説明

建築用シール材

【課題】設置作業が容易で、長期間使用しても良好なシール性を維持し、基礎部材と土台梁との隙間の変化にも対応できるような、建築用シール材を提供する。
【解決手段】土台梁200の長手方向に延び、基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12が所定間隔で開けられた、硬質部材質からなる平板状の台座部10と、土台梁200の長手方向に延び、土台梁200に向けて台座部10から延びる、硬質部材質からなるシール支持部11により構成される取付基部と1、取付基部1に取付けられ、土台梁200の長手方向に延び、土台梁200に向けてシール支持部11の上端部から延びる、軟質部材質からなるシール部2により構成され、シール部2が湾曲又は折曲して土台梁200に弾接することにより、基礎部材100と土台梁200との間をシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用シール材に関する。より詳しくは、建築物の基礎部材と基礎部材の上方に所定の空間を開けて配置される土台梁との間をシールする建築用シール材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物のコンクリート製の基礎部材と、建築物の床材を支える木製の土台梁との間には、基礎部材から土台梁へと雨水が伝って進入し土台梁が腐食するのを防止するために、所定の空間が開けられている。そしてさらに、この空間を通って建築物の内部に雨水が進入しないように、基礎部材と土台梁の間は建築用シール材によってシールされている。
【0003】
このような建築用シール材として、例えば、図13に示すように、基礎部材100の上面にスポンジ部材400をブチルテープ401により固定し、土台梁200により挟み込むように配置することで、基礎部材100と土台梁200の間をシールするものがある。
また、図14に示すように、土台梁200の長手方向に延びる平板状のゴム製シール材500を基礎部材100に埋設し、ゴム製シール材500の上端部を土台梁200と弾接させることにより、基礎部材100と土台梁200の間をシールするものがある。
さらに、図15に示すように、基礎部材100と土台梁200の間に、土台梁200の長手方向に延びる複数本の突起部601を設けた合成樹脂製土台600を設置する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭60−19602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図13に示すようなスポンジ部材400を用いる方法では、スポンジ部材400を基礎部材100に固定するためにブチルテープ401を使用しているため、長期間の使用によりブチルテープ401の粘着力が低下し、シール性が低下してしまう恐れがある。さらに、スポンジ部材400が吸水し、カビや凍害の原因に繋がる恐れがある。
【0005】
また、図14に示すような平板状のゴム製シール材500を基礎部材100に埋設する方法では、基礎部材100のセメントが乾燥固化する前にゴム製シール材500を基礎部材100の中に埋設する必要があり、時間的な制約から作業性に問題が生じる。さらに、ゴム製シール材500を基礎部材100に埋設する深さによって、ゴム製シール材500の基礎部材100からの立ち上がり寸法が違ってくるため、基礎部材100と土台梁200をシールするための適切な立ち上がり寸法とするためには、埋設作業を慎重に行う必要がある。
【0006】
また、図15に示すような複数本の突起部601を設けた合成樹脂製土台600を設置する方法では、基礎部材100と土台梁200との隙間が、土台梁200の長手方向の位置によって変化した場合に対応できない。
【0007】
そこで、本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、建築物の基礎部材と基礎部材の上方に所定の空間を開けて配置される土台梁との間をシールする場合に、設置作業が容易で、長期間使用しても良好なシール性を維持し、基礎部材と土台梁との隙間の変化にも対応できるような、建築用シール材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の建築用シール材(300)は、建築物の基礎部材(100)と、前記基礎部材(100)の上方に所定の空間を開けて配置される土台梁(200)との間をシールする建築用シール材(300)において、前記土台梁(200)の長手方向に延び、硬質部材質からなる平板状の取付基部(1)と、前記取付基部(1)に取付けられ、前記土台梁(200)の長手方向に延び、前記土台梁(200)に向けて前記取付基部(1)から延びる、軟質部材質からなるシール部(2)により構成され、前記シール部(2)が湾曲又は折曲して前記土台梁(200)に弾接することにより、前記基礎部材(100)と前記土台梁(200)との間をシールすることを特徴とする。
なお、上記における「硬質部材質」とは硬質ゴム、硬質樹脂、又は金属を表し、「軟質部材質」とは軟質なゴム、ゴム様弾性体、吸水率の低いスポンジゴム、又は発泡樹脂を表すものであり、いずれも吸水率の高いスポンジは含まない。以下においても同様である。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、建築物の基礎部材(100)と、前記基礎部材(100)の上方に所定の空間を開けて配置される土台梁(200)との間をシールする建築用シール材(300)において、前記土台梁(200)の長手方向に延び、硬質部材質からなる平板状の台座部(10)と、前記土台梁(200)の長手方向に延び、前記土台梁(200)に向けて前記台座部(10)から延びる、硬質部材質からなるシール支持部(11)により構成される取付基部(1)と、前記取付基部(1)に取付けられ、前記土台梁(200)の長手方向に延び、前記土台梁(200)に向けて前記シール支持部(11)の上端部から延びる、軟質部材質からなるシール部(2)により構成され、前記シール部(2)が湾曲又は折曲して前記土台梁(200)に弾接することにより、前記基礎部材(100)と前記土台梁(200)との間をシールすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記シール支持部(11)は、前記土台梁(200)に向けて前記台座部(10)の幅方向の端部から延びることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記取付基部(1)は、更に、前記基礎部材(100)と接する下面に、前記土台梁(200)の長手方向に延びる少なくとも1本以上の下面リップ部(13)を有し、前記下面リップ部(13)が前記基礎部材(100)に弾接することにより、前記基礎部材(100)との間をシールすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記取付基部(1)は、更に、側面に、前記土台梁(200)の長手方向に延びる側面リップ部(14)を有し、前記側面リップ部(14)が前記基礎部材(100)に弾接することにより、前記基礎部材(100)との間をシールすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記取付基部(1)は、更に、前記基礎部材(100)と接する下面に、前記土台梁(200)の長手方向に延びる少なくとも1本以上の突起部(15)を有し、前記突起部(15)が前記基礎部材(100)に弾接することにより、前記基礎部材(100)との間をシールすることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記取付基部(1)は、更に、前記基礎部材(100)と接する下面に、前記土台梁(200)の長手方向に延びるスポンジ部(16)を有し、前記スポンジ部(16)が前記基礎部材(100)に弾接することにより、前記基礎部材(100)との間をシールすることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一つに記載の発明において、前記硬質部材質からなる平板状の取付基部(1)に、前記基礎部材(100)にねじ止めするためのねじ穴(12)が所定間隔で開けられたことを特徴とする。
【0016】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、建築用シール材は、硬質部材質からなる取付基部と、軟質部材質からなるシール部により構成されているため、軟質部材質からなるシール部が湾曲又は折曲して土台梁に弾接することにより、基礎部材と土台梁との間をシールすることができる。従って、基礎部材と土台梁との隙間が土台梁の長手方向の位置によって変化した場合にも、湾曲又は折曲の程度を変化させることで、良好なシール性を実現することができる。
さらに、建築用シール材には吸水率の高いスポンジ部材を用いないので、長期間の使用により吸水し、カビや凍害の原因に繋がる恐れがない。ここで吸水率の高いスポンジとは、試験方法にもよるが、一般的には吸水率が5%以上のものを示す。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、建築用シール材の取付基部は、硬質部材質からなる平板状の台座部と、土台梁に向けて台座部から台座部の垂直方向に延びる、硬質部材質からなる平板状のシール支持部により構成されているので、建築用シール材の剛性を増大させることができる。
【0019】
すなわち、シール支持部がない場合、シール部は取付基部の台座部から土台梁に向けて延びるため、シール部と土台梁が弾接したときに、軟質部材質であるシール部が台座部と接する付け根部分から湾曲又は折曲してしまう恐れがある。
これに対して、シール支持部を設けた場合には、シール部はシール支持部の上端部から土台梁に向けて延びるため、シール部と土台梁が弾接したときに、軟質部材質であるシール部がシール支持部の上端部と接する部分から湾曲又は折曲することとなり、台座部と接する付け根部分から湾曲又は折曲する場合に比べてシール圧力を増大させることができるのである。
【0020】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、取付基部のシール支持部が土台梁に向けて台座部の幅方向の端部から延びるので、取付基部の断面を略L字形とすることができる。従って、建築用シール材を基礎部材にねじ止めするためのねじ穴を、台座部の長手方向に一列設ければよい。
【0021】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、取付基部が基礎部材と接する下面に土台梁の長手方向に延びる少なくとも1本以上の下面リップ部を有するので、下面リップ部が基礎部材と弾接することにより基礎部材との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、取付基部が側面に土台梁の長手方向に延びる側面リップ部を有するので、側面リップ部が基礎部材と弾接することにより基礎部材との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0023】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、取付基部が基礎部材と接する下面に土台梁の長手方向に延びる少なくとも1本以上の突起部を有するので、突起部が基礎部材と弾接することにより基礎部材との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0024】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、取付基部が基礎部材と接する下面に土台梁の長手方向に延びるスポンジ部を有するので、スポンジ部が基礎部材と弾接することにより基礎部材との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、建築用シール材を構成する硬質部材質からなる平板状の取付基部には、基礎部材にねじ止めするためのねじ穴が所定間隔で設けられているため、基礎部材に固定するには、このねじ穴を通してねじ止めすればよい。
従って、ブチルテープを用いて固定する場合のように、長期間の使用により粘着力が低下し、シール性が低下してしまうことがない。
また、平板状のゴム製シール材を用いた場合のように、セメントが乾燥固化する前にゴム製シール材を基礎部材に埋設する必要がないので、完成後(乾燥固化後)の基礎部材の上に固定すればよく、作業時間の制約がない。
さらに、基礎部材に埋設することがないので、シール材の基礎部材からの立ち上がり寸法を一定にすることができ、作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態1に係る建築用シール材について説明する。
図1は本発明の実施形態1に係る建築用シール材の斜視図であり、図2は図1のA−A断面図、図3は図1に示した建築用シール材を基礎部材と土台梁の間に設置した状態を示す図である。
【0027】
まず、実施形態1に係る建築用シール材300の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、建築用シール材300は、取付基部1とシール部2から構成される。
取付基部1は、土台梁200の長手方向に延びる平板状の台座部10と、土台梁200の長手方向に延び、土台梁200に向けて台座部10の幅方向の端部から台座部10の垂直方向に延びる平板状のシール支持部11からなり、断面L字形に構成されている。
また、台座部10には、建築物の基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12が所定間隔で開けられている。ここで、取付基部1は、硬質部材質である硬質ゴム、硬質樹脂、又は金属からなり、吸水率の高いスポンジからなるものではない。
【0028】
また、シール部2は、土台梁200の長手方向に延びる平板状部材であり、取付基部1のシール支持部11の上端に取付けられ、土台梁200に向けて台座部10の垂直方向に延びている。シール部2は、軟質部材質である軟質なゴム、ゴム様弾性体、吸水率の低いスポンジゴム、又は発泡樹脂からなり、吸水率の高いスポンジからなるものではない。
なお、取付基部1とシール部2は、別々に成形してから接合してもよいし、一体成形してもよい。
【0029】
次に、建築用シール材300を建築物の基礎部材100と土台梁200の間に設置した状態について説明する。
図3に示すように、建築用シール材300は、コンクリート製の基礎部材100の上面に設置され、台座部10に開けられたねじ穴12を通して、ねじ3により基礎部材100に固定される。
また、シール部2は、土台梁200と弾接して湾曲又は折曲することにより、土台梁200との間をシールしている。
【0030】
上記実施形態1に係る建築用シール材300によれば、建築用シール材300の取付基部1を構成する硬質部材質からなる平板状の台座部10には、基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12が所定間隔で設けられているため、建築用シール材300を基礎部材100に固定するには、このねじ穴12を通してねじ止めすればよい。
従って、図13に示す従来例において、スポンジ400をブチルテープ401を用いて固定する場合のように、長期間の使用によりブチルテープ401の粘着力が低下し、シール性が低下してしまうことがない。また、設置作業が天候に左右されず、基礎部材100上での位置決めも容易である。
【0031】
また、図14に示す従来例において、平板状のゴム製シール材500を用いた場合のように、基礎部材100のセメントが乾燥固化する前にゴム製シール材500を基礎部材100に埋設する必要がないので、基礎部材100の完成後(乾燥固化後)に建築用シール材300を固定すればよく、作業時間が制約されない。
さらに、建築用シール材300を基礎部材100に埋設することがないので、建築用シール材300の基礎部材100からの立ち上がり寸法を一定にすることができる。従って、
埋設の深さを気にすることなく、容易に作業することができる。
【0032】
また、建築用シール材300は、硬質部材質からなる取付基部1と、軟質部材質からなるシール部2により構成されているため、軟質部材質からなるシール部2が湾曲又は折曲して土台梁200に弾接することにより、基礎部材100と土台梁200との間をシールすることができる。従って、基礎部材100と土台梁200との隙間が土台梁200の長手方向の位置によって変化した場合にも、軟質部材質からなるシール部2の湾曲又は折曲の程度を変化させることで、良好なシール性を実現することができる。
さらに、取付基部1とシール部2には、ともに吸水率の高いスポンジ部材を用いないので、長期間の使用により吸水し、カビや凍害の原因となることがない。
【0033】
また、建築用シール材300の取付基部1は、基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12が所定間隔で開けられた、硬質部材質からなる平板状の台座部10と、土台梁200に向けて台座部10から台座部10の垂直方向に延びる、硬質部材質からなる平板状のシール支持部11により構成されているので、建築用シール材300の剛性を増大させることができる。
【0034】
すなわち、シール支持部11がない場合、シール部2は取付基部1の台座部10から土台梁200に向けて延びるため、シール部2と土台梁200が弾接したときに、軟質部材質であるシール部2が台座部10と接する付け根部分から湾曲又は折曲してしまう恐れがある。
これに対して、シール支持部11を設けた場合には、シール部2はシール支持部11の上端部から土台梁200に向けて延びるため、シール部2と土台梁200が弾接したときに、軟質部材質であるシール部2がシール支持部11の上端部と接する部分から湾曲又は折曲することとなり、台座部10と接する付け根部分から湾曲又は折曲する場合に比べてシール圧力を増大させることができるのである。
【0035】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施形態2に係る建築用シール材について説明する。
図4は本発明の実施形態2に係る建築用シール材の断面図であり、図5は実施形態2に係る建築用シール材を基礎部材と土台梁の間に設置した状態を示す図である。
まず、実施形態2に係る建築用シール材300の構成について説明する。
実施形態2に係る建築用シール材300は、実施形態1とほぼ同様の構成であるが、図4に示すように、取付基部1の基礎部材100と接する下面に、土台梁200の長手方向に延びる2本の下面リップ部13を有する点が異なる。
【0036】
次に、実施形態2に係る建築用シール材300を建築物の基礎部材100と土台梁200の間に設置した状態について説明する。
実施形態1と同様に、建築用シール材300は、コンクリート製の基礎部材100の上面に設置され、台座部10に開けられたねじ穴12を通して、ねじ3により基礎部材100に固定される。また、シール部2は、土台梁200と弾接して湾曲又は折曲することにより、土台梁200との間をシールしている。
ここで、さらに実施形態2においては、取付基部1の下面に設けられた下面リップ部13が、ねじ3を締め付けることにより、基礎部材100と弾接し、取付基部1の台座部10と基礎部材100との間で折曲している。
【0037】
上記実施形態2に係る建築用シール材300によれば、取付基部1の下面に設けられた下面リップ部13が、基礎部材100と弾接し、取付基部1の台座部10と基礎部材100との間で折曲しているので、台座部10と基礎部材100の間から進入する水を阻止することができ、基礎部材100との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0038】
なお、実施形態2においては下面リップ部13を2本設けたが、これに限らず、少なくとも1本以上の下面リップ部13を設ければ、基礎部材100と弾接させることにより、シール性を向上させることが可能である。
【0039】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施形態3に係る建築用シール材について説明する。
図6は本発明の実施形態3に係る建築用シール材の断面図であり、図7は実施形態3に係る建築用シール材を基礎部材と土台梁の間に設置した状態を示す図である。
まず、実施形態3に係る建築用シール材300の構成について説明する。
実施形態3に係る建築用シール材300は、実施形態1とほぼ同様の構成であるが、図6に示すように、取付基部1の側面に、土台梁200の長手方向に延びる側面リップ部14を有する点が異なる。
【0040】
次に、実施形態3に係る建築用シール材300を建築物の基礎部材100と土台梁200の間に設置した状態について説明する。
実施形態1と同様に、建築用シール材300は、コンクリート製の基礎部材100の上面に設置され、台座部10に開けられたねじ穴12を通して、ねじ3により基礎部材100に固定される。また、シール部2は、土台梁200と弾接して湾曲又は折曲することにより、土台梁200との間をシールしている。
ここで、さらに実施形態3においては、取付基部1の側面に設けられた側面リップ部14が、基礎部材100と弾接している。
【0041】
上記実施形態3に係る建築用シール材300によれば、取付基部1の側面に設けられた側面リップ部14が、基礎部材100と弾接しているので、台座部10と基礎部材100の間から進入する水を阻止することができ、基礎部材100との間のシール性をさらに向上させることができる。
ここで、実施形態3においては、側面リップ部14を取付基部1のシール支持部11側の側面に設けたが、反対側の側面に設ける構成としてもよい。
【0042】
また、実施形態4として、図8に、取付基部1の基礎部材100と接する下面に、土台梁200の長手方向に延びる2本の突起部15を設けたものを示す。
実施形態4に係る建築用シール材300によれば、突起部15を基礎部材100に弾接させることにより、台座部10と基礎部材100の間から進入する水を阻止することができ、基礎部材100との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0043】
なお、実施形態4においては突起部15を2本設けたが、これに限らず、少なくとも1本以上の突起部15を設ければ、基礎部材100と弾接させることにより、シール性を向上させることが可能である。
【0044】
さらに、実施形態5として、図9に、取付基部1の基礎部材100と接する下面に、土台梁200の長手方向に延びるスポンジ部16を設けたものを示す。
実施形態5に係る建築用シール材300によれば、スポンジ部16を基礎部材100に弾接させることにより、台座部10と基礎部材100の間から進入する水を阻止することができ、基礎部材100との間のシール性をさらに向上させることができる。
【0045】
なお、実施形態1〜5においては、取付基部1は、平板状の台座部10と、土台梁200に向けて台座部10の幅方向の端部から台座部10の垂直方向に延びる平板状のシール支持部11により構成され、断面がL字形となるような形状としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、図10に示すように、取付基部1にシール支持部11が存在せず台座部10のみからなり、シール部2が台座部10に取付けられた場合であっても、シール部2が湾曲又は折曲して土台梁200に弾接することにより、基礎部材100と土台梁200との間をシールすることが可能である。
この場合、シール支持部11が存在する場合に比べて、建築用シール材300の剛性が低下し、シール圧力が弱まる恐れがあるが、一方で、土台梁200との弾接時に湾曲又は折曲すべき軟質部材質部分の垂直方向における割合が高くなるので、基礎部材100と土台梁200の隙間の変化には幅広く対応できる。
【0047】
また、図11に示すように、シール支持部11が、土台梁200に向けて台座部10の幅方向の略中央部から台座部10の垂直方向に延び、取付基部1の断面が逆T字形となるような構成としてもよい。
この場合、建築用シール材300を基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12をシール支持部11の両サイドに設けることで、建築用シール材300を基礎部材100に強固に固定することができる。
一方で実施形態1〜5のように、取付基部1を断面L字形の形状とすれば、建築用シール材300を基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12を台座部10の長手方向に一列設ければよいので、設置作業が簡略化される。
【0048】
さらに、図12に示すように、(a)湾曲板状のシール部2を取付基部1に斜め方向に取り付けたもの、(b)シール部2を2本取付けたもの、(c)シール部2を中空状にしたもの、(d)シール部2の厚みを取付基部1側から土台梁200側にかけて、徐々に薄くしたものなどがあり、土台梁200の幅や基礎部材100との間隔などの設置条件に応じて他の構成とすることが可能である。
【0049】
また、硬質部材質からなる平板状の取付基部1を基礎部材100にねじ止めするためのねじ穴12は、建築用シール材300にあらかじめ開けていてもよいし、現場で取付直前に開けてもよい。また、ねじ穴12なしで直接ねじ止め固定をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態1に係る建築用シール材の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】実施形態1に係る建築用シール材の設置状態を示す断面図である。
【図4】実施形態2に係る建築用シール材の断面図である。
【図5】実施形態2に係る建築用シール材の設置状態を示す断面図である。
【図6】実施形態3に係る建築用シール材の断面図である。
【図7】実施形態3に係る建築用シール材の設置状態を示す断面図である。
【図8】実施形態4に係る建築用シール材の断面図である。
【図9】実施形態5に係る建築用シール材の断面図である。
【図10】別の実施形態に係る建築用シール材の断面図である。
【図11】さらに別の実施形態に係る建築用シール材の断面図である。
【図12】さらに別の実施形態に係る建築用シール材の断面図である。
【図13】従来例に係る建築用シール材とその設置状態を示す断面図である。
【図14】従来例に係る建築用シール材とその設置状態を示す断面図である。
【図15】従来例に係る建築用シール材とその設置状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 取付基部
2 シール部
3 ねじ
10 台座部
11 シール支持部
12 ねじ穴
13 下面リップ部
14 側面リップ部
15 突起部
16 スポンジ部
100 基礎部材
200 土台梁
300 建築用シール材
400 スポンジ部材
401 ブチルテープ
500 ゴム製シール材
600 合成樹脂製土台
601 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎部材と、前記基礎部材の上方に所定の空間を開けて配置される土台梁との間をシールする建築用シール材において、
前記土台梁の長手方向に延び、硬質部材質からなる平板状の取付基部と、
前記取付基部に取付けられ、前記土台梁の長手方向に延び、前記土台梁に向けて前記取付基部から延びる、軟質部材質からなるシール部により構成され、
前記シール部が湾曲又は折曲して前記土台梁に弾接することにより、前記基礎部材と前記土台梁との間をシールすることを特徴とする建築用シール材。
【請求項2】
建築物の基礎部材と、前記基礎部材の上方に所定の空間を開けて配置される土台梁との間をシールする建築用シール材において、
前記土台梁の長手方向に延び、硬質部材質からなる平板状の台座部と、前記土台梁の長手方向に延び、前記土台梁に向けて前記台座部から延びる、硬質部材質からなるシール支持部により構成される取付基部と、
前記取付基部に取付けられ、前記土台梁の長手方向に延び、前記土台梁に向けて前記シール支持部の上端部から延びる、軟質部材質からなるシール部により構成され、
前記シール部が湾曲又は折曲して前記土台梁に弾接することにより、前記基礎部材と前記土台梁との間をシールすることを特徴とする建築用シール材。
【請求項3】
前記シール支持部は、前記土台梁に向けて前記台座部の幅方向の端部から延びることを特徴とする請求項2に記載の建築用シール材。
【請求項4】
前記取付基部は、更に、前記基礎部材と接する下面に、前記土台梁の長手方向に延びる少なくとも1本以上の下面リップ部を有し、前記下面リップ部が前記基礎部材に弾接することにより、前記基礎部材との間をシールすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の建築用シール材。
【請求項5】
前記取付基部は、更に、側面に、前記土台梁の長手方向に延びる側面リップ部を有し、前記側面リップ部が前記基礎部材に弾接することにより、前記基礎部材との間をシールすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の建築用シール材。
【請求項6】
前記取付基部は、更に、前記基礎部材と接する下面に、前記土台梁の長手方向に延びる少なくとも1本以上の突起部を有し、前記突起部が前記基礎部材に弾接することにより、前記基礎部材との間をシールすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の建築用シール材。
【請求項7】
前記取付基部は、更に、前記基礎部材と接する下面に、前記土台梁の長手方向に延びるスポンジ部を有し、前記スポンジ部が前記基礎部材に弾接することにより、前記基礎部材との間をシールすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の建築用シール材。
【請求項8】
前記硬質部材質からなる平板状の取付基部に、前記基礎部材にねじ止めするためのねじ穴が所定間隔で開けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか一つに記載の建築用シール材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−22577(P2006−22577A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202423(P2004−202423)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】