説明

建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造

【課題】車幅を大きくさせることなく、また運転室内に着座したオペレータの視界を妨げることなく、コントロールバルブ及びシャトルブロックを配置することができる。
【解決手段】本発明は、走行体1、旋回体2、作業装置3のうちの該当するものを駆動する複数の油圧アクチュエータの作動を個別に制御する複数の方向制御弁のうちの一部または全部が収納されるコントロールバルブ20を、運転室8の右横方向の旋回体2の右前側位置に配置してある。また本発明は、パイロットポンプ17から吐出され、複数の方向制御弁のそれぞれの制御部に与えられる切り換え用のパイロット圧を選択する複数のシャトル弁の一部または全部がバルブブロック内に収納されるシャトルブロック、例えば3分割したシャトルブロックうちの第1シャトルブロック21と第2シャトルブロック22を、運転室8の床を形成するフロアプレート81の下側部分に配置した構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に備えられ、複数の方向制御弁が収納されるコントロールバルブと、バルブブロック内に1つまたは複数のシャトル弁が収納されるシャトルブロックの配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この特許文献1には、ブーム、アーム、バケットを含む作業装置と、この作業装置が取り付けられる旋回体、及び走行体から成る車体とを有する建設機械、例えば油圧ショベルが開示され、この油圧ショベルに備えられるコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造が示されている。この特許文献1に示される油圧ショベルは、旋回体上に配置される運転室と、旋回体上の運転室の後方に配置され、エンジン、油圧ポンプ、及びパイロットポンプが収容されるエンジン室と、それぞれ油圧ポンプから吐出される圧油によって作動し、作業装置、旋回体、及び走行体のうちの該当するものを駆動するブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダ、旋回モータ、走行モータ等の複数の油圧アクチュエータとを備えている。
【0003】
また、この油圧ショベルは、上述した油圧アクチュエータの作動を個別に制御する複数の方向制御弁と、パイロットポンプから吐出され、上述の複数の方向制御弁のそれぞれの制御部に与えられる切り換え用のパイロット圧のいずれかを選択して出力する複数のシャトル弁とを有している。上述した複数の方向制御弁は、コントロールバルブ内に収納され、上述した複数のシャトル弁が1つのバルブブロック内に収容されて、シャトルブロックとして構成されている。また、コントロールバルブの上部位置に、横方向に張り出すように配置されたブラケットが取り付けられ、このブラケット上にコントロールバルブと配管で接続されるシャトルブロックが固定されている。すなわち、コントロールバルブとシャトルブロックとがブラケットを介して一体構造物として設けられている。このように一体化されたコントロールバルブとシャトルブロックは、旋回体の中央に位置する旋回装置の後方部分に、すなわち旋回体の中央部付近に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−248582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は、油圧ショベルが比較的大型で、旋回体の中央部付近にコントロールバルブ及びシャトルブロックの設置スペースを確保できる場合には問題がない。しかし、コントロールバルブ及びシャトルブロックが備えられる建設機械が、公道を走行するホイールショベルのように、車幅を大きくしないように制約を受けるものである場合には問題がある。コントロールバルブ及びシャトルブロックを車体の中央部付近に配置すると、この中央部付近に配置される他の機器との関係から車幅が大きくなりやすい。
【0006】
このようなことから、車幅を大きくしないように制約を受ける建設機械にコントロールバルブとシャトルブロックを備える場合、他の機器の配置の影響を受けにくい車体の右前側位置に、特許文献1で示されるようなコントロールバルブとシャトルブロックを配置することが考えられる。しかし、特許文献1に示される従来技術は、コントロールバルブの上部位置から張り出すように取り付けられたブラケットの上に、シャトルブロックを固定する構成にしてあることから、シャトルブロックの上面位置が高くなり、運転室内に着座したオペレータの視界がシャトルブロックによって妨げられ、これにより旋回体の右前方の視界確保が難しくなりやすい。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、車幅を大きくさせることなく、また運転室内に着座したオペレータの視界を妨げることなく、コントロールバルブ及びシャトルブロックを配置することができる建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、作業装置と、この作業装置が取り付けられる車体と、この車体上に配置される運転室と、上記車体上の上記運転室の後方に配置され、エンジン、油圧ポンプ、及びパイロットポンプが収容されるエンジン室と、それぞれ上記油圧ポンプから吐出される圧油によって作動し、上記作業装置及び上記車体のうちの該当するものを駆動する複数の油圧アクチュエータと、これらの油圧アクチュエータの作動を個別に制御する複数の方向制御弁と、上記パイロットポンプから吐出され、上記複数の方向制御弁のそれぞれの制御部に与えられる切り換え用のパイロット圧のいずれかを選択して出力する複数のシャトル弁とを有する建設機械に備えられ、上記複数の方向制御弁のうちの一部または全部が収納されるコントロールバルブと、上記複数のシャトル弁のうちの一部または全部がバルブブロック内に収納されるシャトルブロックとを上記車体に配置し、上記コントロールバルブと上記シャトルブロックを配管を介して接続した建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造において、上記コントロールバルブを、上記運転室の右横方向の上記車体の右前側位置に配置し、上記シャトルブロックを、上記運転室の床を形成するフロアプレートの下側部分に配置したことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、コントロールバルブを、他の機器の配置による影響を受けにくい運転室の右横方向の車体の右前側位置に配置し、シャトルブロックを、運転室の床を形成するフロアプレートの下側部分に配置したことから、コントロールバルブ及びシャトルブロックを、車幅の増大化を招きやすい車体の中央部付近に配置せずに済む。すなわち、車幅を大きくすることなくコントロールバルブ及びシャトルブロックを配置することができる。また、運転室の右横方向の車体の右前側位置に配置するのはコントロールバルブだけであり、このコントロールバルブの高さ寸法は、コントロールバルブの上方にシャトルブロックを設ける場合に比べれば低くてすむ。したがって、本発明に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造が備えられる建設機械では、コントロールバルブの上方に大きな開放空間を形成でき、コントロールバルブが、運転室内に着座したオペレータの視界の妨げとなることはない。
【0010】
また本発明は、上記発明において、上記フロアプレートの下面に固定されるブラケットを設け、このブラケットに上記シャトルブロックを着脱可能に取り付けたことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記発明において、上記シャトルブロックが、互いに配管を介して接続される第1シャトルブロックと、第2シャトルブロックと、第3シャトルブロックとから成り、上記第1シャトルブロックと上記第2シャトルブロックを、上記フロアプレートの上記下側部分に配置し、上記第3シャトルブロックを、上記運転室の後側に位置する上記車体部分に配置したことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記発明において、上記作業装置が、ブーム、アーム、及びバケットを含み、上記車体が走行体と、この走行体上に配置され上記運転室及び上記エンジン室が設けられる旋回体とから成り、上記油圧ポンプが、それぞれ可変容量型から成り、上記エンジンによって駆動される第1ポンプ及び第2ポンプを含み、上記第1シャトルブロックが、上記ブーム、上記アーム、上記バケット、及び上記走行体のそれぞれの駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、上記第2シャトルブロックが、上記旋回体の駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、上記第3シャトルブロックが、上記第1シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じて切り換えられ、上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第1ポンプ用操作信号圧として上記第1ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第1切換弁と、上記第2シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じて切り換えられ、上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第2ポンプ用操作信号圧として上記第2ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第2切換弁とを含むことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記発明において、上記作業装置が、ブーム、アーム、及びバケットを含み、上記車体が走行体と、この走行体上に配置され上記運転室及び上記エンジン室が設けられる旋回体とから成り、上記油圧ポンプが、それぞれ可変容量型から成り、上記エンジンによって駆動される第1ポンプ及び第2ポンプを含み、上記シャトルブロックが、互いに配管を介して接続される第1シャトルブロックと第2シャトルブロックとから成り、上記第1シャトルブロックを、上記フロアプレートの上記下側部分に配置し、上記第2シャトルブロックを、上記運転室の後側に位置する上記車体部分に配置し、上記第1シャトルブロックが、上記ブーム、上記アーム、上記バケット、上記走行体、及び上記旋回体のそれぞれの駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、上記第2シャトルブロックが、上記第1シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じてそれぞれ切り換えられ、上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第1ポンプ用操作信号圧として上記第1ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第1切換弁、及び上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第2ポンプ用操作信号圧として上記第2ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第2切換弁を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、コントロールバルブを、他の機器の配置による影響を受けにくい運転室の右横方向の車体の右前側位置に配置し、シャトルブロックを、運転室の床を形成するフロアプレートの下側部分に配置したことから、コントロールバルブ及びシャトルブロックを、車幅の増大化を招きやすい車体の中央部付近に配置せずに済む。すなわち、車幅を大きくすることなくコントロールバルブ及びシャトルブロックを配置することができる。したがって本発明は、車幅に制約を受けやすいホイールショベル等の建設機械の車体にコントロールバルブ及びシャトルバルブを配置するのに好適である。また本発明にあっては、運転室の右横方向の車体の右前側位置に配置するのはコントロールバルブだけであり、このコントロールバルブの高さ寸法は、コントロールバルブの上方にシャトルブロックを設ける場合に比べれば低くてすむ。したがって、本発明に係るコントロールバルブとシャトルバルブの配設構造が備えられる建設機械では、コントロールバルブの上方に大きな開放空間を形成でき、コントロールバルブが、運転室内に着座したオペレータの視界の妨げとなることはない。これにより、運転室内に着座したオペレータの車体右前方に対する良好な視界を確保でき、当該建設機械の作業性と安全性の確保に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造の一実施形態が備えられる建設機械の一例として挙げたホイールショベルを示す側面図である。
【図2】図1に示すホイールショベルの要部を示す平面図である。
【図3】図1に示すホイールショベルの運転室部分を示す側面図である。
【図4】本実施形態に備えられる3つのシャトルブロックのうちの第1シャトルブロックと第2シャトルブロックを示す斜視図である。
【図5】本実施形態に備えられるシャトルブロックの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造の一実施形態が備えられる建設機械の一例として挙げたホイールショベルを示す側面図、図2は図1に示すホイールショベルの要部を示す平面図、図3は図1に示すホイールショベルの運転室部分を示す側面図、図4は本実施形態に備えられる3つのシャトルブロックのうちの第1シャトルブロックと第2シャトルブロックを示す斜視図である。
【0018】
本実施形態に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造が設けられる建設機械は、例えば車幅に制約を受けやすいホイールショベルであり、このホイールショベルは図1に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2に取り付けられる作業装置3とを備えている。上述した走行体1と旋回体2とによって車体が構成されている。
【0019】
走行体1は、シャーシ4と、このシャーシ4に取り付けられ油圧アクチュエータである走行モータを含む走行装置5と、前輪6及び後輪7とを備えている。作業装置3は、旋回体2に上下方向の回動可能に取り付けられるブーム11と、このブーム11の先端に上下方向の回動可能に取り付けられるアーム12と、このアーム12の先端に上下方向の回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行うバケット13とを含んでいる。また、この作業装置3は、ブーム11を駆動するブームシリンダ11a、アーム12を駆動するアームシリンダ12a、バケット13を駆動するバケットシリンダ13a等の油圧アクチュエータも含んでいる。
【0020】
走行体1上に配置され、油圧アクチュエータである旋回モータによって旋回する旋回体2の旋回フレーム2a上には、前側位置に運転室8を配置してある。また、後側位置には重量バランスを確保するカウンタウエイト9を配置してあり、運転室8とカウンタウエイト9との間にはエンジン室10を配置してある。このエンジン室10内には、図2に示すように、エンジン14と、それぞれこのエンジン14によって駆動される可変容量型の第1ポンプ15及び第2ポンプ16と、パイロットポンプ17とを収容させてある。
【0021】
本実施形態に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造は、図2に示すように、当該ホイールショベルに備えられる複数の方向制御弁のうちの一部または全部が収納されるコントロールバルブ20を、運転室8の右横方向の車体すなわち旋回体2の右前側位置に配置した構成にしてある。また本実施形態は、当該ホイールショベルに備えられる複数のシャトル弁のうちの一部または全部がバルブブロック内に収納される後述のシャトルブロックを、図3に示す運転室8の床を形成するフロアプレート81の下側部分に配置してある。例えばフロアプレート81の下面に固定されるブラケット82を設けてあり、このブラケット82にシャトルブロックを着脱可能に取り付けてある。
【0022】
シャトルブロックは、例えば互いに配管を介して接続される3つのシャトルブロック、すなわち第1シャトルブロック21と、第2シャトルブロック22と、第3シャトルブロック23とから成り、第1シャトルブロック21と第2シャトルブロック22を、図2,3に示すように、フロアプレート81の下側の今までデッドスペースとなっていて、活用されていなかった部分に配置し、第3シャトルブロック23を図2に示すように、運転室8の後側に位置する旋回体2の例えば旋回フレーム2a上に配置してある。
【0023】
後述するように、第1シャトルブロック21は、1つのバルブブロック内に、ブーム11、アーム12、バケット13、及び走行体1のそれぞれの駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、第2シャトルブロック22は、別の1つのバルブブロック内に、旋回体2の駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含んでいる。図4に示すように、第1シャトルブロック21には、貫通穴を形成する4つのボルト穴21aを形成してあり、これらのボルト穴21aのそれぞれに図示しないボルトを挿入して、図3に示すように上述のブラケット82に固定してある。同様に、図4に示すように、第2シャトルブロック22にも、貫通穴を形成する4つのボルト穴22aを形成してあり、これらのボルト穴22aのそれぞれに図示しないボルトを挿入して、図3に示すように上述のブラケット82に固定してある。なお、図3に示すように、旋回体2の中央部には、旋回装置を構成する旋回輪80が配置されている。
【0024】
図5は、本実施形態に備えられるシャトルブロックの回路構成を示す図である。この図5によって、シャトルブロックの回路構成の一例を説明する。
【0025】
この図5に示すように、ブラケット82に取り付けられる第1シャトルブロック21は、図示しないブーム操作装置の下げ操作に伴って発生するパイロットポンプ17の二次圧、すなわちパイロット圧が導かれるブーム下げ入力ポート30aと、このブーム下げ入力ポート30aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれるブーム用方向制御弁の一方の制御部に供給するブーム下げ出力ポート30bとを備えている。
【0026】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しないブーム操作装置の上げ操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれるブーム上げ入力ポート31aと、このブーム上げ入力ポート31aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれるブーム用方向制御弁の他方の制御部に供給するブーム上げ出力ポート31bとを備えている。
【0027】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しないアーム操作装置のクラウド操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれるアームクラウド入力ポート32aと、このアームクラウド入力ポート32aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれるアーム用方向制御弁の一方の制御部に供給するアームクラウド出力ポート32bとを備えている。
【0028】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しないアーム操作装置のダンプ操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれるアームダンプ入力ポート33aと、このアームダンプ入力ポート33aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれるアーム用方向制御弁の他方の制御部に供給するアームダンプ出力ポート33bとを備えている。
【0029】
また、この第1シャトルブロック21は、アームクラウド入力ポート32aに導かれたパイロット圧とアームダンプ入力ポート33aに導かれたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択する第1シャトル弁34と、ブーム上げ入力ポート31aに導かれたパイロット圧と第1シャトル弁34で選択されたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択し、接続ポート36から出力させる第2シャトル弁35と、この第2シャトル弁35で選択されたパイロット圧とポート38から導かれたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択する第3シャトル弁37とを備えている。
【0030】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しないバケット操作装置のダンプ操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれるバケットダンプ入力ポート39aと、このバケットダンプ入力ポート39aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれるバケット用方向制御弁の一方の制御部に供給するバケットダンプ出力ポート39bとを備えている。
【0031】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しないバケット操作装置のクラウド操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれるバケットクラウド入力ポート40aと、このバケットクラウド入力ポート40aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれるバケット用方向制御弁の他方の制御部に供給するバケットクラウド出力ポート40bとを備えている。
【0032】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しない走行操作装置の前進操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれる走行前進入力ポート41aと、この走行前進入力ポート41aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれる第1走行用方向制御弁及び第2走行用方向制御弁のそれぞれの一方の制御部に供給する走行前進出力ポート41bとを備えている。
【0033】
また、この第1シャトルブロック21は、図示しない走行操作装置の後進操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれる走行後進入力ポート42aと、この走行後進入力ポート42aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれる第1走行用方向制御弁及び第2走行用方向制御弁のそれぞれの他方の制御部に供給する走行後進出力ポート42bとを備えている。
【0034】
また、この第1シャトルブロック21は、バケットダンプ入力ポート39aに導かれたパイロット圧とバケットクラウド入力ポート40aに導かれたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択する第4シャトル弁43と、上述の第3シャトル弁37で選択されたパイロット圧と第4シャトル弁43で選択されたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択し、出力ポート45から出力させる第5シャトル弁44と、走行前進入力ポート41aに導かれたパイロット圧と走行後進入力ポート42aに導かれたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択する第6シャトル弁46と、上述した第5シャトル弁44で選択されたパイロット圧と第6シャトル弁46で選択されたパイロット圧のうちの大きい方のパイロットを選択し、出力ポート48から出力させる第7シャトル弁47とを備えている。
【0035】
また同図5に示すように、上述した第2シャトルブロック22は、図示しない旋回操作装置の左旋回操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれる旋回左入力ポート49aと、この旋回左入力ポート49aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれる旋回用方向制御弁の一方の制御部に供給する旋回左出力ポート49bとを備えている。
【0036】
また、この第2シャトルブロック22は、図示しない旋回操作装置の右旋回操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれる旋回右入力ポート50aと、この旋回右入力ポート50aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれる旋回用方向制御弁の他方の制御部に供給する旋回右出力ポート50bとを備えている。
【0037】
また、この第2シャトルブロック22は、バケット13に代えて特殊アタッチメントが装着された際などに活用される図示しない予備操作装置の操作に伴って発生するパイロットポンプ17のパイロット圧が導かれる予備用入力ポート51aと、この予備用入力ポート51aに導かれたパイロット圧を、切り換え圧力としてコントロールバルブ20に含まれる予備用方向制御弁の制御部に供給する予備用出力ポート51bとを備えている。
【0038】
また、この第2シャトルブロック22は、旋回左入力ポート49aに導かれたパイロット圧と旋回右入力ポート50aに導かれたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択し、出力ポート53から出力させる第8シャトル弁52と、配管57を介して導かれる第1シャトルブロック21の第2シャトル弁35で選択されたパイロット圧と予備用入力ポート51aに導かれたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択する第9シャトル弁54と、上述した第8シャトル弁52で選択されたパイロット圧と第9シャトル弁54で選択されたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択し、出力ポート56から出力させる第10シャトル弁55とを備えている。
【0039】
また、運転室8の後側に位置する旋回フレーム2a上に配置された第3シャトルブロック23は、さらに別の1つのバルブブロック内に、同図5に示すように、第1シャトルブロック21から出力されるパイロット圧に応じて切り換えられ、パイロットポンプ17から吐出され油路60を介して導かれたパイロット圧を、第1ポンプ用操作信号圧として出力ポート66から配管67を介して第1ポンプ15のレギュレータに出力可能にさせる第1切換弁62を備えている。また、この第3シャトルブロック23は、第2シャトルブロック22から出力されるパイロット圧に応じて切り換えられ、パイロットポンプ17から吐出され油路60を介して導かれたパイロット圧を、第2ポンプ用操作信号圧として出力ポート73から配管74を介して第2ポンプ16のレギュレータに出力可能にさせる第2切換弁63を備えている。
【0040】
また、この第3シャトルブロック23は、第1シャトルブロック21の出力ポート48に一端が接続される配管64の他端が接続され、第1切換弁62の制御部に与えられるパイロット圧が導かれる入力ポート65と、第1シャトルブロック21の出力ポート45に一端が接続される配管68の他端が接続される入力ポート69と、第2シャトルブロック22の出力ポート56に一端が接続される配管70の他端が接続され、第2切換弁63の制御部に与えられるパイロット圧が導かれる入力ポート71と、入力ポート69から入力されたパイロット圧と入力ポート71から入力されたパイロット圧のうちの大きい方のパイロット圧を選択する第11シャトル弁72と、第1切換弁62及び第2切換弁63を介して戻される油を導くドレン通路61とを備えている。
【0041】
このように構成した本実施形態に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造によれば、コントロールバルブ20を、他の機器の配設による影響を受けにくい運転室8の右横方向の旋回体2の右前側位置に配置し、第1シャトルブロック21及び第2シャトルブロック22を運転室8の床を形成するフロアプレート81の下側部分に配置し、第3シャトルブロック23を運転室8の後側の旋回フレーム2aの上に配置したことから、コントロールバルブ20及び第1,第2,第3シャトルブロック21,22,23を、車幅の増大化を招きやすい旋回体2の中央部付近に配置せずに済む。すなわち、車幅を大きくすることなくコントロールバルブ20及び第1,第2,第3シャトルブロック21,22,23を配置することができる。したがって本実施形態は、車幅に制約を受けやすいホイールショベルの旋回体2にコントロールバルブ20及びシャトルブロック21,22,23を配置するのに好適である。
【0042】
また本実施形態によれば、運転室8の右横方向の旋回体2の右前側位置に配置するのはコントロールバルブ20だけであり、このコントロールバルブ20の高さ寸法は、コントロールバルブ20の上方にシャトルブロックを設ける場合に比べれば低くて済む。したがって、本実施形態に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造が備えられるホイールショベルでは、コントロールバルブ20の上方に大きな開放空間を形成でき、コントロールバルブ20が、運転室8内に着座したオペレータの視界の妨げとなることはない。これにより、運転室8内に着座したオペレータの旋回体2の右前方に対する良好な視界を確保でき、当該ホイールショベルの作業性と安全性の確保に貢献する。
【0043】
なお上記実施形態は、シャトルブロックを3分割し、1つのシャトルバルブ内に複数のシャトル弁が収容された第1シャトルブロック21と、別の1つのシャトルバルブ内に複数のシャトル弁が収容された第2シャトルブロック22を、運転室8のフロアプレート81の下側部分に配置した構成にしてあるが、本発明は、このようにシャトルブロックを3分割する構成には限られない。例えばシャトルブロックを第1シャトルブロックと第2シャトルブロックに2分割し、第1シャトルブロックを運転室8のフロアプレート81の下側部分に配置し、第2シャトルブロックを運転室8の後側の旋回フレーム2a上に配置した構成にしてもよい。この場合例えば、第1シャトルブロックが、1つのシャトルバルブ内に、ブーム11、アーム12、バケット13、走行体1、及び旋回体2のそれぞれの駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、第2シャトルブロックが、別の1つのシャトルバルブ内に、第1シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じてそれぞれ切り換えられ、パイロットポンプ17から吐出されるパイロット圧を第1ポンプ用操作信号圧として第1ポンプ15のレギュレータに出力可能にさせる第1切換弁62、及びパイロットポンプ17から吐出されるパイロット圧を第2ポンプ用操作信号圧として第2ポンプ16のレギュレータに出力可能にさせる第2切換弁63を含む構成にしてもよい。
【0044】
また本実施形態は、ホイールショベルに適用させたものであるが、ホイールショベルとは異なる建設機械に本実施形態に係るコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造を適用してもよい。その場合、車幅に制約を受ける建設機械であれば、より有効である。
【符号の説明】
【0045】
1 走行体(車体)
2 旋回体(車体)
2a 旋回フレーム
3 作業装置
5 走行装置
8 運転室
10 エンジン室
11 ブーム
11a ブームシリンダ
12 アーム
12a アームシリンダ
13 バケット
13a バケットシリンダ
14 エンジン
15 第1ポンプ
16 第2ポンプ
17 パイロットポンプ
20 コントロールバルブ
21 第1シャトルブロック
21a ボルト穴
22 第2シャトルブロック
22a ボルト穴
23 第3シャトルブロック
34 第1シャトル弁
35 第2シャトル弁
37 第3シャトル弁
43 第4シャトル弁
44 第5シャトル弁
46 第6シャトル弁
47 第7シャトル弁
52 第8シャトル弁
54 第9シャトル弁
55 第10シャトル弁
62 第1切換弁
63 第2切換弁
72 第11シャトル弁
81 フロアプレート
82 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、この作業装置が取り付けられる車体と、この車体上に配置される運転室と、上記車体上の上記運転室の後方に配置され、エンジン、油圧ポンプ、及びパイロットポンプが収容されるエンジン室と、それぞれ上記油圧ポンプから吐出される圧油によって作動し、上記作業装置及び上記車体のうちの該当するものを駆動する複数の油圧アクチュエータと、これらの油圧アクチュエータの作動を個別に制御する複数の方向制御弁と、上記パイロットポンプから吐出され、上記複数の方向制御弁のそれぞれの制御部に与えられる切り換え用のパイロット圧のいずれかを選択して出力する複数のシャトル弁とを有する建設機械に備えられ、
上記複数の方向制御弁のうちの一部または全部が収納されるコントロールバルブと、上記複数のシャトル弁のうちの一部または全部がバルブブロック内に収納されるシャトルブロックとを上記車体に配置し、上記コントロールバルブと上記シャトルブロックを配管を介して接続した建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造において、
上記コントロールバルブを、上記運転室の右横方向の上記車体の右前側位置に配置し、
上記シャトルブロックを、上記運転室の床を形成するフロアプレートの下側部分に配置したことを特徴とする建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造において、
上記フロアプレートの下面に固定されるブラケットを設け、このブラケットに上記シャトルブロックを着脱可能に取り付けたことを特徴とする建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造において、
上記シャトルブロックが、互いに配菅を介して接続される第1シャトルブロックと、第2シャトルブロックと、第3シャトルブロックとから成り、
上記第1シャトルブロックと上記第2シャトルブロックを、上記フロアプレートの上記下側部分に配置し、
上記第3シャトルブロックを、上記運転室の後側に位置する上記車体部分に配置したことを特徴とする建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造において、
上記作業装置が、ブーム、アーム、及びバケットを含み、
上記車体が走行体と、この走行体上に配置され上記運転室及び上記エンジン室が設けられる旋回体とから成り、
上記油圧ポンプが、それぞれ可変容量型から成り、上記エンジンによって駆動される第1ポンプ及び第2ポンプを含み、
上記第1シャトルブロックが、上記ブーム、上記アーム、上記バケット、及び上記走行体のそれぞれの駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、
上記第2シャトルブロックが、上記旋回体の駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、
上記第3シャトルブロックが、上記第1シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じて切り換えられ、上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第1ポンプ用操作信号圧として上記第1ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第1切換弁と、上記第2シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じて切り換えられ、上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第2ポンプ用操作信号圧として上記第2ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第2切換弁とを含むことを特徴とする建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造。
【請求項5】
請求項2項に記載の建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造において、
上記作業装置が、ブーム、アーム、及びバケットを含み、
上記車体が走行体と、この走行体上に配置され上記運転室及び上記エンジン室が設けられる旋回体とから成り、
上記油圧ポンプが、それぞれ可変容量型から成り、上記エンジンによって駆動される第1ポンプ及び第2ポンプを含み、
上記シャトルブロックが、互いに配管を介して接続される第1シャトルブロックと第2シャトルブロックとから成り、
上記第1シャトルブロックを、上記フロアプレートの上記下側部分に配置し、
上記第2シャトルブロックを、上記運転室の後側に位置する上記車体部分に配置し、
上記第1シャトルブロックが、上記ブーム、上記アーム、上記バケット、上記走行体、及び上記旋回体のそれぞれの駆動に関連するパイロット圧を選択して出力するシャトル弁を含み、
上記第2シャトルブロックが、上記第1シャトルブロックから出力されるパイロット圧に応じてそれぞれ切り換えられ、上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第1ポンプ用操作信号圧として上記第1ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第1切換弁、及び上記パイロットポンプから吐出されるパイロット圧を第2ポンプ用操作信号圧として上記第2ポンプのレギュレータに出力可能にさせる第2切換弁を含むことを特徴とする建設機械のコントロールバルブとシャトルブロックの配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−167482(P2012−167482A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28949(P2011−28949)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】