説明

建築用パネル材

【課題】芯材の側端面において形成される表面材の繋ぎ目部の隙間を簡易な構造で隠蔽し、意匠性を高め得る建築用パネル材を提供する。
【解決手段】芯材1の少なくとも一方の側端面13において、繋ぎ目部3を形成するように表面材2の端部22b,22b同士を対向させて該芯材の外表面に該表面材を貼着した建築用パネル材10であって、前記表面材は、薄板状の基材22の表面に弾性を有する化粧シート20を貼着した構造とされ、該表面材の一方の端部22bには、表面側部位を延出させた折込み代25が設けられており、該折込み代が前記表面材の他方の端部22bとの間に形成された前記繋ぎ目部の隙間Spに折込まれて、該隙間を塞ぐ構造とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯材の少なくとも一方の側端面において、繋ぎ目部を形成するように表面材の端部同士を対向させて該芯材の外表面に該表面材を貼着した建築用パネル材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内装材や家具材等に用いられる建築用パネル材としては、合板やパーティクルボード、或いはインシュレーションボードやMDFなどの木質繊維板等の板状とされた木質系材料を芯材として、該芯材の外表面(表裏面、側端面(木口面)等)に、表面化粧用の表面材を貼着したパネル材が提供されている。このような芯材に、表面化粧用の表面材を貼着する場合は、当該芯材の表裏面及び側端面等に直接、樹脂シートや突板等の化粧シート(表面材)を貼着する構成とされている。
【0003】
また、上記のような芯材としては、上記板状とされた芯材以外に、枠組み形成された外枠内にコア材等を充填、配設したものや、ガラスパネル等の面材を嵌め込むための開口部を設けた芯材等が用いられている。
このような芯材に、表面化粧用の表面材を貼着する場合には、まず、薄板状の木質系材料からなる面材を芯材の表裏面に貼り付け、次いで、樹脂シートや突板等の化粧シートを該面材の表面及び芯材の側端面等に貼着する構成とされている。或いは、面材を基材として、該基材の表面に予め化粧シートを貼着した表面材を、芯材の表裏面及び側端面等に貼着する構成とされている。
【0004】
上記のように表面材を、上記芯材の表裏面及び側端面に貼着する場合には、当該表面材の端部同士の繋ぎ目部(突合わせ部或いは目地部、重ね部)が建築用パネル材自体の表面側或いは裏面側に位置すると、見栄えが悪いため、当該繋ぎ目部が、芯材の側端面に位置するようにして、その表面材の貼着がなされている。
上記のように表面材の繋ぎ目部を、芯材の側端面に位置させた建築用パネル材においては、従来は、表面材を、芯材の表面及び裏面にそれぞれ貼着し、側端面に、別の表面材(エッジシートとも言う)を貼着する構成とされたものがあった。
或いは、芯材の表面に貼着した化粧シートと、裏面に貼着した化粧シートとを側端面において、一部重ねるようにして貼着する構成とされたものもあった。
【0005】
前者のエッジシートを貼着する構成とされたものでは、芯材の表裏面と端面との縁部(角部)において、それら表面材同士にズレや隙間が生じないよう突合わせて貼着する必要があり、その貼着工程において高い精度が要求されるものであった。また、該突合わせ部が、角部に位置することから、剥がれ易くなるといった問題があった。さらに、角部を境に表面材の模様の連続性が失われてしまうので、見栄えが悪くなるという問題もあった。
また、後者の化粧シートを側端面において重ねる構成とされたものでは、貼着工程において、上記したような高い精度が要求されるものではないが、当該重ね部において段差が生じる。このような段差が生じると、重ねられた上側の化粧シートの端面には、通常、模様等が施されておらず白色等であるため、当該端面が露出することから、見栄え等が悪いという問題があった。また、当該重ね部において化粧シートが剥がれ易くなるという問題があった。
【0006】
下記特許文献1では、上記したような問題を解決するために、芯材の表裏面及び側端面に化粧材を貼着した扉パネルが提案されている。
この扉パネルは、裏面にV字状の折曲溝を有する化粧材を、芯材の表面側及び裏面側から芯材の側端面まで芯材の角部に対応する部分で折り曲げ、同化粧材の各側端面が芯材の側端面において相互に対向するようにそれぞれ貼着し、その対向部分に所定幅の溝を形成して同溝に目地部材を装着する構成とされている。このものでは、上記表面化粧材及び裏面化粧材の各側端面を、芯材の側端面において相互に僅かに隙間を有して対向するように貼着し、次いで、所定の径のルーター等により該隙間に沿って所定幅寸法に切削することによって、上記目地部材を装着する溝を形成するようにしている。
上記特許文献1に記載の扉パネルによれば、上記のように側端面にて対向される化粧材の対向部位に、所定幅寸法の溝を形成し、該溝に目地部材を埋設するようにしているので、加工精度のバラツキが当該溝により吸収されることとなり、接合面にスキマや段差の生じない扉パネルが得られる、と説明されている。
【特許文献1】特開2005−336783号公報(図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の扉パネルでは、当該パネルの側端面において対向される化粧材の端面同士の間に、隙間を有するように化粧材を貼着した後、切削加工により所定幅寸法の溝を形成し、さらに、別部材とされた目地部材を埋設する必要があり、更なる製造工程の簡略化が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、芯材の側端面において形成される表面材の繋ぎ目部の隙間を簡易な構造で隠蔽し、意匠性を高め得る建築用パネル材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る建築用パネル材は、芯材の少なくとも一方の側端面において、繋ぎ目部を形成するように表面材の端部同士を対向させて該芯材の外表面に該表面材を貼着した建築用パネル材であって、前記表面材は、薄板状の基材の表面に弾性を有する化粧シートを貼着した構造とされ、該表面材の一方の端部には、表面側部位を延出させた折込み代が設けられており、該折込み代が前記表面材の他方の端部との間に形成された前記繋ぎ目部の隙間に折込まれて、該隙間を塞ぐ構造とされていることを特徴とする。
【0010】
前記建築用パネル材においては、前記表面材の他方の端部に、表面側部位を延出させた折込み代を更に設け、該折込み代が前記隙間に折込まれて、前記一方の端部に設けられた折込み代とにより、該隙間を塞ぐ構造としてもよい。
【0011】
また、前記建築用パネル材においては、前記折込み代を、前記表面材の基材の化粧シート側部位を残すようにして切除された該基材の残余部位と、該残余部位の表面側の化粧シートとからなるものとしてもよい。この構成においては、前記折込み代の裏面側基端に、溝部を形成したものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る建築用パネル材は、芯材の外表面に貼着される表面材を、薄板状の基材の表面に弾性を有する化粧シートを貼着した構造とし、該表面材の一方の端部に、表面側部位を延出させた折込み代を設け、該折込み代が前記表面材の他方の端部との間に形成された前記繋ぎ目部の隙間に折込まれて、該隙間を塞ぐ構造とされている。
従って、寸法誤差や取付誤差等を吸収するために形成された繋ぎ目部の隙間が、上記折込み代によって塞がれて隠蔽されるので、当該隙間が目立ち難くなり、意匠性を高めることができる。
また、表面材の前記一方の端部に形成された折込み代は、前記繋ぎ目部の隙間に折込まれているので、手前側(芯材の端面に対面した状態における手前側)に向けて突出するような段差が形成されず、意匠性に優れたものとなる。また、手前側に向けて突出するような段差が形成されないので、上述のような芯材の側端面において化粧シートを重ねるものと比べて、剥がれ難いものとなる。また、該表面材の端部は、芯材の側端面において対向されているので、上述のようなエッジシートを貼着するものと比べて、剥がれ難いものとなる。
【0013】
さらに、上記のように隙間を塞ぐ部材を、表面材の表面側部位を延出させた折込み代としているので、該表面材の表面側に位置する化粧シートの弾性により、当該折込み代が弾性変形部として機能する。これにより、上記隙間に折込まれた際には、上記表面材の他方の端部の端面に弾接するようにして上記隙間を塞ぐことができる。従って、上記隙間の幅寸法が長手方向に沿って均一ではない場合でも、当該折込み代が弾接することにより、そのような誤差等も吸収でき、意匠性を高めることができる。
さらにまた、上記特許文献1に記載の扉パネルのように、当該隙間を所定幅寸法とするために切削等をする必要がないので、製造工程の簡略化が図れ、簡易な構造で上記隙間を隠蔽できる。
また、上記折込み代は、表面材の一方の端部の表面側部位を延出させたものとされているので、例えば、別部材等を、上記隙間に埋設するようなものと比べて、製造工程の簡略化が図れる。すなわち、表面材の一方の端部に形成された折込み代を、上記隙間に折込むことで、当該隙間を塞ぐことができ、製造工程の簡略化が図れ、簡易な構造で上記隙間を隠蔽できる。
【0014】
前記建築用パネル材において、前記表面材の他方の端部に、表面側部位を延出させた折込み代を更に設け、該折込み代が前記隙間に折込まれて、前記一方の端部に設けられた折込み代とにより、該隙間を塞ぐ構造とすれば、より効果的に意匠性を高めることができる。
すなわち、芯材の側端面において対向される表面材の一方の端部にのみ折込み代を形成したものでは、その他方の端部の端面の一部が当該折込み代によって十分に覆い隠されず、その一部が露出する場合がある。一方、表面材の他方の端部に折込み代を更に設けたものとすれば、これら対向する端部にそれぞれ設けられた折込み代が上記隙間に折込まれることにより、上記隙間が塞がれて隠蔽されるので、対向する表面材のいずれの端部の端面もこれら折込み代により覆い隠され、意匠性に優れたものとなる。
また、上記構成によれば、上記折込み代のそれぞれが折込まれて表面側に位置する化粧シートが互いに弾接するようにして当該隙間に介在されるので、当該隙間側への折込みにより形成される表面からの窪みを、上記表面材の一方の端部にのみ折込み代を形成したものと比べて、効率的に小さくできる。
さらに、上記折込み代のそれぞれが上記隙間に折込まれているので、表面材の端部端面が露出することがなく、上記表面材の一方の端部にのみ折込み代を形成したものよりも、より剥がれ難いものとなる。
【0015】
前記建築用パネル材において、前記折込み代を、前記表面材の基材の化粧シート側部位を残すようにして切除された該基材の残余部位と、該残余部位の表面側の化粧シートとからなるものとすれば、基材の残余部位の厚さを調整することで、上記のように表面材の端部から延出させる折込み代の厚さを調整できる。
また、例えば、化粧シートのみを折込み代とする場合において、該化粧シートを基材の端部から延出させるようにして基材の表面に貼着して折込み代を有した表面材を形成する場合は、その折込み代を構成する化粧シートの延出幅を略均一にする必要があることから、その貼着工程において高い精度が必要となる。一方、上記のように、前記表面材の基材の化粧シート側部位を残すようにして切除して、その基材の残余部位と化粧シートとにより折込み代を構成するものとすれば、容易に、かつ精度良く折込み代を形成することができる。さらに、化粧シートが比較的薄い場合等で、折込み代の強度を高めたい場合には、上記したように基材の残余部位の厚さを調整することで、折込み代の強度を容易に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)、(b)は、いずれも第1実施形態に係る建築用パネル材を模式的に示し、(a)は、図3(b)におけるY−Y線矢視概略横断面図、(b)は、(a)におけるX1部の概略拡大断面図、図2(a)は、同建築用パネル材の芯材及び表面材の貼着前の状態を図1(a)に対応させて模式的に示す概略横断面図、(b)は、(a)におけるX2部の概略拡大断面図、図3(a)は、同芯材を模式的に示す概略斜視図、(b)は、同建築用パネル材を模式的に示す概略斜視図、(c)は、(b)におけるZ1矢視図である。
尚、以下の各実施形態では、建築用パネル材の上下左右は、長手方向(縦方向)を上下、幅方向を左右とし、便宜的に対面した状態における手前側の面を表面、背面側の面を裏面として説明している。
【0017】
本実施形態に係る建築用パネル材10は、図3に示すように、大略的に、芯材1と、該芯材1の外表面に貼着された二枚の表面材2,2とから構成されている。
前記各部材から構成された建築用パネル材10は、図3(b)、(c)に示すように、本実施形態では、平板状の略直方体形状とされており、引戸や折り戸、開き戸等の扉(ドアパネル)、内壁、間仕切り、棚、キッチンパネル、天井等の内装材や、キャビネットなどの収納家具の前板(扉)、天板、棚板、側板、底板、背板等の家具材等に好ましく使用される。特に、後記するように、本実施形態に係る建築用パネル材10は、側端面(左右端面)の見栄えが良いので、施工後の使用時において側端面が露出する上記ドアパネル等に好適である。
【0018】
上記芯材1は、本実施形態では、図3(a)に示すように、板状の木質系材料からなる。この芯材1に適用される木質系材料としては、どのようなものでもよく、無垢の木材を板状に加工したものや、集成材や合板、LVL(単板積層材)、パーティクルボード、或いは、インシュレーションボードやMDF等の木質繊維板などを板状に加工したものとしてもよい。
また、本実施形態では、上記芯材1の外表面を構成する表面11、裏面12、右端面13及び左端面14を被装するようにして、該外表面に表面材2,2を貼着している。
尚、左右端面に表面材を貼着する態様に代えて、上下端面に表面材を貼着するようにしてもよい。或いは、上下端面に更に表面材を貼着するようにしてもよい。
【0019】
上記表面材2,2は、それぞれ薄板状の基材22と、該基材22の表面22aに貼着された弾性を有する化粧シート20とを備えている。上記基材22は、上記同様の木質系材料からなり、本実施形態では、比較的硬質かつ緻密で、表面平滑性に優れていることからMDF(Medium Density Fiberboard、中質繊維板、中密度繊維板とも言う)を採用している。
この基材22の裏面には、図2(a)に示すように、芯材1の外表面に貼着する際に、該芯材1の表裏面11,12と左右端面13,14との角部に対応した部位で折り曲げ可能なように断面略V字状の折曲用溝24が切削工具等によって切削されて形成されている。この折曲用溝24は、表面材2,2の化粧シート20のみをほぼ残すようにして基材22をV字状にカットすることで形成されている。
上記基材22の厚さは、適宜、設定可能であるが、例えば、1.0mm〜5.0mm程度としてもよい。
【0020】
上記化粧シート20は、オレフィン系樹脂などの合成樹脂系材料をシート状(フィルム状)に加工したもので、例えば、厚さが50μm〜1.0mm程度の薄状のものであり、上記基材22の表面22aの全面に亘って接着剤等で接着されている。本実施形態では、木目模様が施され、厚さが70μm程度とされたオレフィン系樹脂シートを採用している。尚、化粧シート20としては、弾性を有するものであれば、どのようなものでもよく、また、模様も木目に限らずどのようなものでもよい。例えば、本実施形態のように、二枚の表面材2,2を芯材1の表面側及び裏面側に貼着するものでは、これら二枚の表面材2,2の模様を異ならせたものとしてもよい。
【0021】
上記基材22及び化粧シート20から構成される表面材2,2は、図1に示すように、芯材1の左右端面13,14においてそれぞれ対向される端部に、その表面側部位を延出させた折込み代25,25を有している(図では、右端面13側のみを図示しているが、左端面14も図3(c)に示すように同様である。)。
すなわち、本実施形態では、二枚の表面材2,2のそれぞれ幅方向両端部には、その表面側部位を延出させた折込み代25がそれぞれ形成されている。
【0022】
上記折込み代25は、図2(b)に示すように、表面側部位を構成する化粧シート20の延出部21と、表面側部位を構成する基材22の延出部23とから構成されている。該折込み代25は、表面材2の基材22の端部の化粧シート20側部位を残すようにして、切削工具等によって切除することにより略均一の厚さに形成されている。すなわち、表面材2の基材22の化粧シート20側部位を残すようにして、その裏面側部位を切除した基材22の残余部位が延出部23となり、該延出部23と、該延出部23の表面側に位置する化粧シート20の延出部21とにより折込み代25を構成するようにしている。
上記基材22を切除する厚さは、図2(b)のように、化粧シート20の延出部21の裏面側に、僅かに基材22の延出部23が残るような厚さ(ほぼ化粧シートのみの厚さ)としてもよい。このように基材22を一部残した場合にも、その延出部23は比較的、薄く、また繊維質であるため、該延出部23と、化粧シート20の延出部21とにより構成される折込み代25は、適度に弾性を有し、後記するように隙間Sp(図1(b)参照)に折込まれた際にも弾性を有した弾性変形部として機能する。
【0023】
上記折込み代25の厚さは、芯材1の左右端面13,14において、繋ぎ目部3を形成するように対向される表面材2,2の端部同士の間に形成される寸法誤差や取付誤差等の吸収のための隙間Spや化粧シート20自体の厚さ等に応じて適宜、設定可能であるが、例えば、50μm〜1.0mm程度としてもよい。本実施形態のように、70μm程度の厚さとされた化粧シート20を備えたもので、かつ、表面材2の基材22の裏面側部位を切除することにより形成する場合は、0.1mm程度〜1.0mm程度、より好ましくは0.2mm程度〜0.5mm程度としてもよい。このように薄状の折込み代25とすることで、その弾性変形が阻害されることなく、後記するように屈曲させて隙間Spに折込む際に、容易に折込むことができる。
【0024】
また、上記折込み代25の端部端面22bからの延出幅は、適宜、設定可能であるが、表面材2,2が芯材1の左右端面13,14に貼着された状態で、対向される端部端面22b,22b間に形成される隙間Spに応じた延出幅とすればよい。つまり、該隙間Spを塞ぐようにして折込まれた折込み代25,25同士が弾接可能な延出幅とすればよい。また、この折込み代25の延出幅は、後記するように左右端面13,14側に向けて屈曲された際に、これら左右端面13,14に当接しない程度のものとすることが好ましい。すなわち、延出幅を大きくし過ぎると、隙間Spに折込み弾接させた状態では、表面側に浮き上がる恐れがあるが、左右端面13,14に当接しない程度の延出幅とすれば、表面側に浮き上がるようなことを防止できる。
【0025】
また、上記隙間Spに応じて、上記表面材2の折曲用溝24から端部端面22bまでの幅寸法を設定するようにすればよい。すなわち、芯材1の左右端面13,14に貼着される表面材2,2の幅寸法は、貼着されて対向した際に、対向される端部端面22b,22b間に、上記した隙間Spが形成されるような幅寸法とすればよい。
尚、上記表面材2,2の対向する端部端面22b,22b間の隙間Spは、寸法誤差や取付誤差等を吸収可能な幅寸法とすればよく、1.0mm〜10.0mm程度、2.0mm〜5.0mm程度としてもよい。これにより、後記するように、折込み代25,25が隙間Spに折込まれて該隙間Spを塞いだ際に、外観上、より目立ち難いものとなる。
【0026】
上記構成とされた表面材2,2を、それぞれ芯材1に貼着する際には、図3(c)に示すように、芯材1の表裏面11,12及び左右端面13,14を被装するように、これら表面材2,2を接着剤等によって貼着する。この際、図2(a)に示すように、上記折曲用溝24に沿って表面材2を折り曲げ、当該折り曲げ部が、芯材1の表面11と左右端面13,14との角部、裏面12と左右端面13,14との角部に沿うように貼着する。また、これら左右端面13,14においては、図1(b)に示すように、それぞれ表面側に貼着された表面材2と、裏面側に貼着された表面材2との端部端面22b,22bが上記隙間Spを隔てて対向される。この隙間Spに、それぞれの折込み代25,25が、それぞれ左右端面13,14側に向けて屈曲されて折込まれるとともに、互いに弾接されて、これら折込み代25,25によって当該隙間Spを塞ぐようにして、繋ぎ目部3が形成される。
【0027】
上記各部材を接着する接着剤としては、特に限定されず、ユリア樹脂や、メラミン樹脂、ユリア・メラミン共縮合樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する接着剤が挙げられる。あるいは、酢酸ビニル樹脂や、合成ゴム、ポリ乳酸、澱粉、アクリル樹脂等を含有する水性接着剤又はエマルジョン接着剤が挙げられる。あるいは、ポリプロピレンや、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)などの合成樹脂を含有するホットメルト接着剤などが挙げられる。
【0028】
上記折込み代25,25をそれぞれ左右端面13,14側に向けて屈曲させて折込み、互いに弾接させる態様は、どのような態様でもよく、例えば、表面材2,2を貼着する前に、それぞれの折込み代25,25を端部端面22b,22b側に折り曲げておいて、その状態で貼着するようにしてもよい。このような場合にも折込み代25,25は、上記したように弾性を有しているので、これら折込み代25,25の復元力により、互いに弾接して隙間Spを塞ぐことができる。或いは、貼着した後に、上記隙間Spに押し込むようにして屈曲させて折込んで、弾接させるようにしてもよい。
【0029】
上記のように芯材1の表裏面11,12及び左右端面13,14に、それぞれ貼着された表面材2,2は、図1(b)に示すように、左右端面13,14において、端部同士が対向されて、端部端面22b,22b間に形成された隙間Spに、それぞれの折込み代25,25が、当該隙間Spを塞ぐようにして、左右端面13,14側に向けて屈曲されて折込まれるとともに、互いに弾接されている。
上記状態では、これら折込み代25,25が、芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲されて折込まれているため、その表面側には、僅かな窪みが長手方向に沿って形成されることとなるが、互いに弾接された折込み代25,25の表面側への復元力により、当該窪みは微小なものとなる。すなわち、これら折込み代25,25は、互いに弾接されて表面側への復元力が作用しているので、互いに密着するようにして当該窪みを小さなものとでき、その表面側は、略面一となる。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る建築用パネル材10は、寸法誤差や取付誤差等を吸収するために形成される表面材2,2の端部端面22b,22b間の繋ぎ目部3の隙間Spが、上記のように折込み代25,25によって塞がれて隠蔽されるので、意匠性を高めることができる。
特に、本実施形態では、芯材1の両側部の左右端面13,14において対向された表面材2,2の端部端面22b、22b間の上記隙間Spを、それぞれの端部の表面側部位から延出させた折込み代25,25によって塞ぐようにし、これら折込み代25,25が互いに弾接しているので、対向する表面材2,2のいずれの端部端面22b、22bも当該折込み代25,25によって覆い隠され、意匠性に優れたものとなる。
【0031】
また、表面材2,2の折込み代25,25は、上記のように芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲されて折込まれているので、手前側(芯材1の左右端面13,14に対面した状態における手前側)に向けて突出するような段差が形成されず、意匠性に優れたものとなる。
さらに、上記折込み代25,25のそれぞれが芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲されて折込まれ、互いに弾接されているので、表面材2,2の端部端面が露出することがなく、剥がれ難いものとなる。
【0032】
さらにまた、上記のように隙間Spを塞ぐ部材を、折込み代25,25とし、当該折込み代25,25を、芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲させるとともに、互いに弾接させるようにしているので、表面材2,2の端部端面22b,22b間の隙間Spの幅寸法が長手方向に沿って均一ではない場合でも、これら折込み代25,25により、そのような誤差等も吸収でき、意匠性を高めることができる。
また、これにより、上記特許文献1に記載の扉パネルのように、当該隙間Spを所定幅寸法とするために切削等をする必要がないので、製造工程の簡略化が図れ、簡易な構造で隙間Spを隠蔽できる。
さらに、上記折込み代25,25は、表面材2,2の両端部の表面側部位を延出させたものとされているので、例えば、別部材等を、上記隙間Spに埋設するようなものと比べて、製造工程の簡略化が図れる。すなわち、表面材2,2の折込み代25,25を、芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲させ、弾接させることで、上記隙間Spを塞ぐことができ、製造工程の簡略化が図れ、簡易な構造で隙間Spを隠蔽できる。
【0033】
また、例えば、化粧シート20の延出部21のみを折込み代とする場合において、該化粧シート20を基材22の端部端面22bから延出させるようにして基材22の表面22aに貼着して折込み代を有する表面材2を形成する場合は、折込み代を構成する化粧シート20の延出部21の延出幅を略均一にする必要があることから、その貼着工程において高い精度が必要となる。一方、本実施形態のように、基材22の裏面側部位を切除することにより折込み代25,25を形成するものとすれば、容易に、かつ精度良く折込み代25,25を形成することができる。また、このような裏面側部位の切除は、上記折曲用溝24と同工程或いは関連した工程において実施できるので、上記のような化粧シート20を基材22の端部から延出させるようにして貼着するものと比べて、製造工程の簡略化が図られる。
【0034】
次に、上記第1実施形態に係る建築用パネル材10に適用される表面材の他例について、図4に基づいて説明する。図4(a)、(b)は、いずれも建築用パネル材10に適用される表面材の他例を示し、それぞれ図2(b)に対応させた図である。図4(a)は、第1変形例に係る表面材、図4(b)は、第2変形例に係る表面材を示している。
尚、上記例との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
【0035】
第1変形例に係る表面材2Aは、図4(a)に示すように、折込み代の構成が上記例の表面材2とは異なる。
すなわち、本変形例に係る表面材2Aは、基材22Aの端部の裏面側部位を、上記例よりもやや薄く切除するようにしている。すなわち、化粧シート20の延出部21の裏面側に残す基材22Aの延出部23Aの厚さが、上記例よりも厚くなるように切除している。また、その基材22Aの延出部23Aの基端部には、屈曲させて折込む際に容易に折込めるように、凹溝状の溝部26が長手方向(縦方向)に沿って設けられている。
【0036】
すなわち、上記例の表面材2及び本変形例に係る表面材2Aにおいては、いずれも折込み代25,25Aの形成を、表面材2,2Aの端部の裏面側部位を切除することにより形成するようにしている。従って、当該折込み代25,25Aの厚さを容易に調整することができる。よって、化粧シート20が比較的薄い場合等で、折込み代25,25Aの強度を高めたい場合には、上記裏面側部位を切除する厚さを調整することで、折込み代25,25Aの強度を容易に高めることができる。
【0037】
一方、第2変形例に係る表面材2Bは、図4(b)に示すように、折込み代の構成が上記各例の表面材2,2Aとは異なる。
すなわち、本変形例に係る表面材2Bは、上記のように基材の裏面側部位を切除することにより折込み代を形成する態様に代えて、化粧シート20を基材22Bの端部端面22bよりも延出させるようにして基材22Bの表面22aに貼着し、該延出部21を折込み代25Bとしている。すなわち、本変形例においては、化粧シート20のみが折込み代を構成する。このような場合にも当該折込み代25Bを上述のように、芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲させて隙間Spに折込むことで、隙間Spを塞ぐことができる。
【0038】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5(a)〜(c)は、いずれも第2実施形態に係る建築用パネル材を示し、それぞれ図3(a)〜(c)に対応させた図である。
尚、上記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、図5(a)では、コア材を模式的に示している。
【0039】
本実施形態に係る建築用パネル材10Aは、芯材1A及び該芯材1Aの外表面に貼着される表面材2Cの構成が上記第1実施形態とは異なる。
すなわち、芯材1Aは、図5(a)に示すように、一対の縦枠材15,15と、該縦枠材15,15の上下端部内側面にそれぞれ固着されて、これら縦枠材15,15間に架設された一対の横枠材16,16と、これら縦枠材15,15及び横枠材16,16とにより形成された外枠内に配設されたコア材18とから構成されている。
上記縦枠材15及び横枠材16は、いずれも上記同様の木質系材料を角柱状に加工して形成されている。
また、上記コア材18は、厚さ方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるとともに幅方向に伸縮する伸縮性を有しており、段ボール原紙やクラフト紙質等の紙材を接着剤で重積接着して形成されている。
このようなペーパーコア材18としては、最大限伸張させた状態(展張状態とも言う)の体積から最大限収縮させた状態(未展張状態とも言う)の体積を引いた値を、展張状態の体積で除して得た空隙率が0.9(90%)以上のものとしてもよい。
また、このようなペーパーコア材18は、例えば、伸張状態で形成される中空筒状セルの形状に応じて筋条に接着剤を塗布して複数枚の紙材を積層接着して形成した収縮状態の平板状基材を、該筋条と直交する方向に沿って、切断することにより形成するようにしてもよい。
【0040】
尚、中空筒状セルの形状は、どのようなものでもよく、JIS A6931に規定されているような円筒形や、リブを平行に連続させたリブ形状、「く」字状のような折り紙形状を連続させた折り紙形状等としてもよい。あるいは、これら以外の形状、三角形や四角形(菱形)などの多角形、またはハニカム形状(蜂の巣形状)としてもよい。
また、セルサイズ(展張状態におけるセルの幅)は、3mm程度〜30mm程度としてもよく、建築用パネル材10Aの使用される箇所等に応じて、強度が必要な場合には小さく、すなわち、中空筒状セルの個数を多くして、中空筒状セルを細密に形成するようにしてもよい。
さらに、上記ペーパーコア材18に、エポキシ樹脂等の補強用の樹脂を更に含浸させるようにしてもよい。
さらにまた、コア材18としては、紙材からなるものに限られず、アルミ材等の金属や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂からなるものとしてもよい。このようなコア材18の材質は、上記紙材、金属材、合成樹脂材等のいずれかを主材として、適宜、他の材料を含有させたものや、或いは、それらに、更にガラス繊維等の強化繊維を含有させたものとしてもよい。
また、厚さ方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるコア材に限られず、発泡体等からなるものとしてもよい。或いは、コア材を配設せずに、中空としてもよい。
【0041】
上記表面材2Cは、上記同様の基材22Cと、該基材22Cに貼着された上記同様の化粧シート20Aとからなり、本実施形態では、一枚の表面材2Cから構成されている。この表面材2Cは、図5(b)、(c)に示すように、基材22Cの裏面には、上記同様の折曲用溝24が、芯材1Aの表面11Aと左右端面13A,14Aとの角部、及び裏面12Aと左右端面13A,14Aとの角部に対応した部位に、それぞれ形成されている。
また、該表面材2Cの幅方向両端部には、上記同様の表面側部位を延出させた折込み代25,25が形成されている。
上記構成とされた表面材2Cは、図5(c)に示すように、上記折曲用溝24に沿って折り曲げられて、上記芯材1Aの表面11A、左端面14A及び裏面12Aに貼着され、右端面13Aにおいて、該表面材2Cの両端部が対向されて繋ぎ目部3が形成されている。
この右端面13Aにおいて対向される表面材2Cの両端部の端部端面22b,22b(図1(b)参照)間においては、上記第1実施形態と同様に、上記折込み代25,25が右端面13A側に向けて屈曲されて折込まれるとともに、互いに弾接されて、隙間Sp(図1(b)参照)を塞いでいる。
【0042】
以上のように本実施形態に係る建築用パネル材10Aによれば、上記第1実施形態の建築用パネル材10と同様の効果を奏するとともに、芯材1Aを上記のように外枠とコア材18とからなるものとしているので、上記第1実施形態のものと比べて、軽量かつ安価なものとなる。
また、上記表面材2Cを一枚からなるものとしているので、芯材1Aの外面に貼着された表面材2Cの繋ぎ目部3が一箇所となり、一方の端面(図例では左端面14A)においては、当該繋ぎ目部3が形成されないので、より意匠性に優れたものとなる。
尚、上記芯材1Aに代えて、上記第1実施形態で説明した芯材1を本実施形態に適用するようにしてもよい。また、上記第1実施形態で説明した各変形例に係る表面材2A,2Bを、本実施形態の表面材2Cに代えて、適宜、変形して適用するようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図6(a)〜(c)は、いずれも第3実施形態に係る建築用パネル材を示し、それぞれ図3(a)〜(c)に対応させた図である。
尚、上記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
【0044】
本実施形態に係る建築用パネル材10Bは、芯材1B及び該芯材1Bの外表面に貼着される表面材2Dの構成が上記第1実施形態とは異なる。
すなわち、芯材1Bは、図6(a)に示すように、一対の縦枠材15A,15Aと、該縦枠材15A,15Aの上下端部内側面にそれぞれ固着されて、これら縦枠材15A,15A間に架設された一対の横枠材16A,16Aと、これら縦枠材15A,15A及び横枠材16A,16Aとにより形成された外枠内に、平面視矩形状の開口部19を形成するようにして、設けられた複数本の桟材とから構成されている。
上記縦枠材15A、横枠材16A及び桟材は、いずれも上記同様の木質系材料を角柱状に加工して形成されている。
また、上記開口部19には、ガラスパネルや装飾用の面材等が嵌め込まれる。
【0045】
上記芯材1Bの外表面に貼着される表面材は、本実施形態では、上記開口部19に合わせて、分割された八枚の表面材から構成されている。
すなわち、芯材1Bの左右端面13B,14Bにおいて対向される四枚の表面材2Dと、開口部19の上下の表裏面に貼着される四枚の表面材2Eとからなる。
該表面材2Eは、上記同様の基材22Eと、該基材22Eに貼着された上記同様の化粧シート20Cとからなり、平面視矩形の薄板状とされている。また、該表面材2Eは、それぞれ開口部19の幅寸法と略同幅とされるとともに、芯材1Bの上端部(又は下端部)から開口部19の上縁部(又は下縁部)までの高さ寸法に合わせた高さ寸法とされている。
【0046】
上記表面材2Dは、上記同様の基材22Dと、該基材22Dに貼着された上記同様の化粧シート20Bとからなり、本実施形態では、図6(b)、(c)に示すように、それぞれ芯材1Bの長手方向に沿って長尺とされるとともに、芯材1Bの表裏面11B,12Bと左右端面13B,14Bとの角部において折り曲げ可能なように、上記同様の折曲用溝24が、基材22Dの裏面に形成されている。
また、当該角部において折り曲げられて表面11B又は裏面12Bに貼着される部位の幅寸法は、当該角部から上記開口部19の右縁部又は左縁部までの幅寸法とされている。
また、当該角部において折り曲げられて右端面13B又は左端面14Bに貼着される部位の端部には、上記同様の表面側部位を延出させた折込み代25がそれぞれ形成されている。
【0047】
上記構成とされた表面材2Dは、図6(b)、(c)に示すように、上記折曲用溝24に沿って折り曲げられて、上記芯材1Bの表面11B又は裏面12Bと右端面13B又は左端面14Bに亘って貼着される。
また、左右端面13B,14Bにおいては、これら表面材2Dの端部が対向される。
この左右端面13B,14Bにおいて対向される表面材2Dの端部同士の端部端面22b,22b(図1(b)参照)間においては、上記第1実施形態と同様に、上記折込み代25,25が、それぞれ左右端面13B,14B側に向けて屈曲されて折込まれるとともに、互いに弾接されて、隙間Sp(図1(b)参照)を塞いでいる。
【0048】
以上のように本実施形態に係る建築用パネル材10Bによれば、上記第1実施形態の建築用パネル材10と同様の効果を奏するとともに、芯材1Bを上記のように開口部19を有したものとしているので、当該開口部19に、趣向に応じて種々の面材を嵌め込むことができ、意匠性に優れたものとなる。
尚、上記のように桟材で枠組みしたパネル芯材1Bに代えて、開口部19を形成するように、幅方向寸法を幅広に形成した縦枠と、縦方向寸法を幅広に形成した横枠とにより芯材を形成するようにしてもよい。また、上記第1実施形態で説明した各変形例に係る表面材2A,2Bを、本実施形態の表面材2Dに代えて、適宜、変形して適用するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図7(a)、(b)は、いずれも第4実施形態に係る建築用パネル材を示し、(a)は、図1(a)に対応させた図、(b)は、図2(a)に対応させた図である。
尚、上記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
【0050】
本実施形態に係る建築用パネル材10Cは、芯材1の外表面に貼着される表面材2F,2Gの構成が上記第1実施形態とは異なる。
すなわち、本実施形態では、芯材1の左右端面13,14(図3も参照)においてそれぞれ対向される二枚の表面材2F,2Gのうち、一方の表面材2Fの両端部(図では一方の端部のみを図示している)にのみ、上記同様の表面側部位を延出させた折込み代25Cをそれぞれ形成している。つまり、他方の表面材2Gの両端部(図では一方の端部のみを図示している)には、折込み代が形成されていない。
また、これら表面材2F,2Gは、いずれも上記同様の基材22F,22Gと、これら基材22F,22Gにそれぞれ貼着された上記同様の化粧シート20,20とからなり、これら基材22F,22Gの裏面には、上記同様の角部において折り曲げ可能なように形成された折曲用凹条部24Aが形成されている。この折曲用凹条部24Aは、本実施形態では、上記折曲用溝24とは異なり、長手方向に沿って形成された断面略V字状の複数本の凹条からなり、折り曲げられた際には、その表面側が、図7(a)に示すように、R形状となる構成とされている。
【0051】
前記構成とされた表面材2F,2Gは、上記第1実施形態と同様にして、芯材1の表裏面11,12及び左右端面13,14に貼着される。
貼着された状態では、図7(a)に示すように、表面側に貼着された表面材2Fの端部端面22bと、裏面側に貼着された表面材2Gの端部端面22bとが上記同様の隙間Sp(図1(b)参照)を隔てて対向されている。また、上記表面側に貼着された表面材2Fの両端部に形成された折込み代25C,25Cを、それぞれ芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲させ、折込むとともに、裏面側に貼着された表面材2Gの端部端面22b,22bに弾接させて、上記隙間Spを塞ぐようにして、繋ぎ目部3Aが形成される。
【0052】
以上のように本実施形態に係る建築用パネル材10Cによれば、上記第1実施形態と同様、製造工程の簡略化が図れるとともに、寸法誤差や取付誤差等を吸収するために形成される表面材2F,2Gの端部同士の隙間Sp(図1(b)参照)が、折込み代25Cによって塞がれるので、当該隙間Spが目立ち難くなり、意匠性を高めることができる。
また、表面材2F,2Gのうち、表面材2Fの両端部に形成された折込み代25Cは、上記のように芯材1の左右端面13,14側に向けて屈曲されて折込まれているので、手前側(パネル芯材1の左右端面13,14に対面した状態における手前側)に向けて突出するような段差が形成されず、意匠性に優れたものとなる。また、手前側に向けて突出するような段差が形成されないので、上述のような芯材の端面において化粧シートを重ねるものと比べて、剥がれ難いものとなる。また、該表面材2F,2Gの端部は、芯材1の左右端面13,14において対向されているので、上述のようなエッジシートを貼着するものと比べて、剥がれ難いものとなる。
【0053】
尚、本実施形態では、二枚の表面材2F,2Gからなるものとし、一方の表面材2Fの両端部に折込み代25Cを形成し、他方の表面材2Gの両端部には、折込み代を形成しないものとしたが、それぞれ、一方の端部にのみ折込み代25Cを形成するようにして、当該折込み代が形成されていない方の端部端面22bに、該折込み代が弾接するように貼着するような構成としてもよい。これによれば、表面材2F,2Gを同形状とできる。
また、上記第1実施形態で説明した各変形例に係る表面材2A,2Bを、本実施形態の表面材2Fに代えて、適宜、変形して適用するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、上記第1実施形態と同様、二枚の表面材2F,2Gからなる表面材としているが、上記第2実施形態のように、一枚の表面材で構成するようにしてもよい。この場合は、当該表面材の一方の端部のみに上記折込み代を形成するようにすればよい。
【0054】
さらにまた、上記第2実施形態で説明した芯材1Aを、本実施形態の芯材1に代えて適用するようにしてもよい。或いは、上記第3実施形態で説明した芯材1Bを、本実施形態の芯材1に代えて適用するようにしてもよい。この場合は、表面材2F,2Gを適宜、当該芯材1Bに適用可能なよう変形すればよい。
また、本実施形態で説明した折曲用凹条部24Aを、上記第1実施形態〜第3実施形態で説明した各表面材に形成された折曲用溝24に代えて、各表面材に形成するようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態では、芯材の左右端面において表面材の端部が対向されて形成された繋ぎ目部が、当該端面の略中央部に位置する例を示しているが、これに限られず、当該端面の表面側に寄った位置、或いは裏面側に寄った位置に長手方向に沿って繋ぎ目部が形成されるようなものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明に係る建築用パネル材の一実施形態を模式的に示し、(a)は、図3(b)におけるY−Y線矢視概略横断面図、(b)は、(a)におけるX1部の概略拡大断面図である。
【図2】(a)は、同建築用パネル材の芯材及び表面材の貼着前の状態を図1(a)に対応させて模式的に示す概略横断面図、(b)は、(a)におけるX2部の概略拡大断面図である。
【図3】(a)は、同芯材を模式的に示す概略斜視図、(b)は、同建築用パネル材を模式的に示す概略斜視図、(c)は、(b)におけるZ1矢視図である。
【図4】(a)、(b)は、いずれも同建築用パネル材に適用される表面材の他例を示し、それぞれ図2(b)に対応させた図である。
【図5】(a)〜(c)は、いずれも本発明に係る建築用パネル材の他の実施形態を示し、それぞれ図3(a)〜(c)に対応させた図である。
【図6】(a)〜(c)は、いずれも本発明に係る建築用パネル材の更に他の実施形態を示し、それぞれ図3(a)〜(c)に対応させた図である。
【図7】(a)、(b)は、いずれも本発明に係る建築用パネル材の更に他の実施形態を示し、(a)は、図1(a)に対応させた図、(b)は、図2(a)に対応させた図である。
【符号の説明】
【0056】
10,10A,10B,10C 建築用パネル材
1,1A,1B 芯材
11,11A,11B 芯材の表面(芯材の外表面)
12,12A,12B 芯材の裏面(パネル芯材の外表面)
13,13A,13B 芯材の右端面(芯材の外表面、側端面)
14,14A,14B 芯材の左端面(芯材の外表面、側端面)
2,2A,2B,2C,2D,2F 表面材
20,20A,20B 化粧シート
21 化粧シートの延出部(折込み代)
22,22A,22B,22C,22D,22F 基材
22a 基材の表面
22b 基材の端部端面(表面材の端部、端部端面)
23,23A 基材の延出部(基材の残余部位、折込み代)
25,25A,25B,25C 折込み代
26 折込み代の溝部
3,3A 繋ぎ目部
Sp 繋ぎ目部の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の少なくとも一方の側端面において、繋ぎ目部を形成するように表面材の端部同士を対向させて該芯材の外表面に該表面材を貼着した建築用パネル材であって、
前記表面材は、薄板状の基材の表面に弾性を有する化粧シートを貼着した構造とされ、該表面材の一方の端部には、表面側部位を延出させた折込み代が設けられており、該折込み代が前記表面材の他方の端部との間に形成された前記繋ぎ目部の隙間に折込まれて、該隙間を塞ぐ構造とされていることを特徴とする建築用パネル材。
【請求項2】
請求項1において、
前記表面材の他方の端部には、表面側部位を延出させた折込み代が更に設けられており、該折込み代が前記隙間に折込まれて、前記一方の端部に設けられた折込み代とにより、該隙間を塞ぐ構造とされていることを特徴とする建築用パネル材。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記折込み代は、前記表面材の基材の化粧シート側部位を残すようにして切除された該基材の残余部位と、該残余部位の表面側の化粧シートとからなることを特徴とする建築用パネル材。
【請求項4】
請求項3において、
前記折込み代の裏面側基端には、溝部が形成されていることを特徴とする建築用パネル材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−270341(P2009−270341A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121832(P2008−121832)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】