説明

弁、弁装着構造および鉄筋連結装置

【課題】装着口の径に拘わらず、弁を円滑に装着でき、しかも装着口内周との良好な摩擦を確保することができるようにする。
【解決手段】鉄筋連結装置のグラウト材注入口12に逆止弁30が装着される。注入口12は、開口端に向かって径が小さくなるようなテーパ面12yを有する。逆止弁30は弾性材料からなり環状の本体部31と、この本体部に一体に形成されたフラップ32とを有する。本体部31は軸方向に延びて先端面31aに開口する環状の逃がし溝35と、その内側に位置する第1部分36と、外側に位置する第2部分37と、奥端と後端面31bとの間に位置し、第1部分36と第2部分37とを連ねるベース部分38とを有する。第1部分36にはフラップ32が連なり、第2部分37の外周はテーパ面37yを有し、その先端縁部が最大径部37xとなっていて、注入口12の内周に接する。注入口12の径に応じて第2部分37が弾性変形し装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性材料からなる弁と、この弁の装着構造と、この弁装着構造を用いた鉄筋連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラウト材を用いる鉄筋連結装置では、2本の異形鉄筋の端部をスリーブに挿入し、スリーブの周壁の注入口から充填されたグラウト材の硬化により、少なくとも1本の異形鉄筋をスリーブと連結するようになっている。
【0003】
特許文献1には、上記グラウト材注入のためのゴム製の逆止弁が開示されている。この逆止弁は、スリーブの注入口に装着される環状の本体部と、この本体部の下流端から互いに近づくように斜めに延びる弾性変形可能な複数のフラップ(弁部)とを備えている。
【0004】
注入ノズルを上記逆止弁にあてがってグラウト材を注入すると、フラップが開いてグラウト材の流通を許容し、注入終了後にフラップはグラウト材に押されて閉じる。これにより、グラウト材の逆流を阻止するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4373626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の逆止弁において、上記本体部の外周面が単なる円筒面をなしている場合には、その径を注入口の内径より若干小さくし、弾性的に圧縮させながら注入口に嵌め込む必要がある。これにより、グラウト材の注入を終えてノズルを逆止弁から離した時に、逆止弁がグラウト材からの圧力を受けても注入口内周との摩擦が抵抗となって外れない。
【0007】
しかし、上記スリーブは鋳物で造られるため注入口の内径の公差が比較的大きい。注入口の内径が最小公差の場合、逆止弁の嵌め込みの際に大きな力が必要となる。また、注入口の内径が最大公差の場合、逆止弁の嵌め込みが緩くなり、グラウト材の圧力により注入口から外れ易くなる。
【0008】
特許文献1では、本体部の外周に軸方向に伸びる突起が周方向に離れて複数形成されており、この突起の弾性圧縮により抜け止めをなしているが、上記不都合を解消しきれていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状の本体部と、この本体部に一体に形成された弁部とを有する、弾性材料からなる弁において、
上記本体部は、その軸方向に延びて先端面に開口する環状の逃がし溝と、この逃がし溝の内側に位置する第1部分と、この逃がし溝の外側に位置する第2部分と、上記逃がし溝の反対側に位置し上記第1部分と第2部分とを連ねるベース部分とを有し、
上記第1部分には上記弁部が連なり、上記第2部分には上記ベース部分から離れた位置において、当該第2部分の他の部位より大きな径を有する最大径部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、弁は、本体部の第2部分の最大径部が装着対象の装着口の内周面に当たった状態で、装着口に嵌め込まれ、第2部分の弾性変形により装着口の径のばらつきを吸収でき、装着口内周との良好な摩擦を確保できる。しかも、第2部分がその内側の逃がし溝に向かって弾性変形するので、比較的小さな装着口に対応して第2部分の径が大きく縮小しても、弾性力が急激に増大せず、装着口への装着は容易である。なお、装着口の内周が円筒面である場合には、装着口の径が最大公差の時に第2部分が弾性変形する必要であるが、装着口の内周がテーパをなしている場合には、装着口の径が最大公差の時に第2部分の弾性変形は殆ど無くてもよい。
弁部は、逃がし溝の内側の第1部分に連なっており、第2部分の弾性変形の影響を受けないので、本来の機能を果たすことができる。
【0011】
好ましくは、上記最大径部が上記第2部分の先端縁部に形成されている。
これによれば、第2部分を広い領域にわたって弾性変形させることができる。
【0012】
好ましくは、上記本体部の第2部分の外周は、上記最大径部から上記ベース部分に向かって径が漸減するテーパ面を含む。
これによれば、第2部分が弾性変形した時に装着口の内周との接触領域を増大させることができる。
【0013】
好ましくは、上記弁部が複数の弾性変形可能なフラップを有し、これらフラップが、自然状態で、上記第1部分から先端に向かって互いに近づくように傾斜しており、これにより逆止弁として機能する。
これによれば、グラウト材等の流体を注入後に逆流を確実に阻止できる。
【0014】
本発明の他の態様は、弁装着構造において、上記弁と、装着口を有する装着対象とを備え、上記弁が上記本体部の先端側を奥にするようにして上記装着口に嵌められ、上記装着口の内周は、上記弁の第2部分の先端縁部を係止する段差部と、この段差部から装着口の開口端に向かって径が漸減するするテーパ面を含み、この装着口のテーパ面の開口端側の径が上記逆止弁の第2部分の最大径部より小さいことを特徴とする。
これによれば、弁が、注入された流体から逆方向の圧力を受けて装着口の開口端方向へ変位すると、装着口内周のテーパ面の作用により、第2部分の弾性変形量が増大し、第2部分と装着口内周との摩擦が増大するので、弁が装着口から外れるのを確実に防止できる。
【0015】
好ましくは、上記弁装着構造において、上記弁の上記第2部分の外周は、上記最大径部から上記ベース部分に向かって径が漸減するテーパ面を含み、この第2部分のテーパ面は上記装着口のテーパ面のテーパ角より大きい。
これによれば、第2部分が弾性変形した時に装着口の内周との接触領域を増大させることができる。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、鉄筋連結装置において、2本の異形鉄筋の端部を連結する装置であって、スリーブを備え、このスリーブは軸線方向の少なくとも一方側が、異形鉄筋の端部をグラウト材を介して連結する筒部となっており、この筒部が上記装着対象として提供され、その周壁に上記弁装着構造が設けられ、上記弁を介してグラウト材を注入することを特徴とする。
これによれば、鉄筋連結のためのグラウト材の注入を良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装着口の径のばらつきに拘わらず、弁を円滑に装着口に装着でき、しかも装着口内周との良好な摩擦を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)は本発明の一実施形態に係わる鉄筋連結装置の縦断面図であり、(B)は同装置で用いられるスリーブの縦断面図である。
【図2】同鉄筋連結装置で用いられる逆止弁を拡大して示すもので、(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。
【図3】上記逆止弁の上記スリーブへの装着構造を拡大して示す縦断面図であり、(A)は注入口の径が大きい場合、(B)は注入口の径が小さい場合をそれぞれ示す。
【図4】逆止弁の他の実施形態を示す図3(A)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(A)には、一直線上に配置された2本の異形鉄筋1を連結する鉄筋連結装置5が示されている。異形鉄筋1は、図示のようなねじ節1aを有するねじ鉄筋でもよいし、外周に軸方向に延びる縦リブを有するとともに所定ピッチで横リブを有する通常の竹節鉄筋でも良い。
【0020】
本実施形態の連結装置5は、1本の金属鋳物からなる円筒形状のスリーブ10(装着対象)を備えている。図1(B)に示すように、スリーブ10の両端内周のそれぞれには、環状リブ11a,11bが形成されており、これら環状リブ11a、11b間に環状の収容凹部11cが形成されている。図1(A)に示すように、これら収容凹部11cには環状のゴム製のシール材20が嵌め込まれている。なお、図示のシール材20は、異形鉄筋1の挿入により弾性変形された状態で示されている。
【0021】
上記スリーブ10の一端近傍には、一方のシール材20に隣接して注入口12(装着口)が形成されている。この注入口12には後述する逆止弁30(弁)が装着されている。
上記スリーブ10の他端近傍には、他方のシール材20に隣接して排出確認口13が形成されている。この排出確認口13にはゴム製の栓40が圧入されている。この栓40には、小径のエア抜き穴(図示しない)が形成されている。
【0022】
上記スリーブ10の軸方向長さのそれぞれ半分を占める領域において、スリーブ10の周壁にはねじ孔14が形成されている。一方のねじ孔14は、スリーブ10の軸方向中央と注入口12との間に形成されており、他方のねじ孔14は、スリーブ10の軸方向中央と排出確認口13との間に形成されている。これらねじ孔14には、ボルト50がねじ込まれるようになっている。
【0023】
上記注入口12、排出確認口13、一対のねじ孔14は、スリーブ10の軸芯方向から見た時、互いに重なる位置に配置されている。換言すればスリーブ10の軸芯と平行をなす1本の直線上に配置されている。
【0024】
上記スリーブ10の内周において、ねじ孔14の形成位置と対峙する領域(軸芯を挟んで反対側の領域)には、ほぼ180°の角度範囲にわたって螺旋状に延びる複数の支持リブ15が、軸芯方向に間隔をおいて形成されている。また、ねじ孔14の形成位置を含む領域には、ほぼ180°の角度範囲にわたって周方向に延びる複数の補助リブ16が、軸芯方向に間隔をおいて形成されている。
【0025】
次に、本発明の特徴部をなす逆止弁30およびその装着構造について、図2、図3を参照しながら詳細に説明する。この逆止弁30は、合成ゴムEPDM等の弾性材料により射出成形され、上記スリーブ10の注入口12に嵌る環状の本体部31と、この本体部31と一体をなす例えば4枚のフラップ32(弁部)とを有している。
【0026】
上記本体部31は、軸方向に対峙する平坦な両端面31a,31bと、内周31cと外周31dを有している。
本体部31の内周31cは、端面31a(以下、先端面と称す)から端面31b(以下、後端面と称す)まで径が漸次増大するテーパをなしており、後述するノズル60の受部として提供される。
本体部31の外周31dは、先端面31aから後端面31bまで漸次径が減少するテーパをなしている。
【0027】
上記本体部31には、その全周にわたって環状の逃がし溝35が形成されている。この逃がし溝35は、溝幅が比較的小さく、本体部31の中心軸線Cと同軸をなして軸方向に延び、本体部31の軸線方向の寸法の過半(例えば約2/3)に相当する深さを有し、先端面31aに開口している。
【0028】
上記本体部31において上記逃がし溝35と内周31cとの間が環状の第1部分36として提供され、逃がし溝35と外周31dとの間が環状の第2部分37として提供され、逃がし溝35の奥端と後端面31bとの間(逃がし溝35の反対側)が環状のベース部分38として提供される。
上記第1部分36と第2部分37は逃がし溝35を介して離れている。上記ベース部分38は第1部分36と第2部分37を連ねている。
【0029】
上記本体部31の外周31dがテーパをなしているため、第2部分37の先端縁部が環状の最大径部37xとなっている。換言すれば、第2部分37の外周は、最大径部37xからベース部分38に向かって径が漸減するテーパ面37yを含んでいる。厳密には、最大径部37xは第2部分37の先端(本体部31の先端面31a)から少し離れており、凸曲面をなす短い環状部を介して先端面31aに連なっている。なお、本明細書における第2部分37の先端縁部とは、本実施形態のように、先端縁のみならずその近傍部を含む。
【0030】
上記4枚のフラップ32は、本体部31の第1部分36に周方向に並んで連なり、自然状態において、本体部31の先端面31aから突出するとともに互いに近づくように傾斜している。換言すれば、フラップ23の先部が本体部31の中心軸線C(流路25の中央)に向かうように傾斜している。本実施形態では、フラップ23の傾斜角度は本体部31の内周31cのテーパ角度とほぼ等しい。各フラップ32は、先端に向かって幅が狭くなるような平板形状をなしている。
【0031】
他方、スリーブ10の注入口12の内周は、その軸方向中間部に形成された段差部12aと、この段差部12aから開口端12bまで径が漸次減少するテーパ面12yを含んでいる。この段差部12aとテーパ面12yが交差した部位が、注入口12の最大径部12xとなる。上記テーパ面12yのテーパ角は、上記逆止弁30の第2部分37のテーパ面37yより小さい。
【0032】
上記構成をなす鉄筋連結装置5の一般的な作用について詳述する。まず一方の異形鉄筋1の端部にスリーブ10をその全長にわたって挿入しておき、2本の異形鉄筋1,1を一直線上に配置した状態で、スリーブ10を異形鉄筋1に沿ってずらし、図1(A)に示すように、スリーブ10の全長の半分ずつを2本の異形鉄筋1,1の端部に被せるようにする。この状態で、環状のシール材20がスリーブ10の両端内周と異形鉄筋1の外周との間をシールする。
【0033】
次に、スリーブ10の2本のボルト50をねじ込み、その先端で対応するねじ鉄筋1を支持リブ15に押し付ける。このようにして2本のねじ鉄筋1にスリーブ10を仮固定する。
【0034】
上記仮固定作業に相前後して、注入口12および排出確認口13に逆止弁30および栓40を嵌め込む。
次に、図2(B)に示すように上記逆止弁30の内周31c(受部)にノズル60の先端部をあてがい、このノズル60から逆止弁30を介して、スリーブ10内にモルタルやエポキシ樹脂等からなるグラウト材を充填する。なお、ノズル60の先端面形状は、本体部31の内周31cの面形状に合致しており、ノズル60を本体部31の内周31cに押し付けることにより、両者の間のシール性は良好なものとなる。
【0035】
注入ノズル60からグラウト材が注入されると、グラウト材の注入圧力により、4枚のフラップ32が弾性変形して流通断面積を広げ、グラウト材の注入を良好に行うことができる。
【0036】
グラウト材はスリーブ10内のエアを押しのけながら充填される。このエアは排出確認口13の栓40のエア抜き穴から排出される。
上記モルタル60の注入作業は、排出確認口13の栓40のエア抜き穴からグラウト材が漏出するのを確認することにより終了する。
【0037】
上記グラウト材の注入終了後、逆止弁30はグラウト材から逆方向の圧力を受ける。これにより、上記4枚のフラップ32は本体部31に向かって弾性変形し、本体部31の端面31bとほぼ同一の平面上またはその近傍に位置するようになり、これによりグラウト材の逆流を阻止することができる。
上記グラウト材が時間の経過に伴って硬化することにより、2本の異形鉄筋1がグラウト材およびスリーブ10を介して連結される。
【0038】
次に、逆止弁30およびその装着構造における本発明の特徴部の作用について図3を参照しながら詳述する。
注入口12の径の公差は比較的大きい。本実施形態では、注入口12の最大径部12xの径が最大公差にある場合、自然状態の逆止弁30における第2部分37の最大径部37xとほぼ同径とする。注入口12の開口端12bの径は、公差内において、自然状態の逆止弁30における第2部分37の最大径部37xより常に小さい。
【0039】
逆止弁30を注入口12に装着する際、本体部31の第2部分37を強制的に弾性的に縮径させて注入口12の開口端12bから挿入し、その後で第2部分37の先端縁部が注入口12の段差部12aに当たるまで、奥に向かって押し込む。
この逆止弁30の装着状態において、第2部分37の最大径部37xが、注入口12の最大径部12xに接しており、逃がし溝35はスリーブ10の内部空間に連なっている。
【0040】
上記スリーブ10の注入口12の最大径部12xが最大交差にある場合には、図3(A)に示すように、逆止弁30の第2部分37は殆ど弾性変形せず、逃がし幅35の溝幅も狭くならない。
この場合には、グラウト材の注入後に逆止弁30からノズルを離した時に、グラウト材の圧力が逆止弁30に加わり、逆止弁30が外に向かって変位するが、上記注入口12のテーパ面12yの作用により、最大径部37xの弾性変形量が増大して径が縮小し、これに伴い最大径部37xとテーパ面12yの摩擦抵抗が増大するので、逆止弁30が注入口12から外れるのを防止することができる。この場合、逃がし溝35にグラウト材が入り込むことによっても、最大径部37xとテーパ面12yの間の摩擦抵抗の増大を助長できる。
【0041】
注入口12の最大径部12aが最小交差またはそれに近い場合には、図3(B)に示すように、第2部分37の最大径部37xの自然状態の径が注入口12の最大径部12xより小さいので第2部分37が弾性変形して縮径する。この際、第2部分37がその内側の逃がし溝35に向かって弾性変形する(逃がし溝35の溝幅を狭めるように弾性変形する)ので、第2部分37の径が大きく縮小しても、弾性力が急激に増大せず、注入口12への装着は容易である。
この場合には、第2部分37の最大径部37xと注入口12の最大径部12xとの間に最初から十分な摩擦抵抗が働くこと、および上述したと同様に、注入口12のテーパ面12yの作用により逆止弁30の外方向への変位に伴って摩擦抵抗が増大ことにより、逆止弁30が注入口12から外れるのを防止することができる。
【0042】
図4は他の実施形態をなす逆止弁30’を示す。この逆止弁30’において、最初の実施形態の逆止弁30に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。この実施形態では第2部分37’の外周形状だけが最初の実施形態と異なる。第2部分37’の外周はテーパ面を含まずに円筒面をなしており、その先端縁部だけが径方向、外方向に突出して環状の最大径部37x’となっている。
【0043】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の態様が可能である。例えば、上記実施形態において、注入口がテーパをなすことを条件に、逆止弁30の最大径部37が、注入口12の最大公差にある時の最大径部12xより若干小さくてもよい。
また、逆止弁30の最大径部37は、注入口12の最大径部12xより大きくてもよい。この場合には、注入口12が最大公差にある場合でも、逆止弁30の第2部分37は弾性変形する。この条件は、注入口の内周がテーパ面でなく円筒面である場合には必須条件である。
【0044】
第1実施形態において、本体部31のベース部分38の外周が円筒面をなし、第2部分37の外周だけがテーパ面をなしていてもよい。
最大径部は、上記実施形態のように連続した環状でなく、周方向に延びる複数部分で非連続に環状をなしていてもよい。
【0045】
本発明の弁は、本体部の下流端にダイヤフラムを一体に形成し、このダイヤフラムに十字の切り込み線を入れて4つのフラップを形成することにより弁部を得てもよい。この場合、ノズルがフラップを押しのけるようにして挿入され、グラウト材の充填後にノズルを抜くことにより、フラップが元に戻りグラウト材の逆流を防止する。
【0046】
本実施形態では、本体部の内周がノズルのための受部となっているが、本体部の上流側に受部を一体に形成し、この受部でノズルを受けるようにしてもよい。この場合には、本体部が注入口に嵌め込まれ、受部が注入口の外に配置される。
【0047】
鉄筋連結装置のスリーブは、内周に雌ねじを形成してなるねじ連結部と、このねじ連結部と同軸をなして設けられた筒部とを有するものであってもよい。この場合、ねじ連結部にはねじ鉄筋の端部がねじ込まれて連結される。他方、筒部には異形鉄筋の端部が挿入されて、この筒部に充填され硬化されたグラウト材により、スリーブと異形鉄筋との連結がなされる。
排出確認口が小径の場合には栓を省くことができる。
【0048】
本発明の鉄筋連結装置は、垂直の異形鉄筋同士を連結する装置にも適用できる。
本発明の逆止弁は、鉄筋連結装置におけるグラウト材注入のためだけではなく、他のあらゆる用途に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、鉄筋連結装置においてグラウト材の注入を受ける逆止弁等に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ねじ鉄筋(異形鉄筋)
5 鉄筋連結装置
10 スリーブ(装着対象)
12 注入口(装着口)
12a 段差部
12x 最大径部
12y テーパ面
30、30’ 逆止弁(弁)
31 本体部
32 フラップ(弁部)
35 逃がし溝
36 第1部分
37、37’ 第2部分
37x、37x’ 最大径部
37y テーパ面
38 ベース部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の本体部と、この本体部に一体に形成された弁部とを有する、弾性材料からなる弁において、
上記本体部は、その軸方向に延びて先端面に開口する環状の逃がし溝と、この逃がし溝の内側に位置する第1部分と、この逃がし溝の外側に位置する第2部分と、上記逃がし溝の反対側に位置し上記第1部分と第2部分とを連ねるベース部分とを有し、
上記第1部分には上記弁部が連なり、上記第2部分には上記ベース部分から離れた位置において、当該第2部分の他の部位より大きな径を有する最大径部が形成されていることを特徴とする弁。
【請求項2】
上記最大径部が上記第2部分の先端縁部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の弁。
【請求項3】
上記本体部の第2部分の外周は、上記最大径部から上記ベース部分に向かって径が漸減するテーパ面を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の弁。
【請求項4】
上記弁部が複数の弾性変形可能なフラップを有し、これらフラップが、自然状態で、上記第1部分から先端に向かって互いに近づくように傾斜しており、これにより逆止弁として機能する請求項1〜3のいずれかに記載の弁。
【請求項5】
請求項2に記載の弁と、装着口を有する装着対象とを備え、上記弁が上記本体部の先端側を奥にするようにして上記装着口に嵌められ、
上記装着口の内周は、上記弁の第2部分の先端縁部を係止する段差部と、この段差部から装着口の開口端に向かって径が漸減するするテーパ面を含み、この装着口のテーパ面の開口端側の径が上記逆止弁の第2部分の最大径部より小さいことを特徴とする弁装着構造。
【請求項6】
上記弁の上記第2部分の外周は、上記最大径部から上記ベース部分に向かって径が漸減するテーパ面を含み、この第2部分のテーパ面は上記装着口のテーパ面のテーパ角より大きいことを特徴とする請求項5に記載の弁装着構造。
【請求項7】
2本の異形鉄筋の端部を連結する装置であって、スリーブを備え、このスリーブは軸線方向の少なくとも一方側が、異形鉄筋の端部をグラウト材を介して連結する筒部となっており、この筒部が上記装着対象として提供され、その周壁に請求項5または6に記載の弁装着構造が設けられ、上記弁を介してグラウト材を注入することを特徴とする鉄筋連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−26196(P2012−26196A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166988(P2010−166988)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(390026723)東京鐵鋼株式会社 (37)
【Fターム(参考)】