説明

建物の基礎構造

【課題】 開口部を基礎に設けても施工の複雑さや危険性を軽減すること目的とする。
【解決手段】 建物の基礎100に開口部Kを設けた建物の基礎構造1であって、基礎100は、開口部Kとなる位置を包含する梁機能基礎部10と、梁機能基礎部10の両脇に接続される主基礎部20とを備え、梁機能基礎部10において開口部Kより上方で長手方向に配置される第一の下部主筋部11Aと、主基礎部20において第一の下部主筋部11Aより下方で長手方向に配置される第二の下部主筋部21Aと、第一の下部主筋部11Aと第二の下部主筋部21Aとを接続する第三の下部主筋部31とで基礎100の下部主筋を構成し、下部主筋の上方には上部主筋が配置され、梁機能基礎部10の開口部Kより上方の部分が、上部主筋と下部主筋とにより梁として機能することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎に開口部を設けた建物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造物の基礎にはライフラインのための配管や換気のための換気開口が設けられている。特に配管は、建物の所定の位置に集中して設けられることが多く、複数の配管が基礎を貫通することとなる。このような場合、基礎に予め開口部を設けておき、この開口部に配管を通して配管の設置が行われることもある。
また、基礎はRC造となっており、コンクリートと上部主筋と下部主筋と配力筋とから構成されている。上部主筋と下部主筋は、上部主筋が基礎の上部に配置され、この上部主筋に対して下部主筋が並行に並べられて長手方向に配置される。配力筋は、上部主筋と下部主筋との間であって短手方向及び長手方向に複数配置される。
このような基礎に設けられる開口部は、通常、上部主筋と下部主筋との間に設けられる。その場合、開口部の周囲、特に四隅にはコンクリート打設後に開口部周辺にクラックが入るのを防止するための補強筋が上部主筋と配力筋及び下部主筋と配力筋に架け渡すように斜めに配置される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−266356号公報(段落0020〜0041、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鉄筋コンクリート造の基準に合わせて開口部を設ける場合、開口部の補強に関する設計基準や施工基準を遵守しなければならないため、施工現場における鉄筋加工(例えば、切断や補強)が多くなり、開口部の周囲に補強筋を設ける作業が煩雑になるという問題がある。
特に、設けられる配管の数によって開口部が大型化して下部主筋を切断する必要が出てきた場合は、その補強に求められる制約が大きくなり、開口部の位置で基礎が破壊されないようにするために、開口部の型枠周囲にいくつもの補強筋を設ける必要があった。また、所定の位置に集中して開口部を設ける場合は、その開口部ごとに補強筋を設けなくてはならないため、作業性が悪いという問題もある。
また、基礎の施工が狭い空間での作業となることから、このような施工環境では、鉄筋の端部や結束線の端部等で怪我をする危険性があるという問題もある。
【0004】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、開口部を基礎に設けても施工の複雑さや危険性を軽減する構造物の基礎構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、建物の基礎に開口部を設けた建物の基礎構造であって、前記基礎は、前記開口部となる位置を包含する梁機能基礎部と、前記梁機能基礎部の両脇に接続される主基礎部とを備え、前記梁機能基礎部において前記開口部より上方で長手方向に配置される第一の下部主筋部と、前記主基礎部において前記第一の下部主筋部より下方で長手方向に配置される第二の下部主筋部と、前記第一の下部主筋部と前記第二の下部主筋部とを接続する第三の下部主筋部とで前記基礎の下部主筋を構成し、前記下部主筋の上方には上部主筋が配置され、前記梁機能基礎部の前記開口部より上方の部分が、前記上部主筋と前記下部主筋とにより梁として機能することを特徴とする。
【0006】
このように、梁機能基礎部に設けられる開口部よりも上方に下部主筋を構成する第一の下部主筋部を配置したことにより、下部主筋を切断することなく開口部を設けることができるようになっている。
また、梁機能基礎部において、開口部より上方に配置された下部主筋を構成する第一の下部主筋部と上部主筋とによって開口部より上方の部分が、両脇の主基礎部に横架された梁として機能するので、梁機能基礎部の第一の下部主筋部よりも下方となる範囲の部分で任意の位置に複数の開口部を設けることができるようになっている。
なお、第一の下部主筋部は、開口部から必要かぶり厚さだけ離れた高さに配置される。
【0007】
また、本発明は、建物の基礎に開口部を設けた建物の基礎構造であって、前記基礎は、前記開口部となる位置を包含し、前記開口部となる位置よりも上方で長手方向に配置される第一の下部主筋部と前記第一の下部主筋部より上方で長手方向に配置される第一の上部主筋部とを有する梁機能パネル筋を備える梁機能基礎部と、前記梁機能基礎部の両脇に接続され、長手方向で前記第一の下部主筋部よりも下方に配置される第二の下部主筋部と長手方向で前記第二の下部主筋部よりも上方に配置される第二の上部主筋部とを有する主パネル筋を備える主基礎部とを備え、前記第一の下部主筋部と、前記第二の下部主筋部と、前記第一の下部主筋部と前記第二の下部主筋部とを接続する第三の下部主筋部とで前記基礎の下部主筋を構成し、前記第一の上部主筋部と前記第二の上部主筋部とで前記基礎の上部主筋を構成し、前記梁機能基礎部の前記開口部より上方の部分が、前記上部主筋と前記下部主筋とにより梁として機能することを特徴とする。
【0008】
このように、梁機能パネル筋が第一の下部主筋部と第一の上部主筋部とを有しているので、梁機能基礎部の配筋を容易に行うことができる。同様に、主パネル筋が第二の下部主筋部と第二の上部主筋部とを有しているので、主基礎部の配筋を容易に行うことができる。
また、梁機能基礎部に設けられる開口部よりも上方に下部主筋を構成する第一の下部主筋部を配置したことにより、下部主筋を切断することなく開口部を設けることができるようになっている。
また、第三の下部主筋部を第二の下部主筋部と第一の下部主筋部とに接続することにより、下部主筋を一体とすることができるので、耐久性能の高い基礎とすることができるようになっている。
また、梁機能基礎部において、開口部より上方に配置された下部主筋を構成する第一の下部主筋部と上部主筋を構成する第一の上部主筋部とによって開口部より上方の部分が、両脇の主基礎部に横架された梁として機能するので、梁機能基礎部の第一の下部主筋部よりも下方となる範囲の部分で任意の位置に複数の開口部を設けることができるようになっている。
【0009】
また、本発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明であって、前記第三の下部主筋部が、前記第一の下部主筋部と並行して接続される上部接続部と、前記第二の下部主筋部と並行して接続される下部接続部と、前記上部接続部と前記下部接続部とを斜めにつなぐ傾斜部とから構成され、前記上部接続部と前記下部接続部と傾斜部とが一体で形成されていることを特徴とする。
【0010】
このように、第三の下部主筋部が、第一の下部主筋部に接続される上部接続部と第二の下部主筋部に接続される下部接続部と上部接続部と下部接続部とを斜めにつなぐ傾斜部とを有して一体で形成されるので、第一の下部主筋部と第二の下部主筋部とが段違いに配置されていても容易に接続することができるようになっている。
【0011】
また、本発明は、請求項2に記載の発明であって、前記梁機能基礎部の前記第一の上部主筋部と前記主基礎部の前記第二の上部主筋部とをジョイントするジョイント用鉄筋を備えても良い。
【0012】
このように、ジョイント用鉄筋を長手方向に第一の上部主筋部と第二の上部主筋部とをジョイントするように設けたので、梁機能基礎部と主基礎部との一体性を向上させることができるようになっている。
【発明の効果】
【0013】
このような構造物の基礎構造によれば、梁機能基礎部の開口部よりも上方の部分が梁として機能することで、設けられる開口部の周囲に補強筋を設ける作業が軽減されるので、基礎の施工性を向上させることができる。
また、基礎の施工性が向上することにより、施工コストを軽減することができる。
また、上部主筋と下部主筋との間にジョイント用鉄筋を配置したことにより、梁機能基礎部の梁としての機能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の一形態(以下「実施形態」という)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の建物の基礎構造の一例を示す斜視図である。図2は図1のA矢視方向から見た側面図であって、本発明の建物の基礎構造の施工工程の一例を示す側面図である。図3は図2に続く工程を示す側面図である。
なお、本実施形態において、建物を住宅として説明する。
【0015】
本発明の実施形態に係る建物の基礎構造1は、図1に示すように、基礎100の上部主筋及び下部主筋を切断せずに、その基礎100に開口部Kを設けることができるようになっている。また、建物の基礎構造1における基礎100は、RC造であって梁機能基礎部10と主基礎部20とから構成されている。
【0016】
梁機能基礎部10には、その内部に第一の下部主筋部11Aと、第一の上部主筋部11Bと、配力筋Hとを有する梁機能パネル11が設けられている。
この梁機能基礎部10は、図1及び図2(a)に示すように、その両脇に後述する主基礎部20,20と接続されている。つまり、梁機能基礎部10は、主基礎部20,20に挟まれた状態となっている。また、梁機能基礎部10において、設けられる開口部Kより上部は梁として機能する。
【0017】
ここで、梁機能パネル11は、梁機能基礎部10の上部を梁として機能させるための骨格となるものである。
この梁機能パネル11には、図1に示すように、開口部Kが設けられる領域よりも上方で長手方向に下部主筋を構成する第一の下部主筋部11Aが配置され、その第一の下部主筋部11Aよりも上方で長手方向に上部主筋を構成する第一の上部主筋部11Bが配置され、そして、これら第一の下部主筋部11Aと第一の上部主筋部11Bとの間には、長手方向及び短手方向に複数の配力筋Hが配置されている。
したがって、この梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aを境として、第一の下部主筋部11Aの配置位置から所定のかぶり厚さを残した下方の部分が任意に開口部を設けることができる領域となり、第一の下部主筋部11Aを含む上方の部分が梁機能基礎部10の上部を梁として機能させるための骨格となる。
【0018】
第一の下部主筋部11Aは、長尺の鉄筋であって、梁機能パネル11の全長にわたって配置され下部主筋としての役割を果たす。同様に、第一の上部主筋部11Bも長尺の鉄筋であって、梁機能パネル11の全長にわたって配置され上部主筋としての役割を果たす。また、短手方向に配置される配力筋Hは、L字型の形状となっており、その下端部が建物の内部に入り込む方向に折り曲げられている。
【0019】
また、図1及び図2(b)に示すように、第一の下部主筋部11Aと第一の上部主筋部11Bとの間であって、第一の下部主筋部11Aの近傍に補助鉄筋11Cが配置されている。この補助鉄筋11Cは、第一の下部主筋部11Aと並行しつつ、両端部が後述する主パネル21の所定の位置まで入り込むように配置されており、下部主筋の一部として用いられる。
同様に、第一の下部主筋部11Aと第一の上部主筋部11Bとの間であって、第一の上部主筋部11Bの近傍には他の補助鉄筋11Dが配置されている。この補助鉄筋11Dは、第一の上部主筋部11Bと並行しつつ、両端部が後述する主パネル21の所定の位置まで入り込むように配置されており、上部主筋の一部として用いられる。
【0020】
主基礎部20には、図1及び図2(a)に示すように、その内部に長尺の鉄筋である第二の下部主筋部21Aと、長尺の鉄筋である第二の上部主筋部21Bと、配力筋Hとを有する主パネル21が配置されている。ここで、主パネル21には、前記梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aより下方で長手方向に下部主筋を構成する第二の下部主筋部21Aが配置され、この第二の下部主筋部21Aより上方で長手方向に上部主筋を構成する第二の上部主筋部21Bが配置されている。そして、これら第二の上部主筋部21Aと第二の下部主筋部21Bとの間には、長手方向及び短手方向に複数の配力筋Hが配置されている。
【0021】
つまり、第二の下部主筋部21Aは、梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aの配置位置よりも低い位置に配置され、第二の上部主筋部21Bは、梁機能パネル11の第一の上部主筋部11Bの配置位置と同じ高さ位置で配置される。
なお、配力筋Hは、梁機能パネル11の配力筋Hと同様に配置され、短手方向に配置される配力筋Hの形状も同様である。
第二の下部主筋部21Aは、主パネル21の全長にわたって配置され下部主筋としての役割を果たす。同様に、第二の上部主筋部21Bも主パネル21の全長にわたって配置され上部主筋としての役割を果たす。
【0022】
この梁機能基礎部10の梁機能パネル11と主基礎部20の主パネル21とは、コンクリートが打設される前に所定の位置に配置される。
これら梁機能パネル11と主パネル21とは、図1及び図2(a)に示すように、梁機能パネル11を挟むように梁機能パネル11の両脇に主パネル21,21が配置される。言い換えれば、主パネル21,21の間に梁機能パネル11が配置される。
【0023】
このようにして隣り合わせに配置された梁機能パネル11と主パネル21とにおいて、図1及び図3(a)に示すように、段差を有して配置されている梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aと主パネル21の第二の下部主筋部21Aとの間には、この第一の下部主筋部11Aと第二の下部主筋部21Aとを接続する下部主筋を構成する第三の下部主筋部31が配置されている。また、同じ高さ位置に配置されている梁機能パネル11の第一の上部主筋部11Bと主パネル21の第二の上部主筋部21Aとには、この第一の上部主筋部11Bと第二の上部主筋部21Bとをジョイントするジョイント用鉄筋32が配置されている。
【0024】
第三の下部主筋部31は、図3(a)に示すように、上部接続部31Aと下部接続部31Bと傾斜部31Cとから構成され、上部接続部31Aと下部接続部31Bと傾斜部31Cとが一体で形成され、第一の下部主筋部11Aと第二の下部主筋部21Aとを接続する役割を果たす。
上部接続部31Aは、梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aと並行して、その第一の下部主筋部11Aの端部側に接続される。
下部接続部31Bは、主パネル21の第二の下部主筋部21Aと並行して、その第二の下部主筋部21Aの端部側に接続される。
傾斜部31Cは、上部接続部31Aと下部接続部31Bとを、開口部Kの方向に向かうにつれて上方に傾斜して斜めにつないでいる。
この第三の下部主筋部31で第一の下部主筋部11Aと第二の下部主筋部21Aとを接続することにより、第一の下部主筋部11Aと第二の下部主筋部21Aと第三の下部主筋部31とで一体の下部主筋とすることができる。
【0025】
ジョイント用鉄筋32は、図3(a)に示すように、第一の上部主筋部11Bと第二の上部主筋部21Bとをジョイントする役割を果たし、第一の上部主筋部11B及び第二の上部主筋部21Bと並行に配置され、第一の上部主筋部11B及び第二の上部主筋部21Bと重ね合わせるようにして配置される。
これにより、第一の上部主筋部11B及び第二の上部主筋部21Bとで構成される上部主筋の一体性を向上させることができる。
なお、長手方向に配置される梁機能パネル11の配力筋Hと主パネル21の配力筋Hとに、これらをジョイントする配力筋用ジョイント鉄筋33を適宜配置する。
【0026】
このようにして配置した梁機能パネル11において、梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aよりも下方に開口部Kを設けることができる。例えば、開口部Kを梁機能パネル11の下部中央に設ける場合は、第一の下部主筋部11Aよりも下方の配力筋Hを開口部Kよりもやや大きい程度に空間Sが空くように切断する。この空間Sの上方に、中央が逆V字型に突出しているひび割れ防止鉄筋34を配置する。そして、開口部Kとなる管材Pをその空間Sに配置する。
【0027】
これにより、梁機能基礎部10の開口部Kよりも上部が梁として機能することとなり、梁機能基礎部10の第一の下部主筋部11Aよりも下部には荷重がかかることがないので、開口部Kの周囲には従来から行われていた補強筋の配置がほとんど不要となり、基礎の施工性を向上させることができる。
【0028】
次に、本発明の建物の基礎構造1の施工手順を説明する。
まず、図2(a)に示すように、所定位置に梁機能基礎部10の梁機能パネル11と主基礎部20の主パネル21とを配置する。このとき、梁機能パネル11と主パネル21とは、所定の間隔をあけて配置された主パネル21,21の間に梁機能パネル11を配置する。そして、図2(b)に示すように、梁機能パネル11の第一の上部主筋部11Bと主パネル21第二の上部主筋部21Bとをジョイント用鉄筋32でジョイントし、梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aと第一の上部主筋部11Bとの間であって、第一の下部主筋部11Aの近傍に補助鉄筋11Cを配置し、梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aと第一の上部主筋部11Bとの間であって、第一の上部主筋部11Bの近傍に他の補助鉄筋11Dを配置する。このとき、梁機能パネル11の配力筋Hと主パネル21の配力筋Hとを配力筋用ジョイント鉄筋33でジョイントする。
【0029】
次に、図3(a)に示すように、段差を有して配置されている梁機能パネル11の第一の下部主筋部11Aと主パネル21の第二の下部主筋部21Aとに、この第一の下部主筋部11Aと第二の下部主筋部21Aとを接続する第三の下部主筋部31を配置する。そして、開口部Kを設ける位置において、第一の下部主筋部11Aよりも下方の配力筋Hを開口部Kよりもやや大きい程度に空間Sが空くように切断する。このとき、下部主筋(第一の下部主筋部11A)を切断する必要がないので、複雑な補強をする必要がなくなる。また、図3(b)に示すように、この空間Sの上方に、中央が逆V字型に突出しているひび割れ防止鉄筋34を配置する。そして、開口部Kとなる管材Pをその空間Sに配置する。
【0030】
この状態で、梁機能パネル11と主パネル21とに型枠(図示せず)を設けてコンクリートを打設し、基礎100を構築する。コンクリートが硬化した後に型枠を脱型すると、梁機能パネル11を備えた梁機能基礎部10に開口部Kが形成されることとなる。
このように本発明の建物の基礎構造1は、構築した基礎100の梁機能基礎部10の開口部Kより上部が、第一の下部主筋部11A及び第一の上部主筋部11Bとにより梁として機能させることができる。したがって、梁機能基礎部10の第一の下部主筋部11Aより下方の領域内では、開口部Kをいくつも設けることができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、鉄筋の配置を梁機能パネル11と主パネル21とで行い、適宜必要に応じて各種鉄筋を設けているが、鉄筋の配置はこれに限られず、各鉄筋を1本づつ組み付けても、本実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態において、設けた開口部が1つの場合を説明しているが、開口部は、第一の下部主筋部11Aの下方であれば複数設けても良い。
また、基礎は、布基礎やベタ基礎であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の建物の基礎構造の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の建物の基礎構造の施工工程の一例を示す側面図である。
【図3】図2に続く工程を示す側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 建物の基礎構造
10 梁機能基礎部
11 梁機能パネル
11A 第一の下部主筋部(下部主筋)
11B 第一の上部主筋部(上部主筋)
11C 補助鉄筋(下部主筋)
11D 補助鉄筋(上部主筋)
20 主基礎部
21 主パネル
21A 第二の下部主筋部(下部主筋)
21B 第二の上部主筋部(上部主筋)
31 第三の下部主筋部(下部主筋)
31A 上部接続部
31B 下部接続部
31C 傾斜部
32 ジョイント用鉄筋
33 配力筋用ジョイント鉄筋
34 ひび割れ防止用鉄筋
H 配力筋
K 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に開口部を設けた建物の基礎構造であって、
前記基礎は、
前記開口部となる位置を包含する梁機能基礎部と、
前記梁機能基礎部の両脇に接続される主基礎部とを備え、
前記梁機能基礎部において前記開口部より上方で長手方向に配置される第一の下部主筋部と、前記主基礎部において前記第一の下部主筋部より下方で長手方向に配置される第二の下部主筋部と、前記第一の下部主筋部と前記第二の下部主筋部とを接続する第三の下部主筋部とで前記基礎の下部主筋を構成し、
前記下部主筋の上方には上部主筋が配置され、
前記梁機能基礎部の前記開口部より上方の部分が、
前記上部主筋と前記下部主筋とにより梁として機能することを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項2】
建物の基礎に開口部を設けた建物の基礎構造であって、
前記基礎は、
前記開口部となる位置を包含し、前記開口部となる位置よりも上方で長手方向に配置される第一の下部主筋部と前記第一の下部主筋部より上方で長手方向に配置される第一の上部主筋部とを有する梁機能パネル筋を備える梁機能基礎部と、
前記梁機能基礎部の両脇に接続され、長手方向で前記第一の下部主筋部よりも下方に配置される第二の下部主筋部と長手方向で前記第二の下部主筋部よりも上方に配置される第二の上部主筋部とを有する主パネル筋を備える主基礎部とを備え、
前記第一の下部主筋部と、前記第二の下部主筋部と、前記第一の下部主筋部と前記第二の下部主筋部とを接続する第三の下部主筋部とで前記基礎の下部主筋を構成し、
前記第一の上部主筋部と前記第二の上部主筋部とで前記基礎の上部主筋を構成し、
前記梁機能基礎部の前記開口部より上方の部分が、
前記上部主筋と前記下部主筋とにより梁として機能することを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項3】
前記第三の下部主筋部が、前記第一の下部主筋部と並行して接続される上部接続部と、前記第二の下部主筋部と並行して接続される下部接続部と、前記上部接続部と前記下部接続部とを斜めにつなぐ傾斜部とから構成され、前記上部接続部と前記下部接続部と傾斜部とが一体で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の基礎構造。
【請求項4】
前記梁機能基礎部の前記第一の上部主筋部と前記主基礎部の前記第二の上部主筋部とをジョイントするジョイント用鉄筋を備えることを特徴とする請求項2に記載の建物の基礎構造。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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