説明

弁装置

【課題】長期間に亘って、出口用弁口を完全に塞ぐことを可能とする弁装置を提供する。
【解決手段】切換弁1は弁室6内に流体が供給される入口用弁口11と流体を排出する出口用弁口12とが設けられた弁座10と出口用弁口12を開閉自在に設けられた弁体4とを備えている。弁体4は出口用弁口12を塞ぐ塞ぎ部17の表面17aから凹の凹みが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口ポートが供給される流体を排出する出口ポートを開閉する弁体を備えた弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置などの流体を循環させる各種の装置では、切換弁や開閉弁などの各種の弁装置(例えば、特許文献1参照)が用いられる。特許文献1などに示された従来の弁装置は、弁座100(図10に示す)を設けた弁箱と、前記弁箱内に収容された弁体101(図10に示す)と、前記弁体101を駆動する駆動機構などを備えている。弁座100には入口用弁口や出口用弁口102(図10に示す)が貫通している。入口用弁口を通して弁箱内に流体としてのR134、R600a(イソブタン)、二酸化炭素などの冷媒が供給される。出口用弁口102を通して、弁箱内の流体としてのこれらの冷媒を排出する。弁体101は、前記出口用弁口102を塞ぐ状態と前記出口用弁口102を開放する状態とが移動自在となっている。弁体101は、例えば、樹脂で構成されかつ前記出口用弁口102を塞ぐ表面が平坦に形成されている。駆動機構は、前記弁体101を前記出口用弁口102を塞ぐ状態と前記出口用弁口102を開放する状態とに亘って移動させる。
【0003】
前述した特許文献1に示された弁装置は、駆動機構が弁体101を前記出口用弁口102を塞ぐ状態と前記出口用弁口102を開放する状態とに亘って移動させることで、入口用弁口から供給された流体を出口用弁口102を通して排出したり、排出しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−263726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示された弁装置は、弁体101の出口用弁口102を塞ぐ表面101aが平坦に形成されているために、弁体101が出口用弁口102を塞いだ状態で比較的長時間保たれると、入口用弁口を通して供給された流体が弁箱内に長時間充填されたままとなるために、当該流体の圧力によって、図11に示すように、弁体101の出口用弁口102を塞ぐ表面101aから一部103が凸に突出するように塑性変形してしまうことがあった。この場合、前述したように弁体101が出口用弁口102の開閉を繰り返すと、弁閉位置において、図12に示すように、突出した一部103の端部が弁座100に乗り上がることがある。このために、弁体101と出口用弁口102との間に隙間が生じやすくなり、弁体101が出口用弁口102を完全に塞ぐことが困難となることがあった。さらに、弁体101を駆動機構が前記出口用弁口102を塞ぐ状態と前記出口用弁口102を開放する状態とに亘って移動させる際に、当該弁体101の前述した突出した一部103が磨耗してしまい、当該弁体101の出口用弁口102を塞ぐ表面101a全体が波うち状となり、平坦でなくなって、弁体101が出口用弁口102を完全に塞ぐことが困難となることがあった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、特に、長期間に亘って、出口用弁口を完全に塞ぐことを可能とする弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の弁装置は、流体が供給される入口用弁口と、前記流体を排出する出口用弁口が設けられた弁座と、前記出口用弁口を開閉自在に設けられた弁体とを備えた弁装置において、前記出口用弁口を塞ぐ塞ぎ部の表面から凹の凹みを前記弁体に設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明の弁装置は、請求項1記載の弁装置において、前記凹みの外縁の外形が、前記出口用弁口の内縁の外形よりも大きく形成され、前記弁体が前記出口用弁口を塞ぐと平面視において前記凹みの外縁の内側に前記出口用弁口全体を位置付けることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の本発明の弁装置は、請求項1又は請求項2記載の弁装置において、前記凹みの底面と、前記底面と前記塞ぎ部の表面との双方に連なる周面との間に断面円弧状の円弧部(隅R)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の本発明の弁装置は、請求項3に記載の弁装置において、前記凹みの周面と、前記弁体の前記塞ぎ部の外側面とは、前記弁体が弁座に重なる方向に沿って形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された本発明の弁装置は、弁体の出口用弁口を塞ぐ塞ぎ部の表面から凹の凹みを設けているので、弁体を長時間出口用弁口を塞いだ状態に保っても、当該弁体の塞ぎ部の表面から一部が突出することを防止できる。したがって、一部が突出したり、突出した一部が磨耗したりして、弁体が出口用弁口を完全に塞ぐことができなくなることを防止できる。よって、長期間に亘って、出口用弁口を完全に塞ぐことを可能とすることができる。
【0012】
請求項2に記載された本発明の弁装置は、弁体が出口用弁口を塞ぐと、平面視において凹みの内側に出口用弁口を位置付けることとなるので、塞ぎ部の外縁が出口用弁口を確実に囲むこととなる。したがって、弁体が出口用弁口を塞ぐと、当該弁体が出口用弁口を完全に塞ぐことができる。
【0013】
請求項3に記載された本発明の弁装置は、凹みの底面と周面との間に断面円弧状の円弧部(隅R)が設けられているので、弁体の底面と周面との境界に応力が集中することを防止でき、弁体が不意に破損してしまうことを防止できる。
【0014】
請求項4に記載された本発明の弁装置は、凹みの周面と弁体の塞ぎ部の外側面とが、弁体が弁座に重なる方向に沿って形成されているので、弁体の凹みの回りの部分が磨耗しても、弁体の弁座に接触する面積が変わることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態の切換弁の断面図である。
【図2】(a)は図1に示された切換弁の弁体の斜視図であり、(b)は図2(a)中のIIb−IIbに沿う断面図である。
【図3】図1中のIII−IIIに沿う断面図である。
【図4】図3に示された弁体の塞ぎ部が他の出口側弁口を塞いだ状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の切換弁の断面図である。
【図6】(a)は図5に示された切換弁の弁体の斜視図であり、(b)は図6(a)中のVIb−VIbに沿う断面図である。
【図7】図5中のVII部を拡大して示す断面図である。
【図8】図5中のVIII−VIIIに沿う断面図である。
【図9】図8に示された弁体が他の出口側弁口を塞いだ状態を示す断面図である。
【図10】従来の弁装置の弁座と弁体の断面図である。
【図11】図10に示された弁体の表面から一部が突出した状態を示す断面図である。
【図12】図11に示された突出した一部が弁座に乗り上げた状態を示す断面図である。
【図13】図11に示された突出した一部が削れた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の第1の実施形態にかかる弁装置としての切換弁を、図1乃至図4を参照して説明する。
【0017】
図1に示す切換弁1は、例えば、冷凍サイクル装置としての冷蔵庫に用いられる。切換弁1は、図1に示すように、外観が円柱状でかつカップ状の金属製のケース2と、弁本体3と、弁体4と、駆動機構5を備えている。ケース2と、弁本体3とで囲まれる空間は、弁室6となっている。
【0018】
弁本体3は、円盤状に形成され、かつケース2の開口を塞いで当該ケース2に取り付けられている。弁本体3には、弁室6に直接連通する入ロポート7と、二つの出ロポート8とが設けられている。これらのポート7,8には、継手9が取り付けられている。入口ポート7は、流体としての前述した冷凍サイクル装置の冷媒が供給される。出口ポート8は、入口ポート7を介して弁室6内に供給された流体としての前述した冷凍サイクル装置の冷媒を排出する。また、本実施形態では、ポート7,8は、内径が2mm以上の大口径となっているとともに、弁本体3の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0019】
弁本体3には、弁座10が重ねられて取り付けられている。弁座10は、弁本体3のケース2の内側寄りの表面に重ねられて、当該弁本体3に固定されている。弁座10は、弁本体3よりも小径な円板状に形成されている。弁座10には、入口ポート7と連通する入口用弁口11と、二つの出口ポート8とそれぞれ連通する二つの出口用弁口12とが設けられている。即ち、入口用弁口11は、前述した冷媒が供給される。出口用弁口12は、前述した冷媒を排出する。また、弁座10の中央には、軸受用の孔13が貫通している。
【0020】
ケース2及び弁本体3は、その内側に入ロポート7と入口用弁口11と弁室6といずれか一方の出口用弁口12と出ロポート8とに亘って、前述した冷媒を流す流路が形成されて、勿論、弁室6内に入口ポート7から供給された流体を収容する。
【0021】
弁体4は、合成樹脂で構成され、かつ、図1及び図2(a)に示すように、本体部14と、本体部14の外縁に設けられた取付部15と、円柱状の円柱部16と、塞ぎ部17とを一体に備えている。本体部14は、外形が弁本体3及び弁座10よりも小径な円板状に形成されている。取付部15は、本体部14の外縁の内部から外周方向に突出している。取付部15には、駆動機構5の後述するロータ27に設けられた突出部18が係合する係合穴19が設けられている。取付部15は、係合穴19に突出部18が係合することによって、ロータ27に固定されて、当該ロータ27と一体に回転する。
【0022】
円柱部16は、本体部14のケース2の奥側の表面の中央から立設して、当該本体部14と同軸に設けられている。塞ぎ部17は、本体部14の弁座10に相対する表面から凸に形成されている。塞ぎ部17は、本体部14の中央から当該本体部14の径方向に延在して、その平面形状が小判形に形成されている。塞ぎ部17は、弁座10に相対する表面17aが平坦に形成されているとともに、当該塞ぎ部17の外周側の端部に前記表面17aから凹の凹み20が設けられている。凹み20は、その平面形状が出口用弁口12よりも大きな円形に形成されている。即ち、凹み20は、その外縁の外形が出口用弁口12の内縁の外形よりも大きく形成されている。また、凹み20は、図2(b)に示すように、その底面21が平坦に形成されているとともに、前記表面17aに連なりかつ前記底面21の外縁から立設した周面22と前記底面21との間に断面円弧状の円弧部23が全周に亘って設けられている。
【0023】
また、前記弁体4は、凹み20の周面22と塞ぎ部17の外側面17bとが、当該弁体4が弁座10に重なる方向即ち後述する軸芯に沿って(即ち、平行に)形成されている。
【0024】
また、前述した弁体4は、その中央に軸芯方向に貫通して、後述する回転軸28を通す通し孔24を設けている。弁体4は、ロータ27が回転すると、当該ロータ27とともに軸芯周りに回転して、図3及び図4に示すように塞ぎ部17がいずれか一方の出口用弁口12即ち出口ポート8を塞ぎ、他方の出口用弁口12即ち出口ポート8を開放する位置に位置付けられる。勿論、こうして、塞ぎ部17がいずれか一方の出口用弁口12即ち出口ポート8を塞ぎ、他方の出口用弁口12即ち出口ポート8を開放することで、弁体4は、出口用弁口12即ち出口ポート8を開閉自在とする。
【0025】
また、塞ぎ部17が出口用弁口即ち出口ポート8を塞ぐと、図3及び図4に示すように、平面視において、凹み20の外縁の内側に出口用弁口12全体を位置付ける。なお、図示例では、塞ぎ部17が出口用弁口即ち出口ポート8を塞ぐと、凹み20と出口用弁口12とは同軸に配置される。また、弁体4は、ロータ27との間に設けられた弁ばね51におり弁座10に向かって付勢されているので、塞ぎ部17が出口用弁口即ち出口ポート8を塞ぐと、勿論、塞ぎ部17の表面17aと弁座10との間を流体密に保って、当該塞いだ出口用弁口12内を通して弁室6内の冷媒が排出されることを規制する。
【0026】
駆動機構5は、ステッピングモータ25を備えている。ステッピングモータ25は、図1に示すように、ステータコイルユニット26と、ロータ27と、回転軸28と、軸受部材29とを備えている。ステータコイルユニット26は、ケース2の外側に差し込み装着されている。ステータコイルユニット26は、詳細を図示されていないが、ステッピングモータ用のものとして、内部に、磁極歯、巻線部、電気配線部を有する周知の気密モールド構造のものである。
【0027】
ロータ27は、ケース2などと同軸に設けられて、当該ケース2内に収容されている。ロータ27は、互いに同軸に配置された大径円筒部30と、円環部31と、小径円筒部32とを備えている。大径円筒部30の外径は、ケース2の内径よりも小さく形成されているとともに、多極着磁されている。大径円筒部30には、その下端部に前記係合穴19に係合する突出部18が設けられている。
【0028】
円環部31は、円環状に形成され、かつその外縁が大径円筒部30の内周面に連なっているとともに、内縁が小径円筒部32の外周面に連なっている。小径円筒部32は、勿論、内外径が大径円筒部30の内外径よりも小さく形成されている。回転軸28は、小径円筒部32内に通されて、当該小径円筒部32に固定されている。回転軸28は、その一端部がケース2の内面に取り付けられた軸受部材29により軸芯回りに回転自在に支持されているとともに、他端部が弁体4の通し孔24内を通って弁座10の軸受用の孔13により軸芯回りに回転自在に支持されている。
【0029】
前述した構成のステッピングモータ25は、ロータ27によって弁体4を軸芯周りに回転駆動することにより、弁体4の塞ぎ部17にいずれか一方の出口用弁口12を塞がせる。
【0030】
前述した構成の切換弁1は、冷蔵庫の通常運転時において、ステッピングモータ25が弁体4を回転駆動して、弁体4が図3に示す状態と図4に示す状態とのうちいずれか一方に位置付けられて、塞ぎ部17がいずれか一方の出口用弁口12即ち出口ポート8を塞ぐ。また、切換弁1は、冷蔵庫の徐霜運転時において、ステッピングモータ25が弁体4を回転駆動して、弁体4が図3に示す状態と図4に示す状態とのうちの他方に位置付けられて、塞ぎ部17が他方の出口用弁口12即ち出口ポート8を塞ぐ。
【0031】
本実施形態によれば、弁体4の出口用弁口12を塞ぐ塞ぎ部17の表面17aから凹の凹み20を設けているので、弁体4を長時間出口用弁口12を塞いだ状態に保っても、当該弁体4の塞ぎ部17の表面17aから一部が突出することを防止できる。したがって、一部が突出したり、突出した一部が磨耗したりして、弁体4が出口用弁口12を完全に塞ぐことができなくなることを防止できる。よって、長期間に亘って、出口用弁口12を完全に塞ぐことを可能とすることができる。
【0032】
また、弁体4が出口用弁口12を塞ぐと、平面視において凹み20の内側に出口用弁口12を位置付けることとなるので、塞ぎ部17の外縁が出口用弁口12を確実に囲むこととなる。したがって、弁体4が出口用弁口12を塞ぐと、当該弁体4が出口用弁口12を完全に塞ぐことができる。
【0033】
さらに、凹み20の底面21と周面22との間に断面円弧状の円弧部(隅R)23が設けられているので、弁体4の底面21と周面22との境界に応力が集中することを防止でき、弁体4が不意に破損してしまうことを防止できる。凹み20の周面22と弁体4の塞ぎ部17の外側面17bとが、弁体4が弁座10に重なる方向に沿って形成されているので、弁体4の凹み20の回りの部分が磨耗しても、弁体4の弁座10に接触する面積が変わることがない。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる切換弁1を、図5乃至図9を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施形態の切換弁1は、図5に示すように、弁本体3が、円板状の底板33と当該底板33の外縁から立設した周板34とを備えて有底筒状に形成されており、弁本体3の開口とケース2の開口を互いに塞いだ格好で、弁本体3がケース2に固定されている。また、弁本体3の周板34には、前述した入口ポート7と、二つの出口ポート8とが設けられている。なお、図示例では、入口ポート7は、最も、ケース2寄りに配置されている。また、ポート7,8は、弁本体3の軸芯に沿って互いに間隔をあけて配置されている。さらに、本実施形態では、弁座10が周板34の内面に取り付けられて、前述した入口用弁口11と、二つの出口用弁口12とが設けられている。また、本実施形態においても、弁体4は、凹み20の周面22と塞ぎ部17の外側面17bとが、当該弁体4が弁座10に重なる方向に沿って(即ち、平行に)形成されている。
【0036】
さらに、本実施形態では、駆動機構5は、前述したステッピングモータ25に加え、固定支持部材35と、駆動伝達部36とを備えている。また、ステッピングモータ25の回転軸28の外周面には、雄ネジ部37が設けられている。
【0037】
固定支持部材35は、弁本体3のケース2寄りの端部に取付板38によって固定されている。固定支時部材35の中央には、雄ネジ部37に螺合する雌ネジ部39とガイド孔40とがケース2側から順に形成されている。雌ネジ部39とガイド孔40とは互いに連通している。固定支持部材35は、勿論、ケース2、弁本体3及びステッピングモータ25と同軸に配置されている。
【0038】
駆動伝達部36は、円筒状のホルダ部材41と、円柱状のリテーナ部材42と、弁ホルダ43とを備えている。ホルダ部材41は、ガイド孔40内に軸芯方向(図5中の上下方向)に摺動可能に嵌合している。これにより、ホルダ部材41は、固定支時部材35内を軸芯方向に移動可能である。ホルダ部材41は、回転軸28の他端部を収容している。
【0039】
リテーナ部材42は、ホルダ部材41内に収容され、回転軸28の他端部と、弁ホルダ43との間に配置されている。リテーナ部材42は、その図5中の上端には、ばねリテーナを兼ねたフランジ状の吊下係合部44がその全周に亘って凸に一体形成されている。吊下係合部44は、図5中の上面側にて、フッ素樹脂等の高滑性プラスチックをコーテイングしたもの、あるいは高滑性プラスチックからなるワッシャ45,46を挟んでホルダ部材41の上側リップ片47に対して回転可能に係合している。この係合により、ホルダ部材41が回転軸28に対して回転可能に吊り下げ支持される。
【0040】
弁ホルダ43は、半板状に形成され、かつその上端部がホルダ部材41内に収容されて、当該ホルダ部材41に固定されているとともに、その中央部に弁体4を取り付けるための弁体保持孔48を設けている。弁ホルダ43は、弁座10から間隔をあけて配置されている。弁体保持孔48は、前記軸芯に対して直交する方向に沿ってホルダ部材41を貫通している。また、弁ホルダ43とリテーナ部材42に設けられた吊下係合部44との間には、内側にリテーナ部材42を通した圧縮コイルばね49が所定の予荷重を与えられた状態で取り付けられている。
【0041】
本実施形態の弁体4は、図6(a)に示すように、厚手の小判形に形成されて、その全体が前述した塞ぎ部17をなしており、その長手方向に沿って互いに間隔をあけて前述した凹み20を二つ設けている。本実施形態においても、凹み20は、図6(b)に示すように、底面21が平坦に形成されているとともに、底面21と周面22との間に円弧部(隅R)23が設けられている。前述した構成の弁体4は、弁体保持孔48内に収容されて、前述した表面17a即ち凹み20が弁座10に相対した格好でホルダ部材41に取り付けられる。また、弁ホルダ43の弁体保持孔48内には、当該弁体4を弁座10に向かって付勢して、当該弁体4を弁座10に密に接触させる弁ばね50が設けられている。
【0042】
本実施形態の切換弁1は、ステッピングモータ25がロータ27によって回転軸28を回転駆動し、回転に伴う回転軸28の軸芯方向移動によってホルダ部材41、弁ホルダ43などと共に弁体4を軸芯に沿って直線移動させる。これにより、切換弁1は、弁体4の塞ぎ部17にいずれか一方の出口用弁口12を塞がせる。
【0043】
前述した構成の切換弁1は、冷蔵庫の通常運転時において、図8に示す状態と図9に示す状態とのうちいずれか一方に位置付けられて、塞ぎ部17がいずれか一方の出口用弁口12即ち出口ポート8を塞ぐ。また、切換弁1は、冷蔵庫の徐霜運転時において、ステッピングモータ25が弁体4を回転駆動して、図8に示す状態と図9に示す状態とのうちの他方に位置付けられて、塞ぎ部17が他方の出口用弁口12即ち出口ポート8を塞ぐ。
【0044】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、弁体4の出口用弁口12を塞ぐ塞ぎ部17の表面17aから凹の凹み20を設けているので、弁体4を長時間出口用弁口12を塞いだ状態に保っても、当該弁体4の塞ぎ部17の表面17aから一部が突出することを防止できる。したがって、一部が突出したり、突出した一部が磨耗したりして、弁体4が出口用弁口12を完全に塞ぐことができなくなることを防止できる。よって、長期間に亘って、出口用弁口12を完全に塞ぐことを可能とすることができる。
【0045】
また、弁体4が出口用弁口12を塞ぐと、平面視において凹み20の内側に出口用弁口12を位置付けることとなるので、塞ぎ部17の外縁が出口用弁口12を確実に囲むこととなる。したがって、弁体4が出口用弁口12を塞ぐと、当該弁体4が出口用弁口12を完全に塞ぐことができる。
【0046】
さらに、凹み20の底面21と周面22との間に断面円弧状の円弧部(隅R)23が設けられているので、弁体4の底面21と周面22との境界に応力が集中することを防止でき、弁体4が不意に破損してしまうことを防止できる。凹み20の周面22と弁体4の塞ぎ部17の外側面17bとが、弁体4が弁座10に重なる方向に沿って形成されているので、弁体4の凹み20の回りの部分が磨耗しても、弁体4の弁座10に接触する面積が変わることがない。
【0047】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、冷凍サイクル装置を構成する切換弁1を示している。しかしながら、本発明の切換弁1は、冷凍サイクル装置以外の装置を構成する各種の用途に用いられても良い。
【0048】
また、前述した実施形態では、弁装置として、弁座10に出口側弁口12を二つ設け、弁体4の塞ぎ部17がいずれか一方の出口側弁口12を塞ぎ他方の出口側弁口12を開放する切換弁1を示している。しかしながら、本発明では、弁装置として、出口側弁口12を一つのみ設け、弁体4の塞ぎ部17がこの一つの出口側弁口12を開閉する開閉弁としても良い。例えば、電磁弁や逆止弁等である。
【0049】
さらに、前述した実施形態では、底面21を平坦に形成している。しかしながら、本発明では、底面21を例えば中央に凹の球面状などの種々の形状としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 切換弁(弁装置)
4 弁体
10 弁座
11 入口側弁口
12 出口側弁口
17 塞ぎ部
17a 表面
17b 外側面
20 凹み
21 底面
22 周面
23 円弧部(隅R)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が供給される入口用弁口と、前記流体を排出する出口用弁口が設けられた弁座と、
前記出口用弁口を開閉自在に設けられた弁体とを備えた弁装置において、
前記出口用弁口を塞ぐ塞ぎ部の表面から凹の凹みを前記弁体に設けたことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記凹みの外縁の外形が、前記出口用弁口の内縁の外形よりも大きく形成され、前記弁体が前記出口用弁口を塞ぐと平面視において前記凹みの外縁の内側に前記出口用弁口全体を位置付けることを特徴とする請求項1記載の弁装置。
【請求項3】
前記凹みの底面と、前記底面と前記塞ぎ部の表面との双方に連なる周面との間に断面円弧状の円弧部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の弁装置。
【請求項4】
前記凹みの周面と、前記弁体の前記塞ぎ部の外側面とは、前記弁体が弁座に重なる方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項3記載の弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−117641(P2012−117641A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269933(P2010−269933)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】