説明

建物の断熱構造

【課題】連結ブロックと断熱部との関係を改善すること及び断熱部と電気配線等の各種構成とを好適に共存させることの少なくとも何れかの課題を解決すること。
【解決手段】建物10の壁20は、外壁パネル31と、外壁パネル31の裏面側に設けられた木レンガ41を介して外壁パネル31に組み付けられることで、同外壁パネル31に対して屋内側に離間した状態となっている内壁パネル51と、外壁パネル31及び内壁パネル51の間に設けられた断熱部とを備えている。断熱部は、端面が木レンガ41に対して当接して設けられた板状の外側断熱材45と、当該外側断熱材45及び内壁パネル31の間に設けられた板状の内側断熱材65とを有している。両断熱材45,65は、それら断熱材45,65の1間に壁内空間が形成されるようにして配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁構造には、屋外側に外壁面を形成する外壁パネルと、同外壁パネルよりも屋内側に配され、屋内面を形成する内壁パネルとを有してなるものがある(例えば、特許文献1)。また、省エネルギ等の観点から、外壁パネルと内壁パネルとの間に断熱部を設けて壁構造における断熱機能の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−193592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外壁パネルと内壁パネルとを組み付ける構成においては、外壁パネルと内壁パネルとを連結させるには連結ブロック(木レンガ)が必要であり、その連結により断熱部が非連続になる。故に、断熱機能の向上等を図る上で、連結ブロックと断熱部との関係に未だ改善の余地がある。
【0005】
また、内外のパネルの間には、断熱材だけでなく住宅の仕様等に応じて電気配線や防音材等の各種構成が配設され得る。このため、断熱機能を担保しつつ断熱部と電気配線等の各種構成とを共存させる上では、壁構造(断熱構造)に未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、上記課題の少なくとも一方を解決することにより、建物における壁構造をより好適なものとすることができる断熱構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.建物の外壁を形成する外壁パネル(外壁パネル31)と、
前記外壁パネルの裏面側に設けられた連結ブロック(木レンガ41)を介して前記外壁パネルに組み付けられることで、同外壁パネルに対して屋内側に離間した状態となっている内壁パネル(内壁パネル51)と、
前記外壁パネル及び前記内壁パネルの間に設けられた断熱部(外側断熱材45、内側断熱材61)と
を備え、
前記断熱部は、
板状をなし、その端面が前記連結ブロックに対して当接して設けられた第1断熱材(外側断熱材45)と、
前記第1断熱材及び前記内壁パネルの間に設けられた第2断熱材(内側断熱材61)と
を有し、
前記両断熱材は、それら両断熱材の間と前記第2断熱材及び前記内壁パネルの間との少なくとも何れかに壁内空間が形成されるようにして配設されていることを特徴とする建物の断熱構造。
【0009】
手段1によれば、板状をなす第1断熱材の端面を連結ブロックに対して当接させることで、連結ブロックと断熱材との連続させることができる。これにより、連結ブロックと断熱材との隙間を通じた空気の移動を抑制することが可能となり、断熱機能の向上に貢献できる。連結ブロックに対する当接対象としての第1断熱材とは別に第2断熱材を設けることにより、上記連続性を担保した上で第2断熱材に同連続性を担保する機能を付与する必要がなくなる。故に、第2断熱材の配置自由度(例えば連続ブロックとは壁の厚さ方向にずらして配置)を向上し、断熱機能の向上に好適に貢献することができる。このように第1断熱材及び第2断熱材を併用することで、各断熱材をそれぞれ別の用途に合わせて(連続性の維持や連結ブロックの影響回避)形成/配置することができるため、各用途への適用を好適なものとすることができる。
【0010】
また、第1断熱材及び第2断熱材は、それら両断熱材の間と第2断熱材及び内壁パネルの間との少なくとも何れかに壁内空間が形成されるようにして配設されており、当該壁内空間を他の用途に使用することができる。
【0011】
手段2.前記第2断熱材は、板状をなし、その一方の板面が前記第1断熱材に対向するとともに他方の板面が前記内壁パネルに対向するようにして配置されており、
前記第1断熱材と前記内壁パネルとの離間寸法(離間寸法D)は、前記第2断熱材の厚さ寸法(厚さ寸法T)よりも大きく設定されていることを特徴とする手段1に記載の建物の断熱構造。
【0012】
手段2によれば、第2断熱材の厚さが第1断熱材と内壁パネルとの距離よりも小さくなっている。例えば、第2断熱材を内壁パネル側に偏移させて配置することで両断熱材の間に電気配線等の設置領域(上記壁内空間)を確保することができ、第2断熱材を第1断熱材側に偏移させて配置することで第2断熱材と内壁パネルとの間に電気配線等の設置領域(上記壁内空間)を確保することができる。つまり、第1断熱材と内壁パネルとの離間寸法を第2断熱材の厚さ寸法よりも大きく設定することで、他の用途に使用可能な壁内空間を建物の仕様等に応じて形成することが可能となる。このように、第2断熱材の多様な配置を許容する構成を採用したとしても、第1断熱材と連結ブロックとの境界での通気を抑制できるため、断熱機能を好適に担保することが可能である。
【0013】
手段3.前記第1断熱材における屋内側を向いた内面と前記第2断熱材における屋外側を向いた外面との間には、スペーサ部(突起48)が設けられており、
前記スペーサ部によって前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に前記壁内空間が形成されていることを特徴とする手段2に記載の建物の断熱構造。
【0014】
手段3によれば、スペーサ部を採用することにより、第1断熱材と第2断熱材との間の壁内空間を好適に担保することができる。これにより、壁内空間に電気配線等の各種構成を配したとしても、同構成が両断熱材によって圧迫されるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0015】
手段4.前記スペーサ部は、前記第1断熱材の前記内面及び前記第2断熱材の前記外面の少なくとも一方に形成され、前記壁内空間側に凸となる突出部(突起48)であることを特徴とする手段3に記載の建物の断熱構造。
【0016】
手段4によれば、突出部の先端部が突出部自身の配設対象でない他の断熱材に対して当接することにより、断熱材間の壁内空間が狭くなることを抑制することができる。これにより、電気配線等の配設領域を好適に確保することができる。
【0017】
また、例えば電気配線等を両断熱材の間に配設する場合には、突出部を同電気配線等のガイド手段や支持手段さらには配線経路を分ける手段として活用することができ、両断熱材間での電気配線等の配置を好適なものとすることができる。
【0018】
手段5.前記第1断熱材及び前記第2断熱材の間の前記壁内空間には、電気配線(電気配線WH)が挿通可能となっており、
前記突出部は前記第1断熱材の面広がり方向に互いに離間して複数設けられており、それら突出部の間に前記電気配線の配設経路が形成されていることを特徴とする手段4に記載の建物の断熱構造。
【0019】
手段5によれば、複数の突出部によってスペーサ部を構成することにより、手段3に示した空間維持機能を向上しつつそれに起因した電気配線の配設領域におけるスペーサ部の占有領域の拡がりを抑えることができる。また、突出部を複数(好ましくは多数)設定することにより電気配線の取り回しの自由度を高めることができる。特に、電気配線として動力線や信号線を有している場合には、両者の干渉を抑えることができ、例えば動力線の影響で信号線にノイズが発生するといった不都合を生じにくくすることができる。なお、例えば突出部を縦横に配列するとよい。これにより、電気配線の取り回しの自由度を一層好適に高めることができる。
【0020】
手段6.前記外壁パネルに対して前記連結ブロックが取り付けられ、前記外壁パネルにその面広がり方向に前記連結ブロックと並ぶようにして前記第1断熱材が取り付けられることで外壁ユニット(外壁パネルユニット30)が形成されており、
前記内壁パネルに対して前記第2断熱材が取り付けられて内壁ユニット(内壁パネルユニット50)が形成されており、
前記外壁ユニット及び前記内壁ユニットのうち一方が建物の躯体(例えば床梁11や天井梁12)に対して先付けされた状態にて、当該一方に対して他方が組み付けられることで前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に前記壁内空間が形成されており、
前記突出部は、前記外壁ユニット及び前記内壁ユニットのうち少なくとも前記先付けさらたユニット側に配されていることを特徴とする手段4又は手段5に記載の建物の断熱構造。
【0021】
手段6によれば、少なくとも躯体に対して先付けされるユニット側に突出部を配することで、突出部に対して電気配線を引っ掛けた状態で両ユニットの組み付けを行う際に同電気配線の脱落等を抑制可能となる。これにより、断熱材間に電気配線等を配設する際の作業性の向上に貢献することができる。
【0022】
手段7.前記外壁パネルに対して前記連結ブロックが取り付けられ、前記外壁パネルにその面広がり方向に前記連結ブロックと並ぶようにして前記第1断熱材が取り付けられることで外壁ユニット(外壁パネルユニット30)が形成されており、
前記内壁パネルに対して前記第2断熱材が取り付けられて内壁ユニット(内壁パネルユニット50)が形成されており、
前記連結ブロックに対して前記内壁パネルが固定されることで、前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に前記壁内空間が形成されていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【0023】
手段7によれば、外壁ユニットが第1断熱材を有するとともに内壁ユニットが第2断熱材を有しており、それらユニット同士を固定することで両断熱材の間に内部空間が形成される。壁内空間に配された各種構成へアクセスしたり、壁内空間の大きさを調整したりする場合には、内壁ユニットを動かす(例えば取り外す)ことで第2断熱材が移動するため、内壁パネルや第2断熱材をそれぞれ移動させる必要がない。これにより、上記調整作業等の容易化を図っている。
【0024】
また、予め両断熱材が相互に組み付けられて断熱材ユニット等が構成されているわけではないので、第1断熱材と第2断熱材との間に形成された壁内空間を例えば電気配線等の配設領域として活用する場合には、上記電気配線等の配設作業が断熱材によって妨げられることを抑制することができる。
【0025】
手段8.前記第1断熱材及び前記第2断熱材のうち、前記第2断熱材にのみ電気配線(電気配線WH)を挿通するための貫通孔(貫通孔64)が形成されていることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【0026】
電気配線用の貫通孔を第1断熱材及び第2断熱材のうち第2断熱材にのみ形成する構成とすれば、同貫通孔に相当する構成を両断熱材に設ける場合と比較して、断熱機能の低下を好適に抑えることができる。
【0027】
手段9.前記壁内空間には、電気配線が挿通されており、
前記第1断熱材の内面に沿う方向に延び、前記壁内空間を複数に分割する仕切り部を備えていることを特徴とする手段1乃至手段8のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【0028】
手段9によれば、壁内空間を複数に分割することで、電気配線の配設経路を複数形成することができる。かかる構成によれば、電気配線として動力線と信号線とを採用した場合に、動力線及び信号線をスペーサ部によって仕切られた別々の領域に配することで、両者の干渉を抑えることができる。これにより、例えば動力線の影響で信号線にノイズが発生するといった不都合を生じにくくすることが可能となる。
【0029】
手段10.前記壁内空間には、遮音材が配設されていることを特徴とする手段1乃至手段9のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【0030】
手段10によれば、建物における遮音機能の向上に貢献することができ、壁内空間を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】建物の壁構造を示す縦断面図。
【図2】壁構造を示す横断面図。
【図3】壁構造を概略的に示す分解斜視図。
【図4】内壁パネルユニットを裏側から見た斜視図。
【図5】外側断熱材と配線との関係を示す概略図。
【図6】壁構造の変形例を示す横断面図。
【図7】壁構造の変形例を示す横断面図。
【図8】壁構造の変形例を示す横断面図。
【図9】壁構造の変形例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱によって構成された複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は建物における壁構造を示す縦断面図であり、図2は壁構造を示す横断面図(図1のA−A線断面図)、図3は壁構造を概略的に示す分解斜視図である。
【0033】
図1に示すように、建物10の内部と外部とを区画する壁20は、外壁パネルユニット30と、同外壁パネルユニット30よりも屋内側に設けられた内壁パネルユニット50とで構成されている。
【0034】
外壁パネルユニット30は、屋外面を形成する略矩形状の外壁パネル31を有している。外壁パネル31は例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されており、その裏面側(屋内面側)には格子状をなす外壁フレーム35が固定されている。
【0035】
外壁フレーム35は、断面コ字状の軽量鉄骨材からなる複数のフレーム材36〜39が連結されてなる。具体的には、外壁フレーム35は、外壁パネル31の幅方向における同外壁パネル31の両端部に沿って配設された縦フレーム材36と、上下方向における外壁パネル31の両端部に沿って配設され両縦フレーム材36を繋ぐ横フレーム材37と、両縦フレーム材36の間に設けられ両横フレーム材37を繋ぐ第1中間フレーム材38と、中間フレーム材38と各縦フレーム材36とを繋ぐ第2中間フレーム材39とによって構成されている(図3参照)。
【0036】
外壁フレーム35の各横フレーム材37は、それぞれ床梁11及び天井梁12に対しボルト等により固定されている。これにより、外壁パネルユニット30が建物10の躯体(骨組み)に対して組み付けられた状態となっている。また、外壁パネルユニット30は建物10の外周部において横並びに複数設置されており、隣り合う外壁パネルユニット30の外壁フレーム35(詳細には縦フレーム材36)同士が当接した状態(図2参照)でボルト等により相互に連結されている。
【0037】
図2に示すように、外壁フレーム35における屋内側を向く部分には略直方体形状の木材からなる木レンガ41がタッピングネジ等により固定されており、当該木レンガ41が外壁フレーム35よりも屋内側へ突出している。
【0038】
より具体的には、木レンガ41は、縦フレーム材36及び第1中間フレーム材38において屋内側に位置するフランジ部36a,38aに固定されている(図3参照)。フランジ部36a,38aは屋内側を向く平面を有しており、それら各平面が木レンガ41を設置する設置面となっている。
【0039】
縦フレーム材36には、縦フレーム材36の長手方向に複数の木レンガ41Sが並べて配設されており、それら木レンガ41Sの横幅寸法W1についてはフランジ部36aの長さ寸法の2倍(幅寸法W2)よりも小さく設定されている。また、第1中間フレーム材38には、第1中間フレーム材38の長手方向に複数の木レンガ41Mが並べて配設されており、それら木レンガ41Mの横幅寸法についてはフランジ部38aの長さ寸法よりも小さく設定されている。そして、各木レンガ41S,41Mは上記設置面の幅方向における中央位置に配置されることで、各設置面からのはみ出しが回避されている。これら木レンガ41が連結ブロックとなっている。
【0040】
外壁フレーム35には当該外壁フレーム35によって囲まれた領域を屋内側から覆うようにして外側断熱材45が取り付けられており、これら外壁フレーム35、木レンガ41、外側断熱材45及び上記外壁パネル31によって外壁パネルユニット30が構成されている。外側断熱材45は、硬質系の発泡ウレタンフォームからなり、全体として略平板状に形成されている。外側断熱材45には、その屋外側の面を覆うようにしてアルミシート(図示略)が貼り付けられており、当該アルミシートによって熱の反射率が高められている。
【0041】
図3に示すように、外側断熱材45は、外壁パネル31の幅方向(横方向)に見て、木レンガ41が存在しない領域(縦フレーム材36と第1中間フレーム材38とによって挟まれた領域)を覆う幅広断熱材45Aと、木レンガ41が存在する領域(両幅広断熱材45Aによって挟まれた領域)を覆う幅狭断熱材45Bとによって構成されている。
【0042】
以下、図2及び図3を参照して、第1中間フレーム材38に配された木レンガ41Mと幅広断熱材45A及び幅狭断熱材45Bとの関係について説明する。
【0043】
木レンガ41Mは、幅広断熱材45Aによって外壁パネル31の幅方向における両側から挟まれており、これら両幅広断熱材45Aの端面が木レンガ41の側面に対して面当たり(より詳しくは密着)している。木レンガ41の上方及び下方には幅狭断熱材45Bがそれぞれ配設されており、同木レンガ41はこれら両幅狭断熱材45Bによって上下に挟まれている。幅狭断熱材45Bについても、それら各幅狭断熱材45Bの端面が木レンガ41の上下面に対してそれぞれ面当たり(詳しくは密着)するようにして配設されている。つまり、木レンガ41Mは、幅広断熱材45A及び幅狭断熱材45Bによって囲まれており、外側断熱材45との間に隙間が生じない構成となっている。なお、本実施の形態においては、木レンガ41と外側断熱材45の端面とを接着剤やテープ等を用いて接着することにより、同木レンガ41と外側断熱材45の端面との密着度を高めているが、これに限定されるものではない。少なくとも外側断熱材45の端面とが当接していればよく、両者を接着するか否かは任意である。
【0044】
また、幅狭断熱材45Bの端面については、幅狭断熱材45Bを挟んでいる両幅広断熱材45Aの端面に対して当接している(詳しくは密着している)。これにより、両断熱材45A,45B間に隙間が生じることを回避し、外側断熱材45を複数のピースに分割することに起因した断熱機能の低下を抑えている。
【0045】
一方、縦フレーム材36に配設された木レンガ41Sについては、上述したように建物ユニットが左右に連結された状態にて、隣り合う縦フレーム材36に跨るようにして配置され、各建物ユニットに配された外側断熱材45によって囲まれる構成となっている。詳しくは、一方の建物ユニットに配された幅広断熱材45Aと他方の建物ユニットに配された幅広断熱材45Aとによって建物ユニットの並設方向における両側から挟まれた状態となる。また、それら両建物ユニットにおいて相互に連結された(隣り合う)縦フレーム材36に跨るようにして、すなわち木レンガ41Sを挟んで設けられた両幅広断熱材45Aの隙間を塞ぐようにして幅狭断熱材45Bが配設され、幅狭断熱材45Bによって木レンガ41Sが上下に挟まれた状態となる。木レンガ41Sと各断熱材45A,45Bとの当接関係については、木レンガ41Mの場合と同様であるため説明を援用する。
【0046】
なお、木レンガ41の上下に配置された幅狭断熱材45Bによって両縦フレーム材36の境界部位が屋内側から覆われている。このようにして幅狭断熱材45Bを配することにより、当該境界部位を通じて空気の移動が生じることを幅狭断熱材45Bによって抑制している。
【0047】
以上詳述したように、木レンガ41を外側断熱材45によって囲むとともに、同外側断熱材45の端面を同木レンガ41に当接させる構成とすることで、木レンガ41と外側断熱材45との境界部位を通じた空気の移動を抑制し、外側断熱材45による断熱機能を好適に発揮させることが可能となっている。また、上述したように外側断熱材45として硬質系の発泡ウレタンフォームを用いている場合には、外側断熱材45に木レンガ41に合わせた切欠き等を精度よく形成することが困難になる。そこで、上述したように、複数のピースからなる外側断熱材45によって木レンガ41を囲む構成とすれば、精度のばらつきを許容しやすくなる。これにより、例えば外側断熱材を木レンガ41に合わせて切り欠く場合と比較して、外側断熱材と木レンガ41Mとの間に隙間が生じることを好適に回避しつつ断熱構造の構築を容易とすることができる。
【0048】
また、図2に示すように、木レンガ41は、その横幅寸法W1が配設対象となっている外壁フレーム35(詳しくは縦フレーム材36や第1中間フレーム材38)における上記設置面の横幅寸法W2よりも小さくなるように形成されており、同設置面において幅方向における木レンガ41の両側には幅広断熱材45A用の設置領域が確保されている。つまり、幅広断熱材45Aについては木レンガ41とともに設置面に対して当接している。木レンガ41と外側断熱材45との境界部位については、外壁フレーム35(詳しくは設置面35a)によって屋外側から覆われており、当該境界部位を通じた空気の移動が一層好適に抑制されている。
【0049】
なお、外側断熱材45の厚さ寸法については、木レンガ41の厚さ寸法(設置面35aからの突出量)と同等となるように設定されており、外側断熱材45の厚さが嵩むことを抑えつつ木レンガ41と外側断熱材45との当接面積を好適に確保している。
【0050】
次に、図1〜図4を参照して内壁パネルユニット50について説明する。図4は内壁パネルユニット50を裏面側(屋外側)から見た斜視図である。
【0051】
図4に示すように、内壁パネルユニット50は、屋内面を形成する略矩形状の内壁パネル51を有している。内壁パネル51は、石膏ボードによって構成されており、その外形が外壁パネル31よりも若干小さくなるようにして形成されている(例えば図1参照)。内壁パネル51の裏面側(屋外面側)には格子状をなす内壁フレーム55が固定されている。
【0052】
内壁フレーム55は、木製の角材からなる複数のフレーム材が相互に連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム55は、内壁パネル51の幅方向における同内壁パネル51の両端部に沿って設けられた縦フレーム材56と、上下方向における内壁パネル51の両端部に沿って配設され両縦フレーム材56を繋ぐ横フレーム材57と、両縦フレーム材56の間に設けられ両横フレーム材57を繋ぐ中間フレーム材58とを有してなる。
【0053】
縦フレーム材56及び中間フレーム材58については、内壁パネルユニット50の取付状態で、外壁フレーム35の縦フレーム材36及び第1中間フレーム材38に対して屋内側からそれぞれ対峙している。内壁フレーム55の各フレーム材56〜58において木レンガ41に屋内側から対峙している部分には、木レンガ41側(屋外側)に膨出する膨出部59が各木レンガ41に1対1で対応させてそれぞれ形成されている。これら膨出部59が木レンガ41に対して当接した状態で同膨出部59と同木レンガ41とが釘等を用いて固定されることにより、外壁パネルユニット30に対して内壁パネルユニット50が組み付けられた状態となっている(図2参照)。
【0054】
縦フレーム材56及び横フレーム材57によって囲まれた枠内領域は、中間フレーム材58によって2分されている。これら2分された各領域には、平板状をなす硬質系の内側断熱材65がそれぞれ配設されている。上記外側断熱材45及び内側断熱材65によって壁20の断熱部が構成されている。
【0055】
内側断熱材65は、硬質ウレタンフォームによって構成されており、その縁部のほぼ全域が内壁フレーム55の内面に対して当接するように上記枠内領域に合わせてその外形が定められている。そして、内側断熱材65において内壁パネル51に対向している面が同内壁パネル51に対して接着されることで内壁パネル51と一体化されている。なお、内側断熱材65の両板面にはアルミシートが貼り付けられているが、当該アルミシートに関する説明及び図示は省略する。
【0056】
図2に示すように、内側断熱材65の厚さ寸法Tは、内壁パネル51からの内壁フレーム55の厚さ寸法(壁厚さ方向の寸法)Sよりも小さく設定されており、上記枠内領域内に外壁パネルユニット30側への突出が抑えられた状態で収容されている。既に説明したように、上記木レンガ41の厚さ寸法は、外側断熱材の厚さ寸法と同等となるように設定されており(図2参照)、外壁パネルユニット30に対して内壁パネルユニット50が組み付けられた状態では、内壁フレーム55の外面において膨出部59が形成されていない部分と、外側断熱材45との間には所定の隙間(壁内空間)が形成された状態となっている。つまり、外側断熱材45と内壁パネル51との離間寸法Dよりも内側断熱材65の厚さ寸法Tのほうが小さく設定されており、同内側断熱材65が内壁パネル51寄りに配置されることで、内側断熱材65と外側断熱材45との間に所定の隙間が形成された状態となっている。
【0057】
本実施の形態においてはこの隙間が電気配線WHの配設領域として活用されており、これら電気配線WH用の配設領域が予め設定された大きさよりも小さくならないように規制する手段が採用されていることを特徴の1つとしている。以下、図2、図3及び図5を参照して、かかる手段について説明する。図5は外側断熱材と配線との関係を示す概略図である。
【0058】
図3に示すように、外側断熱材45おいて屋内側を向く面には、内側断熱材65側に突出する突起48が複数形成されている。突起48は外側断熱材45の周縁に沿うようにして配されており、これら突起48の先端部分が内側断熱材65の外面に対して当接することで、上記隙間が小さくならないように規制されている(図2参照)。つまり、突起48にはスペーサとしての機能が付与されている。
【0059】
また、図5に示すように、突起48を縦横に配列することで、上記隙間に電気配線WHを配設するにあたり、配線経路の設定自由度の向上が図られている。本実施の形態においては、動力線としての電気配線WH1と信号線としての電気配線WH2とが同じ隙間に併設されているが、突起48を利用して各電気配線WH1,WH2を配線経路が互いに交差しないようにして配設することでそれら電気配線WH1,WH2の距離が過度に小さくなることを回避している。これにより、電気配線WH1の影響で電気配線WH2にノイズが発生するといった不都合を生じにくくしている。
【0060】
ここで、再び図3を参照して壁20の製造及び組み立て作業について説明する。なお、以下の説明においては便宜上、1の外壁パネルユニット30及び1の内壁パネルユニット50によって壁20を構成する場合について説明する。
【0061】
先ず工場にて各パネルユニット30,50を製造する。具体的には、外壁パネル31に対して外壁フレーム35を固定し、外壁フレーム35に複数の木レンガ41のうち一部(木レンガ41M)を取り付ける。その後、各外側断熱材45A,45Bを木レンガ41を囲むようにして配置し、それら外側断熱材45A,45Bを外壁フレーム35に取り付けて外壁パネルユニット30を構築する。また、内壁パネル51に対して内壁フレーム55及び内側断熱材65を取り付けて内壁パネルユニット50を構築する。
【0062】
工場で製造された外壁パネルユニット30及び内壁パネルユニット50を施工現場等に搬送し、外壁パネルユニット30を建物10の躯体(詳しくは床梁11や天井梁12)に固定する。
【0063】
次に、電気配線WHを突起48に対して引っ掛ける(取り付ける)。これにより、電気配線WHが突起48によって支持された状態となり、外壁パネルユニット30(突起48)からの電気配線WHの脱落が回避されることとなる。
【0064】
電気配線WHの配設を完了した後は、内壁パネル51に対して内壁フレーム55及び内側断熱材65を固定してなる内壁パネルユニット50を外壁パネルユニット30に対して取り付ける。これにより、突起48の先端が内側断熱材65に対して当接し、電気配線WH用の収容領域が形成されることとなる。
【0065】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0066】
外壁パネル31と内壁パネル51との間に外側断熱材45と内側断熱材65とを並設し、それら両断熱材45,65の間に隙間を形成することにより、同隙間を電気配線WHの配設領域として活用することが可能となっている。
【0067】
両断熱材45,65の隙間に配された電気配線WHについては、内側断熱材65に形成された貫通孔68を通じて室内側に引き込まれている。つまり、電気配線WH導入用の貫通孔については、内側断熱材65に形成されている一方で外側断熱材45には形成されていない。かかる構成を採用することにより、貫通孔を通じて外壁パネル31側となる領域と内壁パネル側となる領域とが連なることを回避し、断熱機能の低下を抑えることができる。
【0068】
本実施の形態においては特に、外側断熱材45と内壁パネル51との離間寸法Dよりも内側断熱材65の厚さ寸法Tを小さく設定しているため、壁20における以下の仕様変更等を好適に許容できる。具体的には、外側断熱材45を突起48の形成された面が屋内側を向くようにして配設したが、これを反転して突起48の形成された面が屋外側を向くようにして配設することにより内側断熱材65を外側断熱材45に対して面当たりした状態で配置することが可能となる。つまり、建物の仕様等に応じて、内壁パネル51と内側断熱材65との間に隙間を形成したい場合、例えば内壁にスピーカや棚等を固定するための固定対象(固定パネル等)を設置したい場合には、内壁パネル51と内側断熱材65との隙間に上記固定対象を配設することが可能となる。これにより、断熱材と壁内に配設される他の構成とを好適に共存させることができる。
【0069】
両断熱材45,65の間にスペーサとしての突起48を配設することで、それら断熱材45,65の隙間が予め設定された大きさよりも小さくなることが回避されている。これにより、両断熱材45,65の隙間に電気配線WHを配する構成としたとしても、当該電気配線が隙間の減少等に起因して圧迫されるといった不都合を生じにくくすることができる。突起48は外側断熱材45の全域に散在している。これにより、上述した隙間維持機能が好適に発揮される。
【0070】
壁20の組み立て時には、外壁パネルユニット30に対して内壁パネルユニット50が取り付けられる。この際、躯体に固定された外壁パネルユニット30側に突起48を設け、同突起48に電気配線WHを絡めておくことにより、内壁パネルユニット50の取付作業時に同電気配線WHを手等で支える必要がなくなる。故に、壁20の組立作業の容易化に貢献することができる。
【0071】
外側断熱材45を複数のピース(幅広断熱材45Aや幅狭断熱材45B)に分割して設け、それら各ピースの端面が木レンガ41の周面にそれぞれ当接する構成とした。これにより、木レンガ41と外側断熱材45との間に隙間が生じることを回避し、断熱機能の低下を抑制している。
【0072】
特に、外側断熱材45を硬質ウレタンフォームによって構成する場合に、木レンガ41の外形に合わせて外側断熱材45に切り欠き等を形成するパターンと比較した場合には、外側断熱材45の成形を困難にする要因となり得る。更には、外側断熱材45の寸法ばらつき等に起因して、木レンガ41と外側断熱材45との隙間を払拭することが困難になり、断熱機能の向上が難しくなると想定される。
【0073】
この点、上記実施の形態に示したように、外側断熱材45が複数のピースに分割し、それら各ピースが木レンガ41に当接する構成とすれば、外側断熱材45の成形を容易なものとし、上記隙間を好適に払拭することができる。
【0074】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0075】
(a)上記実施の形態では、「第1断熱材」としての外側断熱材45と「第2断熱材」としての内側断熱材65との間に隙間を形成したが、これを変更し、内側断熱材65と内壁パネル51との間に隙間を形成してもよい。かかる変更を行う場合には、例えば上述の如く外側断熱材45を内外逆にして使用するとよい。これにより、内外の断熱材45,65を密着させることが可能となり、上記隙間を確保できる。
【0076】
また、「スペーサ部」としての突起48を省略し、壁20がスペーサ部を有さず同スペーサ部に依存することなく上記隙間が確保される構成とすることも可能である。かかる構成を採用する場合には、内側断熱材65を内壁パネル51等に対して移動不能な状態で取り付けるのではなく壁20の厚さ方向へ移動可能な状態で取り付け、内側断熱材65の外側断熱材45寄りとなる位置への移動及び内壁パネル51寄りとなる位置への移動を許容することで、事後的な(例えば両パネルユニット30,50を組み付けた後の)、壁20の仕様変更(電気配線、防音材等の採用や配置変更)が可能となる。
【0077】
(b)内側断熱材65と外側断熱材45及び内壁パネル51との間にそれぞれ隙間を形成することも可能である。このような変更を行う場合には、外側断熱材45における屋内側を向いた面に突起48を設けるとともに内側断熱材65における屋内側を向いた面に「スペーサ部」としての突起等を設けたり、内側断熱材65における両板面に「スペーサ部」としての突起等を設けたりするとよい。
【0078】
少なくとも外側断熱材と内壁パネルとの隙間寸法よりも内側断熱材の厚さ寸法を小さく設定していれば、壁20の仕様に応じて、個々の内側断熱材の配置を変更することも可能である。例えば、図6の概略図(壁20Vの横断面図)に示すように、幅方向に並設されている1の内側断熱材65Vを外側断熱材45Vに対して当接させた状態とするとともに(内側断熱材65Vと内壁パネル51との間に隙間を形成するとともに)、他の内側断熱材65Vを内壁パネル51に対して当接させた状態とする(内側断熱材65Vと外側断熱材45Vとの間に隙間を形成する)ことも可能である。
【0079】
このように壁20Vにおいて隙間の形成位置を部分毎に異なるものとする場合には、「スペーサ部」に相当する突起69Vを外側断熱材45V側ではなく内側断熱材65における一方の板面に形成するとよい。これにより、仕様に応じて内側断熱材65の向きを変えることで隙間維持機能を好適に発揮させることが可能となる。
【0080】
(c)内側断熱材65に突起48に相当する構成を設け、両断熱材45,65の突起によって両断熱材45,65間の隙間を担保する構成としてもよい。
【0081】
(d)図7の概略図(壁20Wの横断面図)に示すように、内側断熱材65Wをその中間部分が折れ曲がった状態で配置することにより、両断熱材45W,65Wの間に隙間を形成することも可能である。すなわち、板状に形成された内側断熱材65Wを、外側断熱材45Wに対して面当たりする平面部65aWと、内壁パネル51に対して面当たりする平面部65bWとが生じるようにして配置することも可能である。例えば、内壁フレーム55における縦フレーム材56と中間フレーム材58との離間寸法よりも内側断熱材65Wの幅寸法を大きく設定することにより、上記折れ曲り部分を容易に形成することができる。
【0082】
(e)上記実施の形態では、外側断熱材45と内壁パネル51との離間寸法Dよりも内側断熱材65の厚さ寸法Tを小さく設定するとともに同内側断熱材65を内壁パネル51に面当たりするようにして配置することにより、両断熱材45,65間に電気配線を配設可能な隙間を形成したが、少なくとも両断熱材45,65の間に隙間を形成することができるのあれば、その具体的構成を以下のように変更することも可能である。
【0083】
すなわち、図8の概略図(壁20Xの横断面図)に示すように、内側断熱材65Xにおいて外側断熱材45Xに対向している部分に溝状の凹部71Xを形成し、当該凹部71Xにおける外側断熱材45X側への開放部分を当該外側断熱材45Xによって覆う構成とすることで、電気配線等の配設経路を確保することも可能である。凹部71Xを複数設けることにより、上述した電気配線WH1,WH2の配設経路を分けることができる。なお、凹部71Xに相当する構成を外側断熱材45X側に設けてもよい。
【0084】
また、本変形例に示す技術的思想については、内側断熱材と内壁パネルとの間に隙間を形成する場合にも適用可能である。例えば内側断熱材において内壁パネル側を向いた面に溝状の凹部を形成し、当該凹部における内壁パネル51側への開放部分を当該内壁パネル51によって覆う構成とすることで、電気配線等の配設経路を確保することができる。
【0085】
(f)上記実施の形態では、「スペーサ部」として突起48を採用したが、少なくとも電気配線等の配設領域を担保する機能が発揮できるのであれば、スペーサ部の形状は任意である。
【0086】
例えば、図9の概略図(壁20Yの内部構造を示す斜視図)に示すように、外側断熱材45Yにおける内側断熱材65側を向いた面に予め定められた方向(例えば縦方向)に延びる突条部49Yを設けてもよい。突条部49Yによって両断熱材45Y,65の間に形成された隙間を複数の領域に仕切ることにより、例えば電気配線の配設経路を複数に分けることができる。つまり、スペーサ部に上記隙間を複数の領域に仕切る機能を付与することも可能である。
【0087】
(g)上記実施の形態では、各断熱材45,65を硬質ウレタンフォームによって形成したが、少なくとも板状の形を維持できれば足り、同断熱材45,65をポリスチレンフォームやフェノールフォーム、炭化発泡コルクによって形成することも可能である。
【0088】
なお、「第2断熱材」としての内側断熱材については、硬質系の断熱材である必要はなく、軟質系の断熱材(例えばグラスウール)とすることも可能である。かかる変形例を具現化する場合には、例えば防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体の中にグラスウール等の繊維系断熱材を充填したものを採用するとよい。
【0089】
(h)上記実施の形態では、「躯体」としての梁11,12に対して外壁パネルユニット30を固定した後に、同外壁パネルユニット30に対して内壁パネルユニット50を組み付ける構成としたが、施工順序はこれに限定されるものではない。例えば、梁11,12に対して内壁パネルユニット50を固定した後に、同内壁パネルユニット50に対して外壁パネルユニット30を組み付ける構成としてもよい。このような変更を行う場合には、突起48に相当する構成を外側断熱材45ではなく内側断熱材65に配設することが望ましい。
【0090】
また、外壁パネル31、外壁フレーム35、外側断熱材45については必ずしもユニット化する必要はなく、内壁パネル51、内壁フレーム55、内側断熱材65についても必ずしもユニット化する必要はない。つまり、個々の構成を順次組み付けることで、壁20を形成することも可能である。
【0091】
(i)上記実施の形態では、外壁パネル31に外側断熱材45を取り付けるとともに内壁パネル51に内側断熱材65を取り付けたが、少なくとも内側断熱材65と外側断熱材45又は内壁パネル51との間に隙間を形成できるのであれば、これら各断熱材45,65の取付対象については任意である。例えば、突起48に内側断熱材65を取り付ける機能を付与し、外壁パネル31に両断熱材45,65を取り付けることも可能である。
【0092】
(j)上記実施の形態に示したように、内側断熱材65の配設領域が中間フレーム材58によって仕切られている構成においては、各配設領域に形成される電気配線用の貫通孔68の数の上限を1つとすることが好ましい。上記中間フレーム材58によって両配設領域間での空気の循環を抑えることができ、貫通孔68を形成することに起因した断熱機能の低下を好適に抑制することができる。
【0093】
(k)上記実施の形態では、両断熱材45,65の間に形成された隙間を電気配線用の配設領域として活用したが、これに限定されるものではない。例えば、同隙間を遮音シートや遮音板等の遮音材用の配設領域として活用することも可能である。更には、断熱材によって挟まれた空間を配水用の管等の配設領域として活用することも可能である。断熱材によって囲まれた領域を水の配水経路として活用することにより、冬場等に水が凍結するといった不都合を生じにくくすることができる。
【0094】
また、内壁パネル51と内側断熱材65との間に隙間が形成される構成においては、当該隙間に対して上記遮音材等を配設することも可能である。
【0095】
(l)内壁フレーム55に膨出部59を形成するのではなく、木レンガの厚さ寸法を外側断熱材45の厚さ寸法よりも大きくすることで、中間フレーム材38,58間での電気配線WHの通り道を確保してもよい。また、幅狭断熱材45Bの厚さを木レンガ41(幅広断熱材45A)の厚さよりも薄くすることにより、電気配線WHの通り道を確保することも可能である。
【0096】
(m)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
10…建物、11…躯体を構成する床梁、12…躯体を構成する天井梁、20…壁、30…外壁ユニットとしての外壁パネルユニット、31…外壁パネル、35…外壁フレーム、41…連結ブロックを構成する木レンガ、45…第1断熱材としての外側断熱材、48…スペーサ部としての突起、50…内壁ユニットとしての内壁パネルユニット、51…内壁パネル、55…内壁フレーム、65…第2断熱材としての内側断熱材、68…貫通孔、D…隙間寸法、T…厚さ寸法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁を形成する外壁パネルと、
前記外壁パネルの裏面側に設けられた連結ブロックを介して前記外壁パネルに組み付けられることで、同外壁パネルに対して屋内側に離間した状態となっている内壁パネルと、
前記外壁パネル及び前記内壁パネルの間に設けられた断熱部と
を備え、
前記断熱部は、
板状をなし、その端面が前記連結ブロックに対して当接して設けられた第1断熱材と、
前記第1断熱材及び前記内壁パネルの間に設けられた第2断熱材と
を有し、
前記両断熱材は、それら両断熱材の間と前記第2断熱材及び前記内壁パネルの間との少なくとも何れかに壁内空間が形成されるようにして配設されていることを特徴とする建物の断熱構造。
【請求項2】
前記第2断熱材は、板状をなし、その一方の板面が前記第1断熱材に対向するとともに他方の板面が前記内壁パネルに対向するようにして配置されており、
前記第1断熱材と前記内壁パネルとの離間寸法は、前記第2断熱材の厚さ寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の断熱構造。
【請求項3】
前記第1断熱材における屋内側を向いた内面と前記第2断熱材における屋外側を向いた外面との間には、スペーサ部が設けられており、
前記スペーサ部によって前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に前記壁内空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の建物の断熱構造。
【請求項4】
前記スペーサ部は、前記第1断熱材の前記内面及び前記第2断熱材の前記外面の少なくとも一方に形成され、前記壁内空間側に凸となる突出部であることを特徴とする請求項3に記載の建物の断熱構造。
【請求項5】
前記第1断熱材及び前記第2断熱材の間の前記壁内空間には、電気配線が挿通可能となっており、
前記突出部は前記第1断熱材の面広がり方向に互いに離間して複数設けられており、それら突出部の間に前記電気配線の配設経路が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の建物の断熱構造。
【請求項6】
前記外壁パネルに対して前記連結ブロックが取り付けられ、前記外壁パネルにその面広がり方向に前記連結ブロックと並ぶようにして前記第1断熱材が取り付けられることで外壁ユニットが形成されており、
前記内壁パネルに対して前記第2断熱材が取り付けられて内壁ユニットが形成されており、
前記外壁ユニット及び前記内壁ユニットのうち一方が建物の躯体に対して先付けされた状態にて、当該一方に対して他方が組み付けられることで前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に前記壁内空間が形成されており、
前記突出部は、前記外壁ユニット及び前記内壁ユニットのうち少なくとも前記先付けさらたユニット側に配されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の建物の断熱構造。
【請求項7】
前記外壁パネルに対して前記連結ブロックが取り付けられ、前記外壁パネルにその面広がり方向に前記連結ブロックと並ぶようにして前記第1断熱材が取り付けられることで外壁ユニットが形成されており、
前記内壁パネルに対して前記第2断熱材が取り付けられて内壁ユニットが形成されており、
前記連結ブロックに対して前記内壁パネルが固定されることで、前記第1断熱材と前記第2断熱材との間に前記壁内空間が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【請求項8】
前記第1断熱材及び前記第2断熱材のうち、前記第2断熱材にのみ電気配線を挿通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【請求項9】
前記壁内空間には、電気配線が挿通されており、
前記第1断熱材の内面に沿う方向に延び、前記壁内空間を複数に分割する仕切り部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。
【請求項10】
前記壁内空間には、遮音材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の建物の断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−219550(P2012−219550A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88075(P2011−88075)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】