説明

弁付き膀胱カテーテル

本発明は、尿道を通って膀胱の中に導入されることが意図される、プラスチック材料の可撓性チューブによって形成されるタイプの弁付き膀胱カテーテルに関する。前述のチューブの遠位端は、2本の枝、すなわち、膀胱の中でカテーテルを安定させるバルーンを膨張させるために使用される第1の枝と、内部を尿が流れる第2の枝とを有する分岐点で終わる。本発明は、第2の尿排出の枝が、実際のカテーテルに安定に及び密封するように連結されるバルブ要素を含み、前記バルブ要素は、それを開閉するために患者によって作動できる手段を含むことを特徴とする。加えて、本発明のカテーテルは、バルブ要素が突部及び溝のやり方で尿排出の枝の端部に圧力で結合可能である歯付きネック部を含むことを特徴とする。本発明のカテーテルは、バルブ要素が尿の放出用であるカテーテルの遠位端の本体中に密封するように挿入されることも特徴とする。さらに、本発明は、バルブ要素が開放端位置と閉鎖端位置の間で90°まで回転可能である回転密閉装置を作動するレバーを備えるタイプのものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ付き尿カテーテル、すなわち、膀胱と外部の間で直接常設の連通を確立するために尿道を通って膀胱に挿入されるタイプのカテーテルに関し、それによって前立腺肥大症によって引き起こされる尿道閉塞の問題を克服するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、使用者の取扱いの観点からカテーテルの改善された機能的特性を得ることであり、一方、同時に感染のリスクを最小にし、このタイプの患者に対するクオリティ・オブ・ライフを全体的に向上させることである。
【0003】
今日、様々な医学的症状により常設の尿カテーテルを装着しなければならない多数の患者がいる。
【0004】
大抵の場合、これは、膀胱を十分空にすることを妨げる前立腺疾患によるものである。前立腺腺腫又は良性前立腺肥大症は、高齢の固有の病理、老化の副現象であり、したがって現代社会において極めてよくある。正常な排尿を妨げるこの問題の解決策は、尿道を通じて又は切開手術によって腹部切開を通じての外科的切除からなる。しかし、この病理と副現象の両方については、手術は、多くの患者において、例えば、非常に高い手術危険度を含む他の関係した病理を有する老齢患者において禁忌であり、常設の尿カテーテルの必要性が示されるのは、まさにこれらの患者の間においてである。
【0005】
現在市場に出回っている常設の尿カテーテルは、尿道を通って尿カテーテルが膀胱に達するまで挿入される可撓性プラスチック・チューブからなる。これらのカテーテルは、カテーテルの遠位端、すなわち尿道の外側の端で2つのラインによって終えられ、2つのラインのうち一方は、膀胱の内側でカテーテルを安定させるバルーンを膨張させるために使用され、それによってカテーテルが外へ出ることを防ぎ、一方、他方のラインは、尿が外部へ流れることを可能にする。
【0006】
カテーテルが常設していることにより括約筋は機能的に打ち消され、その結果、カテーテル用の開閉システムが不可欠であり、現在このために2つの解決策がある。すなわち、一方は、内部を尿が流れるラインの開口の中で適合される円錐形のプラスチックの栓と、膀胱が空にされるごとに患者によって実行されることが必要である処置とからなり、それは栓に必要な圧力を閉鎖するものが水密になるまで及ぼすものである。他方の解決策は、圧力がかけられた状態でカテーテルの中に挿入される袋に取り付けられる第2のプラスチック・チューブからなり、その結果、尿は、袋が満杯になるまでいつまでも流れ、満杯になった時点で袋は別なものによって交換されなければならない。
【0007】
尿カテーテルは、尿カテーテルが製造されている材料に応じて1カ月又は2カ月ごとに定期的に交換されなければならず、すなわち、尿カテーテルは、常時注意が必要であり、カテーテルの交換の取扱いについてアンチバイオティック保護が推奨される程まで感染の危険を含むものであり、カテーテルの日常の取扱いは、患者にとっては不快なものである。
【0008】
これら現在の問題は、上述のカテーテルの開閉システムに特に集中しており、主に以下の態様による。
− 栓の挿入/除去にある程度の困難性がある。この問題は、高齢者がこの処置をかなり難しくする視力、手の動きの能力喪失、震えなどに関する問題を有していることが珍しくないので、常設の尿カテーテルを用いる非常に多数の人々である高齢者にとって特に深刻である。
− 栓は、時々尿の圧力によって緩くなり、それにより必然的に尿の流出をもたらし、衣服を汚すことになる。このため、栓は、力を用いて挿入されなければならならず、その挿入は高齢者にとっては時として不可能であり、その後の除去を明らかに難しくする。
− 栓は、排尿の処置の間に、床に落ちて紛失することがあり得る。
− 最も可能なやり方でこの処置が実行される場合でも、処置の間に、外部へのある程度の尿の逆流は、ほとんど避けられない。
− 尿の袋は、明らかに運ぶのに不快である。袋は、何らかの形態の取付けシステムを用いて脚の周りに概して配置されており、これは袋が緩くなり得る可能性を意味し、さらに追加の経済的なコストを表している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が提案するバルブ付き膀胱は、議論したあらゆる態様において上述の問題を十分満足に解決する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より詳細には、この課題を解決するために、このタイプの任意の尿カテーテルの基本構造、すなわちカテーテルの遠位端で2つのラインに分岐し、一方はカテーテル安定させるバルーンを膨張させるためのものであり、他方は貫流する尿のためのものである、可撓性チューブ状本体を使用するカテーテルは、上述の典型的な栓の代わりに、内部を尿が流れる後者のラインにおいて、好ましくは患者が簡単な手の動き、特に4分の1の回転すなわち90°の動きでバルブを開閉することを可能にする回転スイッチを有する、バルブのある要素、特に気密のプラスチック・バルブがあるということに特徴が集まっており、それにより以下の利点を与える。
− 典型的な栓とは異なり、バルブは、緩くなり得ない。
− 取り扱うことが極めて簡単であり、開閉共に触れることによって実行でき、すなわち、目に見えるようにすることを必要としない。
− それにより排尿の処置を短縮する。
− 取扱いがずっと素早くなり、それにより感染の危険を最小化する。
− それにより排尿の処置中の尿の喪失をかなりの程度まで防ぐ。
− それにより患者の衣服の着替え及び洗濯の必要性をかなりの程度減じもする。
− 上述のように、これらすべての利点は、これらの患者に対するクオリティ・オブ・ライフの実質的な向上を示す。
【0011】
本発明の実際的な実施例の例により、本明細書で与えられる説明を補足するため、及び本発明の特徴をよりよく理解することを助けるために、本明細書には、本明細書と一体となった部分を成す、例示的且つ非限定的な一枚の図面が添付されている。
【実施例】
【0012】
前述の図は、本発明により提案されるカテーテルがどのように構成されるかを示しており、従来の任意の常設の尿カテーテルと同様に、適当なプラスチック材料製の可撓性チューブ1であって、尿道を通しての挿入を容易にするために可撓性チューブ1の近位端2で丸められ、この近位端の近くに2つの側孔3があり、一方、可撓性チューブ1の遠位端4は、2つのライン5及び6への分岐点を組み込み、前者はバルーン4を膨張させるためのものであり、一方、他者6は尿を排出するように機能する、可撓性チューブ1を示す。
【0013】
したがって、本発明によれば、尿を排出するライン6の中で、バルブ7が埋め込まれており、バルブ7は、組立体の中の水密と安定を保証するラインに取り付けられる。バルブの取付けは、例えば、バルブ本体の周囲の歯部8を用いてバルブをライン6の遠位端の数センチ・メートル前に挿入し、又は端部に取り付けられることで固定されてよく、その結果、バルブ7は、尿の排出ライン6又はライン中の開口に対して水密封止を確立できる。
【0014】
使用されるバルブ7は、任意の適当な従来のタイプのものとすることができるが、開放制限位置及び閉鎖制限位置の間でバルブの封止に90°の動きを与える小さなスイッチ又はレバー9を用いて適合されることが優先的に想定され、その結果、バルブ操作の処置は、患者にとってできるだけ簡単になされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るバルブ付き尿カテーテルの側面図。
【図2】図1の他の実施例を示すバルブ付き尿カテーテルの側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性プラスチック・チューブによって構成されるタイプの、尿カテーテルが尿道を通って膀胱に達するまで挿入するためのバルブ付き尿カテーテルであって、前記チューブが、2つのラインへの分岐点によって前記チューブの遠位端で終えられ、一方は、前記カテーテルを安定させるバルーンを膨張させるためのものであり、他方は、内部を尿が流れる、バルブ付き尿カテーテルにおいて、前記尿を放出するための後者のラインが、安定した及び気密のやり方で前記カテーテル自体に取り付けられるバルブのある要素を組み込み、前記バルブのある要素が、患者が前記バルブを開閉することを可能にする操作システムを含むことを特徴とする、バルブ付き尿カテーテル。
【請求項2】
前記バルブのある要素が、前記尿を排出するために使用されるラインの端部に圧力を受けた状態で相互に噛み合う取付けをするための張り出した歯付きネック部を組み込むことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ付き尿カテーテル。
【請求項3】
前記バルブのある要素が、気密のやり方で前記尿を放出するために使用される前記カテーテルの前記遠位端の本体の中に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載のバルブ付き尿カテーテル。
【請求項4】
前記バルブのある要素が、開放のバルブ制限位置と閉鎖のバルブ制限位置の間で90°の回転で封止を回転させる操作スイッチを組み込む前記タイプのものであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のバルブ付き尿カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−509602(P2009−509602A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532813(P2008−532813)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000167
【国際公開番号】WO2007/036580
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508093665)
【Fターム(参考)】