この先行管は、単なる円筒形状であるために、その側面にグラインダなどの刃物を当てて切断するにしても、その刃先が逃げてしまい所望の位置で切断することが難しい、という問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、側面の切断位置から刃先が逃げることなく切断できるようにして、使用する柱状構造物の下端部の寸法形状に応じた長さに容易に調整することのできる建柱作業用補助具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する建柱作業用補助具の発明は、柱状構造物の下端部よりも大きめの筒形状に形成されて、掘削穴内に設置した後に前記柱状構造物の下端部を内部に差し込んだ状態にして該柱状構造物の下端部との間を埋め戻すことにより柱状構造物を所望の位置に立てる建柱作業に用いられる補助具であって、利用対象にされている前記柱状構造物の種別に応じた長さおよび太さの前記下端部を内部に差込可能な寸法の前記筒形状に形成されており、前記筒形状の側面には、前記柱状構造物の種別に応じた長さ毎に対応する位置に凹部が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明では、例えば、円筒形状の建柱作業用補助具であっても、使用する柱状構造物の下端部の長さに対応する位置の側面に形成されている凹部に切断道具の刃先を位置させて切断作業を開始することができ、その刃先が凹部の最底部に案内位置させる状態で切断することができる。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、切断道具の刃先を凹部の最底部に案内位置させて切断作業を開始することができるので、建柱作業用補助具を、使用する柱状構造物の下端部の長さに合わせて容易に切断することができる。
【0010】
したがって、例えば、斜面(法面)やコンクリートブロック内などのように先に柱状構造物を設置することのできない場合に、その柱状構造物の下端部の寸法形状に合わせて容易に切断して調整した建柱作業用補助具を建柱する位置に予め埋設・準備しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る建柱作業用補助具の一実施形態を示す図であり、その全体構成を示す斜視図である。
【図2】その要部構成を示す一部拡大縦断面図である。
【図3】その他の実施形態の要部構成を示す図であり、(a)はその一部拡大正面図、(b)はその一部拡大縦断面図である。
【図4】その他の実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
柱状構造物の下端部よりも大きめの筒形状(断面が円形や多角形の筒形状)に形成されて、掘削穴内に設置した後に前記柱状構造物の下端部を内部に差し込んだ状態にして該柱状構造物の下端部との間を埋め戻すことにより柱状構造物を所望の位置に立てる建柱作業に用いられる補助具であって、利用対象にされている前記柱状構造物の種別に応じた長さおよび太さの前記下端部を内部に差込可能な寸法の前記筒形状に形成されており、前記筒形状の側面には、前記柱状構造物の種別に応じた長さ毎に対応する位置に凹部が形成されていることを基本構成とするのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0013】
第1の形態としては、前記筒形状の側面には、内部に貫通する貫通穴が複数開口していてもよい。
【0014】
この構成では、内部に流入する雨水などを貫通穴からも流出させることができ、流入水が底部側に溜まってしまうこと回避することができる。したがって、内部に差し込んだ柱状構造物が水に使った状態になったまま劣化してしまうことを防止することができる。
【0015】
第2の形態としては、前記筒形状は上側ほど開口面積が大きくなる、所謂、漏斗形状に形成してもよい。
【0016】
この構成では、内部に流入して内壁面を流れる雨水などを貫通穴から積極的に流出させることができ、貫通穴を形成する効果をより高めることができる。
【0017】
第3の形態としては、前記貫通穴には土砂の通過を制限するメッシュ部材を設置していてもよい。
【0018】
この構成では、予め埋設しておく筒形状の建柱作業用補助具内に土砂が貫通穴から流入してしまうことを制限することができる。したがって、柱状建造物の下端部を差し込む際に内部の土砂を改めて取り除く作業を省くことができる。
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1および図2は本発明に係る建柱作業用補助具の一実施形態を示す図である。
【0020】
図1において、建柱作業用補助具10は、不図示の電柱(柱状構造物)の下端部を地盤内に埋設して立てた状態に設置する建柱作業を行なう際に利用可能に、例えば、鋼鉄を両端部の開口する円筒形状に形成することにより作製されており、建柱対象の最大の電柱の下端部よりも大きな内径を有するとともに、その下端部を内部に十分に収容することができる程度の長さの円筒形状に設定されている。
【0021】
この建柱作業用補助具10は、建柱する電柱の種別に応じた埋設する下端部の長さに対応する位置を含んで一定間隔で連続する複数個所の外周面に、図2に示すように、その全周方向に延在して凹む切断溝(凹部)11が形成されており、その切断溝11の間には、均等間隔の3箇所で開口する貫通穴12が形成されている。
【0022】
このため、建柱作業用補助具10は、電柱の種別に応じた下端部に対応する長さに切断する際には、その対応する位置に形成されている切断溝11に合わせるように、例えば、グラインダの刃を当てると、その切断溝11の底部11aに向かうように案内されて、その切断位置から逃げることなく、安定した状態で切断することができる。なお、切断溝11は、電柱の下端部の長さ毎に厳密に対応する位置に形成されている必要はなく、必要な長さ以上になるように切断できればよい。
【0023】
そして、その建柱作業用補助具10は、電柱の設置位置を掘削した掘削穴内に予め埋設して、その内部に土砂が入り込まないように、また、作業者などの通行人が内部に落下などすることがないように蓋をした状態にして、例えば、斜面(法面)を形成する土木工事などが終了した後に、その内部に電柱の下端部を差し込んで間に土砂を入れて振動させるなどして硬く締める状態に埋め戻す建柱作業を完了する。
【0024】
また、この建柱作業用補助具10は、切断溝11間の複数個所に貫通穴12が開口しているので、電柱の設置後に内部に侵入する雨水などが内部に溜まってしまうことがなく、貫通穴12から積極的に流出させることができ、電柱の下端部が浸水した状態のままになって劣化してしまうことを回避することができる。
【0025】
このように本実施形態においては、グラインダの刃先が逃げてしまうことなく、建柱作業用補助具10を所望の位置の切断溝11で容易に切断することができ、その電柱の建柱後には、その建柱作業用補助具10内に雨水などが溜まらないようにして電柱が劣化してしまうことを回避することができる。
【0026】
本実施形態の他の態様としては、図3に示すように、建柱作業用補助具10の貫通穴12をメッシュ21で蓋をしてもよい。この場合には、内部からの雨水などの流出を妨げることなく、電柱の設置前に内部に土砂Sが流入してしまうことを効果的に制限することができる。
【0027】
また、図4に示すように、建柱作業用補助具10の形状を小さな傾斜で上部側の方が大きく開口する漏斗形状に形成してもよい。この場合には、内部に流入する雨水などを積極的に内面10aの表面で流れるようにして、より多くの雨水を貫通穴12から外部に流出させるようにできる。また、電柱の下端部の太さに応じた箇所で切断溝11を切断するようにすることができ、例えば、太めの下端部の場合には大径の開口D1側から長さL1になるように切断して利用する一方、細めの下端部の場合には小径の開口D2側から長さL2になるように切断して利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
10……建柱作業用補助具 11……切断溝 12……貫通穴 21……メッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状構造物の下端部よりも大きめの筒形状に形成されて、掘削穴内に設置した後に前記柱状構造物の下端部を内部に差し込んだ状態にして該柱状構造物の下端部との間を埋め戻すことにより柱状構造物を所望の位置に立てる建柱作業に用いられる補助具であって、
利用対象にされている前記柱状構造物の種別に応じた長さおよび太さの前記下端部を内部に差込可能な寸法の前記筒形状に形成されており、
前記筒形状の側面には、前記柱状構造物の種別に応じた長さ毎に対応する位置に凹部が形成されていることを特徴とする建柱作業用補助具。
【請求項2】
前記筒形状の側面には、内部に貫通する貫通穴が複数開口していることを特徴とする請求項1に記載の建柱作業用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−21438(P2011−21438A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169454(P2009−169454)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】