説明

建設機械のトラックフレーム

左前脚部(31)を、拡径筒体となったセンタフレーム側接合部(31A)と、同じく拡径筒体となったサイドフレーム側接合部(31B)と、中間筒部(31C)とからなる単一の筒体として、鋳造手段を用いて一体成形する。これにより、センタフレーム側接合部(31A)の周囲とサイドフレーム側接合部(31B)の周囲とに形成される溶接ビードの長さを大きく確保でき、左前脚部(31)とセンタフレーム(12)、サイドフレーム(22)との接合強度を高めることができる。また左後脚部(32)も拡径筒体となったセンタフレーム側接合部(32A)と、拡径筒体となったサイドフレーム側接合部(32B)と、中間筒部(32C)とからなる単一の筒体として、鋳造手段を用いて一体成形する。さらに、右前脚部(33)、右後脚部(34)も同様に一体成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の下部走行体に好適に用いられる建設機械のトラックフレームに関する。
【背景技術】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、クローラ(履帯)式の下部走行体を備え、左,右の履帯を駆動することにより山岳地、泥濘地等の不整地を安定して走行できるようにしている。
そして、この種の従来技術によるクローラ式の下部走行体は、上部旋回体が取付けられるセンタフレームと、センタフレームの左側に位置して前,後方向に延びる左側のサイドフレームと、センタフレームの右側に位置して前,後方向に延びる右側のサイドフレームと、左,右のサイドフレームとセンタフレームとの間を連結する前,後の脚部とからなるトラックフレームを備えている(例えば、特開平9−142337号公報参照)。
ここで、センタフレームには丸胴が設けられ、センタフレームと左,右のサイドフレームとの間は、丸胴を中心として略X型に延びる左前脚部、右前脚部、左後脚部、右後脚部からなる合計4本の脚部によって連結されている。この場合、左前脚部は、センタフレームから左サイドフレームに向けて延び上,下方向で対面した上板及び下板と、これら上板と下板とに溶接によって接合され前,後方向で対面した前側板及び後側板とによって囲まれたボックス構造をなしている。そして、右前脚部、左後脚部、右後脚部も、左前脚部と同様に、上板、下板、前側板、後側板によって囲まれたボックス構造をなしている。
しかし、従来技術によるトラックフレームにおいては、4本の脚部が互いに別部材からなる上板、下板、前側板、後側板によって構成されている。このため、脚部を形成するに際しては、上板、下板、前側板、後側板を脚部の形状に合わせて切断する切断作業と、前側板と後側板とを上板と下板とに溶接する溶接作業が必要となる。従って、この切断作業と溶接作業とを4本の脚部についてそれぞれ行うことにより、トラックフレームの製造コストが増大してしまうという問題がある。
また、上述の如くセンタフレームに一体的に設けられた4本の脚部をサイドフレームに溶接する場合には、その前作業として脚部の先端側を切断することにより、当該脚部の先端側にサイドフレームの接合面に隙間なく突合わされる接合部を形成する必要がある。
しかし、切断作業によって脚部の先端側に接合部を形成した場合には、加工誤差等によって脚部の接合部とサイドフレームとの突合わせ部分に隙間が生じ易く、脚部とサイドフレームとの間の接合強度が低下してしまうという問題がある。
【発明の開示】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、製造コストを低減することができると共に、脚部とサイドフレーム等との接合部分の強度を高めることができるようにした建設機械のトラックフレームを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明は、上部旋回体が取付けられるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置して前,後方向に延びる左,右のサイドフレームと、該左,右のサイドフレームと前記センタフレームとの間を連結する前,後の脚部とからなる建設機械のトラックフレームに適用される。
そして、本発明が採用する構成の特徴は、脚部は、センタフレームに溶接により接合されるセンタフレーム側接合部と、サイドフレームに溶接により接合されるサイドフレーム側接合部と、センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部との間に位置する中間筒部とにより構成し、センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部とのうち少なくとも一方の接合部は、中間筒部から接合端に向けて徐々に拡径した筒体からなる拡径筒体により構成し、かつ、拡径筒体は溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により成形したことにある。
このように構成したことにより、脚部を構成するセンタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部とのうち少なくとも一方の接合部が、拡径した筒体として形成される。このため、拡径筒体となった接合部の周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができ、当該接合部の接合強度を高めることができる。また、センタフレーム側接合部を鋳造手段を用いた拡径筒体として成形した場合には、当該センタフレーム側接合部をセンタフレームに隙間なく突合わせた状態で強固に接合することができる。さらに、サイドフレーム側接合部を鋳造手段を用いた拡径筒体として成形した場合には、当該サイドフレーム側接合部をサイドフレームに隙間なく突合わた状態で強固に接合することができる。しかも、拡径筒体は鋳造手段によって成形されているので、この拡径筒体となった接合部と中間筒部との間を溶接等による継ぎ目のない滑らかな断面形状とすることができ、当該接合部に作用する応力を低減することができる。
本発明は、拡径筒体は、サイドフレーム側接合部に設ける構成としたことにある。
このように構成したことにより、サイドフレーム側接合部の周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができ、脚部とサイドフレームとの間の接合強度を高めることができる。
本発明は、拡径筒体は、センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部との両方に設ける構成としたことにある。
このように構成したことにより、センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部の周囲に形成される溶接ビードの長さを、それぞれ大きく確保することができ、脚部とセンタフレームとの間の接合強度、及び脚部とサイドフレームとの間の接合強度を高めることができる。
本発明は、脚部は、センタフレーム側接合部と、サイドフレーム側接合部と、中間筒部とを単一の筒体として鋳造手段により一体形成したことにある。
このように構成したことにより、センタフレーム側接合部、サイドフレーム側接合部、中間筒部からなる脚部を鋳造手段によって一体成形した場合でも、センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部とのうち少なくとも一方の接合部を拡径筒体として形成することができる。これにより、前記接合部の周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができ、当該接合部の接合強度を高めることができる。しかも、脚部を鋳造手段によって一体成形できるので、トラックフレームの製造コストを低減することができる。
本発明は、脚部は、センタフレーム側接合部を構成するセンタフレーム側接合部材と、サイドフレーム側接合部を構成するサイドフレーム側接合部材と、中間筒部を構成する中間筒部材との3部材を接合することにより、一体の筒体として形成したことにある。
このように構成したことにより、センタフレーム側接合部材、サイドフレーム側接合部材、中間筒部材の3部材を用いて脚部を形成した場合でも、センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材とのうち少なくとも一方の接合部材を拡径筒体として形成することができ、その周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。また、例えばセンタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材とを別々の単体として小さく鋳造し、これらセンタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との間を中間筒部材によって連結することができる。従って、センタフレーム側接合部材、サイドフレーム側接合部材を鋳造するための鋳型を安価に形成することができ、脚部の製造コストを低減することができる。
本発明は、脚部は、センタフレーム側接合部を構成するセンタフレーム側接合部材と、サイドフレーム側接合部を構成するサイドフレーム側接合部材との2部材を接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部となった一体の筒体として形成したことにある。
このように構成したことにより、センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との2部材を用いて脚部を形成した場合でも、センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材とのうち少なくとも一方の接合部材を拡径筒体として形成することができ、その周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。また、例えばセンタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材とを別々の単体として小さく鋳造し、両者を接合することができる。従って、これらセンタフレーム側接合部材、サイドフレーム側接合部材を鋳造するための鋳型を安価に形成することができ、脚部の製造コストを低減することができる。
この場合、本発明によれば、センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との両方を拡径筒体として形成し、かつ、サイドフレーム側接合部材には中間筒部を一体形成する構成とすることができる。
また、本発明によれば、センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との両方を拡径筒体として形成し、かつ、センタフレーム側接合部材には中間筒部を一体形成する構成とすることができる。
また、本発明によれば、センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との両方を拡径筒体として形成し、かつ、センタフレーム側接合部材には中間筒部の一部を構成するセンタフレーム側中間筒部を一体に形成し、サイドフレーム側接合部材には中間筒部の一部を構成するサイドフレーム側中間筒部を一体に形成する構成とすることができる。
本発明は、サイドフレームは、前,後方向に延びる中間フレーム部と、該中間フレーム部の長さ方向一側に設けられた遊動輪ブラケット部と、中間フレーム部の長さ方向他側に設けられたモータブラケット部と、中間フレーム部の長さ方向他側の端面と該モータブラケット部との間に設けられ両者間を接続する接続フランジとの4部材により構成し、各脚部のうち後脚部は斜め後方に延びて形成し、該後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体は、中間フレーム部の後側部位と接続フランジとに亘って接合する構成としたことにある。
このように構成したことにより、後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体を、中間フレーム部の後側部位とモータブラケット部側の接続フランジとに亘る広い範囲に溶接することができ、サイドフレーム側接合部の接合強度を高めることができる。
本発明は、接続フランジはサイドフレームの内側面からセンタフレーム側に張出した張出し部を有し、後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体は、中間フレーム部の後側部位と接続フランジの張出し部とに亘って接合する構成としたことにある。
このように構成したことにより、後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体と接続フランジの張出し部とを溶接するときに、両者間に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。
本発明は、後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体は、サイドフレームの中間フレーム部に接合されるサイドフレーム側接合端と、該サイドフレーム側接合端とほぼ直交する接続フランジ側接合端とにより形成し、接続フランジは、サイドフレームの端面と対面するフレーム側フランジ面部と、該フレーム側フランジ面部からセンタフレーム側に張出した脚部側フランジ面部とにより形成し、接続フランジのフレーム側フランジ面部はサイドフレームの中間フレーム部の後端と接合し、接続フランジの脚部側フランジ面部は拡径筒体の接続フランジ側接合端と接合する構成としたことにある。
このように構成したことにより、後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体のうちサイドフレーム側接合端を、サイドフレームの中間フレーム部に隙間なく突合わせた状態で溶接することができる。また、接続フランジ側接合端を、接続フランジの脚部側フランジ面部に隙間なく突合わせた状態で溶接することができる。従って、後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する拡径筒体を、サイドフレームと接続フランジとに亘って強固に接合することができる。
本発明は、各脚部のうち前脚部は斜め前方にまたは左,右方向に延び、該前脚部のサイドフレーム側接合部はサイドフレームの中間フレーム部に溶接により接合する構成としたことにある。
このように構成したことにより、前脚部のサイドフレーム側接合部を、サイドフレームの中間フレーム部に強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるトラックフレームが適用された油圧ショベルを示す正面図である。
図2は、トラックフレームを拡大して示す斜視図である。
図3は、トラックフレームを上方からみた平面図である。
図4は、トラックフレームを図3中の矢示IV−IV方向からみた正面図である。
図5は、左側のサイドフレーム、後側接続フランジ、左後脚部を示す分解斜視図である。
図6は、図3中のセンタフレーム、左,右のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、右前脚部、右後脚部等を一部を省略して示す横断面図である。
図7は、図6中のセンタフレーム、左側のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、モータブラケット部を拡大して示す拡大横断面図である。
図8は、図7中のモータブラケット部に油圧モータ等を取付けた状態を示す拡大横断面図である。
図9は、図7中の左前脚部を単体で示す断面図である。
図10は、図7中の左後脚部を単体で示す断面図である。
図11は、第1の変形例による左前脚部を単体で示す図9と同様の断面図である。
図12は、第2の変形例による左前脚部を単体で示す図9と同様の断面図である。
図13は、第2の実施の形態によるセンタフレーム、左,右のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、右前脚部、右後脚部等を示す図6と同様の横断面図である。
図14は、図13中のセンタフレーム、左側のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、モータブラケット部等を拡大して示す拡大横断面図である。
図15は、図14中の左前脚部を単体で示す断面図である。
図16は、図14中の左後脚部を単体で示す断面図である。
図17は、第3の実施の形態によるセンタフレーム、左,右のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、右前脚部、右後脚部等を示す図6と同様の横断面図である。
図18は、図17中のセンタフレーム、左側のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、モータブラケット部等を拡大して示す拡大横断面図である。
図19は、図18中の左前脚部を単体で示す断面図である。
図20は、図18中の左後脚部を単体で示す断面図である。
図21は、第3の変形例による左前脚部を単体で示す断面図である。
図22は、第4の実施の形態によるセンタフレーム、左側のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、モータブラケット部等を拡大して示す拡大横断面図である。
図23は、第4の変形例による左前脚部を単体で示す断面図である。
図24は、第5の実施の形態によるセンタフレーム、左側のサイドフレーム、左前脚部、左後脚部、モータブラケット部等を拡大して示す拡大横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る建設機械のトラックフレームの実施の形態を、油圧ショベルの下部走行体に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図24を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態による油圧ショベルのトラックフレームを示している。
図中、1は油圧ショベルの下部走行体で、該下部走行体1は後述のトラックフレーム11と、該トラックフレーム11を構成する後述のサイドフレーム22,28の長さ方向両端にそれぞれ設けられた遊動輪2,駆動輪3と、これら駆動輪3と遊動輪2とに巻装された履帯4とにより大略構成されている。
そして、下部走行体1は、駆動輪3によって履帯4を駆動することにより山岳地、泥濘地等の不整地を安定して走行するものである。また、下部走行体1の前部側には、土砂等の排土作業、地均し作業等を行う排土板5が上,下に回動可能に設けられている。
6は下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体6は、トラックフレーム11上に旋回輪7を介して設けられた旋回フレーム8と、該旋回フレーム8上に設けられ運転室を画成するキャブ9とを備えている。また、上部旋回体6の前部側には、例えばスイングポスト式の作業装置10が設けられ、該作業装置10は土砂等の掘削作業を行うものである。
11は下部走行体1のトラックフレームで、該トラックフレーム11は、図2ないし図4に示すように、後述のセンタフレーム12、左側のサイドフレーム22、右側のサイドフレーム28、左前脚部31、左後脚部32、右前脚部33、右後脚部34等により構成されている。
12はセンタフレームで、該センタフレーム12はトラックフレーム11の中央部分を構成するものである。ここで、センタフレーム12は、上面側中央に旋回輪7を取付けるための丸胴13が固着された六角形状の上板14と、上板14とほぼ同様の六角形状を有し該上板14と上,下方向で対面した下板15と、上板14及び下板15の左側に位置する左側板16と、上板14及び下板15の右側に位置する右側板17と、左側板16及び右側板17の前側に位置し左,右方向に延びた前板18と、左側板16及び右側板17の後側に位置し前板18よりも狭幅となって左,右方向に延びた後板19とにより構成されている。
この場合、左側板16は、前部側から後部側に向けてサイドフレーム22から徐々に離間するように屈曲して形成されている。そして、この左側板16は、上板14と下板15との左端側に溶接され、該上板14と下板15との間を左側から閉塞している。一方、右側板17は、前部側から後部側に向けてサイドフレーム28から徐々に離間するように屈曲して形成されている。そして、この右側板17は、上板14と下板15との右端側に溶接され、該上板14と下板15との間を右側から閉塞している。また、前板18は、上板14、下板15、左,右の側板16,17の前端側に溶接され、上板14と下板15との間を前側から閉塞している。さらに、後板19は、上板14、下板15、左,右の側板16,17の後端側に溶接され、上板14と下板15との間を後側から閉塞している。そして、センタフレーム12は、これらの上板14、下板15、左側板16、右側板17、前板18、後板19により六角形状をなす扁平なボックス構造体として形成されている。
20はセンタフレーム12を構成する前板18の中央部に溶接によって接合された取付ブラケットで、該取付ブラケット20は、センタフレーム12から前側に向けて突出している。そして、取付ブラケット20は、図1に示す排土板5を上,下に昇降させる油圧シリンダ(図示せず)が回動可能に連結されるものである。
21,21は取付ブラケット20の左,右両側に位置してセンタフレーム12の前板18に溶接によって接合された一対の支持ブラケットで、該各支持ブラケット21は、センタフレーム12から前側へと斜め下向きに突出している。そして、各支持ブラケット21は、図1に示す排土板5に設けた左,右の支持アーム(図示せず)がそれぞれ回動可能に連結されるものである。
22はセンタフレーム12の左側に設けられ前,後方向に延びた左側のサイドフレームで、該サイドフレーム22は、後述の中間フレーム部23、前側接続フランジ24、後側接続フランジ25、遊動輪ブラケット部26、モータブラケット部27等により構成されている。
23はサイドフレーム22の本体部を構成する中間フレーム部で、該中間フレーム部23は、例えば鋼板等に折曲加工、溶接加工を施すことにより、上板23A、下板23B、左側板23C、右側板23Dによって囲まれた四角形の断面形状を有する角筒体として形成され、前,後方向に延びている。
24は中間フレーム部23の前端側を閉塞する前側接続フランジで、該前側接続フランジ24は鋼板等の平板材からなり、中間フレーム部23の前端側に溶接によって接合されている。
25は中間フレーム部23の後端側を閉塞する後側接続フランジで、該後側接続フランジ25も鋼板等の平板材からなり、中間フレーム部23の後端側に溶接によって接合されている。ここで、後側接続フランジ25は、図2及び図5に示すように前側接続フランジ24に比較して左,右方向に幅広な長方形状をなしている。そして、後側接続フランジ25は、中間フレーム部23の後端面と対面するフレーム側フランジ面部25Aと、該フレーム側フランジ面部25Aからセンタフレーム12側に張出した張出し部としての脚部側フランジ面部25Bとからなっている。また、脚部側フランジ面部25Bには、後述の油圧ホース3Cを挿通するためのホース挿通孔25Cが形成されている。
そして、後側接続フランジ25のフレーム側フランジ面部25Aは、中間フレーム部23の後端部に溶接される構成となっている。一方、脚部側フランジ面部25Bは、中間フレーム部23の右側板23Dから内側(センタフレーム12側)に張出し、後述する左後脚部32の接続フランジ側接合端32B2に溶接される構成となっている。
26は遊動輪2を取付ける遊動輪ブラケット部で、該遊動輪ブラケット部26は、中間フレーム部23の前端側に前側接続フランジ24を介して取付けられている。ここで、遊動輪ブラケット部26は、例えば鋼板等に折曲加工を施すことにより上板26A、左,右の側板26B等を有する枠状に形成され、その内側には、図1に示す遊動輪2を前,後方向に移動可能に支持する遊動輪ガイド26Cが設けられている。また、遊動輪ブラケット部26の上板26Aには、遊動輪2が遊動輪ガイド26Cに沿って前,後方向に移動するのを補償するため、前,後方向に略U字状に延びる切欠き26Dが形成されている。
27は駆動輪3の油圧モータ3Aを取付けるモータブラケット部で、該モータブラケット部27は、中間フレーム部23の後端側に後側接続フランジ25を介して取付けられている。ここで、モータブラケット部27は、後側接続フランジ25の後面に固着され後方に円弧状に突出した取付板27Aと、該取付板27Aに形成されたモータ取付穴27Bと、取付板27Aの外周縁に固着された略U字状のフランジ板27Cとから構成されている。
そして、図8に示すように、モータブラケット部27の取付板27Aには、駆動輪3を回転させる走行用の油圧モータ3Aが取付けられ、該油圧モータ3Aの回転は減速装置3Bを介して駆動輪3に伝達される構成となっている。ここで、油圧モータ3Aには、油圧源(図示せず)からの圧油を給排するための複数本の油圧ホース3Cが接続されている。そして、各油圧ホース3Cは、後側接続フランジ25(脚部側フランジ面部25B)に設けたホース挿通孔25Cから後述する左後脚部32内に導出され、該左後脚部32を通じて油圧源へと延びる構成となっている。
28はセンタフレーム12の右側に設けられ前,後方向に延びた右側のサイドフレームで、該サイドフレーム28は、左側のサイドフレーム22と同様に、中間フレーム部23、前側接続フランジ24、後側接続フランジ25、遊動輪ブラケット部26、モータブラケット部27等により構成されている。
31は左前脚部で、該左前脚部31は後述の左後脚部32と共に左側のサイドフレーム22とセンタフレーム12との間を連結するものである。この左前脚部31は、一端側がセンタフレーム12(左側板16)の前部側に接合され、他端側が左斜め前方に延びてサイドフレーム22を構成する中間フレーム部23の右側板23Dに接合されている。
ここで、左前脚部31は、図6、図7及び図9に示すように、センタフレーム12の左側板16に溶接によって接合されるセンタフレーム側接合部31Aと、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dに溶接によって接合されるサイドフレーム側接合部31Bと、これらセンタフレーム側接合部31Aとサイドフレーム側接合部31Bとの間に位置する中間筒部31Cとにより構成されている。そして、これらセンタフレーム側接合部31A、サイドフレーム側接合部31B、中間筒部31Cは、例えば鋳鋼材料、または溶接可能な鋳鉄(例えば、脱炭鋳鉄)材料等の鉄系金属を溶融して用いた鋳造手段により、単一の筒体として一体成形(鋳造)されている。
また、センタフレーム側接合部31Aは、略円筒状をなす中間筒部31Cから接合端31A1(センタフレーム12側の開口端)に向けて徐々に拡径するラッパ状の拡径筒体として形成されている。そして、その接合端31A1は、センタフレーム12の左側板16に隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。
このように、センタフレーム側接合部31Aの接合端31A1は拡径筒体となっているから、この接合端31A1をセンタフレーム12の左側板16に突合わせて溶接したときには、接合端31A1の周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。この結果、センタフレーム側接合部31Aとセンタフレーム12との間の接合強度を高めることができる。また、センタフレーム側接合部31Aは鋳造手段により拡径筒体として成形されているので、センタフレーム側接合部31Aの断面形状は、中間筒部31Cから接合端31A1に向けて継ぎ目なく滑らかに変化する。これにより、センタフレーム12と左前脚部31との接合部分に作用する応力を低減することができる構成となっている。
一方、サイドフレーム側接合部31Bも、中間筒部31Cから接合端31B1(サイドフレーム22側の開口端)に向けて徐々に拡径するラッパ状の拡径筒体として形成され、その接合端31B1は、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dに隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。
このように、サイドフレーム側接合部31Bの接合端31B1は拡径筒体となっているから、この接合端31B1をサイドフレーム22の右側板23Dに突合わせて溶接したときには、接合端31B1の周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。この結果、サイドフレーム側接合部31Bとサイドフレーム22との間の接合強度を高めることができる。また、サイドフレーム側接合部31Bは鋳造手段により拡径筒体として成形されているので、サイドフレーム側接合部31Bの断面形状は、中間筒部31Cから接合端31B1に向けて継ぎ目なく滑らかに変化する。これにより、サイドフレーム22と左前脚部31との接合部分に作用する応力を低減することができる構成となっている。
32は左後脚部で、該左後脚部32は左前脚部31と共に左側のサイドフレーム22とセンタフレーム12との間を連結するものである。この左後脚部32は、一端側がセンタフレーム12(左側板16)の後部側に接合され、他端側が左斜め後方に延びてサイドフレーム22を構成する中間フレーム部23の右側板23Dと後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bとに接合されている。
ここで、左後脚部32は、図7及び図10に示すように、センタフレーム12の左側板16に溶接によって接合されるセンタフレーム側接合部32Aと、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dと後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bとに溶接によって接合されるサイドフレーム側接合部32Bと、これらセンタフレーム側接合部32Aとサイドフレーム側接合部32Bとの間に位置する中間筒部32Cとにより構成されている。そして、これらセンタフレーム側接合部32A、サイドフレーム側接合部32B、中間筒部32Cは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により、単一の筒体として一体成形されている。
また、センタフレーム側接合部32Aは、略円筒状をなす中間筒部32Cから接合端32A1(センタフレーム12側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。そして、接合端32A1は、センタフレーム12の左側板16に隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなし、接合端32A1の周囲に形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる構成となっている。また、センタフレーム側接合部32Aは鋳造手段により拡径筒体として成形されているので、センタフレーム側接合部32Aの断面形状は、中間筒部32Cから接合端32A1に向けて滑らかに変化し、センタフレーム12と左後脚部32との接合部分に作用する応力を低減することができる構成となっている。
一方、サイドフレーム側接合部32Bも、中間筒部32Cからサイドフレーム側接合端32B1(サイドフレーム22側の開口端)と、接続フランジ側接合端32B2(後側接続フランジ25側の開口端)とに向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。ここで、サイドフレーム側接合端32B1と接続フランジ側接合端32B2とは、略直角に折曲がった開口形状となっている。そして、サイドフレーム側接合端32B1は、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dに隙間なく突合わされた状態で該右側板23Dに溶接されている。一方、接続フランジ側接合端32B2は、後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bに隙間なく突合わされ、かつホース挿通孔25Cを覆った状態で脚部側フランジ面部25Bに溶接されている。これにより、サイドフレーム側接合端32B1と接続フランジ側接合端32B2の周囲は、溶接ビードの長さを大きく確保することができる構成となっている。また、サイドフレーム側接合部32Bは鋳造手段により拡径筒体として成形されているので、サイドフレーム側接合部32Bの断面形状は、中間筒部32Cからサイドフレーム側接合端32B1、接続フランジ側接合端32B2に向けて滑らかに変化し、サイドフレーム22と左後脚部32との接合部分に作用する応力を低減することができる構成となっている。
33は右前脚部で、該右前脚部33は後述の右後脚部34と共に右側のサイドフレーム28とセンタフレーム12との間を連結するものである。この右前脚部33は、左前脚部31と同様に、センタフレーム12の右側板17に接合されるセンタフレーム側接合部33Aと、サイドフレーム28(中間フレーム部23)の左側板23Cに接合されるサイドフレーム側接合部33Bと、センタフレーム側接合部33Aとサイドフレーム側接合部33Bとの間に位置する中間筒部33Cとにより構成されている。そして、右前脚部33も左前脚部31と同様に、鋳造手段により単一の筒体として一体成形されている。
ここで、センタフレーム側接合部33Aは、中間筒部33Cから接合端33A1(センタフレーム12側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端33A1は、センタフレーム12の右側板17に隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。
一方、サイドフレーム側接合部33Bも、中間筒部33Cから接合端33B1(サイドフレーム28側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端33B1は、サイドフレーム28(中間フレーム部23)の左側板23Cに隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。
34は右後脚部で、該右後脚部34は右前脚部33と共に右側のサイドフレーム28とセンタフレーム12との間を連結するものである。この右後脚部34は、左後脚部32と同様に、センタフレーム12の右側板17に接合されるセンタフレーム側接合部34Aと、サイドフレーム28(中間フレーム部23)の左側板23Cと後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bとに接合されるサイドフレーム側接合部34Bと、センタフレーム側接合部34Aとサイドフレーム側接合部34Bとの間に位置する中間筒部34Cとにより構成されている。そして、右後脚部34も左後脚部32と同様に、鋳造手段により単一の筒体として一体成形されている。
ここで、センタフレーム側接合部34Aは、中間筒部34Cから接合端34A1(センタフレーム12側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端34A1は、センタフレーム12の右側板17に隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。
一方、サイドフレーム側接合部34Bも、中間筒部34Cからサイドフレーム側接合端34B1(サイドフレーム28側の開口端)と、接続フランジ側接合端34B2(後側接続フランジ25側の開口端)とに向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。ここで、サイドフレーム側接合端34B1と接続フランジ側接合端34B2とは、略直角に折曲がった開口形状となっている。そして、サイドフレーム側接合端34B1は、サイドフレーム28(中間フレーム部23)の左側板23Cに隙間なく突合わされた状態で該左側板23Cに溶接されている。一方、接続フランジ側接合端34B2は、後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bに隙間なく突合わされ、かつホース挿通孔25Cを覆った状態で脚部側フランジ面部25Bに溶接されている。
本実施の形態による油圧ショベルのトラックフレーム11は上述の如き構成を有するもので、次に、その作用効果について説明する。
まず、左側のサイドフレーム22についてみると、該サイドフレーム22をセンタフレーム12に連結する左前脚部31、左後脚部32は、鋳鋼材料、鋳鉄材料等を用いた鋳造手段により単一の筒体として一体成形されている。
これにより、例えば従来技術によるトラックフレームのように、互いに別部材からなる上板、下板、前側板、後側板等を用いて脚部を構成する場合に比較して、各板体の切断作業や溶接作業を不要にでき、トラックフレーム11の製造コストを低減することができる。
また、左前脚部31のセンタフレーム側接合部31Aとサイドフレーム側接合部31Bとを鋳造によって成形しているので、これらセンタフレーム側接合部31Aとサイドフレーム側接合部31Bを精度よく形成することができる。従って、センタフレーム側接合部31Aをセンタフレーム12に隙間なく突合わせた状態で強固に接合できると共に、サイドフレーム側接合部31Bをサイドフレーム22の中間フレーム部23に隙間なく突合わせた状態で強固に接合することができる。
また、左前脚部31のセンタフレーム側接合部31Aとサイドフレーム側接合部31Bとは、中間筒部31Cから徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。この結果、溶接作業を行うときには、センタフレーム側接合部31Aの接合端31A1の周囲と、サイドフレーム側接合部31Bの接合端31B1の周囲とに形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。従って、センタフレーム側接合部31Aとセンタフレーム12との間、及びサイドフレーム側接合部31Bとサイドフレーム22との間の接合強度を高めることができる。
さらに、左前脚部31のセンタフレーム側接合部31Aとサイドフレーム側接合部31Bとは、鋳造手段により中間筒部31Cから徐々に拡径する拡径筒体として成形されているので、中間筒部31Cとの間に溶接等による継ぎ目のない滑らかな断面形状を形成することができる。これにより、センタフレーム12と左前脚部31との接合部分に作用する応力、及びサイドフレーム22と左前脚部31との接合部分に作用する応力を低減することができ、左前脚部31の接合強度を高めることができる。
一方、左後脚部32のセンタフレーム側接合部32Aとサイドフレーム側接合部32Bとを鋳造によって成形しているので、これらセンタフレーム側接合部32Aとサイドフレーム側接合部32Bを精度よく形成することができる。従って、センタフレーム側接合部32Aは、センタフレーム12に隙間なく突合わせた状態で強固に接合できる。また、サイドフレーム側接合部32Bは、サイドフレーム22の中間フレーム部23の右側板23Dと後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bとに隙間なく突合わせた状態で強固に接合することができる。
また、左後脚部32のセンタフレーム側接合部32Aとサイドフレーム側接合部32Bとは、中間筒部32Cから徐々に拡径する拡径筒体として形成している。これにより、溶接作業を行うときには、センタフレーム側接合部32Aの接合端32A1の周囲と、サイドフレーム側接合部32Bのサイドフレーム側接合端32B1、接続フランジ側接合端32B2の周囲とに形成される溶接ビードの長さを大きく確保することができる。従って、センタフレーム側接合部32Aとセンタフレーム12との間、及びサイドフレーム側接合部32Bとサイドフレーム22及び後側接続フランジ25との間の接合強度を高めることができる。
しかも、モータブラケット部27側の後側接続フランジ25を、中間フレーム部23の後端面に溶接されるフレーム側フランジ面部25Aと、センタフレーム12側に張出した脚部側フランジ面部25Bとにより構成し、脚部側フランジ面部25Bに左後脚部32の接続フランジ側接合端32B2を溶接する構成としている。これにより、左後脚部32の接続フランジ側接合端32B2と後側接続フランジ25との間に形成される溶接ビードの長さを可及的に大きくすることができ、サイドフレーム側接合部32Bの接合強度を一層高めることができる。
さらに、左後脚部32のセンタフレーム側接合部32Aとサイドフレーム側接合部32Bとは、鋳造手段により中間筒部32Cから徐々に拡径する拡径筒体として成形されているので、中間筒部32Cとの間に溶接等による継ぎ目のない滑らかな断面形状を形成することができる。これにより、センタフレーム12と左後脚部32との接合部分に作用する応力、及びサイドフレーム22と左後脚部32との接合部分に作用する応力を低減することができ、左後脚部32の接合強度を高めることができる。
そして、上述した作用効果については、右側のサイドフレーム28をセンタフレーム12に連結する右前脚部33と右後脚部34とについても同様である。
なお、上述した第1の実施の形態では、左前脚部31を構成するセンタフレーム側接合部31Aとサイドフレーム側接合部31Bとの両方を、中間筒部31Cから徐々に拡径する拡径筒体として形成した場合を例に挙げている(図9参照)。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図11に示す第1の変形例による左前脚部31′のようにセンタフレーム側接合部31Aのみを拡径筒体として形成し、サイドフレーム側接合部31B′を、中間筒部31Cとほぼ等しい径寸法を有する円筒状に成形してもよい。このことは、左後脚部32、右前脚部33、右後脚部34についても同様である。
また、例えば図12に示す第2の変形例による左前脚部31″のように、サイドフレーム側接合部31Bのみを拡径筒体として形成し、センタフレーム側接合部31A″を、中間筒部31Cとほぼ等しい径寸法を有する円筒状に成形してもよい。このことは、左後脚部32、右前脚部33、右後脚部34についても同様である。
次に、図13ないし図16は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、脚部をセンタフレーム側接合部材と、サイドフレーム側接合部材と、中間筒部材との3部材を接合することにより一体の筒体として構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は第1の実施の形態によるトラックフレーム11に代えて本実施の形態に用いたトラックフレームを示し、該トラックフレーム41は、第1の実施の形態によるものと同様に、センタフレーム12、左側のサイドフレーム22、右側のサイドフレーム28、後述の左前脚部51,左後脚部52,右前脚部53,右後脚部54等により構成されている。しかし、本実施の形態によるトラックフレーム41は、各脚部51〜54の構成が第1の実施の形態による各脚部31〜34とは異なるものである。
51は本実施の形態に用いる左前脚部で、該左前脚部51は、図14及び図15に示すように、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材51Aと、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dに接合されるサイドフレーム側接合部材51Bと、センタフレーム側接合部材51Aとサイドフレーム側接合部材51Bとの間に位置する中間筒部材51Cとからなる別々の3部材により構成されている。そして、左前脚部51は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材51Aと、サイドフレーム側接合部材51Bと、中間筒部材51Cとを溶接によって接合することにより、一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材51Aとサイドフレーム側接合部材51Bとは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により成形されている。また、中間筒部材51Cは、円筒状の鋼管材を切断することにより形成されるものである。
そして、センタフレーム側接合部材51Aは、中間筒部材51Cから接合端51A1(センタフレーム12側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端51A1は、センタフレーム12の左側板16に隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。一方、サイドフレーム側接合部材51Bも、中間筒部材51Cから接合端51B1(サイドフレーム22側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端51B1は、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dに隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。
52は本実施の形態に用いる左後脚部で、該左後脚部52は、図14及び図16に示すように、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材52Aと、サイドフレーム22(中間フレーム部23)の右側板23Dと後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bとに接合されるサイドフレーム側接合部材52Bと、センタフレーム側接合部材52Aとサイドフレーム側接合部材52Bとの間に位置する中間筒部材52Cとからなる別々の3部材により構成されている。そして、左後脚部52は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材52Aと、サイドフレーム側接合部材52Bと、中間筒部材52Cとを溶接によって接合することにより、一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材52Aとサイドフレーム側接合部材52Bとは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により成形されている。また、中間筒部材52Cは、円筒状の鋼管材を切断することにより形成されるものである。
そして、センタフレーム側接合部材52Aは、中間筒部材52Cから接合端52A1(センタフレーム12側の開口端)に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端52A1は、センタフレーム12の左側板16に隙間なく突合わされる長方形の開口形状をなしている。一方、サイドフレーム側接合部52Bも、中間筒部52Cからサイドフレーム側接合端52B1(サイドフレーム22側の開口端)と、接続フランジ側接合端52B2(後側接続フランジ25側の開口端)とに向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。ここで、サイドフレーム側接合端52B1と接続フランジ側接合端52B2とは、略直角に折曲がった開口形状となっている。そして、サイドフレーム側接合端52B1は、中間フレーム部23の右側板23Dに隙間なく突合わされた状態で該右側板23Dに溶接されている。一方、接続フランジ側接合端52B2は、後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bに隙間なく突合わされ、かつホース挿通孔25Cを覆った状態で脚部側フランジ面部25Bに溶接されている。
53は本実施の形態に用いる右前脚部で、該右前脚部53は、左前脚部51と同様に、センタフレーム側接合部材53Aと、サイドフレーム側接合部材53Bと、中間筒部材53Cとからなる別々の3部材を溶接によって接合することにより、一体の筒体として構成されている。ここで、センタフレーム側接合部材53Aとサイドフレーム側接合部材53Bとは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等を用いた鋳造手段により成形されている。また、中間筒部材53Cは、円筒状の鋼管材を切断することにより形成されるものである。
そして、センタフレーム側接合部材53Aは、中間筒部材53Cから接合端53A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端53A1は、センタフレーム12の右側板17に突合わされる長方形の開口形状をなしている。一方、サイドフレーム側接合部材53Bも、中間筒部材53Cから接合端53B1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端53B1は、サイドフレーム28の左側板23Cに突合わされる長方形の開口形状をなしている。
54は本実施の形態に用いる右後脚部で、該右後脚部54は、左後脚部52と同様に、センタフレーム側接合部材54Aと、サイドフレーム側接合部材54Bと、中間筒部材54Cとからなる別々の3部材を溶接によって接合することにより、一体の筒体として構成されている。ここで、センタフレーム側接合部材54Aとサイドフレーム側接合部材54Bとは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等を用いた鋳造手段により成形されている。また、中間筒部材54Cは、円筒状の鋼管材を切断することにより形成されるものである。
そして、センタフレーム側接合部材54Aは、中間筒部材54Cから接合端54A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端54A1は、センタフレーム12の右側板17に突合わされる長方形の開口形状をなしている。一方、サイドフレーム側接合部材54Bも、中間筒部材54Cからサイドフレーム側接合端54B1と接続フランジ側接合端54B2とに向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。ここで、サイドフレーム側接合端54B1と接続フランジ側接合端54B2とは、略直角に折曲がった開口形状となっている。そして、サイドフレーム側接合端54B1は、中間フレーム部23の左側板23Cに隙間なく突合わされた状態で該左側板23Cに溶接されている。一方、接続フランジ側接合端54B2は、後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bに隙間なく突合わされ、かつホース挿通孔25Cを覆った状態で脚部側フランジ面部25Bに溶接されている。
本実施の形態によるトラックフレーム41は上述の如き構成を有するもので、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態によるトラックフレーム11とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
しかも、本実施の形態においては、左前脚部51のセンタフレーム側接合部材51Aとサイドフレーム側接合部材51Bとを鋳造手段によって成形すると共に、中間筒部材51Cを市販の鋼管材を用いて形成し、これら3部材を溶接によって接合することにより、左前脚部51を一体の筒体として構成している。
このため、センタフレーム側接合部材51Aとサイドフレーム側接合部材51Bとは、別々の単体として小さく鋳造することができる。従って、これらセンタフレーム側接合部材51Aとサイドフレーム側接合部材51Bとを鋳造するための鋳型は、安価に形成することができ、左前脚部51の製造コストを低減することができる。このことは、左後脚部52、右前脚部53、右後脚部54についても同様である。
次に、図17ないし図20は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、脚部をセンタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との2部材を接合することにより一体の筒体として構成し、サイドフレーム側接合部材に中間筒部を一体に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61は第1の実施の形態によるトラックフレーム11に代えて本実施の形態に用いたトラックフレームを示し、該トラックフレーム61は、第1の実施の形態によるものと同様に、センタフレーム12、左側のサイドフレーム22、右側のサイドフレーム28、後述の左前脚部71,左後脚部72,右前脚部73,右後脚部74等により構成されている。しかし、本実施の形態によるトラックフレーム61は、各脚部71〜74の構成が第1の実施の形態による各脚部31〜34とは異なるものである。
71は本実施の形態に用いる左前脚部で、該左前脚部71は、図18及び図19に示すように、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材71Aと、サイドフレーム22の右側板23Dに接合されるサイドフレーム側接合部材71Bとからなる別々の2部材により構成されている。そして、左前脚部71は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材71Aと、サイドフレーム側接合部材71Bとを溶接によって接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部71Cとなった一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材71Aは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により、中間筒部71Cから接合端71A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端71A1は、センタフレーム12の左側板16に突合わされる長方形の開口形状をなしている。
一方、サイドフレーム側接合部材71Bは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により、円筒状の中間筒部71Cが一体に形成されると共に該中間筒部71Cから接合端71B1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。そして、サイドフレーム側接合部材71Bの中間筒部71Cは、センタフレーム側接合部材71Aに接合され、接合端71B1は、サイドフレーム22の右側板23Dに突合わされる長方形の開口形状をなしている。
72は本実施の形態に用いる左後脚部で、該左後脚部72は、図18及び図20に示すように、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材72Aと、サイドフレーム22の右側板23Dと後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bとに接合されるサイドフレーム側接合部材72Bとからなる別々の2部材により構成されている。そして、左後脚部72は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材72Aと、サイドフレーム側接合部材72Bとを溶接によって接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部72Cとなった一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材72Aは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により、中間筒部72Cから接合端72A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端72A1は、センタフレーム12の左側板16に突合わされる長方形の開口形状をなしている。
一方、サイドフレーム側接合部材72Bは、鋳鋼材料、鋳鉄材料等の溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により、円筒状の中間筒部72Cが一体に形成されると共に該中間筒部72Cからサイドフレーム側接合端72B1、接続フランジ側接合端72B2に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。ここで、サイドフレーム側接合端72B1と接続フランジ側接合端72B2とは、略直角に折曲がった開口形状となっている。そして、サイドフレーム側接合部材72Bの中間筒部72Cは、センタフレーム側接合部材72Aに接合されている。また、サイドフレーム側接合端72B1は、中間フレーム部23の右側板23Dに隙間なく突合わされた状態で該右側板23Dに溶接されている。一方、接続フランジ側接合端72B2は、後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bに隙間なく突合わされ、かつホース挿通孔25Cを覆った状態で脚部側フランジ面部25Bに溶接されている。
73は本実施の形態に用いる右前脚部で、該右前脚部73は、左前脚部71と同様に、センタフレーム側接合部材73Aと、サイドフレーム側接合部材73Bとの2部材を接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部73Cとなった一体の筒体として構成されている。
そして、センタフレーム側接合部材73Aは、中間筒部73Cから接合端73A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端73A1は、センタフレーム12の右側板17に突合わされる長方形の開口形状をなしている。
一方、サイドフレーム側接合部材73Bは、円筒状の中間筒部73Cが一体に形成されると共に該中間筒部73Cから接合端73B1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端71B1は、サイドフレーム22の左側板23Cに突合わされる長方形の開口形状をなしている。
74は本実施の形態に用いる右後脚部で、該右後脚部74は、左後脚部72と同様に、センタフレーム側接合部材74Aと、サイドフレーム側接合部材74Bとの2部材を接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部74Cとなった一体の筒体として構成されている。
そして、センタフレーム側接合部材74Aは、中間筒部74Cから接合端74A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成され、その接合端74A1は、センタフレーム12の右側板17に突合わされる長方形の開口形状をなしている。
一方、サイドフレーム側接合部材74Bは、円筒状の中間筒部74Cが一体に形成されると共に該中間筒部74Cからサイドフレーム側接合端74B1、接続フランジ側接合端74B2に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。ここで、サイドフレーム側接合端74B1と接続フランジ側接合端74B2とは、略直角に折曲がった開口形状となっている。そして、サイドフレーム側接合部材74Bの中間筒部74Cは、センタフレーム側接合部材74Aに接合されている。また、サイドフレーム側接合端74B1は、中間フレーム部23の左側板23Cに隙間なく突合わされた状態で該左側板23Cに溶接されている。一方、接続フランジ側接合端74B2は、後側接続フランジ25の脚部側フランジ面部25Bに隙間なく突合わされ、かつホース挿通孔25Cを覆った状態で脚部側フランジ面部25Bに溶接されている。
本実施の形態によるトラックフレーム61は上述の如き構成を有するもので、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態によるトラックフレーム11とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
しかも、本実施の形態においては、センタフレーム側接合部材71Aとサイドフレーム側接合部材71Bとを鋳造手段によってそれぞれ別部材として成形し、これらセンタフレーム側接合部材71Aとサイドフレーム側接合部材71Bとを接合することにより、左前脚部71を一体の筒体として構成している。
このため、センタフレーム側接合部材71Aとサイドフレーム側接合部材71Bとは、別々の単体として小さく鋳造することができる。従って、これらセンタフレーム側接合部材71Aとサイドフレーム側接合部材71Bとを鋳造するための鋳型は、安価に形成することができ、左前脚部71の製造コストを低減することができる。このことは、左後脚部72、右前脚部73、右後脚部74についても同様である。
なお、上述した第3の実施の形態では、左前脚部71を構成するセンタフレーム側接合部材71Aとサイドフレーム側接合部材71Bとの両方を、中間筒部71Cから徐々に拡径する拡径筒体として形成した場合を例に挙げている(図19参照)。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図21に示す第3の変形例による左前脚部71′のように、センタフレーム側接合部材71Aのみを拡径筒体として形成し、サイドフレーム側接合部材71B′を中間筒部71Cとほぼ等しい径寸法を有する円筒状に成形してもよい。このことは、左後脚部72、右前脚部73、右後脚部74についても同様である。
次に、図22は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、脚部をセンタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との2部材を接合することにより一体の筒体として構成し、センタフレーム側接合部材に中間筒部を一体に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、81は本実施の形態によるトラックフレームを示し、該トラックフレーム81は、センタフレーム12、左側のサイドフレーム22、右側のサイドフレーム(図示せず)、後述の左前脚部91,左後脚部92,右前脚部,右後脚部(いずれも図示せず)等により構成されている。
91は本実施の形態に用いる左前脚部で、該左前脚部91は、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材91Aと、サイドフレーム22の右側板23Dに接合されるサイドフレーム側接合部材91Bとからなる別々の2部材により構成されている。そして、左前脚部91は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材91Aと、サイドフレーム側接合部材91Bとを溶接によって接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部91Cとなった一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材91Aは、鋳造手段により円筒状の中間筒部91Cが一体に形成されると共に該中間筒部91Cから接合端91A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。一方、サイドフレーム側接合部材91Bは、鋳造手段により中間筒部91Cから接合端91B1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。
92は本実施の形態に用いる左後脚部で、該左後脚部92は、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材92Aと、サイドフレーム22の右側板23Dに接合されるサイドフレーム側接合部材92Bとからなる別々の2部材により構成されている。そして、左後脚部92は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材92Aと、サイドフレーム側接合部材92Bとを溶接によって接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部92Cとなった一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材92Aは、鋳造手段により円筒状の中間筒部92Cが一体に形成されると共に該中間筒部92Cから接合端92A1に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。一方、サイドフレーム側接合部材92Bは、鋳造手段により中間筒部92Cからサイドフレーム側接合端92B1、接続フランジ側接合端92B2に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。
そして、右側のサイドフレームとセンタフレーム12との間を連結する右前脚部、右後脚部も、上述した左前脚部91、左後脚部92と同様に構成されている。
本実施の形態によるトラックフレーム81は上述の如き構成を有するもので、本実施の形態においても、上述した第3の実施の形態によるトラックフレーム61とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述した第4の実施の形態では、左前脚部91を構成するセンタフレーム側接合部材91Aとサイドフレーム側接合部材91Bとの両方を、中間筒部91Cから徐々に拡径する拡径筒体として形成した場合を例に挙げている。
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図23に示す第4の変形例による左前脚部91′のように、サイドフレーム側接合部材91Bのみを拡径筒体として形成し、センタフレーム側接合部材91A′を中間筒部91Cとほぼ等しい径寸法を有する円筒状に成形してもよい。このことは、左後脚部92、右前脚部93、右後脚部94についても同様である。
次に、図24は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、脚部をセンタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との2部材を接合することにより一体の筒体として構成し、かつ、センタフレーム側接合部材には中間筒部の一部を構成するセンタフレーム側中間筒部を一体に形成すると共に、サイドフレーム側接合部材にも中間筒部の一部を構成するサイドフレーム側中間筒部を一体に形成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、101は本実施の形態によるトラックフレームを示し、該トラックフレーム101は、センタフレーム12、左側のサイドフレーム22、右側のサイドフレーム(図示せず)、後述の左前脚部111,左後脚部112,右前脚部,右後脚部(いずれも図示せず)等により構成されている。
111は本実施の形態に用いる左前脚部で、該左前脚部111は、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材111Aと、サイドフレーム22の右側板23Dに接合されるサイドフレーム側接合部材111Bとからなる別々の2部材により構成されている。そして、左前脚部111は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材111Aと、サイドフレーム側接合部材111Bとを溶接によって接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部111Cとなった一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材111Aは、鋳造手段により中間筒部111Cの一部をなす円筒状のセンタフレーム側中間筒部111A1が一体に形成されると共に、センタフレーム側中間筒部111A1から接合端111A2に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。
一方、サイドフレーム側接合部材111Bは、鋳造手段により中間筒部111Cの一部をなす円筒状のサイドフレーム側中間筒部111B1が一体に形成されると共に、サイドフレーム側中間筒部111B1から接合端111B2に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。
そして、センタフレーム側接合部材111Aのセンタフレーム側中間筒部111A1と、サイドフレーム側接合部材111Bのサイドフレーム側中間筒部111B1とを接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部111Cとなった左前脚部111が構成されている。
112は本実施の形態に用いる左後脚部で、該左後脚部112は、センタフレーム12の左側板16に接合されるセンタフレーム側接合部材112Aと、サイドフレーム22の右側板23Dに接合されるサイドフレーム側接合部材112Bとからなる別々の2部材により構成されている。そして、左後脚部112は、これら別部材からなるセンタフレーム側接合部材112Aと、サイドフレーム側接合部材112Bとを溶接によって接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部112Cとなった一体の筒体として構成されている。
ここで、センタフレーム側接合部材112Aは、鋳造手段により中間筒部112Cの一部をなす円筒状のセンタフレーム側中間筒部112A1が一体に形成されると共に、センタフレーム側中間筒部112A1から接合端112A2に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。
一方、サイドフレーム側接合部材112Bは、鋳造手段により中間筒部112Cの一部をなす円筒状のサイドフレーム側中間筒部112B1が一体に形成されると共に、サイドフレーム側中間筒部112B1からサイドフレーム側接合端112B2、接続フランジ側接合端112B3に向けて徐々に拡径する拡径筒体として形成されている。
そして、センタフレーム側接合部材112Aのセンタフレーム側中間筒部112A1と、サイドフレーム側接合部材112Bのサイドフレーム側中間筒部112B1とを接合することにより、長さ方向の中間部位が中間筒部112Cとなった左後脚部112が構成されている。
そして、右側のサイドフレームをセンタフレーム12に連結する右前脚部、右後脚部は、上述した左前脚部111、左後脚部112と同様に構成されている。
本実施の形態によるトラックフレーム101は上述の如き構成を有するもので、本実施の形態においても、上述した第3の実施の形態によるトラックフレーム61とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述した各実施の形態では、上部旋回体6にキャブ9を備えたキャブ式の油圧ショベルを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば運転席の上方を部分的に覆うようにしたキャノピー形式の油圧ショベルに適用してもよいことは勿論である。
また、本発明は、油圧ショベルの下部走行体に適用するトラックフレームに限るものではなく、例えば油圧クレーン等の他の建設機械の下部走行体にも広く適用できるものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図23】

【図22】

【図24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体が取付けられるセンタフレームと、該センタフレームの左,右両側に位置して前,後方向に延びる左,右のサイドフレームと、該左,右のサイドフレームと前記センタフレームとの間を連結する前,後の脚部とからなる建設機械のトラックフレームにおいて、
前記脚部は、前記センタフレームに溶接により接合されるセンタフレーム側接合部と、前記サイドフレームに溶接により接合されるサイドフレーム側接合部と、前記センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部との間に位置する中間筒部とにより構成し、
前記センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部とのうち少なくとも一方の接合部は、前記中間筒部から接合端に向けて徐々に拡径した筒体からなる拡径筒体により構成し、
かつ、前記拡径筒体は溶融した鉄系金属を用いた鋳造手段により成形したことを特徴とする建設機械のトラックフレーム。
【請求項2】
前記拡径筒体は、前記サイドフレーム側接合部に設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項3】
前記拡径筒体は、前記センタフレーム側接合部とサイドフレーム側接合部との両方に設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項4】
前記脚部は、前記センタフレーム側接合部と、前記サイドフレーム側接合部と、前記中間筒部とを単一の筒体として前記鋳造手段により一体形成してなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項5】
前記脚部は、前記センタフレーム側接合部を構成するセンタフレーム側接合部材と、前記サイドフレーム側接合部を構成するサイドフレーム側接合部材と、前記中間筒部を構成する中間筒部材との3部材を接合することにより、一体の筒体として形成してなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項6】
前記脚部は、前記センタフレーム側接合部を構成するセンタフレーム側接合部材と、前記サイドフレーム側接合部を構成するサイドフレーム側接合部材との2部材を接合することにより、長さ方向の中間部位が前記中間筒部となった一体の筒体として形成してなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項7】
前記センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との両方を前記拡径筒体として形成し、かつ、前記サイドフレーム側接合部材には前記中間筒部を一体形成する構成としてなる請求項6に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項8】
前記センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との両方を前記拡径筒体として形成し、かつ、前記センタフレーム側接合部材には前記中間筒部を一体形成する構成としてなる請求項6に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項9】
前記センタフレーム側接合部材とサイドフレーム側接合部材との両方を前記拡径筒体として形成し、かつ、前記センタフレーム側接合部材には前記中間筒部の一部を構成するセンタフレーム側中間筒部を一体に形成し、前記サイドフレーム側接合部材には前記中間筒部の一部を構成するサイドフレーム側中間筒部を一体に形成する構成としてなる請求項6に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項10】
前記サイドフレームは、前,後方向に延びる中間フレーム部と、該中間フレーム部の長さ方向一側に設けられた遊動輪ブラケット部と、前記中間フレーム部の長さ方向他側に設けられたモータブラケット部と、前記中間フレーム部の長さ方向他側の端面と該モータブラケット部との間に設けられ両者間を接続する接続フランジとの4部材により構成し、
前記各脚部のうち後脚部は斜め後方に延びて形成し、
該後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する前記拡径筒体は、前記中間フレーム部の後側部位と前記接続フランジとに亘って接合する構成としてなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項11】
前記接続フランジは前記サイドフレームの内側面から前記センタフレーム側に張出した張出し部を有し前記後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する前記拡径筒体は、前記中間フレーム部の後側部位と前記接続フランジの張出し部とに亘って接合する構成としてなる請求項1に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項12】
前記後脚部のサイドフレーム側接合部を構成する前記拡径筒体は、前記サイドフレームの中間フレーム部に接合されるサイドフレーム側接合端と、該サイドフレーム側接合端とほぼ直交する接続フランジ側接合端とにより形成し、
前記接続フランジは、前記サイドフレームの端面と対面するフレーム側フランジ面部と、該フレーム側フランジ面部から前記センタフレーム側に張出した脚部側フランジ面部とにより形成し、
前記接続フランジのフレーム側フランジ面部は前記サイドフレームの中間フレーム部の後端と接合し、前記接続フランジの脚部側フランジ面部は前記拡径筒体の接続フランジ側接合端と接合する構成としてなる請求項10に記載の建設機械のトラックフレーム。
【請求項13】
前記各脚部のうち前脚部は斜め前方にまたは左,右方向に延び、該前脚部のサイドフレーム側接合部は前記サイドフレームの中間フレーム部に溶接により接合する構成としてなる請求項10に記載の建設機械のトラックフレーム。

【国際公開番号】WO2004/033273
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542819(P2004−542819)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012547
【国際出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】