説明

引き伸ばし剥離可能な感圧接着剤

引き伸ばし剥離可能な接着テープ、この接着テープを含む物品、及びこの接着テープの用途が開示される。接着テープは、少なくとも1つの感圧性接着剤層に隣接する裏材層を備える。裏材層は、ポリ(アルキレン)コポリマーを含む。各感圧性接着剤層はポリイソブチレン材料を含む。この接着テープは、視覚的に透明であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
引き伸ばし剥離可能な接着テープ、この接着テープを含む物品、この接着テープ両方を作製する方法、及びこの接着テープの用途を説明する。
【背景技術】
【0002】
引き伸ばし剥離可能な接着テープは、物品を基材に固着するために使用されてきた。物品は、多くの場合、フック、クランプ、ハンガー、又は小物入れであり、基材は、多くの場合、壁の表面である。接着テープの引き伸ばしによって、物品を基材から剥離することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
引き伸ばし剥離可能な接着テープ、この接着テープを含む物品、及びこの接着テープの用途が開示される。接着テープは、少なくとも1つの感圧性接着剤層に隣接する裏材層を備える。裏材層は、ポリ(アルキレン)コポリマーを含む。各感圧性接着剤層はポリイソブチレン材料を含む。この接着テープは、視覚的に透明であってよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、接着テープについて説明する。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の主表面に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層と、を含む。裏材層は、(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含有する重合性反応混合物の重合生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。裏材層は、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する。少なくとも1つの感圧性接着剤層は、ポリイソブチレン材料を含有する。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。
【0005】
第2の態様では、物品について説明する。第1の実施形態では、物品は、第1の基材と、第1の基材に接着された接着テープと、を含む。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主面に隣接する第1の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材を越えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から接着テープが剥離される。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含有する重合性反応混合物の重合生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。裏材層は、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する。第1の感圧性接着剤層は、ポリイソブチレン材料を含有する。
【0006】
第2の実施形態では、物品は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられた接着テープと、を含む。接着テープは、第1の基材を第2の基材に連結する。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを越えて延在するツメと、を含む。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、ツメが引かれたとき、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む重合性反応混合物の重合生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。裏材層は、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する。第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層は、それぞれポリイソブチレン材料を含有する。
【0007】
第3の態様では、2つの基材を連結及び分離する方法を提供する。この方法は、第1の基材及び第2の基材を用意することを含む。この方法は、接着テープが第1の基材を第2の基材に連結するように第1の基材と第2の基材との間に接着テープを位置付けることを更に含む。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを越えて延在するツメと、を含む。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含有する重合性反応混合物の重合生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。裏材層は、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する。第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層は、それぞれポリイソブチレン材料を含有する。この方法は、接着テープのツメを引いて、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープを剥離することを更に含む。
【0008】
第4の態様では、接着テープを調製する方法を提供する。この方法は、(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む重合性混合物の重合生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを用意する工程を含む。この方法は、ASTM D1003−07に基づき裏材層が5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントの視感透過率を有するように、第1の支持層と第2の支持層との間にポリ(アルキレン)コポリマーを備える裏材層を鋳造する工程を更に含む。この方法はまた、少なくとも1つの感圧性接着剤層を裏材層の第1の主面に隣接して位置付ける工程を更に含む。少なくとも1つの感圧性接着剤層は、ポリイソブチレン材料を含有する。
【0009】
上記の本発明の概要は、本発明のそれぞれの実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。続く図、「発明を実施するための形態」、及び実施例により、これらの実施形態をより詳しく例示する。
【0010】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図2】図1に例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して1つに連結された2つの基材を含む代表的な物品の概略図。
【図3】別の代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの概略図。
【図4】図3に例示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して1つに連結された2つの基材を含む別の代表的な物品の概略図。
【0012】
本発明は種々の修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部は一例として図面に示されており、また詳しく説明することにする。しかしながら、その意図するところは、記述した特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解すべきである。逆に、本発明は、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる、全ての修正、等価な形態、及び代替形態を対象とすることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
接着テープ、この接着テープを含有する物品、この接着テープを作製する方法、及びこの接着テープの用途について説明する。より具体的には、この接着テープは、裏材層と、裏材層の主面に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層と、を含む。ポリ(アルキレン)コポリマーを含有するこの裏材層は、典型的に、光学的に透明である。多くの実施形態で、裏材層及びそれぞれの感圧性接着剤層は光学的に透明である。少なくとも1つの感圧性接着剤層は、ポリイソブチレン材料を含有する。接着テープは、基材に接着された後に、引き伸ばすことによって取り除き可能である。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「接着剤」及び「感圧性接着剤」及び「PSA」は、互換的に使用される。同様に、用語「接着剤層」及び「感圧性接着剤層」及び「PSA層」は、互換的に使用される。
【0015】
用語「ホモポリマー」は、単一のモノマーから調製される高分子材料を意味し、用語「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーから調製される高分子材料を意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ポリイソブチレン材料」は、1つ以上のポリイソブチレンホモポリマー、1つ以上のポリイソブチレンコポリマー、又はこれらの混合物を意味する。コポリマーはブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってよい。典型的には、少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセントのコポリマーがイソブチレンから生成される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「第1のポリイソブチレン」は、第1のポリイソブチレンホモポリマー、コポリマー、又はこれらの混合物を意味する。用語「第2のポリイソブチレン」及び「第3のポリイソブチレン」も同様に定義される。
【0018】
本明細書で使用される用語「〜の範囲」は、終点及びそれら終点間の全ての値を含む。
【0019】
引き伸ばし剥離可能な接着テープが提供される。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層と、裏材層に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層と、を含む。いくつかの実施形態で、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、裏材層の第1の主面に隣接して(例えば、接着されて)位置付けられた単一の感圧性接着剤層を含む。そのような引き伸ばし剥離可能な接着テープは、任意の所望の目的のために基材の外側表面に配置する(例えば、接着する)ことができる。例えば、接着テープは保護機能を提供することができ、保護がもはや必要なくなった又は望まれなくなった場合に、取り除くことができる。他の例では、接着テープは書き込み可能又は印刷可能な表面を提供することができる(例えば、裏材層上に書き込むこと又は印刷することが可能である)。より具体的ないくつかの例では、接着テープは、もはや必要なくなったときに取り除くことが可能なラベル又は価格シールとして機能できる。
【0020】
他の実施形態では、接着テープは、裏材層の両側の(opposite)主面に隣接して(例えば、接着されて)位置付けられる2つの感圧性接着剤層を含む。2つの感圧性接着剤層を伴う接着テープを使用して、2つの基材を1つに連結することができる。後の任意のときに、第1の基材を第2の基材から分離することが望まれる場合は、接着テープを引き伸ばして取り除くことができる(例えば、接着テープを引き伸ばして、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1及び第2の基材の両方から、剥離する)。2つの基材は、多くの場合、どちらの基材も損なわずに分離され得る。接着テープ及び互いから分離された後、基材は再び使用可能である。これは、基材の少なくとも1つが高価である、又は脆性である、又は製造が困難であるときに特に有利である。
【0021】
2つの感圧性接着剤層を伴う代表的な引き伸ばし剥離可能な接着テープの構造を図1に概略的に示す。接着テープ100は、2つの感圧性接着剤層10と30との間に位置付けられる裏材層20を含む。第1の接着剤層10は、裏材層20の第1の主面22に隣接しており、第2の接着剤層30は、裏材層20の第2の主面23に隣接している。裏材層20の第1の主面22は、裏材層20の第2の主面23の反対側である。図1に示すように、第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30は両方とも裏材層20に接触しており、裏材層20に直接的に接着されている。図示されていない他の実施形態では、第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30は、プライマー層のような1つ以上の介在層を介して裏材層20に間接的に接着される。裏材層20は、第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30の両方を越えて延在する。接着剤層を越えて延在する裏材層21の領域は、ツメ21として機能できる。図1では、ツメ21は裏材層の一部、すなわち裏材層の延長である。
【0022】
図2は、図1に概略的に示した引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して連結された2つの基材を含む代表的な物品200の概略図である。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、第1の基材40と第2の基材50との間に位置付けられる。すなわち、物品200は、次の順序で、第1の基材40、第1の接着剤層10、裏材層20、第2の接着剤層30、及び第2の基材50を含む。第1の接着剤層10が第1の基材40に接着し、第2の接着剤層30が第2の基材50に接着する。感圧性接着剤層は、典型的に、指圧以下で基材に接着され得、取り除きのために接着テープが引き伸ばされるまで基材に接着したまま維持され得る。第1の基材40は、接着テープを介して第2の基材50に連結される。
【0023】
図2で、裏材層20は第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30の両方を越えて延在する。第1の接着剤層10及び第2の接着剤層30の両方を越えて延在する裏材層の領域は、基材40及び50の両方から接着テープを引き伸ばし剥離するためのツメ21として機能できる。ツメ21を引き、接着テープを引き伸ばすことによって、第1の接着剤層10を第1の基材40から剥離することができる、又は第2の接着剤層30を第2の基材50から剥離することができる、又は接着剤層10及び30の両方を基材40及び50の両方から剥離することができる。この組み合わせ剥離は、第2の基材からの第1の基材の分離及び第1の基材と第2の基材との間からの接着テープの取り除きを可能にする。
【0024】
裏材層20及び2つの感圧性接着剤層10及び30を含む、別の引き伸ばし剥離可能な接着テープ300の概略図を図3に示す。この実施形態では、裏材層20は第1の接着剤層10からも第2の接着剤層30からも延在していない。この接着テープを使用して第1の基材40と第2の基材50とを連結した図を、図4に概略的に示す。接着テープの領域(層10、20、及び30)は、基材40及び50の両方を越えて延在している。基材40及び50の両方を越えて延在している接着テープの領域は、ツメ24として機能できる。ツメ24は外側表面が接着剤層10及び30であるので、粘着性である。あるいは、フィルム又は別の、タルク又はインク(印刷されたもの)のような非粘着性の層のような追加的な層(図3に図示せず)をツメのこの領域に、接着剤層10及び30を覆って配置して、非粘着性の表面を提供することができる。ツメ24を引き、接着テープを引き伸ばすことによって、第1の接着剤層10を第1の基材40から剥離することができる、又は第2の接着剤層30を第2の基材50から剥離することができる、又は接着剤層10及び30の両方を基材40及び50の両方から剥離することができる。この組み合わせ剥離は、第2の基材からの第1の基材の分離及び第1の基材40と第2の基材50との間の接着テープ(層10、20、及び30)の取り除きを可能にする。
【0025】
接着テープを伴い、接着剤を1つ又は両方の基材から剥離することは、ツメを引くこと及び引き伸ばすことを含む。ツメは、基材の少なくとも1つを越えて延在している。ツメは、裏材層の一部(すなわち、裏材層の延長)であること、少なくとも1つの接着剤層の一部(すなわち、接着剤層の延長)であること、裏材層に付着されること、少なくとも1つの接着剤層に付着されること、又は裏材層及び少なくとも1つの接着剤層の両方の一部(すなわち、裏材層及び少なくとも1つの接着剤層の両方の延長)であってよい。少なくとも1つの基材は、ツメのこの領域では接着剤層に接触していない。概して、この物品に2つの基材がある場合、両方の基材がツメのこの領域では接着剤層に接触していない。ツメは、通常、基材の表面に平行又は実質的に平行な方向に引かれる。すなわち、ツメは、基材の表面から0度、5度未満、10度未満、15度未満、20度未満、25度未満、30度未満、又は35度未満の方向に引かれる。ツメは、多くの場合、裏材層の一部である。いくつかの実施形態では、ツメは、接着剤層と接触している裏材層の第1の領域を越えて延在する、裏材層の第2の領域から形成される。ツメは、多くの場合、これらの実施形態において非粘着性である。他の実施形態では、ツメは裏材層及び接着剤層の少なくとも1つを含む。ツメは、多くの場合、これらの実施形態において粘着性である。粘着性のツメは、ツメ領域を非粘着性材料で覆うことによって非粘着性にすることができる。
【0026】
接着テープの接着剤層及び裏材層は、典型的に高延伸性である。ツメを引くことは、接着テープの伸長又は引き伸ばしを引き起こす。引き伸ばすことは、第1の基材と第2の基材との間の領域における接着テープの体積を減少し、1つ又は両方の基材からの接着テープの剥離を促進する。ツメを引くことは、接着剤層が十分な結合力を有する場合、接着剤層が基材に対してよりも裏材層に対して強く接着している場合、及び基材間の接着テープの体積を減らすために十分に接着テープを伸長できる場合に、接着テープが破断することなく、又は元の位置若しくは寸法にはね戻ることなく、両方の基材から接着剤層を剥離することを可能にする。引き伸ばされた接着テープを2つの基材の間から取り除くことができる、又は2つの基材を分離することができる、又はそれら両方である。接着テープは、典型的に、引き伸ばし剥離条件下で破断すること又は切れることなく、第1の方向に(多くの場合、第1の方向は長手方向であり、長さを少なくとも50パーセント増加し得る)少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。
【0027】
図1及び図3の概略図が示す裏材層は、典型的に、光学的に透明である。多くの実施形態で、接着剤層及び引き伸ばし剥離可能な接着テープ(すなわち、裏材層及びそれぞれの感圧性接着剤層)もまた、光学的に透明である。本明細書で使用される用語「光学的に透明」とは、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で少なくとも85パーセントの視感透過率及び5パーセント以下の曇りを有する裏材層、接着剤層、又は接着テープを指す。この方法を用いて、測定は400〜700ナノメートルの波長範囲で行われた。視感透過率は、多くの場合、少なくとも88パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも91パーセント、少なくとも92パーセント、又は少なくとも93パーセントと同等である。曇りは、多くの場合、4以下、3以下、2以下、又は1以下である。いくつかの代表的な接着テープは、ASTM D1003−7の方法を使用した測定で3パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する。他の代表的な接着テープは、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で2パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する。視覚的に透明な材料全てが光学的に透明であるとは見なされない。すなわち、視覚的な透明性が常に光学的透明性と同義であるとは限らない。視覚的に透明な材料が、5より大きい曇り、又は85パーセント未満の視感透過率、又はこれら両方を有する場合がある。
【0028】
いくつかの物品では、引き伸ばし剥離可能な接着テープは光学的に透明である。すなわち、裏材層及びそれぞれの感圧性接着剤層が光学的に透明である。第1の基材及び光学的に透明な接着テープの両方を通して見たときに第2の基材が可視であるように、光学的に透明な接着テープを2つの基材の間に位置付けることができる。接着テープが光学的に透明な場合、図2及び図3の第2の基材50は、多くの場合、第1の基材40及び接着テープ(図では、接着テープは層10、20、及び30に相当する)を通して見ることによって目視できる。例えば、光学的に透明な接着テープを使用して、光学的に透明な基材(例えばカバーレンズ)のような第1の基材を、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)のような第2の基材に連結することができる。連結に欠陥がない場合は、光学的に透明な接着テープは、典型的には第1の基材とディスプレイとの間に位置付けられたまま維持される。しかし、連結に欠陥がある場合は、接着テープを引き伸ばすことによって、ディスプレイを損傷せずに接着テープを取り除くことができる。接着テープを交換し、第1の基材及びディスプレイを、別の光学的に透明な引き伸ばし剥離可能な接着テープで再び連結することができる。
【0029】
裏材層は、光学的に透明であることに加えて、引き伸ばし剥離可能な接着テープにおける使用に好適な機械的特性を有するように選択される。例えば、裏材層は、引かれたときに破断せずに第1の方向(例えば、長手方向)に少なくとも50パーセント引き伸ばされる(伸長される)ように選択される。すなわち、裏材層を破断せずに、引き伸ばすことによって、長さのような少なくとも1つの寸法を少なくとも50パーセント増加させることができる。いくつかの実施形態では、裏材層は、破断せずに少なくとも100パーセント、少なくとも150パーセント、少なくとも200パーセント、少なくとも300パーセント、少なくとも400パーセント、又は少なくとも500パーセント引き伸ばし可能である。裏材層は、多くの場合、破断せずに最高1200パーセントまで、最高1000パーセントまで、最高800パーセントまで、最高750パーセントまで、又は最高700パーセントまで、引き伸ばし可能である。これらの比較的大きい伸長値は、基材に接着された後の接着テープの引き伸ばし剥離を促進する。
【0030】
裏材層のヤング率は、引き伸ばしに対する裏材層の抵抗性を示す指標となり得る。ヤング率は、多くの場合、約10MPa〜約75MPaの範囲である。例えば、ヤング率は20〜75MPaの範囲、20〜60MPaの範囲、20〜50MPaの範囲、又は25〜50MPaの範囲であり得る。ヤング率は、例えばASTM D790−07又はASTM D882−02の方法を使用して測定することができる。
【0031】
裏材層の引張り強度は、裏材層が破断せずに支持可能な荷重の指標であり、裏材層が破断せずにどれだけ遠くまで引き伸ばされ得るかの指標である。引張り強度は、典型的に、約10MPa〜約60MPa又はそれ以上の範囲である。例えば、引張り強度は10〜60MPaの範囲、10〜50MPaの範囲、20〜60MPaの範囲、20〜55MPaの範囲、又は25〜50MPaの範囲である場合がある。引張り強度は、ASTM D882−02の方法を使用して測定できる。
【0032】
ポリ(アルキレン)コポリマーを含有する裏材層20は、光学的透明性及び機械的特性の所望の組み合わせを有してよい。好適なポリ(アルキレン)コポリマーは、(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択された第1のアルケンと、(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択された第2のアルケンと、を含む反応混合物の重合生成物である。多くのポリ(アルキレン)コポリマーにおいて、1,2−アルケンはブテン、ヘキセン、又はオクタンから選択される。より具体的には、多くの好適なポリ(アルキレン)コポリマーは、エテン及びブタン、エテン及びヘキサン、又はエテン及びオクタンを含有する反応混合物から調製される。ポリ(アルキレン)コポリマーはランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。これらのコポリマーは、典型的には、メタロセン触媒を使用して調製される。複数の異なるポリ(アルキレン)コポリマーを裏材層に含めることができる。
【0033】
全てのポリ(アルキレン)コポリマーが裏材層の調製に好適であるとは限らない。すなわち、全ての既知のポリ(アルキレン)コポリマーを使用して、好ましい機械的特性と光学的特性の組み合わせを有する裏材層を提供できるわけではない。好適な機械的特性を伴うポリ(アルキレン)コポリマーの多くは、光学的に透明な裏材層の調製に通常必要とされる低い曇り(すなわち、ASTM D1003−07の方法を使用した測定で5パーセント以下)及び高い視感透過率(すなわち、ASTM D1003−07を使用した測定で少なくとも85パーセントの視感透過率)を有さない。例えば、多くのポリ(アルキレン)コポリマーの比較的大きい結晶サイズ、多くの市販のポリ(アルキレン)コポリマーにおける多様な添加剤の使用、及びポリ(アルキレン)コポリマーのフィルムの形成に使用される特定の方法によって、光学的に透明な裏材層として使用するのに好適ではなくなる場合がある。
【0034】
裏材層のポリ(アルキレン)コポリマーは、完全に非晶質ではなく、ある程度の結晶性材料を有する方が好ましい。結晶性材料は、物理的架橋材として機能することによって裏材層に強度を付加する傾向がある。しかし、結晶性材料のサイズが大きすぎると、裏材層の曇りが許容範囲を超えて大きくなる場合がある。結晶性材料は、可視光の波長より小さいサイズを有するのが好ましい。好適なポリ(アルキレン)コポリマーの多くの実施形態において、結晶性材料の少なくとも95パーセントは400ナノメートル未満の結晶サイズを有する。例えば、結晶性材料の少なくとも95%は、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、又は100ナノメートル未満の結晶サイズを有することができる。小さい結晶サイズは、光学的に透明な裏材層の形成を促進する。
【0035】
400ナノメートル未満の結晶性材料を有する裏材層は、多様な方法で調製できる。1つの方法では、裏材層の形成に使用されるポリ(アルキレン)コポリマーは、結晶のアライメント及び成長を最低限にするために、融解され、押出成形され、及び急冷される。別の方法では、シード材料(すなわち成核剤)を加え、冷却の際にコポリマー内での多くの結晶の形成を促進して、固化フィルムを形成することができる。より多くの結晶の形成は、より小さい結晶サイズをもたらす傾向がある。更に別の方法では、コポリマー組成物を変化させて、結晶サイズを変更する。4〜8個の炭素原子を有する第2のアルケンモノマーの量が多いほど、より小さい結晶サイズがもたらされる傾向がある。第2のアルケンモノマーの量が増すにつれて、密度又は比重は低減する傾向がある。多くの場合、比重は0.91以下である。例えば、多くの場合、比重は0.90以下又は0.89以下である。多くの場合、比重は0.86〜0.91の範囲、0.87〜0.90の範囲、又は0.88〜0.90の範囲である。
【0036】
裏材層は、曇りに寄与する又は視感透過率を低下する添加剤を含まない若しくは実質的に含まないことが好ましい。例えば、裏材層は、典型的に、抗ブロッキング剤、スリップ剤、又はこれら両方を含まない。すなわち、裏材層は、通常、抗ブロッキング剤、スリップ剤、又はこれら両方を含まない若しくは実質的に含まない。本明細書で使用されるとき、抗ブロッキング剤又はスリップ剤を参照して「実質的に含まない」という用語は、これらの薬剤がそれぞれ、0.5重量パーセント以下、0.3重量パーセント以下、0.2重量パーセント以下、0.1重量パーセント以下、0.05重量パーセント以下、又は0.01重量パーセント以下の量で存在することを意味する。抗ブロッキング剤は、多くの場合、フィルムをポリ(アルキレン)コポリマーから調製する際に、例えばロールを形成するときのようにフィルム自体への付着を防ぐために添加される。代表的な抗ブロッキング剤としては、ケイソウ土及びタルクのような粒子が挙げられるが、これらに限定されない。スリップ剤は、多くの場合、ロールでのフィルム同士の摩擦又はフィルムと生産機器との摩擦のような摩擦を低減するために添加される。また、これらのスリップ剤の存在は、少なくとも1つの感圧接着剤層との良好な接着を妨害する場合がある。一般に使用される多くのスリップ剤は、アミド化によって長鎖脂肪酸から作られるもののような一級アミドである。スリップ剤の例としては、ステアルアミド、オレアミド、及びエルカミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
多くの実施形態において、裏材層は、ポリ(アルキレン)コポリマーを少なくとも99パーセント含有する。例えば、裏材層は、少なくとも99.1重量パーセント、少なくとも99.2重量パーセント、少なくとも99.3重量パーセント、少なくとも99.4重量パーセント、少なくとも99.5重量パーセント、少なくとも99.6重量パーセント、少なくとも99.7重量パーセント、少なくとも99.8重量パーセント、又は少なくとも99.9重量パーセントのポリ(アルキレン)コポリマーを含有する。
【0038】
光学的に透明な裏材層を調製するために使用可能な代表的なポリ(アルキレン)コポリマーは、Exxon Mobil Chemical(Houston,TX)から商品名EXACT(例えばEXACT 3024、3040、4011、4151、5181、及び8210)及び商品名VISTAMAXX(例えばVISTAMAXX 6202、6102、及び3000)として市販されている。他の代表的なポリ(アルキレン)コポリマーは、Dow Chemical(Midland,MI)から商品名AFFINITY(例えばAFFINITY PT 1845G、PL 1845G、PF 1140G、PL 1850G、及びPL 1880G)、商品名ENGAGE(例えばENGAGE 8003)及び商品名INFUSE(例えばINFUSE D9530.05)として市販されている。
【0039】
市販されているポリ(アルキレン)コポリマーの多くは、ブテン、ヘキセン、又はオクテンから選択された第2のアルケンを伴うエテンの反応生成物である。EXACT 3024及びEXACT 4011は、エチレン−ブテンコポリマーである。EXACT 3040及びEXACT 4151は、エチレン−ヘキセンコポリマーである。EXACT 8210、EXACT 5181、ENGAGE 8003、及びINFUSE D9530.05は、エチレン−オクテンコポリマーである。
【0040】
ポリ(アルキレン)コポリマーは、結果的にもたらされる裏材層が光学的に透明である限り、他の高分子材料とブレンドできる。好適なブレンドされた高分子材料(すなわち、ポリ(アルキレン)コポリマーとブレンドした高分子材料)は、多くの場合、例えばエチレンビニルアセテート及びエチレンメチルアクリレートなどのエチレンコポリマーである。ブレンドされた高分子材料は、典型的には、ポリ(アルキレン)コポリマーと混和性があるもの、光学的に透明なもの、曇り又は視感透過率の低下に寄与し得る添加剤を含まない又は実質的に含まないもの、及び裏材層の形成のための上述のプロセスに使用するために好適なものが選択される。本明細書で使用するとき、ブレンドされた高分子材料中の添加剤に関して「実質的に含まない」とは、これらの添加剤が0.5重量パーセント以下、0.4重量パーセント以下、0.3重量パーセント以下、0.2重量パーセント以下、又は0.1重量パーセント以下の量で存在することを意味する。裏材層は、例えば、最大50重量パーセント、最大40重量パーセント、最大30重量パーセント、最大20重量パーセント、又は最大10重量パーセントのブレンドされた高分子材料を含有してよい。
【0041】
低い曇りと高い視感透過率とを備える裏材層をもたらす好適な材料を選択することに加えて、裏材層を調製する方法は、多くの場合、これらの値を維持するように選択される。すなわち、裏材層の作製方法は、典型的に、比較的平滑な表面及び比較的均一な厚さを提供するように選択される。表面が粗くなると、曇り率が希望に反して大きくなる場合がある。厚さが比較的均一でないと、視感透過率が希望に反して不均一になる場合がある。好適な光学的透明性を提供するために、裏材層全体で任意の方向に比較的均一な厚さを提供するようにプロセスが使用される。例えば、厚さは、多くの場合、裏材層全体で任意の方向に10パーセント未満、8パーセント未満、6パーセント未満、又は5パーセント未満、変化する。より具体的には、4ミル(0.1ミリメートル、つまり100マイクロメートル)の平均厚さを有する裏材層は、裏材層全体で任意の方向に10マイクロメートル未満、8マイクロメートル未満、6マイクロメートル未満、又は5マイクロメートル未満の厚さの変化を有する。
【0042】
ポリ(アルキレン)コポリマーのフィルムの形成に使用される従来の方法の多くは、結果的にもたらされるフィルムが要求される平滑度を有さないため、好適ではない。例えば、ブローイング法は、通常、抗ブロッキング剤又はスリップ剤が典型的には添加されるので、好適ではない。これらの薬剤の添加は、多くの場合、結果的にもたらされるフィルムの表面を粗くする傾向がある。冷硬ローラーとの接触を最低限にするためにフィルムに粗い表面を与えるキャスト押出成形法は、典型的には、適さない。
【0043】
多様な方法を使用して、好適な平滑度及び厚さの均一性を伴う裏材層を調製することができる。第1の例では、ポリ(アルキレン)コポリマーを、剥離ライナーのような2つの平滑な支持層間で、又は平滑な支持層と平滑なローラーとの間で、鋳造することができる。ブロッキング剤又はスリップ剤は必要なく、これらの薬剤がないことは好ましい。支持層(例えば剥離ライナー)は、結果的にもたらされるゴム状の裏材層を強化する傾向があり、裏材層を歪めずに又は引き伸ばさずに更なる処理にかけることを可能にする。更に、支持層は、裏材層が少なくとも1つの感圧性接着剤層と組み合わされるまで、裏材層の表面を保護する傾向がある。
【0044】
より具体的には、ポリ(アルキレン)コポリマーは、例えばフラット型キャスト用押出ダイを使用して、溶融フィルムとして押出成形可能である。押出温度は、約150℃〜200℃の範囲であってよい。ポリ(アルキレン)コポリマーの押出成形フィルムは、2つの支持体フィルム間で押出成形することができる。次に、結果的にもたらされる支持体フィルム/ポリ(アルキレン)コポリマーフィルム/支持体フィルムの構成体を、冷硬ロールスタックに通して、ポリ(アルキレン)コポリマーフィルムを冷却及び固化することができる。この方法を使用して調製された裏材フィルムは、比較的均一な厚さを有する傾向があり、かつ比較的平滑である傾向がある。
【0045】
裏材層の形成には、任意の好適な支持体表面を使用することができる。多くの実施形態で、支持体は剥離ライナーである。任意の好適な剥離ライナーを使用することができる。好適な剥離ライナーは、典型的に、紙(例えばクラフト紙)又は高分子フィルムである。多くの用途で、高分子フィルムが好ましい。剥離ライナーとして使用される高分子フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、又はポリエチレン若しくはポリプロピレンのようなポリオレフィン、又はこれらの組み合わせから形成することができる。剥離ライナーの表面は、所望により、シリコーン、フルオロシリコーンのようなフッ素性化学物質、又はポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は低密度ポリエチレン)のような他の低表面エネルギー材料のような剥離剤で処理することができる。代表的なフルオロシリコーンは、Dow Corningから、商品名SYL−OFF(例えば、SYL−OFF Q2−7785又はSYL−OFF Q2−7786)で市販されている。その他の剥離ライナーとして、例えば、CP Films(St.Louis,MO)から商品名CLEARSIL(例えば、CLEARSIL T10又はT50)で、及びLOPAREX(Willowbrook,IL)から商品名LOPAREX(例えば、LOPAREX 5100)で市販されているものが挙げられる。ライナーを処理するための好適な剥離ライナー及び方法は、例えば、米国特許第4,472,480号(Olson)、同第4,980,443号(Kendziorski)、及び同第4,736,048号(Brownら)、同第5,578,381号(Hamadaら)、及び同第5,082,706号(Tangney)、並びに米国公開特許出願第2008/0280086号(Sheridanら)に更に記述されている。
【0046】
多くの場合、裏材層の厚さは、望まれる引き伸ばし剥離力に基づいて選択される。裏材層の厚さが増大するにつれて、通常、より大きい引き伸ばし剥離力が必要とされる。逆に、裏材層の厚さが減少するほど、低い引き伸ばし剥離力が必要とされる。裏材層の厚さは、例えば、最大40ミル(1.0ミリメートル、つまり1000マイクロメートル)であってよい。本明細書で使用されるとき、用語「ミル」は、0.001インチであり、1ミルは約0.0025センチメートル又は約0.025ミリメートル又は約25マイクロメートルに等しい。多くの実施形態において、厚さは最大30ミル(750マイクロメートル)、最大20ミル(500マイクロメートル)、最大10ミル(250マイクロメートル)、最大8ミル(200マイクロメートル)、最大6ミル(150マイクロメートル)、又は最大5ミル(125マイクロメートル)である。多くの場合、厚さは少なくとも1ミル(0.025ミリメートル、つまり25マイクロメートル)、少なくとも2ミル(50マイクロメートル)、少なくとも3ミル(75マイクロメートル)、又は少なくとも4ミル(100マイクロメートル)である。いくつかの好適な裏材層は、1ミル(25マイクロメートル)〜20ミル(500マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜8ミル(200マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜7ミル(175マイクロメートル)の範囲、2ミル(50マイクロメートル)〜8ミル(200マイクロメートル)の範囲、3ミル(75マイクロメートル)〜6ミル(150マイクロメートル)の範囲、又は4ミル(100マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲の厚さを有する。
【0047】
調製の際、裏材層は、通常、比較的平滑な表面及び比較的均一な厚さを有するゴムのような材料である。多くの実施形態において、裏材層はわずかに粘着性である。感圧性接着剤層は、裏材層の少なくとも1つの主面に隣接して位置付けることができる。多くの実施形態において、第1の感圧性接着層は裏材層の第1の主表面に隣接して位置付けられ、第2の感圧性接着層は裏材層の第2の主表面に隣接して位置付けられる。裏材層の第2の主表面は、第1の主表面に対向する面である。本明細書で使用されるとき、感圧接着剤層及び裏材層に対する用語「隣接」とは、感圧接着剤層が裏材層と接触していること又は1つ以上の介在層によって裏材層から分離されていることを意味する。すなわち、それぞれの感圧接着剤層は、裏材層に直接的に又は間接的に接着される。
【0048】
裏材層は、少なくとも1つの感圧性接着剤層に隣接して位置付ける前にプライミング処理することができる。プライマー処置は、裏材層と感圧性接着層との間の接着力を増大させる傾向がある。多くの場合、この接着力の増大は引き伸ばし剥離接着テープにとって望ましい。すなわち、通常、裏材層に対する感圧性接着テープの接着力は、基材に対する感圧性接着層の接着力より強い。当該技術分野において既知の任意の好適なプライミング処置を使用することができる。例えば、プライミング処理は、化学的プライマー組成物での処理、コロナ放電若しくはプラズマ放電による処理、電子ビーム若しくは紫外線への曝露、酸組成物でのエッチング、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、プライマー処置は、裏材層の表面にプライマー組成物を適用することを含む。任意の好適なプライマー組成物を使用することができる。プライマー組成物としては、例えば、反応性化学接着促進剤(例えば、その構成要素が裏材層、接着層、又はこれら両方と反応することができる)が含まれる。代表的なプライマー組成物としては、米国特許第5,677,376号(Groves)に記述されているものが含まれ、その全文は参照により本明細書に組み込まれる。すなわち、プライマー組成物は、(1)マレイン酸又は無水マレイン酸で修飾したスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーのようなブロックコポリマーと、(2)(a)1〜14個の炭素原子を有する非三級アルコールの少なくとも1つのアルキル(メタ)アクリレートエステル及び(b)少なくとも1つの窒素含有モノマーを含む一価モノマー混合物の高分子反応生成物と、のブレンドを含むことができる。ブロックコポリマーは、例えば、Shell Chemical Co.が市販する商品名KRATON FG−1901Xであってよい。他の好適なプライマー組成物としては、DSM NeoResins(Wilmington,MA)が市販する商品名NEOREZ(NEOREZ R551)が挙げられる。このプライマー組成物は、水媒介性のポリウレタンを含有する。
【0050】
少なくとも1つの感圧性接着剤層が、裏材層の主面に直接的に又は間接的に接着される。接着テープの多くの実施形態で、裏材層の両側の主面に位置付けられた感圧性接着剤層は2つある。当該技術分野で使用される用語「感圧性接着剤」とは、(1)攻撃的及び永久的粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体に付着し続ける十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り除くのに十分な結合力を含む特性を有する接着剤組成物を指す。
【0051】
感圧性接着剤層に含まれる組成物は、典型的に、粘着力、引きはがし粘着力、及びせん断保持力の望ましいバランスを達成するために要求される粘弾性を提供するように処方される。より具体的には、感圧性接着剤層の各組成物は、典型的に、そのヤング率が裏材層のヤング率より低いものが選択される。各接着剤層のヤング率が裏材層のヤング率より低いと、接着剤層は引き伸ばし剥離中の裏材層の変形中に降伏し、裏材層が引き裂かれる可能性はより低くなる。
【0052】
加えて、多くの場合、各接着剤層の組成物は、接着剤層の破断点伸び率が裏材層のそれより大きくなるように選択される。この条件が満たされると、基材から剥離される際に接着剤層が残留物を基材上に残す可能性はより低くなる。すなわち、裏材層と同様に、接着テープは、ツメが引かれたときに破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。いくつかの実施形態では、1つ又は2つの感圧性接着剤層を伴う接着テープは、少なくとも100パーセント、少なくとも150パーセント、少なくとも200パーセント、少なくとも300パーセント、少なくとも400パーセント、又は少なくとも500パーセント引き伸ばし可能である。接着テープは、多くの場合、破断せずに最高1200パーセントまで、最高1000パーセントまで、最高800パーセントまで、最高750パーセントまで、又は最高700パーセントまで、引き伸ばし可能である。これらの比較的大きい伸長値は、基材に接着された後の接着テープの引き伸ばし剥離を促進する。
【0053】
各感圧性接着剤層は、ポリイソブチレン材料を含む。ポリイソブチレン材料は、ホモポリマー、コポリマー、又はこれらの混合物であってよい。ポリイソブチレン材料として、単一の分子量範囲を有する高分子材料を挙げてよく、又はそれぞれ異なる分子量範囲を有するいくつかの高分子材料のブレンドを挙げてよい。所望の接着剤特性は、様々な処方を使用して達成することができる。
【0054】
いくつかの接着剤組成物は、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)0〜10重量パーセント未満の粘着付与樹脂と、を含有する。粘着付与樹脂の量は、接着剤組成物中の固体総重量(すなわち、接着剤組成物の総固体含量)に基づく。これらの接着剤組成物は、8重量パーセント未満、6重量パーセント未満、4重量パーセント未満、2重量パーセント未満、1重量パーセント未満、又は0.5重量パーセント未満の粘着付与樹脂を含有してよい。多くの場合、これらの代表的な接着剤組成物は、粘着付与樹脂を含まない又は実質的に含まない。粘着付与樹脂に関して本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」は、接着剤組成物に意図的に添加する粘着付与樹脂がないこと、及び存在する場合、任意の粘着付与樹脂が接着剤組成物のその他構成成分の混入物質であることを意味する。実質的に含まないとは、多くの場合、粘着付与樹脂が、接着剤組成物の総固体含量に基づき、2重量パーセント未満、1重量パーセント未満、0.5重量パーセント未満、0.2重量パーセント未満、又は0.1重量パーセント未満の量で存在することを意味する。
【0055】
粘着付与樹脂を低濃度で含む接着剤組成物、又は粘着付与樹脂を含まない若しくは実質的に含まない接着剤組成物は、ある用途において有利である場合がある。例えば、粘着付与樹脂は、接着剤組成物に含まれる多くのポリイソブチレン材料に比べて比較的低い分子量を有する傾向がある。これらの比較的低分子量の材料が存在すると、一部の条件下においては、ある剛性基材、例えばポリカーボネート又はポリ(メタ)アクリレートから調製されるものに隣接して配置されると、ガス放出量が増加する場合がある。ガス放出は、気泡などの欠陥の原因となり得るか、接着剤層と基材の層間剥離の原因となり得る。ガス放出は、多くの場合望ましくなく、光学的用途には有害であり得る。低濃度の粘着付与剤を含む接着剤組成物、又は粘着付与樹脂を含まない若しくは実質的に含まない接着剤組成物は、多くの場合、気泡を形成せずに、ポリカーボネート及びポリ(メタ)アクリレートなどのガス放出基材に隣接して配置することができる。
【0056】
0〜10重量パーセント未満の粘着付与剤を含む第1、第2、及び第3の代表的な接着剤組成物について、以下に更に詳細に記載する。これらの接着剤組成物では、ポリイソブチレン材料の分子量を選択し、接着剤層に必要な粘着度を提供する。つまり、ポリイソブチレン材料の分子量を選択し、粘着付与樹脂を含まない、実質的に含まない、又は10重量パーセント未満含有する接着剤組成物のための感圧性接着剤層を提供する。いくつかの用途では、時間と共に変色する可能性がある、又はポリイソブチレンと不相溶性の粘着付与樹脂の使用を避けることが好ましい場合がある。粘着付与樹脂とポリイソブチレン材料との間の不相溶性は、接着剤層の光学的透明性に悪影響を与え得る。
【0057】
0〜10重量パーセントの粘着付与樹脂を含むこれらの接着剤組成物は、多くの場合、90重量パーセント以上のポリイソブチレン材料を含有する。ポリイソブチレン材料の重量パーセントは、接着剤組成物の総固体含量に基づく。これらの代表的な接着剤組成物は、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも96重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、又は少なくとも99重量パーセントのポリイソブチレン材料を含有してよい。
【0058】
第1の代表的な接着剤組成物は、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)接着剤組成物の総固体含量に基づき0〜10重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含有する。ポリイソブチレン材料は、75,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含む。第1の代表的な接着剤組成物に含まれるポリイソブチレン材料は、多くの場合、少なくとも90重量パーセントの、75,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含有する。例えば、ポリイソブチレン材料は、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも96重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、又は少なくとも99.5重量パーセントの第1のポリイソブチレンを含む。
【0059】
第1の接着剤組成物の第1のポリイソブチレンの重量平均分子量は、75,000〜4,000,000グラム/モルの範囲であってよい。第1のポリイソブチレンとして選択される、ある重量平均分子量は、多くの場合、接着強度と結合力のバランスを伴う。特定の用途において接着強度が不十分である場合、第1のポリイソブチレンの重量平均分子量は減少し得る。しかし、重量平均分子量が75,000グラム/モル未満である場合、得られる接着剤組成物が柔らかすぎてべたっとすることがある。結合力は、多くの場合、第1のポリイソブチレンの分子量の減少につれて低下する傾向がある。結合力が低すぎる場合、剥離目的で接着テープを引き伸ばすと残留物が残る場合がある。第1のポリイソブチレンの分子量を増加することにより、結合力は上昇し得る。しかし、重量平均分子量が4,200,000を超える場合、組成物が接着剤として機能しないことがある。重量平均分子量は、多くの場合、80,000〜3,000,000グラム/モルの範囲、80,000〜1,500,000グラム/モルの範囲、80,000〜800,000グラム/モルの範囲、100,000〜500,000グラム/モルの範囲、100,000〜400,000グラム/モルの範囲、又は100,000〜300,000グラム/モルの範囲である。
【0060】
第2の代表的な接着剤組成物は、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)接着剤組成物の総固体含量に基づき0〜10重量パーセントの量の粘着付与樹脂と、を含有する。第2の代表的な接着剤組成物中のポリイソブチレン材料は、(i)200,000グラム/モル〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、(ii)1,000〜80,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第2のポリイソブチレンと、を含む。第1のポリイソブチレンの重量平均分子量は、例えば、200,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、200,000〜3,000,000グラム/モルの範囲、200,000〜1,500,000グラム/モルの範囲、200,000〜800,000グラム/モルの範囲、400,000〜1,000,000グラム/モルの範囲、又は500,000〜1,000,000グラム/モルの範囲であってよい。第2のポリイソブチレンの重量平均分子量は、例えば、1,000〜70,000グラム/モルの範囲、1,000〜50,000グラム/モルの範囲、1,000〜40,000グラム/モルの範囲、1,000〜20,000グラム/モルの範囲、1,000〜10,000グラム/モルの範囲、2,000〜60,000グラム/モルの範囲、2,000〜50,000グラム/モルの範囲、5,000〜50,000グラム/モルの範囲、又は10,000〜50,000グラム/モルの範囲であってよい。
【0061】
これらの第2の代表的な接着剤組成物では、ポリイソブチレン材料は、(i)200,000グラム/モル〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する50〜90重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(ii)1,000〜75,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する10〜50重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、を通常含む。第1のポリイソブチレン及び第2のポリイソブチレンの重量パーセントは、接着剤組成物中のポリイソブチレン材料の総重量に基づく。例えば、ポリイソブチレン材料は、50〜80重量パーセントの第1のポリイソブチレンと20〜50重量パーセントの第2のポリイソブチレン、50〜70重量パーセントの第1のポリイソブチレンと30〜50重量パーセントの第2のポリイソブチレン、50〜60重量パーセントの第1のポリイソブチレンと40〜50重量パーセントの第2のポリイソブチレン、60〜90重量パーセントの第1のポリイソブチレンと10〜40重量パーセントの第2のポリイソブチレン、70〜90重量パーセントの第1のポリイソブチレンと10〜30重量パーセントの第2のポリイソブチレン、又は80〜90重量パーセントの第1のポリイソブチレンと10〜20重量パーセントの第2のポリイソブチレンを含んでよい。
【0062】
少なくとも2つの異なる分子量範囲のポリイソブチレン材料を含有する第2の代表的な接着剤組成物では、第2のポリイソブチレン(すなわち、1,000〜75,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリイソブチレン)の量が増すにつれて、接着強度が上昇する傾向がある。この低分子量ポリイソブチレンは、これらの接着剤組成物中で粘着付与樹脂様に機能する傾向がある。しかし、この材料を過剰量加えた場合、接着剤組成物は、引き伸ばしによる接着テープの除去において残留物を残す可能性が高い。加えて、低分子量ポリイソブチレン材料を過剰量加えた場合、接着剤層の結合力が望ましくないほど低い場合がある。
【0063】
第3の代表的な接着剤組成物は、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)接着剤組成物の総固体含量に基づき0〜10重量パーセントの量の粘着付与樹脂と、を含有する。ポリイソブチレン材料は、(i)300,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、(ii)50,000超〜250,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有する第2のポリイソブチレンと、(iii)1,000〜50,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第3のポリイソブチレンと、を含む。第1のポリイソブチレンの重量平均分子量は、例えば、300,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、300,000〜3,000,000グラム/モルの範囲、300,000〜1,500,000グラム/モルの範囲、300,000〜800,000グラム/モルの範囲、400,000〜1,000,000グラム/モルの範囲、又は500,000〜1,000,000グラム/モルの範囲であってよい。第2のポリイソブチレンの重量平均分子量は、例えば、55,000〜250,000グラム/モルの範囲、60,000〜200,000グラム/モルの範囲、60,000〜150,000グラム/モルの範囲、又は60,000〜100,000グラム/モルの範囲であってよい。第3のポリイソブチレンの重量平均分子量は、例えば、1,000〜40,000グラム/モルの範囲、1,000〜30,000グラム/モルの範囲、1,000〜20,000グラム/モルの範囲、1,000〜10,000グラム/モルの範囲、1,000〜5,000グラム/モルの範囲、5,000〜50,000グラム/モルの範囲、10,000〜40,000グラム/モルの範囲、又は20,000〜40,000グラム/モルの範囲であってよい。
【0064】
これらの代表的な第3の接着剤組成物では、ポリイソブチレン材料は、(i)300,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する10〜40重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(ii)50,000〜250,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する50〜70重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、(iii)1,000〜50,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する10〜20重量パーセントの第3のポリイソブチレンと、を通常含む。第1のポリイソブチレン、第2のポリイソブチレン、及び第3のポリイソブチレンの重量パーセントは、ポリイソブチレン材料の総重量に基づく。例えば、ポリイソブチレン材料は、(i)10〜30重量パーセント、10〜20重量パーセント、又は20〜40重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(ii)50〜70重量%の第2のポリイソブチレンと、(iii)10〜20重量パーセントの第3のポリイソブチレンと、を含んでよい。別の例では、ポリイソブチレン材料は、(i)10〜40重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(ii)50〜60重量パーセント、60〜70重量パーセント、又は55〜65重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、(iii)10〜20重量パーセントの第3のポリイソブチレンと、を含んでよい。更に別の例では、ポリイソブチレン材料は、(i)10〜40重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(ii)50〜70重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、(iii)10〜15重量パーセント又は15〜20重量パーセントの第3のポリイソブチレンと、を含んでよい。
【0065】
第3の接着剤組成物において、多くの場合、第1のポリイソブチレンの量を増して結合力を上昇させ、多くの場合、第3のポリイソブチレンの量を増して接着強度を上昇させる。第2のポリイソブチレンの量を選択し、好適な結合力及び接着強度を有する接着剤を提供するため、第1及び第3のポリイソブチレンのバランスをとる。
【0066】
その他の接着剤組成物は、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)接着剤組成物の総固体含量に基づき少なくとも10重量パーセントの粘着付与樹脂と、を含有する。これらの接着剤組成物は、多くの場合、接着剤組成物の総固体含量に基づき少なくとも15重量パーセント、少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも25重量パーセントの粘着付与樹脂を含む。ポリイソブチレン材料の含量は、多くの場合、接着剤組成物の総固体含量に基づき85重量パーセント未満、80重量パーセント未満、75重量パーセント未満、又は70重量パーセント未満である。これらの接着剤組成物は、第4の代表的な接着剤組成物及び第5の代表的な接着剤組成物で示されるように、1つ以上の重量平均分子量範囲のポリイソブチレン材料で処方してよい。粘着付与樹脂の追加により、多くの場合、接着剤組成物の様々な所望の接着特性又は物理的特性のバランスを保つことが容易になる。更に、接着剤組成物中に粘着付与樹脂を含めると、多くの場合、PSA層のコストが下がる。
【0067】
第4の代表的な接着剤組成物は、(a)接着剤組成物の総固体含量に基づき40〜90重量パーセントの範囲の量のポリイソブチレン材料と、(b)接着剤組成物の総固体含量に基づき10〜60重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含む。ポリイソブチレン材料は、85,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含む。例えば、第1のポリイソブチレンの重量平均分子量は、100,000〜4,200,000グラム/モルの範囲、200,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、400,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、500,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、1,000,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜3,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜2,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜1,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜500,000グラム/モルの範囲、85,000〜500,000グラム/モルの範囲、100,000〜400,000グラム/モルの範囲、100,000〜300,000グラム/モルの範囲、又は85,000〜300,000グラム/モルの範囲であってよい。
【0068】
第4の代表的な接着剤組成物に含まれるポリイソブチレン材料は、多くの場合、少なくとも90重量パーセントの、85,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含有する。例えば、ポリイソブチレン材料は、少なくとも92重量パーセント、少なくとも94重量パーセント、少なくとも96重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、少なくとも99重量パーセント、又は少なくとも99.5重量パーセントの第1のポリイソブチレンを含む。
【0069】
これらの代表的な第4の接着剤組成物は、40〜80重量パーセントのポリイソブチレン材料と20〜60重量パーセントの粘着付与樹脂、40〜70重量パーセントのポリイソブチレン材料と30〜60重量パーセントの粘着付与樹脂、40〜60重量パーセントのポリイソブチレン材料と40〜60重量パーセントの粘着付与樹脂、50〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜50重量パーセントの粘着付与樹脂、60〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜40重量パーセントの粘着付与樹脂、又は70〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜30重量パーセントの粘着付与樹脂を含んでよい。ポリイソブチレン材料の重量パーセントと粘着付与樹脂の重量パーセントは、接着剤組成物の固体重量に基づく。
【0070】
いくつかのより具体的な代表的な第4の接着剤組成物は、60〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜40重量パーセントの粘着付与樹脂、又は70〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜30重量パーセントの粘着付与剤を含有する。ポリイソブチレン材料は、少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセント、少なくとも98重量パーセント、又は少なくとも99重量パーセントの、85,000〜500,000グラム/モルの範囲、85,000〜300,000グラム/モルの範囲、又は100,000〜3000,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含有する。
【0071】
1つの分子量範囲のポリイソブチレン材料と粘着付与樹脂とを含有する第4の代表的な接着剤組成物において、粘着付与剤の量が増すにつれて接着強度が上昇する傾向がある。しかし、粘着付与剤の量が増加すると結合力が低下する傾向があり、除去目的で接着テープが引き伸ばされるとき、より多くの残留物が基材上に残る傾向がある。
【0072】
第5の代表的な接着剤組成物は、(a)接着剤組成物の総固体含量に基づき70〜90重量パーセントの範囲の量のポリイソブチレン材料と、(b)接着剤組成物の総固体含量に基づき10〜30重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含む。ポリイソブチレン材料は、(i)100,000グラム/モル〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンと、(ii)30,000〜75,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第2のポリイソブチレンと、を含む。典型的には、ポリイソブチレン材料は、ポリイソブチレン材料の重量に基づき(i)10〜30重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(ii)70〜90重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、を含む。
【0073】
第5の代表的な接着剤組成物中の第1のポリイソブチレンは、100,000〜4,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜3,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜2,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜1,000,000グラム/モルの範囲、100,000〜500,000グラム/モルの範囲、100,000〜400,000グラム/モルの範囲、又は100,000〜300,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有してよい。第2のポリイソブチレンは、40,000〜70,000グラム/モルの範囲、50,000〜70,000グラム/モルの範囲、50,000〜60,000グラム/モルの範囲、55,000〜75,000グラム/モルの範囲、60,000〜75,000グラム/モルの範囲、又は65,000〜75,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有してよい。
【0074】
第5の代表的な接着剤組成物中のポリイソブチレン材料は、多くの場合、10〜25重量パーセントの第1のポリイソブチレンと75〜90重量パーセントの第2のポリイソブチレン、10〜20重量パーセントの第1のポリイソブチレンと80〜90重量パーセントの第2のポリイソブチレン、15〜30重量パーセントの第1のポリイソブチレンと70〜85重量パーセントの第2のポリイソブチレン、又は20〜30重量パーセントの第1のポリイソブチレンと70〜80重量パーセントの第2のポリイソブチレンを含有する。これら第1のポリイソブチレン及び第2のポリイソブチレンの重量パーセントは、ポリイソブチレン材料の総重量に基づく。
【0075】
この第5の代表的な接着剤組成物は、多くの場合、70〜85重量パーセントのポリイソブチレン材料と15〜30重量パーセントの粘着付与樹脂、70〜80重量パーセントのポリイソブチレン材料と20〜30重量パーセントの粘着付与樹脂、75〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜25重量パーセントの粘着付与樹脂、又は80〜90重量パーセントのポリイソブチレン材料と10〜20重量パーセントの粘着付与樹脂を含有する。
【0076】
総じて、第5の代表的な接着剤組成物は、(a)10〜20重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(b)50〜80重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、(c)接着剤組成物の総固体含量に基づき10〜30重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含有してよい。例えば、接着剤組成物は、(a)10〜15重量パーセント又は15〜20重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(b)50〜80重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、(c)10〜30重量パーセントの粘着付与樹脂と、を含有してよい。別の例では、(a)10〜20重量パーセントの第1のポリイソブチレンと、(b)50〜75重量パーセント、50〜70重量パーセント、50〜60重量パーセント、60〜80重量パーセント、又は70〜80重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、(c)10〜30重量パーセントの粘着付与樹脂と、を含有してよい。更に別の例では、(a)10〜20重量パーセントのポリイソブチレンと、(b)50〜80重量パーセントの第2のポリイソブチレンと、(c)10〜25重量パーセント、10〜20重量パーセント、15〜30重量パーセント、又は20〜30重量パーセントの粘着付与樹脂と、を含有してよい。
【0077】
類似の接着強度及び結合力を有する第4の代表的な接着剤組成物と比較すると、第5の代表的な接着剤組成物は、多くの場合、粘着付与樹脂の含有量が低い。
【0078】
任意の接着剤組成物に含まれるポリイソブチレン材料は、ホモポリマー、コポリマー、又はこれらの混合物であってよい。コポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであってよい。ブロックコポリマーは、高分子材料の主鎖中、側鎖中、又は主鎖及び側鎖の両方にポリイソブチレン部分を含むことができる。ポリイソブチレン材料は、典型的には、イソブチレンのみを重合させることにより、又は塩化アルミニウム又は三フッ化ホウ素などのLewis触媒の存在下で、イソブチレンと追加のエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより、調製される。
【0079】
ポリイソブチレン材料は、いくつかの製造業者より市販されている。ホモポリマーは、例えば、BASF Corp.(Florham Park,NJ)から商品名OPPANOL(例えば、OPPANOL B15、B30、B50、B100、B150、及びB200)で市販される。これらのポリマーは、多くの場合、約40,000〜4,000,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する。更に別の代表的なホモポリマーは、St.Petersburg,RussiaのUnited Chemical Products(UCP)から様々な分子量範囲で市販されている。例えば、ホモポリマーは、約35,000〜65,000グラム/モルの範囲の粘度平均分子量を有する商品名SDGとしてUCPから市販されている。ホモポリマーは、約480,000〜約4,000,000グラム/モルの範囲の粘度平均分子量を有する商品名EFROLENとしてUCPから市販されている。ホモポリマーは、約3000〜約55,000グラム/モルの範囲の粘度平均分子量を有する商品名JHYとしてUCPから市販されている。これらのホモポリマーは、典型的には反応性二重結合を有しない。
【0080】
その他の好適なポリイソブチレンホモポリマーは、BASF Corp.(Florham Park,NJ)から商品名GLISSOPAL(例えば、GLISSOPAL 1000、1300、及び2300)で市販される。これらのポリイソブチレン材料は、通常末端二重結合を有しており、反応性ポリイソブチレン材料であると考えられる。これらのポリマーは、多くの場合、約500〜約2,300グラム/モルの範囲の数平均分子量を有する。重量平均分子量の数平均分子量に対する比は、典型的には約1.6〜2.0の範囲である。
【0081】
ポリイソブチレンコポリマーは、多くの場合、少量の他のモノマー、例えばスチレン、イソプレン、ブテン、又はブタジエンなどの存在下で、イソブチレンを重合することにより調製される。これらのコポリマーは、典型的には、モノマー混合物中のモノマー重量に基づき少なくとも70重量パーセント、少なくとも75重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも85重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、又は少なくとも95重量パーセントのイソブチレンを含むモノマー混合物から調製される。好適なイソブチレン/イソプレンコポリマーは、Exxon Mobil Corp.から商品名EXXON BUTYL(例えば、EXXON BUTYL 065、068、及び268)で市販される。これらの材料は、約1.05〜約2.30モルパーセントの範囲の不飽和度を有する。その他の代表的なイソブチレン/イソプレンコポリマーは、United Chemical Products(St.Petersburg,Russia)から、例えば約1.7モルパーセントの不飽和度を有するBK−1675Nが市販される。更に別の代表的なイソブチレン/イソプレンコポリマーは、LANXESS(Sarnia,Ontario,Canada)から、例えばLANXESS BUTYL 301(不飽和度約1.85モルパーセント)、LANXESS BUTYL 101−3(不飽和度約1.75モルパーセント)、及びLANXESS BUTYL 402(不飽和度約2.25重量パーセント)が市販される。好適なイソブチレン/スチレンブロックコポリマーは、Kaneka(Osaka,Japan)から商品名SIBSTARで市販される。これらの材料は、コポリマーの重量に基づき約15〜30重量パーセントの様々なスチレン含量の二元ブロック及び三元ブロックの両方として入手できる。
【0082】
接着剤組成物の一部は、粘着付与樹脂を含む。好適な粘着付与樹脂は、ポリイソブチレン材料との良好な相溶性(すなわち、混和性)を示すものである。すなわち、好適な粘着付与樹脂は、ポリイソブチレン材料と混合し、視覚的に透明又は光学的に透明な接着剤層を調製できるものである。粘着付与樹脂を含有するほとんどの接着剤組成物では、粘着付与樹脂は炭化水素系材料である。粘着付与樹脂は、典型的には非晶質であり、5000グラム/モル以下の重量平均分子量を有する。重量平均分子量が約5000グラム/モルを超える場合、ポリイソブチレン材料との相溶性が低下する、粘着度が低下する、又はその両方の場合がある。分子量は、多くの場合、4000グラム/モル以下、約2500グラム/モル以下、2000グラム/モル以下、1500グラム/モル以下、1000グラム/モル以下、又は500グラム/モル以下である。いくつかの実施形態では、分子量は200〜5000グラム/モルの範囲、200〜4000グラム/モルの範囲、200〜2000グラム/モルの範囲、又は200〜1000グラム/モルの範囲である。
【0083】
いくつかの好適な粘着付与樹脂は、水素添加炭化水素樹脂である。水素添加炭化水素樹脂は、多くの場合、水素添加脂環式樹脂、水素添加芳香族樹脂、又はこれらの組み合わせである。例えば、いくつかの粘着付与樹脂は、石油ナフサの熱分解で生成されるC9留分のコポリマー化により得られる水素添加C9系石油樹脂、石油ナフサの熱分解で生成されるC5留分のコポリマー化により得られる水素添加C5系石油樹脂、又は、石油ナフサの熱分解で生成されるC5留分及びC9留分の組み合わせの重合により得られる水素添加C5/C9系石油樹脂である。C9留分として、例えば、インデン、ビニル−トルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。その他代表的な粘着付与樹脂。C5留分として、例えば、ペンタン、イソプレン、ピペリン、1,3−ペンタジエン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0084】
粘着付与剤は、任意の好適な軟化温度、つまり軟化点を有してよい。軟化温度が200℃を超える場合、樹脂は粘着付与樹脂として機能できない。軟化温度は、多くの場合、200℃未満、180℃未満、160℃未満、150℃未満、125℃未満、又は120℃未満である。しかし、熱が発生する傾向がある用途において、粘着付与剤は多くの場合、少なくとも75℃であることが多い軟化点を有するように選択される。接着剤組成物が、電子装置又は電子部品などからの熱に曝されるとき、このような軟化点は、粘着付与剤の、接着剤組成物の残りの部分からの分離を最小限にする。軟化温度は、多くの場合、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、又は少なくとも95℃になるように選択される。しかし、熱が発生しない用途において、粘着付与剤は75℃未満の軟化点を有してよい。
【0085】
いくつかの好適な粘着付与樹脂は、Arakawa Chemical Industries Co.,Ltd.(Osaka,Japan)から商品名ARKON(例えば、ARKON P又はARKON M)で市販される。これらの材料は、無色透明の水素添加炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されている。ARKON P系(例えば、P−70、P−90、P−100、P−115、及びP−140)は、完全に水素添加されており、一方ARKON M系(例えば、M−90、M−100、M−115、及びM−135)は、部分的に水素添加されている。ARKON P−100は、約850グラム/モルの数平均分子量、約100℃の軟化点、及び約45℃のガラス転移温度を有する。ARKON P−140は、約1250グラム/モルの数平均分子量、約140℃の軟化点、及び約90℃のガラス転移温度を有する。ARKON M−90は、約730グラム/モルの数平均分子量、約90℃の軟化点、及び約36℃のガラス転移温度を有する。ARKON M−100は、約810グラム/モルの数平均分子量、約100℃の軟化点、及び約45℃のガラス転移温度を有する。
【0086】
その他好適な粘着付与樹脂は、Exxon Chemicalから商品名ESCOREZで市販される。ESCOREZ 5300(例えば、ESCOREZ 5300、5320、5340、及び5380)シリーズの樹脂は、無色透明の脂環式炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されている。これらの材料は、約370グラム/モル〜約460グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約85℃〜約140℃の範囲の軟化点、及び約35℃〜約85℃の範囲のガラス転移温度を有する。ESCOREZ 5400(例えば、ESCOREZ 5400及び5415)シリーズの樹脂は、非常に明色の脂環式炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されている。これらの材料は、約400〜約430グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約103℃〜118℃の範囲の軟化点、及び約50℃〜65℃の範囲のガラス転移温度を有する。ESCOREZ 5600(例えば、ESCOREZ 5600、5615、5637、及び5690)シリーズの樹脂は、非常に明色の芳香族修飾された脂環式樹脂であると、営業用文献に記載されている。芳香族水素原子の割合は、樹脂中の全水素原子重量に基づき約6〜12重量パーセントの範囲である。これらの材料は、480グラム/モル〜520グラム/モルの範囲の重量平均分子量、約87℃〜約133℃の範囲の軟化点、及び約40℃〜78℃の範囲のガラス転移温度を有する。ESCOREZ 1300(例えば、1315、1310LC、及び1304)シリーズ樹脂は、高軟化点を有する脂肪族樹脂であると、営業用文献に記載されている。ESCOREZ 1315は、約2200グラム/モルの重量平均分子量、112℃〜118℃の範囲の軟化点、及び約60℃のガラス転移温度を有する。ESCOREZ 1310LCは、明色、約1350グラム/モルの重量平均分子量、95℃の軟化点、及び約45℃のガラス転移温度を有する。ESCOREZ 1304は、約1650グラム/モルの重量平均分子量、97℃〜103℃の範囲の軟化点、及び50℃のガラス転移温度を有する。
【0087】
更に別の好適な粘着付与樹脂は、Eastman(Kingsport,TN)から商品名REGALREZ(例えば、REGALREZ 1085、1094、1126、1139、3102、及び6108)で市販される。これらの樹脂は、水素添加芳香族の純粋モノマー炭化水素樹脂であると、営業用文献に記載されている。それらは、850グラム/モル〜3100グラム/モルの範囲の重量平均分子量、87℃〜141℃の範囲の軟化温度、及び34℃〜84℃の範囲のガラス転移温度を有する。REGALEZ 1018は、熱を発生しない用途において使用できる。この粘着付与樹脂は、約350グラム/モルの重量平均分子量、19℃の軟化点、及び22℃のガラス転移温度を有する。
【0088】
更に別の好適な粘着付与樹脂は、Cray Valley(Exton,PA)から商品名WINGTACK(例えば、WINGTACK 95及びRWT−7850)樹脂で市販される。営業用文献では、これらの粘着付与樹脂は、脂肪族C5モノマーのカチオン重合により得られる合成樹脂として記載されている。WINGTACK 95は、1700グラム/モルの重量平均分子量、98℃の軟化点、及び55℃のガラス転移温度を有する淡黄色の固体である。WINGTACK RWT−7850は、1700グラム/モルの重量平均分子量、102℃の軟化点、及び52℃のガラス転移温度を有する淡黄色の固体である。
【0089】
更により好適な粘着付与樹脂は、Eastman(Kingsport,TN)から商品名PICCOTAC(例えば、PICCOTAC 6095−E、8090−E、8095、8595、9095、及び9105で市販される)。営業用文献では、これらの樹脂は、芳香族修飾された脂肪族炭化水素樹脂、又は芳香族修飾されたC5樹脂として記載されている。PICCOTACK 6095−Eは、1700グラム/モルの重量平均分子量、及び98℃の軟化点を有する。PICCOTACK 8090−Eは、1900グラム/モルの重量平均分子量、及び92℃の軟化点を有する。PICCOTACK 8095は、2200グラム/モルの重量平均分子量、及び95℃の軟化点を有する。PICCOTAC 8595は、1700グラム/モルの重量平均分子量、及び95℃の軟化点を有する。PICCOTAC 9095は、1900グラム/モルの重量平均分子量、及び94℃の軟化点を有する。PICCOTAC 9105は、3200グラム/モルの重量平均分子量、及び105℃の軟化点を有する。
【0090】
接着剤組成物の一部は、多官能性モノマーを使用して硬化される。多官能性モノマーは、典型的には、複数の(メタ)アクリロイル基(すなわち、式HC=C(R)−(CO)−(式中、Rは水素又はメチル)の基)を有する。多官能性モノマーは、多官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリレートの両方である化合物であってよい。理論に束縛されるものではないが、多官能性モノマーは、接着剤組成物中の任意のエチレン性不飽和基と反応できる。例えば、多官能性モノマーは、末端エチレン性不飽和基を有する、その他多官能性モノマーを有する、又は両方を有するポリイソブチレン材料と反応できる。多くの接着剤組成物では、多官能性モノマーは、エチレン性不飽和基を有して存在する唯一の化合物である。すなわち、末端エチレン性不飽和基を有するポリイソブチレン材料を含まない接着剤組成物では、多官能性モノマーは他の多官能性モノマーと反応する。好適な多官能性モノマーは、ポリイソブチレン材料及び粘着付与樹脂と相溶性がある架橋材料の生成をもたらすものである。
【0091】
多官能性モノマーは、多くの場合多官能性(メタ)アクリレートである。多官能性(メタ)アクリレートは、通常、2つ、3つ、又は4つの(メタ)アクリロイル基を有する。多官能性モノマーは、任意の好適な分子量であってよく、例えば、ポリマー材料又はオリゴマー材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、2つの(メタ)アクリロイル基を有する、次式:
C=C(R)−(CO)−O−R−O−(CO)−(R)C=CH
であってよい。この式中、Rは水素又はメチルであり、Rはアルキレン、アリーレン、ヘテロアルキレン、又はこれらの組み合わせである。Rに含まれる任意のアルキレン又はヘテロアルキレンは、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってよい。ヘテロアルキレンは任意の好適なヘテロ原子を含んでよいが、多くの場合ヘテロ原子は酸素である。多くの実施形態では、多官能性(メタ)アクリレートは、少なくとも4〜40個の炭素原子、8〜40個の炭素原子、4〜30個の炭素原子、8〜30個の炭素原子、4〜20個の炭素原子、8〜20個の炭素原子、6〜18個の炭素原子、8〜18個の炭素原子、6〜16個の炭素原子、8〜16個の炭素原子、8〜14個の炭素原子、又は8〜12個の炭素原子を有するアルキレン基を持つアルキレンジ(メタ)アクリレートである。代表的なアルキレンジ(メタ)アクリレートとして、トリシクロデカン(tricylcodecane)ジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、又は水素添加ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヘテロアルキレンジ(メタ)アクリレートとして、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えばSartomer(Exton,PA)から商品名SR210(約200グラム/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールに基づく)、SR252(約400グラム/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールに基づく)、及びSR603(約600グラム/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールに基づく)で市販されるものが挙げられるが、これらに限定されない。好適な3つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能性(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なオリゴマー材料として、ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
多官能性モノマーは、典型的には、接着剤層の総固体含量に基づき30重量パーセント以下の量で存在する。(メタ)アクリレート材料の量が約30重量パーセントを超える場合、接着剤層の可撓性が不足することがある。多官能性モノマーは、多くの場合、接着剤層の総固体含量に基づき25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、5重量パーセント以下、4重量パーセント以下、3重量パーセント以下、又は2重量パーセント以下の量で存在する。より具体的には、多官能性モノマーは、接着剤層の総固体含量に基づき0〜30重量パーセントの範囲、0.1〜20重量パーセントの範囲、0.1〜10重量パーセントの範囲、0.2〜6重量パーセントの範囲、0.1〜4重量パーセントの範囲、0.1〜2重量パーセントの範囲、又は0〜4重量パーセントの範囲の量で存在してよい。
【0093】
多官能性モノマーを添加すると、接着剤層の結合力の上昇をもたらす傾向がある。接着剤組成物のガラス転移温度は、硬化により上昇する傾向がある。更に、ポリイソブチレン及び粘着付与樹脂の混和性、つまり相溶性は、多官能性モノマーの添加により改善され得る。
【0094】
多官能性モノマーが接着剤組成物に含まれるとき、典型的には、様々なエチレン性不飽和基を反応させる手段が追加される。いくつかの実施形態では、電子ビーム又はガンマ線の存在下で硬化反応が起こり得る。別の実施形態では、反応開始剤を添加して様々なエチレン性不飽和基を反応させてよい。反応開始剤は、熱反応開始剤又は光開始剤であってよい。熱反応開始剤は、多くの場合、接着剤組成物の総固体含量に基づき0.01〜5重量パーセント、0.01〜2重量パーセント、0.01〜1重量パーセント、又は0.01〜0.5重量パーセントの濃度で使用する。光開始剤は、多くの場合、接着剤組成物の総固体含量に基づき0.01〜10重量パーセント、0.01〜5重量パーセント、0.01〜2重量パーセント、0.01〜1重量パーセント、又は0.01〜0.5重量パーセントの濃度で使用する。
【0095】
熱反応開始剤は、多くの場合、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、又はアゾ化合物である。代表的なペルオキシドとして、過酸化ベンゾイル、ジクミルペルオキシド、p−ジイソプロピルベンゼン(diisoprpylbenzene)ジヒドロペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(第三ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(tirmethylcyclohexane)、1,1−ジ(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(第三アミルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ラウリルペルオキシド、及びジラウロイルペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロペルオキシドとしては、tert−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアゾ化合物として、DuPont(Wilmington,DE)から商品名VAZO 67で市販されている2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、DuPontからVAZO 64として市販されている2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、及びDuPontからVAZO 52として市販されている2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)が挙げられるが、これらに限定されない。反応開始剤は、典型的には、重合性組成物中の重合性物質の総重量に基づいて、0.01〜5重量パーセントの範囲、0.01〜2重量パーセントの範囲、0.01〜1重量パーセントの範囲又は0.01〜0.5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0096】
熱反応開始剤が使用される場合、裏材層又はその他支持表面上に接着剤組成物の層が形成された後、接着剤組成物は典型的には加熱される。接着剤組成物の硬化に好適な任意の温度を使用してよい。例えば、接着剤層を、最大200℃、最大175℃、最大150℃、最大125℃、最大100℃、最大90℃、又は最大80℃の温度で加熱してよい。ある温度に曝す時間が長くなる場合、多くの場合は温度を下げることができる。
【0097】
紫外線領域において好適な光開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びアニソインメチルエーテルなどの置換ベンゾインアルキルエーテル)、フェノン(例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノンなどの置換アセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトール)、ホスフィンオキシド、ポリマー光開始剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
市販の光開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名DAROCUR 1173で市販される)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名DAROCUR TPOで市販される)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名DAROCUR 4265で市販される)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 651で市販される)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 1800で市販される)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドとの混合物(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 1700で市販される)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 907で市販される)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 184で市販される)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 369で市販される)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから商品名IRGACURE 819で市販される)、エチル2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート(例えば、BASF(Charlotte,NC)から商品名LUCIRIN TPO−Lで市販される)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF(Charlotte,NC)から商品名LUCIRIN TPOで市販される)、及びオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(propaneone)](Lamberti S.P.A.Chemical Specialties(Italy)から商品名ESACURE ONEで市販される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
光開始剤が使用される場合、裏材層又はその他支持表面上に接着剤組成物の層が形成された後、接着剤組成物は典型的には化学線に曝露される。光開始剤は、多くの場合、異なる波長の化学線に反応するように選択されてよい。化学線は、多くの場合、電磁スペクトルの紫外線領域における光波長を含む。上記の光開始剤の多くは、紫外線で使用するのに好適である。
【0100】
接着剤組成物は、柔軟化剤などのその他任意の添加剤を含んでよい。柔軟化剤を使用して、例えば、粘度の調節、加工性の改善(例えば、押出成形に好適な接着剤組成物の作製)、低温での接着性増加をもたらすガラス転移温度の低下、又は結合力と接着強度との間のバランスの調整を行うことができる。多くの場合、低い揮発性を有し、電磁スペクトルの可視領域で透明であり、並びに色及び/若しくは臭いがない又は実質的に色及び/若しくは臭いがないように、柔軟化剤を選択する。任意の柔軟化剤が接着剤組成物に含まれる場合、典型的には、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下、又は5重量パーセント以下の量で存在する。
【0101】
多くの接着剤組成物に好適な柔軟化剤として、芳香族類(例えば、ナフタレン類)又はパラフィン類などの石油系炭化水素、液状ポリブチレン樹脂又は水素添加液状ポリイソプレンなどの液状ゴム又はそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリブチレン樹脂は、INEOS Oligomers(League City,TX)から商品名INDOPOLで、及びLIPO Chemicals,Inc.(Paterson,NJ)から商品名PANALANE(例えば、PANALANE H300E)で市販される。柔軟化剤が添加される実施形態では、1つの柔軟化剤、又は柔軟化剤の組み合わせが接着剤組成物に含まれてよい。
【0102】
その他任意の添加剤として、例えば、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール、オキサゾール酸(oxazolic acid)アミド、ベンゾフェノン、又はこれらの誘導体)、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン又はその誘導体、イミダゾール又はその誘導体、リン系安定剤、及びイオウエステル系安定剤)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール化合物、リン酸エステル、又はこれらの誘導体)を挙げることができる。これら任意の添加剤、及びこれら任意の添加剤の量は、典型的には、添加剤が接着剤組成物のその他所望の特性を損なわないように選択される。各種任意の添加剤は、典型的には、接着剤組成物の固体総重量に基づき5重量パーセント以下、3重量パーセント以下、2重量パーセント以下、1重量パーセント以下、0.5重量パーセント以下、0.3重量パーセント以下、0.2重量パーセント以下、又は0.1重量パーセント以下の量で存在する。
【0103】
接着剤組成物は更に溶媒を含んでよい。溶媒は、好ましくは、接着剤組成物の成分と反応しないものである。好適な溶媒は、ポリイソブチレン材料、粘着付与樹脂、又はこの両方の溶解性に基づいて通常は選択される。溶媒は、例えば、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン及びトルエン)又はアルカンなどの脂肪族溶媒(例えば、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン)、又はこれらの組み合わせであってよい。存在する場合、溶媒は任意の量で使用してよい。溶媒は、多くの場合、粘度を低下させるのに十分な量で添加され、裏材層、つまり支持層の表面のコーティング層として適用できる接着剤組成物を提供する。典型的には、溶媒の大部分はコーティング層から除去されるため、典型的には余剰の溶媒を避ける。溶媒は、多くの場合、接着剤組成物の総重量に基づき40重量パーセント以下、30重量パーセント以下、25重量パーセント以下、20重量パーセント以下、15重量パーセント以下、10重量パーセント以下の量で接着剤組成物中に存在する。
【0104】
任意の好適な方法を使用して、接着剤組成物から感圧性接着剤層を調製できる。例えば、接着剤組成物を、剥離ライナーのような支持層にコーティングすること、裏材層に直接コーティングすること、又は裏材層と共押出成形することができる。いくつかの実施形態では、接着剤層は2つの剥離ライナーの間に配置されてから、裏材層に積層される。裏材層の調製に使用するものとして説明したのと同じタイプの剥離ライナーの多くが、接着剤層の作製に使用され得る。
【0105】
接着剤層を硬化する場合、硬化反応は、多くの場合、接着剤層が形成された後に起こる。例えば、接着剤層を形成し、続いて、存在する可能性がある任意の溶媒を加熱して除去し、熱反応開始剤の存在下で高分子材料を硬化することができる。すなわち、熱反応開始剤を使用するとき、多くの場合、硬化反応と同時に溶媒を除去することができる。しかし、ペルオキシド化合物を熱反応開始剤として使用する場合、溶媒は、典型的には最初の温度で除去され、続いて硬化のために温度を上昇される。光開始剤が使用される場合、溶媒が存在しない限り加熱工程は含まれない。溶媒除去を行わずに接着剤層が形成され、続いて化学線に曝露することができる。溶媒がある程度含まれている場合、接着剤層を形成し、加熱して少なくとも大部分の溶媒を除去し、続いて化学線に曝露してよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、接着剤層の一方又は両方の主面に、微細構造化表面を付与することが望ましい場合もある。接着剤の少なくとも一表面に微細化構造表面を持たせることにより、積層の際の空気排出を助けることが望ましい場合がある。接着剤フィルムの一方又は両方の表面上に、微細構造化表面を有することが望ましい場合、接着剤コーティング又はフィルムを、微細構造の特徴を有するツール又はライナー上に載置してもよい。次いで、ライナー又はツールを取り除いて、微細構造化表面を有する接着剤フィルムを露出させてもよい。光学的用途では、多くの場合、光学的特性との干渉を防ぐため、微細構造は時間と共に消失することが望ましい。
【0107】
任意の好適な厚さを、1つ又は複数の感圧性接着剤層に使用することができる。多くの実施形態において、それぞれの感圧性接着剤層は、20ミル(500マイクロメートル)以下、10ミル(250マイクロメートル)以下、5ミル(125マイクロメートル)以下、4ミル(100マイクロメートル)以下、3ミル(75マイクロメートル)以下、又は2ミル(50マイクロメートル)以下の厚さを有する。感圧性接着剤層の厚さは、多くの場合、少なくとも0.5ミル(12.5マイクロメートル)又は少なくとも1ミル(25マイクロメートル)である。例えば、感圧性接着剤層の厚さは、0.5ミル(2.5マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、0.5ミル(5マイクロメートル)〜10ミル(250マイクロメートル)の範囲、0.5ミル(12.5マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜5ミル(125マイクロメートル)の範囲、1ミル(25マイクロメートル)〜3ミル(75マイクロメートル)の範囲、又は1ミル(25マイクロメートル)〜2ミル(50マイクロメートル)の範囲であってよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、接着テープは裏材層に直接的に又は間接的に接着された単一の感圧性接着剤層を有する。他の実施形態では、接着テープは裏材層の第1の主面に直接的に又は間接的に接着された第1の感圧性接着剤層と、裏材層の第2の主面に直接的に又は間接的に接着された第2の感圧性接着剤層とを有する。2つの感圧性接着剤層があるとき、これら2つの層は同じであっても異なっていてもよい。多くの場合、第1の感圧性接着剤層の接着強度が第2の感圧性接着剤層の接着強度とは異なるように、組成物が選択される。
【0109】
裏材層及び少なくとも1つの感圧性接着剤層を含有する接着テープは、任意の好適な方法で形成できる。多くの実施形態において、裏材層は、感圧接着剤層と別に調製される。裏材層の調製後、少なくとも1つの、別に形成された感圧性接着剤層を、裏材層の主表面に積層することができる。多くの場合、第1の感圧性接着剤層は裏材層の第1の主表面に積層され、第2の感圧性接着剤層は裏材層の第2の主表面(すなわち、第1の主表面の反対側)に積層される。
【0110】
他の実施形態では、裏材層を形成してから、先に調製された裏材層の少なくとも1つの表面に第1の感圧性接着剤層を適用する。すなわち、裏材層は、第1の感圧性接着剤層の付着のための支持体として機能する。コーティング又は押出成形のような、任意の付着方法を使用することができる。2つの感圧性接着剤層を接着テープが有する場合は、別に形成された第2の感圧性接着剤層の積層によって、第2の感圧性接着剤層を、裏材層のもう一方の主面(すなわち、第2の主面)に隣接させて位置付けることができる。あるいは、第2の感圧性接着剤組成物を裏材層のもう一方の主面にコーティングすること又は押出成形することができる。この代替実施形態では、第1の感圧性接着剤層は、多くの場合、第1の剥離ライナーに隣接して位置付けられる。
【0111】
2つの接着剤層を伴う接着テープを作製する別の例では、剥離ライナーに配置された2つの接着剤層の間に裏材層を鋳造することができる。すなわち、第1の感圧性接着剤層を第1の剥離ライナー上に調製することができ、第2の感圧性接着剤層を第2の剥離ライナー上に調製することができ、ポリ(アルキレン)コポリマーをこれら2つの接着剤層の間に鋳造することができる。熱いポリ(アルキレン)コポリマー押出品を、第1の接着剤層及び第2の接着剤層に積層することができる。ブロッキング剤又はスリップ剤は必要ない。その結果得られる構成体は、次の層:第1の剥離ライナー−第1の接着剤層−裏材層−第2の接着剤層−第2の剥離ライナー、を有することができる。
【0112】
更に別の方法では、裏材層及び感圧性接着剤層(接着剤層が1つ又は2つ望まれるかどうかによって、1つ又は2つ)を2つのライナーの間に押出成形することができる。あるいはまた、剥離ライナーを共押出成形してもよい。2つの剥離ライナーの使用を伴うこれらの方法のほとんどにおいて、抗ブロッキング剤及びスリップ剤のような添加剤は必要ない。光学的透明性を提供又は維持するために想定され得る、任意の他の方法もまた使用することができる。
【0113】
別の態様では、物品を提供する。第1の実施形態では、物品は、第1の基材と、第1の基材に接着された接着テープと、を含む。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主面に隣接する第1の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材を越えて延在するツメと、を含む。接着テープは、上述したものと同じである。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から接着テープが剥離される。接着テープは、ツメが引かれたとき、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。物品のこの実施形態では、第1の感圧性接着剤層は第1の基材と裏材層との間に位置付けられ、感圧性接着剤層は第1の基材及び裏材層の両方に直接的に又は間接的に接着される。
【0114】
第2の実施形態では、物品は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられた接着テープと、を含む。接着テープは、第1の基材を第2の基材に連結する。接着テープは、(A)裏材層と、(B)裏材層の第1の主面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材の少なくとも1つを越えて延在するツメと、を含み、ツメは裏材層の部分であるか、又は裏材層に付着される。接着テープは、上述したものと同じである。ツメを引くことによって接着テープが引き伸ばされ、第1の基材から、又は第2の基材から、又は第1の基材及び第2の基材の両方から、接着テープが剥離される。接着テープは、ツメが引かれたとき、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。物品のこの実施形態では、第1の感圧性接着剤層は第1の基材と裏材層との間に位置付けられ、第1の感圧性接着剤層は第1の基材及び裏材層の両方に直接的に又は間接的に接着される。加えて、第2の感圧性接着剤層は第2の基材と裏材層との間に位置付けられ、第2の感圧性接着剤層は第2の基材及び裏材層の両方に直接的に又は間接的に接着される。
【0115】
2つの基材を接着テープで連結する工程は、それぞれの接着剤層に隣接する剥離ライナーを含む形態で接着テープを提供することを含み得る。すなわち、接着テープは、第1の剥離ライナー−第1の接着剤層−裏材層−第2の接着剤層−第2の剥離ライナーという順序で配列された層の構成体として提供され得る。第1の剥離ライナーを取り除いて、第1の接着剤層を曝露することができる。次に、曝露された第1の接着剤層を第1の基材に隣接させて位置付け、第1の基材に直接的に又は間接的に接着することができる。次に、第2の剥離ライナーを取り除いて、第2の接着剤層を曝露することができる。次に、曝露された第2の接着剤層を第2の基材に隣接させて位置付け、第2の基材に直接的に又は間接的に接着することができる。多くの場合、一方が他方からより容易に取り除かれるように、異なる剥離ライナーが使用される。
【0116】
任意の好適な基材を、それぞれの感圧性接着剤層に接着することができる。基材は、任意の望まれる機能を提供することができ、任意の好適な材料から形成することができ、かつ任意の望まれる可撓性、サイズ、形状、厚さ、又はアスペクト比を有することができる。基材は単層であってもよく、支持層、プライマー層、ハードコート層(例えばアクリル系又はポリウレタン)、装飾デザインなどのような材料の多重層を含んでもよい。一方の基材又は両方の基材が、別の物品の外側の表面の層であってもよい。一方の基材又は両方の基材が、高分子材料、ガラス材料、セラミック材料、金属含有材料(例えば、金属、金属酸化物、金属合金、又は有機金属化合物)、又はこれらの組み合わせのような任意の好適な材料を含有することができる。
【0117】
基材に使用される代表的な金属、金属酸化物、又は金属合金は、インジウムスズ酸化物、チタン、ニッケル、スチール、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、銀、金、プラチナ、鉛などを含有することができる。基材に使用される代表的な高分子材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリプロピレン、又はポリノルボルネンのようなポリ(環式オレフィン)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、セルローストリアセテート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エポキシ、ナイロンなどが挙げられる。
【0118】
いくつかの物品では、接着テープへの取り付けに先立ち、基材をプライミング処理する。任意の好適なプライミング処理を使用することができる。ポリマー基材に対しては、裏材層で使用するものとして上述したプライミング処理を使用することができる。様々な既知の化学的プライミング処理を他の基材に対して使用することができる。
【0119】
物品のいくつかの実施形態では、第2の基材が第1の基材及び第2の基材の両方を通して見えるように、光学的に透明な接着テープを第1の基材と第2の基材との間に位置付けることができる。すなわち、2つの基材間に位置付けられた接着テープの領域は、光学的に透明である。第2の基材は、好ましくは、第1の基材及び引き伸ばし剥離可能な接着テープの両方を通して、歪みなく見ることができる。第2の基材及び第1の基材は、例えば、光学的に連結され得る。本明細書で使用される用語「光学的に連結される」とは、第1の基材と第2の基材との間のあらゆる空隙が除去されることを意味する。空隙は、基材間の屈折率の不一致をもたらす場合がある。基材の光学的連結は、多くの場合、輝度の強化及びコントラストの強化をもたらす。更に、基材の連結は、構造的支持の増加を提供することができる。
【0120】
各基材は、例えば、可撓性、剛性、強度又は支持、伝導性又は絶縁性、反射率、抗反射率、偏光、又は透過率(例えば、異なる波長に対して選択的)を提供するような種々の機能を有してもよい。すなわち、基材は可撓性又は剛性であり得、反射性又は非反射性であり得、視覚的に透明、着色しているが透過性、又は不透明(例えば、非透過性)であり得、及び偏光性又は非偏光性であり得る。結果的に得られる物品は、光学素子であってよく、又は光学素子を調製するために使用されてもよい。本明細書で使用される用語「光学素子」とは、光学的効果又は光学的用途を有する物品又は構成要素を指す。光学素子は、例えば、電子ディスプレイ投射装置又はアプリケーション、フォトニクス装置又はアプリケーション、及びグラフィック装置又はアプリケーションに使用することができる。
【0121】
これらの装置又はアプリケーションのいくつかでは、第1の基材及び第2の基材のうちの少なくとも1つは、ディスプレイ(例えば、電子ディスプレイ)、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム、又は多層光学フィルムの外側層から選択される。代表的な基材としては、液晶ディスプレイ、エレクトロウェッティングディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極線管、又はタッチセンサーの外側層が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
より具体的には、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に位置付けられた引き伸ばし剥離可能な接着テープと、を含む物品が提供される。第1の基材及び第2の基材のうちの少なくとも1つは、ディスプレイ、偏光器、タッチパネル、レンズ、リフレクター、回折格子、鏡、投射プリズム、又は多層光学フィルムから選択される。引き伸ばし剥離可能な接着テープは光学的に透明であり、第1の基材を第2の基材に連結する。引き伸ばし剥離可能な接着テープは、(A)ポリ(アルキレン)コポリマーを含有する裏材層と、(B)裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層であって、各感圧性接着剤層がポリイソブチレン材料を含む第1及び第2の感圧性接着剤層と、(C)第1の基材及び第2の基材のうちの少なくとも1つを越えて延在するツメと、を含む。接着テープは、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である。例えば、接着テープの長さは、破断せずに少なくとも50パーセント増加することができる。
【0123】
いくつかの用途では、第1の基材は、情報ディスプレイ装置の部分である第2の基材に連結された保護層である。保護層は、保護フィルム、ガラスの層、ポリカーボネートの層などであってよい。保護層は、例えば、情報ディスプレイ装置のカバーレンズとして機能することができる。情報ディスプレイ装置の例としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロント及びリアプロジェクションディスプレイ、陰極線管及び看板を含む、広範な表示域構成を有する装置が挙げられる。このような表示域構成を、携帯情報端末、携帯電話、タッチスクリーン、腕時計、カーナビゲーションシステム、グローバルポジショニングシステム、測深器、計算機、電子書籍、CD又はDVDプレーヤー、投射型テレビスクリーン、コンピュータモニタ、ノートパソコンのディスプレイ、計器、計器パネルカバー、又はグラフィックディスプレイのような看板等を含む、種々の持ち運び可能な及び持ち運びできない情報ディスプレイ装置で使用することができる。いくつかの用途では、全ての空隙が除去された剛性カバーとディスプレイ画面との間の固着は、表示される画像の質を向上させることができる。
【0124】
いくつかの特定の用途では、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープは、情報ディスプレイ装置と、ガラス又はポリカーボネートで調製されたカバーレンズとを連結することができる。すなわち、物品は、次の構成体を有することができる:カバーレンズ−光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−情報ディスプレイ装置。より具体的には、物品は、カバーレンズ−第1の光学的に透明な接着剤層−裏材層−第2の光学的に透明な接着剤層−情報ディスプレイ装置の順序で配列され得る。情報ディスプレイ装置は、カバーレンズと、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープとの両方を通して見ることによって目視できる。例えば、第1の基材がカバーレンズであり、第2の基材が液晶ディスプレイである場合がある。液晶ディスプレイの外側表面は、多くの場合、偏光器である。他の例では、第1の基材がカバーレンズであり、第2の基材が、主にガラスである外側表面を伴うエレクトロウェッティングディスプレイである場合がある。
【0125】
光学的に透明な接着テープを使用して、2つより多くの基材を1つに連結することができる。すなわち、物品は、2つより多くの基材及び2つ以上の光学的に透明な接着テープを含むことができる。例えば、物品は、第1の基材−第1の光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第2の基材−第2の光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第3の基材という順序で配列され得る。より具体的には、物品は、第1の基材−第1の光学的に透明な接着剤層−第1の裏材層−第2の光学的に透明な接着剤層−第2の基材−第3の光学的に透明な接着剤層−第2の裏材層−第4の光学的に透明な接着剤層−第3の基材という順序で配列されることになる。第3の基材は、第1の基材、第1の光学的に透明な接着剤層、第2の基材、及び第2の光学的に透明な接着剤層を通して見ることによって目視することができる。例えば、第1の基材はカバーレンズである場合があり、第2の基材はタッチパネルである場合があり、第3の基材は液晶ディスプレイのような情報ディスプレイ装置である場合がある。タッチパネルは、多くの場合、ガラス、ポリエステル、又はインジウムスズ酸化物の外側表面を有する。
【0126】
あるいは、光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用して2つの基材を1つに連結し、別の光学的に透明な接着剤を使用して追加的な基材を接合することができる。例えば、物品は、第1の基材−光学的に透明な接着剤−第2の基材−光学的に透明な、引き伸ばし剥離可能な接着テープ−第3の基材という順序で配列され得る。具体的な例として、第1の基材はカバーレンズである場合があり、第2の基材はタッチパネルである場合があり、第3の基材は液晶ディスプレイのような情報ディスプレイ装置である場合がある。この実施形態は、情報ディスプレイ装置をほかの物品に連結するためだけに、引き伸ばし剥離可能な接着テープを使用する。より安価な構成要素は、引き伸ばし剥離可能でない接着剤を使用して連結することができる。
【0127】
他の用途では、基材の少なくとも1つは光学フィルムである。任意の好適な光学フィルムを物品に使用することができる。本明細書で使用するとき、用語「光学フィルム」は、光学的効果を生み出すために使用できるフィルムを指す。光学フィルムは、典型的には、単層又は複層であり得る、ポリマー含有フィルムである。いくつかの光学フィルムは、異なる屈折率を有するポリマー材質を交互に重ねた層を有する。他の光学フィルムは、ポリマー層と金属含有層とを交互に重ねた層を有する。光学フィルムは可撓性であり、好適な任意の厚さにすることができる。光学フィルムは、多くの場合、電磁スペクトルの一部の波長(例えば、電磁スペクトルの可視紫外線範囲、赤外線範囲の波長、又は無線周波数範囲)に対して、少なくとも部分的に透過性、反射性、反射防止性、偏光性、光学的に透明、又は拡散性である。代表的な光学フィルムには、可視光鏡面フィルム、カラー鏡面フィルム、太陽光反射フィルム、赤外線反射フィルム、紫外線反射フィルム、反射偏光フィルム(輝度上昇フィルム及びデュアル輝度上昇フィルムを含む)、吸収性偏光フィルム、光学的に透明なフィルム、色付きフィルム、及び反射防止性フィルムが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な光学フィルムについては、米国特許第6,049,419号(Wheatleyら)、同第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,049,419号(Wheatleyら)、同RE第34,605号(Schrenkら)、同第5,579,162号(Bjornardら)、及び同第5,360,659号(Arendsら)に更に説明されている。
【0128】
引き伸ばし剥離可能な接着テープと連結された2つの基材を含む物品は、耐久性であってよい。本明細書で使用するとき、用語「耐久性である」とは、物品を高い温度(例えば、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、又は少なくとも85℃)及び湿度条件(例えば、少なくとも70パーセントの相対湿度、少なくとも75パーセントの相対湿度、少なくとも80パーセントの相対湿度、少なくとも85パーセントの相対湿度、又は少なくとも90パーセントの相対湿度)に層間剥離なく曝すことができることを意味する。高い温度及び相対湿度の条件を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、又は少なくとも7日間、維持することができる。例えば、物品を、60℃及び90パーセントの相対湿度、又は85℃及び85パーセントの相対湿度のような条件に、層間剥離なく1週間曝すことができる。接着テープが光学的に透明な多くの実施形態では、接着テープは、高い温度及び湿度条件に曝露された後でさえ光学的に透明に維持される。例えば、曇りは5以下に維持することができ、視感透過率は少なくとも90パーセントであってよい。好ましくは、高い温度及び湿度条件に曝されることにより物品内に気泡は形成されず、光学的歪みも生じない。
【0129】
別の言い方をすれば、感圧性接着剤層は、典型的に、残留物をほとんど又は全く残さずに取り除く(剥離する)ことができる。接着剤層の取り除きの後、基材に接着剤はないか又は実質的にない。例えば、接着剤層は、ガラス基材に少なくとも1週間又は少なくとも4週間のような長期間にわたって接着された後に、ガラス基材に接着剤がないか(すなわち接着剤残留物がない)又は実質的にない(すなわち接着剤残留物がほとんどない)ように取り除くことができる。
【0130】
加えて、接着テープ又は感圧性接着剤層は、好ましくは、高い温度及び湿度条件に曝露されたときに黄変しない。すなわち、接着テープは、長期間にわたって紫外線に対する抵抗性を有することができる。なお更に、接着テープは、湿気に曝露される条件下で使用することができる。接着剤は、多くの場合、屋内及び屋外両方の用途に使用することができる。
【0131】
なお更に、接着テープは、高い湿度条件下で使用することができる。言い換えれば、ポリイソブチレン材料を含む接着剤組成物は、水分保護層として機能することができる。接着テープは、高い湿度条件下で透明のままである傾向と、接着特性を保持する傾向がある。接着剤層は通常、ガス放出傾向がある基材に隣接して配置できる。ポリカーボネート又はポリ(メタ)アクリレートなどの基材は、厚さが約1ミリメートル超、約2ミリメートル超、約5ミリメートル超、又は約10ミリメートル超であるとき、ガス放出傾向がある。不相溶性の接着剤層が基材に隣接するとき、ガス放出基材は、安定性、透明性、固着強度、又はその他所望の性能特性に悪影響を及ぼし得る。ガス放出基材に隣接して不相溶性の接着剤層を適用すると、気泡などの欠陥の原因となり得、又は接着剤層と基材の部分的若しくは完全な層間剥離の原因となり得る。本明細書に記載の、ポリイソブチレン材料を含むが、粘着付与樹脂を少量含む又は含まない接着剤層は、典型的には、ガス放出基材に隣接して配置した際の、気泡の形成や層間剥離がない。
【0132】
接着剤層は通常、カルボキシ基(すなわち、−COOH)などの酸性基を含まないか又は実質的に含まないように処方される。接着剤組成物は酸性基なしに処方できるため、酸性物質の存在に感受性のある表面に隣接して接着剤層を配置できる。例えば、酸化インジウムスズなどの電極材料又は他の金属含有材料に接触して接着剤層を配置できる。
【0133】
両面接着テープは、2つの基材に接着した後に(すなわち、接着テープは2つの基材間に位置付けることができる)、接着テープの裏材層及び接着剤層を引き伸ばすことによって、一方又は両方の基材から剥離することができる。剥離された後、接着テープを2つの基材の間から取り除き、基材を互いに分離することができる。接着テープは、第2の感圧性接着剤を第2の基材から完全に剥離する前に、第1の感圧性接着剤層を第1の基材から剥離できるように構成することができる。すなわち、接着テープは、第1の基材から、及び第2の基材からの制御された順序の剥離を提供するように構成することができる。これは、多くの場合、第1の感圧性接着剤と第2の感圧性接着剤の層の組成物を変化させることによって達成することができる。あるいは、これは、米国特許第6,001,471号(Briesら)に記載されているように、感圧性接着剤層の1つに非接着域を有することによって達成することができる。
【0134】
接着テープは、2つの基材の連結に欠陥がある場合に、引き伸ばしによって剥離することができる。製作中の欠陥は、2つの基材の不整合、2つの基材間への気泡の入り込み、又は模様若しくは皺の形成の結果である場合がある。あるいは、基材は、基材のうち少なくとも1つを再使用できるように分離することができる。典型的に、引き伸ばし剥離接着テープは、基材間から、視認できる接着剤残留物をどちらの基材にも残さず又はほとんど残さずに、きれいに取り除くことができる。加えて、引き伸ばし剥離接着テープは、通常、いずれの基材の外観、機能、又は性能も損なわずに取り除くことができる。接着テープは引き伸ばしによって取り除くことができるが、接着テープは、引き伸ばされるまでは高荷重のせん断粘着力を提供することができる。
【0135】
また、装置の耐用期間にわたって、交換又はリサイクルのために基材のうちの1つを取り除くことが望まれる場合は、基材間の接着テープを引き伸ばし剥離することによって2つの基材を分離することができる。それらの基材は、いずれの基材も損なわずに分離することができる。これは、基材の一方又は両方を損なう場合のある応力レベルを典型的に導入する他の多くの分離方法に勝る利点である。そのような分離は、多くの既知の感圧性接着剤では非常に困難である場合がある。
【0136】
いくつかの用途では、引き伸ばし剥離プロセスを助けるために巻き取り用具を使用して、2つの基材間からの接着テープの取り除きを促進することが望ましい場合がある。そのような巻き取り用具は、接着テープのツメを付着させる円筒のような、ごく単純なものである場合がある。巻き取り用具を回転させ、接着テープが引き伸ばされるにつれて巻き取られるようにすることができる。そのようなプロセスでは、十分な幅の電動ローラーを使用して機械化することにより、ツメの全幅を同時にかつ滑らかに引いて、ゼロ度剥離によって基材から接着テープを取り除くことができる。機械化された装置により接着テープに付加される応力及びひずみ率を制御することによって、裏材層を引き裂かずに、かつ基材に接着剤残留物を一切残さずに、接着テープを剥離及び取り除くことができる。機械化のアプローチは、大型の電子ディスプレイ又はグラフィックのような大きい基材を分離する場合に特に有利であろう。真空操作装置を使用して、分離する工程中の基材を持ち上げ、支持することができる。真空操作用具で基材を固定することにより、2つの基材間からの接着テープの剥離及び取り除きを阻止又は妨害し得る追加的な圧縮力を接着テープに与えずに基材を固定することができるまた、真空操作用具を使用して、接着テープの取り除き後に損傷なく基材を回収することができる。
【実施例】
【0137】
これらの実施例は、例示のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。別段の記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、及び比率は全て、重量に基づく。使用した溶媒及びその他の試薬は、別段の記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0138】
材料
pBDAは、San Ester Corporation(New York,NY)から入手できるポリブタジエンジアクリレートを指す。
【0139】
ESCOREZ 5340は、ExxonMobil Chemical(Houston,TX)から入手できる脂環式炭化水素粘着付与樹脂の商品名である。
【0140】
BPは、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手できるベンゾフェノンを指す。
【0141】
BPOは、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手できるベンゾイルペルオキシドを指す。
【0142】
IRGANOX 1010は、Ciba−Geigy(Hawthorne,NY)から市販されるテトラキス−(メチレン−(3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロシンナメート))メタンの商品名である。この化合物は酸化防止剤として使用する。
【0143】
UVINOL D50は、BASF(Ludwigshafen,Germany)から市販される2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンを指す。この化合物はUV吸収剤として使用する。
【0144】
EXACT 5181は、ExxonMobil(Houston,TX)から入手できる、メルトインデックスが1.1グラム/10分であり、密度が0.87グラム/立法センチメートルであるエチレン−オクテンコポリマーの商品名である。
【0145】
EXACT 8210は、ExxonMobil(Houston,TX)から入手できる、メルトインデックスが10グラム/10分であり、密度が0.882グラム/立法センチメートルであるエチレン−オクテンコポリマーの商品名である。
【0146】
PETは、厚さが2ミル(50マイクロメートル)(1ミルは0.001インチ(0.025ミリメートル)と等しい)のポリエチレンテレフタレートフィルムを指し、3M(St.Paul,MN)から商品名SCOTCHPARで市販されている。
【0147】
商品名OPPANOL B15、OPPANOL B30、OPPANOL B50、OPPANOL B80、及びOPPANOL B100のポリイソブチレン(PIB)は、BASF Corporation(Florham Park,NJ)から入手した。B15と称するOPPANOL B15は、約75,000グラム/モルの数平均分子量、及び255,000グラム/モルの重量平均分子量を有する。B30と称するOPPANOL B30は、約73,000グラム/モルの数平均分子量を有する。B50と称するOPPANOL B50は、約120,000グラム/モルの数平均分子量を有する。B80と称するOPPANOL B80は、約200,000グラム/モルの数平均分子量を有する。
【0148】
Aldrich−1は、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)から入手した1,000,000グラム/モルの重量平均分子量を有するポリイソブチレンホモポリマーを指す。
【0149】
Aldrich−2は、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)から入手した4,200,000グラム/モルの重量平均分子量を有するポリイソブチレンホモポリマーを指す。
【0150】
試験方法
引き伸ばし剥離応力測定
二重コーティングした接着テープストリップ(1.25cm×2.5cm)を2枚のガラス製顕微鏡スライド(7.6cm×3.80cm)の間に配置し、このアセンブリの一方の末端から突出した25mmのツメを残した。このアセンブリを4.5kgのローラーで2回加圧し、スライドに接着剤ストリップをしっかりと固着させた。ガラススライドを下位(固定)のつかみ具で把持し、ツメを上位(クロスヘッド)のつかみ具でクランプするように、アセンブリを引張り試験機(Instron Co(Canton,MA)のINSTRON Model 4501)に装着した。つかみ具を30.5cm/分の速度で分離し、引き伸ばしにより剥離を生じるのに必要な平均力(剥離応力、N/cm2で表す)を記録した。接着テープが2つの基材のうちの1つからきれいに取り除かれたことを示す「はい」又は相当量の残留物が剥がされた基材上に残ったことを示す「いいえ」のいずれかで結果を特徴づけた。
【0151】
曇り及び視感透過率
曇り及び視感透過率を、BYK Gardner(Columbia,Md.)のGardner BYK Color TCS Plusモデル8870光分析装置を使用して、ASTM 1003−07に記述されている方法に従って測定した。CIE標準発光体Aを使用した。曇りパーセント及び視感透過率パーセントを記録した。
【0152】
裏材層の調製:
裏材層を、0.75インチ(1.91cm)のC.W.Brabender Instruments Inc.(So.Hackensack,NJ)から市販される、混合スクリュー付きBRABENDER実験室用押出成形機モデルD−5で調製した。裏材樹脂を溶融及び混合した後、押出物を6インチ(15.2cm)のフラット型キャスト用押出ダイに押し通し、フィルムを形成した。押出成形機内の温度は、それぞれ160℃(ゾーン1)、180℃(ゾーン2)、190℃(ゾーン3)、190℃(アダプター)、及び190℃(ダイ)であった。続いて、押し出されたフィルムを、2枚のPETフィルム間に鋳造した。得られたラミネート(PET/押出フィルム/PET)を冷硬ロールスタックに通して、樹脂コポリマーを冷却及び固化した。ラインスピードを調製し、所望の厚さを有する固化フィルムを製造した。PSA層に積層する前に、エアコロナ処理装置モデルBD−20(Electronic Products,Inc.(Chicago,IL))を使用して裏材層を前処理した。PSA層の積層直前に、0.5平方フィート/分(0.046平方m/分)の速度でフィルムの各面をコロナ処理にかけた。
【0153】
(実施例1〜31)
PIBのみ、又はPIBと粘着付与剤の混合物を、表1の2列目に定める比率で調製した。固体パーセントを表1の3列目に示す。接着剤組成物のその他成分は表1の5〜9列目に示す。各接着剤組成物を、シリコーン処理済みPET剥離ライナー(CP Films(St.Louis,MO)のCLEARSIL T50)上にコーティングした。このコーティングしたサンプルを、50分間70℃のオーブン内で乾燥し、試験前に周囲温度で一晩放置した。熱硬化については、サンプルを150℃のオーブン内に5分間置いた。UV硬化については、総線量500mJ/cm2又は750mJ/cm2で、Fusion「H」バルブを使用するFusion UV Curing Systemでサンプルを照射した。照射後、これらのサンプルを試験前に周囲温度で一晩保管した。
【0154】
裏材層(各サンプルについて表1に示す)上に上記で調製したPSA層を積層し、接着剤テープを調製した。1枚のシリコーン処理済みPET剥離ライナーをPSA層から取り除き、露出したPSA層面を裏材層に接触させ、4.5ポンド(2.0kg)のゴムでカバーしたローラーを使用して、裏材層上に接着剤を押し付けることにより、室温で積層を実施した。裏材層の反対側においてもこの手順を繰り返し、裏材層の両面にPSA層を備える接着テープを作製した。接着テープの様々な特有の性質を測定し、結果を表2に示す。
【0155】
【表1−1】

【0156】
【表1−2】

【0157】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM D1003−07の方法を使用した測定で5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する裏材層であって、
(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、
(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む、反応混合物の重合生成物を含むポリ(アルキレン)コポリマーを含む裏材層と、
前記裏材層の主表面に隣接する少なくとも1つの感圧性接着剤層であって、ポリイソブチレン材料を含む感圧性接着剤層と、を含み、
破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である、接着テープ。
【請求項2】
前記ポリイソブチレン材料が硬化される、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
感圧性接着剤層が粘着付与樹脂を更に含む、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項4】
前記感圧性接着剤層が、(a)前記ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき0〜10重量パーセント未満の範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、75,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項5】
前記第1のポリイソブチレンが、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき少なくとも90重量パーセントに等しい量で存在する、請求項4に記載の接着テープ。
【請求項6】
前記感圧性接着剤層が、(a)前記接着剤層の総固体含量に基づき40〜90重量パーセントの範囲の量の前記ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき10〜60重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、85,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項7】
前記第1のポリイソブチレンが、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき少なくとも90重量パーセントに等しい量で存在する、請求項6に記載の接着テープ。
【請求項8】
前記感圧性接着剤層が、(a)前記ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき0〜10重量パーセント未満の範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、(i)200,000グラム/モル〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき50〜90重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(ii)1,000〜80,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜50重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、を含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項9】
前記感圧性接着剤層が、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき0〜10重量パーセント未満の範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、(i)300,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜40重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(ii)50,000超〜250,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、ポリイソブチレン材料の総重量に基づき50〜70重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、(iii)1,000〜50,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜20重量パーセントの範囲の量の第3のポリイソブチレンと、を含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項10】
前記感圧性接着剤層が、(a)接着剤層の総固体含量に基づき70〜90重量パーセントの範囲の量のポリイソブチレン材料と、(b)接着剤層の総固体含量に基づき10〜30重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、(i)100,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜30重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(ii)30,000〜75,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、ポリイソブチレン材料の総重量に基づき70〜90重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、を含む、請求項1又は2に記載の接着テープ。
【請求項11】
前記ポリ(アルキレン)コポリマーが0.86〜0.91の範囲の比重を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項12】
各感圧性接着剤層が光学的に透明である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項13】
前記接着テープが、裏材層と、裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層と、裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層と、を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着テープ。
【請求項14】
前記第1の感圧性接着剤層が、前記第2の感圧性接着剤層とは異なる、請求項13に記載の接着テープ。
【請求項15】
第1の基材と、
前記第1の基材に接着された接着テープであって、
(A)
(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、
(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む、第1の重合性反応混合物の重合生成物を含むポリ(アルキレン)コポリマーを含む裏材層であって、
ASTM D1003−07を使用して5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する裏材層と、
(B)前記裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層であって、ポリイソブチレン材料を含む第1の感圧性接着剤層と、
(C)前記第1の基材を越えて延在するツメであって、引くことによって接着テープが引き伸ばされ、前記第1の基材から接着テープが剥離されるツメと、を含み、ツメが引かれたとき、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である接着テープと、を含む、物品。
【請求項16】
前記第1の感圧性接着剤層が光学的に透明である、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記ポリイソブチレンが硬化される、請求項15又は16に記載の物品。
【請求項18】
感圧性接着剤層が粘着付与樹脂を更に含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記感圧性接着剤層が、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき0〜10重量パーセント未満の範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、75,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
前記感圧性接着剤層が、(a)前記接着剤層の総固体含量に基づき40〜90重量パーセントの範囲の量のポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき10〜60重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、85,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有する第1のポリイソブチレンを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記感圧性接着剤層が、(a)ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき0〜10重量パーセント未満の範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、(i)200,000グラム/モル〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき50〜90重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(ii)1,000〜80,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜50重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記感圧性接着剤層が、(a)前記ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき0〜10重量パーセント未満の範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、(i)300,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜40重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(ii)50,000超〜250,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき50〜70重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、(iii)1,000〜50,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜20重量パーセントの範囲の量の第3のポリイソブチレンと、を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
前記感圧性接着剤層が、(a)前記接着剤層の総固体含量に基づき70〜90重量パーセントの範囲の量の前記ポリイソブチレン材料と、(b)前記接着剤層の総固体含量に基づき10〜30重量パーセントの範囲の量の粘着付与樹脂と、を含み、前記ポリイソブチレン材料が、(i)100,000〜4,200,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき10〜30重量パーセントの範囲の量の第1のポリイソブチレンと、(ii)30,000〜75,000グラム/モルの範囲の重量平均分子量を有し、前記ポリイソブチレン材料の総重量に基づき70〜90重量パーセントの範囲の量の第2のポリイソブチレンと、を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置される接着テープであって、前記接着テープが前記第1の基材を前記第2の基材に連結し、
(A)
(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、
(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む、第1の重合性反応混合物の重合生成物を含むポリ(アルキレン)コポリマーを含む裏材層であって、
ASTM D1003−07を使用して5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する裏材層と、
(B)前記裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び前記裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層であって、それぞれポリイソブチレン材料を含む第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層と、
(C)前記第1の基材及び前記第2の基材の少なくとも1つを越えて延在するツメであって、引くことによって接着テープが引き伸ばされ、前記第1の基材から、前記第2の基材から、又は前記第1の基材と前記第2の基材の両方から接着テープが剥離されるツメと、を含み、前記ツメが引かれたとき、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である接着テープと、を含む、物品。
【請求項25】
2つの基材を連結及び分離する方法であって、
第1及び第2の基材を用意する工程と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に接着テープを配置する工程であって、前記接着テープが前記第1の基材を前記第2の基材に連結し、前記接着テープが、
(A)
(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、
(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む、第1の重合性反応混合物の重合生成物を含むポリ(アルキレン)コポリマーを含む裏材層であって、
ASTM D1003−07に基づいて5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントと等しい視感透過率を有する裏材層と、
(B)前記裏材層の第1の主表面に隣接する第1の感圧性接着剤層及び前記裏材層の第2の主表面に隣接する第2の感圧性接着剤層であって、それぞれポリイソブチレン材料を含む第1の感圧性接着剤層及び第2の感圧性接着剤層と、
(C)前記第1の基材及び前記第2の基材の少なくとも1つを越えて延在するツメと、を含む、工程と、
接着テープのツメを引いて接着テープを引き伸ばし、前記第1の基材から、前記第2の基材から、又は前記第1の基材と前記第2の基材の両方から接着テープを剥離する工程であって、破断せずに第1の方向に少なくとも50パーセント引き伸ばし可能である工程と、を含む、方法。
【請求項26】
接着テープを製造する方法であって、
(1)エテン、プロペン、又はこれらの混合物から選択される第1のアルケンと、
(2)4〜8個の炭素原子を有する1,2−アルケンから選択される第2のアルケンと、を含む、第1の重合性混合物の重合生成物であるポリ(アルキレン)コポリマーを用意する工程と、
第1の支持層と第2の支持層との間にポリ(アルキレン)コポリマーを含む裏材層を鋳造する工程であって、前記裏材層が、ASTM D1003−07に基づき5パーセント以下の曇り及び少なくとも85パーセントの視感透過率を有する工程と、
前記裏材層の第1の主表面に隣接して少なくとも1つの感圧性接着剤層を配置する工程であって、少なくとも1つの感圧性接着剤層がポリイソブチレンを含む工程と、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528919(P2012−528919A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513976(P2012−513976)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/035903
【国際公開番号】WO2010/141248
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】