説明

建設機械の盗難防止装置

【課題】オペレータと管理者の両方の利便性を維持しつつ、セキュリティ性を向上できる建設機械の盗難防止装置を提供する
【解決手段】第1盗難防止装置40は、第1照合部43がID1とID2とを照合した結果、ID1とID2とが一致する場合は、ID1を第2盗難防止装置50に出力し、キー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内にID1を認識できない場合は、ID2を第2盗難防止装置50に出力する。第2盗難防止装置50は、ID1を入力し、第3照合部55がID1とID4とを照合した結果、ID1とID4とが一致する場合は、許可信号を出力し、ID2を入力し、第4照合部56がID2とID4とを照合した結果、ID2とID4とが一致し、さらに第2照合部54がID3とID4とを照合した結果、ID3とID4とが一致する場合は、許可信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベルなどの建設機械の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械は一般的に、機械の非動作時において機械の動作を禁止状態とし、照合をおこない照合情報が一致すると許可信号が出力され、機械の始動時に禁止状態を解除する盗難防止装置を備えている。例えば、特許文献1に記載の盗難防止装置はテンキー入力装置を設け、このテンキー入力装置より暗証番号を入力し、暗証番号による照合が一致すると、許可信号が出力される。特許文献2に記載の盗難防止装置は通信装置を設け、この通信装置を介してID情報が記憶されたIDキーが送信するID情報を受信し、ID情報による照合が一致すると、許可信号が出力される。特許文献3に記載の盗難防止装置は、暗証番号とIDキーが送信するID情報とGPS位置情報とに基づいて照合をおこない、すべての照合情報が一致すると許可信号が出力される。
【0003】
ところで、近年、油圧ショベルなどの建設機械の稼動実態は、レンタル業者が大量購入して、必要に応じ土木工事等を行う顧客に貸し出す形態が主流になっている。暗証番号による照合をおこなう盗難防止装置によれば、暗証番号を知らない第三者による始動を禁止し、盗難を防止することができるが、顧客であるオペレータは作業開始の度に暗証番号を入力するセキュリティ管理の煩わしさを感じる。また、備忘録として暗証番号を記載したメモを車内の見やすい場所に添付するオペレータもおり、暗証番号が盗難者に知られる可能性もある。オペレータが自分の憶えやすい暗証番号に変更する場合もある。この場合、レンタル業者が管理者として故障修理のために建設機械の始動をしようとしても、暗証番号が変更されて始動できないという不具合が生じる。
【0004】
IDキーによる照合をおこなう盗難防止装置によれば、オペレータは暗証番号を入力するセキュリティ管理の煩わしさから逃れられる。また、ID情報は膨大な情報量にも対応でき、簡単に盗難者に知られる可能性は低い。しかし、セキュリティ管理の観点から管理者はIDキーを1本のみ作成し、そのIDキーをオペレータに貸し出すことも多い。この場合、管理者が故障修理のために建設機械の始動をしようとしても、IDキーがなく始動できないという不具合が生じる。
【0005】
すなわち、オペレータはIDキーによる照合をおこなう盗難防止装置を用い、管理者は暗証番号による照合をおこなう盗難防止装置を用いると、両者にとって利便性がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-50584号公報
【特許文献2】特許第2823491号公報
【特許文献3】特開2004−243790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に記載の盗難防止装置は、IDキーによる照合と暗証番号による照合とをおこなっているが、すべての照合情報が一致すると許可信号が出力される構成であり、オペレータと管理者の両者にとって利便性が悪い。すなわち、オペレータは暗証番号を入力する必要があり、管理者はオペレータからIDキーを返却してもらう必要がある。
【0008】
IDキーによる照合をおこなう盗難防止装置(第1盗難防止装置)と暗証番号による照合をおこなう盗難防止装置(第2盗難防止装置)を並列に配置することも考えられる。第1盗難防止装置と第2盗難防止装置とのいずれかを選択し、第1盗難防止装置が選択され、IDキーによる照合をおこない、照合情報が一致すると許可信号を出力し、第2盗難防止装置が選択され、暗証番号による照合をおこない、照合情報が一致すると許可信号を出力する。この構成によれば、オペレータはIDキーによる照合をおこなう盗難防止装置を用い、管理者は暗証番号による照合をおこなう盗難防止装置を用いるので、両者とも利便性は向上する。しかし、従来技術を単純に組合わせた構成では、以下のようなセキュリティ上の問題が生じる。
【0009】
一般に、許可信号により禁止状態を解除する機構は複雑な配線となっており、盗難防止装置自体を破壊除去したり、自作の盗難防止装置を取り付けても適正に作動することはない。また、コネクタの形状や配置も正規の盗難防止装置と一致させる必要があるため、盗難者が自作の盗難防止装置を取り付けることは想定しがたい。このような理由から、盗難者は第1盗難防止装置を取り換えるか、第2盗難防止装置を取り換える方法を取る可能性がある。
【0010】
別の建設機械に設置されている同機種の第1盗難防止装置およびこれに対応するIDキーを取得可能な場合、盗難者は第1盗難防止装置を取り換え、対応するIDキーを用いる。取り換えられた第1盗難防止装置は、ID情報による照合が一致するので、許可信号を出力する。すなわち盗難者は建設機械を始動でき、盗難防止装置は盗難を防止することができない。
【0011】
また、別の建設機械に設置されている同機種の第2盗難防止装置を取得可能で、これに対応する暗証番号を知っている場合、盗難者は第2盗難防止装置を取り換え、対応する暗証番号を入力する。取り換えられた第2盗難防止装置は、暗証番号による照合が一致するので、許可信号を出力する。すなわち盗難者は建設機械を始動でき、盗難防止装置は盗難を防止することができない。
【0012】
本発明の目的は、オペレータと管理者の両方の利便性を維持しつつ、セキュリティ性を向上できる盗難防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、第1照合情報を記憶する非接触媒体との送受信をおこなう非接触媒体送受信部と、第2照合情報を記憶する第1記憶部と、第1照合情報と第2照合情報とを照合する第1照合部とを有する第1盗難防止装置と、外部入力装置と、この外部入力装置から第3照合情報を入力する入力部と、第4照合情報を記憶する第2記憶部と、第3照合情報と第4照合情報とを照合する第2照合部と、機械動作の禁止状態を解除するための許可信号または機械動作の禁止状態を維持する禁止信号のいずれかの信号を出力する機械動作許可・禁止制御手段を有する第2盗難防止装置とを備えた建設機械の盗難防止装置において、前記第1盗難防止装置は、キー信号を入力しON・OFFを判定する第1キー信号判定部を有し、前記第2盗難防止装置は、第1照合情報と第4照合情報とを照合する第3照合部と、第2照合情報と第4照合情報とを照合する第4照合部とを有し、前記第1盗難防止装置は、前記第1照合部が第1照合情報と第2照合情報とを照合した結果、第1照合情報と第2照合情報とが一致する場合は、第1照合情報を前記第2盗難防止装置に出力し、前記第1キー信号判定部がキーONと判定してから所定時間内に第1照合情報を認識できない場合は、第2照合情報を前記第2盗難防止装置に出力し、前記第2盗難防止装置は、第1照合情報を入力し、前記第3照合部が第1照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第1照合情報と第4照合情報とが一致する場合は、許可信号を出力し、第2照合情報を入力し、前記第4照合部が第2照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第2照合情報と第4照合情報とが一致し、さらに前記第2照合部が第3照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第3照合情報と第4照合情報とが一致する場合は、許可信号を出力する。
【0014】
このように構成した本発明においては、オペレータが第1照合情報を記憶する非接触媒体(IDキー)を用いると、第1盗難防止装置は第1照合情報を前記第2盗難防止装置に出力し、第2盗難防止装置は第1照合情報を入力し許可信号を出力する。これにより、オペレータは暗証番号を入力することなく、油圧ショベルを始動させることができる。
【0015】
一方、管理者が外部入力装置を用いて暗証番号(第3照合情報)を入力すると、第1盗難防止装置は第2照合情報を前記第2盗難防止装置に出力し、第2盗難防止装置は第2照合情報を入力し許可信号を出力する。これにより、管理者は、非接触媒体(IDキー)がなくとも暗証番号を入力することで、油圧ショベルを始動させることができる。
【0016】
同時に、オペレータが非接触媒体(IDキー)を用いる場合は、第1照合部と第3照合部の2箇所において照合をおこない、2箇所とも照合が一致したとき許可信号を出力する。管理者が暗証番号(第3照合情報)を入力する場合は、第4照合部と第2照合部の2箇所において照合をおこない、2箇所とも照合が一致したとき許可信号を出力する。これに対し従来の盗難防止装置では、オペレータがIDキーを用いる場合、第1盗難防止装置に相当する装置は第1照合部のみにおいて照合をおこない、照合が一致したとき許可信号を出力している。管理者が暗証番号を入力する場合、第2盗難防止装置に相当する装置は第2照合部のみにおいて照合をおこない、照合が一致したとき許可信号を出力している。したがって、照合箇所が増えることにより、従来の盗難防止装置に比べてセキュリティ性を向上できる。
【0017】
このように本発明は、オペレータと管理者の両方の利便性を維持しつつ、セキュリティ性を向上できる。
【0018】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第2盗難防止装置は、第1照合情報を入力し、前記第3照合部が第1照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第1照合情報と第4照合情報とが一致しない場合は、禁止信号を出力する。
【0019】
盗難者が第1盗難防止装置を取り換え、これに対応するIDキーを用いる場合、第2盗難防止装置は、第1照合情報と第4照合情報とが一致しないと判断し、禁止信号を出力する。これにより盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0020】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記第2盗難防止装置は、第2照合情報を入力し、前記第4照合部が第2照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第2照合情報と第4照合情報とが一致しない場合は、禁止信号を出力する。
【0021】
盗難者が第2盗難防止装置を取り換え、これに対応する暗証番号を知っている場合、第2盗難防止装置は、第2照合情報と第4照合情報とが一致しないと判断し、禁止信号を出力する。これにより盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0022】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記第2盗難防止装置は、キー信号を入力しON・OFFを判定する第2キー信号判定部を有し、前記第2キー信号判定部がキーONと判定してから所定時間内に第1照合情報と第2照合情報とのいずれも認識できない場合は、禁止信号を出力する。
【0023】
盗難者が第1盗難防止装置を取り外し、第2盗難防止装置を取り換え、これに対応する暗証番号を知っている場合、第2盗難防止装置は、第2キー信号判定部がキーONと判定してから所定時間内に第1照合情報と第2照合情報とのいずれも認識できず、禁止信号を出力する。これにより盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0024】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記第1照合情報は、第1ID情報と第1暗証番号を含み、前記第2照合情報は、第2ID情報を含み、前記第3照合情報は、第3暗証番号を含み、前記第4照合情報は、第4ID情報と第4暗証番号とを含み、前記第2盗難防止装置は、第1照合情報を入力し、前記第3照合部が第1照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第1ID情報と第4ID情報とが一致し、かつ第1暗証番号と第4暗証番号とが一致する場合は、第1照合情報と第4照合情報とが一致したとして、許可信号を出力し、第2照合情報を入力し、前記第4照合部が第2照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第2ID情報と第4ID情報とが一致し、さらに前記第2照合部が第3照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第3暗証番号と第4暗証番号とが一致する場合は許可信号を出力する。
【0025】
このように第3照合部は第1ID情報と第4ID情報の照合に加え、さらに第1暗証番号と第4暗証番号の照合をおこなうことにより、さらにセキュリティ性を向上できる。
【0026】
また、照合情報として、非接触媒体(IDキー)に記憶されるID情報と外部入力装置から入力される暗証番号を区別して、別種の情報として扱うことで、ID情報は膨大な情報量にも対応でき、これによりセキュリティ性をさらに向上でき、暗証番号の情報量を管理者が入力可能な程度の情報量(例えば英数字8桁)に制限でき、これにより管理者の利便性を向上できる。
【0027】
(6)上記(5)において、好ましくは、第5ID情報と第5暗証番号とを含む第5照合情報と書換後の暗証番号となる第6暗証番号とを含む第6照合情報とを記憶する第3記憶部を有し、着脱自在に装着される照合情報書換装置をさらに備え、前記第2盗難防止装置は、第4照合情報と第5照合情報とを照合する第5照合部をさらに有し、前記照合情報書換装置が装着されると第5照合情報を入力し、前記第5照合部が第4照合情報と第5照合情報とを照合した結果、第4ID情報と第5ID情報とが一致し、かつ第4暗証番号と第5暗証番号とが一致する場合は、第6照合情報を入力し、第2記憶部に記憶された第4暗証番号を第6暗証番号に書き換える。
【0028】
このような照合情報書換装置を備えることにより、第2盗難防止装置の第2記憶部に記憶された第4暗証番号を書き換えることができる。定期的に暗証番号を書き換えることにより、セキュリティ性をさらに向上できる。
【0029】
(7)上記(6)において、好ましくは、前記第1盗難防止装置は、第2照合情報と第5照合情報とを照合する第6照合部をさらに有し、前記照合情報書換装置が装着されると第5照合情報を入力し、前記第6照合部が第2照合情報と第5照合情報とを照合した結果、第2ID情報と第5ID情報とが一致し、かつ前記第1照合部が第1照合情報と第2照合情報とを照合した結果、第1ID情報と第2ID情報とが一致する場合は、前記非接触媒体送受信部を介して第5暗証番号を前記非接触媒に出力し、前記非接触媒に記憶されている第1暗証番号を第5暗証番号に書き換える。
【0030】
このような照合情報書換装置を備えることにより、上記(6)のように第2盗難防止装置の第2記憶部に記憶された第4暗証番号を書き換えるのにあわせて、非接触媒体(IDキー)に記憶される第1暗証番号を書き換えることができる。これにより、オペレータは、非接触媒体を用いることができ、油圧ショベルを始動させることができる。
【0031】
ところで、管理者は非接触媒体(IDキー)を1本のみ作成し、暗証番号として初期値が記憶されたスペアキーを作成しておく。スペアキーを用いても、第1暗証番号(初期値)と第4暗証番号とが一致せず、油圧ショベルを始動させることがでない。これによりセキュリティ性をさらに向上できる。
【0032】
また、スペアキーの暗証番号を書換えるとIDキーとして用いることができることにより、オペレータがIDキーを紛失した場合、IDキーが盗難された場合にも適切に対応でき、オペレータの利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、オペレータと管理者の両方の利便性を維持しつつ、セキュリティ性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明における建設機械の盗難防止装置が搭載される油圧ショベルの要部構成を示す図である。
【図2】エンジンコントローラの一部であるスタータ制御部の制御機能の概要を示す図及び車体コントローラの一部であるゲートロック制御部の制御機能の概要を示す図である。
【図3】油圧ショベルの外観を示す図である。
【図4】第1実施形態の盗難防止装置の制御機能の概要を示す図である。
【図5】第2実施形態の盗難防止装置の制御機能の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0036】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は本発明における建設機械の盗難防止装置が搭載される油圧ショベルの要部構成を示す図である。建設機械の盗難防止装置3は、建設機械の代表例である油圧ショベルの運転席に設置されている。油圧ショベルは、エンジン制御系1と車体制御系2を備えている。
【0037】
エンジン制御系1においてエンジンコントローラ11は、キースイッチ12の指令信号を入力し、所定の演算をし、演算結果を電子ガバナ13aやスタータ13bに出力し、これにより、エンジン13の始動及び停止を制御する。また、エンジンコントローラ11は、エンジンコントロールダイヤル14の指令信号とエンジン回転数センサ15の検出信号を入力し、所定の演算をし、演算結果を電子ガバナ13aに出力し、これにより、エンジン13の回転数とトルクを制御する。
【0038】
車体制御系2において、車体コントローラ21は油圧ショベルの油圧システムを電子制御するものであり、油圧システムはエンジン13により駆動される油圧ポンプ(図示せず)からの吐出油により油圧ショベルのフロント装置等を駆動制御するものである。また、車体コントローラ21はゲートロックスイッチ22のON/OFF信号を入力し、所定の演算をし、制御信号をゲートロック弁23に出力する。油圧ショベル1の運転席には運転席の入口を制限する位置(ロック解除位置)と開放する位置(ロック位置)とに選択的に操作されるゲートロックレバー(図示せず)が設けられ、ゲートロックレバーがロック位置にあるとゲートロックスイッチ22はOFF信号を出力し、車体コントローラ21はゲートロック弁23をパイロット圧の連通を遮断するよう作動させ、これによりフロント装置等への操作を無効とする。ゲートロックレバーがロック解除位置にあるとゲートロックスイッチ22はON信号を出力し、車体コントローラ21はゲートロック弁23をパイロット圧が連通するよう作動させ、これによりフロント装置等への操作が可能となる。
【0039】
盗難防止装置3は、外部入力装置(テンキー)31と、ブザー34と、表示装置35と、第1盗難防止装置40と、第2盗難防止装置50とを有している。盗難防止装置3は、IDキー30、外部入力装置31やキースイッチ12からの情報を入力し、第1盗難防止装置40、第2盗難防止装置50において所定の演算をし、機械動作許可信号又は機械動作禁止信号をエンジンコントローラ11及び車体コントローラ21に出力する。
【0040】
図2(a)はエンジンコントローラ11の一部であるスタータ制御部11aの制御機能の概要を示す図である。スタータ制御部11aは、機械動作許可・禁止判断部11bと増幅器11cを有している。機械動作許可・禁止判断部11bは、盗難防止装置3からの機械動作許可信号を入力すると閉じて、キースイッチ12の指令信号(スタート信号)を入力して増幅器11cを介してスタータ13bに出力し、機械動作禁止信号を入力すると開き、キースイッチ12の指令信号を遮断する。すなわち、盗難防止装置3が油圧ショベルの動作を禁止状態とするときは、キースイッチ12を操作してもスタータ13bは始動しない。
【0041】
図2(b)は車体コントローラ21の一部であるゲートロック制御部21aの制御機能の概要を示す図である。ゲートロック制御部21aは、機械動作許可・禁止判断部21bと増幅器21cを有している。機械動作許可・禁止判断部21bは、盗難防止装置3からの機械動作許可信号を入力すると閉じて、ゲートロックスイッチ22の信号を入力して増幅器21cを介してゲートロック弁23に出力し、機械動作禁止信号を入力すると開き、ゲートロックスイッチ22の信号を遮断する。すなわち、盗難防止装置3が油圧ショベルの動作を禁止状態とするときは、ゲートロックレバーをロック解除位置に操作してもフロント装置等への操作はできない。
【0042】
図3は、油圧ショベルの外観を示す図である。油圧ショベルは下部走行体100と上部旋回体101とフロント作業機102を備えている。下部走行体100は左右のクローラ式走行装置103a,103bを有し、左右の走行モータ104a,104bにより駆動される。上部旋回体101は旋回モータ105により下部走行体100上に旋回可能に搭載され、フロント作業機102は上部旋回体101の前部に俯仰可能に取り付けられている。上部旋回体101にはエンジンルーム106、運転室107が備えられ、エンジンルーム106にエンジン13が配置され、運転室107内の運転席の入り口にゲートロックスイッチ22をON/OFFするゲートロックレバーが設けられ、運転席108の左右にコントロールレバーユニットが配置されている。
【0043】
フロント作業機102はブーム111、アーム112、バケット113を有する多関節構造であり、ブーム111はブームシリンダ114の伸縮により上下方向に回動し、アーム112はアームシリンダ115の伸縮により上下、前後方向に回動し、バケット113はバケットシリンダ116の伸縮により上下、前後方向に回動する。
【0044】
図4は盗難防止装置3の制御機能の概要を示す図である。
【0045】
盗難防止装置3は、上述の通り、外部入力装置31と、ブザー34と、表示装置35と、第1盗難防止装置40と、第2盗難防止装置50とを有し、IDキー30、外部入力装置31やキースイッチ12からの情報を入力し、第1盗難防止装置40、第2盗難防止装置50において所定の演算をし、機械動作許可信号又は機械動作禁止信号をエンジンコントローラ11及び車体コントローラ21に出力する。
【0046】
第1盗難防止装置40は、ID1を記憶するIDキーとの送受信をおこなうIDキー送受信部41と、ID2を記憶する記憶部42と、ID1とID2とを照合する第1照合部43と、第1照合部43の照合結果に基づき所定の判断をおこなう判断部44と、判断部44の判断結果を第2盗難防止装置50に出力する出力部45と、キースイッチ12からキー信号を入力しON・OFFを判定するキー信号判定部46の制御機能を有している。
【0047】
判断部44は、第1照合部43がID1とID2とを照合した結果、ID1とID2とが一致する場合は、ID1を第2盗難防止装置50に出力するよう判断し、ID1とID2とが一致しない場合は、禁止信号を第2盗難防止装置50に出力するよう判断する。
【0048】
また判断部44は、キー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内にID1を認識できない場合は、ID2を第2盗難防止装置50に出力するよう判断する。
【0049】
第2盗難防止装置50は、第1盗難防止装置40の判断部44の判断結果を入力する入力部51と、外部入力装置31からID3を入力する暗証番号入力部52と、ID4を記憶する記憶部53と、ID3とID4とを照合する第2照合部54と、ID1とID4とを照合する第3照合部55と、ID2とID4とを照合する第4照合部56と、第2照合部54、第3照合部55、第4照合部56の照合結果に基づき所定の判断をおこなう判断部57と、ブザー34に警報信号を出力する警報出力部58と、表示装置35に表示信号を出力する表示出力部59と、機械動作の禁止状態を解除するための許可信号または機械動作の禁止状態を維持する禁止信号のいずれかの信号を出力する許可信号/禁止信号出力部60と、キースイッチ12からキー信号を入力しON・OFFを判定するキー信号判定部61の制御機能を有している。
【0050】
判断部57は、入力部51がID1を入力し、第3照合部55がID1とID4とを照合した結果、ID1とID4とが一致する場合は、許可信号を出力するよう判断し、ID1とID4とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。
【0051】
判断部57は、入力部51が禁止信号を入力する場合には、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。
【0052】
判断部57は、入力部51がID2を入力し、第4照合部56がID2とID4とを照合した結果、ID2とID4とが一致する場合は、暗証番号を要求する表示信号を出力するよう判断し、ID2とID4とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。さらに暗証番号入力部52がID3を入力し、第2照合部54がID3とID4とを照合した結果、ID3とID4とが一致する場合は、許可信号を出力するよう判断し、ID3とID4とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。
【0053】
また判断部57は、キー信号判定部61がキーONと判定してから所定時間内にID1とID2とのいずれも認識できない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。
【0054】
以上において、第1照合部43はID1とID2とを照合する第1照合部を構成し、第2照合部54はID3とID4とを照合する第2照合部を構成し、第3照合部55はID1とID4とを照合する第3照合部を構成し、第4照合部56はID2とID4とを照合する第4照合部を構成し、キー信号判定部46はキー信号を入力しON・OFFを判定する第1キー信号判定部を構成し、許可信号/禁止信号出力部60は機械動作の禁止状態を解除するための許可信号または機械動作の禁止状態を維持する禁止信号のいずれかの信号を出力する機械動作許可・禁止制御手段を構成する。
【0055】
第1盗難防止装置40の判断部44と出力部45は、第1照合部43がID1とID2とを照合した結果、ID1とID2とが一致する場合は、ID1を第2盗難防止装置50に出力し、キー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内にID1を認識できない場合は、ID2を第2盗難防止装置50に出力する。
【0056】
第2盗難防止装置50の入力部51と判断部57と許可信号/禁止信号出力部60は、ID1を入力し、第3照合部55がID1とID4とを照合した結果、ID1とID4とが一致する場合は、許可信号を出力し、ID2を入力し、第4照合部56がID2とID4とを照合した結果、ID2とID4とが一致し、さらに第2照合部54がID3とID4とを照合した結果、ID3とID4とが一致する場合は、許可信号を出力する。
【0057】
〜動作〜
(1)オペレータがIDキー30を用いる場合の盗難防止装置3の動作について説明する。
【0058】
オペレータには、予めID1が記憶されたIDキー30が貸し出されている。オペレータがIDキー30をキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40はIDキー送受信部41を介してID1を入力する。なお、このときキー信号判定部46はキー信号を入力しキーONと判定する。第1照合部43はID1とID2とを照合し、判断部44はID1とID2とが一致すると判断し、出力部45はID1を第2盗難防止装置50に出力する。
【0059】
第2盗難防止装置50において、入力部51がID1を入力し、第3照合部55はID1とID4とを照合し、判断部57はID1とID4とが一致すると判断し、許可信号/禁止信号出力部60は許可信号を出力する。
【0060】
これにより、オペレータは、暗証番号を入力することなく、油圧ショベルを始動させることができる。
【0061】
同時に、盗難防止装置3は、第1盗難防止装置40の第1照合部43と第2盗難防止装置50の第3照合部55の2箇所において照合をおこない、2箇所とも照合が一致したとき許可信号を出力する。これに対し第1盗難防止装置に相当する従来の盗難防止装置は第1照合部のみにおいて照合をおこない、照合が一致したとき許可信号を出力している。したがって、照合箇所が増えることにより、従来の盗難防止装置に比べてセキュリティ性を向上できる。
【0062】
なお、本動作において、第1盗難防止装置40がID2でなくID1を出力するのは、ID1を出力することは、第1照合部43で既に照合がおこなわれ、照合が一致したことを意味するためである。一方、後述のようにID2を出力することは、第1照合部43で照合がおこなわれていないことを意味する。つまりID1とID2は、第1盗難防止装置40における照合情報としては同一であるが、第2盗難防止装置50に入力するときにおいて、第1照合部43で既に照合がおこなわれたか否かの情報である点で異なる。
【0063】
(2)管理者が暗証番号を入力する場合の盗難防止装置3の動作について説明する。
【0064】
管理者は、盗難防止装置3の暗証番号(ID3)を第3者に知られないように厳重に管理している。管理者が故障修理のために建設機械の始動をするには、暗証番号(ID3)を用いる。
管理者がIDキーでないキーをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40のキー信号判定部46はキースイッチ12からキー信号を入力しキーONと判定する。判断部44はキー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内(1秒未満)にID1を認識できないと判断し、出力部45はID2を第2盗難防止装置50に出力する。
【0065】
第2盗難防止装置50において、入力部51がID2を入力し、第4照合部55はID2とID4とを照合し、判断部57はID2とID4とが一致すると判断し、表示出力部59は暗証番号を要求する表示信号を出力する。表示装置35には、暗証番号が要求されている旨が表示される。
【0066】
管理者は外部入力装置を用いて暗証番号(ID3)を入力する。暗証番号入力部52がID3を入力し、第2照合部54はID3とID4とを照合し、判断部57はID3とID4とが一致すると判断し、許可信号/禁止信号出力部60は許可信号を出力する。
【0067】
これにより、管理者は、IDキーがなくとも暗証番号を入力することで、油圧ショベルを始動させることができる。
【0068】
同時に、盗難防止装置3は、第2盗難防止装置50の第4照合部56と第2照合部54の2箇所において照合をおこない、2箇所とも照合が一致したとき許可信号を出力する。これに対し第2盗難防止装置に相当する従来の盗難防止装置は第2照合部のみにおいて照合をおこない、照合が一致したとき許可信号を出力している。したがって、照合箇所が増えることにより、従来の盗難防止装置に比べてセキュリティ性を向上できる。
【0069】
(3)盗難者が第1盗難防止装置40を取り換え、対応するIDキー30Xを用いる場合の盗難防止装置3の動作について説明する。盗難者により取り換えられた第1盗難防止装置を第1盗難防止装置40Xとし、対応する構成にXを付す。
【0070】
盗難者は、予めに別の油圧ショベルに設置されている、第1盗難防止装置40と同機種の第1盗難防止装置40Xと、第1盗難防止装置40Xに対応するIDキー30Xを取得している。盗難者がIDキー30Xをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40XはIDキー送受信部41Xを介してID1Xを入力する。第1照合部43XはID1XとID2Xとを照合し、判断部44XはID1XとID2Xとが一致すると判断し、出力部45XはID1Xを第2盗難防止装置50に出力する。
【0071】
第2盗難防止装置50において、入力部51がID1Xを入力し、第3照合部55はID1XとID4とを照合し、判断部57はID1XとID4とが一致しないと判断し、警告出力部58は警告信号を出力し、許可信号/禁止信号出力部60は禁止信号を出力する。
【0072】
これにより、盗難者が第1盗難防止装置40を取り換えた場合でも、盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0073】
(4)盗難者が第2盗難防止装置50を取り換え、対応する暗証番号を知っている場合の盗難防止装置3の動作について説明する。盗難者により取り換えられた第2盗難防止装置を第2盗難防止装置50Xとし、対応する構成にXを付す。
【0074】
盗難者は、予めに別の油圧ショベルに設置されている、第2盗難防止装置50と同機種の第2盗難防止装置50Xを取得し、第2盗難防止装置50Xに対応する暗証番号(ID3X)を知っている。盗難者がIDキーでないキーをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40のキー信号判定部46はキースイッチ12からキー信号を入力しキーONと判定する。判断部44はキー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内(1秒未満)にID1を認識できないと判断し、出力部45はID2を第2盗難防止装置50Xに出力する。
【0075】
第2盗難防止装置50Xにおいて、入力部51XがID2を入力し、第4照合部55XはID2とID4Xとを照合し、判断部57XはID2とID4Xとが一致しないと判断し、警告出力部58Xは警告信号を出力し、許可信号/禁止信号出力部60Xは禁止信号を出力する。
【0076】
これにより、盗難者が第2盗難防止装置50を取り換えた場合でも、盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。盗難者は暗証番号(ID3X)を知っていても、入力することさえできない。
【0077】
(5)盗難者が第1盗難防止装置40を取り外し、第2盗難防止装置50を取り換え、対応する暗証番号を知っている場合の盗難防止装置3の動作について説明する。盗難者により取り換えられた第2盗難防止装置を第2盗難防止装置50Xとし、対応する構成にXを付す。
【0078】
盗難者は、予めに別の油圧ショベルに設置されている、第2盗難防止装置50と同機種の第2盗難防止装置50Xを取得し、第2盗難防止装置50Xに対応する暗証番号(ID3X)を知っている。そして、上記(4)と異なり第1盗難防止装置40を取り外しさえすれば、取り換えられた第2盗難防止装置50Xに暗証番号(ID3X)を入力して、油圧ショベルを始動できると考える可能性もある。
【0079】
盗難者がIDキーでないキーをキースイッチ12に挿入すると、第2盗難防止装置50Xのキー信号判定部61Xはキースイッチ12からキー信号を入力しキーONと判定する。判断部57Xはキー信号判定部61XがキーONと判定してから所定時間内(1秒程度)にID1とID2とのいずれも認識できないと判断し、警告出力部58Xは警告信号を出力し、許可信号/禁止信号出力部60Xは禁止信号を出力する。
【0080】
これにより、盗難者が第1盗難防止装置40を取り外し、第2盗難防止装置50を取り換えた場合でも、盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。盗難者は暗証番号(ID3X)を知っていても、入力することさえできない。
【0081】
(6)盗難者が異なる暗証番号を入力する場合の盗難防止装置3の動作について説明する。異なる暗証番号をID3Xとする。
【0082】
盗難者がIDキーでないキーをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40のキー信号判定部46はキースイッチ12からキー信号を入力しキーONと判定する。判断部44はキー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内(1秒未満)にID1を認識できないと判断し、出力部45はID2を第2盗難防止装置50に出力する。
【0083】
第2盗難防止装置50において、入力部51がID2を入力し、第4照合部55はID2とID4とを照合し、判断部57はID2とID4とが一致すると判断し、表示出力部59は暗証番号を要求する表示信号を出力する。表示装置35には、暗証番号が要求されている旨が表示される。
【0084】
盗難者は外部入力装置を用いて暗証番号(ID3X)を入力する。暗証番号入力部52がID3Xを入力し、第2照合部54はID3XとID4とを照合し、判断部57はID3XとID4とが一致しないと判断し、許可信号/禁止信号出力部60Xは禁止信号を出力する。
【0085】
このとき、管理者が誤って異なる暗証番号を入力することも想定されるので、表示出力部59は表示信号を出力し、表示装置35には暗証番号が誤っている旨が表示される。3回連続で異なる暗証番号が入力されると、警告出力部58は警告信号を出力する。
【0086】
これにより、盗難者が異なる暗証番号を入力する場合は、盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0087】
(7)盗難者が異なるIDキー30Xを用いる場合の盗難防止装置3の動作について説明する。IDキー30XにはID1Xが記憶されている。
【0088】
盗難者がIDキー30Xをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40はIDキー送受信部41を介してID1Xを入力する。第1照合部43はID1XとID2とを照合し、判断部44はID1XとID2とが一致しないと判断し、出力部45は禁止信号を第2盗難防止装置50に出力する。
【0089】
第2盗難防止装置50において、入力部51が禁止信号を入力し、判断部57は禁止信号と判断し、許可信号/禁止信号出力部60は禁止信号を出力する。
【0090】
このとき、オペレータが誤って異なるIDキー30Xを用いることも想定されるので、表示出力部59は表示信号を出力し、表示装置35にはIDキーが誤っている旨が表示される。3回連続で異なるID1Xが入力されると、警告出力部58は警告信号を出力する。
【0091】
これにより、盗難者が異なるIDキー30Xを用いる場合は、盗難者は油圧ショベルを始動することができず、盗難を防止でき、セキュリティ性を向上できる。
【0092】
〜効果〜
以上のように構成した本実施形態の盗難防止装置3においては、オペレータはIDキー30を用いて暗証番号(ID3)を入力することなく油圧ショベルを始動させることができ、管理者はIDキー30がなくとも暗証番号(ID3)を入力することで、油圧ショベルを始動させることができ、オペレータと管理者の両方の利便性を維持できる。
【0093】
同時に、オペレータがIDキー30を用いる場合は、第1照合部43と第3照合部55の2箇所において照合をおこない、2箇所とも照合が一致したとき許可信号を出力する。管理者が暗証番号を入力する場合は、第4照合部56と第2照合部54の2箇所において照合をおこない、2箇所とも照合が一致したとき許可信号を出力する。これに対し従来の盗難防止装置では、オペレータがIDキーを用いる場合、第1盗難防止装置に相当する装置は第1照合部のみにおいて照合をおこない、照合が一致したとき許可信号を出力している。管理者が暗証番号を入力する場合、第2盗難防止装置に相当する装置は第2照合部のみにおいて照合をおこない、照合が一致したとき許可信号を出力している。したがって、照合箇所が増えることにより、従来の盗難防止装置に比べてセキュリティ性を向上できる。
【0094】
盗難者が第1盗難防止装置40を取り換える場合は、第3照合部55はID1XとID4とを照合し、判断部57はID1XとID4とが一致しないと判断し、許可信号/禁止信号出力部60は禁止信号を出力するので、盗難を防止できる。
【0095】
盗難者が第2盗難防止装置50を取り換える場合は、第4照合部55XはID2とID4Xとを照合し、判断部57XはID2とID4Xとが一致しないと判断し、許可信号/禁止信号出力部60Xは禁止信号を出力ので、盗難を防止できる。
【0096】
盗難者が第1盗難防止装置40を取り外し、第2盗難防止装置50を取り換える場合、判断部57Xは所定時間内にID1とID2とのいずれも認識できないと判断し、許可信号/禁止信号出力部60Xは禁止信号ので、盗難を防止できる。
【0097】
すなわち、盗難防止装置3は、オペレータと管理者の両方の利便性を維持しつつ、セキュリティ性を向上できる。
【0098】
<第2の実施の形態>
〜構成〜
本発明の第2実施形態を図5を用いて説明する。図5は、本発明の第2実施形態における建設機械の盗難防止装置3Aの制御機能の概要を示す図である。第2実施形態の基本的構成は第1実施形態と同じであり、同等の構成には同じ符号を付している。
【0099】
第1実施形態と第2の実施の形態との相違点は、第1実施形態では、照合情報として、IDキー30に記憶されるID情報と外部入力装置31から入力される暗証番号とを区別せず同種な情報として扱っているが、第2実施形態では、照合情報として、IDキー30Aに記憶されるID情報と外部入力装置31Aから入力される暗証番号を区別して、別種の情報として扱っている点である。
【0100】
すなわち、IDキー30に記憶されるID情報は膨大な情報量にも対応できるのに対し、外部入力装置31から入力される暗証番号は、管理者が入力可能な程度の情報量(例えば英数字8桁)に制限される。
【0101】
IDキー30AにはID1と第1暗証番号が記憶されている。第1盗難防止装置40Aにおいて、判断部44Aは、第1照合部43がID1とID2とを照合した結果、ID1とID2とが一致する場合は、ID1と第1暗証番号を第2盗難防止装置50Aに出力するよう判断する。
【0102】
第2盗難防止装置50Aにおいて、暗証番号入力部52は外部入力装置31Aから第3暗証番号を入力し、記憶部53AはID4と第4暗証番号とを記憶し、第2照合部54は第3暗証番号と第4暗証番号とを照合し、第3照合部55AはID1とID4とを照合し、第1暗証番号と第4暗証番号とを照合する。
【0103】
判断部57Aは、入力部51がID1と第1暗証番号を入力し、第3照合部55AがID1とID4とを照合し、第1暗証番号と第4暗証番号とを照合した結果、ID1とID4とが一致し、かつ第1暗証番号と第4暗証番号とが一致する場合は、許可信号を出力するよう判断する。ID1とID4とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。第1暗証番号と第4暗証番号とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。
【0104】
判断部57Aは、入力部51がID2を入力し、第4照合部56がID2とID4とを照合した結果、ID2とID4とが一致する場合は、暗証番号を要求する表示信号を出力するよう判断し、ID2とID4とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。さらに暗証番号入力部52が第3暗証番号を入力し、第2照合部54が第3暗証番号と第4暗証番号とを照合した結果、第3暗証番号と第4暗証番号とが一致する場合は、許可信号を出力するよう判断し、第3暗証番号と第4暗証番号とが一致しない場合は、禁止信号と警告信号を出力するよう判断する。
【0105】
さらに第2実施形態では、着脱自在に装着される照合情報書換装置36を備え、照合情報書換装置36を用いて照合情報を書き換えるための構成を付加している。
【0106】
照合情報書換装置36は、ID5と第5暗証番号と書換後の暗証番号となる第6暗証番号とを記憶する記憶部37を有し、着脱自在に盗難防止装置3Aに装着される。
【0107】
第1盗難防止装置40Aは、付加構成として、ID2とID5とを照合する第6照合部47と、暗証番号書換部48とを有している。
【0108】
暗証番号書換部48は、照合情報書換装置36が装着されるとID5を入力し、第6照合部47がID2とID5とを照合した結果、ID2とID5とが一致し、かつ第1照合部43AがID1とID2とを照合した結果、ID1とID2情報とが一致する場合は、IDキー送受信部41を介して第5暗証番号をIDキー30Aに出力し、IDキー30Aに記憶されている第1暗証番号を第5暗証番号に書き換える。
【0109】
なお、後述するように記憶部53Aの第4暗証番号が第6暗証番号に書き換えられた場合は、記憶部37の第5暗証番号も第6暗証番号に書き換えられ、IDキー30Aに記憶されている第1暗証番号は第6暗証番号(書換後の第5暗証番号)に書き換えられる。
【0110】
第2盗難防止装置50Aは、付加構成として、ID4とID5とを照合し第4暗証番号と第5暗証番号とを照合する第5照合部62と、暗証番号書換部63とを有している。
【0111】
暗証番号書換部63は、照合情報書換装置36が装着されるとID5と第5暗証番号とを入力し、第5照合部62がID4とID5とを照合し第4暗証番号と第5暗証番号とを照合した結果、ID4とID5とが一致し、かつ第4暗証番号と第5暗証番号とが一致する場合は、第6暗証番号を入力し、記憶部53Aに記憶された第4暗証番号を第6暗証番号に書き換える。
【0112】
〜動作〜
(1)オペレータがIDキー30Aを用いる場合の盗難防止装置3Aの動作について説明する。
【0113】
オペレータには、予めID1と第1暗証番号とが記憶されたIDキー30Aが貸し出されている。オペレータがIDキー30Aをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40AはIDキー送受信部41を介してID1と第1暗証番号とを入力する。第1照合部43はID1とID2とを照合し、判断部44AはID1とID2とが一致すると判断し、出力部45はID1と第1暗証番号とを第2盗難防止装置50Aに出力する。
【0114】
第2盗難防止装置50Aにおいて、入力部51がID1と第1暗証番号とを入力し、第3照合部55AはID1とID4とを照合し第1暗証番号と第4暗証番号とを照合し、判断部57AはID1とID4とが一致しかつ第1暗証番号と第4暗証番号とが一致すると判断し、許可信号/禁止信号出力部60は許可信号を出力する。
【0115】
これにより、オペレータは、暗証番号を入力することなく、油圧ショベルを始動させることができる。このとき、第3照合部55AはID1とID4の照合に加え、さらに第1暗証番号と第4暗証番号の照合をおこなうことにより、第1実施形態に比べてセキュリティ性をさらに向上できる。
【0116】
また、照合情報として、IDキー30Aに記憶されるID情報と外部入力装置31Aから入力される暗証番号を区別して、別種の情報として扱うことで、IDキー30Aに記憶されるID情報は膨大な情報量にも対応でき、これによりセキュリティ性をさらに向上できる。
【0117】
(2)管理者が暗証番号を入力する場合の盗難防止装置3Aの動作について説明する。
【0118】
管理者は、盗難防止装置3の暗証番号(第3暗証番号)を第3者に知られないように厳重に管理している。管理者が故障修理のために建設機械の始動をするには、暗証番号(第3暗証番号)を用いる。
管理者がIDキーでないキーをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40Aのキー信号判定部46はキースイッチ12からキー信号を入力しキーONと判定する。判断部44Aはキー信号判定部46がキーONと判定してから所定時間内(1秒未満)にID1を認識できないと判断し、出力部45はID2を第2盗難防止装置50Aに出力する。
【0119】
第2盗難防止装置50Aにおいて、入力部51がID2を入力し、第4照合部55はID2とID4とを照合し、判断部57AはID2とID4とが一致すると判断し、表示出力部59は暗証番号を要求する表示信号を出力する。表示装置35には、暗証番号が要求されている旨が表示される。
【0120】
管理者は外部入力装置31Aを用いて暗証番号(第3暗証番号)を入力する。暗証番号入力部52が第3暗証番号を入力し、第2照合部54Aは第3暗証番号と第4暗証番号とを照合し、判断部57Aは第3暗証番号と第4暗証番号とが一致すると判断し、許可信号/禁止信号出力部60は許可信号を出力する。
【0121】
これにより、管理者は、IDキーがなくとも暗証番号を入力することで、油圧ショベルを始動させることができる。
【0122】
また、照合情報として、IDキー30Aに記憶されるID情報と外部入力装置31Aから入力される暗証番号を区別して、別種の情報として扱うことで、外部入力装置31Aから入力される第3暗証番号の情報量を管理者が入力可能な程度の情報量(例えば英数字8桁)に制限でき、これにより管理者の利便性を向上できる。
【0123】
(3)管理者が定期的に暗証番号を書き換える場合の盗難防止装置3Aの動作について説明する。
【0124】
上述の通り、管理者は、暗証番号を第3者に知られないように厳重に管理していが、さらなるセキュリティ向上のため、管理者は定期的に暗証番号を書き換えることがある。管理者は照合情報書換装置36を用いて照合情報を書き換える。
【0125】
照合情報書換装置36が第2盗難防止装置50Aに装着されると、第5照合部62はID4とID5とを照合し第4暗証番号と第5暗証番号とを照合し、暗証番号書換部63はID4とID5とが一致しかつ第4暗証番号と第5暗証番号とが一致するとし、第6暗証番号を入力し、記憶部53Aに記憶された第4暗証番号を第6暗証番号に書き換える。
【0126】
しかし、第2盗難防止装置50Aにおいて第4暗証番号が第6暗証番号に書き換えられると、上述のようにオペレータがIDキー30Aを用いる場合、第1暗証番号と書換後の第4暗証番号(第6暗証番号)とが一致せず、油圧ショベルを始動させることができない。したがって、管理者はオペレータからIDキー30Aを一時返却してもらい、IDキー30Aに記憶される第1暗証番号を書き換える必要がある。
【0127】
第2盗難防止装置50Aの記憶部53Aの第4暗証番号が第6暗証番号に書き換えられた場合は、同時に照合情報書換装置36記憶部37の第5暗証番号も第6暗証番号に書き換えられる。
【0128】
照合情報書換装置36が第1盗難防止装置40Aに装着されると、第6照合部47はID2とID5とを照合し、第1照合部47はID1とID2とを照合し、暗証番号書換部48はID2とID5とが一致しかつID1とID2とが一致するとし、IDキー送受信部41を介して第5暗証番号(上述のとおりこの時点では第6暗証番号に書き換えられている)をIDキー30Aに出力し、IDキー30Aに記憶されている第1暗証番号を第5暗証番号(第6暗証番号)に書き換える。
【0129】
オペレータが暗証番号書換後のIDキー30Aを用いれば、書換後の第1暗証番号(第6暗証番号)と書換後の第4暗証番号(第6暗証番号)とが一致し、上記(1)と同様に油圧ショベルを始動させることができる。
【0130】
このように、照合情報書換装置36を備えることにより、定期的に暗証番号を書き換えることができ、セキュリティ性をさらに向上できる。
【0131】
(4)オペレータがIDキーを紛失したため、管理者がスペアキーの暗証番号を書き換える場合の盗難防止装置3Aの動作について説明する。
【0132】
セキュリティ管理の観点から管理者はIDキー(ID1、第1暗証番号記憶)を1本のみ作成し、そのIDキーをオペレータに貸し出す。しかし、オペレータがIDキーを紛失することも想定して、スペアキーを作成しておく。スペアキーにはID1が記憶されているが、暗証番号として初期値が記憶されている。スペアキーを用いる場合、第1暗証番号(初期値)と第4暗証番号とが一致せず、油圧ショベルを始動させることがでない。したがって、管理者はスペアキーに記憶される暗証番号を書き換える必要がある。管理者は照合情報書換装置36を用いて照合情報を書き換える。
【0133】
照合情報書換装置36が第1盗難防止装置40Aに装着されると、第6照合部47はID2とID5とを照合し、第1照合部47はID1とID2とを照合し、暗証番号書換部48はID4とID5とが一致しかつ第4暗証番号と第5暗証番号とが一致するとし、IDキー送受信部41を介して第5暗証番号をスペアキーに出力し、スペアキーに記憶されている第1暗証番号(初期値)を第5暗証番号に書き換える。スペアキーには、ID1と第1暗証番号(第5暗証番号)とが記憶される。
【0134】
オペレータが暗証番号書換後のスペアキーを用いれば、第1暗証番号と第4暗証番号とが一致し、上記(1)と同様に、油圧ショベルを始動させることができる。
【0135】
このように、IDキーを1本のみとし、スペアキーでは油圧ショベルを始動させることができないため、セキュリティ性をさらに向上できる。スペアキーの暗証番号を書換えるとIDキーとして用いることができることにより、オペレータがIDキーを紛失した場合にも適切に対応でき、オペレータの利便性を向上できる。
【0136】
(5)IDキー30Aが盗難され、盗難者がIDキー30Aを用いる場合の盗難防止装置3の動作について説明する。
【0137】
盗難者がIDキー30Aを用いると、上記(1)のように油圧ショベルを始動させることができ、盗難を防止できない。管理者は迅速に暗証番号を書き換える必要がある。このときの盗難防止装置3Aの動作は、上記(3)と同様であり、記憶部53Aに記憶されている第4暗証番号は第6暗証番号に書き換えられる。
【0138】
その後、盗難者がIDキー30Aを用いた場合、盗難者がIDキー30Aをキースイッチ12に挿入すると、第1盗難防止装置40AはIDキー送受信部41を介してID1と第1暗証番号とを入力する。第1照合部43はID1とID2とを照合し、判断部44AはID1とID2とが一致すると判断し、出力部45はID1と第1暗証番号とを第2盗難防止装置50Aに出力する。
【0139】
第2盗難防止装置50Aにおいて、入力部51がID1と第1暗証番号とを入力し、第3照合部55AはID1とID4とを照合し第1暗証番号と第4暗証番号とを照合し、判断部57AはID1とID4とは一致するが、第1暗証番号と書換後の第4暗証番号(第6暗証番号に書換られている)とが一致しないと判断し、許可信号/禁止信号出力部60は禁止信号を出力する。
【0140】
これにより、油圧ショベルを始動させることができず、盗難を防止でき、セキュリティ性をさらに向上できる。
【0141】
一方、管理者はスペアキーの暗証番号を書き換える。このときの盗難防止装置3Aの動作は、上記(4)と同様であり、オペレータは暗証番号を書換えられたスペアキーをIDキーとして用いることができる。これによりIDキーが盗難された場合にも適切に対応でき、オペレータの利便性を向上できる。
【0142】
〜効果〜
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態と同じであり、以上のように構成した第2実施形態の盗難防止装置3Aにおいても、オペレータと管理者の両方の利便性を維持しつつ、セキュリティ性を向上できる。
【0143】
第3照合部55AはID1とID4の照合に加え、さらに第1暗証番号と第4暗証番号の照合をおこなうことにより、第1実施形態に比べてセキュリティ性をさらに向上できる。
【0144】
また、照合情報として、IDキー30Aに記憶されるID情報と外部入力装置31Aから入力される暗証番号を区別して、別種の情報として扱うことで、IDキー30Aに記憶されるID情報は膨大な情報量にも対応でき、これによりセキュリティ性をさらに向上でき、一方、外部入力装置31Aから入力される第3暗証番号の情報量を管理者が入力可能な程度の情報量(例えば英数字8桁)に制限でき、これにより管理者の利便性を向上できる。
【0145】
照合情報書換装置36を備えることにより、定期的に暗証番号を書き換えることができ、セキュリティ性をさらに向上できる。
【0146】
IDキーを1本のみとし、スペアキーでは油圧ショベルを始動させることができないため、セキュリティ性をさらに向上できる。
【0147】
スペアキーの暗証番号を書換えるとIDキーとして用いることができることにより、オペレータがIDキーを紛失した場合、IDキーが盗難された場合にも適切に対応でき、オペレータの利便性を向上できる。
【0148】
すなわち、第2実施形態の盗難防止装置3Aは、利便性、セキュリティ性とも第1実施形態に比べてさらに向上できる。
【0149】
〜その他の実施形態〜
第2実施形態では、照合情報書換装置36は暗証番号を書き換えたが、ID情報と暗証番号を書き換えてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 エンジン制御系
2 車体制御系
3,3A 盗難防止装置
11 エンジンコントローラ
11a スタータ制御部
11b 機械動作許可・禁止判断部
11c 増幅器
12 キースイッチ
13 エンジン
13a 電子ガバナ
13b スタータ
14 エンジンコントロールダイヤル
15 エンジン回転数センサ
21 車体コントローラ
21a ゲートロック制御部
21b 機械動作許可・禁止判断部
21c 増幅器
22 ゲートロックスイッチ
23 ゲートロック弁
30,30A IDキー
31 外部入力装置
34 ブザー
35 表示装置
36 照合情報書換装置
37記憶部
40,40A 第1盗難防止装置
41 IDキー送受信部
42 記憶部
43 第1照合部
44,44A 判断部
45 出力部
46 キー信号判定部
47 第6照合部
48 暗証番号書換部
50,50A 第2盗難防止装置
51 入力部
52 暗証番号入力部
53,53A 記憶部
54,54A 第2照合部
55,55A 第3照合部
56 第4照合部
57,57A 判断部
58 警報出力部
59 表示出力部
60 許可信号/禁止信号出力部
61 キー信号判定部
62 第5照合部
63 暗証番号書換部
100 下部走行体
101 上部旋回体
102 フロント作業機
104a,104b 走行モータ
105 旋回モータ
106 エンジンルーム
107 運転室
108 運転席
111 ブーム
112 アーム
113 バケット
114 ブームシリンダ
115 アームシリンダ
116 バケットシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1照合情報を記憶する非接触媒体との送受信をおこなう非接触媒体送受信部と、第2照合情報を記憶する第1記憶部と、第1照合情報と第2照合情報とを照合する第1照合部とを有する第1盗難防止装置と、
外部入力装置と、
この外部入力装置から第3照合情報を入力する入力部と、第4照合情報を記憶する第2記憶部と、第3照合情報と第4照合情報とを照合する第2照合部と、機械動作の禁止状態を解除するための許可信号または機械動作の禁止状態を維持する禁止信号のいずれかの信号を出力する機械動作許可・禁止制御手段を有する第2盗難防止装置とを備えた建設機械の盗難防止装置において、
前記第1盗難防止装置は、キー信号を入力しON・OFFを判定する第1キー信号判定部を有し、
前記第2盗難防止装置は、第1照合情報と第4照合情報とを照合する第3照合部と、第2照合情報と第4照合情報とを照合する第4照合部とを有し、
前記第1盗難防止装置は、
前記第1照合部が第1照合情報と第2照合情報とを照合した結果、第1照合情報と第2照合情報とが一致する場合は、第1照合情報を前記第2盗難防止装置に出力し、
前記第1キー信号判定部がキーONと判定してから所定時間内に第1照合情報を認識できない場合は、第2照合情報を前記第2盗難防止装置に出力し、
前記第2盗難防止装置は、
第1照合情報を入力し、前記第3照合部が第1照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第1照合情報と第4照合情報とが一致する場合は、許可信号を出力し、
第2照合情報を入力し、前記第4照合部が第2照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第2照合情報と第4照合情報とが一致し、さらに前記第2照合部が第3照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第3照合情報と第4照合情報とが一致する場合は、許可信号を出力することを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の盗難防止装置において、
前記第2盗難防止装置は、第1照合情報を入力し、前記第3照合部が第1照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第1照合情報と第4照合情報とが一致しない場合は、禁止信号を出力することを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
【請求項3】
請求項1記載の建設機械の盗難防止装置において、
前記第2盗難防止装置は、第2照合情報を入力し、前記第4照合部が第2照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第2照合情報と第4照合情報とが一致しない場合は、禁止信号を出力することを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
【請求項4】
請求項1記載の建設機械の盗難防止装置において、
前記第2盗難防止装置は、キー信号を入力しON・OFFを判定する第2キー信号判定部を有し、前記第2キー信号判定部がキーONと判定してから所定時間内に第1照合情報と第2照合情報とのいずれも認識できない場合は、禁止信号を出力することを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
【請求項5】
請求項1記載の建設機械の盗難防止装置において、
前記第1照合情報は、第1ID情報と第1暗証番号を含み、
前記第2照合情報は、第2ID情報を含み、
前記第3照合情報は、第3暗証番号を含み、
前記第4照合情報は、第4ID情報と第4暗証番号とを含み、
前記第2盗難防止装置は、
第1照合情報を入力し、前記第3照合部が第1照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第1ID情報と第4ID情報とが一致し、かつ第1暗証番号と第4暗証番号とが一致する場合は、第1照合情報と第4照合情報とが一致したとして、許可信号を出力し、
第2照合情報を入力し、前記第4照合部が第2照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第2ID情報と第4ID情報とが一致し、さらに前記第2照合部が第3照合情報と第4照合情報とを照合した結果、第3暗証番号と第4暗証番号とが一致する場合は許可信号を出力することを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
【請求項6】
請求項5記載の建設機械の盗難防止装置において、
第5ID情報と第5暗証番号とを含む第5照合情報と書換後の暗証番号となる第6暗証番号とを含む第6照合情報とを記憶する第3記憶部を有し、着脱自在に装着される照合情報書換装置をさらに備え、
前記第2盗難防止装置は、
第4照合情報と第5照合情報とを照合する第5照合部をさらに有し、
前記照合情報書換装置が装着されると第5照合情報を入力し、前記第5照合部が第4照合情報と第5照合情報とを照合した結果、第4ID情報と第5ID情報とが一致し、かつ第4暗証番号と第5暗証番号とが一致する場合は、第6照合情報を入力し、第2記憶部に記憶された第4暗証番号を第6暗証番号に書き換えることを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
【請求項7】
請求項6記載の建設機械の盗難防止装置において、
前記第1盗難防止装置は、
第2照合情報と第5照合情報とを照合する第6照合部をさらに有し、
前記照合情報書換装置が装着されると第5照合情報を入力し、前記第6照合部が第2照合情報と第5照合情報とを照合した結果、第2ID情報と第5ID情報とが一致し、かつ前記第1照合部が第1照合情報と第2照合情報とを照合した結果、第1ID情報と第2ID情報とが一致する場合は、前記非接触媒体送受信部を介して第5暗証番号を前記非接触媒に出力し、前記非接触媒に記憶されている第1暗証番号を第5暗証番号に書き換えることを特徴とする建設機械の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−11672(P2011−11672A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158520(P2009−158520)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】