説明

建築用木材の継合構造

【課題】建築用縦材と建築用横材との連結部位にガタつきのない建築用木材の継合構造を提供すること。
【解決手段】建築用縦材1の側面部にボルト通し孔4を設け、建築用横材2の端部に金具挿入穴5を設け、この金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入し、この横材固定金具6に形成した差込孔7とこの差込孔7に連通する建築用横材2の側面部に形成した係止孔8とに係止体9を差込係止して金具挿入穴5に横材固定金具6を固定し、この横材固定金具6の挿入基端側に接合用ボルト3を螺着可能な螺着部10を設け、この螺着部10に、ボルト通し孔4に挿通配設した接合用ボルト3を螺着して締付することで、横材固定金具6と共に建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部に引き寄せて継合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、木製の柱などの建築用縦材と、木製の梁などの建築用横材とを継合する建築用木材の継合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の建築用木材の継合構造としては、例えば特開2000−104343号(特許文献1)にあるように、断面コ字型若しくはU字型の継合金具を用いる構造がある。
【0003】
具体的には、建築用縦材に当接固定する縦材固定部と、この縦材固定部から突出して建築用横材の端部の仕口部に継合連結される左右一対の横材連結板部とから成る断面コ字型若しくはU字型の継合金具を用いる。
【0004】
この継合金具の縦材固定部には、前記縦材の側面より貫通突出する連結ボルトを挿通するボルト孔を上下方向に複数並設状態に設け、一方この継合金具の左右の横材連結板部には夫々、前記横材の端部にして仕口部に形成された係止孔に挿通固定する係止体(ドリフトピン)を挿通する為の差込孔や、前記仕口部の係止孔に挿通固定した最も上側位置の係止体を掛け止め状態に連結する為のあご掛け凹部を設ける。
【0005】
そして、例えば、先ず縦材の対向側面間に貫通状態に設けたボルト挿通孔に貫通した連結ボルトにより、この縦材の側面に継合金具の縦材固定部を当接固定する。
【0006】
次いで、この継合金具の横材連結板部を横材の仕口部内に挿入配設しつつ、この仕口部の最も上側の係止孔に予め挿通固定しておいた係止体を前記横材連結板部のあご掛け凹部に上方から載置支承させて掛け止め状態に連結する。
【0007】
その後、この仕口部の残余の係止孔と、前記横材連結板部の差込孔とを連通させて係止体を打ち込み固定して、この横材連結板部を前記横材の仕口部に継合連結し、これにより縦材と横材とを直角若しくは傾斜状態に継合する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−104343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような継合金具は、係止体を打ち込みする際の施工性向上を目的として、差込孔の孔径寸法が、係止体の外径寸法よりやや径大に設定されている。
【0010】
しかし、この寸法差によって差込孔と係止体とに生じる隙間がガタつきを生み、このガタつきが建築用縦材に対する建築用横材の連結位置の精度不良や構造強度低下の要因となる懸念がある。
【0011】
そこで、このような懸念を解消するために、「引き寄せ」と称される手法が従来から実施されている。
【0012】
この「引き寄せ」を簡単に説明すると、例えば、横材の端部に形成する前記係止孔を、前記差込孔と前記係止体との径寸法差に応じて通常より横材の内側(横材の長さ方向の中央側)に位置するように形成し、これにより係止孔に係止体を打ち込んで係止体を差込孔に差込すると、差込孔の前記横材連結板部の先端側の孔縁に係止体の側部外周面が当接して、横材が縦材の側面部に引き寄せられるようにするもので、この構成によれば、差込孔と係止体とにガタつきが生じず、上記のような懸念は解消される。
【0013】
しかし、この「引き寄せ」は、前記横材の端部への係止孔の形成位置に高精度を要する上、この係止孔の位置精度を確保できても、横材が乾燥によって収縮してしまうと係止孔と差込孔との位置関係に狂いが生じてしまうため、収縮しにくい品質の木材を使用する必要があった。
【0014】
本発明は、このような現状に鑑みて商品開発を進めた末に完成したもので、建築用横材への係止孔の形成位置に高精度を要したり横材の品質に左右されることなく横材を縦材に引き寄せて継合でき、これにより建築用縦材と建築用横材との連結部位(係止体と差込孔)にガタつきがなく、優れた耐力を発揮する画期的な建築用木材の継合構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0016】
木製の建築用縦材1と木製の建築用横材2とを直角若しくは傾斜状態に継合する建築用木材の継合構造であって、前記建築用縦材1の側面部に接合用ボルト3を挿通配設するボルト通し孔4を設け、前記建築用横材2の端部に金具挿入穴5を設け、この金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入配設して、この横材固定金具6に形成した差込孔7と、この差込孔7に連通する前記建築用横材2の側面部に形成した係止孔8とに係止体9を差込係止することで金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入固定すると共に、前記差込孔7は、その孔径寸法を前記係止体9の外径寸法より大きく設定し、この横材固定金具6が挿入固定された前記建築用横材2の端部を前記建築用縦材1の側面部に当接した際に、この横材固定金具6の挿入基端側と建築用縦材1の側面部との間に前記差込孔7の孔径寸法と前記係止体9の外径寸法の寸法差以上の隙間が生じるように、前記差込孔7の横材固定金具6への形成位置若しくは前記係止孔8の建築用横材2の側面部への形成位置を設定し、この横材固定金具6は、前記金具挿入穴5への挿入基端側に前記接合用ボルト3を螺着可能な螺着部10を設け、この螺着部10に、前記ボルト通し孔4に挿通配設して突出させた前記接合用ボルト3を螺着し接合用ボルト3を締付することで、横材固定金具6と共に前記建築用横材2の端部を前記建築用縦材1の側面部に引き寄せて継合する構造としたことを特徴とする建築用木材の継合構造に係るものである。
【0017】
また、前記建築用縦材1の側面部に、前記ボルト通し孔4を上下方向に複数並設状態に設け、この複数のボルト通し孔4に対応させて前記横材固定金具6の挿入基端側に前記螺着部10を上下方向に複数並設状態に設けたことを特徴とする請求項1記載の建築用木材の継合構造に係るものである。
【0018】
また、前記建築用縦材1の側面部に、前記建築用横材2の端部の下面を面接状態で支承する支承段面13を切欠形成すると共に、この支承段面13に建築用横材2の端部の下面を支承すると、前記ボルト通し孔4に挿通配設した前記接合用ボルト3のボルト先端部と前記螺着部10とが臨設状態となるように、この支承段面13の形成位置を設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の建築用木材の継合構造に係るものである。
【0019】
また、建築用縦材1の側面部に、板状の金属製台座体14を、その一側板面を建築用縦材1の側面部に面接重合させて固定し、この台座体14は、前記ボルト通し孔4と連通させてこのボルト通し孔4に挿通配設した前記接合用ボルト3のボルト先端部を貫通突出させる貫通孔15を設けると共に、この台座体14の他側板面を金具受面部16とし、この金具受面部16に面接重合可能な接合面部17を、前記横材固定金具6の前記金具挿入穴5への挿入基端側に設けると共に、この接合面部17に前記螺着部10を設け、この螺着部10に、前記ボルト通し孔4に挿通配設して前記貫通孔15から突出させた前記接合用ボルト3のボルト先端部を螺着し接合用ボルト3を締付することで、前記接合面部17と前記金具受面部16とを面接重合状態に締付固定して建築用縦材1の側面部に建築用横材2の端部を継合する構造としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築用木材の継合構造に係るものである。
【0020】
また、前記台座体14は、前記横材固定金具6の接合面部17の面積より大きい面積を具備する金属板で構成したことを特徴とする請求項4記載の建築用木材の継合構造に係るものである。
【0021】
また、前記建築用横材2の端部に、前記建築用縦材1の側面部に固定された前記台座体14が嵌入する嵌入溝20を切欠形成すると共に、この嵌入溝20は、上下方向に溝長を有するように構成して、この嵌入溝20に嵌入した台座体14をガイドに建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部に対し昇降移動して継合位置に配置し得るように構成し、この嵌入溝20の上側溝部に嵌入して前記横材固定金具6の挿入基端側の上部に当接する上側押え部材18を前記建築用縦材1の側面部に固定すると共に、前記嵌入溝20の下側溝部に嵌入して前記横材固定金具6の挿入基端側の下部に当接する下側押え部材19を前記建築用縦材1の側面部に固定する構造としたことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の建築用木材の継合構造に係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上述のように構成したから、建築用縦材のボルト通し孔に挿通配設した接合用ボルトを建築用横材端部の金具挿入穴に挿入固定した横材固定金具の螺着部に螺着して締付することにより、建築用縦材に対し建築用横材(の金具挿入穴に挿入固定した横材固定金具)を引き寄せて継合することができ、しかも、この横材固定金具の引き寄せにより、係止体より径大な差込孔の孔縁を係止体の外周面に確実に当接させて互いの径寸法差を解消できるので、建築用縦材と建築用横材の継合部位のガタつきを確実に解消できて継合位置の精度不良や構造強度低下を生じにくい上、地震や強風の影響で建物が揺れて建築用縦材に対する建築用横材の交差角度を変化させようとする荷重が生じても、直ちにこの荷重に対する耐力を発揮できる極めて実用性に優れた画期的な建築用木材の継合構造となる。
【0023】
また、請求項2記載の発明においては、上下並設状態に配設される複数の接合用ボルトにより建築用縦材に建築用横材を極めて強固に継合できる一層実用性に優れた建築用木材の継合構造となる。
【0024】
また、請求項3記載の発明においては、建築用縦材の支承段面に建築用横材の端部の下面を支承させて仮止め状態にでき、この仮止め状態で接合用ボルトのボルト先端部を横材固定金具の螺着部に容易に螺着することができる一層施工性に優れた建築用木材の継合構造となる。
【0025】
また、請求項4,5記載の発明においては、例えば、地震や強風で建物が揺れると、建築用縦材に対する建築用横材の交差角度を変化させようとする荷重が生じるが、この荷重を台座体の金具受面部と横材固定金具の接合面部とが面で支えるために優れた耐力を発揮でき、しかも、特に請求項5記載の発明においては、上記荷重を支える台座体が建築用縦材の側面部に広い面積で面接固定するために、台座体が建築用縦材の側面部にめり込みにくく一層優れた耐力を発揮できることになる。
【0026】
また、請求項6記載の発明においては、建築用縦材の側面部に台座体を固定する構成でありながら、台座体を嵌入溝に嵌入させて建築用縦材の側面部と建築用横材の端部とを隙間なく継合でき、しかも、嵌入溝に嵌入した台座体をガイドに建築用横材の端部を建築用縦材の側面部に対し昇降移動できるので、建築用横材の端部を建築用縦材の側面部の継合位置に容易に配置可能であり、その上、嵌入溝の上部と下部とに嵌入して建築用縦材の側面部に固定されている上側押え部材と下側押え部材とが、横材固定金具の挿入基端側の上部と下部とに当接しているため、特に建築用縦材に対する建築用横材の交差角度を上下方向に変化させようとする荷重が生じた場合には、この上側押え部材と下側押え部材とが直ちにこの荷重に対する耐力を発揮できるなど、一層実用性に優れた構成の建築用木材の継合具となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の、建築用縦材の側面部に座板体と共に下側押え部材を固定しようとする様子を示す説明斜視図である。
【図2】実施例1の、建築用横材端部の金具挿入穴に横材固定金具を挿入固定しようとする様子を示す説明斜視図である。
【図3】実施例1の、建築用縦材の側面部に建築用横材の端部を突き合わせようとする様子を示す説明斜視図である。
【図4】図3に続いて、建築用縦材の支承段面に建築用横材の端部の下面を面接重合させ、ボルト通し孔に接合用ボルトを挿通配設しようとする様子を示す一部を切り欠いた説明斜視図である。
【図5】図4に続いて、ボルト通し孔に接合用ボルトを挿通してボルト先端部を横材固定金具の螺着部に螺着し、接合用ボルトを締付して建築用横材(横材固定金具)を建築用縦材の側面部に引き寄せて継合した状態を示す説明平断面図である。
【図6】図5に続いて、上側押え部材を建築用縦材に固定しようとする様子を示す説明斜視図である。
【図7】実施例1の建築用縦材と建築用横材の継合状態を示す説明斜視図である。
【図8】実施例1の建築用縦材と建築用横材の継合状態における、継合部分を切り欠いた説明正面図である。
【図9】実施例2の建築用縦材と建築用横材の継合状態における、継合部分を切り欠いた説明正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0029】
建築用横材2の端部の金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入配設し、この横材固定金具6に形成した差込孔7と、この差込孔7に連通する前記建築用横材2の側面部に形成した係止孔8とに係止体9を差込係止することで金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入固定するが、この際、係止体9は、その外径寸法より大きい孔径寸法の差込孔7に対して容易に差し込み可能である。
【0030】
この建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部に突き合わせ、建築用縦材1のボルト通し孔4に挿通配設した接合用ボルト3を、横材固定金具6の挿入基端側の螺着部10に螺着してこの接合用ボルト3を締付回動すると、横材固定金具6が建築用横材2とともに前記建築用縦材1の側面部に向かって引き寄せられるように螺動し、建築用横材2の端部が建築用縦材1の側面部に当接するまで接合用ボルト3を締付回動して建築用木材2の端部を建築用縦材1の側面部に締付継合固定する。尚、接合用ボルト3は、予めボルト通し孔4に挿通配設しておくようにしても良い。
【0031】
この際、横材固定金具6が建築用縦材1の側面部に引き寄せられると、差込孔7の孔縁の一部が前記係止体9の外周面の一部に対して接近移動し、この差込孔7の孔縁の一部が係止体9の外周面の一部に隙間なく接触するまで接合用ボルト3を締付回動すると、差込孔7に対する係止体9のガタつきが解消された状態になる。
【0032】
また、この際本発明では、建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部に当接させると、前記横材固定金具6の挿入基端側と建築用縦材1の側面部との間に、前記差込孔7の孔径寸法と前記係止体9の外径寸法との寸法差以上の隙間が生じているので、差込孔7の孔縁の一部が前記係止体9の外周面の一部に接触しないうちに横材固定金具6の挿入基端側が建築用縦材1の側面部に当接してしまうことがなく、確実に差込孔7の孔縁の一部が係止体9の外周面の一部に接触するまで接合用ボルト3を締付することができ、これにより差込孔7に対する係止体9のガタつきが解消された状態で建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部に継合することができる。
【0033】
従って、本発明の継合構造によれば、建築用横材2への係止孔8の形成位置に高精度を要したり建築用横材2の品質に左右されたりすることなく、建築用縦材1に対して建築用横材2をガタつきなく且つ位置精度良く継合することができ、しかも、地震や強風の影響で建物が揺れて建築用縦材1と建築用横材2とを引き離そうとする荷重や、建築用縦材1に対する建築用横材2の交差角度を変化させようとする荷重が生じても、ガタつきのない継合部位が直ちにこの荷重に対する耐力を発揮できる高強度の継合構造が実現することになる。
【0034】
また、例えば、前記建築用縦材1の側面部に、前記建築用横材2の端部の下面を面接状態で支承する支承段面13を切欠形成すると共に、この支承段面13に建築用横材2の端部の下面を支承すると、前記ボルト通し孔4に挿通配設して突出させた前記接合用ボルト3のボルト先端部と前記螺着部10とが臨設状態となるように、この支承段面13の形成位置を設定すれば、建築用縦材1の支承段面13に建築用横材2の端部の下面を支承して建築用横材2を仮止めすることができるので、建築用横材2を所定位置に支え続ける必要がなく、しかもこの仮止め状態で、ボルト通し孔4に挿通配設して突出させた前記接合用ボルト3のボルト先端部と螺着部10とが臨設状態となるので、接合用ボルト3を螺着部10に簡単に螺着することができる。
【0035】
また、支承段面13に建築用横材2の端部の下面が面接状態で支承されたままこの建築用横材2の端部が建築用縦材1の側面部に継合されるので、特に建築用横材1に対し建築用横材2の交差角度を上下方向に変化させようとする荷重が生じた場合には、この荷重が支承段面13にも受支承されてこの荷重に対する優れた耐力を発揮することになる。
【0036】
また、例えば、建築用縦材1の側面部に、板状の金属製台座体14を、その一側板面を建築用縦材1の側面部に面接重合させて固定し、この台座体14は、前記ボルト通し孔4と連通させてこのボルト通し孔4に挿通配設した前記接合用ボルト3のボルト先端部を貫通突出させる貫通孔15を設けると共に、この台座体14の他側板面を金具受面部16とし、この金具受面部16に面接重合可能な接合面部17を、前記横材固定金具6の前記金具挿入穴5への挿入基端側に設けると共に、この接合面部17に前記螺着部10を設け、この螺着部10に、前記ボルト通し孔4に挿通配設して前記貫通孔15から突出させた前記接合用ボルト3のボルト先端部を螺着し接合用ボルト3を締付することで、前記接合面部17と前記金具受面部16とを面接重合状態に締付固定して建築用縦材1の側面部に建築用横材2の端部を継合する構造とすれば、地震や強風の影響で建物が揺れて、建築用縦材1に対する建築用横材2の交差角度を変化させようとする荷重が生じても、この荷重が面接重合する台座体14の金具受面部16と横材固定金具6の接合面部17との広い面積で受支承されると共に、台座体14と横材固定金具6のいずれもが強度のある金属製であるので、金具受面部16と接合面部17とが互いにめり込むような変形を生じにくく、また、この台座体14の一側板面も建築用縦材1の側面部に対して面接重合状態で固定しているために、台座体14から建築用縦材1側面部に伝達する前記荷重も広い面積で受支承されて台座体14が建築用縦材1にめり込みにくく、従って、建築用縦材1に対する建築用横材2の交差角度に変化を生じにくく、上記荷重に対する優れた耐力を発揮することになる。
【0037】
また、例えば、前記台座体14は、前記横材固定金具6の接合面部17の面積より大きい面積を具備する金属板で構成すれば、広い面積で面接状態に固定される台座体14は、建築用縦材1の側面部に対してめり込みにくく、従って、建築用縦材1に対して建築用横材2の交差角度が一層変化しにくくなる。
【0038】
また、例えば、前記建築用横材2の端部に、前記建築用縦材1の側面部に固定された前記台座体14が嵌入する嵌入溝20を切欠形成すると共に、この嵌入溝20は、上下方向に溝長を有するように構成して、この嵌入溝20に嵌入した台座体14をガイドに建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部に対し昇降移動して継合位置に配置し得るように構成し、この嵌入溝20の上側溝部に嵌入して前記横材固定金具6の挿入基端側の上部に当接する上側押え部材18を前記建築用縦材1の側面部に固定すると共に、前記嵌入溝20の下側溝部に嵌入して前記横材固定金具6の挿入基端側の下部に当接する下側押え部材19を前記建築用縦材1の側面部に固定する構造とすれば、台座体14を嵌入溝20に嵌入させると、建築用縦材1の側面部と建築用横材2の端部とを隙間なく継合することができるし、嵌入溝20に嵌入した台座体14をガイドに建築用横材1の端部を建築用縦材2の側面部に対して昇降移動して、建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部の継合位置に容易に配置することができる。また、嵌入溝20の上側溝部に嵌入して横材固定金具6の挿入基端側の上部に当接させた上側押え部材18を建築用縦材1の側面部に固定すると共に、嵌入溝20の下側溝部に嵌入して横材固定金具6の挿入基端側の下部に当接させた下側押え部材19を建築用縦材1の側面部に固定すると、この横材固定金具6に当接している上側押え部材18と下側押え部材19が、建築用縦材1に対する建築用横材2の交差角度を変化させようとする荷重に対して直ちに耐力を発揮し、特に建築用縦材1に対し建築用横材2の交差角度を上下方向に変化させようとする荷重に対して優れた耐力を発揮できる。
【実施例1】
【0039】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図8に基づいて説明する。
【0040】
本実施例は、木製の建築用縦材1と木製の建築用横材2とを直角に継合する建築用木材の継合構造に係るものである。
【0041】
本実施例の建築用縦材1は、断面長方形状の角材を採用し、その側面部に接合用ボルト3を挿通配設してボルト先端部を建築用縦材1の側面部より突出させるボルト通し孔4を設けている。
【0042】
具体的には、建築用縦材1の上部に、対向側面部間を貫通するようにして前記ボルト通し孔4を設けて、このボルト通し孔4に建築用縦材1の対向側面部の一方側から前記接合用ボルト3を挿通してこの接合用ボルト3のボルト先端部を対向側面部の他方側から突出させる構成としている。
【0043】
また、このボルト通し孔4は、建築用縦材1の対向側面部の横幅方向の中間位置に設けると共に、この中間位置に上下方向に一定の小間隔を置いて複数(図面では上下四箇所)並設状態に設けている。
【0044】
また、この建築用縦材1の他方側の側面部を、側面視で略L字状に切欠形成し、この切欠部を形成した他方側の側面部を前記建築用横材2の端部を当接させて継合させる継合面23とし、この継合面23より下部の水平面を支承段面13として、この支承段面13上に建築用横材2の端部の下面を面接状態で支承できるように構成している。
【0045】
また、建築用縦材1の一方側の側面部の、前記複数のボルト通し孔4が存する箇所に座刳り加工を施して、この座刳り部24に六角ボルトを採用した前記接合用ボルト3のボルト頭部と共に座金11を収めつつ接合用ボルト3をボルト通し孔4に挿通配設し得るように構成している。
【0046】
また、この座刳り部24は、上下方向に連続する形状に形成してこの座刳り部24に全てのボルト通し孔4が配置する構成とし、一方、前記座金11も、上下方向に長さを有し且つ上下方向に複数(図面では四箇所)のボルト孔12を有する形状に形成して、この上下方向に長さを有する一枚の座金11が複数の接合用ボルト3全てに対しての機能を賄う構成としている。
【0047】
従って、上下方向に長さを有するこの座金11が建築用縦材1に広い面積で面接重合するため、接合用ボルト3の締付力が建築用縦材1の広い範囲に分散して作用して建築用縦材1にめり込みにくく、建築用縦材1を傷付けにくい構成としている。
【0048】
また、本実施例では、前記ボルト通し孔4,前記支承段面13,継合面23,座刳り部24がプレカットされた建築用縦材1を使用する構成としている。
【0049】
本実施例の建築用横材2は、断面長方形状の角材を採用し、その端部に金具挿入穴5を設けている。
【0050】
また、この金具挿入穴5は、建築用横材2の軸心位置に、反対側にまで貫通しない横穴を形成して構成すると共に、この横穴5は、建築用横材2の外形に同調し且つ建築用横材2の外形より一回り径小な縦長方形状を呈する角穴に形成している。
【0051】
また、建築用横材2の端部の側面部に、対向側面部間を水平方向に貫通し且つ前記金具挿入穴5に連通するようにして係止孔8を複数散在状態に形成している。
【0052】
また、この建築用横材2の端部に、上下方向に溝長を有する嵌入溝20を切欠形成して、この嵌入溝20に後述する台座体14を嵌入し得るように構成している。
【0053】
また、この嵌入溝20は、建築用横材2の軸心と重なる位置に形成して、この嵌入溝20の溝底に前記金具挿入穴5の開口部が存するように構成し、この嵌入溝20に後述する台座体14を嵌入した際に、この嵌入溝20の両側に残存する建築用横材2の端部が前記建築用縦材1の前記継合面23に面接当接するように構成している。
【0054】
また、この嵌入溝20は、後述する台座体14の板厚寸法より大きい溝深度を有し、且つ前記支承段面13の前記継合面23からの突出幅寸法よりやや小さい溝深度を有する構成として建築用横材2の端部を前記建築用縦材1の継合面23に突き合わせ当接させてこの端部の下面を建築用縦材1の支承段面13に支承した際には、下方からこの嵌入溝20が隠れて見えなくなる構成としている。
【0055】
また、本実施例の建築用横材2は、前記金具挿入穴5,前記係止孔8,前記嵌入溝20がプレカットされたものを使用する構成としている。
【0056】
本実施例では、建築用縦材1の側面部(前記継合面23)に板状の金属製台座体14を固定し、建築用横材2の前記金具挿入孔5に横材固定金具6を挿入固定する構成としている。
【0057】
本実施例の台座体14は、その一側板面を建築用縦材1の前記継合面23に面接重合させるための固定面とし、この固定面を継合面23に面接重合させた際に、前記ボルト通し孔4と連通させてこのボルト通し孔4に挿通配設した前記接合用ボルト3のボルト先端部を建築用縦材1の外方へ貫通突出させる貫通孔15を設けている。
【0058】
具体的には、台座体14は、上下方向に長さを有し且つ前記継合面23の高さ幅よりやや短い上下長さ寸法の長方形板状体に構成し、この台座体14に前記貫通孔15を、前記複数のボルト通し孔4に位置を対応させて上下方向に間隔を置いて複数並設状態に設けている。
【0059】
また、この台座体14は、前記建築用縦材1の継合面23の横幅寸法より小さく且つ前記建築用横材2の嵌入溝20の溝幅よりやや幅狭な横幅寸法を有する構成として、この台座体14を貫通孔15とボルト通し孔4とを位置合わせして継合面23に固定すると、この台座体14が継合面23の横幅方向の中間に位置して両側に継合面23が露出し、この両側の継合面23に建築用横材2の端部を突き合わせ当接することができると共に、この際台座体14が建築用横材2の嵌入溝20に嵌入するように構成している。また、この台座体14と嵌入溝20との嵌合関係によって、建築用縦材1に対する建築用横材2の横ズレ防止機能が発揮されるように構成している。
【0060】
また、この台座体14の前記建築用縦材1の側面部(継合面23)への固定手段は、台座体14の上部一箇所と下部二箇所とに木ネジや釘などの止着具21を挿通させる取付孔22を貫通形成し、この三箇所の取付孔22を利用して止着具21により止着固定する構成としている。
【0061】
また、建築用縦材1の側面部(継合面23)から表出する台座体14の他側板面を金具受面部16とし、この金具受面部16に後述する横材固定金具6の接合面部17を面接重合し得るように構成している。
【0062】
また、この台座体14は、その面積を後述する横材固定金具6の接合面部17の面積より一回り大きく設定している。即ち、金具受面部16も、後述する接合面部17より広い面積を有する構成とし、この広い面積の金具受面部16で接合面部17の全面を面接重合可能に構成している。
【0063】
本実施例の横材固定金具6は、前記金具挿入穴5に挿入可能な厚みのある長方形平板状に形成している。
【0064】
また、この横材固定金具6は、その長辺方向が上下方向となるようにして立てた状態で
、金具挿入穴5に挿入し得るように構成し、この横材固定金具6を金具挿入穴5に奥まで挿入配設すると、その挿入基端側が、金具挿入穴5から突出して前記嵌入溝20に配置した状態となるように、この横材固定金具6の形状並びに金具挿入穴5の穴長を設定構成している。
【0065】
更に詳しくは、金具挿入穴5に挿入固定した横材固定金具6の挿入基端側の側面部(後述する接合面部17)が、建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部(継合面23)に突き合わせ当接した際に、この横材固定金具6と建築用横材1の側面部との間に隙間が生じるように、この横材固定金具6の形状並びに金具挿入穴5の穴長等を設定構成している。
【0066】
また、この横材固定金具6には、前記金具挿入穴5に挿入配設した際に前記係止孔8と連通可能な差込孔7を、この横材固定金具6の板厚方向を貫通するようにして複数散在状態に設け、この差込孔7と係止孔8とを連通させてこの連通孔7・8にドリフトピンなどの係止体9を差込係止することで、この横材固定金具6を金具挿入穴5に挿入固定できるように構成している。
【0067】
また、この複数の差込孔7は、その孔径寸法を、この差込孔7に差し込んで挿通させるドリフトピンなどの係止体9の外径寸法よりもやや径大に設定して、この差込孔7に対して係止体9を抵抗なく差し込み挿通させることができるように構成している。
【0068】
また、建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部(継合面23)に突き合わせ当接した際に、金具挿入穴5に挿入固定した横材固定金具6の挿入基端側の側面部(後述する接合面部17)と、建築用縦材の継合面23との間に、前記差込孔7の孔径寸法と前記係止体9の外径寸法との寸法差と同じかあるいは寸法差よりやや大きな隙間が生じるように、この差込孔7の横材固定金具6への形成位置と、前記係止孔8の建築用横材2の側面部への形成位置とを設定構成している。
【0069】
また、この横材固定金具6は、前記金具挿入穴5に対する挿入基端側面部を、即ち上下方向に長さを有する長方形状の側面部を、前記建築用縦材1の側面部(継合面23)に固定された台座体14の金具受面部16に面接重合する接合面部17とし、この接合面部17に前記接合用ボルト3のボルト先端部を螺着する螺着部10としての雌螺子孔10を設けている。
【0070】
また、この螺着部10は、前記複数のボルト通し孔4に位置を対応させて接合面部17に上下方向に複数(図面では四箇所)並設状態に設けている。
【0071】
また、本実施例では、建築用縦材1の継合面23に固定した台座体14を、建築用横材2端部の嵌入部20に嵌入させた状態で支承段面13に建築用横材2の端部の下面を支承した際に、各ボルト通し孔4と各螺着部10との位置が略合致して臨設する(各ボルト通し孔4と各螺着部10とが連通する)ように、支承段面13の建築用縦材1に対する形成位置を設定している。
【0072】
従って、台座体14を嵌入溝20に嵌入しつつ支承段面13に建築用横材2の端部の下面を支承することで、建築用横材2は支えが不要な仮止め状態となると共に、この仮止め状態で接合用ボルト3と螺着部10とを簡単に螺着することができるように構成し、この螺着部10に螺着した接合用ボルト3を更に締付回動させると、建築用縦材1の側面部に横材固定金具6とともに建築用横材2の端部を引き寄せて継合連結できるようにしている。
【0073】
また、本実施例では、建築用横材2の端部を建築用縦材1の側面部(継合面23)に突き合わせ当接した際に、横材固定金具6の挿入基端側の側面部(後述する接合面部17)と、建築用縦材1の継合面23に固定した台座体14の金具受面部16との間に前記差込孔7の孔径寸法と前記係止体9の外径寸法との寸法差の1/2程度の隙間が生じるように構成し、これにより、接合用ボルト3の締付回動により横材固定金具6が金具挿入穴5内で建築用縦材1の継合面23の方向へ引き寄せられて、差込孔7の孔縁が係止体9の外周面に隙間なく接触すると、略同時に台座体14の金具受面部16に横材固定金具6の接合面部17が面接重合することになる構成としている。
【0074】
また、本実施例は、前記建築用横材2の端部に嵌入溝20を切欠形成したことにより、この嵌入溝20の上側溝部と下側溝部とが継合後に隙間として表出してしまう。そこで、本実施例では、この嵌入溝20の上側溝部と下側溝部、即ち前記金具挿入穴5から突出する前記横材固定金具6の挿入基端側の上方と下方に生じる隙間に、上側押え部材18と下側押え部材19とを配設固定して各隙間を塞ぐようにし、更にこの上側押え部材18が金具挿入穴5から突出する横材固定金具6の挿入基端側の上面部に当接し、下側押え部材19が金具挿入穴5から突出する横材固定金具6の挿入基端側の下面部に当接する構成としている。
【0075】
従って、この横材固定金具6に当接している上側押え部材18と下側押え部材19が、建築用縦材1に対する建築用横材2の交差角度を変化させようとする荷重に対して直ちに耐力を発揮し、特に建築用縦材1に対し建築用横材2の交差角度を上下方向に変化させようとする荷重に対して優れた耐力を発揮する構成としている。
【0076】
この上側押え部材18と下側押え部材19とを更に詳しく説明すると、金具挿入穴5から突出する横材固定金具6の挿入基端側より上方側の上側溝部と下方側の下側溝部の形状と略合致する直方体形の部材で構成し、この上側押え部材18の下面が横材固定金具6の挿入基端側の上面部に面接当接し、下側押え部材19の上面が横材固定金具6の挿入基端側の下面部に面接当接するようにしている。
【0077】
また、この上側押え部材18と下側押え部材19とは、前記建築用縦材1の継合面23に固定する構成としている。
【0078】
更に詳しくは、上側押え部材18と下側押え部材19とに、夫々に止着具21としての木ネジ21を挿通するための止着孔25を複数(図面では2箇所)設け、この止着孔25に挿通した止着具21により建築用縦材1の継合面23に止着固定する構成としている。
【0079】
また、図示した上側押え部材18は、斜め上方向から止着具25を挿通できるように止着孔25を斜設状態に設けた場合を示しており、下側押え部材19は、前記台座体14を止着固定するための止着具21により台座体14とともに建築用縦材1の継合面23に止着固定した場合を示している。
【0080】
尚、この上側押え部材18と下側押え部材19の建築用縦材1への固定手段は、木ネジ21を用いた本実施例の固定手段に限定されるものではなく、例えば、止着具21としてのボルトやネジを螺着可能な雌螺子を台座体14に形成して、この雌螺子を利用して台座体14にボルト止めする(台座体14を介して建築用縦材1に固定する)固定手段を採用しても良いし、その他の固定手段を採用しても良い。
【0081】
次に、本実施例の建築用縦材1と建築用横材2の継合方法を説明する。
【0082】
建築用縦材1の他方側の側面部(継合面23)に、台座体14の一側板面を面接重合してボルト挿通孔4と貫通孔15の位置を合わせ、止着具21(木ネジ21)を用いてこの台座体14を継合面23に固定するが、この際、台座体14の金具受面部16の下部に下側押え部材19を重ねて、取付孔22と止着孔25の位置を合わせ、この取付孔22と止着孔25とに止着具21を挿通してこの下側押え部材19も台座体14とともに継合面23に固定する(図1参照。)。
【0083】
一方、建築用横材2の金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入し、連通する差込孔6と係止孔8とに係止体9としてのドリフトピン9を打ち込んで金具挿入穴5に横材固定金具6を挿入固定する(図2参照。)。
【0084】
次いで、建築用縦材1に対し上方から建築用横材2の端部を下ろしつつ嵌入溝20に台座体14を嵌入させ(図3参照。)、この嵌入溝20に嵌入した台座体14をガイドに建築用横材2を下ろして端部の下面を支承段面13に支承したら、座金11(ボルト孔12)を介して建築用縦材1の一方側の側面部からボルト通し孔4に接合用ボルト3を挿通して、螺着部10に螺着する(図4参照。)。
【0085】
次いで、接合用ボルト3を締付回動し横材固定金具6とともに建築用横材2を接合面23へと引き寄せてこの接合面23に建築用横材2の端部を面接当接させて継合固定するが(図5参照。)、この際、横材固定金具6が金具挿入穴5内で建築用縦材1の継合面23の方向へ引き寄せられて移動(螺動)し、これにより前記差込孔7の孔縁が前記係止体9の外周面に隙間なく接触して差込孔7に対する係止体9のガタつきが解消された状態になると共に、台座体14の金具受面部16に横材固定金具6の接合面部17が面接重合することになる。
【0086】
次いで、嵌入溝20の上部に上側押え部材18を配設し(図6参照。)、この上側押え部材18を止着具21により建築用縦材1の継合面23に止着固定して施工完了となる(図7,図8参照。)。
【実施例2】
【0087】
本発明の具体的な実施例2について図9に基づいて説明する。
【0088】
本実施例は、前記実施例1において、台座体14を、前記継合面23の高さ幅と略合致する上下長さ寸法を有する長方形板状に形成し、この台座体14の金具当接面部16の上部に、上側押え部材18を重ねて止着固定した場合を示している。尚、本実施例の上側押え部材18は、実施例1のそれより台座体14の板厚分奥行き寸法を小さくし、また、台座体14の上部の前記貫通孔15を避けた位置には、上側押え部材18の前記止着孔25と連通して止着具21を挿通可能な取付孔22を形成してある。
【0089】
また、前記台座体14の接合面部17の下部に前記下側押え部材19を一体的に突設した場合を示している。尚、本実施例では、取付孔22と止着孔25も一体化している(図面では符号22を付している。)。
【0090】
他の構成は前記実施例1と同様である。
【0091】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0092】
1 建築用縦材
2 建築用横材
3 接合用ボルト
4 ボルト通し孔
5 金具挿入穴
6 横材固定金具
7 差込孔
8 係止孔
9 係止体
10 螺着部
13 支承段面
14 台座体
15 貫通孔
16 金具受面部
17 接合面部
18 上側押え部材
19 下側押え部材
20 嵌入溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の建築用縦材と木製の建築用横材とを直角若しくは傾斜状態に継合する建築用木材の継合構造であって、前記建築用縦材の側面部に接合用ボルトを挿通配設するボルト通し孔を設け、前記建築用横材の端部に金具挿入穴を設け、この金具挿入穴に横材固定金具を挿入配設して、この横材固定金具に形成した差込孔と、この差込孔に連通する前記建築用横材の側面部に形成した係止孔とに係止体を差込係止することで金具挿入穴に横材固定金具を挿入固定すると共に、前記差込孔は、その孔径寸法を前記係止体の外径寸法より大きく設定し、この横材固定金具が挿入固定された前記建築用横材の端部を前記建築用縦材の側面部に当接した際に、この横材固定金具の挿入基端側と建築用縦材の側面部との間に前記差込孔の孔径寸法と前記係止体の外径寸法の寸法差以上の隙間が生じるように、前記差込孔の横材固定金具への形成位置若しくは前記係止孔の建築用横材の側面部への形成位置を設定し、この横材固定金具は、前記金具挿入穴への挿入基端側に前記接合用ボルトを螺着可能な螺着部を設け、この螺着部に、前記ボルト通し孔に挿通配設して突出させた前記接合用ボルトを螺着し接合用ボルトを締付することで、横材固定金具と共に前記建築用横材の端部を前記建築用縦材の側面部に引き寄せて継合する構造としたことを特徴とする建築用木材の継合構造。
【請求項2】
前記建築用縦材の側面部に、前記ボルト通し孔を上下方向に複数並設状態に設け、この複数のボルト通し孔に対応させて前記横材固定金具の挿入基端側に前記螺着部を上下方向に複数並設状態に設けたことを特徴とする請求項1記載の建築用木材の継合構造。
【請求項3】
前記建築用縦材の側面部に、前記建築用横材の端部の下面を面接状態で支承する支承段面を切欠形成すると共に、この支承段面に建築用横材の端部の下面を支承すると、前記ボルト通し孔に挿通配設した前記接合用ボルトのボルト先端部と前記螺着部とが臨設状態となるように、この支承段面の形成位置を設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の建築用木材の継合構造。
【請求項4】
建築用縦材の側面部に、板状の金属製台座体を、その一側板面を建築用縦材の側面部に面接重合させて固定し、この台座体は、前記ボルト通し孔と連通させてこのボルト通し孔に挿通配設した前記接合用ボルトのボルト先端部を貫通突出させる貫通孔を設けると共に、この台座体の他側板面を金具受面部とし、この金具受面部に面接重合可能な接合面部を、前記横材固定金具の前記金具挿入穴への挿入基端側に設けると共に、この接合面部に前記螺着部を設け、この螺着部に、前記ボルト通し孔に挿通配設して前記貫通孔から突出させた前記接合用ボルトのボルト先端部を螺着し接合用ボルトを締付することで、前記接合面部と前記金具受面部とを面接重合状態に締付固定して建築用縦材の側面部に建築用横材の端部を継合する構造としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築用木材の継合構造。
【請求項5】
前記台座体は、前記横材固定金具の接合面部の面積より大きい面積を具備する金属板で構成したことを特徴とする請求項4記載の建築用木材の継合構造。
【請求項6】
前記建築用横材の端部に、前記建築用縦材の側面部に固定された前記台座体が嵌入する嵌入溝を切欠形成すると共に、この嵌入溝は、上下方向に溝長を有するように構成して、この嵌入溝に嵌入した台座体をガイドに建築用横材の端部を建築用縦材の側面部に対し昇降移動して継合位置に配置し得るように構成し、この嵌入溝の上側溝部に嵌入して前記横材固定金具の挿入基端側の上部に当接する上側押え部材を前記建築用縦材の側面部に固定すると共に、前記嵌入溝の下側溝部に嵌入して前記横材固定金具の挿入基端側の下部に当接する下側押え部材を前記建築用縦材の側面部に固定する構造としたことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の建築用木材の継合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14932(P2013−14932A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148210(P2011−148210)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(596036692)株式会社タツミ (16)
【Fターム(参考)】