説明

建物の施工順序決定システム

【課題】 本発明は、作業性を考慮して最適な施工開始位置を設置し、建築部材を搬入する際の荷姿を考慮した作業順序とすることで同一の搬送車両に積載し配送する様々な寸法を有する複数の部材を、効率的に搬送車両に積載しながらも、施工順序に対応した順序に積むこと、即ち、先に施工する部材を他の部材を移動することなく移動を最小限度にして容易に取り出し、取り付け部位にレッカーやクレーン等の部材搬入手段を利用して配置できるように積むことにより建築部材の仮置きを無くし、施工作業の動線を最短化することが出来る建物の施工順序決定システムを提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 部材配置情報DB3と、施工開始位置設定部4と、移動経路設定部5と、荷姿設定部6と、建築部材の建物における配置位置と該建築部材の施工順序を表示する表示部7とを有して構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一種別でサイズの異なる複数の建築部材の施工順序を決定するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から部材に品番や記号を付けて現場に供給することは行われているが、それ等は部材の種別認識に使用される品番か、図面と合致させることで位置を特定する記号であった。一方、特開2001−164755号公報(特許文献1)には、屋根パネルの施工順序について各屋根パネルの属する階、屋根パネルの属する屋根面、屋根面の流れ方向、屋根パネルの位置等の屋根パネル施工情報を条件として、施工作業の動線を短くする順序を決定する屋根パネル施工順序決定装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−164755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の従来例では、作業負荷の低い施工動線(施工順序)を決定するシステムでその施工順序に基づいて生産、搬送、荷下ろしの順序も施工順序を考慮して行えることが記載されているものの具体的な内容について何ら提示されていない。また施工作業の動線を短くする順序を決定することが出来るとしているが、施工開始位置によって施工作業の動線も変化し、最適な作業開始位置を設定し得るものではなかった。更に建築部材を搬入する際の荷姿が現場での施工順序を考慮したものではなかったため建築部材の仮置きが発生し、仮置きした建築部材の更なる移動作業が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、作業性を考慮して最適な施工開始位置を設置し、建築部材を搬入する際の荷姿を考慮した作業順序とすることで同一の搬送車両に積載し配送する様々な寸法を有する複数の部材を、効率的に搬送車両に積載しながらも、施工順序に対応した順序に積むこと、即ち、先に施工する部材を他の部材を移動することなく移動を最小限度にして容易に取り出し、取り付け部位にレッカーやクレーン等の部材搬入手段を利用して配置できるように積むことにより建築部材の仮置きを無くし、施工作業の動線を最短化することが出来る建物の施工順序決定システムを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る建物の施工順序決定システムの第1の構成は、同一種別でサイズの異なる複数の建築部材の施工順序を決定するシステムであって、前記建築部材の建物における配置情報を記憶する部材配置情報記憶手段と、前記部材配置情報記憶手段に記憶された建築部材の建物における配置情報に基づいて該建築部材の施工開始位置を設定する施工開始位置設定手段と、前記建築部材を施工する際の作業者の移動経路を設定する移動経路設定手段と、前記施工開始位置設定手段により設定された施工開始位置の建築部材と、前記移動経路設定手段により設定された作業者の移動経路に沿って配置される建築部材の施工順序に応じて前記建築部材を搬入する際の荷姿を設定する荷姿設定手段と、前記建築部材の建物における配置位置と該建築部材の施工順序を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る建物の施工順序決定システムの第2の構成は、前記建築部材は異なる幅を有する耐力壁パネルであり、前記荷姿設定手段は、複数種の耐力壁パネルの中から数の多い耐力壁パネル2種類を搬送車両の荷台の中央に横積みされる横積みパネルとして設定し、前記横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で大きい幅の耐力壁パネルを搬送車両の荷台の中央下部に横積みし、小さい幅の耐力壁パネルを搬送車両の荷台の中央上部に横積みすると共に、その小さい幅の耐力壁パネルの一部を前記横積みパネルの脇に縦積みされる縦積みパネルとして設定し、前記施工開始位置設定手段は、前記横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される建物外周部の端部に施工される前記小さい幅の耐力壁パネルを施工開始位置に設定し、前記移動経路設定手段は、前記施工開始位置から前記小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される方向に向かって前記建物外周部を一巡し、その後、建物内部で一巡するように作業者の移動経路を設定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る建物の施工順序決定システムの第3の構成は、前記第1の構成において、前記建築部材は柱、或いは異なる長さを有する梁であり、柱、梁を搬入する部材搬入手段の位置情報を記憶する搬入手段位置情報記憶手段を有し、前記荷姿設定手段は、所定の長さ以上の柱、梁を荷台の上部に積載する部材として設定し、所定の長さに満たない柱、梁を荷台の下部に積載する部材として設定し、前記施工開始位置設定手段は、建物外周部の梁のうち前記搬入手段位置情報記憶手段に記憶された部材搬入手段の位置から最も遠い位置の建物出隅を構成する2本の梁のうち長い梁を施工開始位置として設定し、前記移動経路設定手段は、前記施工開始位置に設定された梁を含む4本の梁で囲まれ、且つそれぞれの両端部が柱で支持される架構体を所定の方向に一巡し、その後、前記架構体の一辺の梁を共有する他の架構体を所定の方向に一巡し、同様に順次隣設された架構体を所定の方向に一巡するように作業者の移動経路を設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る建物の施工順序決定システムの第4の構成は、前記第3の構成において、前記移動経路設定手段は、前記4本の梁で囲まれた架構体内部の梁については、勝ち梁を優先順位として作業者の移動経路を設定することを特徴とする。尚、ここで勝ち梁とは、他の梁を支持する為に先行して取り付けなければならない梁のことを指す。例えばある梁Aの中間部に梁Bの一端を固定して支持し、更に梁Bの中間部に梁Cの一端を固定して支持する場合、梁Bと梁Cとの関係は、梁Bは梁Cよりも先行して取り付けなければならならいので梁Bは梁Cに対する勝ち梁である。同様に梁Aは梁Bに対する勝ち梁であり、梁の取り付けの優先順位はA、B、Cの順となる。
【0010】
また、本発明に係る建物の施工順序決定システムの第5の構成は、前記第1の構成において、前記建築部材は異なるサイズの床パネルであり、前記床パネルが同一長さの長辺同士を接して直線状に所定の枚数以下で連続配置される床パネル群毎に分割する床パネル群分割手段を有し、前記施工開始位置設定手段は、複数の床パネル群の中から、長辺が建物外周に接していない端部床パネルを有する床パネル群を選択した後、更に前記床パネル群の中で長辺が建物外周に接していない端部床パネルを施工開始位置として設定し、前記移動経路設定手段は、前記選択された床パネル群の内部においては前記施工開始位置の床パネルから順次直線状に移動するように設定し、その後、前記選択された床パネル群に隣設される他の床パネル群へと順次床面に凹状或いは独立した床パネル未施工部が生じることがないように作業者の移動経路を設定し、夫々の床パネル群の内部においても長辺が建物外周に接していない端部床パネルから順次直線状に移動するように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る建物の施工順序決定システムの第1の構成によれば、部材配置情報記憶手段に記憶された建築部材の建物における配置情報に基づいて、施工開始位置設定手段により作業性を考慮して建築部材の最適な施工開始位置を設置することが出来る。そして、施工開始位置設定手段により設定された施工開始位置の建築部材と、移動経路設定手段により設定された作業者の移動経路に沿って配置される建築部材の施工順序に応じて荷姿設定手段により建築部材を搬入する際の荷姿を設定することが出来る。
【0012】
そして、表示手段により、建築部材の建物における配置位置と建築部材の施工順序を表示することが出来る。建築部材を搬入する際の荷姿を考慮した作業順序とすることで建築部材の仮置きを無くし、施工作業の動線を最短化することが出来る。また表示手段により表示された施工順序で施工作業を行うことにより最適な順番で施工が出来、順番を考える時間や間違いによるやり直しが減ることによる工期の短縮が図れる。また決められた順序で施工作業を行うことにより移動距離や移動時間を最短化することが出来、移動による部材のぶつけや作業上必要な脚立等の治工具のぶつけが減少して部材の傷等が減り、品質向上に繋がる。また危険な梁上での移動も減ることで安全性の向上が図れる。
【0013】
また本発明に係る建物の施工順序決定システムの第2の構成によれば、建築部材が異なる幅を有する耐力壁パネルの場合で、荷姿設定手段により複数種の耐力壁パネルの中から数の多い耐力壁パネル2種類を搬送車両の荷台の中央に横積みされる横積みパネルとして設定し、前記横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で大きい幅の耐力壁パネルを搬送車両の荷台の中央下部に横積みし、小さい幅の耐力壁パネルを搬送車両の荷台の中央上部に横積みすると共に、その小さい幅の耐力壁パネルの一部を横積みパネルの脇に縦積みされる縦積みパネルとして設定する。
【0014】
そして、施工開始位置設定手段は、荷姿設定手段により搬送車両の荷台の中央に横積みされた横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される建物外周部の端部に施工される小さい幅の耐力壁パネルを施工開始位置に設定することで、搬送車両の荷台の中央に横積みされた横積みパネルから施工作業を開始出来るので現場での建築部材の仮置きをする必要が無く、その小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される建物外周部の端部に施工される該小さい幅の耐力壁パネルを施工開始位置に設定することで施工作業の動線を最短化することが出来る。
【0015】
また移動経路設定手段により、施工開始位置から小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される方向に向かって建物外周部を一巡し、その後、建物内部で一巡するように作業者の移動経路を設定することにより施工作業の動線を最短化することが出来る。そして、その作業者の移動経路に沿って、表示手段により、建築部材の建物における配置位置と建築部材の施工順序を表示することで作業順序が明確に理解出来、作業能率が向上する。
【0016】
また本発明に係る建物の施工順序決定システムの第3の構成によれば、建築部材が柱、或いは異なる長さを有する梁の場合で、荷姿設定手段により所定の長さ以上の柱、梁を荷台の上部に積載する部材として設定し、所定の長さに満たない柱、梁を荷台の下部に積載する部材として設定することが出来る。
【0017】
そして、施工開始位置設定手段は、荷姿設定手段により搬送車両の荷台の上部に積載するように設定された所定の長さ以上の梁で、建物外周部の梁のうち搬入手段位置情報記憶手段に記憶された部材搬入手段の位置から最も遠い位置の建物出隅を構成する2本の梁のうち長い梁を施工開始位置に設定することで、搬送車両の荷台の上部に積載される梁から施工作業を開始出来るので現場での建築部材の仮置きをする必要が無く、その梁が部材搬入手段の位置から最も遠い位置の建物出隅を構成する梁とすることで部材搬入作業を行う際のレッカーやクレーン操作者等の視認性を確保することが出来、施工作業の動線を最短化することが出来る。
【0018】
また移動経路設定手段により、施工開始位置に設定された梁を含む4本の梁で囲まれ、且つそれぞれの両端部が柱で支持される架構体を所定の方向に一巡し、その架構体の一辺の梁を共有する他の架構体を所定の方向に一巡し、同様に順次隣設された架構体を所定の方向に一巡するように作業者の移動経路を設定することにより施工作業の動線を最短化することが出来る。そして、その作業者の移動経路に沿って、表示手段により、建築部材の建物における配置位置と建築部材の施工順序を表示することで作業予定が明確に理解出来、作業能率が向上する。
【0019】
また本発明に係る建物の施工順序決定システムの第4の構成によれば、移動経路設定手段により、4本の梁で囲まれた架構体内部の梁については勝ち梁を優先順位として作業者の移動経路を設定することにより施工作業順序として先に施工しなければならない勝ち梁を優先的に作業者の移動経路に設定することが出来、施工作業に支障がない。
【0020】
また本発明に係る建物の施工順序決定システムの第5の構成によれば、建築部材が異なるサイズの床パネルの場合で、施工開始位置設定手段は、複数の床パネル群の中から長辺が建物外周に接していない端部床パネルを有する床パネル群を選択した後、更にその床パネル群の中で長辺が建物外周に接していない端部床パネルを施工開始位置に設定することで、建物内部側から床パネルを敷設した状態で床パネル群のうちの端部に配置される床パネルの長辺が建物外周に面する側の端部に配置される床パネルを最後に施工することが出来、先に敷設した床パネルにより安全に作業出来る作業スペースを確保することが出来る。
【0021】
また移動経路設定手段により、施工開始位置に設定された床パネルから順次直線状に移動するように設定し、その後、選択された床パネル群に隣設される他の床パネル群へと順次床面に凹状或いは独立した床パネル未施工部が生じることがないように作業者の移動経路を設定し、それぞれの床パネル群の内部においても長辺が建物外周に接していない端部床パネルから順次直線状に移動するように設定したことで、順次連続的に敷設した床パネルを作業スペースとして利用して安全に作業出来る作業スペースを確保することが出来る。また荷姿設定手段により床パネルの敷設順序に応じて搬送車両の荷台の上部に積載される床パネルから施工作業を開始出来るので現場での建築部材の仮置きをする必要が無い。
【0022】
更には、現場での部材の仮置きや仮置きした部材の移動作業を排除することや作業の安全性を高め不慮の事故を未然に防ぐことで、各工程において部材の荷受から組み立て完了までに要する作業時間を部材の種類や点数をもとに事前に予測することが可能となり、部材搬送の遅延による現場作業者の手待ちや、尚早な搬送による現場付近での部材搬送車の待機などが防止できる。その結果、建物の規模や施工条件などが千差万別の建築物の生産現場において、部材の出荷から搬送、荷受、組立までのの一連の作業を、工業製品の生産ラインにおける流れ作業の如く取扱うことが可能となり、精度の高い生産(工程)計画、人員(作業員)配置計画を立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図により本発明に係る建物の施工順序決定システムの一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る建物の施工順序決定システムの制御系の構成を示すブロック図、図2は耐力壁パネルの施工順序を表示手段に表示した様子を示す図、図3は荷姿設定手段により耐力壁パネルの荷姿を設定した一例を示す図、図4は柱、梁の施工順序を表示手段に表示した様子を示す図、図5は荷姿設定手段により柱、梁の荷姿を設定した一例を示す図、図6は床パネルの施工順序を表示手段に表示した様子を示す図、図7は荷姿設定手段により床パネルの荷姿を設定した一例を示す図である。
【0024】
図1において、1は同一種別でサイズの異なる複数の建築部材の施工手順を決定するシステムであって、建築部材の建物における配置情報を記憶する部材配置情報記憶手段となる部材配置情報データベース(以下、「部材配置情報DB」という)3、該部材配置情報DB3に記憶された建築部材の建物における配置情報に基づいて該建築部材の施工開始位置を設定する施工開始位置設定手段となる施工開始位置設定部4、建築部材を施工する際の作業者の移動経路を設定する移動経路設定手段となる移動経路設定部5、施工開始位置設定部4により設定された施工開始位置の建築部材と、移動経路設定部5により設定された作業者の移動経路に沿って配置される建築部材の施工順序に応じて建築部材を搬入する際の荷姿を設定する荷姿設定手段となる荷姿設定部6、建築部材の建物における配置位置と該建築部材の施工順序を表示する表示手段となる表示部7を有し、更に建築部材を搬入するレッカーやクレーン等の部材搬入手段の位置情報を記憶する搬入手段位置情報記憶手段となる搬入手段位置情報データベース(以下、「搬入手段位置情報DB」という)8、床パネルが同一長さの長辺同士を接して直線状に所定の枚数以下で連続配置される床パネル群毎に分割する床パネル群分割手段となる床パネル群分割部9等が設けられている。
【0025】
例えば、建築部材が異なる幅を有する耐力壁パネル11である場合について図2及び図3を用いて説明する。ここで耐力壁パネルとは2本の柱の間に耐震要素が取り付けられた壁パネルをいう。図1に示す演算部2に設けられた荷姿設定部6は複数種の耐力壁パネル11の中から部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報に基づいて数の多い耐力壁パネル2種類を、図3の荷姿表示画面7aに示すように、搬送車両10の荷台の中央に横積みされる横積みパネルとして設定する。
【0026】
本実施形態では、荷姿設定部6により、数の多い耐力壁パネル2種類として、部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報に基づいて、例えば幅900mmの耐力壁パネル11aと、幅600mmの耐力壁パネル11bとが横積みパネルとして選定される。そして、図3の荷姿表示画面7aに示すように、横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で大きい幅の耐力壁パネルである幅900mmの耐力壁パネル11aを搬送車両10の荷台の中央下部に横積みし、更に小さい幅の耐力壁パネルである幅600mmの耐力壁パネル11bを搬送車両10の荷台の中央上部で大きい幅の耐力壁パネルである幅900mmの耐力壁パネル11aの上部に横積みし、更にその小さい幅の耐力壁パネルである幅600mmの耐力壁パネル11bの一部を横積みパネルとなる横積みした耐力壁パネル11a,11bの脇に縦積みパネルとして縦積みするように設定して表示部7に荷姿表示画面7aを表示する。
【0027】
荷姿設定部6により設定された耐力壁パネル11の荷姿は、表示部7により図3に示す荷姿表示画面7aとして表示され、搬送車両10に耐力壁パネル11を積み込む際に図3に示す荷姿表示画面7aを参照して耐力壁パネル11の積み込み作業が実施される。
【0028】
演算部2に設けられた施工開始位置設定部4は、横積みパネルとなる2種類の耐力壁パネル11a,11bの中で小さい幅の耐力壁パネル11bが最も多く連続配置される建物外周部の端部に施工される小さい幅の耐力壁パネル11bを部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報に基づいて施工開始位置に設定する。
【0029】
即ち、部材配置情報DB3に記憶された耐力壁パネル11の部材位置情報に基づいて表示部7により図2に示すように耐力壁パネル11の部材位置画面7bが表示され、小さい幅の耐力壁パネル11bが最も多く連続配置される建物外周部として、図2において、小さい幅の耐力壁パネル11bが3つ連続して配置される図2の建物外周部の上辺21が選択され、その上辺21の右端部(図2の右側端部)に施工される小さい幅の耐力壁パネル11bが施工開始位置(図2の(1)で表示)として選択され、部材位置画面7b上に表示される。
【0030】
例えば、施工開始位置設定部4により、小さい幅の耐力壁パネル11bを施工開始位置に設定する際に、該小さい幅の耐力壁パネル11bに隣設されるそれよりも大きい幅の耐力壁パネル11aまでの離間距離が大きい側の小さい幅の耐力壁パネル11bを施工開始位置に設定するように構成すれば好ましい。
【0031】
即ち、図2に示す部材位置画面7bの(1)で表示された耐力壁パネル11bと、同部材位置画面7bの(3)で表示された耐力壁パネル11bとが施工開始位置の候補となる場合、それ等の小さい幅の耐力壁パネル11b(図2の(1)(3)で表示)と、それ等にそれぞれ隣設される大きい幅の耐力壁パネル11a(図2の(6)(11)(13)で表示)までの離間距離を、離間距離算出手段となる離間距離算出部12により部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報から算出し、離間距離が大きい側の小さい幅の耐力壁パネル11bを施工開始位置に設定することも出来る(図示しない)。
【0032】
このような構成によれば、施工開始位置設定部4が小さい幅の耐力壁パネル11bを施工開始位置に設定する際に、該小さい幅の耐力壁パネル11bに隣設される大きい幅の耐力壁パネル11aまでの離間距離が大きい側の小さい幅の耐力壁パネル11bを施工開始位置に設定することにより施工作業の動線を更に最短化することが出来る。
【0033】
演算部2に設けられた移動経路設定部5は、部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報に基づいて、施工開始位置から小さい幅の耐力壁パネル11bが最も多く連続配置される方向に向かって建物外周部を一巡し、その後、建物内部で一巡するように作業者の移動経路を設定する。
【0034】
即ち、施工開始位置となる小さい幅の耐力壁パネル11b(図2の(1)で表示)を始点として、そこから小さい幅の耐力壁パネル11bが最も多く連続配置される方向(図2の反時計回り方向)に向かって建物外周部を一巡し(図2の(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6)→(7)→(8)→(9)→(10)→(11))、部材位置画面7b上の各耐力壁パネル11a,11bに施工順序を示す付番(1)〜(11)を付与して表示する。
【0035】
一方、図3に示す荷姿表示画面7aに表示された各耐力壁パネル11の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(1)〜(11)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0036】
更に付番(11)の耐力壁パネル11aから建物内部で最短距離に配置される耐力壁パネル11b(図2の(12)で表示)を離間距離算出部12により部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報から算出して選択し、その耐力壁パネル11b(図2の(12)で表示)を始点として、そこから小さい幅の耐力壁パネル11bが最も多く連続配置される方向(図2の反時計回り方向)に向かって建物内部で一巡し(図2の(12)→(13)→(14))、部材位置画面7b上の各耐力壁パネル11a,11bに施工順序を示す付番(12)〜(14)を付与して表示する。
【0037】
一方、図3に示す荷姿表示画面7aに表示された各耐力壁パネル11の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(12)〜(14)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0038】
建物外周部では耐力壁パネル11が多く並んでいるため施工順序を最初にすることで作業能率が良い。最初の付番(1)の耐力壁パネル11bを取り付けると、1階では柱取付用のアンカーボルトが出ている位置から次の耐力壁パネル11の取り付け位置が分かるため図面との位置照合が不要となる。また2階床には柱取付位置にマジック等でマーキングをしておけば良い。
【0039】
次に、建築部材が柱13、或いは異なる長さを有する梁14である場合について図4及び図5を用いて説明する。搬入手段位置情報DB8には柱13、梁14を搬入する部材搬入手段となるレッカーやクレーン等の揚重機16の位置情報が記憶されている。荷姿設定部6は、図5の荷姿表示画面7cに示すように、所定の長さ以上の柱13a、梁14aを搬送車両10の荷台の上部に積載する部材として設定し、所定の長さに満たない柱13b、梁14bを荷台の下部に積載する部材として設定する。
【0040】
即ち、図5の荷姿表示画面7cに示すように、搬送車両10が2tトラックの場合、3.6m以下の柱13b、梁14bを荷台の下部に積載し、3.9m以上の柱13a、梁14aを荷台の上部に積載することが出来る。部材搬入手段であるレッカーやクレーン等の揚重機16で吊らなくても作業者一人で持ち運べる小梁等の鉄骨類15はパレット等に収容して短い柱13b、梁14bと長い柱13a、梁14aとの間に積載される。
【0041】
施工開始位置設定部4は、部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報に基づいて、建物外周部の梁14のうち、搬入手段位置情報DB8に記憶された部材搬入手段となる揚重機16の位置から最も遠い位置の建物出隅を構成する2本の梁14のうち長い梁14aを施工開始位置として設定する。
【0042】
即ち、図4の部材位置画面7dに示すように、部材搬入手段となるレッカーやクレーン等の揚重機16が図4の右上に配置された場合、揚重機16から最も遠い位置(図4の左下)の建物出隅を構成する2本の梁14a,14bのうち長い梁14aを施工開始位置(図4の(1)で表示)として設定し、部材位置画面7d上に表示する。
【0043】
尚、揚重機16から最も遠い位置(図4の左下)の建物出隅を構成する2本の梁14が同じ長さの場合には、揚重機16から最も遠い位置(図4の左下)の建物出隅部に近く所定方向(例えば図4の反時計回り方向)の梁14を優先する。
【0044】
移動経路設定部5は、施工開始位置に設定された梁14a(図4の(1)で表示)を含む4本の梁14(図4の(1)(2)(3)(4)で表示)で囲まれ、且つそれぞれの梁14の両端部が柱13で支持される架構体17aを所定の方向に一巡し(図4の(1)→(2)→(3)→(4))、該架構体17a内の梁14については勝ち梁を優先順位として所定の方向に一巡し(図4の(5)→(6)→(7))、その後、該架構体17aの一辺の梁14a(図4の(3)で表示)を共有する他の架構体17b(図4の(3)(8)(9)(10)で表示)を所定の方向に一巡し(図4の(3)→(8)→(9)→(10))、該架構体17b内の梁14についても勝ち梁を優先順位として所定の方向に一巡し(図4の(11)→(12)→(13)→(14)→(15)→(16)→(17))、その後、同様に順次隣設された架構体17c,17dをそれぞれ所定の方向に一巡するように作業者の移動経路を設定する。
【0045】
ここで、架構体17とは、独立して設置出来る梁14による4角形等の閉じた図形の内、最小のものとする。独立して設置出来る梁14とは他の梁14がなくても施工出来ることを言う。従って、柱13及び耐力壁パネル11のみと締結することで固定出来る梁14を言う。
【0046】
更に移動経路設定部5は、4本の梁14で囲まれた架構体17内部の梁14については、勝ち梁を優先順位として作業者の移動経路を設定する。
【0047】
即ち、施工開始位置に設定された長い梁14a(図4の(1)で表示)を始点として、該長い梁14a(図4の(1)で表示)を含む4本の梁14(図4の(1)(2)(3)(4)で表示)で囲まれ、且つそれぞれの両端部が柱13で支持される架構体17aに沿って図4の時計回り方向に向かって一巡し、図4の部材位置画面7d上の各梁14に施工順序を示す付番(1)〜(4)を付与して表示する。
【0048】
一方、図5に示す荷姿表示画面7cに表示された各梁14の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(1)〜(4)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0049】
次に架構体17a(図4の(1)(2)(3)(4)で表示)内部の梁14について勝ち梁を優先順位として架構体17a内部の部材位置画面7d上の各梁14(図4の(5)(6)(7)で表示)に施工順序を示す付番(5)〜(7)を付与して表示する。
【0050】
一方、図5に示す荷姿表示画面7cに表示された各梁14の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(5)〜(7)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0051】
その後、架構体17aの一辺の梁14a(図4の(3)で表示)を共有する他の架構体17b(図4の(3)(8)(9)(10)で表示)に沿って該共有する梁14a(図4の(3)で表示)を始点として図4の反時計回り方向に向かって一巡し、部材位置画面7d上の各梁14(図4の(8)(9)(10)で表示)に施工順序を示す付番(8)〜(10)を付与して表示する。
【0052】
一方、図5に示す荷姿表示画面7cに表示された各梁14の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(8)〜(10)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0053】
次に架構体17b内部の梁14について勝ち梁を優先順位として架構体17b内部の部材位置画面7d上の各梁14(図4の(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)で表示)に施工順序を示す付番(11)〜(17)を付与して表示する。
【0054】
一方、図5に示す荷姿表示画面7cに表示された各梁14の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(11)〜(17)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0055】
同様に順次隣設された架構体17c(図4の(8)(18)(19)(20)で表示)及び架構体17d(図4の(2)(8)(20)(21)(23)で表示)についても先に施工した架構体17と共有する梁14を始点として各架構体17を図4の反時計回り方向に向かって一巡し、部材位置画面7d上の各梁14に施工順序を示す付番を付与して表示する。そして、各架構体17内部の梁14について勝ち梁を優先順位として架構体17内部の部材位置画面7d上の各梁14に施工順序を示す付番を付与して表示する。
【0056】
一方、図5に示す荷姿表示画面7cに表示された各梁14の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番(18)〜(23)をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0057】
施工開始位置に設定された長い梁14a(図4の(1)で表示)を施工した後は各架構体17に沿って決まって反時計回りに施工するため図面を見ずに施工することが出来、各架構体17に沿って回って施工することで移動距離及び移動時間を最小にすることが出来る。小梁等の鉄骨類15はレッカーやクレーン等の揚重機16によらずとも作業者が一人で持ち運べる重さであるため手作業による搬入とし、手作業による搬入作業は2人組の取付作業者とは別の作業者が揚重機16による搬入作業と連動して行う。
【0058】
尚、本実施形態では各架構体17に沿って反時計回りの順に施工するように構成したが、各架構体17に沿って時計回りの順に施行するように構成しても良い。
【0059】
各架構体17の内部では、該架構体17の外周辺の梁14同士、または柱13と外周辺の梁14とで固定される梁14を優先順位とし、その中で始点からの離間距離が近い順とする。残った梁14をその梁14よりも若い番号の梁14が施工されていれば施工出来る梁14を優先し、その中で始点からの離間距離が近い順とする。
【0060】
架構体17の決定は始点から各架構体17の中心までの離間距離が近い架構体17を次の架構体17とする。始点から架構体17の中心までの離間距離が等距離である場合には始点から所定方向(例えば図4の反時計回り方向)にある架構体17を優先順位とする。
【0061】
次に、建築部材が異なるサイズの床パネル18である場合について図6及び図7を用いて説明する。演算部2に設けられた床パネル群分割部9は部材配置情報DB3に記憶された部材配置情報に基づいて床パネル18が同一長さの長辺同士を接して直線状に所定の枚数以下で連続配置される床パネル群19毎に分割する。本実施形態では軽量気泡コンクリート(ALC)パネルを床パネル18として採用しているため一般のレッカー等の揚重機16の吊り上げ限度枚数を9枚として床パネル群19毎に分割した。
【0062】
施工開始位置設定部4は、複数の床パネル群19の中から、少なくとも長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aを有する床パネル群19を選択した後、更に床パネル群19の中で長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aを施工開始位置として設定する。
【0063】
即ち、表示部7により表示された図6に示す部材位置画面7eにおいて、長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aを有する床パネル群19として、床パネル群19a〜19nが選択される。図6の部材位置画面7eでは各床パネル群19は破線の「×」印で一群を表している。本実施形態では全ての床パネル群19a〜19nにおいて長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aを有する。
【0064】
そして、各床パネル群19a〜19nの中で長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aを施工開始位置として設定する。
【0065】
演算部2に設けられた移動経路設定部5は、部材配置情報DB3に格納された床パネル18の部材配置情報に基づいて、選択された床パネル群19a〜19nの内部においては各床パネル群19a〜19nにおける施工開始位置の端部床パネル18aから順次直線状に移動するように設定し、その後、選択された床パネル群19に隣設される他の床パネル群19へと順次床面に凹状或いは独立した床パネル未施工部が生じることがないように作業者の移動経路を設定し、夫々の床パネル群19a〜19nの内部においても長辺が建物外部に接していない端部床パネル18aから順次直線状に移動するように設定する。
【0066】
即ち、図6の部材位置画面7eにおいて、長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aを有する床パネル群19として、選択された床パネル群19a〜19nの中で、先ず、図6の左下に示された床パネル群19aが選択され、長辺が建物外周に接していない端部床パネル18aが施工開始位置として設定される。
【0067】
一方、荷姿設定部6は図7の荷姿表示画面7fに示すように床パネル群19aの施工開始位置として設定された端部床パネル18aを最下位に配置し、該端部床パネル18aに同一長さの長辺同士を接して直線状に連続配置される床パネル18b〜18hを順次端部床パネル18aの上部に積層した荷姿を設定する。尚、短い幅の床パネル18fに隣設して台木等のスペーサ20を配置することで安定した荷姿とすることが出来る。
【0068】
そして、図7の荷姿表示画面7fに示す荷姿で積層した状態で搬入された床パネル18を床パネル群19aの端部床パネル18aの位置に載置し、最上位に載置された床パネル18bから端部床パネル18aの長辺に接して順次連続配置する。これにより床パネル18の長辺側で2人の作業員が床パネル18の敷設作業を安定した姿勢で行うことが出来、作業の安全が図れる。
【0069】
一方、図7に示す荷姿表示画面7fに表示された各床パネル18の実物の部材の所定位置にも上記施工順序を示す付番をマジック等でマーキングしたり、シールや刻印等により付与して作業者が容易に照合出来るように提示されている。
【0070】
床パネル群19aにおける床パネル18の敷設が完了したら次に、床パネル群19aの床パネル18と同一長さの長辺同士を接して直線状に連続配置出来る床パネル群19bに移動する。床パネル群19bにおいても同様に、該床パネル群19bに対応した図7の荷姿表示画面7fに示すと同様な荷姿で積層した状態で搬入された床パネル18を床パネル群19bの端部床パネル18aの位置に載置し、最上位に載置された床パネル18から端部床パネル18aの長辺に接して順次連続配置する。
【0071】
次に床パネル群19aに隣設する床パネル群19cに移動し、該床パネル群19cに対応して前述と同様に図7の荷姿表示画面7fに示すと同様な荷姿で積層した状態で搬入された床パネル18を床パネル群19cの端部床パネル18aの位置に載置し、最上位に載置された床パネル18から端部床パネル18aの長辺に接して順次連続配置する。
【0072】
このようにして、床パネル群19a→19b→19c→19d→19e→19f→19g→19h→19i→19j→19k→19l→19m→19nの順に床パネル18の敷設を行うことが出来るように図6の部材位置画面7e上の各床パネル群19a〜19n(図6の(1)〜(13)で表示)に施工順序を示す付番(1)〜(13)を付与して表示する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の活用例として、同一種別でサイズの異なる複数の建築部材の施工順序を決定するシステムに適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る建物の施工順序決定システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【図2】耐力壁パネルの施工順序を表示手段に表示した様子を示す図である。
【図3】荷姿設定手段により耐力壁パネルの荷姿を設定した一例を示す図である。
【図4】柱、梁の施工順序を表示手段に表示した様子を示す図である。
【図5】荷姿設定手段により柱、梁の荷姿を設定した一例を示す図である。
【図6】床パネルの施工順序を表示手段に表示した様子を示す図である。
【図7】荷姿設定手段により床パネルの荷姿を設定した一例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1…施工順序決定システム
2…演算部
3…部材配置情報DB
4…施工開始位置設定部
5…移動経路設定部
6…荷姿設定部
7…表示部
7a…荷姿表示画面
7b…部材位置画面
7c…荷姿表示画面
7d,7e…部材位置画面
7f…荷姿表示画面
8…搬入手段位置情報DB
9…床パネル群分割部
10…搬送車両
11,11a,11b…耐力壁パネル
12…離間距離算出部
13,13a,13b…柱
14,14a,14b…梁
15…小梁等の鉄骨類
16…揚重機
17,17a,17b…架構体
18,18b〜18h…床パネル
18a…端部床パネル
19,19a〜19n…床パネル群
20…スペーサ
21…上辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種別でサイズの異なる複数の建築部材の施工順序を決定するシステムであって、
前記建築部材の建物における配置情報を記憶する部材配置情報記憶手段と、
前記部材配置情報記憶手段に記憶された建築部材の建物における配置情報に基づいて該建築部材の施工開始位置を設定する施工開始位置設定手段と、
前記建築部材を施工する際の作業者の移動経路を設定する移動経路設定手段と、
前記施工開始位置設定手段により設定された施工開始位置の建築部材と、前記移動経路設定手段により設定された作業者の移動経路に沿って配置される建築部材の施工順序に応じて前記建築部材を搬入する際の荷姿を設定する荷姿設定手段と、
前記建築部材の建物における配置位置と該建築部材の施工順序を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする建物の施工順序決定システム。
【請求項2】
前記建築部材は異なる幅を有する耐力壁パネルであり、
前記荷姿設定手段は、複数種の耐力壁パネルの中から数の多い耐力壁パネル2種類を搬送車両の荷台の中央に横積みされる横積みパネルとして設定し、前記横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で大きい幅の耐力壁パネルを搬送車両の荷台の中央下部に横積みし、小さい幅の耐力壁パネルを搬送車両の荷台の中央上部に横積みすると共に、その小さい幅の耐力壁パネルの一部を前記横積みパネルの脇に縦積みされる縦積みパネルとして設定し、
前記施工開始位置設定手段は、前記横積みパネルの2種類の耐力壁パネルの中で小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される建物外周部の端部に施工される前記小さい幅の耐力壁パネルを施工開始位置に設定し、
前記移動経路設定手段は、前記施工開始位置から前記小さい幅の耐力壁パネルが最も多く連続配置される方向に向かって前記建物外周部を一巡し、その後、建物内部で一巡するように作業者の移動経路を設定することを特徴とする請求項1に記載の建物の施工順序決定システム。
【請求項3】
前記建築部材は柱、或いは異なる長さを有する梁であり、
柱、梁を搬入する部材搬入手段の位置情報を記憶する搬入手段位置情報記憶手段を有し、
前記荷姿設定手段は、所定の長さ以上の柱、梁を荷台の上部に積載する部材として設定し、所定の長さに満たない柱、梁を荷台の下部に積載する部材として設定し、
前記施工開始位置設定手段は、建物外周部の梁のうち前記搬入手段位置情報記憶手段に記憶された部材搬入手段の位置から最も遠い位置の建物出隅を構成する2本の梁のうち長い梁を施工開始位置として設定し、
前記移動経路設定手段は、前記施工開始位置に設定された梁を含む4本の梁で囲まれ、且つそれぞれの両端部が柱で支持される架構体を所定の方向に一巡し、その後、前記架構体の一辺の梁を共有する他の架構体を所定の方向に一巡し、同様に順次隣設された架構体を所定の方向に一巡するように作業者の移動経路を設定することを特徴とする請求項1に記載の建物の施工順序決定システム。
【請求項4】
前記移動経路設定手段は、前記4本の梁で囲まれた架構体内部の梁については、勝ち梁を優先順位として作業者の移動経路を設定することを特徴とする請求項3に記載の建物の施工順序決定システム。
【請求項5】
前記建築部材は異なるサイズの床パネルであり、
前記床パネルが同一長さの長辺同士を接して直線状に所定の枚数以下で連続配置される床パネル群毎に分割する床パネル群分割手段を有し、
前記施工開始位置設定手段は、複数の床パネル群の中から、長辺が建物外周に接していない端部床パネルを有する床パネル群を選択した後、更に前記床パネル群の中で長辺が建物外周に接していない端部床パネルを施工開始位置として設定し、
前記移動経路設定手段は、前記選択された床パネル群の内部においては前記施工開始位置の床パネルから順次直線状に移動するように設定し、その後、前記選択された床パネル群に隣設される他の床パネル群へと順次床面に凹状或いは独立した床パネル未施工部が生じることがないように作業者の移動経路を設定し、夫々の床パネル群の内部においても長辺が建物外周に接していない端部床パネルから順次直線状に移動するように設定することを特徴とする請求項1に記載の建物の施工順序決定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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