建物の二重床構造
【課題】床下地パネルを簡単に取り外すことが可能であって、更新性や可変性に優れた建物の二重床構造を提供する。
【解決手段】この二重床構造は、床基盤1上に複数の支持脚2・・を間隔をあけて立設し、これら支持脚2・・の上面板6・・間に枠板10、11・・を差し渡して、上面板6・・と枠板10、11・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させて、間仕切り壁30を設置するための設置部位18とするとともに、上面板6・・及び枠板10、11・・によって囲まれた方形枠内に、床下地パネル20、21・・を嵌め込むようにしている。
【解決手段】この二重床構造は、床基盤1上に複数の支持脚2・・を間隔をあけて立設し、これら支持脚2・・の上面板6・・間に枠板10、11・・を差し渡して、上面板6・・と枠板10、11・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させて、間仕切り壁30を設置するための設置部位18とするとともに、上面板6・・及び枠板10、11・・によって囲まれた方形枠内に、床下地パネル20、21・・を嵌め込むようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として戸建て住宅や集合住宅等の建物に適用される二重床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、戸建て住宅や集合住宅等の建物に適用される二重床として、土間コンクリートやコンクリートスラブ等の床基盤上に複数の支持脚を適宜間隔をあけて立設し、これら支持脚の上面板に跨って複数の床下地パネルを敷き並べて、これら床下地パネルを床基盤から浮かした所定の高さ位置に支持するようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の二重床において、間仕切り壁を施工する場合、床下地パネル上に間仕切り壁を立設して、その下端部を床下地パネルにビス止め等によって固定していることが多い。なお、間仕切り壁の施工後に、床下地パネルの上面には畳やフローリング等の床仕上げ材が敷設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−290708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の二重床においては、床下地パネル上に間仕切り壁を載せて固定しているので、間仕切り壁を一旦取り外してからでないと、床下地パネルを取り外すことができず、このため床下地パネルの交換、或いは、床下地パネル裏側の床下空間に設けた配線類や配管類のメンテナンスに際して、面倒な作業を強いられるといった不具合があった。しかも、床下地パネルは、支持脚の上面板にビスや釘等で固定されていることが多く、このため床下地パネル自体の取り外しも面倒であり、また床下地パネルが損傷し易くなって、リフォーム時における繰り返しの使用も困難となるといった不具合があった。
【0006】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、床下地パネルを簡単に取り外すことが可能であって、更新性や可変性に優れた二重床構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の建物の二重床構造は、床基盤1上に複数の支持脚2・・を間隔をあけて立設し、これら支持脚2・・の上面板6・・間に枠板10、11・・を差し渡して、前記上面板6・・と前記枠板10、11・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させて、間仕切り壁30を設置するための設置部位18とするとともに、前記上面板6・・及び前記枠板10、11・・によって囲まれた方形枠内に、床下地パネル20、21・・を嵌め込むようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、前記枠板10、11・・の第1ボルト挿通用孔15・・へ上方から挿通した第1ボルト17・・を、前記上面板6・・に埋設した第1ナット9・・に螺合することで、前記枠板10、11・・を前記上面板6・・に対して着脱可能に固定するとともに、前記床下地パネル20、21・・の第2ボルト挿通用孔22・・へ上方から挿通した第2ボルト23・・を、前記枠板10、11・・に埋設した第2ナット16・・に螺合することで、前記床下地パネル20、21・・を前記枠板10、11・・に対して着脱可能に固定している。
【0009】
具体的には、前記上面板6において、その平面視略正方形状の板本体部7の周端面下部から張り出した張出部8に前記第1ナット9・・を埋設し、前記枠板10、11において、その平面視略長方形状の板本体部12の両端面上部から延出した一対の延出部13、13に前記第1ボルト挿通用孔15を夫々形成して、前記張出部8・・に前記延出部13・・を載置して前記第1ナット9・・と前記第1ボルト挿通用孔15・・とを重ね合わせた状態で、前記第1ボルト挿通用孔15・・へ上方から挿通した前記第1ボルト17・・を前記第1ナット9・・に螺合するとともに、前記枠板10、11において、その平面視略長方形状の板本体部12の両側面下部から前記方形枠内に突出した一対の突出部14、14に前記第2ナット16・・を夫々埋設し、平面視略正方形状又は平面視略長方形状の前記床下地パネル20、21において、その周端部に前記第2ボルト挿通用孔22・・を形成して、前記突出部14・・に前記床下地パネル20、21・・の周端部を載置して前記第2ナット16・・と前記第2ボルト挿通用孔22・・とを重ね合わせた状態で、前記第2ボルト挿通用孔22・・へ上方から挿通した前記第2ボルト23・・を前記第2ナット16・・に螺合するようにしている。
【0010】
また、薄肉の床仕上げ材51aを敷設する前記床下地パネル20、21と厚肉の床仕上げ材51bを敷設する前記床下地パネル20、21との境界部分に位置する前記枠板55において、その平面視略長方形状の板本体部12の一方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部14の上面の高さレベルと、他方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部14の上面の高さレベルを異ならせて、前記薄肉の床仕上げ材51aにおける上面の高さレベルと前記厚肉の床仕上げ材51bにおける上面の高さレベルを揃えるようにしている。
【0011】
さらに、前記上面板6・・及び前記枠板10、11・・を、建物の基準モジュールに対応した基準線P・・に沿って配置している。
【0012】
さらにまた、前記設置部位18に設置した前記間仕切り壁30の上端部を、天井面50に対して突っ張り固定させるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の二重床構造においては、床下地パネルを避けるようにして、間仕切り壁を設置部位に設置するようになっているので、間仕切り壁を取り外すことなく、床下地パネルを取り外すことができ、このため床下地パネルの交換、或いは、床下地パネル裏側の床下空間に設けた配線類や配管類のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0014】
しかも、上面板に対する枠板の固定、及び、枠板に対する床下地パネルの固定は、第1、第2ボルトを第1、第2ナットに上方から螺合することによってなされているので、床上からの操作によって床下地パネルや枠板を簡単に着脱することができ、上記の交換やメンテナンスだけでなく、二重床の増設や一部撤去を伴うリフォームに際しての作業性も良好である。また、ビスや釘等で固定するときと比べて、床下地パネルや枠板の損傷を少なくして、リフォーム時における繰り返しの使用が可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0015】
また、板本体部を挟んだ両側の突出部における上面の高さレベルの異なる枠板を使用して、この枠板の突出部に載置した床下地パネルに厚みの異なる床仕上げ材を敷設することで、これら床仕上げ材の厚みの差を吸収して上面の高さレベルを揃えるようにしているので、枠板の形状を変更しただけの簡単な構造によって、床仕上げ面に段差を生じさせないようにすることができる。
【0016】
さらに、二重床が基準モジュールに対応して構成されているので、二重床の増設や一部撤去を伴うリフォームを容易に行うことができ、床下地パネルや枠板の使い回しも可能となって、より一層のコスト削減を図ることができる。
【0017】
さらにまた、設置部位に設置した間仕切り壁の上端部を、天井面に対して突っ張り固定させているので、天井面を傷付けることなく、間仕切り壁の施工や配置換えも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係る二重床における支持脚の施工状態を示す斜視図である。
【図2】枠板の施工状態を示す斜視図である。
【図3】床下地パネルの施工状態を示す斜視図である。
【図4】床下地面を上方から見た割付図である。
【図5】間仕切り壁の下地部材の施工状態を示す斜視図である。
【図6】間仕切り壁の施工状態を示す斜視図である。
【図7】支持脚の分解斜視図である。
【図8】支持脚の上面板に対する枠板の取付状態を示す縦断面図である。
【図9】枠板の斜視図である。
【図10】枠板に対する床下地パネルの取付状態を示す縦断面図である。
【図11】間仕切り壁の下地部材の取付状態を示す縦断面図である。
【図12】突張機構の縦断面図である。
【図13】別の枠板を使用した二重床の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る二重床構造は、更新性や可変性が要求される例えば超長期集合住宅(アパート)に適用されている。以下、この二重床構造を、その施工手順に従って説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、土間コンクリートやコンクリートスラブ等の床基盤1上に、複数の支持脚2・・を前後左右方向に適宜間隔をあけて立設している。
【0021】
支持脚2は、図7及び図8に示すように、防振台座3付きの束材4と、この束材4の上端部に取り付けられた受け材5と、この受け材5の上面に取り付けられた上面板6とを備えている。そして、束材4の上端部に形成された雄螺子部4aと、受け材5の中央貫通孔部に形成された雌螺子部5aとが螺合されている。また、上面板6は、平面視略正方形状の板本体部7と、その周端面下部から側方に張り出した平面視略方形枠状の張出部8とからなる。板本体部7の中央部には、束材4の上端面に形成された係合溝4bを臨ませる貫通孔7aが形成され、張出部8の各辺中央部には第1ナット9・・が夫々埋設されている。なお、上面板6の板本体部7は、その一辺の長さ寸法が約80mmとされている。
【0022】
この支持脚2においては、ドライバー等の回転工具を上面板6の貫通孔7aへ上方から挿入して束材4の係合溝4bに係合させ、この状態で回転工具を操作して束材4を回転させることで、受け材5及び上面板6が上下動して、上面板6の上面の高さレベルの調整が可能となっている。
【0023】
次に、図2に示すように、支持脚2・・の上面板6・・間に、長尺枠板10・・及び短尺枠板11・・を差し渡して、上面板6・・と枠板10、11・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させている。
【0024】
長尺枠板10及び短尺枠板11は、図9に示すように、平面視略長方形状の板本体部12と、その板本体部12の両端面上部から延出した一対の延出部13、13と、板本体部12の両側面下部から突出した一対の突出部14、14とからなる。そして、延出部13、13の中央部には、第1ボルト挿通用孔15が夫々形成され、突出部14、14には、複数の第2ナット16・・が間隔をあけて夫々埋設されている。なお、長尺枠板10の板本体部12は、その長さ寸法(延出部13、13を含む)が約823mm、幅寸法が約80mmとされており、短尺枠板11の板本体部12は、その長さ寸法(延出部13、13を含む)が約520mm、幅寸法が約80mmとされている。
【0025】
これら長尺枠板10及び短尺枠板11は、図2及び図8に示すように、その延出部13、13を隣接する支持脚2、2の張出部8、8に載置して、第1ナット9、9と第1ボルト挿通用孔15、15とを重ね合わせた状態で、第1ボルト挿通用孔15、15へ上方から挿通した第1ボルト17、17を第1ナット9、9に螺合することによって、隣接する支持脚2、2の上面板6、6間に跨るようにして、上面板6、6に対して着脱可能に固定されている。なお、長尺枠板10については、その中間部分の数箇所を補強用支持脚(図示しない)によって支持して、撓みを防止しても良い。
【0026】
そして、このように支持脚2・・の上面板6・・間に、枠板10、11・・を差し渡した状態において、上面板6・・と枠板10、11・・の上面が、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続して、後述する間仕切り壁30を設置するための設置部位18とされている。また、上面板6・・及び枠板10、11・・によって囲まれた各方形枠内には、上面板6・・の張出部8・・のコーナー部分及び枠板10、11・・の突出部14・・が、それら上面の高さレベルを揃えながら方形枠状に連続した状態で突出して、パネル載置枠19・・を構成している。
【0027】
続いて、図3に示すように、上記の各方形枠内に、大型の床下地パネル20・・や小型の床下地パネル21・・を夫々嵌め込んで、それら周端部をパネル載置枠19・・に載置している。
【0028】
大型の床下地パネル20は、平面視略長方形状のパーティクルボードからなり、その周端部には、複数の第2ボルト挿通用孔22・・が間隔をあけて形成されている。小型の床下地パネル21は、平面視略正方形状のパーティクルボードからなり、その周端部には、複数の第2ボルト挿通用孔22・・が間隔をあけて形成されている。なお、大型の床下地パネル20は、その長さ寸法が約823mm、幅寸法が約520mmとされており、小型の床下地パネル21は、その一辺の長さ寸法が約520mmとされている。
【0029】
これら大型の床下地パネル20及び小型の床下地パネル21は、図3及び図10に示すように、その周端部を枠板10、11・・の突出部14・・に載置して、第2ナット16・・と第2ボルト挿通用孔22・・とを重ね合わせた状態で、第2ボルト挿通用孔22・・へ上方から挿通した第2ボルト23・・を第2ナット16・・に螺合することによって、枠板10、11・・に対して着脱可能に固定されている。このようにして、各方形枠内に床下地パネル20、21・・を嵌め込んだ状態において、床下地パネル20、21・・の上面が上面板6・・及び枠板10、11・・の上面と略面一となっていて、全体的に略平滑な床下地面を構成している。
【0030】
図4は、床下地面を上方から見た割付図であって、図中の1点鎖線で示す線は、建物の基準モジュール(例えば尺モジュール)に対応した基準線Pを示している。基準線P、P間の間隔Lは、約303mmであって、基準モジュールの約3分の1となっている。支持脚2・・の上面板6・・及び枠板10、11・・は、上面板6・・の中心部間及び枠板10、11・・の中心軸間の間隔が基準線P、P間の間隔Lの2倍若しくは3倍となるようにして、基準線P・・に沿って格子状に配置され、その格子状の各方形枠内に床下地パネル20、21・・がきっちりと収まるようにして配置されている。
【0031】
次に、上記の床下地面のうち、上面板6・・及び枠板10、11・・の上面である設置部位18に沿って、間仕切り壁30を適宜設置する。すなわち、床下地パネル20、21・・を避けるようにして、間仕切り壁30を設置する。
【0032】
この間仕切り壁30の設置に際しては、まず図5に示すように、その下地部材31を設置部位18に立設している。下地部材31は、図11に示すように、複数の枠ユニット32・・を組み合わせてなる下地本体33と、この下地本体33の上端部に備え付けた突張機構34とを備えている。
【0033】
枠ユニット32は、上下一対の横材35、35と、左右一対の縦材36、36とを方形枠状の組み付けて、その枠内において縦材36、36間に上下方向に適宜間隔をあけて複数の桟材37・・を差し渡した構造を基本としている。なお、枠ユニット32・・としては、幅寸法の異なるもの、扉用開口や収納用開口を備えたものといった数種類のものが用意されており、それらを選択的に組み合わせて並設することで、下地本体33を構成している。そして、この下地本体33における枠ユニット32・・の上側の横材35・・には、ボルト挿通用孔35a・・が上下方向に貫通して形成され、枠ユニット32・・の下側の横材35・・及び桟材37・・には、配線挿通用孔35b、37b・・が上下方向に貫通して形成されている。
【0034】
突張機構34は、図12に示すように、枠ユニット32・・の上側の横材35・・の上面に、ボルト挿通用孔35a・・に対応して取り付けられたナット40・・と、これらナット40・・に螺合された状態で、下端部がボルト挿通用孔35a・・に挿入されたジャッキアップボルト41・・と、これらジャッキアップボルト41・・の上端部に被せられた頭つなぎ材42と、ジャッキアップボルト41・・の中間部に螺合されたジャッキアップナット43・・と、ジャッキアップボルト41・・に外嵌した状態で、頭つなぎ材42とジャッキアップナット43・・との間にワッシャー44・・を介して装着された圧縮バネ45・・とを備えている。なお、ジャッキアップボルト41の下端面には、係合溝41aが夫々形成され、頭つなぎ材42の上面には、緩衝材46が取り付けられている。
【0035】
そして、下地部材31は、その下端部を枠板10、11・・に固定するとともに、その上端部を天井面50に対して突っ張り固定することで、天井面50と設置部位18とに跨って設置されている。具体的に、下地部材31の下端部の固定に際しては、枠ユニット32・・の下側の横材35・・を、ビスやボルト等によって枠板10、11・・に止め付けている。また、下地部材31の上端部の固定に際しては、ドライバー等の回転工具を、枠ユニット32・・の上側の横材35・・のボルト挿通用孔35a・・へ下方から挿入して、ジャッキアップボルト41・・の係合溝41a・・に係合させ、この状態で回転工具を操作してジャッキアップボルト41・・を回転させながら上動させることで、頭つなぎ材42を押し上げてその緩衝材46を天井面50に押し付けるようにしている。さらに、ジャッキアップナット43・・を回転させて、圧縮バネ45・・を押し縮めて頭つなぎ材42を上方へ常時付勢することで、突っ張り固定状態を良好に維持している。
【0036】
このようにして設置部位18に立設した下地部材31に対して、図6に示すように、その表裏面に表面化粧材47、47を張り付けることで、間仕切り壁30の設置が完了する。そして、間仕切り壁30の設置後に、床下地面(設置部位18における間仕切り壁30を設置していない箇所を含む)に、タイル、畳、フローリング等の床仕上げ材51を敷設することで、二重床の施工が完了する。
【0037】
なお、床下地面には、例えばリビングに対応する部位にフローリング等の薄肉の床仕上げ材51aを敷設して、和室に対応する部位に畳等の厚肉の床仕上げ材51bを敷設するといったように、厚みの異なる床仕上げ材51a、51bを敷設する場合があるが、この場合、薄肉の床仕上げ材51aと厚肉の床仕上げ材51bとの境界部分において、段差が生じることになる。
【0038】
そこで、このような段差を解消するための枠板55・・が別途用意されている。この枠板55は、図13に示すように、薄肉の床仕上げ材51a・・を敷設する床下地パネル20、21と厚肉の床仕上げ材51b・・を敷設する床下地パネル20、21との境界部分に位置するように配され、その平面視略長方形状の板本体部12の一方の側面下部から突出した突出部14の上面の高さレベルと、他方の側面下部から突出した突出部14の上面の高さレベルが異なった状態となっている。従って、枠板55の突出部14、14に、床下地パネル20、21の周端部を載置することで、枠板55を挟んだ両側の床下地パネル20、21の上面の高さレベルが異なり、これら床下地パネル20、21に敷設する床仕上げ材51a、51b・・の厚みの差を吸収して、薄肉の床仕上げ材51aにおける上面の高さレベルと厚肉の床仕上げ材51bにおける上面の高さレベルを揃えて、これら境界部分において段差を生じさせないようになっている。
【0039】
以上説明した二重床においては、平面視格子状に連続する上面板6・・及び枠板10、11・・の上面が、間仕切り壁30を設置する設置部位18となっていて、床下地パネル20、21・・は、上面板6・・及び枠板10、11・・によって囲まれた方形枠内に嵌め込まれているので、間仕切り壁30を取り外すことなく、床下地パネル20、21・・を取り外すことができ、このため床下地パネル20、21・・の交換、或いは、床下地パネル20、21・・裏側の床下空間60に設けた配線類や配管類のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0040】
しかも、上面板6・・に対する枠板10、11・・の固定、及び、枠板10、11・・に対する床下地パネル20、21・・の固定は、第1、第2ボルト17、23・・を第1、第2ナット9、16・・に上方から螺合することによってなされているので、床上からの操作によって床下地パネル20、21・・や枠板10、11・・を簡単に着脱することができ、上記の交換やメンテナンスだけでなく、例えばユニットバス等の各種設備ユニットの配置換えや間取りの変更等のような二重床の増設や一部撤去を伴うリフォームに際しての作業性も良好である。また、ビスや釘等で固定するときと比べて、床下地パネル20、21・・や枠板10、11・・の損傷を少なくして、リフォーム時における繰り返し使用が可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0041】
さらに、上面板6・・及び枠板10、11・・は、基準モジュールに対応する基準線P・・に沿って格子状に配置され、その格子状の各方形枠内に収まるようにして床下地パネル20、21・・が嵌め込まれている、すなわち、二重床が基準モジュールに即して構成されているので、各種設備ユニットの配置換えや間取りの変更等を容易に行うことができ、床下地パネル20、21・・や枠板10、11・・の使い回しも可能となって、より一層のコスト削減を図ることができる。
【0042】
さらにまた、設置部位18に設置した間仕切り壁30の上端部を、天井面50に対して突っ張り固定させているので、天井面50を傷付けることなく、間仕切り壁30の施工や配置換えを容易に行うことができる。
【0043】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、この発明の二重床構造は、アパートに適用されるだけでなく、戸建て住宅やマンション、さらには医療施設や商業施設等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1・・床基盤、2・・支持脚、6・・上面板、7・・上面板の板本体部、8・・張出部、9・・第1ナット、10、11、55・・枠板、12・・枠板の板本体部、13・・延出部、14・・突出部、15・・第1ボルト挿通用孔、16・・第2ナット、17・・第1ボルト、18・・設置部位、20、21・・床下地パネル、22・・第2ボルト挿通用孔、23・・第2ボルト、30・・間仕切り壁、50・・天井面、51a・・薄肉の床仕上げ材、51b・・厚肉の床仕上げ材、P・・基準線
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として戸建て住宅や集合住宅等の建物に適用される二重床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、戸建て住宅や集合住宅等の建物に適用される二重床として、土間コンクリートやコンクリートスラブ等の床基盤上に複数の支持脚を適宜間隔をあけて立設し、これら支持脚の上面板に跨って複数の床下地パネルを敷き並べて、これら床下地パネルを床基盤から浮かした所定の高さ位置に支持するようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の二重床において、間仕切り壁を施工する場合、床下地パネル上に間仕切り壁を立設して、その下端部を床下地パネルにビス止め等によって固定していることが多い。なお、間仕切り壁の施工後に、床下地パネルの上面には畳やフローリング等の床仕上げ材が敷設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−290708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の二重床においては、床下地パネル上に間仕切り壁を載せて固定しているので、間仕切り壁を一旦取り外してからでないと、床下地パネルを取り外すことができず、このため床下地パネルの交換、或いは、床下地パネル裏側の床下空間に設けた配線類や配管類のメンテナンスに際して、面倒な作業を強いられるといった不具合があった。しかも、床下地パネルは、支持脚の上面板にビスや釘等で固定されていることが多く、このため床下地パネル自体の取り外しも面倒であり、また床下地パネルが損傷し易くなって、リフォーム時における繰り返しの使用も困難となるといった不具合があった。
【0006】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、床下地パネルを簡単に取り外すことが可能であって、更新性や可変性に優れた二重床構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の建物の二重床構造は、床基盤1上に複数の支持脚2・・を間隔をあけて立設し、これら支持脚2・・の上面板6・・間に枠板10、11・・を差し渡して、前記上面板6・・と前記枠板10、11・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させて、間仕切り壁30を設置するための設置部位18とするとともに、前記上面板6・・及び前記枠板10、11・・によって囲まれた方形枠内に、床下地パネル20、21・・を嵌め込むようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、前記枠板10、11・・の第1ボルト挿通用孔15・・へ上方から挿通した第1ボルト17・・を、前記上面板6・・に埋設した第1ナット9・・に螺合することで、前記枠板10、11・・を前記上面板6・・に対して着脱可能に固定するとともに、前記床下地パネル20、21・・の第2ボルト挿通用孔22・・へ上方から挿通した第2ボルト23・・を、前記枠板10、11・・に埋設した第2ナット16・・に螺合することで、前記床下地パネル20、21・・を前記枠板10、11・・に対して着脱可能に固定している。
【0009】
具体的には、前記上面板6において、その平面視略正方形状の板本体部7の周端面下部から張り出した張出部8に前記第1ナット9・・を埋設し、前記枠板10、11において、その平面視略長方形状の板本体部12の両端面上部から延出した一対の延出部13、13に前記第1ボルト挿通用孔15を夫々形成して、前記張出部8・・に前記延出部13・・を載置して前記第1ナット9・・と前記第1ボルト挿通用孔15・・とを重ね合わせた状態で、前記第1ボルト挿通用孔15・・へ上方から挿通した前記第1ボルト17・・を前記第1ナット9・・に螺合するとともに、前記枠板10、11において、その平面視略長方形状の板本体部12の両側面下部から前記方形枠内に突出した一対の突出部14、14に前記第2ナット16・・を夫々埋設し、平面視略正方形状又は平面視略長方形状の前記床下地パネル20、21において、その周端部に前記第2ボルト挿通用孔22・・を形成して、前記突出部14・・に前記床下地パネル20、21・・の周端部を載置して前記第2ナット16・・と前記第2ボルト挿通用孔22・・とを重ね合わせた状態で、前記第2ボルト挿通用孔22・・へ上方から挿通した前記第2ボルト23・・を前記第2ナット16・・に螺合するようにしている。
【0010】
また、薄肉の床仕上げ材51aを敷設する前記床下地パネル20、21と厚肉の床仕上げ材51bを敷設する前記床下地パネル20、21との境界部分に位置する前記枠板55において、その平面視略長方形状の板本体部12の一方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部14の上面の高さレベルと、他方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部14の上面の高さレベルを異ならせて、前記薄肉の床仕上げ材51aにおける上面の高さレベルと前記厚肉の床仕上げ材51bにおける上面の高さレベルを揃えるようにしている。
【0011】
さらに、前記上面板6・・及び前記枠板10、11・・を、建物の基準モジュールに対応した基準線P・・に沿って配置している。
【0012】
さらにまた、前記設置部位18に設置した前記間仕切り壁30の上端部を、天井面50に対して突っ張り固定させるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の二重床構造においては、床下地パネルを避けるようにして、間仕切り壁を設置部位に設置するようになっているので、間仕切り壁を取り外すことなく、床下地パネルを取り外すことができ、このため床下地パネルの交換、或いは、床下地パネル裏側の床下空間に設けた配線類や配管類のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0014】
しかも、上面板に対する枠板の固定、及び、枠板に対する床下地パネルの固定は、第1、第2ボルトを第1、第2ナットに上方から螺合することによってなされているので、床上からの操作によって床下地パネルや枠板を簡単に着脱することができ、上記の交換やメンテナンスだけでなく、二重床の増設や一部撤去を伴うリフォームに際しての作業性も良好である。また、ビスや釘等で固定するときと比べて、床下地パネルや枠板の損傷を少なくして、リフォーム時における繰り返しの使用が可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0015】
また、板本体部を挟んだ両側の突出部における上面の高さレベルの異なる枠板を使用して、この枠板の突出部に載置した床下地パネルに厚みの異なる床仕上げ材を敷設することで、これら床仕上げ材の厚みの差を吸収して上面の高さレベルを揃えるようにしているので、枠板の形状を変更しただけの簡単な構造によって、床仕上げ面に段差を生じさせないようにすることができる。
【0016】
さらに、二重床が基準モジュールに対応して構成されているので、二重床の増設や一部撤去を伴うリフォームを容易に行うことができ、床下地パネルや枠板の使い回しも可能となって、より一層のコスト削減を図ることができる。
【0017】
さらにまた、設置部位に設置した間仕切り壁の上端部を、天井面に対して突っ張り固定させているので、天井面を傷付けることなく、間仕切り壁の施工や配置換えも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係る二重床における支持脚の施工状態を示す斜視図である。
【図2】枠板の施工状態を示す斜視図である。
【図3】床下地パネルの施工状態を示す斜視図である。
【図4】床下地面を上方から見た割付図である。
【図5】間仕切り壁の下地部材の施工状態を示す斜視図である。
【図6】間仕切り壁の施工状態を示す斜視図である。
【図7】支持脚の分解斜視図である。
【図8】支持脚の上面板に対する枠板の取付状態を示す縦断面図である。
【図9】枠板の斜視図である。
【図10】枠板に対する床下地パネルの取付状態を示す縦断面図である。
【図11】間仕切り壁の下地部材の取付状態を示す縦断面図である。
【図12】突張機構の縦断面図である。
【図13】別の枠板を使用した二重床の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る二重床構造は、更新性や可変性が要求される例えば超長期集合住宅(アパート)に適用されている。以下、この二重床構造を、その施工手順に従って説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、土間コンクリートやコンクリートスラブ等の床基盤1上に、複数の支持脚2・・を前後左右方向に適宜間隔をあけて立設している。
【0021】
支持脚2は、図7及び図8に示すように、防振台座3付きの束材4と、この束材4の上端部に取り付けられた受け材5と、この受け材5の上面に取り付けられた上面板6とを備えている。そして、束材4の上端部に形成された雄螺子部4aと、受け材5の中央貫通孔部に形成された雌螺子部5aとが螺合されている。また、上面板6は、平面視略正方形状の板本体部7と、その周端面下部から側方に張り出した平面視略方形枠状の張出部8とからなる。板本体部7の中央部には、束材4の上端面に形成された係合溝4bを臨ませる貫通孔7aが形成され、張出部8の各辺中央部には第1ナット9・・が夫々埋設されている。なお、上面板6の板本体部7は、その一辺の長さ寸法が約80mmとされている。
【0022】
この支持脚2においては、ドライバー等の回転工具を上面板6の貫通孔7aへ上方から挿入して束材4の係合溝4bに係合させ、この状態で回転工具を操作して束材4を回転させることで、受け材5及び上面板6が上下動して、上面板6の上面の高さレベルの調整が可能となっている。
【0023】
次に、図2に示すように、支持脚2・・の上面板6・・間に、長尺枠板10・・及び短尺枠板11・・を差し渡して、上面板6・・と枠板10、11・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させている。
【0024】
長尺枠板10及び短尺枠板11は、図9に示すように、平面視略長方形状の板本体部12と、その板本体部12の両端面上部から延出した一対の延出部13、13と、板本体部12の両側面下部から突出した一対の突出部14、14とからなる。そして、延出部13、13の中央部には、第1ボルト挿通用孔15が夫々形成され、突出部14、14には、複数の第2ナット16・・が間隔をあけて夫々埋設されている。なお、長尺枠板10の板本体部12は、その長さ寸法(延出部13、13を含む)が約823mm、幅寸法が約80mmとされており、短尺枠板11の板本体部12は、その長さ寸法(延出部13、13を含む)が約520mm、幅寸法が約80mmとされている。
【0025】
これら長尺枠板10及び短尺枠板11は、図2及び図8に示すように、その延出部13、13を隣接する支持脚2、2の張出部8、8に載置して、第1ナット9、9と第1ボルト挿通用孔15、15とを重ね合わせた状態で、第1ボルト挿通用孔15、15へ上方から挿通した第1ボルト17、17を第1ナット9、9に螺合することによって、隣接する支持脚2、2の上面板6、6間に跨るようにして、上面板6、6に対して着脱可能に固定されている。なお、長尺枠板10については、その中間部分の数箇所を補強用支持脚(図示しない)によって支持して、撓みを防止しても良い。
【0026】
そして、このように支持脚2・・の上面板6・・間に、枠板10、11・・を差し渡した状態において、上面板6・・と枠板10、11・・の上面が、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続して、後述する間仕切り壁30を設置するための設置部位18とされている。また、上面板6・・及び枠板10、11・・によって囲まれた各方形枠内には、上面板6・・の張出部8・・のコーナー部分及び枠板10、11・・の突出部14・・が、それら上面の高さレベルを揃えながら方形枠状に連続した状態で突出して、パネル載置枠19・・を構成している。
【0027】
続いて、図3に示すように、上記の各方形枠内に、大型の床下地パネル20・・や小型の床下地パネル21・・を夫々嵌め込んで、それら周端部をパネル載置枠19・・に載置している。
【0028】
大型の床下地パネル20は、平面視略長方形状のパーティクルボードからなり、その周端部には、複数の第2ボルト挿通用孔22・・が間隔をあけて形成されている。小型の床下地パネル21は、平面視略正方形状のパーティクルボードからなり、その周端部には、複数の第2ボルト挿通用孔22・・が間隔をあけて形成されている。なお、大型の床下地パネル20は、その長さ寸法が約823mm、幅寸法が約520mmとされており、小型の床下地パネル21は、その一辺の長さ寸法が約520mmとされている。
【0029】
これら大型の床下地パネル20及び小型の床下地パネル21は、図3及び図10に示すように、その周端部を枠板10、11・・の突出部14・・に載置して、第2ナット16・・と第2ボルト挿通用孔22・・とを重ね合わせた状態で、第2ボルト挿通用孔22・・へ上方から挿通した第2ボルト23・・を第2ナット16・・に螺合することによって、枠板10、11・・に対して着脱可能に固定されている。このようにして、各方形枠内に床下地パネル20、21・・を嵌め込んだ状態において、床下地パネル20、21・・の上面が上面板6・・及び枠板10、11・・の上面と略面一となっていて、全体的に略平滑な床下地面を構成している。
【0030】
図4は、床下地面を上方から見た割付図であって、図中の1点鎖線で示す線は、建物の基準モジュール(例えば尺モジュール)に対応した基準線Pを示している。基準線P、P間の間隔Lは、約303mmであって、基準モジュールの約3分の1となっている。支持脚2・・の上面板6・・及び枠板10、11・・は、上面板6・・の中心部間及び枠板10、11・・の中心軸間の間隔が基準線P、P間の間隔Lの2倍若しくは3倍となるようにして、基準線P・・に沿って格子状に配置され、その格子状の各方形枠内に床下地パネル20、21・・がきっちりと収まるようにして配置されている。
【0031】
次に、上記の床下地面のうち、上面板6・・及び枠板10、11・・の上面である設置部位18に沿って、間仕切り壁30を適宜設置する。すなわち、床下地パネル20、21・・を避けるようにして、間仕切り壁30を設置する。
【0032】
この間仕切り壁30の設置に際しては、まず図5に示すように、その下地部材31を設置部位18に立設している。下地部材31は、図11に示すように、複数の枠ユニット32・・を組み合わせてなる下地本体33と、この下地本体33の上端部に備え付けた突張機構34とを備えている。
【0033】
枠ユニット32は、上下一対の横材35、35と、左右一対の縦材36、36とを方形枠状の組み付けて、その枠内において縦材36、36間に上下方向に適宜間隔をあけて複数の桟材37・・を差し渡した構造を基本としている。なお、枠ユニット32・・としては、幅寸法の異なるもの、扉用開口や収納用開口を備えたものといった数種類のものが用意されており、それらを選択的に組み合わせて並設することで、下地本体33を構成している。そして、この下地本体33における枠ユニット32・・の上側の横材35・・には、ボルト挿通用孔35a・・が上下方向に貫通して形成され、枠ユニット32・・の下側の横材35・・及び桟材37・・には、配線挿通用孔35b、37b・・が上下方向に貫通して形成されている。
【0034】
突張機構34は、図12に示すように、枠ユニット32・・の上側の横材35・・の上面に、ボルト挿通用孔35a・・に対応して取り付けられたナット40・・と、これらナット40・・に螺合された状態で、下端部がボルト挿通用孔35a・・に挿入されたジャッキアップボルト41・・と、これらジャッキアップボルト41・・の上端部に被せられた頭つなぎ材42と、ジャッキアップボルト41・・の中間部に螺合されたジャッキアップナット43・・と、ジャッキアップボルト41・・に外嵌した状態で、頭つなぎ材42とジャッキアップナット43・・との間にワッシャー44・・を介して装着された圧縮バネ45・・とを備えている。なお、ジャッキアップボルト41の下端面には、係合溝41aが夫々形成され、頭つなぎ材42の上面には、緩衝材46が取り付けられている。
【0035】
そして、下地部材31は、その下端部を枠板10、11・・に固定するとともに、その上端部を天井面50に対して突っ張り固定することで、天井面50と設置部位18とに跨って設置されている。具体的に、下地部材31の下端部の固定に際しては、枠ユニット32・・の下側の横材35・・を、ビスやボルト等によって枠板10、11・・に止め付けている。また、下地部材31の上端部の固定に際しては、ドライバー等の回転工具を、枠ユニット32・・の上側の横材35・・のボルト挿通用孔35a・・へ下方から挿入して、ジャッキアップボルト41・・の係合溝41a・・に係合させ、この状態で回転工具を操作してジャッキアップボルト41・・を回転させながら上動させることで、頭つなぎ材42を押し上げてその緩衝材46を天井面50に押し付けるようにしている。さらに、ジャッキアップナット43・・を回転させて、圧縮バネ45・・を押し縮めて頭つなぎ材42を上方へ常時付勢することで、突っ張り固定状態を良好に維持している。
【0036】
このようにして設置部位18に立設した下地部材31に対して、図6に示すように、その表裏面に表面化粧材47、47を張り付けることで、間仕切り壁30の設置が完了する。そして、間仕切り壁30の設置後に、床下地面(設置部位18における間仕切り壁30を設置していない箇所を含む)に、タイル、畳、フローリング等の床仕上げ材51を敷設することで、二重床の施工が完了する。
【0037】
なお、床下地面には、例えばリビングに対応する部位にフローリング等の薄肉の床仕上げ材51aを敷設して、和室に対応する部位に畳等の厚肉の床仕上げ材51bを敷設するといったように、厚みの異なる床仕上げ材51a、51bを敷設する場合があるが、この場合、薄肉の床仕上げ材51aと厚肉の床仕上げ材51bとの境界部分において、段差が生じることになる。
【0038】
そこで、このような段差を解消するための枠板55・・が別途用意されている。この枠板55は、図13に示すように、薄肉の床仕上げ材51a・・を敷設する床下地パネル20、21と厚肉の床仕上げ材51b・・を敷設する床下地パネル20、21との境界部分に位置するように配され、その平面視略長方形状の板本体部12の一方の側面下部から突出した突出部14の上面の高さレベルと、他方の側面下部から突出した突出部14の上面の高さレベルが異なった状態となっている。従って、枠板55の突出部14、14に、床下地パネル20、21の周端部を載置することで、枠板55を挟んだ両側の床下地パネル20、21の上面の高さレベルが異なり、これら床下地パネル20、21に敷設する床仕上げ材51a、51b・・の厚みの差を吸収して、薄肉の床仕上げ材51aにおける上面の高さレベルと厚肉の床仕上げ材51bにおける上面の高さレベルを揃えて、これら境界部分において段差を生じさせないようになっている。
【0039】
以上説明した二重床においては、平面視格子状に連続する上面板6・・及び枠板10、11・・の上面が、間仕切り壁30を設置する設置部位18となっていて、床下地パネル20、21・・は、上面板6・・及び枠板10、11・・によって囲まれた方形枠内に嵌め込まれているので、間仕切り壁30を取り外すことなく、床下地パネル20、21・・を取り外すことができ、このため床下地パネル20、21・・の交換、或いは、床下地パネル20、21・・裏側の床下空間60に設けた配線類や配管類のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【0040】
しかも、上面板6・・に対する枠板10、11・・の固定、及び、枠板10、11・・に対する床下地パネル20、21・・の固定は、第1、第2ボルト17、23・・を第1、第2ナット9、16・・に上方から螺合することによってなされているので、床上からの操作によって床下地パネル20、21・・や枠板10、11・・を簡単に着脱することができ、上記の交換やメンテナンスだけでなく、例えばユニットバス等の各種設備ユニットの配置換えや間取りの変更等のような二重床の増設や一部撤去を伴うリフォームに際しての作業性も良好である。また、ビスや釘等で固定するときと比べて、床下地パネル20、21・・や枠板10、11・・の損傷を少なくして、リフォーム時における繰り返し使用が可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0041】
さらに、上面板6・・及び枠板10、11・・は、基準モジュールに対応する基準線P・・に沿って格子状に配置され、その格子状の各方形枠内に収まるようにして床下地パネル20、21・・が嵌め込まれている、すなわち、二重床が基準モジュールに即して構成されているので、各種設備ユニットの配置換えや間取りの変更等を容易に行うことができ、床下地パネル20、21・・や枠板10、11・・の使い回しも可能となって、より一層のコスト削減を図ることができる。
【0042】
さらにまた、設置部位18に設置した間仕切り壁30の上端部を、天井面50に対して突っ張り固定させているので、天井面50を傷付けることなく、間仕切り壁30の施工や配置換えを容易に行うことができる。
【0043】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、この発明の二重床構造は、アパートに適用されるだけでなく、戸建て住宅やマンション、さらには医療施設や商業施設等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1・・床基盤、2・・支持脚、6・・上面板、7・・上面板の板本体部、8・・張出部、9・・第1ナット、10、11、55・・枠板、12・・枠板の板本体部、13・・延出部、14・・突出部、15・・第1ボルト挿通用孔、16・・第2ナット、17・・第1ボルト、18・・設置部位、20、21・・床下地パネル、22・・第2ボルト挿通用孔、23・・第2ボルト、30・・間仕切り壁、50・・天井面、51a・・薄肉の床仕上げ材、51b・・厚肉の床仕上げ材、P・・基準線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床基盤(1)上に複数の支持脚(2)・・を間隔をあけて立設し、これら支持脚(2)・・の上面板(6)・・間に枠板(10)(11)・・を差し渡して、前記上面板(6)・・と前記枠板(10)(11)・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させて、間仕切り壁(30)を設置するための設置部位(18)とするとともに、前記上面板(6)・・及び前記枠板(10)(11)・・によって囲まれた方形枠内に、床下地パネル(20)(21)・・を嵌め込むようにしたことを特徴とする建物の二重床構造。
【請求項2】
前記枠板(10)(11)・・の第1ボルト挿通用孔(15)・・へ上方から挿通した第1ボルト(17)・・を、前記上面板(6)・・に埋設した第1ナット(9)・・に螺合することで、前記枠板(10)(11)・・を前記上面板(6)・・に対して着脱可能に固定するとともに、前記床下地パネル(20)(21)・・の第2ボルト挿通用孔(22)・・へ上方から挿通した第2ボルト(23)・・を、前記枠板(10)(11)・・に埋設した第2ナット(16)・・に螺合することで、前記床下地パネル(20)(21)・・を前記枠板(10)(11)・・に対して着脱可能に固定した請求項1記載の建物の二重床構造。
【請求項3】
前記上面板(6)において、その平面視略正方形状の板本体部(7)の周端面下部から張り出した張出部(8)に前記第1ナット(9)・・を埋設し、前記枠板(10)(11)において、その平面視略長方形状の板本体部(12)の両端面上部から延出した一対の延出部(13)(13)に前記第1ボルト挿通用孔(15)を夫々形成して、前記張出部(8)・・に前記延出部(13)・・を載置して前記第1ナット(9)・・と前記第1ボルト挿通用孔(15)・・とを重ね合わせた状態で、前記第1ボルト挿通用孔(15)・・へ上方から挿通した前記第1ボルト(17)・・を前記第1ナット(9)・・に螺合するとともに、前記枠板(10)(11)において、その平面視略長方形状の板本体部(12)の両側面下部から前記方形枠内に突出した一対の突出部(14)(14)に前記第2ナット(16)・・を夫々埋設し、平面視略正方形状又は平面視略長方形状の前記床下地パネル(20)(21)において、その周端部に前記第2ボルト挿通用孔(22)・・を形成して、前記突出部(14)・・に前記床下地パネル(20)(21)・・の周端部を載置して前記第2ナット(16)・・と前記第2ボルト挿通用孔(22)・・とを重ね合わせた状態で、前記第2ボルト挿通用孔(22)・・へ上方から挿通した前記第2ボルト(23)・・を前記第2ナット(16)・・に螺合するようにした請求項2記載の建物の二重床構造。
【請求項4】
薄肉の床仕上げ材(51a)を敷設する前記床下地パネル(20)(21)と厚肉の床仕上げ材(51b)を敷設する前記床下地パネル(20)(21)との境界部分に位置する前記枠板(55)において、その平面視略長方形状の板本体部(12)の一方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部(14)の上面の高さレベルと、他方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部(14)の上面の高さレベルを異ならせて、前記薄肉の床仕上げ材(51a)における上面の高さレベルと前記厚肉の床仕上げ材(51b)における上面の高さレベルを揃えるようにした請求項3記載の建物の二重床構造。
【請求項5】
前記上面板(6)・・及び前記枠板(10)(11)・・を、建物の基準モジュールに対応した基準線(P)・・に沿って配置した請求項1乃至4のいずれかに記載の建物の二重床構造。
【請求項6】
前記設置部位(18)に設置した前記間仕切り壁(30)の上端部を、天井面(50)に対して突っ張り固定させるようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の建物の二重床構造。
【請求項1】
床基盤(1)上に複数の支持脚(2)・・を間隔をあけて立設し、これら支持脚(2)・・の上面板(6)・・間に枠板(10)(11)・・を差し渡して、前記上面板(6)・・と前記枠板(10)(11)・・の上面を、高さレベルを揃えながら平面視格子状に連続させて、間仕切り壁(30)を設置するための設置部位(18)とするとともに、前記上面板(6)・・及び前記枠板(10)(11)・・によって囲まれた方形枠内に、床下地パネル(20)(21)・・を嵌め込むようにしたことを特徴とする建物の二重床構造。
【請求項2】
前記枠板(10)(11)・・の第1ボルト挿通用孔(15)・・へ上方から挿通した第1ボルト(17)・・を、前記上面板(6)・・に埋設した第1ナット(9)・・に螺合することで、前記枠板(10)(11)・・を前記上面板(6)・・に対して着脱可能に固定するとともに、前記床下地パネル(20)(21)・・の第2ボルト挿通用孔(22)・・へ上方から挿通した第2ボルト(23)・・を、前記枠板(10)(11)・・に埋設した第2ナット(16)・・に螺合することで、前記床下地パネル(20)(21)・・を前記枠板(10)(11)・・に対して着脱可能に固定した請求項1記載の建物の二重床構造。
【請求項3】
前記上面板(6)において、その平面視略正方形状の板本体部(7)の周端面下部から張り出した張出部(8)に前記第1ナット(9)・・を埋設し、前記枠板(10)(11)において、その平面視略長方形状の板本体部(12)の両端面上部から延出した一対の延出部(13)(13)に前記第1ボルト挿通用孔(15)を夫々形成して、前記張出部(8)・・に前記延出部(13)・・を載置して前記第1ナット(9)・・と前記第1ボルト挿通用孔(15)・・とを重ね合わせた状態で、前記第1ボルト挿通用孔(15)・・へ上方から挿通した前記第1ボルト(17)・・を前記第1ナット(9)・・に螺合するとともに、前記枠板(10)(11)において、その平面視略長方形状の板本体部(12)の両側面下部から前記方形枠内に突出した一対の突出部(14)(14)に前記第2ナット(16)・・を夫々埋設し、平面視略正方形状又は平面視略長方形状の前記床下地パネル(20)(21)において、その周端部に前記第2ボルト挿通用孔(22)・・を形成して、前記突出部(14)・・に前記床下地パネル(20)(21)・・の周端部を載置して前記第2ナット(16)・・と前記第2ボルト挿通用孔(22)・・とを重ね合わせた状態で、前記第2ボルト挿通用孔(22)・・へ上方から挿通した前記第2ボルト(23)・・を前記第2ナット(16)・・に螺合するようにした請求項2記載の建物の二重床構造。
【請求項4】
薄肉の床仕上げ材(51a)を敷設する前記床下地パネル(20)(21)と厚肉の床仕上げ材(51b)を敷設する前記床下地パネル(20)(21)との境界部分に位置する前記枠板(55)において、その平面視略長方形状の板本体部(12)の一方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部(14)の上面の高さレベルと、他方の側面下部から前記方形枠内に突出した突出部(14)の上面の高さレベルを異ならせて、前記薄肉の床仕上げ材(51a)における上面の高さレベルと前記厚肉の床仕上げ材(51b)における上面の高さレベルを揃えるようにした請求項3記載の建物の二重床構造。
【請求項5】
前記上面板(6)・・及び前記枠板(10)(11)・・を、建物の基準モジュールに対応した基準線(P)・・に沿って配置した請求項1乃至4のいずれかに記載の建物の二重床構造。
【請求項6】
前記設置部位(18)に設置した前記間仕切り壁(30)の上端部を、天井面(50)に対して突っ張り固定させるようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の建物の二重床構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−102492(P2011−102492A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257810(P2009−257810)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】
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