説明

建物用エネルギーシステム

【課題】ユーザの要望に応じて、直流電力供給システムから受電した直流電力を優先的に有効利用する建物用エネルギーシステムすることを目的とする。
【解決手段】外部から交流電力を供給する系統側電源1と、直流電力を発電する自家用発電装置2と直流電力を充放電する自家用蓄電装置4,6を有する直流電力供給システムとに接続可能な建物用エネルギーシステムにおいて、系統側電源1から供給される交流を変換して得られる第1の直流または前記直流電力供給システム2,4,6から供給される第2の直流を直流電力機器に供給する第1供給制御手段22aと、前記第1供給制御手段22aに前記第2の直流を前記第1の直流より優先的に前記直流電力機器に供給させる第一の運転モードを設定する設定手段7b〜7c,34と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物用エネルギーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電装置で発電された電力は、主にパワーコンディショナーを使用して、直流から交流に変換して、交流を使用可能な機器(交流電力機器)に使用していた。しかし、直流を使用可能な機器(直流電力機器)についても、交流に変換した電流を直流に再び変換して使用していたため、直流電力機器が直流電力を使用する際に、電力変換に伴う電力損失が生じている場合があった。そこで、特許文献1では、商用電源から受電する交流電力と直流発電装置で発電する直流電力とを利用し、受電した交流電力と直流電力とを適正に組み合わせて交流機器と直流機器とに給電することにより、総合的な電力の利用効率を高めた配電システムを提供することを目的としている。そして、特許文献1は、前記直流発電装置から受電した直流電力の余剰電力を蓄電し直流発電装置とともに直流電力を供給する二次電池と、直流発電装置から二次電池に充電電流を流す充電器部とを開示する(段落0011参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−41783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、直流発電装置から受電した直流電力の余剰電力を二次電池に蓄電するだけでは、ユーザの要望に応じて、直流発電装置から受電した直流電力を優先的に有効利用できていない場合があった。
【0005】
そのため、ユーザの要望に応じて、直流発電装置から受電した直流電力を優先的に有効利用することが望まれる。
【0006】
本発明は、ユーザの要望に応じて、直流電力供給システムから受電した直流電力を優先的に有効利用する建物用エネルギーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば、図1、図2に示すように、
外部から交流電力を供給する系統側電源(商用電源)1と、直流電力を発電する自家用発電装置(例えば、太陽光発電装置、風力発電、燃料電池)2と直流電力を充放電する自家用蓄電装置(例えば、蓄電池、自動車(PHV,EV))4,6を有する直流電力供給システムとに接続可能な住宅用エネルギーシステムにおいて、
系統側電源1から供給される交流を変換して得られる第1の直流または前記直流電力供給システム2,4,6から供給される第2の直流を直流電力機器3bに供給する第1供給制御手段(コントローラ)22aと、
前記第1供給制御手段22aに前記第2の直流を前記第1の直流より優先的に前記直流電力機器3bに供給させる第一の運転モードを設定する設定手段7b〜7c,34と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記第1供給制御手段22aに前記第2の直流を前記第1の直流より優先的に前記直流電力機器3bに供給させる第一の運転モードを設定することにより、前記第2の直流を前記直流電力機器3bに優先的に供給させるため、直流電力供給システム(自家用発電装置、自家用蓄電装置等)2,4,6から受電した直流電力を優先的に有効利用できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば、図2に示すように、
請求項1に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記直流電力機器3bの使用電力を監視し、前記直流電力機器3bが使用されていると判断した場合、前記第1供給制御手段22aに前記第2の直流を優先的に供給させる監視制御手段30
を更に備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、監視制御手段30により前記直流電力機器3bの使用電力を監視することにより、前記直流電力機器3bが使用されていると判断した場合、前記直流電力機器3bに前記第2の直流を優先的に供給させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば、図1、図2に示すように、
請求項1または2に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記設定手段7b〜7c,34により、前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を建物内で使用する交流に変換する割合が変更可能に設定されることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を建物内で使用する交流に変換する割合が変更可能に設定されることにより、例えば、直流電力機器3bが使用されている場合であっても、第2の直流を交流に変換して使用する割合を設定することで、ユーザの要望(設定された運転モード)に応じて生じた過不足分の電力について交流から直流または直流から交流へ変換して利用することが最小限に抑えられるため、エネルギー変換ロスを最小限に抑えることができる。その結果として、ユーザの要望に応じて建物用エネルギーシステムにおけるエネルギーの利用効率が向上する。例えば、ユーザが系統側電力の使用を抑えたいとき、または、ユーザの要望が売電を優先させたいときには交流への変換割合を高く設定し、ユーザの要望が自動車4、蓄電装置6による蓄電を優先したいときには交流への変換割合を低く設定することが考えられる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項2または3に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記系統側電源1から供給される第1の交流または前記直流電力供給システム2,4,6から供給される第2の直流を変換して得られる第2の交流を交流電力機器5に供給する第2供給制御手段23
を更に備え、
前記監視制御手段30は、前記自家用発電装置2の発電電力および前記自家用蓄電装置4,6の蓄電電力を更に監視し、前記発電電力と前記蓄電電力の和が前記直流電力機器3bの使用電力を超えていると判断した場合、前記第2の交流を前記交流電力機器5に供給することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記監視制御手段30が前記自家用発電装置2の発電電力および前記自家用蓄電装置4,6の蓄電電力を更に監視し、前記発電電力と前記蓄電電力の和が前記直流電力機器3bの使用電力を超えている場合、前記第2の交流を前記交流電力機器5に供給することにより、系統側電源1から供給される交流の使用を減少することができるため、余剰分の第2の直流を有効利用できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば、図1、図2に示すように、
請求項4に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
蓄熱装置3aを更に備え、
前記監視制御手段30は、前記交流電力機器5の使用電力を更に監視し、前記発電電力が前記直流電力機器3bの使用電力および前記交流電力機器5の使用電力の和を超えていると判断した場合、前記自家用発電装置2から余剰分の直流電力を前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに供給することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記監視制御手段30は、前記交流電力機器5の使用電力を更に監視し、前記発電電力が前記直流電力機器3bの使用電力および前記交流電力機器5の使用電力の和を超えていると判断した場合、前記自家用発電装置2から余剰分の直流電力を前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに供給することにより、蓄電または蓄熱できるため、余剰分の直流電力を有効利用できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、例えば、図1、図2に示すように、
請求項5に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記監視制御手段30は、前記自家用蓄電装置6の蓄電電力が所定値以上であると判断した場合、前記自家用発電装置2から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記監視制御手段30は、前記自家用蓄電装置6の蓄電電力が所定値以上であると判断した場合、前記自家用発電装置2から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換することにより、系統側に売電できるため、余剰分の直流電力を有効利用できる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項1から6のいずれか一項に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記設定手段により、前記系統側電源1の時間帯毎の電力料金と前記自家用発電装置2の売電価格を予め登録し、売電価格が電力料金より高い時間帯に前記自家用発電装置から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電する第二の運転モードが設定可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、売電価格が電力料金より高い時間帯に前記自家用発電装置2から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電する第二の運転モードが設定可能であることにより、有利な時間帯に売電できるため、経済性を優先させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項7に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記第二の運転モードにおいて、
前記監視制御手段30は、前記設定手段7b〜7c,34により設定された前記系統側電源の電力料金が売電価格より安い時間帯に前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに前記系統側電源1から電力を供給することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、前記設定手段7b〜7c,34により設定された前記系統側電源1の電力料金が売電価格より安い時間帯に前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに前記系統側電源1から電力を供給することにより、売電する一方で、電力料金が売電価格より安い時間帯に蓄電または蓄熱したエネルギーを売電時に使用可能となるため、経済性を優先させることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項8に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記第二の運転モードにおいて、
前記設定手段7b〜7c,34により、前記系統側電源1の電力料金が安い時間帯を手動で設定可能にすることを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、前記系統側電源1の電力料金が安い時間帯を手動で設定可能にすることにより、前記系統側電源1の電力料金の変更に対応することができるため、最も電力料金が安い時間帯を正確に設定できる。また、これにより、前記設定された時間帯に蓄電または蓄熱したエネルギーを電力料金が高い時間に使用することが可能になる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項5から9のいずれか一項に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
外部ネットワークと通信可能な通信手段31を更に備え、
前記設定手段7b〜7c,34または前記通信手段31を介して受信した制御信号により、前記蓄電装置6への充電量または前記蓄熱装置3aの蓄熱量を常に一定値以上に保つことを優先する第三の運転モードを設定可能であることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、前記設定手段7b〜7c,34または前記通信手段31を介して受信した制御信号により、前記蓄電装置6への充電量または前記蓄熱装置3aの蓄熱量を常に一定値以上に保つことを優先する第三の運転モードを設定可能であることにより、常に一定値以上のエネルギーを蓄えることが可能となるため、外出時においても停電時や災害時に備えることができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、例えば、図1−3に示すように、
請求項10に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記自家用発電装置2は太陽光発電装置、風力発電または燃料電池であり、前記自家用蓄電装置4,6は、蓄電装置6、PHV車両4またはEV車両4であり、
前記監視制御手段30は、前記第三の運転モードにおいて、太陽光発電装置または風力発電を前記自家用蓄電装置4,6の充電または前記蓄熱装置3aの蓄熱に優先的に使用することを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、前記監視制御手段30は、前記第三の運転モードにおいて、太陽光発電装置または風力発電を前記自家用蓄電装置4,6の充電または前記蓄熱装置3aの蓄熱に優先的に使用することにより、一定値以上のエネルギーを早期に蓄えることが可能となる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、例えば、図3に示すように、
請求項10または11に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記設定手段34により、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードを選択的に設定可能であることを特徴とする。
【0030】
請求項12に記載の発明によれば、前記設定手段34は、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードを選択的に設定可能であることにより、ユーザの要望に応じて、直流電力供給システム2,4,6から受電した直流電力の使用用途を決めることができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、例えば、3図に示すように、
請求項12に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記監視制御手段30は、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードから選択された運転モードに応じて前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を建物内で使用する交流に変換する割合を変更することを特徴とする。
【0032】
請求項13に記載の発明によれば、前記監視制御手段30が前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードから選択された運転モードに応じて前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を建物内で使用する交流に変換する割合を変更することにより、ユーザの要望に応じた変換割合を設定できるため、ユーザの要望に応じて直流電力供給システム2,4,6から受電した直流電力を有効利用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、直流電力供給システムから受電した直流電力を優先的に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る住宅用エネルギーシステムの機能ブロック図の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る住宅用エネルギーシステムの表示装置に係る機能ブロック図の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る住宅用エネルギーシステムにかかるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明に係る建物の望ましい一例として、住宅について説明するが、これに限られるものではない。
【0036】
<実施の形態>
(住宅用エネルギーシステム)
図1において、本実施の形態における住宅用エネルギーシステムは、主として、表示装置7と配電盤10とから構成される。そして、この住宅用エネルギーシステムは、(1)外部の系統電力を供給する系統側電源1と、(2)住宅側に設置された直流電力を発電する太陽光発電装置、風力発電、燃料電池等の自家発電装置2と、直流電力を充放電可能な自動車(プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)等の電気エネルギーで走行する自動車(走行体))4、蓄電装置6とのうち少なくとも一つを有する直流電力供給システムとに、配電盤10を介して、接続可能である。住宅において使用される直流電力機器3b、交流電力機器5がコンセントを介して、本住宅用エネルギーシステムに接続可能である。なお、本実施の形態において、自家発電装置2が太陽光発電装置である場合を例に説明する。しかし、風力発電、燃料電池等の自家発電装置を単独で、または、太陽光発電装置と併用して使用することも可能である。
【0037】
(配電盤)
配電盤10には、図1に示すように、系統側電源1からの系統電力を供給する配線L1と、太陽光発電装置2からの発電電力を供給する配線L2と、蓄電装置6からの蓄電電力を供給する配線L3とが設けられている。
【0038】
配線L1は交流電力を供給する配線であり、この配線L1から配線L1aが分岐して、前記蓄電装置6に接続され、この蓄電装置6に交流電力を供給するようになっている。蓄電装置6では、電力変換機6bによって交流電力が直流電力に変換されて蓄電池6aに蓄電されるようになっている。蓄電の際は、蓄電池6aおよび電力変換機6bが充放電コントローラ6cによって適宜制御される。また、蓄電装置6には、電力量計6dが内蔵されており、この電力量計6dで検出された蓄電電力量が表示装置7の表示画面に表示されるようになっている。また、前記電力量計6dでは、蓄電池6aから放電された電力量を検出可能となっており、この放電電力量が表示装置7の表示画面に表示されるようになっている。
【0039】
また、配線L1から配線L1bが分岐し、この配線L1bは電力変換機18を介して充放電コントローラ20に接続されている。電力変換機18は、交流電力を直流電力に変換するコンバータである。
【0040】
充放電コントローラ20は、直流電力を走行体4の蓄電池に供給して充電または直流電力を走行体4の蓄電池から放電する際の制御を行うもので、前記表示装置7に接続され、この表示装置7から操作できるようになっている。例えば、表示装置7の操作画面上で操作・設定を行うことによって、充放電コントローラ20に充放電指示を行えるようになっている。また、設定された運転モードに従って、充電開始時刻、充電完了時刻、利用する電力の優先順位、または放電などの条件を設定するようになっている。
【0041】
また、配線L1から配線L1cが分岐し、この配線L1cは電力変換機21を介してコントローラ22aに接続されている。電力変換機21は、交流電力を直流電力に変換するコンバータである。コントローラ22,22aは、直流電力を蓄熱装置3a,直流電力機器3bに供給する際の制御を行うもので、前記表示装置7に接続され、この表示装置7から操作できるようになっている。例えば、表示装置7の操作画面上で操作・設定を行うことまたは設定された運転モードによって、コントローラ22,22aに電力供給指示を行えるようになっている。
【0042】
配線L2は直流電力を供給する配線であり、この配線L2から配線L2aが分岐して、前記蓄電装置6に接続され、この蓄電装置6に直流電力を供給するようになっている。蓄電装置6では、直流電力が蓄電池6aに蓄電されるようになっており、蓄電の際は、蓄電池6aおよび電力変換機6bが充放電コントローラ6cによって適宜制御される。
【0043】
また、配線L2から配線L2bが分岐し、この配線L2bは充放電コントローラ20に接続されている。また、配線L2から配線L2cが分岐し、この配線L2cはコントローラ22aに接続されている。配線L3は直流電力を供給する配線であり、配線L3から配線L3bが分岐し、この配線L3bは充放電コントローラ20に接続されている。また、配線L3から配線L3cが分岐し、この配線L3cはコントローラ22aに接続されている。
【0044】
前記配線L1はコントローラ23に直接接続され、配線L2、L3は電力変換機24を介してコントローラ23にそれぞれ接続されている。
【0045】
電力変換機24は、直流電力を交流電力に変換するインバータである。コントローラ23は配線L4に接続されている。この配線L4は配電盤10から電気機器(家庭内負荷)5に、交流電力を供給する配線であり、直流電力機器5に第3電力量検出手段17を介して接続されている。
【0046】
また、前記コントローラ23は、配線L1によって供給される交流電力、配線L2によって供給された直流電力を電力変換機24で変換した交流電力、配線L3によって供給された直流電力を電力変換機24で変換した交流電力を、配線L4に供給する際の制御を行うもので、前記表示装置7に接続され、この表示装置7から操作できるようになっている。例えば、表示装置7の操作画面上で操作・設定を行うことまたは設定された運転モードによって、コントローラ23に電力供給指示を行えるようになっている。電力供給指示を行う場合、表示装置7の画面上にて、運転モード、供給開始時刻、供給完了時刻、利用する電力の優先順位などの条件を設定するようになっている。
【0047】
(表示装置)
前記表示装置7は、図2に示すように、監視制御手段30を備えている。この監視制御手段30は、家庭内負荷(蓄熱装置3a、直流電力機器5)の消費電力量を、第3電力量検出手段15,17によってそれぞれ検出された消費電力量に基づいて、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに監視し、表示部7aに表示させるとともに、前記走行体4の充電による消費電力量を、第4電力量検出手段16によってそれぞれ検出された消費電力量に基づいて、監視し、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに表示部7aに表示させるようになっている。また、監視制御手段30は、第1電力量検出手段によって検出された消費電力量に基づいて系統電力全体の消費電力量、第2電力量検出手段によって検出された消費電力量に基づいて発電電力全体の消費電力量、蓄電装置6に内蔵された電力量計6dによって検出された消費電力量に基づいて蓄電電力全体の消費電力量を監視し、それぞれ表示部7aに表示するようになっている。
【0048】
また、監視制御手段30は、家庭内負荷(蓄熱装置3a、直流電力機器5)による電力量の消費に加えて、蓄電装置6に、系統電力や発電電力で充電される場合、系統電力や発電電力がどの程度利用(充電)されたかを、蓄電装置6に設けられている電力量計6dにより検出する。そして、この検出した電力量が表示部7aに表示される。同様に、監視制御手段30は、走行体4の充電による電力量の消費に加えて、蓄電装置6に、系統電力や発電電力が充電される場合、系統電力や発電電力がどの程度利用(充電)されたかを、蓄電装置6に設けられている電力量計6dにより検出する。そして、この検出した電力量が表示部7aに表示される。
【0049】
系統側電源1は電力会社からの交流電力を供給するもので、配電盤10に設けられた第1電力量検出手段11に接続されている。この第1電力量検出手段11によって、外部の系統電力の消費電力量を検出可能となっている。この第1電力量検出手段11は表示装置7に接続されおり、この表示装置7の表示画面に第1電力量検出手段11によって検出された系統電力の消費電力量が表示可能である。
【0050】
太陽光発電装置2は、太陽光のエネルギーを直接的に直流電力に変換する自家発電装置であり、配電盤10に設けられた第2電力量検出手段12に接続されている。この第2電力量検出手段12によって、太陽光発電装置2による発電電力の消費電力量を検出可能となっている。この第2電力量検出手段12は表示装置7に接続されおり、この表示装置7の表示画面に第2電力量検出手段12によって検出された発電電力の消費電力量が表示可能である。また、太陽光発電装置2と第2電力量検出手段12との間には、売電コントローラ13が介在しており、太陽光発電装置2は売電コントローラ13を介して第2電力量検出手段12に接続されている。
【0051】
本実施の形態において、のユーザの要望に応じて、第一の運転モード(環境に配慮したエコロジーモード)、第二の運転モード(経済性を優先したエコノミーモード)、第三の運転モードが表示装置7のボタンを使用して選択可能に設定できる。
【0052】
(第一の運転モード)
ここで、ユーザは、表示装置7の上下ボタン7b及び決定ボタン7cで運転モード設定画面を表示装置7の表示部に表示させることができる(ステップS1)。次に、ユーザが、上下ボタン7bで第一の運転モードを選択し、決定ボタン7cを押下することで、設定手段34により第一の運転モードに設定することができる(ステップS2)。第一の運転モードは、系統側電源1から供給される交流を電力変換機18,21で変換して得られる第1の直流または前記直流電力供給システム2,4,6から供給される第2の直流を直流電力機器に供給するコントローラ(本発明の第1供給制御手段に相当)22aと、前記コントローラ22aに前記第2の直流を前記第1の直流より優先的に前記直流電力機器に供給させるエコロジーモードである。
【0053】
本実施の形態によれば、前記コントローラ22aに前記第2の直流を前記第1の直流より優先的に前記直流電力機器3bに供給させる第一の運転モードを設定することにより、前記第2の直流を前記直流電力機器3bに優先的に供給させるため、直流電力供給システム(自家用発電装置、自家用蓄電装置等)2,4,6から受電した直流電力を優先的に有効利用できる。結果として、系統側電源1から供給される交流を電力変換機18,21で変換して得られる第1の直流を使用する場合に比べて、エネルギー変換ロスが生じない。
【0054】
第一の運転モードが設定されると、例えば、監視制御手段30は、第3電力量検出器15の使用電力量を監視することにより、前記直流電力機器3bの使用電力を監視し、前記直流電力機器3bが使用されていると判断した場合(ステップS3)、前記コントローラ22aを制御し前記第2の直流を優先的に前記直流電力機器3bへ供給させる(ステップS4)。蓄熱装置3aについては、監視制御手段30は、電力料金が安い深夜電力で蓄熱されるように、コントローラ22b等を制御する。しかし、ユーザの設定に従って、蓄熱量が所定値以下になった際に、監視制御手段30が、コントローラ22bを制御して、前記第2の直流を優先的に前記蓄熱装置3aへ供給させるようにしてもよい。走行体4についても蓄熱装置3aと同様に、ユーザの設定に従って、蓄電電力量が所定値以下になった際に、監視制御手段30が、充放電コントローラ20を制御して、前記第2の直流を優先的に走行体4へ供給させるようにしてもよい。
【0055】
本実施の形態によれば、監視制御手段30により前記直流電力機器3b等の使用電力を監視することにより、前記直流電力機器3b等が使用されていると判断した場合、前記直流電力機器3b等に前記第2の直流を優先的に供給させることができる。ここで、太陽光発電装置(自家用発電装置)2からの第2の直流を優先的に供給される直流電力機器として、走行体4、蓄熱装置6を概念的に含んでいる。
【0056】
ここで、蓄熱装置(家庭内負荷)3としては、例えば、ヒートポンプ技術を利用して、空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機が使用されており、この蓄熱装置3aは配電盤10に設けられた第3電力量検出手段15にコントローラ22bを介して接続されている。コントローラ22bは、例えば、深夜時間において、蓄熱装置3aへ電力供給するよう制御する。また、第3電力量検出手段15は表示装置7に接続されおり、この表示装置7の表示画面に第3電力量検出手段15によって検出された蓄熱装置3aの消費電力量が表示される。なお、蓄熱装置3aは、直流電力によって、ヒートポンプを作動させるモータが駆動する。
【0057】
また、走行体4は上述したように、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)等の電気エネルギーで走行するものであり、充電用の図示しない蓄電池(バッテリー)を備えている。なお、走行体4は、4輪の自動車に限らず、2輪のオートバイやスクータであってもよい。本実施例においては、走行体4は、直流電力を使用する直流電力機器3bに相当するため、走行体4が充電可能な状態であることを第4電力量検出手段により検出した場合に、監視制御手段30は、充放電コントローラ20を制御して、前記第2の直流を電力変換機18から供給される第1の直流より優先的に前記走行体4に供給させる。
【0058】
なお、走行体4の蓄電池には、充電ケーブル4aおよび放電ケーブル4bが着脱可能に接続されるようになっており、この充電ケーブル4aが第4電力量検出手段16に接続されている。この第4電力量検出手段16は表示装置7に接続されおり、この表示装置7の表示画面に第4電力量検出手段16によって検出された走行体4の充電による消費電力量が表示可能である。
【0059】
前記第4電力量検出手段16は、走行体4の充電による消費電力量を、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに検出可能となっている。すなわち、系統電力を供給する配線L1、発電電力を供給する配線L2、蓄電電力を供給する配線L3がそれぞれ充放電コントローラ20に接続されているので、この充放電コントローラ20によって、走行体4に供給する電力を適宜制御することによって、第4電力量検出手段16によって、走行体4の充電による消費電力量を、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに検出できるようになっている。
【0060】
ここで、ユーザが操作するボタン7b〜7cにより設定される運転モードに従って,前記設定手段34により、前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を住宅内で使用する交流に変換する割合が変更可能に設定される。
【0061】
例えば、直流電力機器3bが使用されている場合であっても、第2の直流を交流に変換して使用する割合をユーザの要望(設定された運転モード)に応じて設定することで生じた過不足分の電力について交流から直流または直流から交流へ変換して利用することが最小限に抑えられるため、エネルギー変換ロスを最小限に抑えることができる。具体例として、ユーザが直流電力機器の使用を優先させたいとき(第一の運転モード)、または、ユーザが蓄熱装置3aへの蓄熱、走行体4、蓄電装置6による蓄電を優先したいとき(第三の運転モード)には交流への変換割合を低く設定し、ユーザが売電を優先させたいとき(第二の運転モード)には交流への変換割合を高く設定する。
【0062】
本実施の形態によれば、前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を住宅内で使用する交流に変換する割合が変更可能に設定されることにより、ユーザの要望に応じて住宅用エネルギーシステムにおけるエネルギーの利用効率が向上する。
【0063】
図1に示すように、住宅用エネルギーシステムは、本前記系統側電源1から供給される第1の交流または前記直流電力供給システム2,4,6から供給される第2の直流を電力変換機24により変換して得られる第2の交流を交流電力機器5に供給するコントローラ(本発明の第2供給制御手段に相当)23を更に備える。
【0064】
前記監視制御手段30は、前記自家用発電装置2の発電電力および前記自家用蓄電装置4,6の蓄電電力を更に監視し、前記発電電力と前記蓄電電力の和が前記直流電力機器3bの使用電力を超え、かつ、第3電力量検出手段17により前記交流電力機器5が使用されていると判断した場合(ステップS5のYES)、前記第2の交流を前記交流電力機器5に供給する(ステップS6)。
【0065】
交流電力機器5は、住宅内に備えられた冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ、照明等の家電である。この第3電力量検出手段17は表示装置7に接続されおり、この表示装置7の表示画面に第3電力量検出手段17によって検出された直流電力機器5の消費電力量が表示可能である。なお、本実施の形態では、第3電力量検出手段17は配電盤10に設けられておらず、直流電力機器5ごとに接続されたうえで、配電盤10に接続されているが、配電盤10に設けてもよい。
【0066】
前記第3電力量検出手段17は、電気機器(家庭内負荷)5の消費電力量を、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに検出可能となっている。すなわち、系統電力を供給する配線L1、発電電力を供給する配線L2、蓄電電力を供給する配線L3がそれぞれコントローラ23に接続されているので、このコントローラ23によって、配線L4に供給する電力を適宜制御することによって、第3電力量検出手段17によって、電気機器(家庭内負荷)5の消費電力量を、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに検出できるようになっている。
前記第3電力量検出手段15は、前記第3電力量検出手段17と同様に、蓄熱装置(家庭内負荷)3の消費電力量を、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに検出可能となっている。すなわち、系統電力を供給する配線L1、発電電力を供給する配線L2、蓄電電力を供給する配線L3がそれぞれコントローラ22a、22bに接続されているので、このコントローラ22a、22bによって、蓄熱装置3aに供給する電力を適宜制御することによって、第3電力量検出手段15によって、蓄熱装置(家庭内負荷)3aの消費電力量を、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに検出できるようになっている。
【0067】
本実施の形態によれば、前記監視制御手段30が前記自家用発電装置2の発電電力および前記自家用蓄電装置4,6の蓄電電力を更に監視し、前記発電電力と前記蓄電電力の和が前記直流電力機器3bの使用電力を超え、かつ、第3電力量検出手段17により前記交流電力機器5が使用されている場合、前記第2の交流を前記交流電力機器5に供給することにより、系統側電源1から供給される交流の使用を減少することができるため、余剰分の第2の直流を有効利用できる。
【0068】
更に、余剰電力がある場合(ステップS7のYES)、前記監視制御手段30は、前記交流電力機器5の使用電力を更に監視し、前記発電電力が前記直流電力機器3bの使用電力および前記交流電力機器5の使用電力の和を超えていると判断した場合、前記自家用発電装置2から余剰分の直流電力を前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに供給する(ステップS8)。
【0069】
自家用蓄電装置6は、太陽光発電装置2によって発電された余剰の発電電力の他に、割安な夜間の系統電力を蓄電し、かつ、必要に応じて放電可能な装置であり、リチウムイオン電池等で構成された蓄電池6aと、電力変換機6bと、充放電コントローラ6cとを備えている。電力変換機6bは、交流の系統電力を直流電力に変換するものであり、充放電コントローラ6cによって制御されている。そして、この充放電コントローラ6cは、電力変換機6bによって直流電力に変換された系統電力を蓄電池6aに蓄電したり、太陽光発電装置2によって発電された直流の発電電力を蓄電池6aに蓄電したり、また、蓄電池6aに蓄電されている電力を必要に応じて放電するように、蓄電池6aの充放電を制御するようになっている。そして、放電された電力は、走行体4、蓄熱装置3a、交流電力機器5等に供給されるように構成されている。
【0070】
本実施の形態によれば、前記監視制御手段30は、前記交流電力機器5の使用電力を更に監視し、前記発電電力が前記直流電力機器3bの使用電力および前記交流電力機器5の使用電力の和を超えていると判断した場合、前記自家用発電装置2から余剰分の直流電力を前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに供給することにより、蓄電または蓄熱できるため、余剰分の直流電力を有効利用できる。
【0071】
次に、前記監視制御手段30は、前記自家用蓄電装置6の蓄電電力が所定値以上であると判断した場合(ステップS9のYES)、前記自家用発電装置2から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電する(ステップS10)。そして、運転モードが変更されるまで、ステップS1からステップ10までの各工程が繰り返し実行される(ステップS11)。
【0072】
本実施の形態によれば、前記監視制御手段30は、前記自家用蓄電装置6の蓄電電力が所定値以上であると判断した場合、前記自家用発電装置2から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換することにより、系統側に売電できるため、余剰分の直流電力を有効利用できる。
【0073】
(第二の運転モード)
次に、ユーザは、表示装置7の上下ボタン7b及び決定ボタン7で運転モード設定画面を表示装置7の表示部に表示させることができる(ステップS1)。ユーザが、上下ボタン7bで第二の運転モードを選択し、決定ボタン7cを押下することで、設定手段34により第二の運転モードに設定することができる(ステップS2)。第二の運転モードは、前記設定手段34により、前記系統側電源1の時間帯毎の電力料金と前記自家用発電装置2の売電価格を予め記憶手段35に登録し、売電価格が電力料金より高い時間帯に前記自家用発電装置から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電するエコノミーモードである。監視制御手段30は、記憶手段35に記憶された電力料金と売電価格を比較し、売電価格が電力料金より高い時間帯になると(ステップS21のYES)、売電コントローラ13を制御し、売電を実行する(ステップS22)。
【0074】
売電コントローラ13は、太陽光発電装置2によって発電された電力を、系統側電源1を介して、電力会社に売電するための機能を有している。この売電コントローラ13は表示装置7に接続されており、この表示装置7から操作により売電を優先するモードの設定が可能となっている。表示装置7の監視制御装置が売電コントローラ13を制御することによって、太陽光発電装置2によって発電された余剰の電力を売電することができる。売電コントローラ13には、電力量計が内蔵されており、この電力量計によって売電した電力量を検出でき、この検出された売電電力量が表示装置7の表示画面に表示されるとともに、表示装置7に設けられた、電気料金演算手段32によって売電料金が算出されたうえで、この売電料金が表示可能である。なお、太陽光発電装置2によって発電されるのは直流電力であるので、電力変換機(インバータ)14によって交流電力に変換されたうえで売電されるようになっている。
【0075】
本実施の形態によれば、売電価格が電力料金より高い時間帯に前記自家用発電装置2から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電する第二の運転モードが設定可能であることにより、有利な時間帯に売電できるため、経済性を優先させることができる。
【0076】
監視制御手段30は、記憶手段35に記憶された電力料金と売電価格を比較し、前記設定手段34により設定された前記系統側電源の電力料金が売電価格より安い時間帯である場合(ステップS21のNO)、前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに前記系統側電源1から電力を供給する(ステップS23)。そして、運転モードが変更されるまで、ステップS21からステップ23までの各工程が繰り返し実行される(ステップS24)。
【0077】
本実施の形態によれば、前記設定手段34により設定された前記系統側電源1の電力料金が売電価格より安い時間帯に前記自家用蓄電装置6または前記蓄熱装置3aに前記系統側電源1から電力を供給することにより、売電する一方で売電価格より安い時間帯に蓄電または蓄熱したエネルギーを使用できるため、経済性を優先させることができる。
【0078】
また、前記第二の運転モードにおいて、ボタン7b〜7cにより、前記系統側電源1の電力料金が安い時間帯を手動で設定可能である。
【0079】
本実施の形態によれば、前記系統側電源1の電力料金が安い時間帯を手動で設定可能にすることにより、前記系統側電源1の電力料金の変更に対応することができるため、最も電力料金が安い時間帯を正確に設定できる。また、これにより、前記設定された時間帯に蓄電または蓄熱したエネルギーを電力料金が高い時間に使用することが可能になる。
【0080】
(第三の運転モード)
ここで、ユーザは、表示装置7の上下ボタン7b及び決定ボタン7cで運転モード設定画面を表示装置7の表示部に表示させることができる(ステップS1)。次に、ユーザが、上下ボタン7bで第三の運転モードを選択し、決定ボタン7cを押下することで、設定手段34により第三の運転モードに設定することができる(ステップS2)。図2に示すように、表示装置7は、外部ネットワークと通信可能な通信手段31を更に備える。そして、第三の運転モードは、前記設定手段7b〜7c,34または前記通信手段31を介して受信した制御信号により設定される、前記蓄電装置6への充電量または前記蓄熱装置3aの蓄熱量を常に一定値以上に保つことを優先する防災モードである。第三の運転モードが設定されると、前記蓄電装置6への充電量または前記蓄熱装置3aの蓄熱量が一定値以上になるまで、電力が供給される(ステップS31)。前記蓄電装置6への充電量または前記蓄熱装置3aの蓄熱量が一定値以上である場合(ステップS32のYES)、監視制御手段は、売電コントローラ13を制御し、余剰電力を系統側に売電する(ステップS33)。そして、運転モードが変更されるまで、ステップS31からステップ33までの各工程が繰り返し実行される(ステップS34)。
【0081】
本実施の形態によれば、前記設定手段7b〜7c,34または前記通信手段31を介して受信した制御信号により、前記蓄電装置6への充電量または前記蓄熱装置3aの蓄熱量を常に一定値以上に保つことを優先する第三の運転モードを設定可能であることにより、常に一定値以上のエネルギーを蓄えることができるため、外出時においても停電時や災害時に備えることができる。
【0082】
また、前記第三の運転モードにおいて、前記自家用発電装置は太陽光発電装置、風力発電または燃料電池であり、前記自家用蓄電装置は、蓄電装置6、PHV車両4またはEV車両4であり、
前記監視制御手段30は、太陽光発電装置または風力発電を前記自家用蓄電装置4,6の充電または前記蓄熱装置3aの蓄熱に優先的に使用する。
【0083】
本実施の形態によれば、前記監視制御手段30は、前記第三の運転モードにおいて、太陽光発電装置または風力発電を前記自家用蓄電装置4,6の充電または前記蓄熱装置3aの蓄熱に優先的に使用することにより、一定値以上のエネルギーを早期に蓄えることが可能となる。
【0084】
また、前記設定手段34により、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードを選択的に設定可能であることを特徴とする。
【0085】
本実施の形態によれば、前記設定手段34は、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードを選択的に設定可能であることにより、ユーザの要望に応じて、直流電力供給システム2,4,6(特に、自家用発電装置2)から受電した直流電力の使用用途を決めることができる。
【0086】
また、前記監視制御手段30は、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードから選択された運転モードに応じて前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を住宅内で使用する交流に変換する割合を変更することを特徴とする。
【0087】
本実施の形態によれば、前記監視制御手段30が前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードから選択された運転モードに応じて前記直流電力供給システム2,4,6から出力される直流を住宅内で使用する交流に変換する割合を変更することにより、ユーザの要望に応じた変換割合を設定できるため、ユーザの要望に応じて直流電力供給システム2,4,6(特に、自家用発電装置2)から受電した直流電力を有効利用できる。
【0088】
上記本発明の実施の形態において、本発明に係る建物の望ましい一例として、住宅について説明した。更に、本発明に係る他の建物の例としては、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、クリーニング、飲食店等の店舗、工場等がある。また、建物内の電気機器も家電に限られるものではなく、店舗、工場等における機械、例えば、作業用機械や製造用機械、または、研究施設や工場等における装置、例えば、実験用装置等の業務用、または、工業用の電気機器でもよく、これらに限られるものではない。本発明に係る実施の形態については、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 系統側電源
2 自家用発電装置
3a 蓄熱装置
3b 直流電力機器
4 自動車
5 交流電力機器
6 蓄電装置
7 表示装置
10 配電盤
22a 供給制御手段
23 供給制御手段
30 監視制御手段
31 通信手段
34 設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から交流電力を供給する系統側電源と、直流電力を発電する自家用発電装置と直流電力を充放電する自家用蓄電装置を有する直流電力供給システムとに接続可能な建物用エネルギーシステムにおいて、
系統側電源から供給される交流を変換して得られる第1の直流または前記直流電力供給システムから供給される第2の直流を直流電力機器に供給する第1供給制御手段と、
前記第1供給制御手段に前記第2の直流を前記第1の直流より優先的に前記直流電力機器に供給させる第一の運転モードを設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記直流電力機器の使用電力を監視し、前記直流電力機器が使用されていると判断した場合、前記第1供給制御手段に前記第2の直流を供給させる監視制御手段
を更に備えることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記設定手段により、前記直流電力供給システムから出力される直流を建物内で使用する交流に変換する割合が変更可能に設定されることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記系統側電源から供給される第1の交流または前記直流電力供給システムから供給される第2の直流を変換して得られる第2の交流を交流電力機器に供給する第2供給制御手段
を更に備え、
前記監視制御手段は、前記自家用発電装置の発電電力および前記自家用蓄電装置の蓄電電力を更に監視し、前記発電電力と前記蓄電電力の和が前記直流電力機器の使用電力を超えていると判断した場合、前記第2の交流を前記交流電力機器に供給することを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
蓄熱装置を更に備え、
前記監視制御手段は、前記交流電力機器の使用電力を更に監視し、前記発電電力が前記直流電力機器の使用電力および前記交流電力機器の使用電力の和を超えていると判断した場合、前記自家用発電装置から余剰分の直流電力を前記自家用蓄電装置または前記蓄熱装置に供給することを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記監視制御手段は、前記自家用蓄電装置の蓄電電力が所定値以上であると判断した場合、前記自家用発電装置から発電された余剰分の直流電力を交流電力に変換し系統側に売電することを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記設定手段により、前記系統側電源の時間帯毎の電力料金と前記自家用発電装置の売電価格を予め登録し、売電価格が電力料金より高い時間帯に前記自家用発電装置から発電された直流電力を交流電力に変換し系統側に売電する第二の運転モードが設定可能であることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記第二の運転モードにおいて、
前記監視制御手段は、前記設定手段により設定された前記系統側電源の電力料金が売電価格より安い時間帯に前記自家用蓄電装置または前記蓄熱装置に前記系統側電源から電力を供給することを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記第二の運転モードにおいて、
前記設定手段により、前記系統側電源の時間帯毎の電力料金を手動で設定可能であることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項10】
請求項5から9のいずれか一項に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
外部ネットワークと通信可能な通信手段を更に備え、
前記設定手段または前記通信手段を介して受信した制御信号により、前記蓄電装置への充電量または前記蓄熱装置の蓄熱量を常に一定値以上に保つことを優先する第三の運転モードを設定可能であることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記自家用発電装置は太陽光発電装置、風力発電または燃料電池であり、前記自家用蓄電装置は、蓄電池、PHV車両またはEV車両であり、
前記監視制御手段は、前記第三の運転モードにおいて、太陽光発電装置または風力発電を前記蓄電装置の充電または前記蓄熱装置の蓄熱に優先的に使用することを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記設定手段により、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードを選択的に設定可能であることを特徴とする建物用エネルギーシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の建物用エネルギーシステムにおいて、
前記監視制御手段は、前記第一の運転モード、前記第二の運転モードまたは前記第三の運転モードから選択された運転モードに応じて前記直流電力供給システムから出力される直流を建物内で使用する交流に変換する割合を変更することを特徴とする建物用エネルギーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−186963(P2012−186963A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49730(P2011−49730)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】