説明

弱酸を用いる表面反応炭酸カルシウムの調製方法、得られた生成物およびその使用

本出願は、水性環境下で表面反応炭酸カルシウムを調製する方法に関する。本発明の方法は、中強から強酸の必須の使用を回避することを目的とする。本発明の別の態様は、本発明の方法により得られる表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕天然炭酸カルシウム(GNCC)に基づいた表面反応炭酸カルシウム生成物の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
実際には、炭酸カルシウムは、製紙用の被覆、充填剤、増量剤および顔料、また水性ラッカーおよび塗料、ならびに水処理などの多様な目的において、特に重金属などの無機物質ならびに/または多環式化合物、コレステロールおよび/または内分泌かく乱化合物(EDC)などの製薬廃棄物の除去手段として、製紙、塗料、ゴムおよびプラスチック産業において多量に使用されている。
【0003】
過去十年間に、「表面反応炭酸カルシウム」と呼ばれる新たな部類の炭酸カルシウム誘導体が開発され、多数の有益な特性を適用の際に提供している。
【0004】
「表面反応炭酸カルシウム」は、炭酸カルシウムと、炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面から広がっている不溶性で少なくとも部分的に結晶質の非炭酸カルシウム塩とを含む物質である。前記少なくとも部分的に結晶質の非炭酸カルシウム塩を形成するカルシウムイオンは、主に、表面反応炭酸カルシウムのコアを形成する機能も果たす炭酸カルシウム出発物質に由来する。
【0005】
当該技術において、そのような表面反応炭酸カルシウム生成物を調製する幾つかの手法が提案されている。
【0006】
US6,666,953B1は、2.5未満のpKを有するHイオンおよび気体COの1つ以上の供給者により処理された天然炭酸カルシウムを含有する顔料、充填剤または鉱物に関し、前記紙の顔料または被覆充填剤として使用されたとき、物理的特性を失うことなく、一定表面積の紙の重量の低減を可能にする。
【0007】
変形のWO2005/121257A2は、炭酸カルシウムと中強から強酸とのならびにその場でおよび/または外部供給により形成された気体COとの、式:R−Xの少なくとも1つの化合物を伴う、複数の反応によりその場で形成された生成物を含有することを特徴とする、乾燥鉱物質顔料を生成する方法を開示する。
【0008】
同様に、WO2004/083316A1は、質量充填および/または紙被覆などの製紙用途に使用される、炭酸カルシウムと、前記炭酸塩および1つ以上の中強から強Hイオン供与者の反応生成物とのならびに前記炭酸塩およびその場で形成されたおよび/もしくは外部供給された気体COの反応生成物との二回および/または複数回の反応によりその場で形成された生成物ならびに少なくとも1つのケイ酸アルミニウムならびに/または少なくとも1つの合成シリカならびに/または少なくとも1つのケイ酸カルシウムならびに/またはケイ酸ナトリウムおよび/もしくはケイ酸カリウムおよび/もしくはケイ酸リチウムなど、好ましくはケイ酸ナトリウムなどの一価塩の少なくとも1つのケイ酸塩ならびに/または少なくとも1つの水酸化アルミニウムならびに/または少なくとも1つのアルミン酸ナトリウムおよび/またはカリウムを含有する鉱物質顔料に言及している。
【0009】
上記の技術は、少なくとも部分的に結晶質のカルシウム塩の制御された付着によりGNCC出発物質の表面を構造化するおよび比表面積を有意に増加させる手段を提供することならびにこの付着物質のカルシウム供給源がGNCC鉱物それ自体であることが、当業者にとって特に興味深い。
【0010】
しかし、それぞれ、20℃で測定したときに2.5未満のpKにより特徴付けられる中強から強酸の使用を伴う。有用な中強から強酸として提示される酸の多くは、鉱酸であり、好ましい酸には、特にリン酸が含まれる。
【0011】
第一に、当業者は、当業者が計画しなければならない予期せぬ変化を含む経時的な変化を受ける所定の付加物の利用可能性および価格を考慮すると、代替的な付加物を用いて表面反応炭酸カルシウム物質を調製する新たな方法に対して、常に興味を持ち続けている。
【0012】
第二に、国際化学物質安全性計画と欧州委員会の協力により確立された職業曝露限界に関して、特に国際労働安全衛生情報センター(CIS)により発行されたリン酸の国際化学物質安全性カード(ICSC)に従って、この酸は、時間荷重平均(TWA)で1ppm未満に相当する非常に低い限界値(TLV)に関連する。このことは、この酸を特に産業規模で用いる場合、特定で多くの場合には煩わしい予防措置を取るべきであることを意味する。さらに当業者は、そのような低TLV物質に適用される規制が時を経てより厳しくなり、それらを用いることが実用的でなくなる危険性について認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,666,953号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/121257号
【特許文献3】国際公開第2004/083316号
【特許文献4】米国特許第5,584,923号明細書
【特許文献5】米国特許第5,647,902号明細書
【特許文献6】米国特許第5,711,799号明細書
【特許文献7】国際公開第97/08247号
【特許文献8】国際公開第98/20079号
【特許文献9】米国特許第5,043,017号明細書
【特許文献10】国際公開第99/02608号
【特許文献11】未公開欧州特許出願第07123077.5号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Harris,D.C.「Quantitative Chemical Analysis:第3版」、1991年、W.H.Freeman&Co.(USA),ISBN0−7167−2170−8
【非特許文献2】Transport in Porous Media(2006)63:239−259
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記に直面して、本出願人は、驚くべきことに、US6,666,953B1に従って調製された表面反応炭酸カルシウムに匹敵する比表面積の展開可能性を有するが、リン酸などの中強から強酸の必須の使用を回避する表面反応炭酸カルシウムを調製する方法を見出した。
【0016】
本発明の方法は、特定の順番の段階に従って投入される付加物の特定の予想外の選択による。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、水性環境下で表面反応炭酸カルシウムを調製する本方法は、以下の段階:
a)少なくとも1つの粉砕天然炭酸カルシウム(GNCC)を供給する段階;
b)少なくとも1つの水溶性酸を供給する段階;
c)気体COを供給する段階;
d)段階a)の前記GNCCを段階b)の前記酸および段階c)の前記COと接触させる段階
を含み、
(i)段階b)の前記酸が、20℃で測定したとき、それぞれ2.5超から7以下のpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化、および利用可能なこの第1の水素を失ったときに形成される、水溶性カルシウム塩を形成できる対応するアニオンを伴い;
(ii)前記酸と前記GNCCの接触の後、水素含有塩の場合、20℃で測定したとき7を超えるpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化を伴い、その塩アニオンが水不溶性カルシウム塩を形成できる、少なくとも1つの水溶性塩が追加的に供給されること
を特徴とする。
【0018】
従来技術が炭酸カルシウムと弱酸の接触に言及するとき、全く異なる目標を考慮し、本発明の方法と基本的に異なる方法に従っている。
【0019】
特に、US5,584,923、US5,647,902、US5,711,799、WO97/08247A1およびWO98/20079A1は、それぞれ、中性から弱酸性の紙の作製における充填剤物質としての使用を可能にする耐酸性にした炭酸カルシウムおよびそのような耐酸性炭酸カルシウムの製造方法を記載する。本出願人は、耐酸性は本発明の目標と全く正反対であることを指摘し、ここで方法は、酸がGNCCに作用し、GNCCからカルシウムイオンを遊離させ、その後、表面領域の展開において機能する。
【0020】
US5,043,017も同様に、1つのカルシウムキレート剤およびヘキサメタリン酸ナトリウムなどの共役塩基の添加により、続いて弱酸であり得る酸の添加により酸安定化される炭酸カルシウムに関する。この文献は、上記のように、耐酸性炭酸カルシウムの形成の目標に言及するのみならず、カルシウムキレート剤または共役塩基を弱酸の前に炭酸カルシウムに供給する重要性にも基づいている。
【0021】
WO99/02608A1は、耐酸性沈降炭酸カルシウムの高固体スラリーの製造方法を記載し、ここで固体スラリーは、炭酸カルシウムに耐酸性を付与するためにアルミン酸ナトリウムなどの化学添加剤で処理される。
【0022】
完全性のために、本出願人は、PCCに基づいた表面反応炭酸カルシウムの調製方法に関する、出願番号07123077.5を有する未公開欧州特許出願を記述する。
【0023】
このように従来技術は、GNCCに基づいた高表面積表面反応炭酸カルシウム物質を調製し、同時に、リン酸などの、20℃で測定して2.5未満のpKを有する中強から強酸の使用を回避する経済的な方法に関して沈黙していると思われる。
【0024】
本発明は、本出願において記載され、請求項において定義されている表面反応炭酸カルシウムを調製する方法を提供することを目的としている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
したがって、本出願の1つの目的は、水性環境下で表面反応炭酸カルシウムを調製する方法であって、以下の段階:
a)少なくとも1つの粉砕天然炭酸カルシウム(GNCC)を供給する段階;
b)少なくとも1つの水溶性酸を供給する段階;
c)気体COを供給する段階;
d)段階a)の前記GNCCを段階b)の前記酸および段階c)の前記COと接触させる段階
を含み、
(i)段階b)の前記酸が、20℃で測定したとき、それぞれ2.5超から7以下のpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化、および利用可能なこの第1の水素を失ったときに形成される、水溶性カルシウム塩を形成できる対応するアニオンを伴い;
(ii)前記酸と前記GNCCの接触の後、水素含有塩の場合、20℃で測定したとき7を超えるpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化を伴い、その塩アニオンが水不溶性カルシウム塩を形成できる、少なくとも1つの水溶性塩が追加的に供給されること
を特徴とする方法である。
【0026】
本発明の意味における「粉砕天然炭酸カルシウム」(GNCC)は、天然供給源、大理石、チョークまたは石灰岩から得られ、粉砕助剤を用いるまたは用いない粉砕、篩い分けならびに/または湿式および/もしくは乾式細分化などの処理、例えばサイクロンによる処理を介して加工される炭酸カルシウムである。
【0027】
本出願の目的において、「水不溶性」物質は、脱イオン水と混合し、0.2μmの孔径を有するフィルターにより20℃で濾過して、濾液を回収したとき、100gの前記濾液を95から100℃で蒸発させた後に0.1g以下の回収固体物質を供給する物質として定義される。「水溶性」物質は、100gの前記濾液を95から100℃で蒸発させた後に0.1gを超える回収固体物質の回収をもたらす物質として定義される。
【0028】
本発明の意味における「酸」は、ブレンステッドローリー酸として定義され、すなわちHイオン供給者である。「酸塩」は、水素以外の電子陽性元素により部分的に中性化されている水素含有塩として定義される。「塩」は、アニオンおよびカチオンにより形成された電気的に中性なイオン化合物として定義される。
【0029】
本出願の目的において、pKは、所定の酸における所定のイオン化し得る水素に関連する酸解離定数を表す記号であり、所定の温度で水中において平衡であるこの酸からのこの水素の解離の自然の程度を示す。そのようなpK値を、Harris,D.C.「Quantitative Chemical Analysis:第3版」、1991年、W.H.Freeman&Co.(USA)、ISBN0−7167−2170−8などの参考教科書において見出すことができる。
【0030】
本発明によると、「表面反応炭酸カルシウム」は、炭酸カルシウムと、上記の(ii)の前記水溶性塩の1つ以上のアニオンの不溶性で少なくとも部分的に結晶質のカルシウム塩とを含む物質である。好ましい実施態様において、不溶性カルシウム塩は、炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面から広がっている。前記アニオンの前記少なくとも部分的に結晶質のカルシウム塩を形成するカルシウムイオンは、主に炭酸カルシウム出発物質に由来する。そのような塩には、OH−アニオンおよび/または結晶水が含まれ得る。
【0031】
段階a)に関する好ましい実施態様
本発明の方法の段階a)において、少なくとも1つの粉砕天然炭酸カルシウム(GNCC)が提供される。
【0032】
好ましくは、前記GNCCは、大理石、チョーク、方解石、苦灰石、石灰石およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
好ましい実施態様において、段階a)の前記GNCCは、下記の本明細書の実施例セクションにおいて提供されている測定方法に従って測定すると、0.01から10μm、より好ましくは0.5から2μmの重量メジアン直径を有する。
【0034】
別の好ましい実施態様において、GNCCは、水性GNCC懸濁液の形態で提供される。
【0035】
この好ましい実施態様において、前記懸濁液は、下記の本明細書の実施例セクションにおいて提供されている測定方法に従って測定すると、11未満、より好ましくは10.5未満のpHを有する。
【0036】
好ましくは、水性炭酸カルシウム懸濁液は、懸濁液の重量に基づいて、10重量%以上、より好ましくは10重量%から80重量%の固形分を有する。本出願人は、非常に高い固形分の場合、段階d)の間および後に反応が生じるために十分な水を有することが要件であることを所見として述べる。より好ましくは、水性炭酸カルシウム懸濁液は、懸濁液の重量に基づいて16重量%から60重量%の範囲、より好ましくは16重量%から40重量%の範囲の固形分を有する。
【0037】
懸濁液を分散剤の添加によりさらに安定化できる。当業者に既知の従来の分散剤を使用できる。分散剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性であることができる。好ましい分散剤は、ポリアクリル酸である。
【0038】
段階b)に関する好ましい実施態様
本発明の方法の段階b)は、少なくとも1つの水溶性酸を供給することを指す。前記酸は、20℃で測定されたとき、それぞれ、2.5超から7以下のpKを有し、これらの最初に利用可能な水素のイオン化に関連し、水溶性カルシウム塩を形成できるこの最初に利用可能な水素の欠失により形成された対応するアニオンを有する。
【0039】
好ましい実施態様において、前記水溶性酸は、2.6から5のpKを有する。
【0040】
より好ましい実施態様において、前記水溶性酸は、酢酸、ギ酸、プロパン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましい実施態様において、前記水溶性酸は、酢酸、ギ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましい実施態様において、前記水溶性酸は酢酸である。
【0041】
段階b)の前記水溶性酸は、好ましくは、段階a)において供給される酸/mGNCCでの少なくとも1.5×10−4molの水素原子に相当する総量、より好ましくは段階a)において供給される酸/mGNCCでの2×10−4から12×10−4molの水素原子、最も好ましくは、段階a)において供給される酸/mGNCCでの3×10−4から10×10−4molの水素原子に相当する総量で投入される。
【0042】
前記GNCCと接触する水溶性塩が1個以上の水素原子を含む場合、段階b)の水溶性塩を、塩の水素原子に関連する実際のpKとかかわりなく、水素イオンの完全な解離を仮定して計算された塩のmol当量の水素原子を考慮すると、より少ない量で投入できる。そのような場合、水溶性酸は、水素原子の総mol当量が、水溶性酸および水素含有塩に基づいて、段階a)において供給される酸/mGNCCでの少なくとも1.5×10−4molの水素原子に相当するような量で投入され、より好ましくは段階a)において供給される酸/mGNCCでの2×10−4から12×10−4molの水素原子、最も好ましくは、段階a)において供給される酸/mGNCCでの3×10−4から10×10−4molの水素原子に相当する総量で投入される。
【0043】
あるいは、段階b)の前記水溶性酸は、好ましくは、段階a)おいて供給されるGNCCの乾燥重量に基づいて5から40重量%当量の純粋な酸に相当する総量、より好ましくは段階a)おいて供給されるGNCCの乾燥重量に基づいて10から30重量%当量の純粋な酸に相当する総量、最も好ましくは段階a)おいて供給されるGNCCの乾燥重量に基づいて15から25重量%当量の純粋な酸に相当する総量により投入される。
【0044】
段階b)の前記水溶性酸は、総溶液の重量に対する純粋な酸の当量として決定して、好ましくは25から75%、より好ましくは40から60%に相当する酸濃度を有する水溶液の形態で供給される。
【0045】
段階c)に関する好ましい実施態様
本発明の方法の段階c)によると、気体COが供給される。
【0046】
必要な二酸化炭素は、酸をGNCCと接触させた結果として、炭酸塩からその場で形成できる。代替的または追加的には、二酸化炭素を外部供給源から供給できる。
【0047】
好ましくは、反応全体を通して水性懸濁液中の気体二酸化炭素の濃度は、容量に関して、比(懸濁液の容量):(気体COの容量)が1:0.05から1:20、より好ましくは1:0.05から1:5であるようなものである。
【0048】
段階d)に関する好ましい実施態様
本発明の方法の段階d)は、段階a)の前記GNCCを段階b)の前記酸および段階c)の前記COと接触させることを指す。
【0049】
前記酸は、1つ以上の段階において前記GNCCに添加されることが好ましい。
【0050】
前記GNCCが前記酸に添加される場合、前記GNCCの画分を前記酸の画分に添加することを続ける必要があり、全ての前記GNCCが全ての前記酸と接触するまでこの追加的な方法を繰り返す必要がある。
【0051】
酸が使用される場合、酸処理および二酸化炭素による処理を同時に実施することができ、自動的に生じる。本発明の酸処理を最初に実施し、外部供給源から供給される二酸化炭素による処理を続いて実施することも可能である。
【0052】
GNCCへの酸の添加は、滴下または1段階により実施できる。滴加の場合、この添加は好ましくは10分以内に実施される。前記酸を1段階で加えることがより好ましい。
【0053】
水溶性酸に関する好ましい実施態様
段階d)において段階b)の前記酸を段階a)の前記GNCCと接触させた後、水素含有塩の場合、20℃で測定したとき7を超えるpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化を伴い、その塩アニオンが水不溶性カルシウム塩を形成できる、少なくとも1つの水溶性塩が追加的に供給される。
【0054】
前記水溶性塩のカチオンは、好ましくは、カリウム、ナトリウム、リチウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい実施態様において、前記カチオンはナトリウムである。アニオンの電荷に応じて、2つ以上の前記カチオンが存在して電気的に中性のイオン化合物をもたらすことができることに留意すること。
【0055】
前記水溶性塩のアニオンは、好ましくはリン酸塩、リン酸二水素、リン酸一水素、シュウ酸塩、ケイ酸塩、これらの混合物およびこれらの水和物からなる群から選択される。より好ましい実施態様において、前記アニオンは、リン酸塩、リン酸二水素、リン酸一水素、これらの混合物およびこれらの水和物からなる群から選択される。最も好ましい実施態様において、前記アニオンは、リン酸二水素、リン酸一水素、これらの混合物およびこれらの水和物からなる群から選択される。
【0056】
前記水溶性塩の前記アニオンは、好ましくは、段階a)において供給されるアニオン/mGNCCの少なくとも5×10−5molに相当する総量で投入される。より好ましくは、前記水溶性塩の前記アニオンは、段階a)において供給されるアニオン/mGNCCの5×10−5から50×10−5molに相当する総量、さらにより好ましくは、段階a)において供給されるアニオン/mGNCCの10×10−5から30×10−5molに相当する総量で投入される。
【0057】
水溶性塩の添加は、滴下または1段階で実施できる。滴加の場合、この添加は好ましくは10分以内に実施される。前記塩を1段階で加えることがより好ましい。
【0058】
反応環境
段階d)および前記水溶性塩の添加は、実質的に層流を発生するような撹拌条件下で撹拌反応器において好ましく実施される。段階d)および前記水溶性塩の添加は、50℃を超える、好ましくは60℃を超える温度を有する水性環境下で好ましく実施される。
【0059】
方法により得られる生成物
前記少なくとも1つの水溶性塩の添加の後、20℃で測定した水性懸濁液のpHは、通常6.0を超える、好ましくは6.5を超える、より好ましくは7.0を超える、さらにより好ましくは7.5を超える値に達する場合がある。換言すると、6.0を超える、好ましくは6.5を超える、より好ましくは7.0を越える、さらにより好ましくは7.5を越えるpHを有する水性懸濁液として表面反応炭酸カルシウムが得られる。水性懸濁液が平衡に達することが可能な場合、pHは、通常7を越える。6.0を越えるpHを、水性懸濁液の撹拌を十分な時間、好ましくは1時間から10時間、より好ましくは1から5時間続けると、塩基の添加なしで調整できる。
【0060】
あるいは、7を越えるpHで生じる平衡状態に達する前に、水性懸濁液のpHを、二酸化炭素処理の後の塩基の添加により6を越える値に増加させることができる。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの任意の従来の塩基を使用できる。
【0061】
得られた表面反応炭酸カルシウム懸濁液を、場合により乾燥表面反応炭酸カルシウム生成物を得る時点まで濃縮できる。上記に記載された水性懸濁液が脱水される場合、得られた固体(すなわち、流体形態ではないように十分に少ない水を含有する、さらには水を含有しない)表面反応炭酸カルシウムは、ケーキ、顆粒または粉末の形態であり得る。この固体生成物を、脂肪酸または他の疎水化/親油化剤により追加的に処理できる。この固体生成物を水で洗浄できる。
【0062】
したがって、前記表面反応炭酸カルシウムが、好ましくは、段階a)において供給される炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面から広がっている、前記少なくとも1つの水溶性塩のアニオンの不溶性で、優先的には少なくとも部分的に結晶質のカルシウム塩を含む、表面反応炭酸カルシウムの懸濁液が得られる。
【0063】
好ましい実施態様において、本発明の方法で得られる表面反応炭酸カルシウムは、下記の実施例セクションにおいて提供されている測定方法に従って測定して、20m/gを越える、例えば20m/gから200m/g、より好ましくは30m/gを越える、例えば30m/gから150m/g、さらにより好ましくは80m/gを越える比表面積を有する。
【0064】
好ましい実施態様において、表面反応炭酸カルシウムは、20から150m/gまたは30から200m/gの範囲内のBET比表面積および0.1から50μmの範囲内のメジアン粒子直径を有する。
【0065】
さらに、表面反応炭酸カルシウムは、下記の本明細書の実施例セクションにおいて提供されている測定方法に従って測定すると、0.1から50μm、好ましくは1から25μm、より好ましくは3から15μm、さらにより好ましくは5から12μmのメジアン粒子直径を有する。
【0066】
好ましくは、表面反応天然炭酸カルシウムは、水銀多孔度測定により測定して、20容量%から40容量%の範囲内の粒子内多孔性を有する。水銀多孔度測定による粒子内多孔性は、以下のプロトコールに従って決定される:錠剤は、水が0.025μmの微細フィルター膜を介する濾過により放出して顔料の圧縮錠剤をもたらすように、懸濁液に一定圧力を数時間適用することによって表面反応天然炭酸カルシウムの懸濁液から作製される。錠剤を装置から取り出し、オーブンにおいて80℃で24時間乾燥する。乾燥すると、それぞれの錠剤ブロックの単一部分は、Micromeritics Autopore IV水銀多孔度測定器を使用し、多孔性および孔径分布について水銀多孔度測定により特徴決定する。水銀の最大適用圧は414Mpaであり、0.004μm(すなわち、約nm)のラプラス喉円直径に等しい。水銀圧入測定値は、水銀の圧縮、針入度計の伸張および試料の固相の圧縮率によって修正される。粒子内孔を粒子間孔と区別する必要がある。このために、錠剤構造が孔径分布において別々に分かれていること、すなわち、粒子間および粒子内孔径が区別可能であるように、径が実質的に重複していないことを確認する必要がある。測定方法についてのさらなる詳細は、Transport in Porous Media(2006)63:239−259に記載されている。
【0067】
本発明の表面反応炭酸カルシウムまたは前記表面反応炭酸カルシウムのスラリーを、紙、ティッシュペーパー、プラスチック、塗料において、または制御放出もしくは水処理剤として使用できる。
【0068】
本発明の方法により得られる表面反応炭酸カルシウムを、好ましくは、精製されるべき水、例えば産業廃水、飲料水、都市廃水、醸造所の廃水または製紙産業における水と、当業者に既知の任意の従来の方法により接触させる。
【0069】
表面反応炭酸カルシウムを、水性懸濁液、例えば上記に記載された懸濁液として加えることができる。あるいは、精製されるべき水に、任意の適切な固体形態、例えば顆粒もしくは粉末の形態またはケーキの形態で加えることができる。
【0070】
水は、人間の汚物、有機物質、土壌、界面活性剤からもたらされる有機不純物、ならびに無機不純物、特に鉄含有またはマンガン含有化合物などの重金属不純物を含有し得る。本発明の精製方法により水から除去できる有害成分には、細菌、真菌、古細菌または原生生物などの微生物も含まれる。
【0071】
以下の実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく説明することが意図される。
【0072】
(実施例)
測定方法
以下の測定方法を使用して、実施例および請求項に提示されたパラメーターを評価する。
【0073】
物質の比表面積(SSA)
比表面積は、窒素を使用し、続いて試料を250℃で30分間加熱してコンディショニングする、ISO9277に従ったBET法を介して測定する。そのような測定の前に、試料を、すり鉢とすりこぎで砕く前に、濾過し、すすぎ、オーブンにおいて90−100℃で少なくとも12時間乾燥し、次に恒量が観察されるまで130℃でマスバランスに設置する。
【0074】
非表面反応炭酸カルシウム粒状物質(すなわち、GNCC)の粒径分布(直径<Xの粒子の質量%)および重量メジアン粒子直径(d50
GNCCなどの粒状物質の重量メジアン粒子直径および粒子直径質量分布は、沈降法、すなわち重力場における沈降挙動の分析を介して決定する。測定は、Sedigraph(商標)5120により行う。
【0075】
方法および器具は当業者に知られており、充填剤および顔料の粒径を決定するために慣用的に使用される。測定は、0.1重量%のNaの水溶液において実施される。試料は、高速撹拌器および超音波を使用して分散した。
【0076】
表面反応炭酸カルシウムのメジアン粒子直径(d50
表面反応炭酸カルシウムのメジアン粒子直径は、Malvern Mastersizer 2000 Laser Diffraction Systemを使用して決定する。
【0077】
水性スラリーのpH
水性懸濁液のpHは、標準pHメーターをおよそ25℃で使用して測定する。
水性スラリーの固形分
スラリーの固形分(「乾燥重量」としても知られている)は、Mettler−Toledoにより市販されているMoisture Analyser HR73を使用し、以下の設定:温度120℃、自動停止3、標準乾燥、5−20gのスラリーにより決定する。
【実施例1】
【0078】
以下の実施例は、従来技術を説明し、GNCCをリン酸に接触させることを伴う。
【0079】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および非分散チョーク(1μmのd50を有し、ここで90%の粒子が2μm以下の直径を有する(Sedigraph))を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように20Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0080】
実質的な層流が確立するように、およそ1000rpmで撹拌しながら、10%溶液の形態のリン酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の10重量%およびおよそ3×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0081】
懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0082】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=24.0m/gおよびd50=3.5μmを有する(Malvern)。
【実施例2】
【0083】
以下の実施例は、従来技術を説明し、GNCCをリン酸に接触させることを伴う。
【0084】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および非分散チョーク(3μmのd50を有し、ここで33%の粒子が2μm以下の直径を有する(Sedigraph))を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように100Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0085】
実質的な層流が確立するようにおよそ1000rpmで撹拌しながら、30%溶液の形態のリン酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の25重量%およびおよそ2.6×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0086】
懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0087】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=34.5m/gおよびd50=7.9μmを有する(Malvern)。
【実施例3】
【0088】
以下の実施例は、従来技術を説明し、GNCCをリン酸に接触させることを伴う。
【0089】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および分散大理石(0.7μmのd50を有し、ここで90%の粒子が2μm以下の直径を有する(Sedigraph))を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように20Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0090】
実質的な層流が確立するようにおよそ1000rpmで撹拌しながら、10%溶液の形態のリン酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の30重量%およびおよそ9×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0091】
懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0092】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=35.0m/gおよびd50=3.9μmを有する(Malvern)。
【実施例4】
【0093】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0094】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および非分散チョーク(3μmのd50を有し、ここで33%の粒子が2μm以下の直径を有する(Sedigraph))を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように20Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0095】
実質的な層流が確立するようにおよそ1000rpmで撹拌しながら、50%溶液の形態の酢酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の18.4重量%および3×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で分離漏斗により1分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0096】
その後、30%溶液の形態のNaHPO.2HOを、乾燥炭酸カルシウム重量の47.8重量%および3×10−4molのHPOアニオン/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0097】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=72.4m/gおよびd50=7.1μmを有する(Malvern)。
【実施例5】
【0098】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0099】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および分散大理石(0.7μmのd50を有し、ここで90%の粒子が2μm以下の直径を有する)を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように20Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0100】
実質的な層流が確立するようにおよそ1000rpmで撹拌しながら、50%溶液の形態の酢酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の18.4重量%および3×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で分離漏斗により1分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0101】
その後、30%溶液の形態のNaHPO.2HOを、乾燥炭酸カルシウム重量の47.8重量%および3×10−4molのHPOアニオン/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウムスラリーに加える。この添加に続いて、懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0102】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=81.6m/gおよびd50=6.8μmを有する(Malvern)。
【実施例6】
【0103】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0104】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および非分散チョーク(3μmのd50を有し、ここで33%の粒子が2μm以下の直径を有する(Sedigraph))を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように20Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0105】
実質的な層流が確立するようにおよそ1000rpmで撹拌しながら、50%溶液の形態の酢酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の36.8重量%および6×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で分離漏斗により1分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0106】
その後、30%溶液/スラリーの形態のNaHPOを、炭酸カルシウム重量の43.5重量%および3×10−4molのHPOアニオン/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0107】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=69.6m/gおよびd50=7.5μmを有する(Malvern)。
【実施例7】
【0108】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0109】
炭酸カルシウム懸濁液は、水および非分散チョーク(3μmのd50を有し、ここで33%の粒子が2μm以下の直径を有する(Sedigraph))を、得られた水性懸濁液が、懸濁液の総重量に対して乾燥重量で16%に相当する固形分を有するように20Lのステンレススチール反応器に加えることによって調製する。その後、この懸濁液の温度を70℃にして、70℃で維持する。
【0110】
実質的な層流が確立するようにおよそ1000rpmで撹拌しながら、50%溶液の形態の酢酸を、乾燥炭酸カルシウム重量の6.1重量%および1×10−4mol当量の水素/mGNCCに相当する量で分離漏斗により1分間かけて炭酸カルシウム懸濁液に加える。この添加に続いて、COガス気泡が懸濁液において形成され、懸濁液の中を上昇するのが観察された。
【0111】
その後、30%溶液の形態のNaHPO.2HOを、炭酸カルシウム重量の15.9重量%および1×10−4molのHPOアニオン/mGNCCに相当する量で蠕動ポンプにより10分間かけて炭酸カルシウムスラリーに加える。この添加に続いて、懸濁液をさらに5分間撹拌する。
【0112】
得られた懸濁液を一晩放置する。生成物は、SSA=33.5m/gおよびd50=6.0μmを有する(Malvern)。
【0113】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性環境下で表面反応炭酸カルシウムを調製する方法であって、以下の段階:
a)少なくとも1つの粉砕天然炭酸カルシウム(GNCC)を供給する段階;
b)少なくとも1つの水溶性酸を供給する段階;
c)気体COを供給する段階;
d)段階a)の前記GNCCを段階b)の前記酸および段階c)の前記COと接触させる段階
を含み、
(i)段階b)の前記酸が、20℃で測定したとき、それぞれ2.5超から7以下のpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化、および利用可能なこの第1の水素を失ったときに形成される、水溶性カルシウム塩を形成できる対応するアニオンを伴い;
(ii)前記酸と前記GNCCの接触の後、水素含有塩の場合、20℃で測定したとき7を超えるpKを有し、利用可能な第1の水素のイオン化を伴い、その塩アニオンが水不溶性カルシウム塩を形成できる、少なくとも1つの水溶性塩が追加的に供給されること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記GNCCが、大理石、チョーク、方解石、苦灰石、石灰石およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階a)の前記GNCCが、0.01から10μm、より好ましくは0.5から2μmの重量メジアン直径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記GNCCが、水性GNCC懸濁液の形態で供給されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記懸濁液が、11未満、より好ましくは10.5未満のpHを有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記懸濁液が、懸濁液の重量に基づいて10重量%以上、好ましくは10重量%から80重量%、より好ましくは16重量%から60重量%の範囲、さらにより好ましくは16重量%から40重量%の範囲の固形分を有することを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記懸濁液が、分散剤の添加により安定化されることを特徴とする、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
段階b)の前記水溶性酸が2.6から5のpKを有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記水溶性酸が、酢酸、ギ酸、プロパン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくは酢酸、ギ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、最も好ましくは酢酸であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性酸が、好ましくは、段階a)において供給される酸/mGNCCで少なくとも1.5×10−4molの水素原子に相当する総量、より好ましくは段階a)において供給される酸/mGNCCでの2×10−4から12×10−4molの水素原子、最も好ましくは、段階a)において供給される酸/mGNCCでの3×10−4から10×10−4molの水素原子に相当する総量で投入されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
段階b)の前記水溶性酸が、段階a)おいて供給されるGNCCの乾燥重量に基づいて5から40重量%当量の純粋な酸に相当する総量、より好ましくは段階a)おいて供給されるGNCCの乾燥重量に基づいて10から30重量%当量の純粋な酸に相当する総量、最も好ましくは段階a)おいて供給されるGNCCの乾燥重量に基づいて15から25重量%当量の純粋な酸に相当する総量により投入されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
段階b)の前記水溶性酸が、総溶液の重量に対する純粋な酸の当量として決定して、25から75%、より好ましくは40から60%に相当する酸濃度を有する水溶液の形態で供給されることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
段階d)の際に、段階b)の前記酸が1つ以上の段階、好ましくは1段階で前記GNCCに添加されることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記水溶性塩のカチオンが、カリウム、ナトリウム、リチウムおよびこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはナトリウムであることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性塩のアニオンが、リン酸塩、リン酸二水素、リン酸一水素、シュウ酸塩、ケイ酸塩、これらの混合物およびこれらの水和物からなる群、より好ましくはリン酸塩、リン酸二水素、リン酸一水素、これらの混合物およびこれらの水和物からなる群、最も好ましくはリン酸二水素、リン酸一水素、これらの混合物およびこれらの水和物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記水溶性塩の前記アニオンが、段階a)において供給されるアニオン/mGNCCの少なくとも5×10−5molに相当する総量、好ましくは段階a)において供給されるアニオン/mGNCCの5×10−5から50×10−5molに相当する総量、より好ましくは段階a)において供給されるアニオン/mGNCCの10×10−5から30×10−5molに相当する総量で投入されることを特徴とする、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記水溶性塩が、1段階で添加されることを特徴とする、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
段階d)および前記水溶性塩の添加が、実質的に層流を発生するような撹拌条件下で撹拌反応器において好ましく実施されることを特徴とする、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
段階d)および前記水溶性塩の添加が、50℃を超える、好ましくは60℃を超える温度を有する水性環境下で好ましく実施されることを特徴とする、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
水性懸濁液が、段階d)後に濃縮されることを特徴とする、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の方法により得られる表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液。
【請求項22】
水性懸濁液のpHが、20℃で測定すると、6.0を越える、好ましくは6.5を越える、より好ましくは7.0を越える、さらにより好ましくは7.5を越えることを特徴とする、請求項21に記載の水性懸濁液。
【請求項23】
前記表面反応炭酸カルシウムが、20m/gを越える、好ましくは30m/gを越える、より好ましくは80m/gを越える比表面積を有することを特徴とする、請求項21または22に記載の水性懸濁液。
【請求項24】
前記表面反応炭酸カルシウムが、20m/gから200m/gの範囲内、好ましくは30m/gから150m/gの範囲内の比表面積を有することを特徴とする、請求項21または22に記載の水性懸濁液。
【請求項25】
前記表面反応炭酸カルシウムが、20から150m/gまたは30から200m/gの範囲内の比表面積および0.1から50μmの範囲内のメジアン粒子直径を有することを特徴とする、請求項21または22に記載の水性懸濁液。
【請求項26】
前記表面反応炭酸カルシウムが、0.1から50μm、好ましくは1から25μm、より好ましくは3から15μm、さらにより好ましくは5から12μmのメジアン粒子直径を有することを特徴とする、請求項21から24のいずれかに記載の水性懸濁液。
【請求項27】
前記表面反応炭酸カルシウムが、水銀多孔度測定により測定して、20容量%から40容量%の範囲内の粒子内多孔性を有することを特徴とする、請求項21から26のいずれかに記載の水性懸濁液。
【請求項28】
請求項21から27のいずれかに記載の水性懸濁液を乾燥することにより得られる固体表面反応炭酸カルシウム。
【請求項29】
請求項28に記載の固体表面反応炭酸カルシウムを脂肪酸または他の疎水化/親油化剤で処理することにより得られる処理表面反応炭酸カルシウム。
【請求項30】
紙、ティッシュペーパー、プラスチック、塗料における、または制御放出もしくは水処理剤としての、請求項21から27のいずれかに記載の表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液、請求項28に記載の固体表面反応炭酸カルシウムまたは請求項29に記載の処理表面反応炭酸カルシウムの使用。

【公表番号】特表2012−530042(P2012−530042A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515610(P2012−515610)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052666
【国際公開番号】WO2010/146530
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(505018120)オムヤ・デイベロツプメント・アー・ゲー (31)
【Fターム(参考)】