説明

強マット加工印刷物

【課題】生産性が高くコストが低く加工できる強いマット感を有する強マット加工印刷物を提供することにある。
【解決手段】基材11上に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷により印刷層12を設け、該印刷層の表面上に部分的又は全面に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷により下刷り層13を設け、印刷層12および下刷り層13の表面上に電子線又は紫外線硬化型コーティング剤を使用したコーティングにより上刷り層14を設け、コーティング剤をコーティングした時に、下刷り層13が、上刷り層14のレベリング不良を起こさせることによって、上刷り層14の下刷り層13と重なる部分に凹凸感のある凹凸加工部分を形成し、該凹凸加工部分に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷によりマット加工層14mを設けることによって、強いマット感を有する強マット加工部分を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷表面に強いマット感を有する強マット加工部分が形成された強マット加工印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷表面にマット加工部分を有する印刷加工物を作製する場合、マット加工として、シリカなどの粒形状を添加したマット加工インキまたは塗料を印刷表面にシルクスクリーン印刷などで印刷あるいは塗布してマット加工部分を形成している。そして、強いマット感のある強マット加工部分を形成するためには、マット加工インキを使用したシルクスクリーン印刷で行う必要がある。
【0003】
また、マット加工として、印刷物の上に下塗りを行い、その上にクリアーな電子線または紫外線硬化型のインキまたは塗料を塗布して下塗り部分に凹凸感のある凹凸加工部分が形成される凹凸模様を有する表面加工印刷塗工物も開示されている。(特開平6−278354号公報)
【0004】
さらに、本出願人は、基材上に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷による印刷層が設けられ、該印刷層の表面上に部分的又は全面に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷による下刷り層が設けられ、印刷層および下刷り層の表面上にコーティングにより上刷り層が設けられ、下刷り層が、上刷り層のコーティング剤を塗布した時に、コーティング剤をはじく層であることによって、上刷り層の下刷り層と重なる部分が凹凸感のある凹凸加工部分に形成され、他の部分が艶加工部分に形成されていることを特徴とする凹凸感を有するマット加工印刷物を提案している(例えば、特許文献1に参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−181370公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マット加工として、マット加工インキまたは塗料を印刷表面にシルクスクリーン印刷等の印刷あるいは塗布する方法では、充分な強いマット感を有するマット加工表面を表現することが難しいという問題がある。特に、シルクスクリーン印刷により印刷する方法は、生産性が低くコストが高いという問題点があり、また、マット加工インキまたは塗料を使用しない方法もあるが、下塗り加工を行い、その上にクリアーな電子線または紫外線硬化型のインキまたは塗料をスクリーン印刷あるいはコーターでのコーティングで行うため、この方法も生産性が低くコストが高いという問題点がある。いずれの方法においても絵柄の印刷の上に、別の工程で強いマット感を有する強マット加工部分を形成することになり、さらに生産性が低くコストが高いという問題点がある。
また、前述の基材上の印刷層および下刷り層の表面上にコーティングにより上刷り層が設けられ、下刷り層が、上刷り層のコーティング剤を塗布した時に、コーティング剤をはじく層であることによって、上刷り層の下刷り層と重なる部分に凹凸感のある凹凸加工部分を形成したものは、凹凸感のある表面とはなるものの、マット感としては、不十分なものであり、強いマット感を有する印刷物が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、生産性が高くコストが低く加工できる強いマット感を有する強マット加工印刷物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の問題点を解決するための手段につき鋭意検討した結果、本発明は、基材上に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷により印刷層を設け、該印刷層の表面上に部分的又は全面に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷により下刷り層を設け、前記印刷層および前記下刷り層の表面上に電子線又は紫外線硬化型コーティング剤を使用したコーティングにより上刷り層を設け、該上刷り層の前記コーティング剤をコーティングした時に、前記下刷り層が、前記上刷り層のレベリング不良を起こさせることによって、前記上刷り層の前記下刷り層と重なる部分に凹凸感のある凹凸加工部分を形成し、該凹凸加工部分に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷によりマット加工層を設けることによって、強いマット感を有する強マット加工部分を形成していることを特徴とする強マット加工印刷物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の強マット加工印刷物は、生産性が高くコストが低く加工できる強いマット感のある強マット加工印刷物であり、また、本発明の強マット加工印刷物の加工方法によれば、絵柄の印刷層、下刷り層、上刷り層、マット加工層をオフセット印刷機を用いて設けることができ、さらに、オフセット印刷機を用いて一工程で行うことによって、艶加工部分と精密な強いマット感のある強マット加工部分を有し、かつ、生産性が高くコストが低く加工できる強いマット感のある強マット加工印刷物を得ることができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に係る強いマット感を有する強マット加工印刷物についてさらに詳しく説明する。
【0011】
図1は、本発明の強いマット感を有する強マット加工印刷物の構成を示す概略断面図である。まず、基材11の表面にオフセット印刷による絵柄などの印刷層12が設けられ、つぎに、印刷層12の表面の凹凸感のある凹凸加工部分14mとなる部分にオフセット印刷により下刷り層13が設けられ、さらに、印刷層12および下刷り層13の表面上にコーティングにより上刷り層14が設けられ、最後に、上刷り層14の表面上に印刷によりマット加工層15が設けられている。この時、図1−aに示すように、下刷り層13を設けた部分が、上にコーティングされた上刷り層14の表面が平滑ではなく凹凸状になる、いわゆるレベリング不良を起こさせることにより、上刷り層14の下刷り層13と重なる部分が凹凸感のある凹凸加工部分14mとなり、下刷り層13を設けていない部分が、そのまま艶加工部分14nとなる。そして、この凹凸感のある凹凸加工部分14mの上にマット加工層15をオフセット印刷で設ける。このマット加工層15を設けることによって、図1−bに示すように、凹凸感のある凹凸加工部分14mは強いマット感のある強マット加工部分15mとなり、同時にそれ以外の部分は一般的なマット加工部分15nとすることができる。さらに、このマット加工層15を凹凸感のある凹凸加工部分14mの上のみに設けることによって、強いマット感のある強マット加工部分15mと、それ以外の部分はそのまま艶加工部分14nとすることができる。
【0012】
つぎに、上記の強マット加工印刷物10を構成する各層について説明する。
【0013】
まず、本発明の強いマット感を有する強マット加工印刷物を構成する基材11としては、板紙を主とする紙、プラスチックシートなどがあり、オフセット印刷が可能な材料が使用される。
【0014】
つぎに、印刷層12が基材11の表面に設けられている。この印刷層12は、絵柄、表示などが印刷された層であり、公知の電子線または紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷(平版印刷)で設けられ、つぎの下刷り層13との密着性の良いインキを選定する。
【0015】
つぎに、下刷り層13が印刷層12の表面に設けられている。この下刷り層13は、印刷層12の全面に設けることもできるが、部分的に設けることによって、下刷り層13が設けられた部分で上刷り層14のレベリング不良が起こり凹凸感を有する凹凸加工部分14mとなり、艶加工部分14nと14mとの両部分を有する印刷加工物とすることができる。この下刷り層13も、オフセット印刷(平版印刷)で設けられる。
【0016】
この下刷り層13に使用するUV剥離OPニスは、電子線または紫外線硬化型インキであり、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤を混合した主剤に、ポリエチレンワックス、反応性シリコーン等を添加剤として主剤に対して0〜10重量%加えたものを使用する。この下刷り層13は、基材11上に乾燥膜圧で約1〜10g/m2となるような量で設けることが好ましい。印刷層12と下刷り層13を設けた後、電子線又は紫外線照射により硬化させた後、同一工程で上刷り層14が設けられる。
【0017】
ポリマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(以下、「メチルアクリレート」と「メチルメタクリレート」とを、「(メタ)アクリレート」と表記する。以下、同様。)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレンの如き1分子中に1個の重合性ビニル基を有する、いわゆる単官能モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き1分子中に2個の重合性ビニル基を有する、いわゆる2官能のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの如き1分子中に3個以上の重合性ビニル基を有する、いわゆる多官能モノマー、などがあげられる。
【0018】
さらに、オリゴマーとして、不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどのオリゴマーを用いることもできる。
【0019】
光重合開始剤として特に制約を設ける必要はないが、重合性の組成物に溶解可能な物質が好ましく、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤であって良い。そのような光重合開始剤としては、例えば、p−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾイン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、などがあげられる。
【0020】
また、光重合開始剤に光増感剤を併用しても差し支えない。このような光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、n−ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0021】
つぎに、上刷り層14が下刷り層13の上に設けられている。この上刷り層14は、コーティングによって設けられるが、オフセット印刷機のユニットに設置されたコーターユニットで行なうことができる。
【0022】
この上刷り層14に使用するコーティング剤は、電子線または紫外線硬化型のコーティング剤であり、下刷り層13の上にコーティングされた場合に、レベリング不良を起こすと同時に、上に設けられるマット加工層15との密着が良好なものが選択される。このような電子線または紫外線硬化型のコーティング剤としては、下刷り層13に使用するインキの主剤と同様に、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤、添加剤を混合したものである。ポリマー、モノマー、光重合開始剤を混合した主剤に対して、添加剤の添加量は5重量%以下としている。本発明の強マット加工印刷物を得るための上刷り層14に使用するコーティング剤では、添加剤の中の一つであり、滑りを与え、表面強度を向上させる滑剤に、ワックスと液状スリップ剤を使用する。ワックスは、ポリエチレン系、PTF系(ポリテトラエフロロエチレン)、パラフィン系等を使用し、液状スリップ剤は、メチルシロキ酸および変性物等を使用する。この滑剤の添加量が多すぎる場合、下刷り層13の上に重ねた時に、レベリング不良を起こしにくくなる上に、上に設けるマット加工層15との密着が悪くなる。この滑剤の添加量が少な過ぎる場合、レベリング不良を起こしやすくなり、はじいてしまう。詳しくは、ワックスは、0.01〜4.99重量%の範囲が好ましく、液状スリップ剤は、0.01〜1.0重量%の範囲が好ましい。このような範囲とすることによって、下刷り層13の上に上刷り層14がコーティングされた場合に、上刷り層14にレベリング不良を起こさせると同時に、上に設けられるマット加工層15との密着が良好なものとなる。特に、液状スリップ剤の添加量の影響は大きい。
また、この上刷り層14は、硬化後の膜厚で約3〜20g/m2となるような量で設けることが好ましい。
【0023】
このようにして、上刷り層14において、艶加工部分14nと凹凸感のある凹凸加工部分14mとの両部分を有した印刷加工物となる。
【0024】
最後に、マット加工層15が上刷り層14の上に設けられている。このマット加工層15は、オフセット印刷(平版印刷)によって設けられる。このマット加工層15に使用するインキも、電子線または紫外線硬化型インキであり、少なくともポリマー、モノマー、光重合開始剤を混合した主剤に、ポリエチレンワックス、反応性シリコーン等を添加剤として主剤に対して0〜10重量%加えたものを使用する。この下刷り層13は、基材11上に乾燥膜圧で約1〜10g/m2となるような量で設けることが好ましい。
【0025】
つぎに、本発明の強いマット感を有する強マット加工印刷物を作成する加工方法について説明する。本発明の強マット加工印刷物は、印刷層12、下刷り層13、上刷り層14、マット加工層15を、それぞれ別の工程で行うことができるが、オフセット印刷による二工程で加工することができる。まず、一工程のオフセット印刷Pでは、図2−aに示すように、印刷ユニットB、紫外線照射装置Cに加えて、コーターユニットD、紫外線照射装置Eを設置しているオフセット印刷機で行い、つぎに、別の工程でマット加工層15を印刷する。この場合、最初の工程での上刷り層14の加工後は、紫外線照射装置Eで充分な硬化を行い次の工程へ送る。つぎの工程で、マット加工層15を印刷するが、硬化した上刷り層14の上にも、本発明におけるマット加工層15は密着する材料構成となっている。また、印刷層12、下刷り層13、上刷り層14、マット加工層15を、一工程で設けることができ、図2−bに示すように、印刷ユニットB、紫外線照射装置Cに加えて、コーターユニットD、紫外線照射装置Eを設置し、さらに、印刷ユニットF、紫外線照射装置Gを加えた印刷機で行うことができる。この場合には、上刷り層14の加工後の紫外線照射装置Eでの硬化は、充分でなくてもよく、最後の紫外線照射装置Gで完全に硬化させる。
【0026】
なお、本発明の印刷層12、下刷り層13、上刷り層14、マット加工層15の電子線または紫外線硬化型のインキあるいはコーティング剤を硬化させる方法としては、電子線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の種々の電子線、放射線等を照射可能な装置を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。また、紫外線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の紫外線照射装置(水銀ランプ、紫外線ランプ、白熱灯、ハロゲンランプ等)を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。
【実施例】
【0027】
基材11に板紙(コートボール310g/m2)を用いて、印刷ユニットB、紫外線照射装置Cに加えて、コーターユニットD、紫外線照射装置Eを設置し、さらに、印刷ユニットF、紫外線照射装置Gを加えた印刷機Pにより一工程で強いマット感を有する強マット加工印刷物の加工を行った。
【0028】
まず、基材層1の板紙に印刷層12を設けた。印刷層12である絵柄の印刷は、フィーダーAから供給された基材11に印刷ユニットBにおいて5色を印刷する。インキは、下記の組成のUVカルトンインキ((株)インクテック社製)を使用した。
有機顔料 15〜25重量%
感光性樹脂 40〜50重量%
感光性モノマー 15〜25重量%
光重合開始剤 5〜10重量%
【0029】
つぎに、印刷層12の上に下刷り層13を設けた。下刷り層13の印刷は、印刷ユニットBの6色目で行い、インキは、下記の組成のUVカルトンUSハクリニス((株)インクテック社製)を使用した。この印刷層12と下刷り層13の印刷の後、紫外線照射装置Cを用いて乾燥硬化させた。
ポリエステル樹脂 15〜25重量%
アクリルエステルオリゴマーモノマー 50〜75重量%
光開始剤 5〜10重量%
ポリエチレンワックス、反応性シリコーン 10重量%
【0030】
つづいて、下刷り層13の上に上刷り層14を設けた。上刷り層14の加工は、ユニットのUVコーターユニットDで行い、コーティング剤としては、下記の組成のUVクリアーEX−1085コートニス((株)インクテック社製)を使用した。この上刷り層14の加工後、紫外線照射装置Eを用いて乾燥硬化させた。
感光性樹脂 45〜55重量%
感光性モノマー 15〜25重量%
光重合開始剤 5〜10重量%
添加剤 4重量%未満
滑剤 ワックス剤 3.00重量%
液状スリップ剤 0.05重量%
【0031】
最後に、上刷り層14の上にマット加工層15を設けた。マット加工層15の加工は、印刷ユニットFで行い、インキとしては、下記の組成のUVカルトンドライオフマットOPニス((株)インクテック社製)を使用した。このマット加工層15の印刷後、紫外線照射装置Gを用いて乾燥硬化させた。
感光性樹脂 45〜55重量%
感光性モノマー 15〜25重量%
光重合開始剤 5〜10重量%
添加剤 5重量%未満
【0032】
このように、オフセット印刷機Pのユニットにおいて、上刷り層14を加工することによって、下刷り層13と重なる部分は、レベリング不良を起こして凹凸感のある凹凸加工部分14mとなり、さらに、この凹凸感のある凹凸加工部分14mの上にマット加工層15をオフセット印刷で設けることによって、図1−bに示すように、凹凸感のある凹凸加工部分14mと重なる部分は強いマット感のある強マット加工部分15mとなり、同時にそれ以外の部分は一般的なマット加工部分15nなった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る強マット加工印刷物の断面図である。
【図2】本発明に係る強マット加工印刷物を加工する印刷機の概略図である。
【符号の説明】
【0034】
10 印刷物
11 基材(コート紙)
12 印刷層
13 下刷り層
14 上刷り層
14m 凹凸加工部分
14n 艶加工部分
15 マット加工層
15m 強マット加工部分
15n マット加工部分
P オフセット印刷機
A フィーダー
B 印刷ユニット
C 紫外線照射装置
D コーターユニット
E 紫外線照射装置
F 印刷ユニット
G 紫外線照射装置
H デリバリー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷により印刷層を設け、該印刷層の表面上に部分的又は全面に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷により下刷り層を設け、前記印刷層および前記下刷り層の表面上に電子線又は紫外線硬化型コーティング剤を使用したコーティングにより上刷り層を設け、前記コーティング剤をコーティングした時に、前記下刷り層が、前記上刷り層のレベリング不良を起こさせることによって、前記上刷り層の前記下刷り層と重なる部分に凹凸感のある凹凸加工部分を形成し、該凹凸加工部分に電子線又は紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷によりマット加工層を設けることによって、強いマット感を有する強マット加工部分を形成していることを特徴とする強マット加工印刷物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−143028(P2010−143028A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321490(P2008−321490)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】