説明

建物の内壁パネル設置構造

【課題】内壁パネルの設置作業において作業性の改善を図ることができる建物の内壁パネル設置構造を提供する。
【解決手段】建物の外周部には、外壁材21とその裏面に設けられた外壁フレーム22とを有する外壁パネル20が設けられ、外壁パネル20の屋内側には内壁ユニット30が設けられている。内壁ユニット30は、内壁材31と、その裏面に設けられた内壁フレーム32と、壁内断熱材33とを有してなる。壁内断熱材33は、一部が外壁フレーム22の中間フレーム材22cと内壁材31との間に圧縮されて挟み込まれている。内壁フレーム32の上側横フレーム材32bには、上突出部38が設けられ、下側横フレーム材32cには、下突出部42が設けられている。そして、上突出部38が天井面材19の端部に係止され、かつ、下突出部42が床面材16の端部に係止されることにより、内壁ユニット30の屋内側への移動が規制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の内壁パネル設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁構造として、屋外側に外壁パネルが設けられ、その屋内側に内壁パネルが設けられる構造が知られている(例えば、特許文献1)。かかる構造では、例えば外壁パネルが、外壁面材とその裏面(屋内側面)に設けられる外壁フレームとを有して構成され、内壁パネルが、内壁面材とその裏面(屋外側面)に設けられる内壁フレームとを有して構成される。この場合、内壁パネルは、床面材と天井面材との間に配置されて、床面材上に載置された状態で設置されることが多い。
【0003】
この種の外壁構造では、断熱性能を確保すべく、対向配置された外壁パネルと内壁パネルとの間に壁内断熱材が設けられるのが一般的である。この場合、壁内断熱材は、例えば内壁パネルに一体に設けられ、具体的には内壁パネルの内壁フレームの枠内部に組み込まれて設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−115637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、省エネルギの観点等から外壁構造において高断熱性が求められており、そのため壁内断熱材としては厚みの大きいものが用いられる傾向にある。ここで、厚みの大きい壁内断熱材を用いる場合には、内壁フレームに組み込まれた壁内断熱材の一部が屋外側の外壁フレームまで達し同フレームと干渉する場合がありうる。その場合、壁内断熱材は、その一部が外壁フレームと内壁面材との間に圧縮されて挟み込まれた状態で設けられることとなる。
【0006】
ところで、内壁パネルを設置する際には、その作業性の観点からすると、内壁パネルを所定の設置位置において床面材上に自立させ、その自立状態で内壁パネルを外壁パネルの外壁フレーム等に固定することが望ましい。しかしながら、上述の構成では、内壁パネルを所定の設置位置に配置すると、壁内断熱材の一部が外壁フレームと内壁面材との間で圧縮され、その圧縮された壁内断熱材の反発力により内壁面材ひいては内壁パネルが屋内側に押圧されることが想定される。その場合、内壁パネルを所定の設置位置に自立させることが困難となり、内壁パネルの設置に際し、内壁パネルを壁内断熱材の反発力に抗して屋外側に押し付けながら同パネルの固定作業を行うといった面倒な作業が発生するおそれがある。また、場合によっては一人の作業者が内壁パネルを屋外側に押し付けつつ、もう一人の作業者が内壁パネルの固定作業を行うといった大掛かりな作業となる可能性もある。よって、上記の構成は、内壁パネルの設置作業に際しその作業性の面で改善の余地があるといえる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内壁パネルの設置作業において作業性の改善を図ることができる建物の内壁パネル設置構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の内壁パネル設置構造は、壁面材を有してなる一対の壁パネルが互いの壁面材を対向させて設けられ、それら各壁パネルの間には壁内断熱材が設けられており、該壁内断熱材は、その少なくとも一部が前記各壁パネルの間に圧縮された状態で挟み込まれており、前記各壁パネルのうち少なくともいずれかは内壁パネルであり、該内壁パネルは、前記壁面材としての内壁面材を床面材と天井面材との間に配置した状態で、前記床面材上に載置されて設置されている建物の内壁パネル設置構造であり、前記内壁パネルの上端部には、前記内壁面材からその裏面側に延出し、一部が前記天井面材及び天井下地材を有する天井部に対して係止される上係止部が設けられ、前記内壁パネルの下端部には、前記内壁面材からその裏面側に延出し、一部が前記床面材及び床下地材を有する床部に対して係止される下係止部が設けられ、前記上係止部が前記天井部に係止され、かつ、前記下係止部が前記床部に係止されることにより、前記内壁パネルについて前記内壁面材の表面側である屋内空間側への移動が規制されていることを特徴とする。
【0009】
内壁パネルと、その内壁パネルに対向する壁パネルとの間に壁内断熱材が設けられ、その壁内断熱材の少なくとも一部がそれら各壁パネルの間に圧縮されて挟み込まれる構成では、内壁パネルを設置する際に、内壁パネルを所定の設置位置において床面材上に載置すると、壁内断熱材が各壁パネル間で圧縮され、その圧縮された壁内断熱材の反発力により内壁パネルが内壁面材の表面側である屋内空間側に押圧されることが考えられる。そのため、内壁パネルを自立させることが困難となるおそれがある。この点、本発明では、内壁パネルにおいて、上端部に設けられた上係止部を天井部に係止させ、かつ、下端部に設けられた下係止部を床部に係止させることにより、内壁パネルの屋内空間側への移動を規制することができる。そのため、内壁パネルが壁内断熱材の反発力により屋内空間側に押圧されているにもかかわらず、内壁パネルが屋内空間側に倒れ込むのを抑制でき、その結果内壁パネルを所定の設置位置において自立させることが可能となる。これにより、内壁パネルを自立させた状態で内壁パネルの固定作業を行うことができ、その結果内壁パネルの設置作業に際し作業性の改善を図ることができる。
【0010】
第2の発明の建物の内壁パネル設置構造は、第1の発明において、前記上係止部は、前記内壁面材の上端よりも上方に突出する上突出部を有し、前記下係止部は、前記内壁面材の下端よりも下方に突出する下突出部を有し、前記上突出部が前記天井面材に係止され、かつ、前記下突出部が前記床面材に係止されることで、前記内壁パネルについて前記屋内空間側への移動が規制されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、内壁パネルの上下に隣接する天井面材及び床面材にそれぞれ各係止部の突出部を係止させる構成としている。この場合、各突出部をそれぞれ内壁パネルの上下端部から上方及び下方に大きく突出させる必要がないため、内壁パネルに各係止部(詳しくは各突出部)を設ける構成において下係止部(詳しくは下突出部)の下端から上係止部(詳しくは上突出部)の上端までの上下高さが大きくなるのを抑制できる。これにより、内壁パネルの設置作業に際し、内壁パネルの取り回しが煩雑となるのを抑制できる。
【0012】
第3の発明の建物の内壁パネル設置構造は、第2の発明において、前記上突出部は、前記天井面材の端部に係止されるものであり、前記下突出部は、前記床面材の端部に係止されるものであり、前記各係止部のうち少なくともいずれかは、前記内壁面材の幅方向に延びる長尺状をなしており、その長手方向に沿って前記上突出部又は前記下突出部が連続して形成されており、該連続形成された前記上突出部又は前記下突出部が、前記天井面材又は前記床面材の端部に沿って当接していることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、上係止部の上突出部が天井面材の端部に係止され、かつ、下係止部の下突出部が床面材の端部に係止されることにより、内壁パネルの屋内側への移動が規制される。この場合、天井面材及び床面材にそれぞれ上突出部及び下突出部を挿し入れ係止させるための孔部(貫通孔部)等を加工形成しなくても、内壁パネルの屋内空間側への移動を規制できる。そのため、比較的簡素な構成で第2の発明の効果を得ることができる。
【0014】
また、内壁パネルが、壁内断熱材により屋内空間側に押圧されつつ各突出部により屋内空間側への移動が規制されている第2の発明の構成では、各突出部がそれぞれ天井面材及び床面材に押し付けられた状態で当接されており、その結果各突出部がそれぞれ天井面材及び床面材に密着された状態となっている。そこで、本発明では、この点に着目し、各係止部のうち少なくともいずれかを内壁面材の幅方向に沿った長尺状とするとともに、その長手方向に沿って上突出部又は下突出部を連続して形成している。そして、この連続形成した上突出部又は下突出部を、一般に長尺状をなして形成されている天井面材の端部又は床面材の端部に沿って当接させている。この場合、上突出部と天井面材端部とを、又は、下突出部と床面材端部とを内壁面材の幅方向に沿って連続して密着させることができるため、内壁面材の上端部と天井面材との間又は内壁面材の下端部と床面材との間を通じた空気の出入りを抑制できる。よって、この場合気密性を高めることができる。
【0015】
ところで、内壁面材が床面材と天井面材との間に配置される構成では、内壁パネルの設置作業をし易くするために、内壁面材の上下高さを床面材と天井面材との間の離間距離(つまり床面から天井面までの天井高さ)よりも小さくして形成することが考えられる。その場合、内壁パネルを床面材上に載置した状態で設置すると、内壁面材の上端部と天井面材との間に隙間が発生し、その隙間を通じて空気の出入りが生じることが想定される。この点を鑑みると、特に、各係止部のうち上係止部(上突出部)に対して本発明を適用することが望ましいといえる。
【0016】
第4の発明の建物の内壁パネル設置構造は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記内壁パネルは、前記内壁面材の裏面側に設けられ、横桟及び縦桟からなる内壁フレームを備え、前記上係止部は、前記内壁フレームのフレーム上端部の横桟により構成され、前記下係止部は、前記内壁フレームのフレーム下端部の横桟により構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、各係止部が内壁フレームの横桟により構成されているため、各係止部を横桟とは別の部材により構成する場合と比べ、構成の簡素化を図ることができる。また、横桟は内壁パネルの幅方向に延びているため、係止部において天井部又は床部に係止される部分を内壁パネルの幅方向に沿って連続又は分散して形成する際には都合がよい。
【0018】
第5の発明の建物の内壁パネル設置構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記壁内断熱材は、その一部が前記内壁パネルの前記各係止部の間に入り込んだ状態で設けられ、その上端部が前記上係止部に接触しかつその下端部が前記下係止部に接触する上下長さを有しており、前記内壁パネルを含む前記一対の壁パネルのうちいずれか一方には、当該一方の壁パネルの壁面材から前記壁内断熱材の上端部及び下端部のうち少なくともいずれかに向けて突出し、他方の壁パネルとの間に前記壁内断熱材を圧縮状態で挟み込む断熱材端部挟み込み部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
例えば、内壁パネルにおける高さ方向の中間高さ(以下、略して中間部という)において壁内断熱材が当該内壁パネルとそれに対向する壁パネルとの間に圧縮状態で挟み込まれている構成では、内壁パネルはその上下端部において各係止部により屋内空間側への移動が規制されつつ、中間部において壁内断熱材の反発力により屋内空間側へ押圧される状態となるため、内壁パネルの中間部が屋内空間側にたわむことが想定される。この場合、そのたわみに伴って上係止部が下方に位置ずれし天井部への係止状態が解除されたり、又は下係止部が上方に位置ずれし床部への係止状態が解除されたりするおそれがあり、内壁パネルを自立させることが困難となる可能性がある。
【0020】
そこで、本発明では、この点に鑑みて、内壁パネルを含む一対の壁パネルのうちいずれか一方に、壁内断熱材の上下端部のうち少なくともいずれかに向けて突出する断熱材端部挟み込み部材を設け、この挟み込み部材と他方の壁パネルとの間で壁内断熱材を圧縮する構成としている。この場合、壁内断熱材の反発力を上係止部付近又は下係止部付近で発生させることができ、その反発力により内壁パネルを上係止部付近又は下係止部付近で屋内空間側に押圧することができる。これにより、上係止部を天井部に押し付ける押し付け力又は、下係止部を床部に押し付ける押し付け力を高めることができ、その結果上係止部又は下係止部の上記位置ずれを抑制する効果が期待できる。
【0021】
また、第3の発明と第5の発明とを併せ持つ構成とすれば、上突出部と天井面材端部との密着性、又は下突出部と床面材端部との間の密着性を高めることができるため、気密効果をより一層高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】建物における外壁構造及びその周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】外壁構造の構成を示す横断面図。
【図3】(a)が内壁パネルの構成を示す側面図、(b)が同構成を示す背面図。
【図4】内壁ユニットの設置手順を説明するための説明図。
【図5】上側横フレーム材の別形態を示す斜視図。
【図6】中間フレーム材に挟み込み部材を設けた構成を示す縦断面図。
【図7】上突出部に配線挿通部を設けた構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は建物における外壁構造及びその周辺の構成を示す縦断面図であり、図2は外壁構造の構成を示す横断面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0024】
図1に示すように、建物10には、床梁14の上面に床根太15が設けられ、床根太15上には床面26を形成する床面材16が設けられている。床面材16は、例えばパーティクルボードにより構成されている。天井梁17の下面には野縁18が固定されており、野縁18の下面には天井面29を形成する天井面材19が固定されている。天井面材19は、例えば2枚重ねの石膏ボードにより構成されている。
【0025】
建物10の外周部には、外壁パネル20が設けられている。外壁パネル20は、屋外面を形成する外壁材21と、外壁材21の裏面側(屋内面側)に固定された外壁フレーム22とを備えている。外壁材21は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。なおここで、外壁パネル20が壁パネルに相当する。
【0026】
外壁フレーム22は、断面コ字状の軽量鉄骨材からなる複数のフレーム材22a〜22cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、外壁フレーム22は、外壁材21の幅方向両端部において上下方向に延びる縦フレーム材22aと、外壁材21の上下方向両端部において左右方向(外壁材21の幅方向)に延びる横フレーム材22bと、外壁材21の上下方向中間部において左右方向に延びる中間フレーム材22cとを有している。なお、詳細には、これら各フレーム材22a〜22cのうち縦フレーム材22aについては、天井梁17、床梁14及び後述する内壁ユニット30の内壁フレーム32(詳細には横フレーム材32b,32c)との干渉を回避すべく上下方向両端側の一部が取り除かれている。
【0027】
外壁フレーム22の各横フレーム材22bは、それぞれ床梁14及び天井梁17に対してボルト等により固定されており。これにより、外壁パネル20が建物10に対し固定されている。また、図2に示すように、外壁パネル20は建物10の外周部において横並びに複数設置されており、隣り合う外壁パネル20の外壁フレーム22(詳細には縦フレーム材22a)同士が当接された状態でボルト等により連結されている。
【0028】
外壁フレーム22の屋内側面には、複数の木レンガ25がタッピングネジ等により固定されている。これら木レンガ25の屋内側面には、内壁ユニット30が固定されている。以下、この内壁ユニット30の構成について図3に基づいて説明する。なお、図3は内壁ユニット30の構成を示しており、(a)が同構成を示す側面図、(b)が背面図である。
【0029】
図3に示すように、内壁ユニット30は、屋内面を形成する内壁材31と、内壁材31の裏面側(屋外面側)に固定された内壁フレーム32と、内壁フレーム32の枠内部に組み込まれた壁内断熱材33とを備えている。なおここで、内壁材31が内壁面材に相当するものであり、内壁材31及び内壁フレーム32により内壁パネルが構成されている。内壁材31は、例えば石膏ボードにより形成されている。
【0030】
内壁フレーム32は、木製の角材からなる複数のフレーム材32a〜32cが矩形枠状に連結されることにより構成されており、内壁材31と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。内壁フレーム32は、内壁材31の幅方向両端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材32aと、内壁材31の上下方向両端部において横方向に延びる横フレーム材32b,32cと、内壁材31の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材32dとを有している。より詳しくは、各横フレーム材32b,32cは内壁材31の幅方向全域に延びるように形成されており、それら各横フレーム材32b,32cの間に縦フレーム材32a及び中間フレーム材32dがそれぞれ掛け渡されることにより内壁フレーム32が構成されている。この場合、内壁フレーム32には、これら各フレーム材32a〜32dにより囲まれた2つの枠内領域35が形成されている。
【0031】
なお、詳細は後述するが、本実施形態では内壁フレーム32において、横フレーム材32b,32cの厚み(内壁材31の厚み方向(換言すると屋内外方向)における長さ)が縦フレーム材32a及び中間フレーム材32d(これら各フレーム材32a,32dの厚みは略同じ)の厚みよりも大きくなっている。
【0032】
壁内断熱材33は、グラスウール等の繊維系断熱材からなり、所定の厚みを有した矩形板状に形成されている。具体的には、壁内断熱材33は、内壁フレーム32の枠内領域35と略同じ大きさ(縦横寸法)を有し、かつ、内壁フレーム32の縦フレーム材32a及び中間フレーム材32dの厚み(屋内外方向の長さ)よりも大きい厚みを有して形成されている。壁内断熱材33は、各フレーム材32a〜32dの内側面との隙間がなく、かつ、内壁材31の裏面に当接された状態で、内壁フレーム32の上記2つの枠内領域35内にそれぞれ配設されており、その配設状態において一部が内壁フレーム32の縦フレーム材32a及び中間フレーム材32dよりも内壁材31とは反対側(すなわち屋外側)にはみ出している。なお、このはみ出し部分を以下はみ出し部33aという。
【0033】
図1及び図2の説明に戻り、内壁ユニット30は、少なくとも内壁材31(詳しくは内壁ユニット30において各横フレーム材32b,32cの突出領域39,43(その内容は後述)を除く部分)が床面材16と天井面材19との間に配置されて床面材16上に載置された状態で設置されている。内壁ユニット30は、内壁フレーム32の縦フレーム材32a及び中間フレーム材32dが木レンガ25の屋内側面にタッピングネジ等により取り付けられることで固定されている。また、内壁ユニット30は、その幅方向において横並びに複数設けられている。
【0034】
内壁ユニット30において内壁材31の高さ寸法h1は床面26から天井面29までの高さ寸法H(以下、天井高さHという)よりも小さく設定されている(h1<H)。そのため、床面材16と天井面材19との間に内壁材31を配設する際、その設置作業がし易くなっている。また、内壁ユニット30の設置状態では、内壁材31の上端部と天井面材19との間に所定の隙間45が形成され、この隙間45の上下高さはH−h1となる。
【0035】
内壁ユニット30が木レンガ25に固定された状態では、外壁フレーム22の中間フレーム材22cが壁内断熱材33の高さ方向における中間位置に配設されている。中間フレーム材22cは、その溝開口を下方に向けた状態で設けられており、その屋内側フランジ部と内壁材31との間の離間距離(内寸)が壁内断熱材33の厚み(屋内外方向の長さ)よりも小さくなっている。そのため、壁内断熱材33は、その一部が中間フレーム材22c(詳しくは屋内側フランジ部)と内壁材31との間に圧縮された状態で挟み込まれており、これにより、圧縮状態にある壁内断熱材33の反発力により内壁材31ひいては内壁ユニット30全体が屋内側に押圧された状態となっている。
【0036】
ところで、上述の構成では、内壁ユニット30を設置するに際し、同ユニット30を所定の設置位置にて床面材16上に載置すると、壁内断熱材33の一部が内壁材31と中間フレーム材22cとの間に圧縮状態で挟み込まれ、その圧縮された壁内断熱材33の反発力により内壁ユニット30が屋内側に押圧されることが想定される。その場合、内壁ユニット30を自立させることが困難となり、内壁ユニット30を木レンガ25の側に押し付けながら固定するといった面倒な作業が発生しうる。そこで、本実施形態では、この点に鑑みて、内壁ユニット30を床面材16上に載置した状態で、内壁ユニット30が屋内側へ移動するのを規制する規制構造を同ユニット30に設けることとしている。これにより、内壁ユニット30が壁内断熱材33により屋内側に押圧されつつも、同ユニット30が屋内側へ移動するのが規制され、その結果内壁ユニット30を所定の設置位置にて自立させることが可能となっている。以下、かかる規制構造について説明する。
【0037】
図3に示すように、内壁フレーム32において各横フレーム材32b,32cは、上述したように、その厚み(内壁材31の厚み方向における長さ)が縦フレーム材32a及び中間フレーム材32dの厚みよりも大きくなっている。各横フレーム材32b,32cは、その内壁材31側の面(屋内側面)が各フレーム材32a,32dの内壁材31側の面(屋内側面)と位置合わせされた状態で、各フレーム材32a,32dに連結されており、かかる連結状態においてその一部がそれらのフレーム材32a,32dよりも内壁材31とは反対側(屋外側)に延出している。
【0038】
上側横フレーム材23bにおいて内壁材31とは反対側の端部(屋外側端部)には、内壁材31の上端よりも上方に突出する上突出部38が設けられている。上突出部38は、内壁材31の上端からの突出高さh3(詳しくは内壁材31の上端から上突出部38の上端までの上下高さ)が上記隙間45の上下高さH−h1よりも大きくなっている。上突出部38は、上側横フレーム材32bの長手方向に沿って延びるように形成されており、詳しくは同フレーム材32bの長手方向全域(つまりは内壁材31の幅方向全域)に連続して形成されている。
【0039】
また、この場合、上側横フレーム材32bは、その厚み方向において、上突出部38が設けられていることで上下幅が比較的大きくなっている突出領域39と、上突出部38が設けられていないことで上下幅が比較的小さくなっている非突出領域40とを有しており、これら各領域39,40により略L字状をなして形成されている。そして、上側横フレーム材32bは、非突出領域40の上端部が内壁材31の上端部と位置合わせされた状態で内壁材31の裏面に設けられている。
【0040】
下側横フレーム材32cにおいて内壁材31とは反対側の端部(屋外側端部)には、内壁材31の下端よりも下方に突出する下突出部42が設けられている。下突出部42は、内壁材31の下端からの突出高さh4(詳しくは下突出部42の下端から内壁材31の下端までの上下高さ)が、上突出部38の突出高さh3よりも小さくなっており、例えば1mmとなっている。下突出部42は、下側横フレーム材32cの長手方向に沿って延びるように形成されており、詳しくは同フレーム材32cの長手方向全域(つまりは内壁材31の幅方向全域)に連続して形成されている。
【0041】
また、この場合、下側横フレーム材32cは、その厚み方向において、下突出部42が設けられていることで上下幅が比較的大きくなっている突出領域43と、下突出部42が設けられていないことで上下幅が比較的小さくなっている非突出領域44とを有しており、これら各領域43,44により略L字状をなして形成されている。そして、下側横フレーム材32cは、非突出領域44の下端部が内壁材31の下端部と位置合わせされた状態で内壁材31の裏面に設けられている。
【0042】
図1に示すように、内壁ユニット30は、内壁材31の下端部及び内壁フレーム32の下側横フレーム材32c(詳しくはその非突出領域44)が床面材16上に載置された状態で設置されている。かかる内壁ユニット30の設置状態では、下突出部42が床面材16の端部よりも屋外側に配置されて同端部に屋外側から当接しており、上突出部38が天井面材19の端部よりも屋外側に配置されて同端部に屋外側から当接している。すなわち、この場合、下突出部42が床面材16の端部に係止され、かつ、上突出部38が天井面材19の端部に係止されており、これにより、内壁ユニット30が、壁内断熱材33の反発力により屋内側へ押圧されつつも、屋内側への移動が規制された状態となっている。
【0043】
また、かかる規制状態において内壁ユニット30は屋内側に押圧されているため、上突出部38が天井面材19の端部に押し付けられた状態で当接し、下突出部42が床面材16の端部に押し付けられた状態で当接している。この場合、上突出部38及び下突出部42はそれぞれ天井面材19の端部及び床面材16の端部と密着した状態にある。これにより、上突出部38と天井面材19の端部との間、及び下突出部42と床面材16の端部との間を通じた外気の出入りが抑制されており、ひいては上側横フレーム材32b(及び内壁材31の上端部)と天井面材19との間、及び下側横フレーム材32c(及び内壁材31の下端部)と床面材16との間を通じた外気の出入りが抑制されている。
【0044】
なお、上述したように、内壁ユニット30は横並びに複数設けられており、かかる横並び状態において隣り合う内壁ユニット30の横フレーム材32b,32c同士は互いに当接又は近接した位置関係で配置されている。
【0045】
内壁ユニット30において下突出部42の下端から上突出部38の上端までの上下高さh2は、上述した内壁材31の高さ寸法h1よりも大きくなっており、具体的には内壁材31の高さ寸法h1よりも、上突出部38の突出高さh3と下突出部42の突出高さh4との和だけ大きくなっている(h2=h1+h3+h4)。そして、この上下高さh2は、床面26から天井面29までの天井高さHよりも大きくなっている。
【0046】
また、上下高さh2から下突出部42の突出高さh4を差し引いた寸法は天井高さHよりも大きくなっている(h2−h4>H)。これにより、内壁ユニット30が、その下側横フレーム材32c(詳しくはその非突出領域44)及び内壁材31の下端部を床面材16上に載置した状態で設置された場合に、上突出部38の一部が天井面29よりも上方に位置することとなり、天井面材19端部への係止が可能となる。
【0047】
さらに、上下高さh2から上突出部38の突出高さh3を差し引いた寸法は天井高さHよりも小さくなっている(h2−h3<H)。これにより、内壁ユニット30の設置に際し、同ユニット30を持ち上げて上突出部38を天井面材19の屋外側端部の側方スペース(詳しくは天井面材19端部と外壁フレーム22の縦フレーム材22aとの間のスペース)に差し入れた場合に、下突出部41を床面材16(床面26)よりも上方に位置させることが可能となる。
【0048】
次に、内壁ユニット30を設置する際の作業手順について図4に基づいて説明する。図4は、内壁ユニット30の設置手順を説明するための説明図である。なおここでは、外壁パネル20の外壁フレーム22に木レンガ25がすでに組み付けられていることを前提として説明を行う。
【0049】
まず、図4(a)に示すように、内壁ユニット30を、その上部が屋外側、その下部が屋内側となるように傾け、その傾け状態で上側横フレーム材32bの上突出部38を天井面材19端部と外壁フレーム22の縦フレーム材22aとの間に差し入れる。
【0050】
続いて、図4(b)に示すように、上突出部38を天井面材19の端部と縦フレーム材22aとの間に差し入れたまま、内壁ユニット30を内壁フレーム32が木レンガ25に当接するまで下方に向かって回動させる。すなわち、上突出部38を回動基端部として内壁ユニット30を回動させる。この回動に際しては、途中から壁内断熱材33の一部が内壁材31と中間フレーム材22cとの間に圧縮され、その圧縮された壁内断熱材33の反発力により内壁ユニット30が屋内側に押圧されるため、その屋内側への押圧に抗して内壁ユニット30を回動させることとなる。そして、内壁ユニット30の回動により、内壁フレーム32が木レンガ25に当接すると、内壁ユニット30が直立状態となる。これにより、上突出部38が天井面材19の端部に当接し、下突出部42が床面材16よりも上方の高さ位置において同床面材16の端部よりも屋外側に位置する。
【0051】
次に、図4(c)に示すように、内壁ユニット30を下方に移動させ、同ユニット30を床面材16上に載置する。これにより、上突出部38が天井面材19の端部に当接し(係止され)、かつ、下突出部42が床面材16の端部に当接した(係止された)状態となる。この場合、内壁ユニット30は、壁内断熱材33の反発力によって屋内側に押圧されつつ、各突出部38,42により屋内側への移動が規制された状態となる。これにより、内壁ユニット30が床面材16上において自立する。
【0052】
次に、自立状態にある内壁ユニット30を木レンガ25に固定する作業を行う。この作業は、内壁材31の屋内側からタッピングネジ等を同内壁材31及び内壁フレーム32を貫通させて木レンガ25に打ち付けることにより行う。これにより、内壁ユニット30が固定され、同ユニット30の設置作業が完了する。
【0053】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0054】
内壁ユニット30(同ユニット30は内壁材31及び内壁フレーム32を有してなる内壁パネルを含んで構成されている。)の上端部に、内壁材31からその裏面側に延出し、一部が天井面材19に対して係止される上側横フレーム材32bを設け、内壁ユニット30の下端部に、内壁材31からその裏面側に延出し、一部が床面材16に対して係止される下側横フレーム材32cを設け、上側横フレーム材32b(具体的には上突出部38)を天井面材19に係止させ、かつ、下側横フレーム材32c(具体的には下突出部42)を床面材16に係止させることにより、内壁ユニット30について屋内側への移動を規制した。この場合、内壁ユニット30が壁内断熱材33の反発力により屋内側に押圧されているにもかかわらず、内壁ユニット30が屋内側に倒れ込むのを抑制でき、その結果内壁ユニット30を所定の設置位置において自立させることが可能となる。これにより、内壁ユニット30を自立させた状態で内壁ユニット30の固定作業を行うことができ、その結果内壁ユニット30の設置作業に際し作業性の改善を図ることができる。
【0055】
上側横フレーム材32bにおいて内壁材31の上端よりも上方に突出する上突出部38を天井面材19に係止させ、かつ、下側横フレーム材32cにおいて内壁材31の下端よりも下方に突出する下突出部42を床面材16に係止させることにより、内壁ユニット30の屋内側への移動を規制した。この場合、各突出部38,42をそれぞれ内壁材31の上下端部に対して上方及び下方に大きく突出させる必要がないため、内壁ユニット30に各係止部(詳しくは各突出部38,42)を設ける構成において下係止部(詳しくは下突出部42)の下端から上係止部(詳しくは上突出部38)の上端までの上下高さが大きくなるのを抑制できる。これにより、内壁ユニット30の設置作業に際し、内壁ユニット30の取り回しが煩雑となるのを抑制できる。
【0056】
具体的には、上突出部38を天井面材19の端部に係止させ、かつ、下突出部42を床面材16の端部に係止させた。この場合、天井面材19及び床面材16にそれぞれ突出部38,42を挿し入れ係止させるための孔部(貫通孔部)等を加工形成しなくても、内壁ユニット30の屋内側への移動を規制できる。そのため、比較的簡素な構成で上述した各効果を得ることができる。
【0057】
上係止部を内壁フレーム32の上側横フレーム材32bにより構成し、下係止部を下側横フレーム材32cにより構成した。この場合、各係止部を内壁フレーム32の一部である横フレーム材32b,32cとは別部材により構成する場合と比べ、構成の簡素化を図ることができる。
【0058】
内壁材31の幅方向に沿って延びる横フレーム材32b,32cの長手方向に沿って突出部38,42を連続して形成し、その連続形成した上突出部38を天井面材19の端部に沿って当接させ、下突出部42を床面材16の端部に沿って当接させた。この場合、上突出部38と天井面材19端部とを、又は、下突出部42と床面材16端部とを内壁材31の幅方向に沿って連続して密着させることができるため、内壁材31の上端部と天井面材19との間又は内壁材31の下端部と床面材16との間を通じた空気の出入りを抑制できる。よって、この場合気密性を高めることができる。
【0059】
また、横フレーム材32b,32cは内壁材31の幅方向に延びているため、天井面材19又は床面材16に係止される部位を内壁材31の幅方向に沿って連続して形成する際には都合がよい。
【0060】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0061】
(1)上記実施形態では、各係止部を内壁フレーム32の横フレーム材32b,32cにより構成したが、その他の部材により構成してもよい。例えば、内壁ユニット30(内壁パネル)が内壁フレーム32を有しない構成である場合等には、内壁材31の裏面に専用の係止部材(係止部に相当する部材)を設けてもよい。例えば、上記実施形態の横フレーム材32b,32cと同じ断面形状を有してなる短尺状の係止部材を形成し、それを内壁材31の幅方向に沿って所定間隔で複数設けることが考えられる。
【0062】
また、上記実施形態では、係止部全体を横フレーム材32b,32cにより構成したが、これを変更し、係止部において一部を横フレーム材により構成し残りの部分を別部材により構成してもよい。例えば、係止部において突出部以外の部分を横フレーム材により構成し、突出部を横フレーム材に別途専用部材を取り付けることで構成してもよい。
【0063】
(2)上記実施形態では、突出部38,42を横フレーム材32b,32cの長手方向に沿って連続して形成したが、これを変更し、突出部を横フレーム材32b,32cの長手方向に沿って分散して形成してもよい。この場合でも、上突出部を天井面材19に係止させ、かつ下突出部を床面材16に係止させることで、内壁ユニット30について屋内側への移動を規制できる。図5にはその一例として、上側横フレーム材32bの長手方向に沿って上突出部48が所定間隔で複数形成された構成が示されている。また、突出部を横フレーム材32b,32cの両端部にのみ形成するようにしてもよい。
【0064】
(3)上記実施形態では、上側横フレーム材32bの上突出部38を天井面材19の端部に係止させ、かつ、下側横フレーム材32cの下突出部42を床面材16の端部に係止させたが、これを変更してもよい。例えば、天井面材19に上突出部38を挿通させる挿通孔を形成し、かつ床面材16に下突出部42を挿通させる挿通孔を形成する。そして、天井面材19の挿通孔に上突出部38を挿通させることで係止させ、かつ、床面材16の挿通孔に下突出部42を挿通させることで係止させてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、上突出部38を天井面材19に係止させたが、上突出部38を天井面材19よりも上方に設けられた野縁18や天井梁17等の天井下地材に係止させてもよい。この場合、上突出部38の突出高さh3を内壁材31の上端部に対する天井下地材の設置高さに応じて大きくする必要がある。
【0066】
また、上記実施形態では、下突出部42を床面材16に係止させたが、下突出部42を床面材16よりも下方に設けられた床根太15や床梁14等の床下地材に係止させてもよい。この場合、下突出部42の突出高さh4を内壁材31の下端部に対する床下地材の設置高さに応じて大きくする必要がある。
【0067】
(4)壁内断熱材33の一部が、内壁ユニット30(内壁パネル)の内壁材31と外壁パネル20の外壁材21との間に圧縮状態で挟み込まれている場合にも本発明を適用できる。例えば、外壁パネル20が外壁フレーム22を有しない構成(つまり外壁材21のみからなる構成)にあっては、このような状態が想定される。また、内壁材31と外壁材21との間に壁内断熱材33全体が圧縮状態で挟み込まれている場合にも本発明を適用できる。さらには、壁内断熱材33の一部が外壁パネル20の外壁材21と内壁パネルの内壁フレームとの間に圧縮状態で挟み込まれている場合にも本発明を適用できる。要するに、壁内断熱材33の反発力により内壁パネルが屋内側に押圧されている構成であれば本発明を適用することができる。
【0068】
(5)上記実施形態では、壁内断熱材33が内壁パネル(内壁材31及び内壁フレーム32に相当)側に一体に設けられている場合について説明したが、壁内断熱材33が外壁パネル20側に一体に設けられている場合にも本発明を適用できる。この場合でも、内壁パネルと外壁パネル20との間に壁内断熱材33が配設されて、その少なくとも一部が各壁パネルの間に圧縮されて挟み込まれていれば、壁内断熱材33の反発力により内壁パネルが屋内側に押圧されるため本発明を適用できる。
【0069】
(6)屋内空間を複数の空間に仕切る間仕切壁の構成として、例えば対向配置される2つの内壁パネルと、それら各内壁パネルの間に配設される壁内断熱材とからなる構成が用いられることがある。かかる構成では、壁内断熱材の一部が各内壁パネルの間で圧縮され挟み込まれる場合が想定され、その場合、上記2つの内壁パネルのうち後付けされる側の内壁パネルを設置する際、壁内断熱材が圧縮されてその反発力により当該内壁パネルが押圧される可能性がある。その点を鑑みると、かかる後付けの内壁パネルに対し本発明の設置構造を適用してもよい。
【0070】
(7)上記実施形態のように、外壁フレーム22において壁内断熱材33の高さ方向における中間位置に中間フレーム材22cが設けられている構成では、壁内断熱材33における高さ方向の中間部(以下、略して中間部という)が中間フレーム材22cと内壁材31との間で圧縮されることとなるため、壁内断熱材33の反発力に起因した内壁ユニット30に対する屋内側への押圧力が同ユニット30の中間部に作用する。この場合、内壁ユニット30は、その上下端部において各突出部38,42により屋内側への移動が規制されつつ、中間部において屋内側に押圧されることとなるため、内壁ユニット30の中間部が屋内側にたわむことが想定される。そして、内壁ユニット30のたわみに伴って、上突出部38が下方に位置ずれし天井面材19への係止状態が解除されたり、下突出部42が上方に位置ずれし床面材16への係止状態が解除されたりするおそれがあり、内壁ユニット30を自立させることが困難になる可能性がある。そこで、この点に鑑みて、外壁パネル20に、外壁材21から壁内断熱材33の上端部及び下端部のうちいずれかに向けて突出し内壁パネル(内壁材31及び内壁フレーム32)との間に壁内断熱材33を圧縮状態で挟み込む断熱材端部挟み込み部材を設けてもよい。
【0071】
例えば、外壁フレーム22に、上記実施形態の中間フレーム材22cに代えて又は加えて、壁内断熱材33の上端部及び下端部に対応する高さ位置にそれぞれ中間フレーム材22cを設けることが考えられる。この場合、壁内断熱材33の上端部及び下端部が内壁材31と中間フレーム材22cとの間で圧縮されるため、壁内断熱材33の反発力を同断熱材33の上端部及び下端部で発生させることができる。そのため、内壁ユニット30を上側横フレーム材32b(詳しくは上突出部38)付近及び下側横フレーム材32c(下突出部42)付近で屋内側に押圧することができ、その結果上突出部38を天井面材19に押し付ける押し付け力及び、下突出部42を床面材16に押し付ける押し付け力を高めることができる。よって、この場合上突出部38及び下突出部42の位置ずれを抑制する効果を期待できる。また、この場合、上突出部38と天井面材19端部との密着性、又は下突出部42と床面材16端部との間の密着性を高めることができるため、気密効果をより一層高めることもできる。
【0072】
なお、壁内断熱材33の上端部及び下端部に対応する各高さ位置のうちいずれか一方の高さ位置にのみ(断熱材端部挟み込み部材としての)中間フレーム材22cを設けるようにしてもよい。また、中間フレーム材22cは必ずしも断面コ字状である必要はなく、L字状や筒状等その他の断面形状を有して形成されていてもよい。また、断熱材端部挟み込み部材は必ずしも中間フレーム材22cにより構成する必要はなく、例えば壁内断熱材33の上端部及び下端部に対応する高さ位置において外壁材21の裏面から壁内断熱材33側に突出する突出部材を設け、その突出部材により断熱材端部挟み込み部材を構成してもよい。
【0073】
さらに、断熱材端部挟み込み部材を、内壁ユニット30側に設けてもよく、例えば壁内断熱材33の上端部及び下端部に対応する高さ位置において内壁材31の裏面から壁内断熱材33側に突出する突出部材を設け、この突出部材と外壁パネル20との間で壁内断熱材33を圧縮状態で挟み込んでもよい。例えば、外壁パネル20において中間フレーム材22cを突出部材に対応する位置に配置し、当該中間フレーム材22cと突出部材との間で壁内断熱材33を挟み込むことが考えられる。この場合でも、壁内断熱材33の反発力を同断熱材33の上端部及び下端部で発生させることができ、その反発力によって内壁ユニット30を上突出部38付近及び下突出部42付近で屋内側に押圧することができる。
【0074】
(8)外壁パネル20に、外壁フレーム22から壁内断熱材33側に突出し内壁ユニット30の内壁材31との間に壁内断熱材33を圧縮状態で挟み込む挟み込み部材と、外壁フレーム22からの挟み込み部材の突出量を変化させることで挟み込み部材による壁内断熱材33の圧縮量を調整する圧縮量調整手段とを設けてもよい。その一例を図6に示す。図6では、外壁フレーム22の中間フレーム材22cに塩化ビニル樹脂からなる挟み込み部材53が設けられている。挟み込み部材53は、断面コ字状に形成された長尺状部材であり、その溝幅が中間フレーム材22cの上下高さよりも若干小さくなっている。挟み込み部材53は、中間フレーム材22cに屋内側からはめ込まれており、その溝部が中間フレーム材22c(詳しくはその屋内側フランジ部)と嵌合されることにより取り付けられている。挟み込み部材53は、かかる取付状態において、その一部が中間フレーム材22cよりも屋内側に突出しており、内壁材31との間に壁内断熱材33を圧縮状態で挟み込んでいる。
【0075】
挟み込み部材53は、中間フレーム材22cに対する取付位置が屋内外方向(内壁材31の厚み方向)に可変とされている。すなわち、この場合中間フレーム材22cからの挟み込み部材53の突出量が可変とされており、かかる突出量を変化させることにより、壁内断熱材33の圧縮量を調整可能となっている。かかる構成によれば、例えば壁内断熱材33の圧縮量を増大させることにより壁内断熱材33の反発力を高め、これにより内壁ユニット30に作用する屋内側への押圧力を高めることができる。この場合、天井面材19と上突出部38との密着性及び、床面材16と下突出部42との密着性を高めることができ、気密性能の向上を図ることができる。
【0076】
(9)例えば、係止部としての横フレーム材32b(32c)の突出部38(42)に、その長手方向に貫通して延び、内部に配線を通すことが可能な配線通路部を設けてもよい。図7では、上側横フレーム材32bの突出部38にかかる配線通路部51が設けられている。この場合、外壁材21と内壁材31との間の壁内に配線Kを通すに際し、この配線通路部51に配線Kを通すことができる。そのため、壁内断熱材33の近くに配線Kを通すことで壁内断熱材33が当該配線Kにより傷付く等の不都合が発生するのを防止できる。
【0077】
(10)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10…建物、14…床下地材としての床梁、15…床下地材としての床根太、16…床面材、17…天井下地材としての天井梁、18…天井下地材としての野縁、19…天井面材、20…壁パネルとしての外壁パネル、21…壁面材としての外壁材、30…内壁ユニット、31…壁面材としての内壁材、32…内壁フレーム、32b…上係止部としての上側横フレーム材、32c…下係止部としての下側横フレーム材、33…壁内断熱材、38…上突出部、42…下突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面材を有してなる一対の壁パネルが互いの壁面材を対向させて設けられ、それら各壁パネルの間には壁内断熱材が設けられており、該壁内断熱材は、その少なくとも一部が前記各壁パネルの間に圧縮された状態で挟み込まれており、
前記各壁パネルのうち少なくともいずれかは内壁パネルであり、該内壁パネルは、前記壁面材としての内壁面材を床面材と天井面材との間に配置した状態で、前記床面材上に載置されて設置されている建物の内壁パネル設置構造であり、
前記内壁パネルの上端部には、前記内壁面材からその裏面側に延出し、一部が前記天井面材及び天井下地材を有する天井部に対して係止される上係止部が設けられ、
前記内壁パネルの下端部には、前記内壁面材からその裏面側に延出し、一部が前記床面材及び床下地材を有する床部に対して係止される下係止部が設けられ、
前記上係止部が前記天井部に係止され、かつ、前記下係止部が前記床部に係止されることにより、前記内壁パネルについて前記内壁面材の表面側である屋内空間側への移動が規制されていることを特徴とする建物の内壁パネル設置構造。
【請求項2】
前記上係止部は、前記内壁面材の上端よりも上方に突出する上突出部を有し、
前記下係止部は、前記内壁面材の下端よりも下方に突出する下突出部を有し、
前記上突出部が前記天井面材に係止され、かつ、前記下突出部が前記床面材に係止されることで、前記内壁パネルについて前記屋内空間側への移動が規制されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の内壁パネル設置構造。
【請求項3】
前記上突出部は、前記天井面材の端部に係止されるものであり、
前記下突出部は、前記床面材の端部に係止されるものであり、
前記各係止部のうち少なくともいずれかは、前記内壁面材の幅方向に延びる長尺状をなしており、その長手方向に沿って前記上突出部又は前記下突出部が連続して形成されており、該連続形成された前記上突出部又は前記下突出部が、前記天井面材又は前記床面材の端部に沿って当接していることを特徴とする請求項2に記載の建物の内壁パネル設置構造。
【請求項4】
前記内壁パネルは、前記内壁面材の裏面側に設けられ、横桟及び縦桟からなる内壁フレームを備え、
前記上係止部は、前記内壁フレームのフレーム上端部の横桟により構成され、
前記下係止部は、前記内壁フレームのフレーム下端部の横桟により構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物の内壁パネル設置構造。
【請求項5】
前記壁内断熱材は、その一部が前記内壁パネルの前記各係止部の間に入り込んだ状態で設けられ、その上端部が前記上係止部に接触しかつその下端部が前記下係止部に接触する上下長さを有しており、
前記内壁パネルを含む前記一対の壁パネルのうちいずれか一方には、当該一方の壁パネルの壁面材から前記壁内断熱材の上端部及び下端部のうち少なくともいずれかに向けて突出し、他方の壁パネルとの間に前記壁内断熱材を圧縮状態で挟み込む断熱材端部挟み込み部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の内壁パネル設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202163(P2012−202163A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69648(P2011−69648)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】