説明

建物

【課題】斜材が、地震時に梁に作用する水平力に十分に抵抗できるようにすることにより、建物の耐震性を効果的に高め、かつ、建物の経済的な施工を可能にすること。
【解決手段】建物は、間隔を置かれた第1柱及び第2柱と、前記第1柱と前記第2柱との間の梁と、前記第2柱から外方へ間隔を置かれた第3柱と、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に取り付けられた第1ガセットプレートであって前記梁と同じ高さに位置する第1ガセットプレートと、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、該第3柱に取り付けられた第2ガセットプレートであって前記第1ガセットプレートと異なる高さに位置する第2ガセットプレートと、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に前記第1ガセットプレートを介して取り付けられ、前記第3柱に前記第2ガセットプレートを介して取り付けられた斜材とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物には、水平方向に間隔を置かれた第1柱及び第2柱と、前記第1柱と前記第2柱との間に設けられた第1梁と、前記第2柱から水平方向における外方へ間隔を置かれた第3柱と、前記第2柱と前記第3柱との間に設けられ、前記第1梁と同じ高さに位置する第2梁と、該第2梁の上に配置された斜材とを有するものがある。前記建物は、前記第2梁の上に前記第2柱に隣接して配置され、これらに取り付けられたガセットプレートを有し、前記斜材の下端部は前記ガセットプレートに結合されている(特許文献1参照)。
【0003】
地震時に前記第1梁に水平力が作用したとき、該水平力は、前記第2梁と前記ガセットプレートとに伝わり、該ガセットプレートから前記斜材に伝わり、該斜材は前記水平力に抵抗する。これにより建物の耐震性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−270319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記水平力の多くは、前記第1梁と同じ高さに位置する前記第2梁に伝わり、前記水平力を前記ガセットプレートに効果的に伝えることができない。このため、前記斜材は前記水平力に十分に抵抗することができず、建物の耐震性を効果的に高めることができない。また、前記第2梁は、前記水平力に抵抗しなければならず、比較的大型であり、前記第2梁の施工に多くの時間と費用とを要する。
【0006】
本発明の目的は、斜材が、地震時に梁に作用する水平力に十分に抵抗できるようにすることにより、建物の耐震性を効果的に高め、かつ、建物の経済的な施工を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、斜材が、間隔を置かれた2つの柱の間の梁と同じ高さに位置するガセットプレートを介して前記2つの柱のうち一方の柱に取り付けられていることにより、地震時に前記梁に作用する水平力が前記ガセットプレートに効果的に伝わるようにし、前記斜材が前記水平力に十分に抵抗できるようにする。これにより、建物の耐震性を効果的に高め、前記一方の柱とこれから間隔を置かれた他の柱との間に他の梁を要することなく建物が地震に耐えられるようにし、前記他の梁の施工に多くの時間と費用とを要することなく建物を経済的に施工できるようにする。
【0008】
本発明に係る建物は、水平方向に間隔を置かれた第1柱及び第2柱と、前記第1柱と前記第2柱との間に設けられた梁と、前記第2柱から水平方向における外方へ間隔を置かれた第3柱と、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に取り付けられた第1ガセットプレートであって前記梁と同じ高さに位置する第1ガセットプレートと、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、該第3柱に取り付けられた第2ガセットプレートであって前記第1ガセットプレートと異なる高さに位置する第2ガセットプレートと、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に前記第1ガセットプレートを介して取り付けられ、前記第3柱に前記第2ガセットプレートを介して取り付けられた斜材とを含む。
【0009】
地震時に前記梁に水平力が作用したとき、該水平力は、前記第1ガセットプレートに伝わり、該第1ガセットプレートから前記斜材に伝わり、該斜材は前記水平力に抵抗する。前記斜材が、前記第1柱と前記第2柱との間の前記梁と同じ高さに位置する前記第1ガセットプレートを介して前記第2柱に取り付けられているため、前記水平力は前記第1ガセットプレートに効果的に伝わり、前記斜材は前記水平力に十分に抵抗することができる。これにより前記建物の耐震性を効果的に高めることができる。また、前記建物の耐震性を高めることにより、前記第2柱と前記第3柱との間に、前記梁と同じ高さに位置する他の梁を要することなく前記建物が地震に耐えられるようにすることができ、前記他の梁の施工に多くの時間と費用とを要することなく前記建物を経済的に施工することができる。
【0010】
前記第2ガセットプレートの位置は、前記第1ガセットプレートの位置より低いものとすることができる。この場合、前記斜材の上端部は前記第1ガセットプレートに結合されており、前記斜材の下端部は前記第2ガセットプレートに結合されている。前記第2ガセットプレートの位置は、前記第1ガセットプレートの位置より高いものとすることができる。この場合、前記斜材の上端部は前記第2ガセットプレートに結合されており、前記斜材の下端部は前記第1ガセットプレートに結合されている。
【0011】
本発明に係る他の建物は、水平方向に間隔を置かれた第1柱及び第2柱と、前記第1柱と前記第2柱との間に設けられた梁と、前記第2柱から水平方向における外方へ間隔を置かれた第3柱と、前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に取り付けられた第1ガセットプレートであって前記梁と同じ高さに位置する第1ガセットプレートと、前記第2柱と前記第3柱との間に上下方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記第3柱に取り付けられた第2ガセットプレート及び第3ガセットプレートであって前記第1ガセットプレートより高い高さに位置する第2ガセットプレート及び前記第1ガセットプレートより低い高さに位置する第3ガセットプレートと、上端部が前記第2ガセットプレートに、下端部が前記第1ガセットプレートにそれぞれ結合された第1斜材と、上端部が前記第1ガセットプレートに、下端部が前記第3ガセットプレートにそれぞれ結合された第2斜材とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、斜材が、間隔を置かれた第1柱と第2柱との間の梁と同じ高さに位置する第1ガセットプレートを介して前記第2柱に取り付けられているため、地震時に前記梁に水平力が作用したとき、該水平力は前記第1ガセットプレートに効果的に伝わり、前記斜材は前記水平力に十分に抵抗することができる。これにより建物の耐震性を効果的に高めることができる。また、前記建物の耐震性を高めることにより、前記第2柱と該第2柱から間隔を置かれた第3柱との間に他の梁を要することなく前記建物が地震に耐えられるようにすることができ、前記他の梁の施工に多くの時間と費用とを要することなく前記建物を経済的に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施例に係る建物の正面図。
【図2】図1の線2における建物の拡大図。
【図3】本発明の第2実施例に係る建物の正面図。
【図4】本発明の第3実施例に係る建物の正面図。
【図5】本発明の第4実施例に係る建物の正面図。
【図6】図5の線6における建物の水平断面図。
【図7】本発明の第5実施例に係る建物の水平断面図。
【図8】図7の線8における建物の縦断面図。
【図9】本発明の第6実施例に係る建物の水平断面図。
【図10】図9の線10における建物の縦断面図。
【図11】本発明の第7実施例に係る建物の正面図。
【図12】本発明の第8実施例に係る建物の正面図。
【図13】本発明の第9実施例に係る建物の正面図。
【図14】本発明の第9実施例に係る建物が地震時に曲げ変形した状態を示す図。
【図15】本発明の第9実施例に係る建物が地震時にせん断変形した状態を示す図。
【図16】本発明の第10実施例に係る建物の正面図。
【図17】本発明の第11実施例に係る建物の正面図。
【図18】図17の線18における建物の水平断面図。
【図19】本発明の第12実施例に係る建物の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、建物10が構築されている。建物10は、水平方向(第1水平方向)に間隔を置かれた第1柱12及び第2柱14と、第1柱12と第2柱14との間に設けられた梁(第1梁)16と、該第1梁から下方へ間隔を置かれた第2梁18と、第2柱14から前記第1水平方向における外方へ間隔を置かれた第3柱20と、第2柱14と第3柱20との間に配置された斜材22とを有する。第1柱12、第2柱14、第3柱20、第1梁16及び第2梁18のそれぞれは鉄筋コンクリートからなる。
【0015】
建物10は、第2柱14と第3柱20との間に配置され、第2柱14に取り付けられた第1ガセットプレート24と、第2柱14と第3柱20との間に配置され、該第3柱に取り付けられた第2ガセットプレート26とを有する。斜材22は第1ガセットプレート24を介して第2柱14に取り付けられており、第2ガセットプレート26を介して第3柱20に取り付けられている。
【0016】
第1ガセットプレート24は第1梁16と同じ高さに位置し、第2ガセットプレート26は第1ガセットプレート24と異なる高さに位置する。図1に示した例では、第2ガセットプレート26の位置は第1ガセットプレート24の位置より低く、斜材22の上端部は第1ガセットプレート24に結合されており、斜材22の下端部は第2ガセットプレート26に結合されている。
【0017】
斜材22はダンパーからなる。前記ダンパーは、内部にモルタルが充填された鋼管22aと、該鋼管の内部を経て伸びる、低降伏点鋼からなる芯材22bとからなる(例えば、商品名「アンボンドブレース」 新日鉄エンジニアリング株式会社製)。芯材22bは、前記モルタルに定着しておらず、軸力を受けて変形し、鋼管22aは芯材22bの座屈を防止する。このため、芯材22bは、圧縮力を受けたとき、座屈することなく変形する。前記ダンパーは、芯材22bが変形することにより、地震時に建物10に作用する振動エネルギーを吸収する。前記ダンパーは、内部に前記モルタルが充填された鋼管22aと、該鋼管の内部を経て伸びる芯材22bとからなる上記の例に代え、オイルダンパーのような他のダンパーでもよい。
【0018】
図2に示すように、第1ガセットプレート24は、該第1ガセットプレートの端部に固定された、複数の貫通穴28を有する端部プレート30を有する。第1ガセットプレート24は、端部プレート30の各貫通穴28を経て伸びる、端部プレート30の一方の側において第2柱14に固定されたボルト32と、端部プレート30の他方の側においてボルト32に螺合されたナット34とにより、第2柱14に取り付けられている。第1ガセットプレート24及び第2ガセットプレート26のそれぞれは鋼製である。
【0019】
第1ガセットプレート24への斜材22の上端部の結合は、それぞれの一端部が第1ガセットプレート24に、他端部が斜材22の上端部にそれぞれ隣接して配置された複数の添接材36と、各添接材の前記一端部及び第1ガセットプレート24を貫く、これらの一方の側に頭部が配置されたボルト38と、これらの他方の側においてボルト38に螺合されたナット(図示せず)と、各添接材36の前記他端部及び斜材22の上端部を貫く、これらの一方の側に頭部が配置されたボルト40と、これらの他方の側においてボルト40に螺合されたナット(図示せず)とによりなされている。これに代え、第1ガセットプレート24への斜材22の上端部の結合は、斜材22の上端部を第1ガセットプレート24に溶接することによりなされていてもよい。
【0020】
地震時に第1梁16に水平力が作用して建物10が振動することにより、該建物に振動エネルギーが作用する。このとき、前記水平力は、第1ガセットプレート24に伝わり、該第1ガセットプレートから斜材22に伝わり、該斜材は第1ガセットプレート24及び第2ガセットプレート26から軸力を受けて変形する。第1梁16が第1柱12から第2柱14に向けて(図1における右向き)の水平力を受けたとき、斜材22は第1ガセットプレート24及び第2ガセットプレート26から圧縮力を受けて変形する。他方、第1梁16が第2柱14から第1柱12に向けて(図1における左向き)の水平力を受けたとき、斜材22は第1ガセットプレート24及び第2ガセットプレート26から引張力を受けて変形する。このようにして斜材22が変形することにより、該斜材の芯材22bは降伏し、これにより前記振動エネルギーは消費され、建物10の振動が小さくなる。
【0021】
第1柱12と第2柱14との間の第1梁16と同じ高さに位置する第1ガセットプレート24を介して斜材22が第2柱14に取り付けられているため、地震時に第1梁16に作用した水平力は第1ガセットプレート24に効果的に伝わり、前記振動エネルギーは斜材22により効果的に低減される。これにより、第2柱14と第3柱20との間に、第1梁16と同じ高さに位置する他の梁(図示せず)を要することなく建物10が地震に耐えられるようにすることができ、前記他の梁の施工に多くの時間と費用とを要することなく建物10を経済的に施工することができる。
【0022】
斜材22は、ダンパーである上記の例に代え、普通鋼からなる、H形鋼、溝形鋼等のような部材でもよいし、内部にモルタルが充填された鋼管と、該鋼管の内部を経て伸びる、普通鋼からなる芯材とからなるものでもよい。この場合、前記水平力が第1ガセットプレート24に効果的に伝わることにより、斜材22は前記水平力に十分に抵抗することができ、建物10の耐震性を効果的に高めることができる。これにより、第2柱14と第3柱20との間に前記他の梁を要することなく建物10が地震に耐えられるようにすることができ、前記他の梁の施工に多くの時間と費用とを要することなく建物10を経済的に施工することができる。
【0023】
第2ガセットプレート26は、図1に示した例では、第2梁18と同じ高さに位置するが、これに代え、第2梁18より低い高さに位置してもよいし、第2梁18より高い高さであって第1ガセットプレート24より低い高さに位置してもよい。第1柱12、第2柱14、第3柱20、第1梁16及び第2梁18のそれぞれは、鉄筋コンクリートからなる図1に示した例に代え、鋼製でもよい。
【0024】
図3に示す例では、第2ガセットプレート26の位置が第1ガセットプレート24の位置より低い図1に示した例に代え、第2ガセットプレート26の位置が第1ガセットプレート24の位置より高い。この場合、斜材22の上端部は第2ガセットプレート26に結合されており、斜材22の下端部は第1ガセットプレート24に結合されている。
【0025】
第2梁18は第1梁16から上方へ間隔を置かれており、第2ガセットプレート26は第2梁18と同じ高さに位置する。第2ガセットプレート26は、第2梁18と同じ高さに位置する図3に示した例に代え、第2梁18より高い高さに位置してもよいし、第2梁18より低い高さであって第1ガセットプレート24より高い高さに位置してもよい。
【0026】
図4に示す例では、建物10は、第1梁16と同じ高さに位置する第1ガセットプレート24と、該第1ガセットプレートより高い高さに位置する第2ガセットプレート26とに加え、第1ガセットプレート24より低い高さに位置する第3ガセットプレート42を有する。建物10は、第1梁16から下方へ間隔を置かれた第3梁44を有し、第3ガセットプレート42は第3梁44と同じ高さに位置する。
【0027】
第3ガセットプレート42は、第2ガセットプレート26から下方へ間隔を置いて第2柱14と第3柱20との間に配置され、第3柱20に取り付けられている。建物10は、上端部が第2ガセットプレート26に、下端部が第1ガセットプレート24にそれぞれ取り付けられた斜材(第1斜材)22に加え、上端部が第1ガセットプレート24に、下端部が第3ガセットプレート42にそれぞれ取り付けられた第2斜材46を有する。
【0028】
建物10は、第3柱20から前記第1水平方向における外方へ間隔を置かれた第4柱48と、第3柱20と第4柱48との間に設けられた第4梁50と、該第4梁から上方へ間隔を置かれた第5梁52と、第4梁50から下方へ間隔を置かれた第6梁54とを有する。第4梁50、第5梁52及び第6梁54はそれぞれ第1梁16、第2梁18及び第3梁44と同じ高さに位置する。
【0029】
図5、6に示す例では、建物10は、それぞれ第2柱14及び第3柱20から前記第1水平方向と直交する第2水平方向に間隔を置かれた第5柱56及び第6柱58と、第2柱14と第5柱56との間に設けられた第7梁60と、第3柱20と第6柱58との間に設けられた第8梁62と、第7梁60と第8梁62との間に設けられた床スラブ64とを有する。第7梁60と第8梁62と第1梁16と第4梁50とは同じ高さに位置する。
【0030】
建物10は、第7梁60と第8梁62との間に第1ガセットプレート24に近接して設けられ、一端部が第7梁60に、他端部が第8梁62にそれぞれ結合された第9梁66を有する。第9梁66は、第7梁60、第8梁62、第1梁16及び第4梁50より断面積及び断面二次モーメントが小さい。第9梁66は床スラブ64を支持する。第7梁60と第8梁62との間に床スラブ64が設けられている図5に示した例に代え、図4に示したように、第7梁60と第8梁62との間に床スラブが設けられていなくてもよい。
【0031】
第9梁66は、第7梁60と第8梁62との間に設けられている図6に示した例に代え、図7、8に示すように、第2柱14と第3柱20との間に設けられていてもよい。この場合、建物10は、第2柱14と第3柱20との間にあって第2柱14に固定された第1部材68と、第2柱14と第3柱20との間にあって第3柱20に固定された第2部材70とを有する。第1部材68は第1ガセットプレート24に近接しており、第9梁66の一端部は第1部材68の上に、第9梁66の他端部は第2部材70の上にそれぞれ配置されている。
【0032】
図7に示した例では、床スラブ64の縁部が第9梁66の上に位置するが、これに代え、図9、10に示すように、床スラブ64が第9梁66の上を経て第2柱14と第3柱20との間へ延びていてもよい。この場合、床スラブ64は、前記第1水平方向における一方の端部に、第1ガセットプレート24を受け入れる凹所72を有し、該凹所に、ロックウールのような耐火材74が充填されている(図10)。
【0033】
図11に示す例では、第2ガセットプレート26が、第1梁16から下方へ間隔を置かれた第2梁18と同じ高さに位置する図1に示した例に代え、建物10は、第2梁18から下方へ間隔を置かれた第10梁76を有し、第2ガセットプレート26は第10梁76と同じ高さに位置する。図12に示す例では、第2ガセットプレート26が、第1梁16から上方へ間隔を置かれた第2梁18と同じ高さに位置する図3に示した例に代え、建物10は、第2梁18から上方へ間隔を置かれた第10梁76を有し、第2ガセットプレート26は第10梁76と同じ高さに位置する。
【0034】
図13に示す例では、建物10の下層部分において、建物10は、第1柱12と第2柱14との間の第1梁16と、該第1梁から上方へ間隔を置かれた第2梁18と、第1梁16から下方へ間隔を置かれた第3梁44と、第1梁16と同じ高さにあって第2柱14に取り付けられた第1ガセットプレート24と、第2梁18と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第2ガセットプレート26と、第3梁44と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第3ガセットプレート42と、上端部が第2ガセットプレート26に、下端部が第1ガセットプレート24にそれぞれ取り付けられた第1斜材22と、上端部が第1ガセットプレート24に、下端部が第3ガセットプレート42にそれぞれ取り付けられた第2斜材46とを有する。
【0035】
また、建物10の上層部分においても、建物10は、第1柱12と第2柱14との間の第1梁16’と、該第1梁から上方へ間隔を置かれた第2梁18’と、第1梁16’から下方へ間隔を置かれた第3梁44’と、第1梁16’と同じ高さにあって第2柱14に取り付けられた第1ガセットプレート24’と、第2梁18’と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第2ガセットプレート26’と、第3梁44’と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第3ガセットプレート42’と、上端部が第2ガセットプレート26’に、下端部が第1ガセットプレート24’にそれぞれ取り付けられた第1斜材22’と、上端部が第1ガセットプレート24’に、下端部が第3ガセットプレート42’にそれぞれ取り付けられた第2斜材46’とを有する。
【0036】
図14に示すように、地震時に建物10が全体的に曲げ変形したとき(図14に示した例では、第1梁16及び第1梁16’のそれぞれが第1柱12から第2柱14に向けて(図14における右向き)の水平力を受けている。)、建物10の下層部分において、第1斜材22が第1ガセットプレート24及び第2ガセットプレート26から引張力を受けて変形し、第2斜材46が第1ガセットプレート24及び第3ガセットプレート42から圧縮力を受けて変形する。また、建物10の上層部分において、第1斜材22’が第1ガセットプレート24’及び第2ガセットプレート26’から引張力を受けて変形し、第2斜材46’が第1ガセットプレート24’及び第3ガセットプレート42’から圧縮力を受けて変形する。これにより、前記振動エネルギーは消費され、建物10の振動が低減される。
【0037】
図15に示すように、地震時に建物10が全体的にせん断変形したとき、建物10の下層部分において、第1斜材22が第1ガセットプレート24及び第2ガセットプレート26から引張力を受けて変形し、第2斜材46が第1ガセットプレート24及び第3ガセットプレート42から圧縮力を受けて変形する。また、建物10の上層部分において、第1斜材22’が第1ガセットプレート24’及び第2ガセットプレート26’から引張力を受けて変形し、第2斜材46’が第1ガセットプレート24’及び第3ガセットプレート42’から圧縮力を受けて変形する。これにより、前記振動エネルギーは消費され、建物10の振動が低減される。
【0038】
図16に示す例では、建物10の上層部分において、建物10は、第1柱12と第2柱14との間の第1梁16’と、該第1梁から下方へ間隔を置かれた第2梁18’と、該第2梁から下方へ間隔を置かれた第10梁76’と、第1梁16’と同じ高さにあって第2柱14に取り付けられた第1ガセットプレート24’と、第10梁76’と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第2ガセットプレート26’と、上端部が第1ガセットプレート24’に、下端部が第2ガセットプレート26’にそれぞれ取り付けられた斜材22’とを有する。
【0039】
建物10の下層部分において、図13に示した例と同様に、建物10は、第1柱12と第2柱14との間の第1梁16と、該第1梁から上方へ間隔を置かれた第2梁18と、第1梁16から下方へ間隔を置かれた第3梁44と、第1梁16と同じ高さにあって第2柱14に取り付けられた第1ガセットプレート24と、第2梁18と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第2ガセットプレート26と、第3梁44と同じ高さにあって第3柱20に取り付けられた第3ガセットプレート42と、上端部が第2ガセットプレート26に、下端部が第1ガセットプレート24にそれぞれ取り付けられた第1斜材22と、上端部が第1ガセットプレート24に、下端部が第3ガセットプレート42にそれぞれ取り付けられた第2斜材46とを有する。
【0040】
図17、18に示す例では、建物10は、第1梁16と同じ高さにあって第2柱14に取り付けられた第1ガセットプレート24と、該第1ガセットプレートと異なる高さにあって第3柱20に取り付けられた第2ガセットプレート26と、第1ガセットプレート24を介して第2柱14に取り付けられ、第2ガセットプレート26を介して第3柱20に取り付けられた斜材22とを有し、第1ガセットプレート24は第2柱14の中心から前記第2水平方向における一方の側(図18における上方)へ隔てられており、第2ガセットプレート26は第3柱20の中心から前記第2水平方向における前記一方の側へ隔てられている。
【0041】
建物10は、第2柱14と第3柱20との間に配置され、第2柱14に取り付けられた第4ガセットプレート78であって第2柱14の中心から前記第2水平方向における他方の側(図18における下方)へ隔てられ、第2ガセットプレート26と同じ高さに位置する第4ガセットプレート78と、第2柱14と第3柱20との間に配置され、該第3柱に取り付けられた第5ガセットプレート80であって第3柱20の中心から前記第2水平方向における前記他方の側へ隔てられ、第1ガセットプレート24と同じ高さに位置する第5ガセットプレート80と、第2柱14と第3柱20との間に配置され、第4ガセットプレート78を介して第2柱14に取り付けられ、第5ガセットプレート80を介して第3柱20に取り付けられた第3斜材82とを有する。
【0042】
図19に示す例では、第2柱14と第3柱20との間に水平材(図示せず)が配置されていない図4に示した例に代え、第2柱14と第3柱20との間に水平材84が配置されている。この場合、建物10は、第2柱14と第3柱20との間に配置され、該第3柱に取り付けられた第6ガセットプレート86であって第1ガセットプレート24と同じ高さに位置する第6ガセットプレート86と、一端部が第1ガセットプレート24に結合され、他端部が第6ガセットプレート86に結合された水平材84とを有する。
【符号の説明】
【0043】
10 建物
12 第1柱
14 第2柱
16 梁(第1梁)
20 第3柱
22 斜材(第1斜材)
24 第1ガセットプレート
26 第2ガセットプレート
42 第3ガセットプレート
46 第2斜材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に間隔を置かれた第1柱及び第2柱と、
前記第1柱と前記第2柱との間に設けられた梁と、
前記第2柱から水平方向における外方へ間隔を置かれた第3柱と、
前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に取り付けられた第1ガセットプレートであって前記梁と同じ高さに位置する第1ガセットプレートと、
前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、該第3柱に取り付けられた第2ガセットプレートであって前記第1ガセットプレートと異なる高さに位置する第2ガセットプレートと、
前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に前記第1ガセットプレートを介して取り付けられ、前記第3柱に前記第2ガセットプレートを介して取り付けられた斜材とを含む、建物。
【請求項2】
前記第2ガセットプレートの位置は前記第1ガセットプレートの位置より低く、
前記斜材の上端部は前記第1ガセットプレートに結合されており、前記斜材の下端部は前記第2ガセットプレートに結合されている、請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記第2ガセットプレートの位置は前記第1ガセットプレートの位置より高く、
前記斜材の上端部は前記第2ガセットプレートに結合されており、前記斜材の下端部は前記第1ガセットプレートに結合されている、請求項1に記載の建物。
【請求項4】
水平方向に間隔を置かれた第1柱及び第2柱と、
前記第1柱と前記第2柱との間に設けられた梁と、
前記第2柱から水平方向における外方へ間隔を置かれた第3柱と、
前記第2柱と前記第3柱との間に配置され、前記第2柱に取り付けられた第1ガセットプレートであって前記梁と同じ高さに位置する第1ガセットプレートと、
前記第2柱と前記第3柱との間に上下方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記第3柱に取り付けられた第2ガセットプレート及び第3ガセットプレートであって前記第1ガセットプレートより高い高さに位置する第2ガセットプレート及び前記第1ガセットプレートより低い高さに位置する第3ガセットプレートと、
上端部が前記第2ガセットプレートに、下端部が前記第1ガセットプレートにそれぞれ結合された第1斜材と、上端部が前記第1ガセットプレートに、下端部が前記第3ガセットプレートにそれぞれ結合された第2斜材とを含む、建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−140751(P2011−140751A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−483(P2010−483)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(596033576)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】