説明

強発光を有する新規のハイブリッド・プローブ

2〜30nmの範囲の直径を有する金ナノ粒子を含むハイブリッド・プローブ粒子であって、当該技術分野に周知である金ナノ粒子の表面上に、一方で少なくとも1、そして好ましくは1〜100の有機プローブ分子が金-硫黄結合により結合され、そしてもう一方で、少なくとも10、好ましくは10〜10000個の発光活性を有する分子が金-硫黄結合により結合される、前記ハイブリッド・プローブ粒子、並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的システムにおける検出、追跡、及び定量用のプローブの技術分野に関する。より具体的に、本発明の対象は、新規のハイブリッド・プローブ粒子であって、そのコアが、金ナノ粒子により構成され、プローブ分子がその一方に固定され、そしてもう一方で発光活性を有する分子が固定される、前記ハイブリッド・プローブ粒子、並びにその製造方法である。
【背景技術】
【0002】
標的として知られる特定の物質を検出(認識)又は追跡する生物学的システムにおいて、マーカーとして使われるプローブの使用は、医学診断及び生物学の研究の分野における通常技術である。かかるプローブは、特にフラックス・サイトメトリー、組織学、免疫試験、又は蛍光顕微鏡に利用され、並びに生物物質及び非生物物質の研究に利用される。
【0003】
一般的なマーキング・システムは、ヨウ素、リン、及び他の元素の放射性同位体、並びに検出に特定の基質を必要とするペルオキシダーゼ酵素又はアルカリホスファターゼである。多くの場合、マーカーと被検物質との間の選択的結合は、1の機能分子又は機能分子の集合により行われる。結合の選択性は、検出される標的物質を不明瞭であることなく同定するために必須である。結合を保証する反応は、例えば「Bioconjugate Techniques」、G. T. Hermanson, Academic Press, 1996、又は「Fluorescent and Luminescent Probes for Biogical Activity. A Practical Guide to Technology for Quantitative Real-Time Analysis」第二版、W. T. Mason編 Academic Press, 1999に記載される。
【0004】
有機蛍光色素は、マーキングに広く利用されている。有機蛍光色素は、フルオレセイン、テキサス・レッド、又はCy5であり、生物学的物質又は有機物質に選択的に結合し、そしてプローブとして作用する。外部光源(電磁的であることが多い)により、マークされたプローブを励起した後、プローブに結合した標的生物学的物質又は標的有機物質の存在は、プローブの一部における蛍光の放出により明らかにされる。
【0005】
検知閾値の低下は主要な目的であり、それによりバイオチップ(生体分子の分析及び同定)の改善が行われ、標的生体分子の個々の追跡を保証できるさらに効率のよいプローブの開発が行われ、そうして標的生体分子の細胞活性を研究し、又は環境の局所的な物理化学的変化(pH、イオン力、酸素濃度の変化)を介して表される単細胞生物(細菌、プロトゾアなど)とミネラルとの間に存在する相互作用を明らかにすることを可能にする。
【0006】
検知閾値を低下する際の現在の制限は、1超の蛍光有機官能基(多くの場合分子)により、被検出標的を構成する生体分子又は生体基質の特定部位を官能化することが難しいということである。
【0007】
検知閾値を低下させるために、披検出標的に結合することを予定されたプローブを、最初に発光性の粒子でマークすることが、従来技術において提案されている。特に、半導体物質のナノ粒子がよく研究されてきた。米国特許第5,990,479号、及びWO00/17642及びWO0029617の国際特許出願公開は、II-VI又はIII-V族の元素に属し、そしてある条件で周期表の第四主族(groupe principal)の元素から構成される蛍光半導体ナノ結晶が生体システムの蛍光マーカーとして利用可能であるということを示している。「量子サイズ効果」として知られている現象のため、蛍光半導体ナノ結晶の放出波長は、その大きさにより規定される。その結果、当該ナノ粒子の大きさを変えることにより、広範囲のスペクトルが、近赤外の可視光をカバーできる。その生物学的マーカーとしてのその利用は、Warren C.W. Chan, Shuming Nie, Science, 281, 2016-2018, 1998及びMarcel Brunchez Jr, Mario Moronne, Peter Gin, Shimon Weiss, A. Paul Alivisatos, Science, 281, 2013-2016, 1998により記載される。特定の放出波長、つまり低分散の放出波長を有する半導体ナノ結晶の製造は、高い正確性を要求し、そして操作条件及び合成進行の完全な統制が必要とされる。結果として当該半導体ナノ結晶は、かなり製造することが難しい。半導体結晶により与えられる多種の色彩は、数オングストロームのオーダーの大きさの変化から得られる(これは、数個の原子層に相当する)。溶液中での合成では、そうした正確性に達することは稀である。加えて、ナノ結晶の表面において観察される電子正孔対の組換えは、収量を低い値に制限する。
【0008】
この問題を避けるため、コア/シェル構造が提案されてきた。これは、大きいギャップを有する半導体物質(ZnS、CdS)の層中に、蛍光半導体ナノ結晶を個別に入れることを要する。加えて、蛍光半導体ナノ粒子により生体分子を選択的にマーキングすることは、アミン基により官能化されたポリシロキサンの層の製造を必要とする(エポキシ及びカルボン酸)。後者は、生体分子へのアンカリング・ポイントを構成するであろう。これらのナノ結晶は、それゆえ少なくとも3個の合成ステップを必要とし、その最初の二つのステップは、かなり繊細であり、それゆえ商品化することが難しい。
【0009】
発光性イオン(希土類元素)によるドーピングのため生じる発光を生じさせるナノ粒子酸化物によるマーキングは、見込みある結果にもかかわらず、未だに広く行われていない。その主な原因は低収量のためであり、結晶マトリックス中に存在する発光イオンを励起するためにレーザーの使用を必要とする。一方、発光の性質は、これらの粒子が、水性溶媒中に直接使用されるとき、かなり明らかに変えられる。
【0010】
発光有機化合物で満たされた小胞又は球のポリマー、又はポリシロキサンによるマーキングは、発光の可視化に有効であるが、かなり大きな粒子(数十ナノメートル)を必要とすることが多く、そして大きい「分子性」が好ましい場合の適用において使用しがたい。
【0011】
結合性金粒子を使用する異なる戦略が、開発されてきた。しかしながら、これらのどれも、放出される発光を満足に増大させるのに成功しなかった。多くの研究は、1の末端がチオール官能基により修飾されたオリゴヌクレオチドのマーキング及び検出に注目してきた。オリゴヌクレオチド鎖の結合が、従来技術に特定される他の戦略において一般的なステップを構成する場合、検出に使用される手段はかなり変化する。
【0012】
実際、Pileniらは、J. Phys. Chem B, 107, 27, 6497-6499, 2003 において、ガラス表面上に沈積されたナノメートル規模の金上に存在する相補鎖とハイブリッド形成することによって、チオール化オリゴヌクレオチド鎖により官能化されたナノ粒子を固定することを記載する。表面プラスモン共鳴送信分光法(T-SPR)の感度を有意に増加することにより、固定(及び結果としてオリゴヌクレオチドの検出)が明らかになる。オリゴヌクレオチドの電気化学的検出は、同様にAnalyst, 128, 917-923, 2003のLiら及びLangmuir 19, 4338-4343, 2003のHsingらにより考え出された。オリゴヌクレオチド鎖により官能化された金粒子のバイオチップへの(ハイブリダイゼーション)による固定は、検出電流の増加を引き起こす(銀(I)カチオン塩の低下による)銀結晶の析出を促進する。
【0013】
金の光学性質は、マーキング及び検出のため利用されてきた。その結果、Richards-Kortumらは、Cancer Research, 63, 1999-2004, 2003において、金ナノ粒子が、癌細胞の検出に利用できるということを示した。実際、ナノ粒子上への生体分子であって、癌細胞と選択的に相互作用する分子の固定は、共焦点顕微鏡により放出される入射光を反射するナノ粒子の能力に基づいて検出されるプローブを与えた。金ナノ粒子は、金のプラスモンに関する光吸収及び反射のため、光学造影剤として利用することができる。別のアプローチは、J. Am. Chem. Soc. 125, 1643-1654, 2003のMirkinらにより開発され、Mirkinらは、2個の異なる粒子を運ぶ2個の相補的オリゴヌクレオチド鎖のハイブリダイゼーションが、これらの粒子の接続を引き起こし、そうして(伝導バンドの電子の集団振動により生じる)プラスモン・バンドが消失するということを示した。
【0014】
Nature Biotechnology, 19, 365-370.2001においてDubertretらは、DNAプローブを製造するため金に吸着されたある有機色素について、蛍光の消失が観測されたということ記載した。彼らは、フルオロフォアによりマークされかつ金の表面上に固定されたオリゴヌクレオチド鎖と、遊離の鎖とのハイブリダイゼーションが、フルオロフォアの発光が回復するように作用するということを示した。なぜなら、金の表面から遊離鎖が移動するためである。有機フルオロフォアの特徴的な波長の光の放射は、遊離オリゴヌクレオチドの存在を指し示す。発光消光による技術は、溶液中のオリゴヌクレオチドの存在を検出するのに役に立つ。
【0015】
ポリシロキサン型の層により金属製のコアを包み込むことは、同様にWO99/01766で行われた。しかしながら、当該使用されるプロセスは、ナノ粒子の表面を制御し、そうしてそれに結合する分子数の制御をより難しくするポリシロキサン層の均一性を克服することができない。
【0016】
先行技術の全てのアプローチは制限的である。なぜなら、当該アプローチは、特定の条件にのみしか適用できないからである。電気化学的検出は、in vivoで生体分子の検出を可能にしない。Mirkinらの技術は、核酸の検出に制限される。また、プラスモン・バンドの変化は、他の因子により引き起こすことができる(塩濃度の増加、温度、経年変化)。
【発明の開示】
【0017】
これに関連して、本発明に提起される問題の一つは、in vitro及びin vivoにおいて、感度よくそして再現性を持って検出、マーキング、及び定量を可能にするナノメートルサイズの新規の生物学的プローブを提供することである。
【0018】
本発明で提起される別の問題は、励起後増幅させる蛍光放出又は発光のため容易に検出できる新規の生物学的プローブを提供することである。
【0019】
本発明は、制御されたサイズの新規の多機能生物学的プローブ及び組成物であって、簡単な方法により製造され、容易に市販されるものを提供することを試みる。
【0020】
これらの目的を達成するために、新規のハイブリッド・プローブ粒子であって、2〜30nmの範囲の直径を有する金ナノ粒子、一方において金-硫黄結合により結合される少なくとも1及び好ましくは1〜100の有機プローブ分子、そして他方において少なくとも10、そして好ましくは10〜10000の発光活性を有する有機分子を含む、新規のハイブリッド・プローブ粒子を提供する。
【0021】
増幅された発光体が、高密度のナノメートル規模の金属製コアに結合する新しいタイプのプローブであって、透過型電子顕微鏡など、及び/又はプラスモンに関連する反射、吸収、及び/又は拡散の性質に基づくの別の調査システムを可能にするプローブを提供する。
【0022】
本発明の目的は、同様に予め上で定義されたハイブリッド・プローブ粒子の別の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず、本特許出願において使用される特定の用語の定義を以下に記載する。
【0024】
「発光活性を有する分子」、「フルオロフォア」、「色素」、「蛍光分子」という用語は、それらの可視光及び近赤外における光学発光活性のため、検出できる物質を指す為に使用される。
【0025】
「有機」分子は、当業者に周知の従来の定義として理解される。つまり、O、N、P、S及びハロゲンの中から選ばれる1以上の元素を場合により含む炭素分子である。ケイ素及び/又は金属に基づく化合物は、通常有機分子の一部ではない。
【0026】
プローブ分子は、生物学的に関心のある標的分子と反応することを可能にする少なくとも1の認識部位を有する化合物として理解される。
【0027】
「ポリヌクレオチド」という用語は、少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの鎖であって、少なくとも1の修飾ヌクレオチド、例えば、イノシン、メチル-5-デオキシシチジン、ジメチルアミノ-5-デソオキシウリジン、デオキシウリジン、ジアミノ-2,6-プリン、ブロモ-5-デオキシウリジン、又はハイブリダイゼーションを可能にする他の修飾塩基のいずれかなどの修飾塩基を含む少なくとも1のヌクレオチドを場合により含む鎖を意味する。当該ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド間の結合、つまり骨格において改変されることもある。これらの改変のいずれかは、組み合わせて行われうる。ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド、天然核酸、又はその断片、例えばDNA、リボソームRNA、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、酵素増幅技術により得られた核酸であってもよい。
【0028】
「ポリペプチド」は、少なくとも2個のアミノ酸の鎖を意味すると理解される。
【0029】
「タンパク質」という用語は、ホロタンパク質及びヘテロタンパク質、例えば核タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質、及び糖タンパク質、線形及び球形、酵素、受容体、酵素/基質複合体、糖タンパク質、抗体、抗原を含む。
【0030】
「抗体」という用語は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体、遺伝子組換えにより得られる抗体、及び抗体断片を含む。
【0031】
「抗原」という用語は、抗体により認識される化合物を指し、抗体は、抗原から免疫応答により合成を誘導される。
【0032】
ナノ粒子は、ナノメートル規模の大きさの粒子を意味すると理解される。これらのナノ粒子は、いずれの形態であってもよい。それにもかかわらず、球状に形成された粒子が好ましい。
【0033】
本発明に記載されるハイブリッド・プローブ粒子のコアが、金ナノ粒子により構成され、好ましくは2〜30nm、好ましくは4〜20nm、そして好ましくは5〜16nmの範囲の平均直径により構成される。平均サイズが、光子相関分光法により(光の準弾性、λ=633nm)及び透過型電子顕微鏡(ETM)により行われるマスターの分析により推定される。金の利用は、特に以下の理由:
- 金は、生物適合性であり、そしてかなり高い許容閾値を有する
- 金はかなり酸化しにくい金属であり、かなりの安定性の粒子をもたらす(特に、無酸化状態及び金属性質の保存)
- 金ナノ粒子の合成が容易である
- 金は常磁性ではない
- 金は、硫黄について特別な親和性を有し、チオール化誘導体の結合を可能にし、ここで金-硫黄結合は特に強いということが知られている
- 金は、ETMイメージで見ることができ、
- 金は、表面プラスモン吸収を有し、ナノ粒子についての情報、特にその大きさについての情報を与える
のため特に利点がある。
【0034】
これらの金ナノ粒子は、異なるチオール化誘導体であって以下の:
- 少なくとも1、好ましくは1〜100、そして好ましくは1〜10の有機プローブ分子を結合することにより与えられる生物学的認識、
- 少なくとも10、好ましくは10〜10000、好ましくは10〜1000、好ましくは100〜500の発光活性を有する有機分子を結合することにより与えられる生物学的媒体における発光
- 試験媒体の機能として適合される溶解性
- 再分散
- 非凝集
に寄与する異なるチオール化誘導体を結合することにより多機能化される。
【0035】
官能化は容易であり、異なる結合された分子は、金-硫黄結合によって擬似的共有結合により接続される。本発明の範囲内で、異なる分子(プローブ分子、発光活性を有する分子、又は他の有機分子)が、Au-S結合によりナノ粒子に直接結合されるか、又はAu-S結合でナノ粒子に結合されるスペーサーとして作用する有機分子を用いて結合される。
【0036】
これまでのところ、Au-S結合の性質が不明確のままであっても、チオラート基が金の表面に強く結合されるということがやはり認識される。Ann. Phys. Chem. 43, 437-, 1992におけるDubois, and Nuzzo及びChemical Reviews 96, 1533-1554, 1996, におけるUlman Aによると、結合エネルギーは、40kcal/molであり(S−H結合について84kcal/mol)、そして金上のアルカンチオラートの吸着のエネルギーバランスは負である(〜-5kcal/mol発熱反応)。チオール化誘導体を結合した後に作成されるAu-S相互作用は、とても強いので、後者は、一連の洗浄により表面から外すことができない。チオール化誘導体の利用は、その結果、金ナノ粒子の表面に色素分子及び生体分子を固定するために特に適しているようである。
【0037】
発光活性を有する多くの数の有機分子は、金ナノ粒子の表面上に結合される。有利な方法では、金ナノ粒子の表面上に結合された発光活性を有する分子数は、結合された有機プローブ分子より少なくとも10倍多い。
【0038】
加えて、本発明については、発光活性を有する有機分子、つまり色素とも呼ばれものが、金に直接固定される(この場合色素はチオール化されている)か又は短い有機スペーサーを用いて間接的に(当該スペーサーは、好ましくは2〜50個の炭素原子を含むチオール化分子である)結合される。当該色素は、それゆえWO03/027678において公開される国際出願において記載されているように、オリゴヌクレオチド又はDNA断片に結合されていない。本発明に従うと、当該色素は、金/硫黄結合により金ナノ粒子上に擬似共有結合的に結合される。この方法により、色素の蛍光は結合後保存され、そして従来技術において選択され、そして直接金に吸着された化合物の場合とは異なって、520nmで強く吸収する金の存在により低減されることはない。加えて、発光機能は、金ナノ粒子上に結合された発光活性を有する多数の有機分子により保証され、励起後に強い蛍光の放出をもたらし、広く照射された対象につき、最終的な全体の発光を生じる。本発明に記載されるハイブリッド・ナノ粒子は、1度に及び同時に吸収又は反射のため共焦点顕微鏡において(光学的造影剤)及び電子顕微鏡(電子的造影剤)において可視化される。
【0039】
実際、第一に、標的生体分子は、より簡単に見つけられる。なぜなら、1のフルオロフォアによりマークされる代わりに、数十の発光分子によりマークされるからである。エラストマーの表面上に固定されている(図3)バイオチップであって、オリゴヌクレオチド(d(A)22)を有するセファロース・ボールから構成されるバイオチップを使用して、リッサマイン・ローダミンBの誘導体とオリゴヌクレオチドを有する本発明のナノハイブリッドプローブ粒子を利用することにより得られた増幅を開示する。前記バイオチップの表面上に固定されたオリゴヌクレオチドに相補的な鎖が、一の蛍光分子(リッサマイン・ローダミンB)(図3A)により、又は複数(2〜200)のリッサマイン・ローダミンBのチオール化分子を有する本発明のハイブリッド・ナノ粒子(図3B及び図4)により、マークされている。図5及び図6は、有機蛍光分子の数に伴う蛍光(チオール官能基により官能化されるリッサマイン・ローダミンB)の増加を明らかに示す。しかしながら、蛍光分子が400を超えると、強度は増加しなくなり、そして400の蛍光有機分子が固定されている金ナノ粒子について計測された値が保存された。この結果は、12nmの直径の金ナノ粒子について得られた。
【0040】
図3に示されるように、相補鎖間のハイブリダイゼーション反応の後に、固定された鎖と反応した同数のマークされた鎖(それはサンプル中の標的分子と同数である)について、強い蛍光強度が予期される。これは、図7に記載されており、図7は、リッサマイン・ローダミンBの分子により、又は本発明に記載されるハイブリッド・プローブ粒子によりマークされるサンプル中に存在する鎖の量の関数として得られる蛍光強度の変化を示す。ちょうどこの場合、幾つかの鎖が、ナノ粒子の表面上に提示されうるが、これらの鎖のうちの一つの鎖のみが、固定された鎖と反応することができるということが認められる。図7に示される曲線は、これらのパラメーターを考慮に入れ、そして100の鎖がナノ粒子の表面上に提示され、そのうちの一つが固定された鎖と反応するということが想定される。明らかなように、10倍のシグナル増加は、フルオロフォアによりマークされる分子(白色四角)と本発明に記載されるハイブリッド・プローブ粒子であって、100のフルオロフォアを有する粒子によりマークされた分子(黒色四角)との間で得られる。有機色素により放出される発光シグナルの金コロイドによる部分的な吸収にもかかわらず、10倍の強度増加が観察される。
【0041】
本発明の第一の有利な改良法に従って、結合された色素は、金のプラスモンの最大吸収(540nmにて)を外れる波長で放出する。
【0042】
利点をもちいて、発光活性を有する分子は、蛍光有機色素であり、ここで最大放出は、金プラスモンの最大吸収から少なくとも25nmだけ外れる。電場発光又は化学発光化合物、例えばルミノールの誘導体を利用することができる。2個の光子又は抗ストークス発光を伴う発光化合物であって、その放出光の波長が励起波長、好ましくは少なくとも200nm、より大きい発光化合物を同様に結合できる。ランタニド複合体、ローダミン誘導体、及びさらに具体的にはリッサマイン・ローダミンBの誘導体が、特に好ましい色素である。
【0043】
図1から明らかなように、金ナノ粒子上へのリッサマイン・ローダミンB及びその誘導体の結合は、遊離色素(個々の分子)の同じ量と比較して、得られる発光強度を三分の1に低下させる。結合されたリッサマイン・ローダミンBの分子数を増加させることにより、検出される生物学的分子あたりの発光がさらに増加する。
【0044】
本発明の別の実施態様の別の利点に従って、発光消失を低減されたナノ粒子を獲得するために、有機色素と金との間における非放射性の伝達は制限される。このため、例えば、金ナノ粒子の最大75%を、誘電体特性を示すカバー物質で再びカバーされる。当該誘電体特性は、発光活性を有する分子の放出領域を外れるように金のプラスモン・バンドをずらすことを可能にする。カバー物質は、例えば、ポリシロキサン、SiO2、ZrO2、Ln23、及びランタニド・オキソヒドロキシドから選ばれる。当該カバーは、金ナノ粒子上に、発光及び生物学的分子を結合するための十分に広い表面を残すために、部分的でなければならない。実際、有機プローブ分子及び発光分子は、金の粒子上に直接結合され、そしてカバー物質上には結合されない。図2は、ガドリニウム酸化物による結合が、可視領域において表面プラスモンの吸収をなくすことができるということを例として示す。
【0045】
発光消失を低減されたナノ粒子を得る別の方法は、チオール化有機スペーサーを用いて発光活性を有する分子を結合することである。以前に「固いスペーサー」(例えばベンゼン環を含むチオール化有機分子)上に前以って結合された有機色素の利用は、発光中心を、表面から0.5nmを超える平均距離に保つ。これらのスペーサーは、好ましくは少なくとも6個、そして50未満の炭素を含み、そして例えば、メルカプトフェノール、ジヒドロリポ酸、及びチオ−ポリ(エチレングリコール)の中から選ばれる。
【0046】
さらに、本発明に記載されるナノハイブリッドプローブ粒子は、比較的光安定性である。
本発明に記載されるプローブは、好ましくは、様々な生物学的標的に適用され、特異性は、金ナノ粒子の表面上に結合されるプローブ分子の性質に左右される。生物学的プローブ分子は、DNA、RNA、又はオリゴヌクレオチドのタイプのポリヌクレオチド、抗体、受容体、酵素、酵素/基質複合体、糖タンパク質、ポリペプチドのタイプのタンパク質、糖脂質、オセ(oses)、ポリオシド(Polyoisides)、及びビタミンの中から好ましくは選ばれる。チオール化されているか、又はチオール化スペーサーに結合されているオリゴヌクレオチドが特に好ましい。有機プローブ分子は、同様に、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用を可能する分子のいずれのタイプであってよい。
【0047】
有機プローブ分子及び発光活性を有する分子とは異なる他のチオール化有機分子を、金ナノ粒子上に結合することも同様に可能である。これらのチオール化有機分子は、好ましくは、少なくとも1のアルコール、アミン、スルホネート、カルボン酸、又はホスフェート官能基を含む。1〜1000、好ましくは10〜1000のこうした他の有機分子を結合するという選択をすることができる。こうした他の分子により与えられる機能は、例えばより良い安定性、試験媒質の機能として適用される溶解性、容易な再分散性、非凝集性、優れた選択性などである。
【0048】
本発明はその結果、金ナノ粒子、生物学的プローブ分子、及び発光活性を有する分子をうまく混合し、その結果、金の吸収により発光を「無効に」しないが、逆に単離された分子(結合された化合物の数の効果)に比較して全体として増大され、そして当該プローブ分子が、その生物学的標的に対する効果を保持する。
【0049】
本発明に記載される金のハイブリッド・ナノ粒子は、Frens法(クエン酸塩)(当該方法には多くの改良法(クエン酸塩/タンニン酸)が存在する)により又はNaBH4として知られているBrust法により容易に合成される。
【0050】
クエン酸塩法については、例えばNature Physical Science 241, 20-22, 1973を参照することができる。この場合、水相中で四塩化金酸のクエン酸塩による還元は、クエン酸塩でカバーされた金ナノ粒子を提供する。後者は、2重の役割を果たす。これは、ナノ粒子の成長の制御を可能にし、そして凝集の形成を抑制する。クエン酸塩/タンニン酸の組合せも同様に、クエン酸塩でカバーされるナノ粒子であって、直径が小さい粒子を提供する。金ナノ粒子上へのチオール化分子の結合は、チオール化分子の溶液を少しずつ加えることにより、クエン酸分子を少しずつ置換することにより行われる。当該ステップは、過度に早い置換が、ナノ粒子の沈殿を引き起こすので繊細である。別のチオール化分子の固定は、その異なる分子が存在するだけ多くのステップにより作られる(1のステップ=チオール化化学種の溶液の完全な添加)。
【0051】
NaBH4法については、特にJ. Chem. Soc., Chem. Commun., 1655-1656, 1995を参照できる。NaBH4法は特に、水性溶媒中及び水素化ホウ素ナトリウム及び四塩化金酸の存在下において、結合されるチオール化誘導体と反応させることから実質的になる。結合されるチオール化誘導体は、当業者に周知の方法に従って調製される。チオール化誘導体は、少なくとも1のチオール基−SHを含む有機分子を意味すると理解される。これらのチオール基は、ジアルキル・スルフィド又はジアルキル・ジスルフィドから得ることができる。
【0052】
これらの異なる方法は、当業者に周知であり、当業者は、多くの改良法を当該方法に加えることができる。非限定的な方法で、当該プロセスの異なる有利な改良法についての記載が以下に与えられる。
【0053】
第一の改良法に従って、本発明に記載のハイブリッド・プローブ粒子の製造方法は以下のステップ:
‐ 水又はアルコール相中でかつクエン酸塩の存在下で、金塩、特に四塩化金酸を還元することにより、2〜30nmの範囲の直径の金のナノ粒子のコロイド性懸濁液を調製し、
‐ 得られたコロイド性懸濁液に、チオール化有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加え、クエン酸塩分子に代えて金−硫黄結合により金ナノ粒子の表面上に結合し、
‐ 得られたコロイド性懸濁液に、発光活性を有する分子の水溶液又はアルコール溶液を加え、クエン酸分子に代えて金−硫黄結合により金ナノ粒子の表面上に結合する
を含む。
【0054】
クエン酸塩及びクエン酸塩/タンニン酸法の場合、ハイブリッド・プローブ粒子の製造は、少なくとも3個のステップを含む。好ましくは、第一に0.170〜0.255のAu/クエン酸塩比により、そして0.170〜0.255のAu/クエン酸塩比及び0.030〜10のタンニン酸/クエン酸塩比中であわせられたクエン酸塩/タンニン酸(クエン酸塩/タンニン酸法)により、HAuCl4・3H2Oを還元することにより、一般的にクエン酸塩法では10〜20nm、そしてクエン酸塩/タンニン酸法については6〜15nmのナノメートル規模の大きさの金粒子を水相中に調製することからなる。金ナノ粒子は、次に表面上で吸着されたクエン酸塩の分子によりカバーされる。コロイドは、場合により水に対する透析により精製することができる。
【0055】
クエン酸塩法及びクエン酸塩/タンニン酸法の場合、ナノ粒子の官能化は、数ステップで行われる。各ステップは、一種の分子の結合に相当する。結合は、ナノ粒子の表面上に存在するクエン酸塩の置換により行われ、そうしてチオール基を有する被結合分子を含む溶液を徐々に加えることを必要とする。金ナノ粒子上に結合される分子の量は、その結合可能部位の好ましくは0.1〜60%である。
【0056】
生物学的活性を有する分子を、例えばチオール化オリゴヌクレオチド、チオール基により修飾されるか又はチオール化ポリ(エチレングリコール)(PEG)上に結合される葉酸に結合することは、好ましくは、0.1μM〜40μMの濃度の水溶液の1〜500μlを加えることにより行われる。金ナノ粒子の表面上に結合されたプローブ分子の量は、好ましくは1粒子あたり1〜200プローブ分子である。
【0057】
第二ステップは、好ましくは0.1〜400μMの濃度のチオール化色素の水(又はエタノール)溶液を3〜200μl加えることにより、1以上のチオール基を有する有機色素を結合することからなる。結合されたチオール化色素の数は、特に12nmの直径の粒子につき、1粒子あたり好ましくは10〜400である。
【0058】
生物学的プローブの結合は、色素の結合前又は後において等しく行われうる。メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、コハク酸、チオール基により末端化されたPEGなどの異なるチオール化化学種の溶液は、場合により、前述の2個のステップの前、間、又は後、そしていずれの順番で成功裏に加えることができる。官能化が完了したとき、金のハイブリッド・ナノ粒子は、カラムクロマトグラフィーにより精製される(Sephadex(登録商標)G-25M、溶出液:pH7〜9の緩衝溶液)。
【0059】
クエン酸塩又はクエン酸塩/タンニン酸の別の改良法にしたがって、当該方法は以下のステップ:
- 水又はアルコール相中でかつクエン酸塩の存在下において、四塩化金酸の還元により、2〜30nmの範囲の直径の金ナノ粒子のコロイド性懸濁液を調製し、
- 得られたコロイド性懸濁液に、有機プローブ分子又は結合される発光活性を有する被結合分子と反応すると考えられるイオン性基で官能化されるチオール化スペーサーの水溶液又はアルコール溶液を加え、
- 金ナノ粒子の表面上に結合されたスペーサーが有しているイオン性基と反応するように官能化される有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加え、及び/又は
- 金ナノ粒子の表面上に結合されたスペーサーが有しているイオン性基と反応するように官能化されている有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加える
を含む。
【0060】
金ナノ粒子の表面上に直接発光又は生物学的活性を有するチオール化有機分子を結合するかわりに、この他の改良法は、結合される活性分子(色素、プローブ)に存在する相補反応性官能基の一方と、金の表面上に固定されるチオール化分子の末端に存在し、そしてスペーサーとして作用する相補反応性官能基のもう一方との間の凝縮により結合を行うことからなる。発光又は生物学的活性を有する有機分子の結合は、金粒子上への長期間の固定を保証するためにチオール官能基の存在を必要とする。これらの分子の多くは、チオール基を有していない。チオール官能基は、結合前に有機合成により誘導されうる(クエン酸塩プロトコルの場合)。行われる他の方法は、金ナノ粒子の表面に存在するチオール化スペーサー上にチオール基を有さない活性分子を結合することからなる。前述のプロトコルに関して、活性チオール化分子を結合する一のステップは、2個のステップにより置き換えられる。一つ目は、発光又は生物学的活性を有する分子上にアンカー・ポイント(スペーサー腕)として作用するチオール化スペーサーを固定することからなる。好ましくは、0.1〜400μMの濃度のスペーサーの水溶液1〜500μlを、金ナノ粒子のコロイドに加える。固定されたチオール化分子の数は、空き部分の好ましくは0.1%〜50%である。
【0061】
次に、結合される活性分子の水溶液がゆっくり加えられる。当該溶液は、カップリングを促進する試薬を場合により含みうる。二次産物の除去は、水に対してコロイド溶液を透析することを含む。結合部位として使用されるスペーサーは、チオール基(金上への固定に必須)と、次に活性分子の結合を保証する少なくとも1の反応性基(-OH、-NH2、-COClなど)とを必ず含まなければ成らない。最良の発光を得るために、チオール基と反応性基との間の炭素鎖は堅くなければならず、そして好ましくは6〜50個の炭素原子を含む。発光又は生物学的活性を有する有機分子は、金ナノ粒子の表面上に固定されたスペーサー腕が有する基と反応できる反応性基(-SO2Cl、-COCl、-OH、-NH2)を必ず含まなければならない。特にChem. Eur. J, 8, 16, 3808-3814, 2002及びChem. Commun. 1913-1914, 2004を参照できる。
【0062】
使用されるプロトコルに関わらず(活性チオール化分子又はチオール化スペーサー)、ナノ粒子の表面上に固定された発光活性を有する分子の数は、ナノ粒子の沈殿後に溶液をUV可視分光法により測定した。コロイドに加えられた分子の数と、上清に存在する分子数(沈殿のろ過後)との間の差は、金ナノ粒子の表面上に固定された分子数を指し示す。
【0063】
NaBH4法を使用する別の改良法にしたがって、当該方法は以下のステップ:
- 水相又はアルコール相中で、かつNaBH4の存在下で、金塩、特に四塩化金酸を還元することにより、2〜30nmの範囲の直径の金ナノ粒子のコロイド懸濁液を調製し、
- 得られたコロイド懸濁液に、有機プローブ分子又は発光活性を有する被結合分子と反応する可能性の高いイオン性基で官能化されたチオール化スペーサーの水溶液又はアルコール溶液を加え、ここで当該スペーサーは、金-硫黄結合により、金ナノ粒子の表面上に結合し、
- 金ナノ粒子の表面上に結合されるスペーサーが有するイオン性基と反応するように官能化される有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加え、
- 金ナノ粒子の表面上に結合されるスペーサーが有するイオン性基と反応するように官能化される有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加える
を含む。
【0064】
NaBH4法の場合、金ナノ粒子の表面上に存在するチオール化分子は、一般的に合成の間導入された。これらのあるものは、置換される分子数を正確に制御しないで置換されうる。生物学的活性及び有機色素を有する分子の固定は、金ナノ粒子の表面上に存在するチオール化スペーサーを結合することにより、多くの場合行われよう。NaBH4法による、生物学的マーキング用のハイブリッド・ナノ粒子の合成は、幾つかのステップを必要とする。一つ目は、アルコール、特にメタノール、エタノール、又はジメチルホルムアミド中で、イオン性基を有するチオール化有機分子の存在下で、NaBH4(Au/NaBH4、例えば0.05〜0.5)の水溶液によりHAuCl4・3H2Oを還元することにより、一回のステップで、イオン性官能基を有するチオール化分子でカバーされた金ナノ粒子を調製することからなる。ここでAu/S比は、好ましくは0.2〜10である。本方法では、金ナノ粒子は、外見上全ての場所をカバーされる。
【0065】
金ナノ粒子の表面上でチオール化分子を置換することが難しく、そして表面が完全にカバーされるので、チオール化分子の選択は重要である。これらの分子は、安定なコロイドを得るために水溶液中にナノ粒子の最良の再分散と、プローブ分子と有機分子の結合の両方を可能にしなければならない。チオール化スペーサーは、同様にイオン性基(-NH2、-COOH)を有し、そして水溶液中で再分散性でありかつ安定である金のハイブリッド・ナノ粒子を調製するために見かけ上適切である。加えて、これらのイオン性官能基は、簡単な凝集反応(エステル、アミド、尿素の誘導体、又はチオウレアなどの形成)によりプローブ分子と有機色素を固定するように作用できる。
【0066】
還元、従って金ナノ粒子の形成後、沈殿が生じる。最大で溶媒(メタノール又はエタノール)の2/3が、40℃未満の温度にて減圧下で蒸発される。沈殿物を(例えば、0.22μmに等しい孔径を有する)ポリマー膜上でろ過し、そして(表面上に固定されるチオールの性質に従って選ばれる)異なる溶媒で慎重に洗浄する。この洗浄は、還元の副産物及び多量の非吸着チオールを除去することを狙いとする。
【0067】
空気乾燥後得られた粉末は、制御されたpH範囲で、水相中に再懸濁される(当該pH範囲は、チオール化分子中に存在するイオン性基の性質に左右される)。有機色素は、色素上に存在する反応性基、特に、-NH2、-COOH、-SO2Cl、-N=C=O、-N=C=Sと、金ナノ粒子上に結合されたチオール化スペーサーのイオン性基との間の反応によりナノ粒子上に結合される。当該反応は、金ナノ粒子上に吸着されるチオール化分子の数より少なくとも4倍多い量の有機色素の水溶液又は水和アルコール溶液を、コロイド溶液に加えることにより行われる。金上に吸着されたチオール化分子のイオン性基の0.5〜10%が一般的に反応する。過剰量の二次産物は、pHをかなり変化する(ΔpH≧2)ことにより得られる。沈殿物を、(例えば、孔の直径は0.22μmに等しい)膜上でろ過し、そして洗浄後、制御されたpH範囲内で水溶液中に再懸濁する。
【0068】
有機色素の結合後残っているイオン性基の85〜90%の部分にプローブ分子が結合する。カップリングは、プローブ分子の水溶液を加えることにより行われ、ここで当該量は、金ナノ粒子上に吸着されたチオール化分子の数を少なくとも超える。金上に結合されたチオール化分子のイオン性基のうちの0.1〜2%が反応する。分離の繰り返しにより変性を避けるために、洗浄及び再分散ステップ、プローブ分子の結合は、好ましくは有機色素の結合後に行われる。過剰量の二次産物は、前述のように取り除かれる。
【0069】
ナノ粒子の性質決定を、固体状態ではXPS、XANES、ATGにより行い、そして液体状態をUV可視分光法及びXANESにより行う。
【0070】
当該方法の別の改良法は、金ナノ粒子の表面上にすでに結合された他のチオール化分子とチオール化されたプローブ分子とを交換することにより、プローブ分子を固定することからなる。色素に結合するチオール化分子の一部の有害な交換を避けるために、この場合有機色素の固定の前に、生物活性を有する分子の固定を行うことが避けられない。しかしながら、これらの交換反応は、比較的ランダムであり、そして調節するのが難しい。
【0071】
NaBH4法では、金ナノ粒子を、チオール化分子により変換する方法が、擬似的に完了されることが理解されるべきである。新規のチオール化分子の導入が、結果として交換により純粋に行われる。
【0072】
クエン酸塩の存在下で調製されるナノハイブリッドプローブ粒子では、チオールの有意な交換は無く:それゆえこれらの場合ナノハイブリッドは安定であり、そして性質が保持されるということを注意することが重要であり。その結果、提案された方法は、金ナノ粒子の「被膜」、そしてそれゆえ得られた粒子プローブの特徴を決定する。
【0073】
本発明に従うと、金粒子の表面上に、変化可能であるが、規定された量の蛍光分子及び生物学的プローブを結合することを可能にする。ナノ粒子の表面の分子数は、金粒子の沈殿後UV分光法により容易に測定でき、そうして化学組成物の表面を知ることができる。
【0074】
本発明に記載される新規のプローブ粒子は、特にバイオチップの改良において、微生物とその環境の間における相互作用の研究、細胞内輸送及び細胞内活性の研究についての生体分子の個々の追跡において、特に関心が高い。
【0075】
以下に記載される実施例は、純粋に例示を目的とするものであり、そして制限するものではない。
【実施例】
【0076】
実施例1
クエン酸塩/タンニン酸法による金ナノ粒子のコロイド懸濁液の調製
40mgのクエン酸ナトリウムと10mgのタンニン酸を20mlの超純水中に溶解する。平行して、10mgの四塩化金酸三水和物、HAuCl4・3H2Oを80mlの超純水に溶解する。2個の溶液を次に60℃に熱し、次に金溶液中にクエン酸ナトリウム/タンニン酸を振盪により混合した。混合液を、連続的に攪拌しながら、次に還流下で60℃にて1時間熱し、次に10分間沸騰させ、そして最終的に室温まで冷却した。得られたナノ粒子は、8nmの平均直径を有し、これは、1.67×10-8molのナノ粒子/リットルの濃度を反映する。
実施例2
安定化され、そしてチオール化誘導体を結合することにより官能化の準備ができたナノ粒子の調製
実施例1に記載される合成ナノ粒子の表面は、正確な比のチオール化誘導体によりカバーされる。使用されるチオール化誘導体は、メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム(MES)、チオマレイン酸(AT)、及びメルカプトフェノール(MP)である。各チオール化誘導体の2ml水溶液は、60mlのナノ粒子の溶液に加えられる。ここでその濃度は以下のとおりである:
AT:1.112×10-7M 16.69mgを100mlの脱イオン水に溶解することにより得られる、
MES:1.112×10-7M 18.26mgを100mlの脱イオン水中に溶解することにより得られる、
MP:2.224×10-7M 28.50mgを100mlの脱イオン水中に溶解することにより得られる。
30分ごとに順次添加し、そして当該溶液を一定の振動下に維持する。
【0077】
実施例3
実施例2に記載される方法と同じ条件における、クエン酸塩/タンニン酸による金の発光ナノ粒子のコロイド性懸濁液の調製
ローダミン・ラッサマインBの蛍光分子は、金ナノ粒子の表面上に結合されるメルカプトフェノールのヒドロキシル基上に固定される。10mlの濃トリチルアミンの存在下で10-7Mの濃度を有するリッサマイン・ローダミンBチオクロリドの水溶液1mlを、実施例2に従って調製される30mlの水溶液に加える。結果としてリッサマイン・ローダミンBの分子を平均200個有する金ナノ粒子が得られる。
【0078】
実施例4
ローダミン・リッサマインBのチオール化誘導体の合成
当該誘導体は、アミノチオフェノールのアミン基を、ローダミン・リッサマインBのチオクロリド基と反応させることにより得られる。100mlのクロロホルム中に、1mlのトリエチルアミンの存在下で、125mgリッサマイン・ローダミンBトリクロリド及び26.9mgアミノチオフェノールを溶解することにより、室温にて反応が生じる。溶液は、1日のあいだ攪拌され、そしてジクロロメタン/メタノール溶出液でシリコンカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0079】
実施例5
実施例1に従って調製される金ナノ粒子の表面上への、実施例4に従って調製されるリッサマイン・ローダミンBのチオール化誘導体の結合
機械的に攪拌しながらリッサマイン・ローダミンBのチオール化溶液を、金ナノ粒子の溶液に加えることにより調製を行う。ナノ粒子あたりの所望される蛍光分子の数に従って、添加は、量及び濃度の点で変えられる。当該数は、直径12nmのナノ粒子について1〜400で変わりうる。例えば、1個のナノ粒子あたりのリッサマイン・ローダミンBの100分子という所望の比については、1.67×10-5Mチオール化リッサマイン・ローダミンB1mlを、1.67×10-8Mの金ナノ粒子10mlに加えることにより得られる。
【0080】
実施例6
硫化物末端での葉酸誘導体の結合
葉酸の硫黄誘導体を、ビス-アミノプロピルポリエチレングリコールを結合し、次にトラウト試薬により改変することにより、チオール基を得る。当該技術分野に周知である誘導体を、実施例1に従って調製されるナノ粒子の溶液に加えて、金ナノ粒子の表面上に結合した。
【0081】
実施例7
金ナノ粒子上へのオリゴヌクレオチドの結合
使用されるチオール基末端化オリゴヌクレオチドd(T)22を、カラム上で前以ってろ過し、そして2.33ml水中に希釈された69nmolオリゴヌクレオチド、つまり29.6×10-6Mの濃度を回収した。3.35μl〜335.1μl(1個のナノ粒子あたり0.2〜20個のオリゴヌクレオチド)の当該溶液を、次に実施例1、3又は5に従って調製される1mlの金ナノ粒子に加えた。
【0082】
実施例8
実施例7に従って調製される金ナノ粒子の表面上への実施例4に記載されるリッサマイン・ローダミンBのチオール化誘導体の結合
実施例4に従って調製されるチオール化リッサマイン・ローダミンBの誘導体を、実施例7に従って調製されるナノ粒子上に、1の金ナノ粒子あたり100の比で結合する。この結合を、実施例5で記載されるように行った。
【0083】
実施例9
結合された発光活性を有する分子の放出帯域の外側に吸収をシフトさせるガドリニウム酸化物の粒子により部分的に取り囲まれた金粒子の合成
Gd23 5%Tb3+のナノ粒子のコロイドをポリオール法に従って調製した(R.Bazzi, M.A. Flores-Gonzalez, C. Louis, K. Lebbou, C. Dujardin, A. Brenier, W. Zhang, O. Tillement, E. Bernstein及びP. Perriat、Jounal of Luminescence 102-103, 445-450. 2003)。当該方法は、ジエチレン・グリコール中に溶解される金属塩から発光酸化物のナノ粒子を直接沈殿することからなる。合成後、得られたコロイドを、40℃にてジエチレン・グリコール中で透析した(1:20の体積比)。
次に、HAuCl4、3H2Oをコロイド中に溶解した(1:3の塩の開始質量)。溶液を15分間攪拌して、溶液が黄色になる。2個の水溶液の内の一つは、1g/lクエン酸ナトリウム及び1.5g/lタンニン酸を含み、そして0.5g/lのNaBH4を含む第二溶液は、金塩を還元するために調製される。
攪拌している間に、第一溶液をコロイドに加える。5分後、第二溶液を加える(体積で1:1:1)。ゆっくり滴下することで添加を行った。別々に加える間に、コロイドは、黄色を失って、透明相になり、次に鮮赤相になる。当該相は、金ナノ粒子の漸進的存在を直接証明する。ある条件下において、発光はかなり増幅することができる(少なくとも10倍)。
【0084】
実施例10
末端においてカルボン酸基を有するチオール化分子により安定化される金ナノ粒子の合成
1又は2個のチオール基を有するカルボン酸(49〜195×10-5mol)を含む38mlメタノール及び1.96mlのエタン酸を、49×10-5mol四塩化金酸(HAuCl4、3H2O)を含む60mlメタノールに加える。5分の攪拌の後に、480×10-5molの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を含む13.2mlの水溶液を混合液に滴下して加え、当該混合液は黒色になる。
【0085】
1時間の攪拌後、4mlの塩酸水溶液(HCl、1N)を反応混合液に加える。得られた黒色懸濁液を、減圧下でメタノールの部分的な蒸発により濃縮する。黒色固体をろ過し、3×30mlのHCl(0.1N)、2×20mlの水、及び3×30mlのジエチルエーテルにより洗浄する。反応混合液を次に室温で乾燥する。得られた粉末は、7以上のpHを有する水溶液中に容易に再分散できる。
【0086】
実施例11
実施例10に従って調製される金ナノ粒子上へのルミノールの結合
8mgの金ナノ粒子(平均直径5ml)を10mlの水溶液(pH8〜10)中に溶解する。1mlの0.1M・1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDC)及びプロパン-2-オール中の0.2Mペンタフルオロフェノールを金ナノ粒子のコロイド溶液に加える。90分後、154μl〜1.54mlの水溶液を10-2Mルミノールに加える。150分後、ナノ粒子を、1N・HClの水溶液を加えることにより沈殿する。得られた沈殿をろ過し、そして洗浄し、そしてpH7以上の水溶液中に再懸濁する。
改良法:0.1M・EDC及び0.2Mペンタンフルオロフェノールを含むプロパン-2-オールの溶液の代わりに、0.1M・EDC及び0.2M・N-ヒドロキシスクシンイミドの水溶液を利用できる。
【0087】
実施例12
実施例11に従って調製されるナノ粒子状のチオール化オリゴヌクレオチドの結合
1.11×10-9molのチオール化オリゴヌクレオチドを、1mlの金ナノ粒子のコロイド溶液(6,7×1017ナノ粒子/リットル)に加える。1時間後、粒子を1N・HClのナノ粒子を加えることにより沈殿させる。得られた沈殿をろ過し、そして洗浄し、その後pH7以上の水溶液中に再分散する。
【0088】
実施例13
アミン基により末端化されるオリゴヌクレオチドの実施例11に従って調製されるナノ粒子上への結合
プロパン-2-オール中の0.1M・EDC及び0.2Mペンタフルオロフェノールの1ml溶液を、金ナノ粒子の1mlのコロイド溶液(6,7×1017ナノ粒子/リットル)に加える。90分後、1.11×10-9molのチオール化オリゴヌクレオチドd(T)22であって、アミン基により末端下されるものを加える。2時間半後、ナノ粒子を1N・HCl水溶液を加えることにより沈殿させる。得られた沈殿をろ過し、そして洗浄し、次にpH8〜10中に再分散する。
改良法:0.1M・EDC及び0.2M・ペンタフルオロフェノールを含むプロパン-2-オールの溶液の代わりに、0.1M・EDCと0.2M・N-ヒドロキシスクシンイミドの水溶液を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、金ナノ粒子に結合した後のリッサマイン・ローダミンの誘導体の発光の強さを示す。
【図2】図2は、金ナノ粒子と分離した又は付随したガドリニウム酸化物のナノ粒子のコロイド性溶液の吸収スペクトルを示す。
【図3】図3は、使用されるバイオチップの原理の模式図である。
【図4】図4は、発光活性を有する5個の分子(リッサマイン・ローダミンBのチオール化誘導体)により及びオリゴヌクレオチドにより官能化される金ナノ粒子のバイオチップ上でのハイブリダイゼーションにより固定される間の希釈の影響を示す(アルゴンレーザー、λexc=480nm、P=600μW)。
【図5】図5は、オリゴヌクレオチドと発光活性を有する分子の様々な数(リッサマイン・ローダミンBのチオール化誘導体:rohda-SH)を含む金ナノ粒子のハイブリダイゼーションにより、セファロース球上に固定化後観察された発光を示す。
【図6】図6は、図5において観察された蛍光シグナルの定量化を示す。
【図7】図7は、1分子によりオリゴヌクレオチドをマーキングした後に得られる発光強度を、発光活性を有する100個の分子(チオール化リッサマイン・ローダミンB)を含む金ナノ粒子によりオリゴヌクレオチドをマーキングした後に得られる発光とを比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜30nmの範囲の直径の金ナノ粒子を含むハイブリッド・プローブ粒子であって、当該金ナノ粒子の表面の一方において少なくとも1、好ましくは1〜100の有機プローブ分子が金-硫黄結合により結合され、そして他方において少なくとも10、好ましくは10〜10000の発光活性を有する分子が、金-硫黄結合により結合される、前記粒子。
【請求項2】
金ナノ粒子表面上に結合された発光活性を有する分子数が、結合された有機プローブ分子数より少なくとも10倍大きいことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項3】
発光活性を有する10〜1000、好ましくは100〜500の分子が、金ナノ粒子上に結合されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項4】
発光活性を有する分子が、蛍光有機色素であり、その当該放出最大値が、金プラスモンの最大吸収から少なくとも25nmずれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項5】
発光活性を有する前記分子が、電場発光又は化学発光化合物、例えばルミノールの誘導体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項6】
発光活性を有する前記分子が、発光化合物であり、ここで放出される光の波長が、励起波長より大きく、好ましくは少なくとも200nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項7】
発光活性を有する前記分子が、ランタニド複合体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項8】
発光活性を有する前記分子が、ローダミン誘導体、及び特にリッサマイン・ローダミンBの誘導体から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項9】
前記金ナノ粒子の最大75%が、カバー物質によりカバーされることを特徴とし、ここで、当該カバー物質が誘電体特性を示し、金のプラスモン・バンドを、発光活性を有する前記物質の放出帯域の外側にシフトさせることを許容する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項10】
前記カバー物質が、ポリシロキサン、SiO2、ZrO2、Ln23、及びランタニド・オキソヒドロキシドの中から選ばれることを特徴とする、請求項9に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項11】
発光活性を有する前記分子が、チオール化有機スペーサーを用いて前記金ナノ粒子に結合され、ここで当該スペーサーが前記有機プローブ分子と同一ではない、請求項1〜8のいずれか1項に記載されるハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項12】
前記スペーサーが、6〜50個の炭素原子を含み、そして例えば、メルカプトフェノール、ジヒドロリポ酸、及びチオ-ポリ(エチレングリコール)の中から選ばれる、請求項11に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項13】
前記金ナノ粒子が、4〜20nm、好ましくは5〜16nmの範囲の直径を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項14】
1〜10個の有機プローブ分子が、金ナノ粒子上に結合されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項15】
前記有機プローブ分子が、DNA、RNA、又はオリゴヌクレオチドのタイプのポリヌクレオチド、又は抗体タイプのタンパク質、受容体、酵素、酵素/基質複合体、糖タンパク質、ポリペプチド、糖脂質、オセ、ポリオシド、及びビタミンから選ばれることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載されるハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項16】
前記有機プローブ分子が、チオール化オリゴヌクレオチドであるか、又はチオール化スペーサーに結合されることを特徴とする、請求項14に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項17】
前記有機プローブ分子が、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用を許容する分子であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項18】
10〜1000の他のチオール化有機分子であって、前記有機プローブ分子及び発光活性を有する前記分子とは異なる分子が、前記金ナノ粒子上にさらに結合されることを特徴とし、ここで当該他のチオール化有機分子が、好ましくは少なくとも1のアルコール、アミン、スルホネート、カルボン酸、又はホスフェート基を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子。
【請求項19】
以下のステップ:
‐ 水相又はアルコール相中でかつクエン酸塩の存在下で、金の塩、特に四塩化金酸を還元することにより、2〜30nmの範囲の直径の金ナノ粒子のコロイド性懸濁液を調製し、
- 得られたコロイド性懸濁液に、チオール化有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加えて、クエン酸塩分子を置換して金-硫黄結合により金ナノ粒子の表面上に結合させ、
‐ 得られたコロイド性懸濁液に、発光活性を有する水溶液又はアルコール溶液を加えて、クエン酸塩分子を置換して金-硫黄結合により金のナノ粒子の表面上に結合させる、
を含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載のハイブリッド・プローブ粒子の製造方法。
【請求項20】
以下のステップ:
‐ 水相又はアルコール相中でかつクエン酸塩の存在下で、四塩化金酸を還元することにより、2〜30nmの範囲の直径の金ナノ粒子のコロイド性懸濁液を調製し、
‐ 得られたコロイド性懸濁液に、有機プローブ分子又は結合される発光活性を有する分子と反応しうるイオン性基で官能化されたチオール化スペーサーの水溶液又はアルコール溶液を加え、ここで当該スペーサーは、クエン酸塩分子を置換する金-硫黄結合により金のナノ粒子の表面上に結合し、
- 上記金ナノ粒子の表面上に結合されるスペーサーが有するイオン性基と反応するように官能化された有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加え、そして/又は
‐ 上記金ナノ粒子の表面上に結合されるスペーサーが有するイオン性基と反応するように官能化された有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加える
を含むことを特徴とする、ハイブリッド・プローブ粒子の製造方法。
【請求項21】
前記金塩の還元が、タンニン酸の存在下で行われることを特徴とする、請求項19又は20に記載のハイブリッド・プローブ粒子の製造方法。
【請求項22】
以下のステップ:
− 水相又はアルコール相中でかつNaBH4の存在下で、金の塩、特に四塩化金酸を還元することにより、2〜30nmの範囲の直径の金ナノ粒子のコロイド性懸濁液を調製し、
‐ 得られたコロイド性懸濁液に、有機プローブ分子又は結合される発光活性を有する分子と反応しうるイオン性基で官能化されるチオール化スペーサーの水溶液又はアルコール溶液を加え、
‐ 上記金ナノ粒子の表面上に結合されたスペーサーが有するイオン性基と反応するように官能化された有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加え、
‐ 上記金ナノ粒子の表面上に結合されたスペーサーが有するイオン性基と反応するように官能化された有機プローブ分子の水溶液又はアルコール溶液を加える
を含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載されるハイブリッド・プローブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−512522(P2007−512522A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540543(P2006−540543)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003039
【国際公開番号】WO2005/054858
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(596096180)ユニベルシテ・クロード・ベルナール・リヨン・プルミエ (16)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(506179310)アンスティテュ ナシオナル デ スヤンス アプリケ ドゥ リヨン (3)
【Fターム(参考)】