説明

強度変調X線源を用いたシステム及び方法

本発明は、複数の検出器と、制御装置と、X線源とを有し、a)前記制御装置は、複数の検出器の少なくとも一つから、最低X線透過レベルを検出、及び、特定し、b)前記制御装置は、前記最低X線透過レベルを少なくとも一つの既定の閾透過レベルと比較し、c)前記制御装置は、前記比較に基づいて、調整信号を生成し、前記X線源は、前記調整信号を受信し、前記調整信号に基づきX線のパルスの持続時間を調整することを特徴とするX線走査システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2008年8月11日付出願の米国暫定特許出願番号61/087,810に基づく。
【0002】
本発明は、概して、放射エネルギー画像システムの分野に関する。詳細には、高強度のX線源を用いて、特殊核物質(SNM:special nuclear materials)、および、その他の禁制品を検出するシステム及び技術とに関する。特に、本発明は、貨物を透過するのに十分な最低X線強度を提供し、SNMやその他の禁制品を検出する改良方法、および、改良システムに関する。
【背景技術】
【0003】
特殊核物質(SNM)やその他の禁制品を検出するための貨物コンテナや、トラックのX線画像は、高強度のX線放射線源を必要とする。特定の線源のエネルギーの強度が高ければ高いほど、X線ビームが透過できる物質の量は増え、良好なコントラストと解像を得ることができる。従来では、検査システムのX線源強度は、システムに固有の環境や検査領域の下で許容される最も高いレベルに設定されていた。ここで、システムに固有の環境や検査領域の下で許容される最も高いレベルは、Output Set Point (OSP)と呼ばれる。貨物の正確な検査がかかる強度を必要とするかどうかにかかわらず、全ての貨物は、かかる固定強度を用いて検査されていた。OSPは、通常、線源が生成できる最高の強度ではない。大抵、OSPは、線源が所定の除外範囲の境界に存在する既定の放射線量限度を超えないように設定されているか、または、(トラックドライバーが自身のトラックを運転して検査システムを通過する)ポータル検査システムの場合には、検査されるトラックのドライバーの放射線量限度以下になるように設定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の検査システムは貨物に対する高い透過性を提供している。しかしながら、これらのシステムは、定格の線源の最高強度(通常OSPより高い)を生かしていないという点で不十分である。さらに、従来の検査システムは、ある貨物(あるいは、その部分)に対して必要とされる強度よりかなり高い強度を用いており、検査システムの周囲において、平均して不必要に高い放射線レベルを用いることになっていた。
【0005】
従って、必要とされるのは、貨物を撮影し、かつ/または、貨物を透過するのに十分な最低のX線強度を与えるものである。
【0006】
さらに必要とされるのは、重量負荷及び遮蔽条件を考慮した強度変調された6MeV以上のX線源を用いることが可能な可動性の検査システム、または、トラックに搭載される検査システム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の検出器と、制御装置と、X線源とを有し、前記制御装置は、複数の検出器の少なくとも一つから、最低X線透過レベルを検出、及び、特定し、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルを少なくとも一つの既定の閾透過レベルと比較し、前記制御装置は、前記比較に基づいて、調整信号を生成し、前記X線源は、前記調整信号を受信し、前記調整信号に基づきX線のパルスの持続時間を調整することを特徴とするX線走査システムを提供する。
【0008】
好ましくは、前記X線源は、1MeVから15MeVの範囲のエネルギーを有する線形加速装置である。また、制御装置は、前記調整信号を受信し、前記調整信号に基づいてX線のパルスの持続時間を調整する。また、前記制御装置は、最低X線透過レベルと第1の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透過得レベルが前記第1の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線パルスの持続期間を増加させる調整信号を生成する。また、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1の既定の閾値および第2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第1の既定の閾値より大きく、前記第2の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルスの持続時間を変更しないようにさせる調整信号を生成する。また、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1、2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第2の既定の閾値より大きければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルスの持続時間を減少させる調整信号を生成する。
【0009】
好ましくは、制御装置は、処理装置を有するコンピュータを有し、前記処理装置は、前記複数の検出器の少なくとも一つから信号を受信する入出力ボードと連動する。また、処理装置は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路の少なくとも一つである。
【0010】
好ましくは、前記複数の検出器は第1の検出器アレイと第2の検出器アレイとを有し、前記第1の検出器アレイは後続するX線のパルスの要求される線源強度を測定し、前記第2の検出器アレイは、透過像を測定するが、要求された線源強度を測定しない。また、前記X線源は、第1のX線パルスから生成された調整信号に基づいて、第2のX線パルスの持続期間を調し、前記第1のX線パルスは、前記第2のX線パルスの直前に発生したものである。
【0011】
別の実施の形態において、本発明は、X線源と、透過能力と、放射線到達範囲と、複数の検出器とを有するX線走査システムの組み込み方法において、制御装置を組み込み、前記制御装置は、複数の検出器の少なくとも一つから、最低X線透過レベルを検出、特定し、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルを少なくとも一つの既定の閾透過レベルと比較し、前記制御装置は、前記比較に基づいて、調整信号を生成し、前記調整信号は、X線のパルスの持続時間を調整することを特徴とする方法を提供する。
【0012】
好ましくは、前記X線源は、1MeVから15MeVの範囲のエネルギーを有する線形加速装置である。また、前記透過能力は、1cmから10cmの距離範囲で増加する。また、前記放射線到達範囲は、1から9の値の因数分改善する。また、前記制御装置は、最低X線透過レベルと第1の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透過得レベルが前記第1の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線パルス持続期間を増加させる調整信号を生成する。また、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1の既定の閾値および第2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第1の既定の閾値より大きく、前記第2の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルスの持続時間を変更しないようにさせる調整信号を生成する。また、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1の既定の閾値および第2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第2の既定の閾値より大きければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルス持続時間を減少させる調整信号を生成する。
【0013】
好ましくは、制御装置は、処理装置を有するコンピュータを有し、前記処理装置は、前記複数の検出器の少なくとも一つから信号を受信する入出力ボードと連動する。また、前記複数の検出器は第1の検出器アレイと第2の検出器アレイとを有し、前記第1の検出器アレイは後続するX線のパルスの要求される線源強度を測定し、前記第2の検出器アレイは、透過像を測定するが、要求された線源強度を測定しない。また、X線源は、第1のX線パルスから生成された調整信号に基づいて、第2のX線パルスの持続期間を調整し、前記第1のX線パルスは、前記第2のX線パルスの直前に発生したものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の、上記及びそれ以外の特徴と効果とは、以下の詳細な説明が、添付の図面とともに考慮、理解されたときに評価されるものである。
【図1a】貨物検査システムの一つの実施の形態を示す図。
【図1b】貨物のX線画像と、従来の6MeV線形加速装置(linac)X線源を用いた貨物検査システムを用いて固定の強度によって得られた線グラフと、強度変調された線源を用いて得られた別の線グラフとを示す図。
【図2】1000個の画像による解析結果を示すグラフである。当該画像は、放射線到達範囲(footprint)減少因数を示し、本発明の強度変調システムを用いた従来の画像システムより得られたものである。
【図3】2つのタイプの電子銃に用いられる電子回路を示す図。
【図4a】特定の厚さを持つ球体の鉛遮蔽物のシミュレーション結果を示す図。
【図4b】鉛遮蔽物が無い場合のシミュレーション結果を示す図。
【図4c】図4aに示す結果と図4bに示す結果との比を示す図。
【図5a】鉛の完全遮蔽による結果から遮蔽物の必要とされる量を示す図。
【図5b】タングステンの完全遮蔽による結果から遮蔽物の必要とされる量を示す図。
【図6】一つの実施の形態における、6MeVのXバンド加速装置による遮蔽物の設計を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
危険物および禁制品を検査し、照合するX線貨物検査システムは競合する性能要件に対処するものでなければならない。高いX線強度は高密度の貨物を透過するために必要とされる。一方で、低い強度は、放射線の到達範囲(footprint)(制御する領域の大きさ)、要求される遮蔽、及び、職員の放射線量を最小化するのに望ましい。
【0016】
貨物検査の目的のために用いられるほとんどのX線源は、線形加速装置に基づくものであり、電子が電子銃からパルス状に出力される。これらの電子は、特定の運動エネルギーまで線形加速装置によって加速される。産業で用いられる典型的な線源では、運動エネルギーは、1MeV、4MeV、4.5MeV、6MeV、9MeVなどの、1〜15MeVの値に設定される。加速された電子は、タングステン(タングステンのみに限定されないが)などの高密度物質からなる標的に衝突し、X線を開放する。開放されたX線は、検査システムに用いられる。X線ビームの平均強度は、標的に衝突する電子の一秒あたりの数に正比例する。電子は帯電している。標的に衝突する全電荷を加速装置における平均電子カレント(MeV)と呼ぶ。
【0017】
線形加速装置はパルスを発する装置であり、各パルスは、典型的には数マイクロ秒間持続する。平均カレントは、加速装置の最大カレント、一秒間のパルス数、各パルスの持続時間を用いて決定される。加速装置の最大カレントは、実際のパルスの持続している間に計測される電子の流れである。各パルスは短い時間持続するので、一秒間にそれほど多くのパルスは存在せず(高々400程度)、加速装置の平均カレントは最大カレントより十分に小さく、ほとんどの時間加速装置には電子カレントが存在しない。
【0018】
従って、加速装置における平均電子カレント、即ち、線源の平均X線出力強度を制御する3つの方法、最大カレント、一秒あたりのパルス数、パルスの持続時間がある。従来の線源を用いた場合には、線源は、予め固定して設定される。かかる設定において、加速装置の最大カレント、その他の性質の数、また、X線源だけでなく(適切な位相とラジオ周波数(RF:radio-frequency)の電磁波であって、電子を加速する電磁波を提供する)変調器とRF源それ自体を調整している。通常、これは、パルスの持続時間も電子の運動エネルギーも変えることなく行われる。事後的に線源の強度を変化させるためには、通常、製造業者からのサービスを要請する電話が必要となる。
【0019】
既存の線源は、Output Set Point(OSP)と呼ばれる固定X線強度で動作する。多くの典型的な画像では、OSPは必要とされるより高い。放射線の到達範囲(footprint)を低減させるために線源の最大定格出力より低いものがOSPとして選択された場合には、性能が制限されるかもしれない。
【0020】
従って、強度変調されたX線源は、貨物検査システムの画像透過性能を著しく強化する。同時に、除外範囲と、貨物と職員とに対する放射線量とに関する放射線の平均到達範囲(footprint)を同じに維持することができる。
【0021】
本発明は、SNMやその他の禁制品を検出するために、貨物に十分に透過した画像を得るためのX線強度をパルス毎に提供するための改良された方法およびシステムに関する。好ましくは、本発明は、パルスの持続時間を変調することにより、最大カレントを変更することによって生じるエネルギーの変動を取り除き、パルス繰返し数を変更することによる複雑さを避けている。
【0022】
本発明は、前回のパルスの間に検査システムの検出器アレイによって測定された信号強度に基づいて、線源のX線強度をパルス毎に変化させるための改良された方法およびシステムに関する。
【0023】
本発明は、フィードバックシステムに関するものである。当該フィードバックシステムにおいて、標準線形加速装置に基づいたパルス状のX線源の強度が様々な方法によって変化される。この方法は、コンピュータによる一つのパルスから次のパルスへの制御の下で、パルスの幅、最大ビームカレントを変化させることを含んでいる。従って、システムは、X線源の強度を変調するために、フィードバックループの一部として測定されたX線の強度を用いている。
【0024】
本発明は、線形加速装置によるX線源を用いた貨物検査システムに関する。ここで、6MeVの線源を用いることにより、従来のシステムより鉄(または、鉄の等価物)に対して最大2インチの透過能力の向上を達成しつつ、放射線の到達範囲(footprint)を平均して現在の固定強度線源と以下にすることができる。特に、本発明は、既存のX線システムを改良して用いることができ、平均して放射線の到達範囲(footprint)を1〜3倍改良することができ、鉄あるいは鉄の等価物に対する等価能力を1〜5cm改良することができる。
【0025】
6MeV以外のエネルギーの線源を用いると、上記の性能は変化するものの、性能はX線源のエネルギーの増加に伴って改良される。例えば、電子が1MeVから15MeVの範囲の運動エネルギーに加速されるシステムにおいて、1MeVは通常低い透過能力を意味しているが、本発明のシステムおよび方法は、1MeVのエネルギーの線源に対して1.05から2という低い因数分から、15MeVのエネルギーの線源に対して5から10という高い因数分までの放射線の到達範囲(footprint)の改善(減少)の見込みがあり、かつ、1MeVのエネルギーの線源に対して0.5〜1cmの透過能力の向上、及び15MeVのエネルギーの線源に対して約5〜10cmの透過能力の向上の見込みがある。
【0026】
本発明は貨物県債システムに関するものであり、貨物検査システムにおける検出器アレイによる前回のパルスの評価を行うことによって、各パルスの必要とされるX線強度を予測することができる。
【0027】
本発明は、線形加速装置(linac)に基づいたX線源に関するものであり、1)電気信号を介して一つのパルス強度から次のパルス強度を変化させ、2)検出器アレイのエレクトロニクスを介して次のパルスの必要とされる線源強度を決定している。
【0028】
さらに、本発明は、貨物検査システムに関するものであり、従来の線源と比較して、相対的に小さい線形加速システムであって、それぞれ遮蔽物を有するものである。
【0029】
本発明は、可動性またはトラックに搭載される検査システムおよび方法に関するものであって、重量負荷及び遮蔽要件を考慮しつつ6MeV以上の強度変調されたX線源を用いることができる。
【0030】
本発明は、多数の実施の形態に関するものである。本発明の特定の実施の形態に関して説明する。ここで述べる実施の形態は、特定の実施の形態を否定するものではなく、請求項に用いられる語句の意味を制限するために用いられるものでもない。注意すべきことは、本発明は、あらゆるタイプの放射線源および検出器アレイを有する任意の検査システムに用いることができるものの、本発明は、通常線形加速装置に基づくパルス状の高エネルギーX線源を用いた貨物検査システムについて記載している。従って、本記載は、決して限定を行うように解釈されてはならない。
【0031】
図1aに示されるように、一つの実施の形態では、本発明の貨物検査システム100は、X線源102と検出器アレイ104とを有する。検出器アレイ104は、複数の検出器106と、線源強度コントローラー(SIC:Source Intensity Controller)108とを有する。SIC108は、相応の電子機器を有し、与えられたX線パルスに対して、複数の検出器106にX線透過をさせ、最低透過レベルを記録した検出器を特定するように相互に接続される。SIC108は、最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第1のレベルAより小さいかを判断する。SIC108は、最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第1のレベルより大きく、かつ、前もってプログラムされた既定の第2のレベルより小さいかを判断する。SIC108は、最低透過レベルが第2のレベルより大きいかを判断する。一つの実施の形態では、任意の単位において、Aの値は300であり、Bの値は600である。
【0032】
当業者にとって自明であるが、SICは、多数の実施の形態で実施されることができる。一つの実施の形態では、本発明は、商業的に利用可能なFPGAを有する組込型コンピューターである。FPGAは、検出器アレイから信号を読むI/Oボードと接続される。FPGAは特別のファームウェアを有し、当該ファームウェアは、上記の計算を実行し、X線源に送信する必要のある要求された信号を決定し、当該信号をX線源に送信する。当業者にとって自明であるが、FPGAに代わってASICを用いることも可能である。
【0033】
いずれの場合もSIC108は、電気的接続、または/かつ、光学的接続により、X線源102に対して信号を送る。最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第1レベルAより小さければ、第1の信号はX線源102に次のパルスのX線強度を増やすように指示する。最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第1レベルAより大きく、しかし、前もってプログラムされた既定の第2のレベルBより小さければ、第2の信号が、現在の強度を維持するように線源に指示する。しかし、第2の信号は用いられず、線源が同じ強度を維持するようにデフォルト設定してもよい。最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第2のレベルAより大きければ、第3の信号が、次のパルスのX線強度を減少させるように線源に指示する。第4の信号は、線源にX線パルスを自分自身で生成するように支持するときに用いられる。既定の時間経過した後、第4の信号が、線源に新しい強度の設定を定めさせるために送信される。
【0034】
本発明は、パルス毎(即ち、数ミリ秒の間)にX線源102の強度を変調することが可能である。一つの実施の形態では、X線源102は変調されて、パルスからパルスへと強度が変化する。一つの実施の形態では、X線源102は、線形加速装置103を有する。一つの実施の形態では、X線源102は、線源強度制御受信器(SICR:Source Intensity Control Receiver)112を有する。SICR112は、電気回路であり、SICからの信号を受信し、次のパルスに対して要求される強度レベルのためのX線源102の準備に必要な機能を実行する。一つの実施の形態では、X線源102は、さらに、次のパルスの線源の強度を物理的に変化させる装置と方法とを有する。他の実施の形態では、X線源102は、さらに、参照/監視検出器114を有する。参照/監視検出器114は、各パルスを読み、パルスの持続している間に線源の正確な強度を与える。監視検出器はX線源に関する当業者に良く知られているためここで詳細は述べない。
【0035】
パルス状の線形加速装置に基づいたX線源において、線源強度は、以下の3つの要素に依存している。パルスの持続時間、線形加速器における電子の最大カレント、パルスの繰返し数である。第1の好ましい形態では、図3を用いて詳細に述べるように、線源強度はパルスの持続時間を変化させることによって変調される。X線源の変調方法として、パルスの持続時間を変化させることは、多くの複雑さを回避する。パルスの繰返し数(一秒当たりのパルス数)を変化させることは可能であるが、検査システムの運用の大掛かりな変更を必要とする。加速装置における電子の最大カレントを変化させることは可能であるが、後に述べるようにビーム負荷と呼ばれる加速装置の性質を変化させることになり、加速された電子のエネルギーに影響を与える。パルスの持続時間を変化させるときは、エネルギーは相対的に影響を受けない。
【0036】
第2の実施の形態では、線源強度は、最大カレントを変化させることによって変調される。しかしながら、最大カレントを変化させると、ビーム負荷を変化させることになる。電子は、加速装置の構造から引かれたエネルギーであり、利用可能なエネルギーは低下し、その後に電子は低いエネルギーを得る。最大カレントを変化させることは、加速される電子の数を変化させ、ビーム負荷が変化し、加速に利用できる電子の量が変化する。従って、ビーム負荷を変化させると電子が加速される最終エネルギーが変化することになる。電子機器を追加して、変調器とRF線源との設定を変更することにより、このことを補間することも可能である。
【0037】
第3の実施の形態では、一秒当たりのパルス数を変化させることで線源強度を変調している。この方法は本発明に利用してもよいが、従来のX線写真システムは単一の線形加速装置パルスを用いてX線写真における画素の1列を生成している。従って、従来のシステムにおいて、一秒あたりのパルス数と、(スキャン方向に沿った)長手方向の解像度とは、直接的な関係がある。この方法を用いるため、本発明は、従来の線源より一秒当たりにより多くのパルスを発生させることができ、検出システムは、画像における画素の列を生成するために、固定時間間隔において、異なったパルスから信号を統合する。即ち、従来は各パルスが画像の列として用いられていたのに対して、今や、画像の各列は、多数のX線パルスの和からなる。
【0038】
強度変調されたX線源を用いることの利点は以下のようである。
・強度変調された線源のOSPが従来の線形加速装置のX線源と同等である場合は、要求されるX線強度が貨物の低い濃度領域では小さくなるために、強度変調された線源によって発生した放射線の平均量は、平均して(上記のように)かなりの因数分減少される。
・強度変調された線源のOSPは、強度変調された平均放射線量が同等の従来の線源とおよそ同じになるように、従来の同等の線形加速装置X線源に対して因数F分高くなるように選択される。6MeVの線源では、F=4とするとこの目標を達成できる。事実、放射線の到達範囲(footprint)は従来の線源よりやや小さくなる。これは、平均して、F=4による増加が画像の小さい部分にのみ必要とされるからである。しかしながら、濃度の高い貨物における透過能力は、鉄5cm相当分増加する。これは、鉄の板の後に鉛のブロックを用いて測定した場合には、6MeVの線源を使った40cmの鉄の最先端の透過能力に対して約13パーセントの改善を意味している。
・これら2つの極端な例の中間として様々な構成が可能である。例えば、といってもこの例に限定されるわけではないが、6MeVのX線源において、因数1.65分だけ平均放射線の到達範囲(footprint)を低下させて、2.5cmの鉄に相当する透過能力を得ることができる。
【0039】
貨物検査システムは、動作中、以下のような本発明の線源変調システムと方法を用いる。OSPは、上述のような概略に沿ったものに相当するように選択され、詳細には、従来の線源と同等か、(6MeVの)従来の線源より4倍大きいか、または、これら2つの間をとるかである。強度変調された線源において、OSPは、許容される出力の最大強度として定義される(定格強度より小さくてもよい)。
【0040】
強度変調システムは、最低強度の設定で初期化される。かかる強度で、1回の垂直ラインスキャンがシステムにより実行される。上述のように、貨物検査システムにおいて、システムの検出器のいずれかが、線源強度制御電子機器が特定の既定の閾信号Aより小さい信号を受信したかどうかを判断する。もしそうなら、電子機器は、強度変調線源システムに数倍、例えば2倍分増加した出力をするように指示する。第2の垂直ラインが、新しい高い強度で実行される。もし検出器のいずれかが閾信号Aより小さい信号を受信したら、電子機器は、電子機器は、強度変調線源に2倍分強度の増加を繰返し指示する。この処理は、強度変調線源がOSPに達するか、各検出器の信号が閾信号Aになるまで繰り返される。
【0041】
選択肢として、最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第1のレベルAより大きく、前もってプログラムされた既定の第2のレベルより小さいときには、異なった信号が、線源に同じ強度に維持するように指示する。しかしながら、この信号は用いられず、線源は信号からの指示がないときには、同じ強度を維持するようにデフォルト設定されていてもよい。
【0042】
最低透過レベルが、前もってプログラムされた既定の第2のレベルBより大きければ、信号は、次のパルスの強度を増加させるよう線源に指示する。
【0043】
選択肢として、X線走査システムは、互いに隣接する2つの検出器アレイを有してもよい。第1のアレイは、(透過像ではなく)次のパルスの要求された線源強度を測定するように構成され、第2のアレイは、(要求された線源の強度でなく)透過画像を測定するように構成される。この技術を用いることにより、次のパルスの要求された強度が正確に測定される。検出器のアレイの数を増やすとコストが増加するが、検査システムの処理能力を増加させることもできる。当業者であれば、その他の専門の検出アレイが追加され、本発明に含まれることが可能であることを理解できる。
【0044】
変形例として、線源から固定因数分の増加を要求する代わりに、次のパルスにおいて線源に要求された強度を伝達する直接的な信号を送信することも可能である。本発明は、線源の強度を因数分だけ変化するように述べたが、線源に対して特定の強度変化を示すようにしてもよい。
【0045】
理想的な線源強度は最低線源レベルが常にAである。従って、次回のパルスの適切な強度Inewは以下のようになる。

Inew = Icur * A / Dmin (1)
【0046】
ここで、Inewは、線源の最小可能強度Iminと最大可能強度Imaxの間である。Dminは、測定された検出器レベルの最低値である。Icurは、現在の線源強度である。一つの実施の形態において、この新しい強度値は、アナログまたはデジタル形式で電気的な接続、或いは、デジタル形式で光学的な接続を経て、IMAXS線源に送信される。上記の式は、X線源が、IminとImaxとの間で、任意の強度、または、要求された強度に近い強度を生成できることを前提にしている。このように微調整された強度調整は、著しく性能を向上させない。事実、(貨物の低い吸収率を示す)明るい領域と、(高い吸収率を示す)暗い領域との間の閾値において、このような微調整された強度調整は弊害をもたらす。強度調整は結局、前回のパルスの間に測定された検出器のレベルに基づくものである。前回のパルスにおいて測定された検出器レベルから予想されるより大きい強度が必要とされる場合を予測する、強度について(2倍程度の)大きい差(ステップ)を設けるのがよい。
【0047】
従って、一つの実施の形態では、以下の式を用いてより適切な強度が計算される。
【0048】
Inew
= Imax * exp (-log(2)*floor[log((Imax * Dmin)/(A * Icur))/log(2)]) (2)
【0049】
ここで、関数floor(x)は、xより小さい整数で、xに最も近いものを見つける。式(2)は、関数floor()が無ければ、式(1)になる。式(2)を用いると、(因数として2以外が選ばれるものの)強度は最大強度の2乗に変換される。IminとImaxとの間のこの新しい強度は、電気的にあるいは光学的に直接X線源に送信される。Imaxは、任意に1に規格化される。ここで、1は慣例によりIMAXS線源のOSPとされる。さらに、上記の2つの式において、SICは、現在の強度Icurの履歴を維持しなければならない。最後に、Dmin> 2 * Aでない、即ち、閾値Bが、実質的に2 * Aに設定されていれば、強度の変化は起こらない。
【0050】
別の信号は、線源に対して、X線パルスを自分自身で生成するように支持する。この最後の信号は、十分な時間が経過した後に、線源が新たな強度設定を定めるように送られる。この処理は、走査の最後まで続けられ、線源は、最低強度設定に戻ることになる。
【0051】
本発明は、従来の6MeVの線形加速装置X線源を用いた貨物検査システムに用いられる例のみに基づき説明する。本発明の上述の強度変調X線源技術は、任意の線形加速装置のエネルギー(通常は1〜15MeV)に用いられても良い。
【0052】
図1bは、従来の6MeVの線形加速装置線源を用いた貨物検査システムによって得られた、貨物X線画像である。グラフ110は、最低透過パターン115、最大透過ライン120、標準線源強度ライン125、最大強度変調線源パターン130を示している。透過信号は、X線画像の垂直列を、画像全体に渡って測定されている。X線画像は、X線の1パルスあたり1列を有する。強度変調された線源が用いられたときには、強度変調された線源パターン130は、線源強度ライン構造を描く。画像に示されるように、最低透過がかなり高い(画像において任意の単位の1,000〜10,000)多くの領域が存在し、最低透過が極めて小さい領域はわずかである。従来の線源は、同じ固定強度125を用いるが、強度変調された線源は、強度プロフィール130を有する。
【0053】
図2は、6MeVの固定強度のX線源を有するRapsican Systems, Inc. MSCS Eagle (登録商標) system によって得られた1000の画像を用いてIMAXS線源が有する効果を計算した結果を示すグラフ200である。上述のように、そして、グラフに示されるように、平均放射線量は因数3で減少しているが、画像透過は同等に維持されている。これらの画像のさらなる解析によって、従来の放射線の到達範囲(footprint)と同じでありながら、本発明の強度変調された線源を用いたシステムの画像における透過量は、鉄の等価物に対して約2インチ以上になる。
【0054】
上述のように、本発明は、パルス毎(数ミリ秒内に)に線源の強度を変調することができる。一つの実施の形態では、X線源は、システムがパルスからパルスへ強度を変化させるように変更できる。一つの実施の形態では、X線源は、さらにSICRを有する。SICRは、電気回路であり、SICから信号を受信し、次のパルスの要求される信号強度レベルの線源を準備するための必要な機能を実行する。上述のように、一つの実施の形態では、線源はパルスの持続時間を変化させることにより変調される。
【0055】
背景として、パルス状の電子加速装置は2つのタイプの電子銃のうち一つを有する。ダイオード銃か、3極管銃として知られるグリッド銃である。ダイオード銃が用いられる場合には、陰極における負の高電圧パルスによって電子が放射される。3極管銃の場合には、陰極は、より小さい負の高電圧に固定され、それ自体では電子を放出することができない。陰極の前におかれたグリッドは相対的に小さい正の電圧のパルスを発する。陰極とグリッドとを組合せた電圧により、電子は、陰極から逃げ出すことができる。いずれの場合も、加速構造において、RFパルスが同時に存在すると、電子は加速され、標的に衝突し、X線を生成する。これらの銃は、加速装置のタイプ、階調度、長さと独立に設計され、従って、任意の加速装置エネルギーやXバンド、Sバンドに用いられる。
【0056】
図3は、両方の電子銃に含まれる電子回路の図である。図3に示すように、図305は、ダイオード銃を伴った加速装置の回路であり、図310は、3極管銃、または、グリッド銃を伴った加速装置の回路である。図3は、本発明の強度変調線源能力と共に用いられる電子銃の両方を考慮した、改良電子回路306、311の設計例をさらに描いている。これらの設計は、単なる例であり、本発明はこの設計に限定されるものではない。
【0057】
図3に示すように、改良電子回路306、311は共に遅延生成器315を用いている。パルス間において、検査システム検出アレイからの情報が用いられ、遅延生成器315を特定の遅延値に設定する。かかる遅延値は、一つの実施の形態では0から加速装置のRFパルスの幅の間の範囲になる。ダイオード銃回路配列305が用いられた場合には、銃のパルスは、遅延の後、サイラトロン320を用いてグランド(ground)に固定され、効果的にパルスを短くする。ここで、遅延が短くなることによって、より少ない電子が生成され、従って、強度を減少させる。3極管回路310が用いられた場合には、少し異なった方法が用いられる。即ち、遅延によって、RFパルスはグリッドパルスのタイミングからずれる。この場合には、同数の電子が各パルスにおいて生成され、RFパルス内に放出された電子のみが加速される。遅延を変化させることにより、グリッドパルスとRFパルスとの重なりを変化させる。これにより、加速される電子の数を変化させ、強度を変化させる。別の3極管銃の選択は、グリッドパルスの幅を変化させることにより投入するパルスの幅を変化させることである。これにより、加速装置への電子の注入を減らすことができる。好ましい実施の形態では、3極管銃またはグリッド銃310は、相対的に低いグリッド電圧を有し、正確に時間を決めることができる。
【0058】
固定されたポータル検査システムに関して強度変調線源システムおよび方法を説明してきたが、本発明の強度変調線源を(トラックに搭載する)可動性の適用例に利用するこができる。可動性の応用例において、最大トラック重量と車輪毎の重量の制限により、遮蔽重量は、利用可能なX線源を制限する要素の一つである。高エネルギーの線源は、検出器の後ろにより多くの遮蔽と、より重いビームストップを必要とする。従って、現在利用できる可動性の検査システムは、〜4.5MeVまでの最大線源エネルギーを有している。本発明の強度変調線源は、画像装置の放射線の到達範囲(footprint)を全体で低くすることができるため、同じビームストップに対して高い線源を用いることが可能になる。従って、可動性の応用例に本発明を用いる際には、従来の4.5MeV線源に変わって、6MeV以上の線源を用いてもよい。
【0059】
伝統的に、線形加速装置において遮蔽物は、標的に近いタングステンのコリメーターを除いて鉛で構成されていた。鉛は廉価であるため好まれるが、以下で説明するように、ほとんどが鉛で構成された遮蔽物の重量は、全てタングステンで構成された遮蔽物よりはるかに大きい。
【0060】
理想的な遮蔽物は、密度が高く、高Z物質(high-Z material)であって、標的の回りに球状をなすものである。制動放射性スペクトルは、前方に高い強度と、高いエネルギーをもつため、球体は、標的の中心ではなく、前方に距離Dずらして配置される。図4aは、半径R=25cmの球状の鉛の遮蔽物、標的の空洞半径r=2cm、ズレ量D=1.5cmのシミュレーションの結果を示している。グラフ401において、線源から放射されたエネルギーは、前方からの角度の関数として示される。これは図4bと比較すべきものであり、図4bのグラフ403は、遮蔽されていない線源の同様なグラフを示している。図4cのグラフ405は2つのグラフ401,403の比を示している。グラフ405は、放射線が、全ての方角で、基本的に定数因数5.8 10−5分減少していることを示している。要求された減少因数が例えば2.5 10−6である場合には、下記の式を用いた補外法によって、鉛の遮蔽物として要求される半径Rdesiredが見出される。

【0061】
図5aは、鉛におけるこのタイプのシミュレーションの最終結果を示している。図5aのグラフ501は、各角度における必要とされる鉛の量(cmに比例)を示している。興味のあるエネルギー領域において、鉛とタングステンとの質量減衰係数は非常に似ているため、タングステンの結果は、鉛の結果に比重の比率をかけることによって計算可能である。90%の純度のタングステンでは、比重は、17.1g/ccであり、比率は0.664である。図5bのグラフ503は、必要とされるタングステンの量(cmに比例)の計算結果を示している。
【0062】
可動性の応用例おける本発明を用いた6MeVの線源の遮蔽物に関する要求について再検討すると、35cmの半径の鉛の球体は、23cmのタングステンの球体と同じ遮蔽量を提供することがわかる。半径は、比重の逆数に対応する。しかし、球体の体積は、半径の3乗に対応し、従って、比重の3乗の逆数に対応する。球体の重量は、比重の二乗の逆数に対応する。球体のタングステンの重量(〜900kg)は鉛の球体の重量(〜2000kg)よりかなり小さい。
【0063】
様々な障害、すなわち、加速器それ自身と制御信号の接続、RFパワーと冷却水などから、完全な球体の遮蔽物は実際的でない。図6は、6MeVのXバンド加速装置における好ましい遮蔽物の設計600を示している。この全てタングステンを使った遮蔽物において、遮蔽物、支持部、筐体、RFユニットを含んだ加速装置の全重量は約1540kgと見積もられる。これは、4.5MeVの現在使用されているSバンド加速装置(支持部、筐体、RFユニットを含む)の重量である約2630kgと比較されるべきものである。従って、全てタングステンの遮蔽物を用いることにより、6MeVのXバンド線源の重量が4.5MeVのSバンド線源と比較して約40%減少している。これは、(高価な)タングステンの遮蔽物のいくつかを鉛に変更する余地を残すものである。
【0064】
強度変調された線源を使用すると、貨物検査システムの放射線の到達範囲(footprint)を改善し、画像透過能力をかなり向上させることができる。また、可動性の検査の応用例における本発明の強度変調された線源とともに、高エネルギーの線源を許容する遮蔽物の設計を用いることも可能である。あるいは、同じ高エネルギー加速装置を用いつつ、重量を低くあるいは同等にすることができる。
【0065】
本発明の強度変調システムおよび方法は、任意の検査システムに利用できる。特に、本発明のシステムおよび方法は、二重エネルギー線形加速装置X線源において利用可能である。当該二重エネルギー線形加速装置X線源では、第1のエネルギーから第2のエネルギーに切り替るとともに強度が変調される。さらに、本発明のシステムおよび方法は、線形加速装置に基づいたX線源において利用可能である。当該線形加速装置に基づいたX線源は、ポータルシステム、固定システム、可動性システム、様々な環境を走査するシステムを含む。ポータルシステムのように職員が散乱されたX線にさらされるシステムは最もこの技術の利益を得る。
【0066】
上記の例は、本発明のシステムの様々な応用例を説明するための単なる例にすぎない。本発明のわずかな実施の形態のみがここに記載されているが、本発明の精神と範囲とを逸脱しない範囲で、本発明は、多くのほかの形態で実施されうる。従って、ここに示す例と実施の形態とは、説明のためのものであり、制限を与えるものではなく、本発明は添付の請求項の範囲内で変更されるものである。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.複数の検出器と、
b.制御装置と、
c.X線源とを有し、
前記制御装置は、複数の検出器の少なくとも一つから、最低X線透過レベルを検出、及び、特定し、
前記制御装置は、前記最低X線透過レベルを少なくとも一つの既定の閾透過レベルと比較し、
前記制御装置は、前記比較に基づいて、調整信号を生成し、
前記X線源は、前記調整信号を受信し、前記調整信号に基づきX線のパルスの持続時間を調整することを特徴とするX線走査システム。
【請求項2】
前記X線源は、1MeVから15MeVの範囲のエネルギーを有する線形加速装置であることを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項3】
前記調整信号を受信し、前記調整信号に基づいてX線のパルスの持続時間を調整する制御装置を有することを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項4】
前記制御装置は、最低X線透過レベルと第1の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透過得レベルが前記第1の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線パルスの持続期間を増加させる調整信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1の既定の閾値および第2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第1の既定の閾値より大きく、前記第2の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルスの持続時間を変更しないようにさせる調整信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1、2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第2の既定の閾値より大きければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルスの持続時間を減少させる調整信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項7】
制御装置は、処理装置を有するコンピュータを有し、
前記処理装置は、前記複数の検出器の少なくとも一つから信号を受信する入出力ボードと連動することを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項8】
処理装置は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項9】
前記複数の検出器は第1の検出器アレイと第2の検出器アレイとを有し、前記第1の検出器アレイは後続するX線のパルスの要求される線源強度を測定し、前記第2の検出器アレイは、透過像を測定するが、要求された線源強度を測定しないことを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項10】
前記X線源は、第1のX線パルスから生成された調整信号に基づいて、第2のX線パルスの持続期間を調し、前記第1のX線パルスは、前記第2のX線パルスの直前に発生したものであることを特徴とする請求項1に記載のX線走査システム。
【請求項11】
X線源と、透過能力と、放射線到達範囲と、複数の検出器とを有するX線走査システムの組み込み方法において、
制御装置を組み込み、
前記制御装置は、複数の検出器の少なくとも一つから、最低X線透過レベルを検出、特定し、前記制御装置は、前記最低X線透過レベルを少なくとも一つの既定の閾透過レベルと比較し、前記制御装置は、前記比較に基づいて、調整信号を生成し、前記調整信号は、X線のパルスの持続時間を調整することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記X線源は、1MeVから15MeVの範囲のエネルギーを有する線形加速装置であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記透過能力は、1cmから10cmの距離範囲で増加することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線到達範囲は、1から9の値の因数分改善することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記制御装置は、最低X線透過レベルと第1の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透過得レベルが前記第1の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線パルス持続期間を増加させる調整信号を生成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1の既定の閾値および第2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第1の既定の閾値より大きく、前記第2の既定の閾値より小さければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルスの持続時間を変更しないようにさせる調整信号を生成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記制御装置は、前記最低X線透過レベルと、第1の既定の閾値および第2の既定の閾値とを比較し、前記最低X線透レベルが前記第2の既定の閾値より大きければ、前記制御装置は、前記X線源にX線のパルス持続時間を減少させる調整信号を生成することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
制御装置は、処理装置を有するコンピュータを有し、
前記処理装置は、前記複数の検出器の少なくとも一つから信号を受信する入出力ボードと連動することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の検出器は第1の検出器アレイと第2の検出器アレイとを有し、前記第1の検出器アレイは後続するX線のパルスの要求される線源強度を測定し、前記第2の検出器アレイは、透過像を測定するが、要求された線源強度を測定しないことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
X線源は、第1のX線パルスから生成された調整信号に基づいて、第2のX線パルスの持続期間を調整し、前記第1のX線パルスは、前記第2のX線パルスの直前に発生したものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−510043(P2012−510043A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523012(P2011−523012)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047292
【国際公開番号】WO2010/019311
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511038880)ラピスカン ラボラトリーズ、インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】