建物の通気設備
【課題】建物内スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置を可能とする。
【解決手段】隣接する建物ユニット20の間には、各柱21の間に柱間隙間が設けられるとともに、各天井大梁22の間及び各床大梁23の間に梁間隙間が設けられている。そして、柱間隙間に柱間ダクト31が設置され、梁間隙間に梁間ダクト32が設置されている。柱間ダクト31は、建物ユニット20の柱21に沿って鉛直方向に設けられており、4つの柱21が集結する2カ所の柱集結部に柱間ダクト31が設けられている。また、梁間ダクト32は、建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23の少なくともいずれかに沿って設けられており、一階及び二階の階間部分における天井大梁22及び床大梁23が集結する梁集結部と、二階の天井大梁22が集結する梁集結部とに梁間ダクト32が設けられている。
【解決手段】隣接する建物ユニット20の間には、各柱21の間に柱間隙間が設けられるとともに、各天井大梁22の間及び各床大梁23の間に梁間隙間が設けられている。そして、柱間隙間に柱間ダクト31が設置され、梁間隙間に梁間ダクト32が設置されている。柱間ダクト31は、建物ユニット20の柱21に沿って鉛直方向に設けられており、4つの柱21が集結する2カ所の柱集結部に柱間ダクト31が設けられている。また、梁間ダクト32は、建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23の少なくともいずれかに沿って設けられており、一階及び二階の階間部分における天井大梁22及び床大梁23が集結する梁集結部と、二階の天井大梁22が集結する梁集結部とに梁間ダクト32が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の通気設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、複数の建物ユニットの間に形成されるデッドスペースを利用して空調用ダクトを配設する技術が提案されている。例えば、特許文献1のユニット式建物では、空調用ダクトを断面形状が矩形状である扁平管材とし、その空調用ダクトを間仕切り壁の内部に設ける構成としている。そして、空調用ダクトの断面の短辺長さを、隣接する建物ユニット間の隙間に略等しくし、同断面の長辺長さを、この空調用ダクトに面している建物ユニットの壁の横幅又は縦幅に略等しくしている。これにより、遮音性を確保するとともに、空調に必要な風量を十分に確保できるとしていた。
【特許文献1】特開平11−72263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1におけるユニット式建物では、ユニット間スペースの有効利用が可能となるものの、間仕切り壁を利用した構造であるため、その間仕切り壁の強度が不十分であると、空調用ダクトが変形したり損傷したりする等の不都合が生じるおそれがある。
【0004】
また、ユニット式建物に限らず、他の建物においても、空調用ダクトの変形等の問題が生じうると考えられる。
【0005】
本発明は、建物内スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置を可能とする建物の通気設備を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、換気又は空調用の空気を搬送する通気部材を配設したことを特徴とする建物の通気設備。
【0008】
手段1によれば、建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に通気部材が配設されるため、構造体自体の強度によって通気部材の保護を図ることができる。つまり、通気部材の変形や損傷等を抑制できる。その結果、建物内スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置が可能となる。
【0009】
なお、「構造体」は、自重や外力に抵抗する役割を担う建築物の構造要素であり、例えば、柱、梁、壁などがこれに該当する。
【0010】
手段2.前記構造体は耐力壁であり、その耐力壁に内部空間を形成するとともに、当該耐力壁を、前記内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能として前記通気部材として用いることを特徴とする手段1に記載の建物の通気設備。
【0011】
手段2によれば、耐力壁を通気部材として利用することで、その内部に設けられる通気部分の変形や損傷等を抑制できる。さらに、通気部材として使用する上で、通路断面積を拡張し、圧力損失低減を図ることができる。
【0012】
手段3.複数の建物ユニット(建物ユニット20)を組み付けて構築されるユニット式建物に適用され、
前記ユニット式建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、換気又は空調用の空気を搬送する通気部材を配設したことを特徴とする手段1に記載の建物の通気設備。
【0013】
手段3によれば、隣接する建物ユニットの間の隙間(デッドスペース)を有効利用して通気部材が配設される。また特に、ユニット式建物における構造体自体の強度によって通気部材の保護を図ることができる。したがって、間仕切り壁の内部に空調用ダクト(通気部材)を設ける構成とは異なり、通気部材の変形や損傷等を抑制できる。その結果、ユニット間スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置が可能となる。
【0014】
手段4.前記構造体は、前記建物ユニットの柱材(柱21)、梁材(天井大梁22、床大梁23)であり、
隣接する建物ユニットの柱材同士の隙間(柱間隙間C1)及び梁材同士の隙間(梁間隙間C2)の少なくともいずれかに、前記通気部材として通気ダクト(柱間ダクト31、梁間ダクト32)を配設したことを特徴とする手段4に記載の建物の通気設備。
【0015】
ユニット式建物では、間取りプラン等に関係なく梁間、柱間に隙間が存在し、手段4によれば、その梁間、柱間の隙間を利用して通気ダクトが設置される。そのため、建物ユニット間に間仕切り壁が存在しない場所にも通気ダクトの設置が可能となる。その結果、建物の間取り等に制約を及ぼすことなく、空調や換気のプランを好適に設定することができる。
【0016】
手段5.前記柱材同士の隙間に配設される通気ダクト(柱間ダクト31)は、柱間隙間に合う断面形状をなしかつ柱材に沿って鉛直方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする手段4に記載の建物の通気設備。
【0017】
手段5によれば、通気ダクトが柱間隙間に合う断面形状をなしているため、限られた柱間隙間を利用しつつも、努めて大きい流路面積が確保できる。例えば、当該ダクトは断面扁平形状をなすものとなっている。また、同ダクトが直管状ダクトであるため、曲がり箇所が少なくなり、当該ダクト内における圧力損失を低減できる。以上により、送風の抵抗を少なくし、通気設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0018】
例えば、4つの建物ユニットの柱材が集結した部分では、4つの柱材が近接配置され、柱間隙間として略十字状のスペースが形成される(図3参照)。この場合、その柱間隙間に設けられる通気ダクトとして、
・開口断面が略十字状をなす通気ダクト、
・開口断面が略T字状をなす通気ダクト、
・開口断面が略L字状をなす通気ダクト、
・開口断面が一字状をなす通気ダクト、
等々が採用できる。
【0019】
手段6.前記梁材同士の隙間に配設される通気ダクト(梁間ダクト32)は、梁間隙間に合う断面形状をなしかつ梁材に沿って水平方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする手段4又は5に記載の建物の通気設備。
【0020】
手段6によれば、通気ダクトが梁間隙間に合う断面形状をなしているため、限られた梁間隙間を利用しつつも、努めて大きい流路面積が確保できる。例えば、当該ダクトは断面扁平形状をなすものとなっている。また、同ダクトが直管状ダクトであるため、曲がり箇所が少なくなり、当該ダクト内における圧力損失を低減できる。以上により、送風の抵抗を少なくし、通気設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0021】
手段7.柱間隙間に設けられる通気ダクトである柱間ダクトと、梁間隙間に設けられる通気ダクトである梁間ダクトとを備え、
前記柱間ダクトの長手方向のいずれかの部位に送風装置(空調室内機35)が接続されるとともに、同柱間ダクトにおいて前記送風装置とは異なる高さ位置に前記梁間ダクトが接続されていることを特徴とする手段4乃至6のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0022】
手段7によれば、送風装置からの送風は、柱間ダクト及び梁間ダクトを通じて供給先に流れる。この場合、送風の供給先である吹出口(吹出グリル)が送風装置とは異なる階に設けられていても、その吹出口に対して好適に送風を行わせることができる。
【0023】
手段8.梁間隙間の通気ダクトから分岐させるようにして分岐ダクト(分岐ダクト33)が設けられ、その分岐ダクトにより前記通気ダクトと吹出グリル(吹出グリル34)とが接続されていることを特徴とする手段4乃至7のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0024】
梁間隙間に通気ダクトが設けられる場合、一般に天井部や、床部、壁部に設けられる吹出グリルとは離れて設けられることとなる。かかる場合、梁間の通気ダクトと吹出グリルとが分岐ダクトを通じて連通されることで、吹出グリルから居室等に送風を行わせる構成において実用上好ましい構成が実現できる。
【0025】
手段9.前記分岐ダクトは、前記梁材に形成された梁貫通孔(梁貫通孔22a)を貫通させて設けられることを特徴とする手段8に記載の建物の通気設備。
【0026】
手段9によれば、対向する2つの梁材に挟まれて通気ダクトが設けられる場合にも、分岐ダクトによる吹出グリルに対しての接続を容易に行わせることができる。
【0027】
手段10.隣接する建物ユニットの各柱材を柱頭部分又は柱脚部分にて結合プレート(結合プレート41)により結合したユニット式建物であり、
前記結合プレートに、前記通気ダクトを挿通させるダクト挿通部(ダクト貫通孔43)が設けられていることを特徴とする手段4乃至9のいずれかに記載の建物の通気設備。
【0028】
一般に、建物ユニットの各柱材は柱頭部分又は柱脚部分で結合プレートによって結合される。かかる構成において、結合プレートにダクト挿通部が設けられることにより、仮に各柱材の柱頭部分又は柱脚部分で結合プレートによってその上下が分断されたとしても、通気ダクトを上下方向に配設することができる。また、建物ユニットが上下に2層以上設けられる多層階のユニット式建物において、上下階の階間部分に結合プレートが設けられていても、その結合プレートの上下に延びるようにして通気ダクトを配設できる。
【0029】
手段11.隣接する建物ユニットの間において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて設けられる耐力壁(耐力壁61)を、その内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能とし、前記通気部材として用いることを特徴とする手段3乃至10のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0030】
手段11によれば、ユニット式建物において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて耐力壁が設けられるため、当該ユニット式建物の耐力を高めることができる。また、かかる耐力壁を通気部材として利用することで、その内部に設けられる通気部分の変形や損傷等を抑制できる。さらに、通気部材として使用する上で、通路断面積を拡張し、圧力損失低減を図ることができる。
【0031】
手段12.前記耐力壁は、その壁面が当該耐力壁に対峙する他の構造体に結合され、面外への変形が拘束される構造であることを特徴とする手段11に記載の建物の通気設備。
【0032】
手段12によれば、耐力壁が、面外への変形が拘束される構造であることから、その内部に設けられる通気部分について変形や損傷等を一層抑制できる。
【0033】
手段13.前記耐力壁は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられていることを特徴とする手段11又は12に記載の建物の通気設備。
【0034】
手段13によれば、建物ユニット間の限られたスペースにおいて耐力壁の設置が可能となり、ひいては通気部材の好適なる設置が可能となる。
【0035】
手段14.前記耐力壁に、その内部空間を流れる空気を分流させる分岐ダクト(分岐ダクト62)が接続されるとともに、該分岐ダクトが、前記梁材に形成された梁貫通孔(梁貫通孔22a)を通じて配設され、その分岐ダクトに吹出グリルが接続されていることを特徴とする手段13に記載の建物の通気設備。
【0036】
手段14によれば、耐力壁の内部空間と吹出グリルとが分岐ダクトを通じて連通されることで、吹出グリルから居室等に送風を行わせる構成において実用上好ましい構成が実現できる。また、梁貫通孔を通じて分岐ダクトが配設されることで、建物ユニットの天井裏又は床下の空間に吹出グリルが設けられる場合にも、分岐ダクトを最短の長さで設置することができる。
【0037】
手段15.前記耐力壁の壁面に吹出グリルが設けられていることを特徴とする手段11乃至14のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0038】
耐力壁の壁面に吹出グリルが設けられる上記構成では、当該壁面における開口位置を変更することで、吹出グリルの位置を任意に変更できる。したがって、室内の吹出口位置に関して設定の自由度を増大させることができる。
【0039】
手段16.前記耐力壁は、前記建物ユニットの上梁材(天井大梁22)から下梁材(床大梁23)までの高さ寸法と同じ又はそれよりも大きい高さ寸法を有するものであることを特徴とする手段11乃至15のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0040】
手段16によれば、建物ユニットの上下の梁材を共に跨ぐようにして耐力壁を設けることができ、耐力壁による建物ユニットの強度アップと、同耐力壁による通気経路の構築とを図る上で好ましい構成が実現できる。
【0041】
手段17.前記通気部材は、工場で前記建物ユニットに取り付けられ、その後施工現場に搬送されるものであることを特徴とする手段3乃至16のいずれかに記載の建物の通気設備。
【0042】
手段17によれば、工場にて建物ユニットに通気部材(柱間ダクト31、梁間ダクト32、耐力壁61の少なくといずれか)が取り付けられるため、施工現場での通気部材の取り付け作業を簡素化することができる。これにより、通気設備の施工作業を効率よく行うことができ、現地工事の短縮を図ることができる。
【0043】
手段18.前記通気部材を複数備え、該複数の通気部材が互いに連結される通気設備であり、
前記複数の通気部材の連結部分に、各通気部材間の連通状態を調整する調整弁(開閉弁51)が設けられていることを特徴とする手段1乃至17のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0044】
手段18によれば、複数の通気部材の連結部分に設けられている調整弁の開閉状態等を適宜切り替えることにより、必要に応じてダクト経路(風路)を変更でき、通気の効率(空調効率等)を高めること等が可能となる。
【0045】
手段19.通気対象となる空間ごとに設けられる人検知手段(人感センサ53)と、
前記人検知手段による検知結果に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段(コントローラ52)と、
を備えることを特徴とする手段18に記載の建物の通気設備。
【0046】
手段19によれば、通気対象となる空間(居室等)に人がいるか否か、すなわち在室状況に応じて、調整弁の開度が制御されてダクト経路(風路)が適宜変更される。これにより、送風不要なエリアへの送風を行わずに済み、通気効率を高めるとともにエネルギ節減(省エネ)を図ることができる。
【0047】
手段20.ユーザ各自が携帯する携帯通信デバイス(携帯通信装置54)にあらかじめユーザ情報が記憶されており、通気対象となる各空間において前記携帯通信デバイスとの間で無線通信が可能な通信手段(コントローラ52)を備える通気設備であり、
前記通信手段により受信したユーザ情報に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段(コントローラ52)を備えることを特徴とする手段18又は19に記載の建物の通気設備。
【0048】
手段20によれば、通気対象となる空間(居室等)において、ユーザが携帯通信デバイスを持ち込むことによって同デバイスからユーザ情報が送信される。これにより、調整弁の開度が制御され、通気部材内を通過する風量等がユーザに合わせて調整される。この場合、ユーザ情報には、各ユーザの身体情報や健康情報、嗜好情報などが含まれているとよく、これらの各情報を受信することによって、ユーザにとって快適でかつ健康面でも好適な通気(空調や換気)を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨ユニット工法にて構築された2階建てユニット式建物に具体化しており、そのユニット式建物10の概要を図5に示す。ユニット式建物10は、複数の建物ユニット20を上下2層に結合させてなる建物本体11と、この建物本体11の上方に配設される屋根12とにより構成されている。なお、ユニット式建物10に使用される建物ユニット20は、工場にてあらかじめ製造され、その後、建築現場にトラック等により運搬されるものとなっている。
【0050】
図6は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。建物ユニット20において、その四隅には柱21が配され、各柱21の上端部及び下端部がそれぞれ4本の天井大梁22、床大梁23により連結されている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。天井大梁22(詳細には、溝形鋼のウエブ)には、複数箇所に直径100mm程度の梁貫通孔22aが設けられている。
【0051】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に水平に設けられている。図示は略すが、天井小梁25によって天井面材が支持され、床小梁26によって床面材が支持されるようになっている。
【0052】
本実施形態のユニット式建物10では全館空調システムが採用されており、空調設備として、空調室内機と、その空調室内機から分岐して延びる複数のダクト部材(通気部材)とが設置されている。空調室内機は、例えば2階の天井裏スペース(小屋裏スペース)に設けられ、その空調室内機によって1階及び2階の各居室等に対して空調が行われるようになっている。本実施形態では特に、空調用のダクト部材を扁平ダクトにて構成するとともに、同ダクトを、隣接する建物ユニット20の間の隙間を利用して設置することとしている。以下、本空調システムの空調設備について詳しく説明する。
【0053】
図1は、空調用ダクトについて鉛直方向における設置状態を示す正面図であり、図2は、同じく空調用ダクトについて水平方向における設置状態を示す平面図である。図3は、4つの建物ユニット20の各柱21が集結している部分を拡大して示す平面図である。また、図4は、4つの建物ユニットの各柱21が集結している部分の構成を示す斜視図である。なお図2では、説明の便宜上、各建物ユニット20を単純な矩形枠にて示すとともに、各ユニット間の隙間を、実際の建物ユニットに対する寸法比よりも拡大して示している。
【0054】
隣接する建物ユニット20の間には、各柱21の間に柱間隙間C1が設けられるとともに、各天井大梁22の間及び各床大梁23の間に梁間隙間C2が設けられている(隙間C1,C2は図3参照)。柱間隙間C1の幅W1は例えば幅75mm程度であり、梁間隙間C2の幅W2(ウエブ間の寸法)は例えば幅130mm程度である。そして、上記の柱間隙間C1に、柱間設置用の空調用ダクト(通気ダクト)として、断面扁平状の柱間ダクト31が設置されている。また、梁間隙間C2に、梁間設置用の空調用ダクトとして、断面扁平状の梁間ダクト32が設置されている。
【0055】
柱間ダクト31は、建物ユニット20の柱21に沿って鉛直方向に設けられており、本例では、4つの柱21が集結する2カ所の柱集結部に設けられている(図2参照)。柱間ダクト31は、少なくとも一階及び二階の階間部分と二階天井裏とを結ぶ長さを有するものであり、この柱間ダクト31を通じて、例えば二階天井裏に設置された空調室内機35から階下部分に空調エアが供給される。本実施形態では、柱間ダクト31の上端部に空調室内機35が接続されている。
【0056】
また、梁間ダクト32は、建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23の少なくともいずれかに沿って設けられており、本例では、一階及び二階の階間部分において天井大梁22及び床大梁23が集結する梁集結部と、二階の天井大梁22が集結する梁集結部とに梁間ダクト32が設けられている(図1参照)。梁間ダクト32は、建物ユニット20の妻面側(短辺側)又は桁面側(長辺側)の梁材と略同じ長さを有しており、この梁間ダクト32を通じて、柱間ダクト31から各々の居室等(空調対象の空間)に空調エアが供給される。
【0057】
また、梁間ダクト32には分岐ダクト33が適宜設けられており、この分岐ダクト33の先端部に吹出グリル34が接続されている。吹出グリル34は、ユニット内空間である居室等の天井部分にそれぞれ設けられている。分岐ダクト33は、梁間ダクト32の長手方向に対して略直交する方向に延びるよう設けられている。分岐ダクト33の直径は梁貫通孔22aとほぼ同じであり(約100mm程度)、梁貫通孔22aを貫通して分岐ダクト33が設けられることで、当該分岐ダクト33が天井裏スペースに配置され、梁間ダクト32と吹出グリル34との間でエア流通可能となっている。
【0058】
梁間ダクト32は、各建物ユニット20の間の梁間隙間C2において、全ての隙間に設けられるのではなく、吹出グリル34の有無及び同グリル34の設置位置に応じて設けられる。図2に示す構成では、右下の建物ユニット20の周囲には梁間ダクト32が設けられていない構成となっている。
【0059】
本実施形態では、建物ユニット20の妻面側(短辺側)又は桁面側(長辺側)の梁材と略同じ長さで梁間ダクト32を設けることで、梁間ダクト32における長手方向の任意の位置に分岐ダクト33を接続可能としている。これは、吹出グリル34の場所を任意に設定できる点で望ましい構成といえる。ただし、柱間ダクト31から近い位置に吹出グリル34が設けられる場合(例えば図2の左下に示す建物ユニット20のような場合)には、梁間ダクト32を梁材よりも短くすることも可能である。
【0060】
柱間ダクト31及び梁間ダクト32について、図3及び図4を用いてより詳細に説明する。なお、図3において(a)は4つの柱21及び天井大梁22の配置を示す平面図、(b)は隙間C1,C2に柱間ダクト31及び梁間ダクト32を設置した状態を示す平面図である。
【0061】
図3及び図4に示すように、4つの柱21が集結する柱集結部には十字状に柱間隙間C1が形成されており、その柱間隙間C1に、断面形状が同じく十字状をなすようにして柱間ダクト31が設置されている。つまり、柱間ダクト31は外周部が4つの各柱21に密着するようにして設置されている。
【0062】
また、図3(b)に示すように、十字状をなす柱間ダクト31の四方の先端部にはそれぞれダクト連結部31aが設けられ、そのダクト連結部31aに梁間ダクト32の長手方向一端部が連結されている(なお、図4にはダクト連結部31aを1つのみ示している)。ダクト連結部31aは、先端部の少なくとも一部が梁間ダクト32内に埋まるように設けられ、その接合部に接合テープ等が巻かれてダクト接合部分の気密性が確保されるようになっている。ただし、柱間ダクト31と梁間ダクト32との連結手段は任意であり、各ダクト31,32にそれぞれ繋ぎ管部を設けるとともに、それら各繋ぎ管部をクリップや結束バンド、結束テープ等を用いて互いに連結することも可能である。
【0063】
図4に示すように、各建物ユニット20において柱21の柱頭部には結合プレート41が設けられ、その結合プレート41によって各建物ユニット20の柱21が分離不能に結合されている。結合プレート41は略正方形状をなし、4つの柱21の集結部分の面積とほぼ同じ面積を有するものとなっている。例えば、一階部分と二階部分の各柱21にそれぞれ結合プレート41が設けられている。この場合、図示する4つの柱21の各柱頭部にはその上端面に突起21aが設けられ、これに対応して結合プレート41には4つの孔部42が形成されている。各柱21の柱頭部に結合プレート41を取り付ける際には、各柱21の突起21aに結合プレート41の孔部42を挿通させる。これにより、各柱21が相互に所定間隔を隔てて分離不能に結合される。
【0064】
また、結合プレート41には、同プレート41の上下に柱間ダクト31を貫通させるためのダクト貫通孔43が設けられている。この場合、柱間ダクト31の上端部には、各柱21の柱頭部よりも上方に突き出るようにして連結部31bが設けられており、その連結部31bを貫通することができる大きさでダクト貫通孔43が設けられている。ここで、結合プレート41の強度を確保するにはダクト貫通孔43の大きさに制限がある。ゆえに本実施形態では、平面視十字状の柱間ダクト31についてその約1/4程度の大きさでダクト貫通孔43が形成されている。ただし、結合プレート41の補強などが行われた場合にはダクト貫通孔43を大きくすることが可能であり、例えば、柱間に挟まれた部分と同様の形状、すなわち平面視十字状のダクト貫通孔43を形成することも可能である(連結部31bも同様に平面視十字状とする)。
【0065】
そして、連結部31bが結合プレート41よりも上方に突き出た状態で、当該連結部31bが別の柱間ダクト31に連結される。こうして2つの柱間ダクト31が上下に連結されることで、一階部分及び二階部分を通じて柱間ダクト31を設置することができる。
【0066】
柱間ダクト31は、柱間隙間C1に組み付ける前の状態(自然状態)で、図3(b)のような十字状をなすように成形された直管材である。ただし、柱間隙間C1への組み付け前は、断面が円形状の円管ダクトよりなり、柱間隙間C1に組み付けられることにより、すなわち隣接する複数の建物ユニット20の各柱21に挟まれることによって、断面が扁平状でかつ十字形状に潰れ変形するものであってもよい。
【0067】
一方、梁間ダクト32は、梁間隙間C2に組み付ける前の状態(自然状態)で、断面矩形状をなすように成形された直管材である。ただし、梁間隙間C2への組み付け前は、断面が円形状の円管ダクトよりなり、梁間隙間C2に組み付けられることにより、すなわち隣接する複数の建物ユニット20の各大梁22,23に挟まれることによって、断面が扁平状に潰れ変形するものであってもよい。
【0068】
例えば、柱間ダクト31及び梁間ダクト32は、ユニット式建物の施工現場にて建物ユニット20に取り付けられる。
【0069】
ただし、柱間ダクト31及び梁間ダクト32が、建物ユニット20が工場にて製造される際に同ユニット20に取り付けられる構成であってもよい。各ダクト31,32が工場取り付けされる場合、ユニット製造工場において、特定の建物ユニット20の柱21及び天井大梁22にそれぞれ柱間ダクト31、梁間ダクト32が接着等により取り付けられ、そのダクト取り付け状態で建物ユニット20が施工現場に運搬される。各ダクト31,32が工場取り付けされる場合、施工現場(据え付け現場)での各ダクト31,32の取り付け作業を簡素化することができる。これにより、空調設備の施工作業を効率よく行うことができ、現地工事の短縮を図ることが可能となる。
【0070】
施工現場で各ダクト31,32が取り付けられる場合、工場で各ダクト31,32が取り付けられる場合のいずれであっても、柱間ダクト31及び梁間ダクト32は、施工現場で各建物ユニット20が組み合わされることに伴いそれぞれ柱間隙間、梁間隙間に設置されることとなる。
【0071】
上記構成の全館空調システムによれば、二階天井裏に設置された空調室内機35から送風が行われると、その送風が柱間ダクト31を通じて下方に流れ、二階の天井部分の梁間ダクト32や分岐ダクト33、吹出グリル34を通じて二階居室等に供給される。また、同じく空調室内機35からの送風が柱間ダクト31を通じて階下にも流れ、一階・二階の階間部分の梁間ダクト32や分岐ダクト33、吹出グリル34を通じて一階居室等に供給される。この場合、送風の供給先である吹出口(吹出グリル34)が空調室内機35とは異なる階に設けられていても、その吹出口に対して好適に送風が行われる。
【0072】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0073】
隣接する建物ユニット20の柱間及び梁間の各隙間に柱間ダクト31と梁間ダクト32とを配設する構成としたため、ユニット式建物10において間取りプラン等に関係なく存在する梁間、柱間の隙間を有効利用して空調用ダクト(柱間ダクト31、梁間ダクト32)が設置できる。そのため、建物ユニット間に間仕切り壁が存在しない場所にも空調用ダクトの設置が可能となる。その結果、建物の間取り等に制約を及ぼすことなく、空調プランを好適に設定することができる。
【0074】
また、建物ユニット20において柱21や各大梁22,23は構造体としての役目を有し、その構造体に沿って柱間ダクト31や梁間ダクト32が配設されるため、構造体自体の強度によって各ダクト31,32の保護を図ることができる。したがって、従来技術のように間仕切り壁の内部に空調用ダクトを設ける構成とは異なり、各ダクト31,32の変形や損傷等を抑制できる。その結果、ユニット間スペースの有効利用を図りつつ、しかも空調用ダクトの好適なる設置が可能となる。
【0075】
ユニット式建物10では、複数の建物ユニット20によって形成される柱間隙間を通じて暖気の上昇や冷気の降下が生じ、それに起因して空調効率が低下することが懸念される。この点、上記のごとく柱間隙間に柱間ダクト31が設置されることで、柱間隙間を通じての暖気の上昇や冷気の降下を抑制でき、空調効率の向上に寄与できる。
【0076】
ユニット式建物10では、柱材と梁材とが直方体状に連結される構造上、柱間隙間と梁間隙間とが柱集結部分で集まり、柱間隙間を起点として水平方向に梁間隙間が形成されることとなる。かかる構造からすれば、柱間ダクト31と梁間ダクト32とは、柱集結部分で交差することとなり、それらを直接接続することができる。
【0077】
柱間ダクト31を、柱間隙間C1に合う断面形状をなしかつ柱21に沿って鉛直方向に延びる直管状ダクトとして構成したため、限られた柱間隙間C1を利用しつつも努めて大きい流路面積が確保でき、しかも曲がり箇所を少なくし当該ダクト31内における圧力損失を低減できる。以上により、柱21に沿って上下方向に流れる送風の抵抗を少なくし、ひいては空調設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0078】
また、梁間ダクト32を、梁間隙間C2に合う断面形状をなしかつ梁材に沿って水平方向に延びる直管状ダクトとして構成したため、限られた梁間隙間C2を利用しつつも努めて大きい流路面積が確保でき、しかも曲がり箇所が少なくし当該ダクト32内における圧力損失を低減できる。以上により、梁材に沿って流れる送風の抵抗を少なくし、ひいては空調設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0079】
梁間ダクト32に分岐ダクト33を接続するとともに、その分岐ダクト33を、梁貫通孔22aを貫通させて各階の天井裏スペースに配置したため、対向する2つの梁材に挟まれて梁間ダクト32が設けられる場合にも、分岐ダクト33による吹出グリル34に対しての接続を容易に行わせることができる。
【0080】
各建物ユニット20を結合するための結合プレート41にダクト貫通孔43を形成し、そのダクト貫通孔43を貫通させて柱間ダクト31を設けたため、各柱21の柱頭部分で結合プレート41によってその上下が分断されたとしても、柱間ダクト31を上下方向に配設することができる。また、建物ユニット20が上下に2層以上設けられる多層階のユニット式建物において、上下階の階間部分に結合プレート41が設けられていても、その結合プレート41の上下に延びるようにして空調用ダクトを配設できる。
【0081】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0082】
・柱間ダクト31の断面形状を、図7に示すように変更してもよい。図7(a)では、柱間ダクト31が、略T字状に扁平となる断面T字形状をなすものとなっており、図7(b)では、柱間ダクト31が、略L字状に扁平となる断面L字形状をなすものとなっており、図7(c)では、柱間ダクト31が、一字状に扁平となる断面一字形状をなすものとなっている。いずれにしろ、柱間ダクト31は、柱間隙間に合う断面形状をなすものであるとよい。
【0083】
また、図7(d)では、柱間隙間を利用して、柱間ダクト31と共に換気ダクト45を配置する構成としている。なお、こうして換気ダクトを設置することに関して、同じく換気ダクトを梁間隙間に設けることも可能である。
【0084】
4つの柱21が集結する部分以外にも柱間ダクト31を設置することが可能である。この場合、柱間ダクト31は、一字状に扁平となる断面一字形状をなすものとして構成される。
【0085】
・柱間ダクト31に接続される複数の梁間ダクト32において、柱間ダクト31との接続部分にダクト内通路(風路)を開閉させる開閉弁を設け、その開閉弁の開閉状態を電気的に制御する構成としてもよい。具体的には、図8には、6つの建物ユニット20の配置状態を平面視にて示すとともに、空調設備の制御システムの一部を示しており、同図8に示すように、各梁間ダクト32の基端部(柱間ダクト31側の端部付近)には、それぞれ開閉弁51が設けられている。開閉弁51は、コントローラ52からの制御信号に基づいて開閉動作する制御弁であり、通常は開状態とされ、コントローラ52からの閉鎖信号を受け取ると閉状態に切り替えられる構成となっている。また本例では、開閉弁51の開度が可変に調整できるようになっている。
【0086】
また、コントローラ52には、建物内の各居室又は空間(すなわち、空調対象の空間ごと)に設けられる人感センサ53からの検知信号が入力されるとともに、各ユーザ(住人)により携帯される携帯通信装置54からの無線信号が入力されるようになっている。コントローラ52により通信手段と制御手段とが構成される。人感センサ53は、所定の居室又は空間における人の有無を検知し、その検知結果をコントローラ52に出力する。携帯通信装置54は、例えばキー型、カード型、ペンダント型等の小型携帯装置であり、ユーザ固有のユーザ情報(ID情報)をあらかじめ記憶保持しており、同ユーザ情報を要求に応じて送信する。ユーザ情報には、各ユーザの身体情報や健康情報、嗜好情報などが含まれる。携帯通信装置54としてドア施解錠用のスマートキーや、携帯電話を使用することも可能である。
【0087】
コントローラ52は、人感センサ53による検知結果に基づいて開閉弁51の開閉状態を制御する。このとき、居室等に人がいるか否か、すなわち在室状況に応じて、開閉弁51の開閉が切り替えられてダクト経路(風路)が適宜変更される。また、同コントローラ52は、携帯通信装置54に対して要求信号(リクエスト信号)を送信し、その応答として、居室内に存在する携帯通信装置54からユーザ情報を含む信号を受信する。そして、その受信したユーザ情報に基づいて開閉弁51の開閉状態を制御する。このとき、ユーザ情報(身体情報、健康情報、嗜好情報など)に基づいて開閉弁51の開度が適宜変更され、居室内のユーザに合わせて風量等が調節される。
【0088】
上記構成によれば、開閉弁51の開閉状態を適宜切り替えることにより、必要に応じてダクト経路(風路)を変更でき、空調効率を高めること等が可能となる。例えば、在室状況に応じて開閉弁51が開閉されることにより、送風不要なエリアへの送風を行わずに済み、空調効率を高めるとともにエネルギ節減(省エネ)を図ることができる。また、ユーザ情報に応じて風量等を調節することにより、ユーザにとって快適でかつ健康面でも好適な空調を行わせることができる。
【0089】
・隣接する建物ユニットの間において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて設けられる耐力壁を、その内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能とし、通気部材として用いることも可能である。詳細を図9〜図11を用いて説明する。図9は、耐力壁61について鉛直方向における設置状態を示す正面図であり、図10(a)(b)は、耐力壁61はその壁面に直交する方向から見た断面図(図9のA−A線断面図)であり、図11は、耐力壁61の内部構造を示す断面図である。
【0090】
図9及び図10(a)に示すように、耐力壁61は、二階部分の建物ユニットに沿って設けられており、その上下方向の高さ寸法は、建物ユニットの天井大梁22から床大梁23までの高さ寸法と同寸法となっている。耐力壁61の壁面幅方向の寸法(図9の左右方向の寸法)は、建物ユニットの左右2つの柱21間の寸法よりも小さければよく、梁材の長さと概ね同じ寸法であってもよい。
【0091】
耐力壁61は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられている。そして、耐力壁61は、その壁面が当該耐力壁61に対峙する他の構造体(天井大梁22及び床大梁23)にビス等により結合され、面外への変形が拘束される構造となっている。具体的には、図10(a)に示すように、耐力壁61は、各梁材22,23のウエブ面に当接した状態で設けられ、各梁材22,23のウエブに対してビス等により接合されている。また、耐力壁61には、その内部空間を流れる空気を分流させる分岐ダクト62が接続されるとともに、該分岐ダクト62が、天井大梁22の梁貫通孔22aを通じて配設され、その分岐ダクト62に吹出グリル(図示略)が接続されている。
【0092】
又は、耐力壁61は、図10(b)に示す構成であってもよい。図10(b)では、耐力壁61は、上下の各梁材22,23のフランジ面に当接した状態で設けられ、各梁材22,23のフランジに対してビス等により接合されている。
【0093】
なお、耐力壁61が、一階・二階の各建物ユニットにおける天井大梁22間の長さよりも大きい高さ寸法を有する構成であってもよく、かかる場合には、耐力壁61の上端部が二階の建物ユニットの天井大梁22よりも上方に延び、かつ下端部が一階の建物ユニットの天井大梁22よりも下方に延びる構成となる。
【0094】
図11に示すように、耐力壁61は中空状をなし、鋼材からなる外側層63と断熱材からなる内側層64とからなる二重構造となっている。そして、その中空部が通気室65となっている。
【0095】
上記構成によれば、ユニット式建物において梁材に連結されて耐力壁61が設けられるため、当該ユニット式建物の耐力を高めることができる。また、耐力壁61を通気部材として利用することで、その内部に設けられる通気室65の変形や損傷等を抑制できる。さらに、通気部材として使用する上で、平板状の通気部材が構築できる。ゆえに、通路断面積を拡張し、圧力損失低減を図ることができる。
【0096】
また、耐力壁61は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられるため、建物ユニット間の限られたスペースにおいて耐力壁61の設置が可能となり、ひいては通気部材の好適なる設置が可能となる。
【0097】
耐力壁61内部の通気室65と吹出グリル(図示略)とが分岐ダクト62を通じて連通されるため、吹出グリルから居室等に送風を行わせる構成において実用上好ましい構成が実現できる。また、梁貫通孔22aを通じて分岐ダクト62が配設されるため、建物ユニットの天井裏又は床下の空間に吹出グリルが設けられる場合にも、分岐ダクト62を最短の長さで直線的に設置することができる。
【0098】
耐力壁61は、建物ユニットの上下の各梁材22,23にそれぞれ連結されているため、耐力壁61による建物ユニットの強度アップと、同耐力壁61による通気経路の構築とを図る上で好ましい構成が実現できる。
【0099】
耐力壁61の壁面に吹出グリルが設けられる構成であってもよい。本構成では、当該壁面における開口位置を変更することで、吹出グリルの位置を任意に変更できる。したがって、室内の吹出口位置に関して設定の自由度を増大させることができる。
【0100】
上記構成では、耐力壁61を梁材に連結する構成としたが、これに代えて又は加えて、耐力壁61を柱材に連結する構成とすることも可能である。
【0101】
建物ユニットの製造工場において、同建物ユニットに耐力壁61が取り付けられ、その状態で建物ユニットと耐力壁61との一体物が施工現場に搬送されるとよい。
【0102】
・上記実施形態では、吹出グリル34を各居室の天井部分に設ける構成としたが、これを変更し、吹出グリル34を各居室の床部分に設けたり、壁に設けたりすることも可能である。ここで、吹出グリルを床部分に設ける場合には、床大梁間に設けられた梁間ダクトに分岐ダクトを接続するとともに、その分岐ダクトを床大梁の梁貫通孔を通じて床下空間に設置する。そして、分岐ダクトの先端部に吹出グリルを接続する。また、吹出グリルを壁に設ける場合には、梁間ダクトから上下方向のいずれかに向けて分岐ダクトを接続するとともに壁部材の内部に同分岐ダクトを設置し、その分岐ダクトの先端部に吹出グリルを接続する。
【0103】
・上記実施形態では、複数の柱21の柱頭部に結合プレート41を取り付ける構成としたが、これに代えて、複数の柱21の柱脚部に結合プレート41を取り付ける構成としてもよい。この場合、柱脚部用の結合プレートにダクト貫通孔が形成され、そのダクト貫通孔に貫通させて柱間ダクト31が設けられる。
【0104】
・上記実施形態では、建物の二階天井裏に空調室内機を設置したが、これを変更する。例えば、建物の一階床下に空調室内機を設置したり、建物の一階部分又は二階部分における納戸(収納庫)等のスペースに空調室内機を設置したりしてもよい。いずれにしても、柱間ダクトにより鉛直方向の送風が可能となるため、好適なる全館空調システムが実現できる。
【0105】
・本発明の通気設備は、上記したような空調設備として具現化される以外に、換気設備として具現化されることも可能である。また、本発明を、ユニット式建物以外の建物に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】空調用ダクトについて鉛直方向における設置状態を示す正面図。
【図2】空調用ダクトについて水平方向における設置状態を示す平面図。
【図3】4つの建物ユニットの各柱が集結している部分を拡大して示す平面図。
【図4】4つの建物ユニットの各柱が集結している部分の構成を示す斜視図。
【図5】ユニット式建物の概要を示す斜視図。
【図6】建物ユニットの構成を示す斜視図。
【図7】柱間ダクトの断面形状についての変形例を示す平面図。
【図8】建物ユニットの配置状態を平面視にて示すとともに、空調設備の制御システムの一部を示す図。
【図9】耐力壁について鉛直方向における設置状態を示す正面図。
【図10】耐力壁をその壁面に直交する方向から見た断面図。
【図11】耐力壁の内部構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0107】
10…ユニット式建物、20…建物ユニット、21…柱(柱材)、22…天井大梁(梁材)、23…床大梁(梁材)、31…柱間ダクト(通気ダクト)、32…梁間ダクト(通気ダクト)、33…分岐ダクト、34…吹出グリル、35…空調室内機(送風装置)、41…結合プレート、43…ダクト貫通孔(ダクト挿通部)、51…開閉弁(調整弁)、52…コントローラ(通信手段、制御手段)、53…人感センサ(人検知手段)、54…携帯通信装置(携帯通信デバイス)、61…耐力壁(構造体)、62…分岐ダクト、C1…柱間隙間、C2…梁間隙間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の通気設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、複数の建物ユニットの間に形成されるデッドスペースを利用して空調用ダクトを配設する技術が提案されている。例えば、特許文献1のユニット式建物では、空調用ダクトを断面形状が矩形状である扁平管材とし、その空調用ダクトを間仕切り壁の内部に設ける構成としている。そして、空調用ダクトの断面の短辺長さを、隣接する建物ユニット間の隙間に略等しくし、同断面の長辺長さを、この空調用ダクトに面している建物ユニットの壁の横幅又は縦幅に略等しくしている。これにより、遮音性を確保するとともに、空調に必要な風量を十分に確保できるとしていた。
【特許文献1】特開平11−72263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1におけるユニット式建物では、ユニット間スペースの有効利用が可能となるものの、間仕切り壁を利用した構造であるため、その間仕切り壁の強度が不十分であると、空調用ダクトが変形したり損傷したりする等の不都合が生じるおそれがある。
【0004】
また、ユニット式建物に限らず、他の建物においても、空調用ダクトの変形等の問題が生じうると考えられる。
【0005】
本発明は、建物内スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置を可能とする建物の通気設備を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、換気又は空調用の空気を搬送する通気部材を配設したことを特徴とする建物の通気設備。
【0008】
手段1によれば、建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に通気部材が配設されるため、構造体自体の強度によって通気部材の保護を図ることができる。つまり、通気部材の変形や損傷等を抑制できる。その結果、建物内スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置が可能となる。
【0009】
なお、「構造体」は、自重や外力に抵抗する役割を担う建築物の構造要素であり、例えば、柱、梁、壁などがこれに該当する。
【0010】
手段2.前記構造体は耐力壁であり、その耐力壁に内部空間を形成するとともに、当該耐力壁を、前記内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能として前記通気部材として用いることを特徴とする手段1に記載の建物の通気設備。
【0011】
手段2によれば、耐力壁を通気部材として利用することで、その内部に設けられる通気部分の変形や損傷等を抑制できる。さらに、通気部材として使用する上で、通路断面積を拡張し、圧力損失低減を図ることができる。
【0012】
手段3.複数の建物ユニット(建物ユニット20)を組み付けて構築されるユニット式建物に適用され、
前記ユニット式建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、換気又は空調用の空気を搬送する通気部材を配設したことを特徴とする手段1に記載の建物の通気設備。
【0013】
手段3によれば、隣接する建物ユニットの間の隙間(デッドスペース)を有効利用して通気部材が配設される。また特に、ユニット式建物における構造体自体の強度によって通気部材の保護を図ることができる。したがって、間仕切り壁の内部に空調用ダクト(通気部材)を設ける構成とは異なり、通気部材の変形や損傷等を抑制できる。その結果、ユニット間スペースの有効利用を図りつつ、しかも通気ダクトの好適なる設置が可能となる。
【0014】
手段4.前記構造体は、前記建物ユニットの柱材(柱21)、梁材(天井大梁22、床大梁23)であり、
隣接する建物ユニットの柱材同士の隙間(柱間隙間C1)及び梁材同士の隙間(梁間隙間C2)の少なくともいずれかに、前記通気部材として通気ダクト(柱間ダクト31、梁間ダクト32)を配設したことを特徴とする手段4に記載の建物の通気設備。
【0015】
ユニット式建物では、間取りプラン等に関係なく梁間、柱間に隙間が存在し、手段4によれば、その梁間、柱間の隙間を利用して通気ダクトが設置される。そのため、建物ユニット間に間仕切り壁が存在しない場所にも通気ダクトの設置が可能となる。その結果、建物の間取り等に制約を及ぼすことなく、空調や換気のプランを好適に設定することができる。
【0016】
手段5.前記柱材同士の隙間に配設される通気ダクト(柱間ダクト31)は、柱間隙間に合う断面形状をなしかつ柱材に沿って鉛直方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする手段4に記載の建物の通気設備。
【0017】
手段5によれば、通気ダクトが柱間隙間に合う断面形状をなしているため、限られた柱間隙間を利用しつつも、努めて大きい流路面積が確保できる。例えば、当該ダクトは断面扁平形状をなすものとなっている。また、同ダクトが直管状ダクトであるため、曲がり箇所が少なくなり、当該ダクト内における圧力損失を低減できる。以上により、送風の抵抗を少なくし、通気設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0018】
例えば、4つの建物ユニットの柱材が集結した部分では、4つの柱材が近接配置され、柱間隙間として略十字状のスペースが形成される(図3参照)。この場合、その柱間隙間に設けられる通気ダクトとして、
・開口断面が略十字状をなす通気ダクト、
・開口断面が略T字状をなす通気ダクト、
・開口断面が略L字状をなす通気ダクト、
・開口断面が一字状をなす通気ダクト、
等々が採用できる。
【0019】
手段6.前記梁材同士の隙間に配設される通気ダクト(梁間ダクト32)は、梁間隙間に合う断面形状をなしかつ梁材に沿って水平方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする手段4又は5に記載の建物の通気設備。
【0020】
手段6によれば、通気ダクトが梁間隙間に合う断面形状をなしているため、限られた梁間隙間を利用しつつも、努めて大きい流路面積が確保できる。例えば、当該ダクトは断面扁平形状をなすものとなっている。また、同ダクトが直管状ダクトであるため、曲がり箇所が少なくなり、当該ダクト内における圧力損失を低減できる。以上により、送風の抵抗を少なくし、通気設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0021】
手段7.柱間隙間に設けられる通気ダクトである柱間ダクトと、梁間隙間に設けられる通気ダクトである梁間ダクトとを備え、
前記柱間ダクトの長手方向のいずれかの部位に送風装置(空調室内機35)が接続されるとともに、同柱間ダクトにおいて前記送風装置とは異なる高さ位置に前記梁間ダクトが接続されていることを特徴とする手段4乃至6のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0022】
手段7によれば、送風装置からの送風は、柱間ダクト及び梁間ダクトを通じて供給先に流れる。この場合、送風の供給先である吹出口(吹出グリル)が送風装置とは異なる階に設けられていても、その吹出口に対して好適に送風を行わせることができる。
【0023】
手段8.梁間隙間の通気ダクトから分岐させるようにして分岐ダクト(分岐ダクト33)が設けられ、その分岐ダクトにより前記通気ダクトと吹出グリル(吹出グリル34)とが接続されていることを特徴とする手段4乃至7のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0024】
梁間隙間に通気ダクトが設けられる場合、一般に天井部や、床部、壁部に設けられる吹出グリルとは離れて設けられることとなる。かかる場合、梁間の通気ダクトと吹出グリルとが分岐ダクトを通じて連通されることで、吹出グリルから居室等に送風を行わせる構成において実用上好ましい構成が実現できる。
【0025】
手段9.前記分岐ダクトは、前記梁材に形成された梁貫通孔(梁貫通孔22a)を貫通させて設けられることを特徴とする手段8に記載の建物の通気設備。
【0026】
手段9によれば、対向する2つの梁材に挟まれて通気ダクトが設けられる場合にも、分岐ダクトによる吹出グリルに対しての接続を容易に行わせることができる。
【0027】
手段10.隣接する建物ユニットの各柱材を柱頭部分又は柱脚部分にて結合プレート(結合プレート41)により結合したユニット式建物であり、
前記結合プレートに、前記通気ダクトを挿通させるダクト挿通部(ダクト貫通孔43)が設けられていることを特徴とする手段4乃至9のいずれかに記載の建物の通気設備。
【0028】
一般に、建物ユニットの各柱材は柱頭部分又は柱脚部分で結合プレートによって結合される。かかる構成において、結合プレートにダクト挿通部が設けられることにより、仮に各柱材の柱頭部分又は柱脚部分で結合プレートによってその上下が分断されたとしても、通気ダクトを上下方向に配設することができる。また、建物ユニットが上下に2層以上設けられる多層階のユニット式建物において、上下階の階間部分に結合プレートが設けられていても、その結合プレートの上下に延びるようにして通気ダクトを配設できる。
【0029】
手段11.隣接する建物ユニットの間において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて設けられる耐力壁(耐力壁61)を、その内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能とし、前記通気部材として用いることを特徴とする手段3乃至10のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0030】
手段11によれば、ユニット式建物において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて耐力壁が設けられるため、当該ユニット式建物の耐力を高めることができる。また、かかる耐力壁を通気部材として利用することで、その内部に設けられる通気部分の変形や損傷等を抑制できる。さらに、通気部材として使用する上で、通路断面積を拡張し、圧力損失低減を図ることができる。
【0031】
手段12.前記耐力壁は、その壁面が当該耐力壁に対峙する他の構造体に結合され、面外への変形が拘束される構造であることを特徴とする手段11に記載の建物の通気設備。
【0032】
手段12によれば、耐力壁が、面外への変形が拘束される構造であることから、その内部に設けられる通気部分について変形や損傷等を一層抑制できる。
【0033】
手段13.前記耐力壁は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられていることを特徴とする手段11又は12に記載の建物の通気設備。
【0034】
手段13によれば、建物ユニット間の限られたスペースにおいて耐力壁の設置が可能となり、ひいては通気部材の好適なる設置が可能となる。
【0035】
手段14.前記耐力壁に、その内部空間を流れる空気を分流させる分岐ダクト(分岐ダクト62)が接続されるとともに、該分岐ダクトが、前記梁材に形成された梁貫通孔(梁貫通孔22a)を通じて配設され、その分岐ダクトに吹出グリルが接続されていることを特徴とする手段13に記載の建物の通気設備。
【0036】
手段14によれば、耐力壁の内部空間と吹出グリルとが分岐ダクトを通じて連通されることで、吹出グリルから居室等に送風を行わせる構成において実用上好ましい構成が実現できる。また、梁貫通孔を通じて分岐ダクトが配設されることで、建物ユニットの天井裏又は床下の空間に吹出グリルが設けられる場合にも、分岐ダクトを最短の長さで設置することができる。
【0037】
手段15.前記耐力壁の壁面に吹出グリルが設けられていることを特徴とする手段11乃至14のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0038】
耐力壁の壁面に吹出グリルが設けられる上記構成では、当該壁面における開口位置を変更することで、吹出グリルの位置を任意に変更できる。したがって、室内の吹出口位置に関して設定の自由度を増大させることができる。
【0039】
手段16.前記耐力壁は、前記建物ユニットの上梁材(天井大梁22)から下梁材(床大梁23)までの高さ寸法と同じ又はそれよりも大きい高さ寸法を有するものであることを特徴とする手段11乃至15のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0040】
手段16によれば、建物ユニットの上下の梁材を共に跨ぐようにして耐力壁を設けることができ、耐力壁による建物ユニットの強度アップと、同耐力壁による通気経路の構築とを図る上で好ましい構成が実現できる。
【0041】
手段17.前記通気部材は、工場で前記建物ユニットに取り付けられ、その後施工現場に搬送されるものであることを特徴とする手段3乃至16のいずれかに記載の建物の通気設備。
【0042】
手段17によれば、工場にて建物ユニットに通気部材(柱間ダクト31、梁間ダクト32、耐力壁61の少なくといずれか)が取り付けられるため、施工現場での通気部材の取り付け作業を簡素化することができる。これにより、通気設備の施工作業を効率よく行うことができ、現地工事の短縮を図ることができる。
【0043】
手段18.前記通気部材を複数備え、該複数の通気部材が互いに連結される通気設備であり、
前記複数の通気部材の連結部分に、各通気部材間の連通状態を調整する調整弁(開閉弁51)が設けられていることを特徴とする手段1乃至17のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【0044】
手段18によれば、複数の通気部材の連結部分に設けられている調整弁の開閉状態等を適宜切り替えることにより、必要に応じてダクト経路(風路)を変更でき、通気の効率(空調効率等)を高めること等が可能となる。
【0045】
手段19.通気対象となる空間ごとに設けられる人検知手段(人感センサ53)と、
前記人検知手段による検知結果に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段(コントローラ52)と、
を備えることを特徴とする手段18に記載の建物の通気設備。
【0046】
手段19によれば、通気対象となる空間(居室等)に人がいるか否か、すなわち在室状況に応じて、調整弁の開度が制御されてダクト経路(風路)が適宜変更される。これにより、送風不要なエリアへの送風を行わずに済み、通気効率を高めるとともにエネルギ節減(省エネ)を図ることができる。
【0047】
手段20.ユーザ各自が携帯する携帯通信デバイス(携帯通信装置54)にあらかじめユーザ情報が記憶されており、通気対象となる各空間において前記携帯通信デバイスとの間で無線通信が可能な通信手段(コントローラ52)を備える通気設備であり、
前記通信手段により受信したユーザ情報に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段(コントローラ52)を備えることを特徴とする手段18又は19に記載の建物の通気設備。
【0048】
手段20によれば、通気対象となる空間(居室等)において、ユーザが携帯通信デバイスを持ち込むことによって同デバイスからユーザ情報が送信される。これにより、調整弁の開度が制御され、通気部材内を通過する風量等がユーザに合わせて調整される。この場合、ユーザ情報には、各ユーザの身体情報や健康情報、嗜好情報などが含まれているとよく、これらの各情報を受信することによって、ユーザにとって快適でかつ健康面でも好適な通気(空調や換気)を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、鉄骨ユニット工法にて構築された2階建てユニット式建物に具体化しており、そのユニット式建物10の概要を図5に示す。ユニット式建物10は、複数の建物ユニット20を上下2層に結合させてなる建物本体11と、この建物本体11の上方に配設される屋根12とにより構成されている。なお、ユニット式建物10に使用される建物ユニット20は、工場にてあらかじめ製造され、その後、建築現場にトラック等により運搬されるものとなっている。
【0050】
図6は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。建物ユニット20において、その四隅には柱21が配され、各柱21の上端部及び下端部がそれぞれ4本の天井大梁22、床大梁23により連結されている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。天井大梁22(詳細には、溝形鋼のウエブ)には、複数箇所に直径100mm程度の梁貫通孔22aが設けられている。
【0051】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に水平に設けられている。図示は略すが、天井小梁25によって天井面材が支持され、床小梁26によって床面材が支持されるようになっている。
【0052】
本実施形態のユニット式建物10では全館空調システムが採用されており、空調設備として、空調室内機と、その空調室内機から分岐して延びる複数のダクト部材(通気部材)とが設置されている。空調室内機は、例えば2階の天井裏スペース(小屋裏スペース)に設けられ、その空調室内機によって1階及び2階の各居室等に対して空調が行われるようになっている。本実施形態では特に、空調用のダクト部材を扁平ダクトにて構成するとともに、同ダクトを、隣接する建物ユニット20の間の隙間を利用して設置することとしている。以下、本空調システムの空調設備について詳しく説明する。
【0053】
図1は、空調用ダクトについて鉛直方向における設置状態を示す正面図であり、図2は、同じく空調用ダクトについて水平方向における設置状態を示す平面図である。図3は、4つの建物ユニット20の各柱21が集結している部分を拡大して示す平面図である。また、図4は、4つの建物ユニットの各柱21が集結している部分の構成を示す斜視図である。なお図2では、説明の便宜上、各建物ユニット20を単純な矩形枠にて示すとともに、各ユニット間の隙間を、実際の建物ユニットに対する寸法比よりも拡大して示している。
【0054】
隣接する建物ユニット20の間には、各柱21の間に柱間隙間C1が設けられるとともに、各天井大梁22の間及び各床大梁23の間に梁間隙間C2が設けられている(隙間C1,C2は図3参照)。柱間隙間C1の幅W1は例えば幅75mm程度であり、梁間隙間C2の幅W2(ウエブ間の寸法)は例えば幅130mm程度である。そして、上記の柱間隙間C1に、柱間設置用の空調用ダクト(通気ダクト)として、断面扁平状の柱間ダクト31が設置されている。また、梁間隙間C2に、梁間設置用の空調用ダクトとして、断面扁平状の梁間ダクト32が設置されている。
【0055】
柱間ダクト31は、建物ユニット20の柱21に沿って鉛直方向に設けられており、本例では、4つの柱21が集結する2カ所の柱集結部に設けられている(図2参照)。柱間ダクト31は、少なくとも一階及び二階の階間部分と二階天井裏とを結ぶ長さを有するものであり、この柱間ダクト31を通じて、例えば二階天井裏に設置された空調室内機35から階下部分に空調エアが供給される。本実施形態では、柱間ダクト31の上端部に空調室内機35が接続されている。
【0056】
また、梁間ダクト32は、建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23の少なくともいずれかに沿って設けられており、本例では、一階及び二階の階間部分において天井大梁22及び床大梁23が集結する梁集結部と、二階の天井大梁22が集結する梁集結部とに梁間ダクト32が設けられている(図1参照)。梁間ダクト32は、建物ユニット20の妻面側(短辺側)又は桁面側(長辺側)の梁材と略同じ長さを有しており、この梁間ダクト32を通じて、柱間ダクト31から各々の居室等(空調対象の空間)に空調エアが供給される。
【0057】
また、梁間ダクト32には分岐ダクト33が適宜設けられており、この分岐ダクト33の先端部に吹出グリル34が接続されている。吹出グリル34は、ユニット内空間である居室等の天井部分にそれぞれ設けられている。分岐ダクト33は、梁間ダクト32の長手方向に対して略直交する方向に延びるよう設けられている。分岐ダクト33の直径は梁貫通孔22aとほぼ同じであり(約100mm程度)、梁貫通孔22aを貫通して分岐ダクト33が設けられることで、当該分岐ダクト33が天井裏スペースに配置され、梁間ダクト32と吹出グリル34との間でエア流通可能となっている。
【0058】
梁間ダクト32は、各建物ユニット20の間の梁間隙間C2において、全ての隙間に設けられるのではなく、吹出グリル34の有無及び同グリル34の設置位置に応じて設けられる。図2に示す構成では、右下の建物ユニット20の周囲には梁間ダクト32が設けられていない構成となっている。
【0059】
本実施形態では、建物ユニット20の妻面側(短辺側)又は桁面側(長辺側)の梁材と略同じ長さで梁間ダクト32を設けることで、梁間ダクト32における長手方向の任意の位置に分岐ダクト33を接続可能としている。これは、吹出グリル34の場所を任意に設定できる点で望ましい構成といえる。ただし、柱間ダクト31から近い位置に吹出グリル34が設けられる場合(例えば図2の左下に示す建物ユニット20のような場合)には、梁間ダクト32を梁材よりも短くすることも可能である。
【0060】
柱間ダクト31及び梁間ダクト32について、図3及び図4を用いてより詳細に説明する。なお、図3において(a)は4つの柱21及び天井大梁22の配置を示す平面図、(b)は隙間C1,C2に柱間ダクト31及び梁間ダクト32を設置した状態を示す平面図である。
【0061】
図3及び図4に示すように、4つの柱21が集結する柱集結部には十字状に柱間隙間C1が形成されており、その柱間隙間C1に、断面形状が同じく十字状をなすようにして柱間ダクト31が設置されている。つまり、柱間ダクト31は外周部が4つの各柱21に密着するようにして設置されている。
【0062】
また、図3(b)に示すように、十字状をなす柱間ダクト31の四方の先端部にはそれぞれダクト連結部31aが設けられ、そのダクト連結部31aに梁間ダクト32の長手方向一端部が連結されている(なお、図4にはダクト連結部31aを1つのみ示している)。ダクト連結部31aは、先端部の少なくとも一部が梁間ダクト32内に埋まるように設けられ、その接合部に接合テープ等が巻かれてダクト接合部分の気密性が確保されるようになっている。ただし、柱間ダクト31と梁間ダクト32との連結手段は任意であり、各ダクト31,32にそれぞれ繋ぎ管部を設けるとともに、それら各繋ぎ管部をクリップや結束バンド、結束テープ等を用いて互いに連結することも可能である。
【0063】
図4に示すように、各建物ユニット20において柱21の柱頭部には結合プレート41が設けられ、その結合プレート41によって各建物ユニット20の柱21が分離不能に結合されている。結合プレート41は略正方形状をなし、4つの柱21の集結部分の面積とほぼ同じ面積を有するものとなっている。例えば、一階部分と二階部分の各柱21にそれぞれ結合プレート41が設けられている。この場合、図示する4つの柱21の各柱頭部にはその上端面に突起21aが設けられ、これに対応して結合プレート41には4つの孔部42が形成されている。各柱21の柱頭部に結合プレート41を取り付ける際には、各柱21の突起21aに結合プレート41の孔部42を挿通させる。これにより、各柱21が相互に所定間隔を隔てて分離不能に結合される。
【0064】
また、結合プレート41には、同プレート41の上下に柱間ダクト31を貫通させるためのダクト貫通孔43が設けられている。この場合、柱間ダクト31の上端部には、各柱21の柱頭部よりも上方に突き出るようにして連結部31bが設けられており、その連結部31bを貫通することができる大きさでダクト貫通孔43が設けられている。ここで、結合プレート41の強度を確保するにはダクト貫通孔43の大きさに制限がある。ゆえに本実施形態では、平面視十字状の柱間ダクト31についてその約1/4程度の大きさでダクト貫通孔43が形成されている。ただし、結合プレート41の補強などが行われた場合にはダクト貫通孔43を大きくすることが可能であり、例えば、柱間に挟まれた部分と同様の形状、すなわち平面視十字状のダクト貫通孔43を形成することも可能である(連結部31bも同様に平面視十字状とする)。
【0065】
そして、連結部31bが結合プレート41よりも上方に突き出た状態で、当該連結部31bが別の柱間ダクト31に連結される。こうして2つの柱間ダクト31が上下に連結されることで、一階部分及び二階部分を通じて柱間ダクト31を設置することができる。
【0066】
柱間ダクト31は、柱間隙間C1に組み付ける前の状態(自然状態)で、図3(b)のような十字状をなすように成形された直管材である。ただし、柱間隙間C1への組み付け前は、断面が円形状の円管ダクトよりなり、柱間隙間C1に組み付けられることにより、すなわち隣接する複数の建物ユニット20の各柱21に挟まれることによって、断面が扁平状でかつ十字形状に潰れ変形するものであってもよい。
【0067】
一方、梁間ダクト32は、梁間隙間C2に組み付ける前の状態(自然状態)で、断面矩形状をなすように成形された直管材である。ただし、梁間隙間C2への組み付け前は、断面が円形状の円管ダクトよりなり、梁間隙間C2に組み付けられることにより、すなわち隣接する複数の建物ユニット20の各大梁22,23に挟まれることによって、断面が扁平状に潰れ変形するものであってもよい。
【0068】
例えば、柱間ダクト31及び梁間ダクト32は、ユニット式建物の施工現場にて建物ユニット20に取り付けられる。
【0069】
ただし、柱間ダクト31及び梁間ダクト32が、建物ユニット20が工場にて製造される際に同ユニット20に取り付けられる構成であってもよい。各ダクト31,32が工場取り付けされる場合、ユニット製造工場において、特定の建物ユニット20の柱21及び天井大梁22にそれぞれ柱間ダクト31、梁間ダクト32が接着等により取り付けられ、そのダクト取り付け状態で建物ユニット20が施工現場に運搬される。各ダクト31,32が工場取り付けされる場合、施工現場(据え付け現場)での各ダクト31,32の取り付け作業を簡素化することができる。これにより、空調設備の施工作業を効率よく行うことができ、現地工事の短縮を図ることが可能となる。
【0070】
施工現場で各ダクト31,32が取り付けられる場合、工場で各ダクト31,32が取り付けられる場合のいずれであっても、柱間ダクト31及び梁間ダクト32は、施工現場で各建物ユニット20が組み合わされることに伴いそれぞれ柱間隙間、梁間隙間に設置されることとなる。
【0071】
上記構成の全館空調システムによれば、二階天井裏に設置された空調室内機35から送風が行われると、その送風が柱間ダクト31を通じて下方に流れ、二階の天井部分の梁間ダクト32や分岐ダクト33、吹出グリル34を通じて二階居室等に供給される。また、同じく空調室内機35からの送風が柱間ダクト31を通じて階下にも流れ、一階・二階の階間部分の梁間ダクト32や分岐ダクト33、吹出グリル34を通じて一階居室等に供給される。この場合、送風の供給先である吹出口(吹出グリル34)が空調室内機35とは異なる階に設けられていても、その吹出口に対して好適に送風が行われる。
【0072】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0073】
隣接する建物ユニット20の柱間及び梁間の各隙間に柱間ダクト31と梁間ダクト32とを配設する構成としたため、ユニット式建物10において間取りプラン等に関係なく存在する梁間、柱間の隙間を有効利用して空調用ダクト(柱間ダクト31、梁間ダクト32)が設置できる。そのため、建物ユニット間に間仕切り壁が存在しない場所にも空調用ダクトの設置が可能となる。その結果、建物の間取り等に制約を及ぼすことなく、空調プランを好適に設定することができる。
【0074】
また、建物ユニット20において柱21や各大梁22,23は構造体としての役目を有し、その構造体に沿って柱間ダクト31や梁間ダクト32が配設されるため、構造体自体の強度によって各ダクト31,32の保護を図ることができる。したがって、従来技術のように間仕切り壁の内部に空調用ダクトを設ける構成とは異なり、各ダクト31,32の変形や損傷等を抑制できる。その結果、ユニット間スペースの有効利用を図りつつ、しかも空調用ダクトの好適なる設置が可能となる。
【0075】
ユニット式建物10では、複数の建物ユニット20によって形成される柱間隙間を通じて暖気の上昇や冷気の降下が生じ、それに起因して空調効率が低下することが懸念される。この点、上記のごとく柱間隙間に柱間ダクト31が設置されることで、柱間隙間を通じての暖気の上昇や冷気の降下を抑制でき、空調効率の向上に寄与できる。
【0076】
ユニット式建物10では、柱材と梁材とが直方体状に連結される構造上、柱間隙間と梁間隙間とが柱集結部分で集まり、柱間隙間を起点として水平方向に梁間隙間が形成されることとなる。かかる構造からすれば、柱間ダクト31と梁間ダクト32とは、柱集結部分で交差することとなり、それらを直接接続することができる。
【0077】
柱間ダクト31を、柱間隙間C1に合う断面形状をなしかつ柱21に沿って鉛直方向に延びる直管状ダクトとして構成したため、限られた柱間隙間C1を利用しつつも努めて大きい流路面積が確保でき、しかも曲がり箇所を少なくし当該ダクト31内における圧力損失を低減できる。以上により、柱21に沿って上下方向に流れる送風の抵抗を少なくし、ひいては空調設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0078】
また、梁間ダクト32を、梁間隙間C2に合う断面形状をなしかつ梁材に沿って水平方向に延びる直管状ダクトとして構成したため、限られた梁間隙間C2を利用しつつも努めて大きい流路面積が確保でき、しかも曲がり箇所が少なくし当該ダクト32内における圧力損失を低減できる。以上により、梁材に沿って流れる送風の抵抗を少なくし、ひいては空調設備の運転の高効率化を図ることができる。
【0079】
梁間ダクト32に分岐ダクト33を接続するとともに、その分岐ダクト33を、梁貫通孔22aを貫通させて各階の天井裏スペースに配置したため、対向する2つの梁材に挟まれて梁間ダクト32が設けられる場合にも、分岐ダクト33による吹出グリル34に対しての接続を容易に行わせることができる。
【0080】
各建物ユニット20を結合するための結合プレート41にダクト貫通孔43を形成し、そのダクト貫通孔43を貫通させて柱間ダクト31を設けたため、各柱21の柱頭部分で結合プレート41によってその上下が分断されたとしても、柱間ダクト31を上下方向に配設することができる。また、建物ユニット20が上下に2層以上設けられる多層階のユニット式建物において、上下階の階間部分に結合プレート41が設けられていても、その結合プレート41の上下に延びるようにして空調用ダクトを配設できる。
【0081】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0082】
・柱間ダクト31の断面形状を、図7に示すように変更してもよい。図7(a)では、柱間ダクト31が、略T字状に扁平となる断面T字形状をなすものとなっており、図7(b)では、柱間ダクト31が、略L字状に扁平となる断面L字形状をなすものとなっており、図7(c)では、柱間ダクト31が、一字状に扁平となる断面一字形状をなすものとなっている。いずれにしろ、柱間ダクト31は、柱間隙間に合う断面形状をなすものであるとよい。
【0083】
また、図7(d)では、柱間隙間を利用して、柱間ダクト31と共に換気ダクト45を配置する構成としている。なお、こうして換気ダクトを設置することに関して、同じく換気ダクトを梁間隙間に設けることも可能である。
【0084】
4つの柱21が集結する部分以外にも柱間ダクト31を設置することが可能である。この場合、柱間ダクト31は、一字状に扁平となる断面一字形状をなすものとして構成される。
【0085】
・柱間ダクト31に接続される複数の梁間ダクト32において、柱間ダクト31との接続部分にダクト内通路(風路)を開閉させる開閉弁を設け、その開閉弁の開閉状態を電気的に制御する構成としてもよい。具体的には、図8には、6つの建物ユニット20の配置状態を平面視にて示すとともに、空調設備の制御システムの一部を示しており、同図8に示すように、各梁間ダクト32の基端部(柱間ダクト31側の端部付近)には、それぞれ開閉弁51が設けられている。開閉弁51は、コントローラ52からの制御信号に基づいて開閉動作する制御弁であり、通常は開状態とされ、コントローラ52からの閉鎖信号を受け取ると閉状態に切り替えられる構成となっている。また本例では、開閉弁51の開度が可変に調整できるようになっている。
【0086】
また、コントローラ52には、建物内の各居室又は空間(すなわち、空調対象の空間ごと)に設けられる人感センサ53からの検知信号が入力されるとともに、各ユーザ(住人)により携帯される携帯通信装置54からの無線信号が入力されるようになっている。コントローラ52により通信手段と制御手段とが構成される。人感センサ53は、所定の居室又は空間における人の有無を検知し、その検知結果をコントローラ52に出力する。携帯通信装置54は、例えばキー型、カード型、ペンダント型等の小型携帯装置であり、ユーザ固有のユーザ情報(ID情報)をあらかじめ記憶保持しており、同ユーザ情報を要求に応じて送信する。ユーザ情報には、各ユーザの身体情報や健康情報、嗜好情報などが含まれる。携帯通信装置54としてドア施解錠用のスマートキーや、携帯電話を使用することも可能である。
【0087】
コントローラ52は、人感センサ53による検知結果に基づいて開閉弁51の開閉状態を制御する。このとき、居室等に人がいるか否か、すなわち在室状況に応じて、開閉弁51の開閉が切り替えられてダクト経路(風路)が適宜変更される。また、同コントローラ52は、携帯通信装置54に対して要求信号(リクエスト信号)を送信し、その応答として、居室内に存在する携帯通信装置54からユーザ情報を含む信号を受信する。そして、その受信したユーザ情報に基づいて開閉弁51の開閉状態を制御する。このとき、ユーザ情報(身体情報、健康情報、嗜好情報など)に基づいて開閉弁51の開度が適宜変更され、居室内のユーザに合わせて風量等が調節される。
【0088】
上記構成によれば、開閉弁51の開閉状態を適宜切り替えることにより、必要に応じてダクト経路(風路)を変更でき、空調効率を高めること等が可能となる。例えば、在室状況に応じて開閉弁51が開閉されることにより、送風不要なエリアへの送風を行わずに済み、空調効率を高めるとともにエネルギ節減(省エネ)を図ることができる。また、ユーザ情報に応じて風量等を調節することにより、ユーザにとって快適でかつ健康面でも好適な空調を行わせることができる。
【0089】
・隣接する建物ユニットの間において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて設けられる耐力壁を、その内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能とし、通気部材として用いることも可能である。詳細を図9〜図11を用いて説明する。図9は、耐力壁61について鉛直方向における設置状態を示す正面図であり、図10(a)(b)は、耐力壁61はその壁面に直交する方向から見た断面図(図9のA−A線断面図)であり、図11は、耐力壁61の内部構造を示す断面図である。
【0090】
図9及び図10(a)に示すように、耐力壁61は、二階部分の建物ユニットに沿って設けられており、その上下方向の高さ寸法は、建物ユニットの天井大梁22から床大梁23までの高さ寸法と同寸法となっている。耐力壁61の壁面幅方向の寸法(図9の左右方向の寸法)は、建物ユニットの左右2つの柱21間の寸法よりも小さければよく、梁材の長さと概ね同じ寸法であってもよい。
【0091】
耐力壁61は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられている。そして、耐力壁61は、その壁面が当該耐力壁61に対峙する他の構造体(天井大梁22及び床大梁23)にビス等により結合され、面外への変形が拘束される構造となっている。具体的には、図10(a)に示すように、耐力壁61は、各梁材22,23のウエブ面に当接した状態で設けられ、各梁材22,23のウエブに対してビス等により接合されている。また、耐力壁61には、その内部空間を流れる空気を分流させる分岐ダクト62が接続されるとともに、該分岐ダクト62が、天井大梁22の梁貫通孔22aを通じて配設され、その分岐ダクト62に吹出グリル(図示略)が接続されている。
【0092】
又は、耐力壁61は、図10(b)に示す構成であってもよい。図10(b)では、耐力壁61は、上下の各梁材22,23のフランジ面に当接した状態で設けられ、各梁材22,23のフランジに対してビス等により接合されている。
【0093】
なお、耐力壁61が、一階・二階の各建物ユニットにおける天井大梁22間の長さよりも大きい高さ寸法を有する構成であってもよく、かかる場合には、耐力壁61の上端部が二階の建物ユニットの天井大梁22よりも上方に延び、かつ下端部が一階の建物ユニットの天井大梁22よりも下方に延びる構成となる。
【0094】
図11に示すように、耐力壁61は中空状をなし、鋼材からなる外側層63と断熱材からなる内側層64とからなる二重構造となっている。そして、その中空部が通気室65となっている。
【0095】
上記構成によれば、ユニット式建物において梁材に連結されて耐力壁61が設けられるため、当該ユニット式建物の耐力を高めることができる。また、耐力壁61を通気部材として利用することで、その内部に設けられる通気室65の変形や損傷等を抑制できる。さらに、通気部材として使用する上で、平板状の通気部材が構築できる。ゆえに、通路断面積を拡張し、圧力損失低減を図ることができる。
【0096】
また、耐力壁61は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられるため、建物ユニット間の限られたスペースにおいて耐力壁61の設置が可能となり、ひいては通気部材の好適なる設置が可能となる。
【0097】
耐力壁61内部の通気室65と吹出グリル(図示略)とが分岐ダクト62を通じて連通されるため、吹出グリルから居室等に送風を行わせる構成において実用上好ましい構成が実現できる。また、梁貫通孔22aを通じて分岐ダクト62が配設されるため、建物ユニットの天井裏又は床下の空間に吹出グリルが設けられる場合にも、分岐ダクト62を最短の長さで直線的に設置することができる。
【0098】
耐力壁61は、建物ユニットの上下の各梁材22,23にそれぞれ連結されているため、耐力壁61による建物ユニットの強度アップと、同耐力壁61による通気経路の構築とを図る上で好ましい構成が実現できる。
【0099】
耐力壁61の壁面に吹出グリルが設けられる構成であってもよい。本構成では、当該壁面における開口位置を変更することで、吹出グリルの位置を任意に変更できる。したがって、室内の吹出口位置に関して設定の自由度を増大させることができる。
【0100】
上記構成では、耐力壁61を梁材に連結する構成としたが、これに代えて又は加えて、耐力壁61を柱材に連結する構成とすることも可能である。
【0101】
建物ユニットの製造工場において、同建物ユニットに耐力壁61が取り付けられ、その状態で建物ユニットと耐力壁61との一体物が施工現場に搬送されるとよい。
【0102】
・上記実施形態では、吹出グリル34を各居室の天井部分に設ける構成としたが、これを変更し、吹出グリル34を各居室の床部分に設けたり、壁に設けたりすることも可能である。ここで、吹出グリルを床部分に設ける場合には、床大梁間に設けられた梁間ダクトに分岐ダクトを接続するとともに、その分岐ダクトを床大梁の梁貫通孔を通じて床下空間に設置する。そして、分岐ダクトの先端部に吹出グリルを接続する。また、吹出グリルを壁に設ける場合には、梁間ダクトから上下方向のいずれかに向けて分岐ダクトを接続するとともに壁部材の内部に同分岐ダクトを設置し、その分岐ダクトの先端部に吹出グリルを接続する。
【0103】
・上記実施形態では、複数の柱21の柱頭部に結合プレート41を取り付ける構成としたが、これに代えて、複数の柱21の柱脚部に結合プレート41を取り付ける構成としてもよい。この場合、柱脚部用の結合プレートにダクト貫通孔が形成され、そのダクト貫通孔に貫通させて柱間ダクト31が設けられる。
【0104】
・上記実施形態では、建物の二階天井裏に空調室内機を設置したが、これを変更する。例えば、建物の一階床下に空調室内機を設置したり、建物の一階部分又は二階部分における納戸(収納庫)等のスペースに空調室内機を設置したりしてもよい。いずれにしても、柱間ダクトにより鉛直方向の送風が可能となるため、好適なる全館空調システムが実現できる。
【0105】
・本発明の通気設備は、上記したような空調設備として具現化される以外に、換気設備として具現化されることも可能である。また、本発明を、ユニット式建物以外の建物に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】空調用ダクトについて鉛直方向における設置状態を示す正面図。
【図2】空調用ダクトについて水平方向における設置状態を示す平面図。
【図3】4つの建物ユニットの各柱が集結している部分を拡大して示す平面図。
【図4】4つの建物ユニットの各柱が集結している部分の構成を示す斜視図。
【図5】ユニット式建物の概要を示す斜視図。
【図6】建物ユニットの構成を示す斜視図。
【図7】柱間ダクトの断面形状についての変形例を示す平面図。
【図8】建物ユニットの配置状態を平面視にて示すとともに、空調設備の制御システムの一部を示す図。
【図9】耐力壁について鉛直方向における設置状態を示す正面図。
【図10】耐力壁をその壁面に直交する方向から見た断面図。
【図11】耐力壁の内部構造を示す断面図。
【符号の説明】
【0107】
10…ユニット式建物、20…建物ユニット、21…柱(柱材)、22…天井大梁(梁材)、23…床大梁(梁材)、31…柱間ダクト(通気ダクト)、32…梁間ダクト(通気ダクト)、33…分岐ダクト、34…吹出グリル、35…空調室内機(送風装置)、41…結合プレート、43…ダクト貫通孔(ダクト挿通部)、51…開閉弁(調整弁)、52…コントローラ(通信手段、制御手段)、53…人感センサ(人検知手段)、54…携帯通信装置(携帯通信デバイス)、61…耐力壁(構造体)、62…分岐ダクト、C1…柱間隙間、C2…梁間隙間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、換気又は空調用の空気を搬送する通気部材を配設したことを特徴とする建物の通気設備。
【請求項2】
前記構造体は耐力壁であり、その耐力壁に内部空間を形成するとともに、当該耐力壁を、前記内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能として前記通気部材として用いることを特徴とする請求項1に記載の建物の通気設備。
【請求項3】
複数の建物ユニットを組み付けて構築されるユニット式建物に適用され、
前記ユニット式建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、前記通気部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の建物の通気設備。
【請求項4】
前記構造体は、前記建物ユニットの柱材、梁材であり、
隣接する建物ユニットの柱材同士の隙間及び梁材同士の隙間の少なくともいずれかに、前記通気部材として通気ダクトを配設したことを特徴とする請求項3に記載の建物の通気設備。
【請求項5】
前記柱材同士の隙間に配設される通気ダクトは、柱間隙間に合う断面形状をなしかつ柱材に沿って鉛直方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする請求項4に記載の建物の通気設備。
【請求項6】
前記梁材同士の隙間に配設される通気ダクトは、梁間隙間に合う断面形状をなしかつ梁材に沿って水平方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする請求項4又は5に記載の建物の通気設備。
【請求項7】
柱間隙間に設けられる通気ダクトである柱間ダクトと、梁間隙間に設けられる通気ダクトである梁間ダクトとを備え、
前記柱間ダクトの長手方向のいずれかの部位に送風装置が接続されるとともに、同柱間ダクトにおいて前記送風装置とは異なる高さ位置に前記梁間ダクトが接続されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項8】
梁間隙間の通気ダクトから分岐させるようにして分岐ダクトが設けられ、その分岐ダクトにより前記通気ダクトと吹出グリルとが接続されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項9】
前記分岐ダクトは、前記梁材に形成された梁貫通孔を貫通させて設けられることを特徴とする請求項8に記載の建物の通気設備。
【請求項10】
隣接する建物ユニットの各柱材を柱頭部分又は柱脚部分にて結合プレートにより結合したユニット式建物であり、
前記結合プレートに、前記通気ダクトを挿通させるダクト挿通部が設けられていることを特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載の建物の通気設備。
【請求項11】
隣接する建物ユニットの間において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて設けられる耐力壁を、その内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能とし、前記通気部材として用いることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項12】
前記耐力壁は、その壁面が当該耐力壁に対峙する他の構造体に結合され、面外への変形が拘束される構造であることを特徴とする請求項11に記載の建物の通気設備。
【請求項13】
前記耐力壁は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の建物の通気設備。
【請求項14】
前記耐力壁に、その内部空間を流れる空気を分流させる分岐ダクトが接続されるとともに、該分岐ダクトが、前記梁材に形成された梁貫通孔を通じて配設され、その分岐ダクトに吹出グリルが接続されていることを特徴とする請求項13に記載の建物の通気設備。
【請求項15】
前記耐力壁の壁面に吹出グリルが設けられていることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項16】
前記耐力壁は、前記建物ユニットの上梁材から下梁材までの高さ寸法と同じ又はそれよりも大きい高さ寸法を有するものであることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項17】
前記通気部材は、工場で前記建物ユニットに取り付けられ、その後施工現場に搬送されるものであることを特徴とする請求項3乃至16のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項18】
前記通気部材を複数備え、該複数の通気部材が互いに連結される通気設備であり、
前記複数の通気部材の連結部分に、各通気部材間の連通状態を調整する調整弁が設けられていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項19】
通気対象となる空間ごとに設けられる人検知手段と、
前記人検知手段による検知結果に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項18に記載の建物の通気設備。
【請求項20】
ユーザ各自が携帯する携帯通信デバイスにあらかじめユーザ情報が記憶されており、通気対象となる各空間において前記携帯通信デバイスとの間で無線通信が可能な通信手段を備える通気設備であり、
前記通信手段により受信したユーザ情報に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項18又は19に記載の建物の通気設備。
【請求項1】
建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、換気又は空調用の空気を搬送する通気部材を配設したことを特徴とする建物の通気設備。
【請求項2】
前記構造体は耐力壁であり、その耐力壁に内部空間を形成するとともに、当該耐力壁を、前記内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能として前記通気部材として用いることを特徴とする請求項1に記載の建物の通気設備。
【請求項3】
複数の建物ユニットを組み付けて構築されるユニット式建物に適用され、
前記ユニット式建物における構造体同士の隙間、又は構造体そのものの内部空間に、前記通気部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の建物の通気設備。
【請求項4】
前記構造体は、前記建物ユニットの柱材、梁材であり、
隣接する建物ユニットの柱材同士の隙間及び梁材同士の隙間の少なくともいずれかに、前記通気部材として通気ダクトを配設したことを特徴とする請求項3に記載の建物の通気設備。
【請求項5】
前記柱材同士の隙間に配設される通気ダクトは、柱間隙間に合う断面形状をなしかつ柱材に沿って鉛直方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする請求項4に記載の建物の通気設備。
【請求項6】
前記梁材同士の隙間に配設される通気ダクトは、梁間隙間に合う断面形状をなしかつ梁材に沿って水平方向に延びる直管状ダクトであることを特徴とする請求項4又は5に記載の建物の通気設備。
【請求項7】
柱間隙間に設けられる通気ダクトである柱間ダクトと、梁間隙間に設けられる通気ダクトである梁間ダクトとを備え、
前記柱間ダクトの長手方向のいずれかの部位に送風装置が接続されるとともに、同柱間ダクトにおいて前記送風装置とは異なる高さ位置に前記梁間ダクトが接続されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項8】
梁間隙間の通気ダクトから分岐させるようにして分岐ダクトが設けられ、その分岐ダクトにより前記通気ダクトと吹出グリルとが接続されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項9】
前記分岐ダクトは、前記梁材に形成された梁貫通孔を貫通させて設けられることを特徴とする請求項8に記載の建物の通気設備。
【請求項10】
隣接する建物ユニットの各柱材を柱頭部分又は柱脚部分にて結合プレートにより結合したユニット式建物であり、
前記結合プレートに、前記通気ダクトを挿通させるダクト挿通部が設けられていることを特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載の建物の通気設備。
【請求項11】
隣接する建物ユニットの間において柱材及び梁材の少なくともいずれかに連結されて設けられる耐力壁を、その内部空間に換気又は空調用の空気を搬送可能とし、前記通気部材として用いることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項12】
前記耐力壁は、その壁面が当該耐力壁に対峙する他の構造体に結合され、面外への変形が拘束される構造であることを特徴とする請求項11に記載の建物の通気設備。
【請求項13】
前記耐力壁は、隣接する建物ユニットの梁材同士の隙間と同じ又はそれよりも小さい厚みを有し、梁間隙間を通じて鉛直方向に設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の建物の通気設備。
【請求項14】
前記耐力壁に、その内部空間を流れる空気を分流させる分岐ダクトが接続されるとともに、該分岐ダクトが、前記梁材に形成された梁貫通孔を通じて配設され、その分岐ダクトに吹出グリルが接続されていることを特徴とする請求項13に記載の建物の通気設備。
【請求項15】
前記耐力壁の壁面に吹出グリルが設けられていることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項16】
前記耐力壁は、前記建物ユニットの上梁材から下梁材までの高さ寸法と同じ又はそれよりも大きい高さ寸法を有するものであることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項17】
前記通気部材は、工場で前記建物ユニットに取り付けられ、その後施工現場に搬送されるものであることを特徴とする請求項3乃至16のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項18】
前記通気部材を複数備え、該複数の通気部材が互いに連結される通気設備であり、
前記複数の通気部材の連結部分に、各通気部材間の連通状態を調整する調整弁が設けられていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載の建物の通気設備。
【請求項19】
通気対象となる空間ごとに設けられる人検知手段と、
前記人検知手段による検知結果に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項18に記載の建物の通気設備。
【請求項20】
ユーザ各自が携帯する携帯通信デバイスにあらかじめユーザ情報が記憶されており、通気対象となる各空間において前記携帯通信デバイスとの間で無線通信が可能な通信手段を備える通気設備であり、
前記通信手段により受信したユーザ情報に基づいて前記調整弁の開度を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項18又は19に記載の建物の通気設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−114658(P2009−114658A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286159(P2007−286159)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]