説明

建築板及びコーナー部材の製造方法

【課題】柄や色合いを合わせやすいコーナー部材などの建築部材を容易に形成することができて外壁の外観の低下を防止することができる建築板を提供する。
【解決手段】表面に凹凸柄あるいは印刷柄の少なくとも一方を有する方形状の基板1の一端に雄実2を突設する。該基板1の他の一端に他の基板1に設けた雄実2が嵌合される雌実3を設けて形成される建築板に関する。雄実2の雌実3に嵌め込まれる位置に基板1を切断するための切断位置決めマーク4を設ける。切断位置決めマーク4を基準として建築板Aを切断することによって一対の短冊状板材6、6を形成し、この短冊状板材6、6の側端部同士を接続してコーナー部材Bを形成することによって、コーナー部材Bを形成するために使用した建築板Aと同工程で作製された他の建築板Aとコーナー部材Bとを隣接して施工することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の外壁を形成するための建築板及びこれを用いたコーナー部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、溝部及び平面部を表面に有する原板を切断して一対の短冊状板材を形成し、短冊状板材の側端部同士を貼り合わせることによって、一対の短冊状板材を所定の角度で接続したコーナー部材を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上記の原板はコーナー部材を形成するための専用品であるために、コーナー部材と隣接して施工される建築板と別工程で製造されるものであり、この結果、コーナー部材とこれに隣接する建築板との柄や色合いが合わせにくくなって、外壁の外観が低下するという問題があった。
【0004】
また、建築板を切断して一対の短冊状板材を形成し、この短冊状板材を用いてコーナー部材を形成することも行われているが、特に、表面に凹凸柄を有する建築板においては、切断位置によって切断面の形状が大きく異なる場合があり、施工時、隣接する建築板との間に目地を形成しても違和感があり、上記と同様に外壁の外観が低下するという問題があった。
【特許文献1】特許第2799051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、柄や色合いを合わせやすいコーナー部材などの建築部材を容易に形成することができて外壁の外観の低下を防止することができる建築板及びこれを用いたコーナー部材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る建築板Aは、表面に凹凸柄あるいは印刷柄の少なくとも一方を有する方形状の基板1の一端に雄実2を突設し、該基板1の他の一端に他の基板1に設けた雄実2が嵌合される雌実3を設けて形成される建築板において、雄実2の雌実3に嵌め込まれる位置に基板1を切断するための切断位置決めマーク4を設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項2に係る建築板Aは、請求項1に加えて、基板1の表面に設けた凸部5の基部の延長線L上に切断位置決めマーク4を設けて成ることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項3に係る建築板Aは、請求項1又は2に加えて、切断位置決めマーク4をインクジェット塗装により形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項4に係るコーナー部材Bの製造方法は、切断位置決めマーク4を基準として請求項1乃至3のいずれかに記載の建築板Aを切断することによって一対の短冊状板材6、6を形成し、短冊状板材6、6の側端部同士を接続することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5に係るコーナー部材Bの製造方法は、請求項4に加えて、複数の切断位置決めマーク4、4…の位置で基板1を切断するか、一つの切断位置決めマーク4を基準にして基板1を複数箇所で切断するかのいずれかによって、一対の短冊状板材6、6を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明では、切断位置決めマーク4を基準として建築板Aを切断することによって、コーナー部材や窓枠飾りや化粧ボーダーなどの建築部材を形成することによって、建築部材を形成するために使用した建築板Aと同工程で作製された他の建築板Aと建築部材とを隣接して施工することができ、柄や色合いを合わせやすい建築部材を容易に形成することができて外壁の外観の低下を防止することができるものである。例えば、切断位置決めマーク4を基準として建築板Aを切断することによって、一対の短冊状板材6、6を形成し、この短冊状板材6、6の側端部同士を接続してコーナー部材Bを形成することによって、コーナー部材Bを形成するために使用した建築板Aと同工程で作製された他の建築板Aとコーナー部材Bとを隣接して施工することができ、柄や色合いを合わせやすいコーナー部材Bを容易に形成することができて外壁の外観の低下を防止することができるものである。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明では、凸部5の基部に沿って基板1を切断することができ、切断時に凸部5の表面に欠けなどの破損が生じにくくなって、きれいに基板1を切断することができるものである。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明では、基板1の表面にインクジェット塗装する工程で切断位置決めマーク4も形成することができ、切断位置決めマーク4を形成するための工程を別途設けることなく、基板1の印刷柄の形成と同時に切断位置決めマーク4も形成することができるものである。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明では、コーナー部材Bを形成するために使用した建築板Aと同工程で作製された他の建築板Aとコーナー部材Bとを隣接して施工することができ、柄や色合いを合わせやすいコーナー部材Bを容易に形成することができて外壁の外観の低下を防止することができるものである。
【0015】
本発明の請求項5に係る発明では、建築板Aの表面の凹凸柄あるいは印刷柄や短冊状板材6の幅寸法に応じて所望の切断位置を設定することができ、短冊状板材6を容易に形成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0017】
図1に本発明の建築板Aの一例として外壁材を示す。この建築板Aは、基板1と雄実2と雌実3とを有して形成されている。基板1は平面視で正方形や長方形などの方形状の板材であって、その表面には凹凸柄と印刷柄の両方が形成されている。凹凸柄は複数個の凸部5と複数本の凹溝20とで形成されている。凸部5の周側面は傾斜面に形成されている。凹溝20には、基板1の上下方向のほぼ全長に亘って長く形成されるものと、基板1の水平方向のほぼ全長に亘って長く形成されるものとが複数本ずつ設けられており、隣り合う凸部5、5の間が溝部20として形成されている。印刷柄は後述のインクジェット塗装により凸部5の表面や溝部20の底面などに形成されるものである。尚、凹凸柄と印刷柄はいずれか一方のみが基板1の表面に形成されているだけでもよい。
【0018】
上記の基板1には雄実2が突設されている。この雄実2は基板1の上端に沿って基板1の幅方向(水平方向)のほぼ全長に亘って形成されている。また、雄実2はその厚みが基板1の厚みの略半分であって、基板1の厚み方向の裏面側に偏って形成されている。また、上記の基板1には雌実3が凹設されている。この雌実3は基板1の下端に沿って基板1の幅方向(水平方向)のほぼ全長に亘って形成されている。また、雌実3はその厚みが基板1の厚みの略半分であって、基板1の厚み方向の裏面側に偏って形成されている。従って、雌実3は裏面と下面とに開口する凹部分として形成されるものである。
【0019】
そして、本発明の建築板Aでは、図2に示すように、上記の雄実2の表面に複数個の切断位置決めマーク4、4…が設けられている。切断位置決めマーク4は、基板1の表面に設けた凸部5の基部の延長線L上に形成されている。すなわち、この延長線Lは上下方向に長い凹溝20とほぼ平行な直線であって、凸部5の側面の下部近傍(基部)を通る直線である。従って、一つの切断位置決めマーク4を基準としてそのマークを通る延長線L上を凸部5の基部に沿って切断すると、建築板Aを上下方向に長い凹溝20に沿って切断することができる。また、切断位置決めマーク4は、凹溝20に隣接してその両側に位置する凸部5、5の各側面の下部近傍を通る延長線L上にそれぞれ設けられており、これにより、凹溝20の両方の側端部のいずれに沿っても建築板Aを切断することができて、凹溝部20を残す場合と残さずに切除する場合の両方に容易に対応することができる。
【0020】
また、本発明の建築板Aは、通常の使用では、上下方向及び水平方向に複数枚ずつ並べて胴縁などに取り付けて外壁を形成するが、上下に隣接する建築板A、A同士は雄実2と雌実3との嵌合により接続される。すなわち、下側の建築板Aの雄実2を上側の建築板Aの雌実3に嵌め込んで接続するものであり、これにより、建築板Aの雌実3の表面側に形成される覆い部21により雄実2の表面が覆われる。そして、この覆い部21で覆われる部分において、雄実2の表面に上記の切断位置決めマーク4が設けられており、建築板4の施工後に切断位置決めマーク4が見えないようにして外壁の外観の低下を防止することができる。尚、雄実2の表面はその全体が覆い部21で覆われる場合もあるが、基板1の上端と覆い部21の下端との間に水平方向に長い凹溝20の幅寸法と同等の隙間を設けることがあり、この場合、基板1の上端と覆い部21の下端との隙間から雄実2の表面が見えてしまう。従って、基板1の上端から水平方向に長い凹溝20の幅寸法以上の長さを離した位置に、切断位置決めマーク4を設けるのが好ましい。また、水平方向に隣接する建築板A、Aはそれらの側端部を突き合わせて施工される。
【0021】
本発明の建築板Aは、セメントなどの水硬性膠着材を主成分とする窯業系基材(無機質硬化体)で形成することができる。すなわち、水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料等と水とを配合して水硬性材料を調製し、この水硬性材料を成形した後に養生硬化させることにより、表面に凹凸柄を有する基板1と雄実2と雌実3とを形成し、さらにこの基板1の表面にインクジェット塗装により印刷柄を形成することによって、本発明の建築板Aを作製することができる。
【0022】
水硬性膠着材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等から選ばれたものの一種あるいは複数種を用いることができる。また、無機充填剤としては、フライアッシュ、ミクロシリカ、珪砂等を、繊維質材料としては、パルプ、合成繊維等の無機繊維や、スチールファイバー等の金属繊維を、それぞれ単独であるいは複数種併せて用いることができる。
【0023】
水硬性材料の成形は押出成形や注型成形、抄造成形、プレス成形等の方法により行うことができ、これにより、平板状の基板1を形成すると共にこの基板1にプレス成形により凸部5と凹溝20からなる凹凸柄及び雄実2と雌実3を形成することができる。また、成形の後の養生硬化は、オートクレーブ養生、蒸気養生、常温養生などを行うことができる。
【0024】
養生硬化後の基板1の表面には、溶剤系、水溶性あるいはエマルション系のシーラーにより目止めを行い、養生硬化体の表面への吸い込みのばらつきを調整するようにしてもよい。使用されるシーラーとしては、特に限定されるものではないが、アクリル系やラテックス系のものを使用することができる。このシーラーの上には意匠性や耐久性の向上のために、アクリル系やラテックス系の有機塗膜を形成するようにしてもよい。
【0025】
基板1の表面にインクジェット塗装により印刷柄を形成するにあたっては、図3に示すように、まず、必須ではないが、一般的にはシーラー(図示省略)を塗った後に受理層32を形成する。受理層32は、この上に形成されるインクジェット塗装によるインク層33を定着させるために必要な層であり、水性塗料で形成する。このように水性塗料で受理層32を形成することによって、環境負荷を低減することができるものである。
【0026】
上記水性塗料としては、アクリル系エマルションをベースにしたアクリル樹脂塗料や、アクリルシリコン系エマルションをベースにしたアクリルシリコン樹脂塗料を用いることができる。水性塗料には、体質顔料と吸湿性樹脂のうちの少なくとも一方を配合しておくのが好ましい。これにより、インクの定着性を向上させることができると共に、発色性も向上させることができるものである。ここで、体質顔料としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、多孔質シリカ、珪藻土等を用いることができ、吸湿性樹脂としては、酢酸ビニル、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール等のインキ吸収性ポリマー等を用いることができる。また、水性塗料には、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料を配合することもできる。また、受理層2を水性塗料で形成するにあたっては、基板1の表面に水性塗料を塗布量30〜200g/m・wetで塗布するのが好ましい。尚、水性塗料の塗布は、スプレーガン、ロールコーター、フローコーター、カーテンコーター等を用いて行うことができる。
【0027】
そして、図3に示すように、受理層32の表面に水性インクをインクジェット塗装することによってインク層33を形成する。ここで、インクジェット塗装するためのインクジェット装置としては、例えば、図4に示すようなものを用いることができる。このインクジェット装置は、噴射ノズル7を設けた塗装ノズルヘッド8、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7に水性インクを供給する塗料供給タンク9、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7からの水性インクの噴射を制御する塗装制御システム10などを設けたインクジェット式塗装機11と、基板1を搬送する搬送コンベア12とを備えて形成されるものである。
【0028】
塗装ノズルヘッド8は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の水性インクを噴出する4種類の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kから形成されており、フルカラー印刷による塗装を行うことができるようにしてある。塗料供給タンク9も同様に4種類のものからなるものであり、イエローの水性インクを供給する塗料供給タンク9yは塗装ノズルヘッド8yに、シアンの水性インクを供給する塗料供給タンク9cは塗装ノズルヘッド8cに、マゼンタの水性インクを供給する塗料供給タンク9mは塗装ノズルヘッド8mに、ブラックの水性インクを供給する塗料供給タンク9kは塗装ノズルヘッド8kに、それぞれ接続してある。また、各塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kは基板1の搬送方向に沿って配列してある。
【0029】
塗装制御システム10は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成されるものであり、塗装データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備えて形成してある。塗装データ作成部は、原画をスキャナ等して得た色柄パターンのデータを入力して保存するものであり、塗装制御部は、塗装を行う基板1に応じた色柄パターンのデータを塗装データ作成部から取り出し、この色柄のパターンのデータに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力するものである。また、噴射ノズル制御部は、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの各噴射ノズル7に接続してあり、噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて各噴射ノズル7を制御するものである。各噴射ノズル7は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザー光を照射して制御する方式により噴射を行ったり噴射を停止したりするようになっており、噴射ノズル制御部で各噴射ノズル7を制御することによって、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各水性インクの噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。
【0030】
搬送コンベア12は、インクジェット式塗装機11の下側に配置されるものであり、ベルトコンベアで形成することができる。
【0031】
塗装ノズルヘッド8の下面には図5のように複数(例えば30個)の単体ヘッド16が、塗装ノズルヘッド8の長手方向に一列に配列して取り付けてある。単体ヘッド16は下面形状が矩形に形成してあり、単体ヘッド16の下面に開口して多数の噴射ノズル7が形成してある。噴射ノズル7は所定の一定間隔で単体ヘッド16の長手方向に配列されるものであり、図6の実施の形態では噴射ノズル7は単体ヘッド16に4列設けるようにしてある。このように噴射ノズル7を設けた単体ヘッド16を塗装ノズルヘッド8にその長手方向に複数取り付けることによって、塗装ノズルヘッド8の長手方向に配列されるように多数の噴射ノズル7を塗装ノズルヘッド8に設けることができるものである。ここで、単体ヘッド16はその長手方向を基板1の送り方向に対して所定角度で傾斜させた状態で塗装ノズルヘッド8に取り付けてあり、このように単体ヘッド16を傾斜させることで基板1の送り方向に対して垂直な方向(基板1の幅方向)での隣り合う噴射ノズル7のピッチを小さくして、高密度のdpiで塗装を行なうことができるようにしてある。
【0032】
そして、上記のように形成されるインクジェット装置でインクジェット塗装するにあたっては、まず、受理層32を形成した基板1を搬送コンベア12上に導入する。導入された基板1はそのまま送られてインクジェット式塗装機11の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの下を順に通過する。このように、基板1を搬送コンベア12で送りながら、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kから水性インクを噴射させて塗着させることによって、受理層32の表面にインクジェット塗装によるインク層33を形成し、このインク層33により絵柄や模様などの印刷柄を形成することができるものである。このように塗装された基板1はさらに送られ、次工程に搬出されるものである。
【0033】
そして、本発明の建築板Aでは、切断位置決めマーク4を上記印刷柄を形成するのと同時にインクジェット塗装で形成することができる。切断位置決めマーク4の色はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのいずれでもよく、所望の色の水性インクを噴射する塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの各噴射ノズル7から水性インクを噴射させて、雄実2の表面の所定の位置に塗着させることによって、切断位置決めマーク4を形成することができる。切断位置決めマーク4を形成する際の各噴射ノズル7の制御は上記と同様に噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて行われる。尚、切断位置決めマーク4は印刷柄と同時にインクジェット塗装により形成するだけでなく、印刷柄を形成するためのインクジェット塗装とは別工程のインクジェット塗装で切断位置決めマーク4を形成してもよい。また、凹凸柄や雄実2をプレス成形する際にこれと同時に雄実2の表面に突起や凹部を形成し、この突起や凹部を切断位置決めマーク4としてもよい。
【0034】
図7に本発明の他例を示す。この建築板Aでは上下方向に長い各溝部20の幅方向の中央部に対応する位置に切断位置決めマーク4、4…が設けられている。すなわち、切断位置決めマーク4、4…は、上下方向に長い各溝部20の幅方向の中央部を通る延長線L上において、雄実2の表面に設けられている。従って、隣り合う切断位置決めマーク4、4の間隔Pは一定である。また、切断位置決めマーク4は+字状に形成されている。このように本発明では切断位置決めマーク4の形状は任意である。その他の構成は上記で説明した建築板Aと同様である。
【0035】
上記の各実施の形態では、窯業系基材にインクジェットプリンターを用いて塗装した建築板Aの例を示したが、本発明の建築板Aは窯業系基材に限定されるものではなく、木質系基材、金属系基材、樹脂系基材などを用いてもよい。また、塗装の方法もインクジェットプリンターを用いた方法に限定されるものではなく、フレキソロールやグラビアオフセットロールなどの塗装ロールを用いて塗装するようにしてもよい。このように塗装ロールを用いる場合は、塗装ロールに印刷柄を形成するための柄模様塗装用の版の他に、切断位置決めマーク4を塗装するための版を形成することによって、基板1の表面に印刷柄(柄模様)を塗装すると同時に雄実2に切断位置決めマーク4を塗装することができるものである。また、インクジェット塗装等により形成されるインク層(模様層)33を含む建築板Aの表面の塗膜層の構成も例で示した構成に限定されるものではなく、シーラーや受理層32などの下地塗膜層、有機塗膜層、無機塗膜層、光触媒機能などを有する機能性塗膜層などを目的に応じて選択し組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明のコーナー部材Bは、図8(a)に示すように、上記の建築板Aを切断位置決めマーク4で切断することによって一対の短冊状板材6、6を形成し、これら短冊状板材6、6の側端部同士を接続することによって形成することができる。尚、図8(a)では凸部5及び切断位置決めマーク4の一部が図示省略されている。ここで、一枚の建築板Aから一対の短冊状板材6、6を切り出して形成する場合、二カ所以上の切断位置決めマーク4、4…の位置で建築板Aを切断して複数枚の短冊状板材6、6を形成し、このうちの二枚を一対の短冊状板材6、6として用いることができる。また、一枚の建築板Aから一対の短冊状板材6、6を切り出して形成する場合、一カ所の切断位置決めマーク4を基準とし、この基準の切断位置決めマーク4から測定した所望の位置で建築板Aを切断して複数枚の短冊状板材6、6を形成し、このうちの二枚を一対の短冊状板材6、6として用いることができる。
【0037】
このようにして一対の短冊状板材6、6を形成した後、図8(b)に一点鎖線で示すように、各短冊状板材6、6の一方の側端面を所望の角度(約45°)の傾斜面22となるように切断及び切削加工する。次に、図8(c)に示すように、上記の短冊状板材6、6を架台23の上に載せ、傾斜面22、22同士を合わせて側端部同士を接着などにより接続することによって、図9(a)(b)に示すような、一対の短冊状板材6、6の間に所望の角度(約90°)を有するコーナー部材Bを形成することができる。
【0038】
このようなコーナー部材Bは建物のコーナー部分(出隅)に取り付けて施工されるが、上下に隣接するコーナー部材B、Bは建築板Aと同様に雄実2と雌実3との嵌合により接続することができる。また、コーナー部材Bの側端部とこれに隣接する建築板Aの側端部とは突き合わせにより接続することができる。そして、コーナー部材Bの形成に用いた建築板Aと、施工時にコーナー部材Bと隣接させた他の建築板Aとは、同じ工程で作製することができ、柄や色合いを合わせやすくなって外壁の外観の低下を防止することができるものである。
【0039】
尚、上記では建築板Aを切断してコーナー部材Bを形成するための短冊状板材6を得ているが、これに限らず、建築板Aを切断して得た短冊状板材6を窓枠飾りや化粧ボーダーなどの他の建築部材として形成してもよく、この場合も、上記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の建築板の実施の形態の一例を示し、(a)は一部を省略した正面図、(b)は側面図である。
【図2】同上の一部を示す正面図である。
【図3】同上の一部を示す断面図である。
【図4】本発明の建築板の製造に用いるインクジェット装置の一例を示す概略正面図である。
【図5】本発明の建築板の製造に用いるインクジェット装置の塗装ノズルヘッドの一例を示す概略図である。
【図6】同上の塗装ノズルヘッドに設けたノズル単体ヘッドの一例を示す概略図である。
【図7】同上の建築板の建築板の実施の形態の他例を示す一部の正面図である。
【図8】本発明のコーナー部材の製造を示し、(a)〜(c)は概略図である。
【図9】本発明のコーナー部材を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 基板
2 雄実
3 雌実
4 切断位置決めマーク
5 凸部
6 短冊状板材
A 建築板
B コーナー部材
L 延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸柄あるいは印刷柄の少なくとも一方を有する方形状の基板の一端に雄実を突設し、該基板の他の一端に他の基板に設けた雄実が嵌合される雌実を設けて形成される建築板において、雄実の雌実に嵌め込まれる位置に基板を切断するための切断位置決めマークを設けて成ることを特徴とする建築板。
【請求項2】
基板の表面に設けた凸部の基部の延長線上に切断位置決めマークを設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
切断位置決めマークをインクジェット塗装により形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築板。
【請求項4】
切断位置決めマークを基準として請求項1乃至3のいずれかに記載の建築板を切断することによって一対の短冊状板材を形成し、短冊状板材の側端部同士を接続することを特徴とするコーナー部材の製造方法。
【請求項5】
複数の切断位置決めマークの位置で基板を切断するか、一つの切断位置決めマークを基準にして基板を複数箇所で切断するかのいずれかによって、一対の短冊状板材を形成することを特徴とする請求項4に記載のコーナー部材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−31702(P2008−31702A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205148(P2006−205148)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】